JP2004190198A - ポリウレタン弾性繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン弾性繊維に関し、詳しくは耐光性、耐NOx性、耐塩素性に優れたポリウレタン弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン及びポリウレタンウレアは、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシ化合物および多官能性水素化合物を原料として得られた重合体であり、弾力性のある優れた物性を有しているため、繊維、フィルム、フォーム、皮革、塗料、接着剤などの多くの分野で使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリウレタン及びポリウレタンウレアは、耐光性、耐NOx性、耐塩素性が問題であり、特に繊維を目的として製造される場合においては、衣料に供される等の日常の使用により変着色、劣化しやすいことが知られている。
【0004】
そのため、酸化防止剤、光安定剤などの安定剤の使用は避けられず、多くの安定剤やその組み合わせが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
さらにポリウレタン及びポリウレタンウレアはその変着色問題を解決するため、酸化防止剤、光安定剤を組み合わせて含有させる方法に加えて、特に変色防止効果の高い1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させる方法が知られている。
【0006】
例えば、1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物として、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジドや1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−1、4−フェニレン)ジセミカルバジド等のジアルキルアミノ基を有する化合物を含有させる方法が知られている。(例えば、特許文献5、6参照)。
【0007】
しかしながら、従来知られている方法では、ポリウレタン及びポリウレタンウレアの耐光性、耐NOx性、耐塩素性等を十分満足しておらず、特に上記ジアルキルアミノ基を有する1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させたポリウレタン及びポリウレタンウレアであっても、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等において十分満足し得るものとはいえず、改良の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特許2625508号明細書
【特許文献2】
特開昭46−27874号公報
【特許文献3】
特公平6−35538号公報
【特許文献4】
特開平10−204284号公報
【特許文献5】
特公昭62−61612号公報
【特許文献6】
特許第2625508号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等が改善された安定化したポリウレタン弾性繊維を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、ジアルキルアミノ基を有する1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物の代わりにピロリジン基を有する1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物をポリウレタン重合体に含有させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1) ポリウレタン重合体と、下記一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物とを含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
【0012】
【化2】
(式中Xは炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す)
(2) 一般式(I)中のXで表される2価の炭化水素基が、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレンとアリーレンを有する基又はアルキレンとシクロアルキレンを有する基であることを特徴とする(1)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3) 一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物をポリウレタン重合体100重量部に対して0.1〜5重量部含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4) 更に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、少なくともポリウレタン重合体と上記一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物(以下、「本発明の化合物」ともいう)とを必須成分として含有する。
【0015】
ここで、ポリウレタン重合体とは、ウレタン結合を有している高分子重合体であればよく、ポリウレタン重合体、ポリウレタンウレア重合体等をいう。
【0016】
本発明のポリウレタン重合体は、一般に知られている製造方法により得ることができる。例えば、本発明のポリウレタン重合体を得る方法として、有機ジイソシアナートと実質的に線状の高分子ジオールとで調整されたイソシアナート末端のプレポリマーに、多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤および必要に応じて単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を反応せしめて製造する方法等が挙げられる。
【0017】
ここで、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記高分子ジオールとしては、末端にヒドロキシル基をもつ数平均分子量400〜5000の線状高分子体が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンジオール等のポリエーテルジオール;コハク酸、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロへキサン等のグリコール類の一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;ポリエーテルエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、シリコーンジオール等を挙げることができる。
