JP6258374B2 - 透湿防水素材用ポリウレタン樹脂 - Google Patents
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Description
この問題に対し、ポリカーボネート系のポリオールを使用したウレタンは耐摩耗性・耐熱性に優れていることが知られている。(例えば、特許文献3参照)ただし、親水性セグメントを有する透湿性ポリウレタンに適用するにあたり、親水性セグメントとポリカーボネートの相溶性不良が合成や皮膜物性に支障をきたす。このため、耐久性の高い透湿防水布は樹脂層の上に更に布の層を組み合わせる必要があり、風合い・透湿性や快適性が損なわれる。高機能素材の開発にあたり透湿防水素材用ポリウレタン樹脂層自体の耐久性向上が求められている。
ポリエステルポリカーボネートジオール(A12)としては、例えばプラクセル220EC(株式会社ダイセル製)が挙げられる。
高分子ポリオール(A1)における、ポリオキシエチレンジオール(A11)とポリエステルポリカーボネートジオール(A12)の(A1)の重量に対する(A11)の重量割合は好ましくは30〜60重量%である。
ポリエステルジオール(A21)としては、例えばサンエスター4620(三洋化成工業株式会社製)、
ポリカーボネートジオール(A22)としては、例えばデュラノールT5652(旭化成ケミカルズ製)が挙げられる。
高分子ポリオール(A2)における、ポリオキシエチレンジオール(A11)とポリエステルジオール(A21)とポリカーボネートジオール(A22)の(A2)の重量に対する(A11)の重量割合は好ましくは15〜90重量%である。
ポリエステルポリカーボネートジオール(A12)、ポリエステルジオール(A21)及びポリカーボネートジオール(A22)の数平均分子量が500〜20000である。
高分子ポリオール(A)の数平均分子量(以下Mnと記載する。)は引張物性・透湿性の観点から500〜20000が好ましく、さらに2000〜8000が特に好ましい。500未満では風合いが硬く、また透湿性も損なわれ、また、20000を超えると引張物性が不十分である。
また、高分子ポリオール(A)は1種類でも、2種類以上併用してもよい。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する多官能カルボジイミドとしては、有機ジイソシアネート化合物等が3分子以上重合したポリカルボジイミドが挙げられる。
有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物およびこれらの混合物が挙げられる。具体例としては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートであり、特に好ましいものはテトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
多官能カルボジイミドの末端基としては、例えば、イソシアネート基(末端基が封止されていないもの)、アルコキシ基(末端イソシアネート基がエチレングリコールモノメチルエーテルで封止されているもの)、ポリエチレングリコール残基(末端イソシアネート基がポリエチレングリコールで封止されているもの)等が挙げられる。これらの内、耐加水分解安定性及び耐熱性の観点からアルコキシ基(メトキシ基及びエトキシ基等)が好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
<モル比(x)の測定方法>
モル比(x)は1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率から算出する。即ち1H−NMRを測定して、化学シフト2ppm付近のエステル基(a)由来の−CO−O−CH2およびカーボネート基(b)由来の−O−CO−O−CH2水素の合計積分量Iabと化学シフト4ppm付近のエステル基(a)由来の−CH2−CO−O−水素の積分量Iaからエステル基(a)とカーボネート基(b)の合計モル数に対する(a)のモル比(x)=Ia/Iab(モル%)を算出する。
1H−NMRは次の条件で測定する事ができる。
・装置:ブルカー・バイオスピン社製「AVANCEIII400型」
・試料溶液:1%DMSO−d6溶液
・積算回数:16回
<ポリウレタン樹脂の重量に対するオキシエチレン基重量割合の測定方法>
1H−NMRおよび13C−NMRにより定量されるポリオキシエチレンジオール(A11)の重量m11、ポリエステルポリカーボネートジオール(A12)の重量m12、ポリエステルジオール(A21)の重量m21、ポリカーボネートジオール(A22)の重量m22、有機ポリイソシアネート(B)の重量m3からウレタン樹脂全体の重量Mに対するポリオキシエチレンジオール(A11)の重量mを求め、オキシエチレン基(c)の重量割合(y)=m11/M(重量%)を算出する。
ポリオキシエチレンジオール(A11)の重量m11は1H−NMRを測定して、化学シフト3.4ppm付近の積分比から算出する。
ポリエステルジオール(A21)の重量m21、ポリカーボネートジオール(A22)の重量m22は1H−NMRを測定して、化学シフト0.5〜4.5ppm付近の積分比およびピーク位置、13C−NMRを測定して、化学シフト0〜80・160〜200ppm付近のピーク位置から高分子ポリオールの種類を同定し、重量比を算出する。
有機ポリイソシアネート(B)の重量m3は1H−NMRを測定して、脂肪族イソシアネートを使用した場合は化学シフト0.5〜4.5ppm付近の積分比およびピーク位置、芳香族イソシアネートを使用した場合は化学シフト0.5〜4.5・7〜10ppm付近の積分比およびピーク位置、また13C−NMRを測定して、脂肪族イソシアネートを使用した場合は化学シフト0〜50ppm付近の積分比およびピーク位置、芳香族イソシアネートを使用した場合は化学シフト0〜20・100〜140ppm付近の積分比およびピーク位置から高分子ポリオールの種類を同定し、重量比を算出する。
・装置:ブルカー・バイオスピン社製「AVANCEIII400型」
・試料溶液:1%DMSO−d6溶液
・積算回数:1024回
<ウレタン基濃度及びウレア基濃度の測定方法>
ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度及びウレア基濃度は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量される窒素原子含有量と1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率から算出する。1H−NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行う。即ち1H−NMRを測定して、脂肪族イソシアネートを使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、当該重量比と上記の窒素原子含有量からウレタン基濃度及びウレア基濃度を算出する。芳香族イソシアネートを使用した場合、化学シフト8ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト9ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を算出し、当該重量比と上記の窒素原子含量からウレタン基濃度及びウレア基濃度を算出する。
窒素分析は化学発光法で測定することが出来る。
測定条件
・燃焼温度:900℃
・測定装置:Antek社製「Antek7000」
撹拌装置、温度制御装置付きの反応容器に、高分子ポリオール(A)としてのポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製「PEG6000S」;Mn8,300、水酸基価13.5)30部及びポリエステルポリカーボネート(株式会社ダイセル製「プラクセル220EC」;Mn2,000、水酸基価56.1)170部、鎖伸長剤としてのエチレングリコール17部、有機溶剤としてのDMF556部およびMEK139部、有機ポリイソシアネート成分(B)としてのジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製)83部を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、65±3℃で10時間反応させた。続いて反応停止剤としての1−ブタノール5部を滴下した後さらに1時間反応させ、ポリウレタン樹脂(C−1)の30%DMF/MEK溶液を得た。
仕込み原料を表1に記載のものに代える以外は実施例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(C−2)〜(C−10)溶液を得た。
ポリウレタン樹脂(C−1)の30%DMF/MEK溶液に1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン重縮合物(カルボジイミド当量200)を表1に記載の部数添加してポリウレタン樹脂組成物(C−11)〜(C−14)溶液を得た。
撹拌装置、温度制御装置付きの反応容器に、高分子ポリオール(A)としてのポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製「PEG6000S」;Mn8,300、水酸基価13.5)15部及びポリカーボネート(旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノールT5652」;Mn2,000、水酸基価56.1)185部、鎖伸長剤としてのエチレングリコール17部、有機溶剤としてのDMF556部およびMEK139部、有機ポリイソシアネート成分(B)としてのジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製)83部を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、65±3℃で10時間反応させた。続いて反応停止剤としての1−ブタノール5部を滴下した後さらに1時間反応させ、ポリウレタン樹脂(C'−1)の30%DMF/MEK溶液を得た。
仕込み原料を表2に記載のものに代える以外は比較例1と同様にして、ポリウレタン樹脂(C'−2)〜(C'−6)溶液を得た。
ポリウレタン樹脂溶液又はポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に33μmの厚みに塗布し、120℃の循風乾燥機で2分間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより、厚さが10μmの透湿度測定用フィルムを作製した。得られた透湿度測定用のフィルムを、JIS L−1099−1998塩化カルシウム法(A−1)および酢酸カリウム法(B−1)に基づいて、透湿度を測定した。