【0018】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記有機ジイソシアナートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべて適用できる。例えば、2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(HMDI)、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)等が使用される。中でも好ましくは、TDI、MDI、HDI、HMDI、XDI等が挙げられる。
【0019】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、ブタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジンの如きジアミン;例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオールの如きジオール類;水;ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、β−アミノプロピオン酸ヒドラジドの如きヒドラジド類等の多官能性活性水素化合物が挙げられる。
【0020】
また、必要に応じて加えられる、上記末端封鎖剤としては、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミン又は、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等のジアルキルアミンが挙げられる。
【0021】
ところで、ポリウレタン重合反応の際には、必要に応じ不活性溶媒が使用される。この不活性溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶媒が挙げられる。
【0022】
本発明は、上記のようにして得られるポリウレタン重合体に、上記一般式(I)で示される本発明の化合物を配合させる。
【0023】
かかる一般式(I)におけるXは、炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す。具体的には、例えば、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレンとアリーレンを有する基又はアルキレンとシクロアルキレンを有する基等が挙げられる。
【0024】
ここで、アルキレン基としては、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンメチレン、オクタメチレン等の基が挙げられ、アリーレン基としては、1,2−、1,3−、1,4−フェニレン、ナフチレン等の基が挙げられ、シクロアルキレン基としては、1,2−、1,3−、1,4−シクロへキシレン等の基が挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)で示される本発明の化合物の具体例としては、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(1,3−シクロへキシレン−1,3−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(メチレンジ−1,4−シクロへキシレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(2,5(2,6)−ビシクロ[2,2,1]へプチレン−2,5(2,6)−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(3−メチレン−3,5、5−トリメチル−1,3−シクロへキシレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(1,3−フェニレン−1,3−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−ヘキサメチレンジセミカルバジド等が挙げられる。
【0026】
本発明は、ポリウレタン重合体に、上記一般式(I)で示される本発明の化合物を本発明の効果を発揮するに有効な量配合させる。
【0027】
尚、本発明の化合物は、1種で含有させてもよいし、これらの中から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含有させてもよい。
【0028】
ポリウレタン重合体と、上記一般式(I)で示される本発明の化合物との好ましい配合比は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、本発明の化合物は0.1〜5重量部である。
【0029】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、上記のようにして得られたポリウレタン重合体を溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の各紡糸方法を利用することにより紡糸して製造することができる。
【0030】
本発明の化合物をポリウレタン重合体に配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン弾性繊維の製造工程の任意の段階で配合させることができる。例えば、ポリウレタン重合終了後成形段階の前に直接ポリウレタン重合体に添加してもよい。又はポリウレタン重合体の原料に本発明の化合物を加えておいてもよい。また、ポリウレタンの重合体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方に本発明の化合物を分散もしくは溶解させて加えておくこともできる。
【0031】
また、本発明のポリウレタン弾性繊維においては、上記必須成分の他に、通常ポリウレタン重合体組成物に使用される他の任意成分を含有させることができる。
【0032】
このような任意成分としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノシロキサン等の粘着防止剤、顔料、光沢剤、染色増強剤、ガス変色防止剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、表面処理剤、つや消し剤、防カビ剤、軟化剤等が挙げられる。
【0033】
ここで、上記紫外線吸収剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキサデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0034】
また、上記ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との重縮合物等である。中でもビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
【0035】
また、上記酸化防止剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸、トリス[2−(3,5−)−t−ブチル−4’−ヒドロキシヒドロ−シンナモイロキシル]エチル)イソシアヌレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸等のヒンダードフェノール酸化防止剤が好ましい。
【0036】
上記任意成分は、1種又は2種以上組み合わせて本発明のポリウレタン弾性繊維に含有させることができるが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤とを一緒に含有させるのがより好ましい。
【0037】
上述のような各種の安定剤、配合剤等の任意成分を本発明のポリウレタン弾性繊維に配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン弾性繊維の製造工程の任意の段階で配合させることができる。例えば、ポリウレタン重合終了後成形段階の前に直接ポリウレタン重合体に添加してもよい。又はポリウレタン重合体の原料に任意成分の化合物を加えておいてもよい。また、ポリウレタンの重合体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方に任意成分の化合物を分散もしくは溶解させて加えておくこともできる。
【0038】
本発明のポリウレタン弾性繊維の用途は、特に制限されず、種々の用途に使用可能であるが、その弾性特性を生かして、例えば水着等の各種スポーツ用品、衣料品等の用途に極めて有効に利用することができる。
【0039】
本発明によれば、ポリウレタン重合体に1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させることにより、酸化窒素性ガス、塩素、光に対する変着色防止性に優れる安定性に優れたポリウレタン弾性繊維が得られる。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、本発明の効果を評価する方法として、ポリウレタン弾性繊維の安定性試験を以下のようにして行った。各々の測定方法は次の通りである。
(A)耐Nox試験
22デシテックス(以後dtex)のポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻き付け、JISL0855強試験に準じて、650ppmの酸化窒素ガスで標準染色布の変色が一定に達するまで3回暴露し、暴露前後のYI値をミノルタ分光測色計CM−3500d(ミノルタ株式製)により測色し、その変化(ΔYI)を求めた。
(B)耐塩素試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻きつけ、JISL0884B法に基づいて塩素濃度20ppmの水溶液中で3時間処理した後、同様にΔYIを求めた。また、テンシロン試験機により処理後の強力を測定し、残留強度(cN/dtex)を求めた。
(C)耐光性試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻き付け、スガ試験機製紫外線フェードメーターU48S(温度46℃、湿度50%)で40時間照射し、同様にΔYIを求めた。
(D)染着性試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維を一口編し、弾性繊維の筒編地を得た。さらにポリアミド6繊維(東レデュポン、TDN33T、10フィラ)を同様に編み立てて、ポリアミド6繊維筒編地を得た。これらを同浴にて下記条件で染色、フィックス処理を行った。そして、その後、染色した弾性繊維一口編地を脱水後室温で12時間風乾後、一口編3つ折りすなわち生地6枚重ねの状態でミノルタ分光測色計にてK/S値を測定した。
(染色条件)
染料 Nyiosan Red、Nyiosan Blue 2.0%owf
ポリアミド6筒編地重量 6g
弾性繊維筒編地重量 4g
浴比 1:20
温度、時間 95℃×40分
(フィックス条件)
フィックスGM(大日本製薬KK) 4%owf
ポリアミド6筒編地重量 6g
弾性繊維筒編地重量 4g
浴比 1:20
温度、時間 80℃×20分
【0041】
(実施例1)
数平均分子量2000のポリオキシテトラメチレングリコール2000部と4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と表す)500部を窒素ガス気流中で60℃、90分間攪拌しつつ反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを合成し、これにジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と表す)5833部加えて溶解させた。
【0042】
一方、エチレンジアミン54部とジ−n−ブチルアミン12.9部をDMAc1867部に溶解して鎖延長剤及び末端停止剤の混合溶液を調整し、前記プレポリマー溶液に滴下しながら加え、ポリウレタンウレア溶液を得た。得られた重合体溶液中の固形分は、25%で、30℃における粘度は2000ポイズである。
【0043】
この重合体溶液に1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(3−メチレン−3,5,5−トリメチル-1,3−シクロへキシレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−1」とする)25.6部、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸(以下「化合物B−1」とする)12.8部、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(以下「化合物C−1」とする)12.8部、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル(以下「化合物D−1」とする)3.84部を添加し、2ホールノズルを通して200℃の不活性ガス中に吐出し、脱溶剤、合着後油剤を付与しながら500m/分の速度で巻取り22dtexのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
【0044】
各添加剤の配合をポリウレタン重合体に対する重量%に換算した値として表1に示す。
【0045】
また、耐Nox試験、耐塩素試験、耐光性試験結果を以下に記載の実施例2〜6、比較例1〜6と共に表2に示す。尚、以下に記載の実施例7、8、比較例7、8の結果については表3で示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例2)