透湿度は10,000以上を評価良好とする。
上記透湿度測定用のフィルムと同様にして作製した試験片について、JIS L1092−1998高耐水圧法に準じて、耐水圧を測定した。水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(密度:縦糸+横糸=210本/2.54cm相当)を重ねた後に、試験機に取り付けて測定した。耐水圧は20,000以上を評価良好とする。
ポリウレタン樹脂溶液又はポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に660μmの厚みに塗布し、60℃の循風乾燥機で3時間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより、厚さが200μmの試験片を作成した。学振型摩擦試験機(大栄科学精器製作所)を用いて、荷重200gで200往復摩耗し、水洗し乾燥したのち、外観判定した。外観判定は、次の基準で評価した。
◎傷がほとんど見られない
○傷がみられるものの、ある程度の透過性はある
×透過性が著しく低下する程度に傷がついている。
上記耐摩耗性測定用のフィルムと同様にして作製した試験片について、温度25℃、湿度65%R.H.に調整した室内に一日間静置した後、25℃の雰囲気下でインストロン型引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ)を用いて50cm/分の引張速度で破断したときのジャングル試験前の破断強度p(MPa)を測定した。試験片を温度70℃、湿度95%R.H.に調整した恒温恒湿槽(楠本化成株式会社製恒温恒湿槽)内に21日間静置した後、同様にジャングル試験後の破断強度q(MPa)を測定した。下式からジャングル試験後の破断強度保持率(%)を算出した。
ジャングル試験後の破断強度保持率(%)=100×(q/p)
破断強度保持率は50以上を評価良好とする。
・PEG6000S:Mn=8,300のポリエチレングリコール(水酸基価13.5)[三洋化成工業(株) 製]
・プラクセル220EC:オリゴカーボネートジオールとポリエステルポリオールのエステル交換により得られるMn=2,000のポリエステルポリカーボネート(水酸基価56.1)[(株)ダイセル製]
・デュラノールT5652:1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから得られるMn=2,000のポリカーボネート(水酸基価56.1)[旭化成ケミカルズ(株)製]
・サンエスター4620:アジピン酸と1,4−ブタンジオールから得られるMn=2,000のポリエステル(水酸基価56.1)[三洋化成工業(株)製]
上記評価は、透湿防水性能は透湿度が10000g/m2・24h以上、耐水圧が20000mmH2O以上が良好である。また、耐久性については耐摩耗性が○もしくは◎、ジャングル試験後の破断強度保持率が40%以上であることが良好である。
Claims (5)
- ポリオキシエチレンジオール(A11)とポリエステルポリカーボネートジオール(A12)の混合物である高分子ポリオール(A1)、及び/又はポリオキシエチレンジオール(A11)とポリエステルジオール(A21)とポリカーボネートジオール(A22)の混合物である高分子ポリオール(A2)である高分子ポリオール(A)並びに有機ポリイソシアネート(B)を構成単量体とするポリウレタン樹脂(C)であって、(A12)及び(A21)中の一般式(1)で表されるエステル基(a)と(A12)及び(A22)中の一般式(2)で表されるカーボネート基(b)の合計モル数に対する(a)のモル数が25〜75モル%であり、かつポリウレタン樹脂(C)の重量に対してオキシエチレン基(c)を10〜60重量%の割合で含有し、かつポリウレタン樹脂(C)の重量に対して一般式(3)で表されるウレタン基を11〜20重量%の割合で含有し、かつ(A11)の数平均分子量が500〜20000である透湿防水素材用ポリウレタン樹脂(C)。
- ポリエステルポリカーボネートジオール(A12)、ポリエステルジオール(A21)及びポリカーボネートジオール(A22)の数平均分子量が500〜20000である請求項1に記載のポリウレタン樹脂(C)。
- 1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する多官能カルボジイミド(D)と請求項1又は2に記載の透湿防水素材用ポリウレタン樹脂(C)を含有する透湿防水素材用ポリウレタン樹脂組成物。
- ポリウレタン樹脂(C)中のエステル基(a)1モルに対する、多官能カルボジイミド(D)中のカルボジイミド基のモル数が0.03〜0.15である請求項3に記載の透湿防水素材用ポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1若しくは2に記載の透湿防水素材用ポリウレタン樹脂(C)又は請求項3若しくは4に記載の透湿防水素材用ポリウレタン樹脂組成物を含有する透湿防水素材。
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