実施例1において化合物D−1の代わりに2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル(以下「化合物D−2」とする)を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0050】
(実施例3)
実施例1において化合物B−1の代わりに3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(以下「化合物B−2」とする)を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0051】
(実施例4)
実施例1において化合物B−1の代わりに化合物B−2を、化合物C−1の代わりにコハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物(以下「化合物C−2」とする)を使用し、また化合物D−1の代わりに化合物D−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0052】
(実施例5)
実施例1において化合物A−1の代わりに1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(2,5(2,6)−ビシクロ[2,2,1]へプチレン−2,5(2,6)−ジメチレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−2」とする)を、化合物C−1の代わりに化合部物C−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0053】
(実施例6)
実施例1において化合物C−1の代わりに化合物C−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0054】
(実施例7)
実施例1に酸化マグネシウム(協和化学製3−30、平均粒径0.7μ)(以下「化合物X」とする)を3%添加する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0055】
(実施例8)
実施例1にシクロヘキサン1,4−ジイソシアネートとt−ブチルジエタノールアミンからなる分子量4000のウレタンオリゴマー(以下「化合物Y」とする)を1%添加する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0056】
(比較例1〜8)
比較例1 実施例1において、化合物A−1の代わりに1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−3」とする)を使用しその他は実施例1と同様に実験した。
【0057】
比較例2 実施例2において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用しその他は実施例2と同様に実験した。
【0058】
比較例3 実施例3において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用しその他は実施例3と同様に実験した。
【0059】
比較例4 実施例4において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用し、また化合物D−2の代わりに2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(以下「化合物D−3」とする)を使用する他は、実施例4と同様に実験した。
【0060】
比較例5 実施例5において、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−4」とする)を使用する他は、実施例5と同様に実験した。
【0061】
比較例6 実施例6において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用する他は、実施例6と同様に実験した。
【0062】
比較例7 実施例7において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用し、また化合物D−1の代わりに化合物D−2を使用する他は、実施例7と同様にして実験を行った。
【0063】
比較例8 実施例8において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用する他は、実施例8と同様にして実験を行った。
【0064】
(実施例9)
窒素ガスでシールした80℃の反応釜にMDI 53.9部を仕込み、化合物A−1、化合物D−2、化合物B−2、及び化合物C−1の混合物(化合物A−1:10%、化合物D−2:20%、化合物B−2:50%、化合物C−1:20%)2.3部を攪拌しながら添加溶解させた。その溶解物にエチレングリコールとプロピレングリコール及びアジピン酸から合成された数平均分子量2,000のポリエステルジオール100部を注入し、1時間攪拌反応させてNCO末端プレポリマーを得た。
【0065】
一方で、窒素ガスでシールした80℃の反応釜にMDI 25部を仕込み、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール100部を注入し、1時間反応させた後、1,4ブタンジオール32部を更に添加し反応させ、OH末端プレポリマーを得た。
【0066】
NCO末端プレポリマーとOH末端プレポリマーを1:0.47の重量比率で、ポリウレタン弾性繊維用円筒形反応機に連続的に供給し、188℃に保った紡糸ヘッドへ供給し1ホールのノズルを通して吐出し、冷却、給油後600m/分の速度で巻取り22dtexのポリウレタン弾性繊維を紡糸した。
【0067】
各添加剤の配合を、ポリウレタン重合体に対する重量%に換算した値として表1に示す。
【0068】
また、この繊維について、耐Nox試験、耐塩素試験、耐光性試験結果を以下に記載の比較例9と共に表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
(比較例9) 実施例9において、化合物A−1を除く他は、実施例9と同様にして実験を行った。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等が改善された安定化したポリウレタン弾性繊維を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン弾性繊維に関し、詳しくは耐光性、耐NOx性、耐塩素性に優れたポリウレタン弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン及びポリウレタンウレアは、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシ化合物および多官能性水素化合物を原料として得られた重合体であり、弾力性のある優れた物性を有しているため、繊維、フィルム、フォーム、皮革、塗料、接着剤などの多くの分野で使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリウレタン及びポリウレタンウレアは、耐光性、耐NOx性、耐塩素性が問題であり、特に繊維を目的として製造される場合においては、衣料に供される等の日常の使用により変着色、劣化しやすいことが知られている。
【0004】
そのため、酸化防止剤、光安定剤などの安定剤の使用は避けられず、多くの安定剤やその組み合わせが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
さらにポリウレタン及びポリウレタンウレアはその変着色問題を解決するため、酸化防止剤、光安定剤を組み合わせて含有させる方法に加えて、特に変色防止効果の高い1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させる方法が知られている。
【0006】
例えば、1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物として、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジドや1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−1、4−フェニレン)ジセミカルバジド等のジアルキルアミノ基を有する化合物を含有させる方法が知られている。(例えば、特許文献5、6参照)。
【0007】
しかしながら、従来知られている方法では、ポリウレタン及びポリウレタンウレアの耐光性、耐NOx性、耐塩素性等を十分満足しておらず、特に上記ジアルキルアミノ基を有する1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させたポリウレタン及びポリウレタンウレアであっても、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等において十分満足し得るものとはいえず、改良の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特許2625508号明細書
【特許文献2】
特開昭46−27874号公報
【特許文献3】
特公平6−35538号公報
【特許文献4】
特開平10−204284号公報
【特許文献5】
特公昭62−61612号公報
【特許文献6】
特許第2625508号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等が改善された安定化したポリウレタン弾性繊維を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、ジアルキルアミノ基を有する1,1,1’,1’−テトラアルキル−4,4’−ジセミカルバジド系化合物の代わりにピロリジン基を有する1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物をポリウレタン重合体に含有させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1) ポリウレタン重合体と、下記一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物とを含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
【0012】
【化2】
(式中Xは炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す)
(2) 一般式(I)中のXで表される2価の炭化水素基が、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレンとアリーレンを有する基又はアルキレンとシクロアルキレンを有する基であることを特徴とする(1)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3) 一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物をポリウレタン重合体100重量部に対して0.1〜5重量部含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4) 更に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、少なくともポリウレタン重合体と上記一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物(以下、「本発明の化合物」ともいう)とを必須成分として含有する。
【0015】
ここで、ポリウレタン重合体とは、ウレタン結合を有している高分子重合体であればよく、ポリウレタン重合体、ポリウレタンウレア重合体等をいう。
【0016】
本発明のポリウレタン重合体は、一般に知られている製造方法により得ることができる。例えば、本発明のポリウレタン重合体を得る方法として、有機ジイソシアナートと実質的に線状の高分子ジオールとで調整されたイソシアナート末端のプレポリマーに、多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤および必要に応じて単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を反応せしめて製造する方法等が挙げられる。
【0017】
ここで、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記高分子ジオールとしては、末端にヒドロキシル基をもつ数平均分子量400〜5000の線状高分子体が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンジオール等のポリエーテルジオール;コハク酸、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロへキサン等のグリコール類の一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;ポリエーテルエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、シリコーンジオール等を挙げることができる。
【0018】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記有機ジイソシアナートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべて適用できる。例えば、2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(HMDI)、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)等が使用される。中でも好ましくは、TDI、MDI、HDI、HMDI、XDI等が挙げられる。
【0019】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、ブタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジンの如きジアミン;例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオールの如きジオール類;水;ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、β−アミノプロピオン酸ヒドラジドの如きヒドラジド類等の多官能性活性水素化合物が挙げられる。
【0020】
また、必要に応じて加えられる、上記末端封鎖剤としては、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミン又は、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等のジアルキルアミンが挙げられる。
【0021】
ところで、ポリウレタン重合反応の際には、必要に応じ不活性溶媒が使用される。この不活性溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶媒が挙げられる。
【0022】
本発明は、上記のようにして得られるポリウレタン重合体に、上記一般式(I)で示される本発明の化合物を配合させる。
【0023】
かかる一般式(I)におけるXは、炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す。具体的には、例えば、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレンとアリーレンを有する基又はアルキレンとシクロアルキレンを有する基等が挙げられる。
【0024】
ここで、アルキレン基としては、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンメチレン、オクタメチレン等の基が挙げられ、アリーレン基としては、1,2−、1,3−、1,4−フェニレン、ナフチレン等の基が挙げられ、シクロアルキレン基としては、1,2−、1,3−、1,4−シクロへキシレン等の基が挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)で示される本発明の化合物の具体例としては、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(1,3−シクロへキシレン−1,3−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(メチレンジ−1,4−シクロへキシレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(2,5(2,6)−ビシクロ[2,2,1]へプチレン−2,5(2,6)−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(3−メチレン−3,5、5−トリメチル−1,3−シクロへキシレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(1,3−フェニレン−1,3−ジメチレン)ジセミカルバジド、1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−ヘキサメチレンジセミカルバジド等が挙げられる。
【0026】
本発明は、ポリウレタン重合体に、上記一般式(I)で示される本発明の化合物を本発明の効果を発揮するに有効な量配合させる。
【0027】
尚、本発明の化合物は、1種で含有させてもよいし、これらの中から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含有させてもよい。
【0028】
ポリウレタン重合体と、上記一般式(I)で示される本発明の化合物との好ましい配合比は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、本発明の化合物は0.1〜5重量部である。
【0029】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、上記のようにして得られたポリウレタン重合体を溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の各紡糸方法を利用することにより紡糸して製造することができる。
【0030】
本発明の化合物をポリウレタン重合体に配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン弾性繊維の製造工程の任意の段階で配合させることができる。例えば、ポリウレタン重合終了後成形段階の前に直接ポリウレタン重合体に添加してもよい。又はポリウレタン重合体の原料に本発明の化合物を加えておいてもよい。また、ポリウレタンの重合体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方に本発明の化合物を分散もしくは溶解させて加えておくこともできる。
【0031】
また、本発明のポリウレタン弾性繊維においては、上記必須成分の他に、通常ポリウレタン重合体組成物に使用される他の任意成分を含有させることができる。
【0032】
このような任意成分としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノシロキサン等の粘着防止剤、顔料、光沢剤、染色増強剤、ガス変色防止剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、表面処理剤、つや消し剤、防カビ剤、軟化剤等が挙げられる。
【0033】
ここで、上記紫外線吸収剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキサデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート化合物が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0034】
また、上記ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との重縮合物等である。中でもビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
【0035】
また、上記酸化防止剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸、トリス[2−(3,5−)−t−ブチル−4’−ヒドロキシヒドロ−シンナモイロキシル]エチル)イソシアヌレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。中でも、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸等のヒンダードフェノール酸化防止剤が好ましい。
【0036】
上記任意成分は、1種又は2種以上組み合わせて本発明のポリウレタン弾性繊維に含有させることができるが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤とを一緒に含有させるのがより好ましい。
【0037】
上述のような各種の安定剤、配合剤等の任意成分を本発明のポリウレタン弾性繊維に配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン弾性繊維の製造工程の任意の段階で配合させることができる。例えば、ポリウレタン重合終了後成形段階の前に直接ポリウレタン重合体に添加してもよい。又はポリウレタン重合体の原料に任意成分の化合物を加えておいてもよい。また、ポリウレタンの重合体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方に任意成分の化合物を分散もしくは溶解させて加えておくこともできる。
【0038】
本発明のポリウレタン弾性繊維の用途は、特に制限されず、種々の用途に使用可能であるが、その弾性特性を生かして、例えば水着等の各種スポーツ用品、衣料品等の用途に極めて有効に利用することができる。
【0039】
本発明によれば、ポリウレタン重合体に1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物を含有させることにより、酸化窒素性ガス、塩素、光に対する変着色防止性に優れる安定性に優れたポリウレタン弾性繊維が得られる。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、本発明の効果を評価する方法として、ポリウレタン弾性繊維の安定性試験を以下のようにして行った。各々の測定方法は次の通りである。
(A)耐Nox試験
22デシテックス(以後dtex)のポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻き付け、JISL0855強試験に準じて、650ppmの酸化窒素ガスで標準染色布の変色が一定に達するまで3回暴露し、暴露前後のYI値をミノルタ分光測色計CM−3500d(ミノルタ株式製)により測色し、その変化(ΔYI)を求めた。
(B)耐塩素試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻きつけ、JISL0884B法に基づいて塩素濃度20ppmの水溶液中で3時間処理した後、同様にΔYIを求めた。また、テンシロン試験機により処理後の強力を測定し、残留強度(cN/dtex)を求めた。
(C)耐光性試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維をアルミ板に巻き付け、スガ試験機製紫外線フェードメーターU48S(温度46℃、湿度50%)で40時間照射し、同様にΔYIを求めた。
(D)染着性試験
22dtexのポリウレタン弾性繊維を一口編し、弾性繊維の筒編地を得た。さらにポリアミド6繊維(東レデュポン、TDN33T、10フィラ)を同様に編み立てて、ポリアミド6繊維筒編地を得た。これらを同浴にて下記条件で染色、フィックス処理を行った。そして、その後、染色した弾性繊維一口編地を脱水後室温で12時間風乾後、一口編3つ折りすなわち生地6枚重ねの状態でミノルタ分光測色計にてK/S値を測定した。
(染色条件)
染料 Nyiosan Red、Nyiosan Blue 2.0%owf
ポリアミド6筒編地重量 6g
弾性繊維筒編地重量 4g
浴比 1:20
温度、時間 95℃×40分
(フィックス条件)
フィックスGM(大日本製薬KK) 4%owf
ポリアミド6筒編地重量 6g
弾性繊維筒編地重量 4g
浴比 1:20
温度、時間 80℃×20分
【0041】
(実施例1)
数平均分子量2000のポリオキシテトラメチレングリコール2000部と4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と表す)500部を窒素ガス気流中で60℃、90分間攪拌しつつ反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを合成し、これにジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と表す)5833部加えて溶解させた。
【0042】
一方、エチレンジアミン54部とジ−n−ブチルアミン12.9部をDMAc1867部に溶解して鎖延長剤及び末端停止剤の混合溶液を調整し、前記プレポリマー溶液に滴下しながら加え、ポリウレタンウレア溶液を得た。得られた重合体溶液中の固形分は、25%で、30℃における粘度は2000ポイズである。
【0043】
この重合体溶液に1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(3−メチレン−3,5,5−トリメチル-1,3−シクロへキシレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−1」とする)25.6部、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジルイソシアヌール酸(以下「化合物B−1」とする)12.8部、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(以下「化合物C−1」とする)12.8部、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル(以下「化合物D−1」とする)3.84部を添加し、2ホールノズルを通して200℃の不活性ガス中に吐出し、脱溶剤、合着後油剤を付与しながら500m/分の速度で巻取り22dtexのポリウレタンウレア弾性繊維を得た。
【0044】
各添加剤の配合をポリウレタン重合体に対する重量%に換算した値として表1に示す。
【0045】
また、耐Nox試験、耐塩素試験、耐光性試験結果を以下に記載の実施例2〜6、比較例1〜6と共に表2に示す。尚、以下に記載の実施例7、8、比較例7、8の結果については表3で示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例2)
実施例1において化合物D−1の代わりに2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル(以下「化合物D−2」とする)を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0050】
(実施例3)
実施例1において化合物B−1の代わりに3,9−ビス−{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(以下「化合物B−2」とする)を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0051】
(実施例4)
実施例1において化合物B−1の代わりに化合物B−2を、化合物C−1の代わりにコハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物(以下「化合物C−2」とする)を使用し、また化合物D−1の代わりに化合物D−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0052】
(実施例5)
実施例1において化合物A−1の代わりに1,1,1’,1’−ジテトラメチレン−4,4’−(2,5(2,6)−ビシクロ[2,2,1]へプチレン−2,5(2,6)−ジメチレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−2」とする)を、化合物C−1の代わりに化合部物C−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0053】
(実施例6)
実施例1において化合物C−1の代わりに化合物C−2を使用する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0054】
(実施例7)
実施例1に酸化マグネシウム(協和化学製3−30、平均粒径0.7μ)(以下「化合物X」とする)を3%添加する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0055】
(実施例8)
実施例1にシクロヘキサン1,4−ジイソシアネートとt−ブチルジエタノールアミンからなる分子量4000のウレタンオリゴマー(以下「化合物Y」とする)を1%添加する他は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0056】
(比較例1〜8)
比較例1 実施例1において、化合物A−1の代わりに1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−3」とする)を使用しその他は実施例1と同様に実験した。
【0057】
比較例2 実施例2において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用しその他は実施例2と同様に実験した。
【0058】
比較例3 実施例3において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用しその他は実施例3と同様に実験した。
【0059】
比較例4 実施例4において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用し、また化合物D−2の代わりに2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(以下「化合物D−3」とする)を使用する他は、実施例4と同様に実験した。
【0060】
比較例5 実施例5において、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジド(以下「化合物A−4」とする)を使用する他は、実施例5と同様に実験した。
【0061】
比較例6 実施例6において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用する他は、実施例6と同様に実験した。
【0062】
比較例7 実施例7において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用し、また化合物D−1の代わりに化合物D−2を使用する他は、実施例7と同様にして実験を行った。
【0063】
比較例8 実施例8において、化合物A−1の代わりに化合物A−3を使用する他は、実施例8と同様にして実験を行った。
【0064】
(実施例9)
窒素ガスでシールした80℃の反応釜にMDI 53.9部を仕込み、化合物A−1、化合物D−2、化合物B−2、及び化合物C−1の混合物(化合物A−1:10%、化合物D−2:20%、化合物B−2:50%、化合物C−1:20%)2.3部を攪拌しながら添加溶解させた。その溶解物にエチレングリコールとプロピレングリコール及びアジピン酸から合成された数平均分子量2,000のポリエステルジオール100部を注入し、1時間攪拌反応させてNCO末端プレポリマーを得た。
【0065】
一方で、窒素ガスでシールした80℃の反応釜にMDI 25部を仕込み、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール100部を注入し、1時間反応させた後、1,4ブタンジオール32部を更に添加し反応させ、OH末端プレポリマーを得た。
【0066】
NCO末端プレポリマーとOH末端プレポリマーを1:0.47の重量比率で、ポリウレタン弾性繊維用円筒形反応機に連続的に供給し、188℃に保った紡糸ヘッドへ供給し1ホールのノズルを通して吐出し、冷却、給油後600m/分の速度で巻取り22dtexのポリウレタン弾性繊維を紡糸した。
【0067】
各添加剤の配合を、ポリウレタン重合体に対する重量%に換算した値として表1に示す。
【0068】
また、この繊維について、耐Nox試験、耐塩素試験、耐光性試験結果を以下に記載の比較例9と共に表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
(比較例9) 実施例9において、化合物A−1を除く他は、実施例9と同様にして実験を行った。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、耐光性、耐NOx性、耐塩素性等が改善された安定化したポリウレタン弾性繊維を提供することができた。
Claims (4)
- 一般式(I)中のXで表される2価の炭化水素基が、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレンとアリーレンを有する基又はアルキレンとシクロアルキレンを有する基であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 一般式(I)で示される1,1,1’,1’−テトラメチレン−4,4’−ジセミカルバジド系化合物をポリウレタン重合体100重量部に対して0.1〜5重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 更に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
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