JP2020023653A - ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れると共に、ブロッキング防止剤のブリードアウトが大幅に低減され、耐ブロッキング性と透湿性の両立が可能なポリウレタンフィルムが得られるポリウレタン樹脂組成物を提供する。【解決手段】ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有するポリウレタン樹脂組成物であって、(X)がウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)又はエステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)と、炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)及び/又は1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)とを有し、(U)がブロック(b1)及び(b2)のいずれをも有さず、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有するポリウレタン樹脂であるポリウレタン樹脂組成物(W)。【選択図】なし
Description
本発明は、耐ブロッキング性、耐摩耗性及び透湿性に優れるポリウレタン樹脂組成物に関する。
従来、ポリウレタン樹脂はその優れた機械的強度及び伸縮特性から広範囲の用途に使用されており、アウトドア用ウェア、スポーツ用ウェア及び靴等に用いられる透湿防水素材用のフィルムやシートとしてもポリウレタン樹脂が用いられて来た。
一般に、透湿防水布に使用されるポリウレタン樹脂フィルムは柔軟性が高い樹脂設計がなされており、重ね合わせるとフィルムの粘着性からフィルム同士が密着(ブロッキング)して剥がれ難くなるため、ブロッキング防止剤が配合される。
ブロッキング防止剤としては脂肪酸アミドが広く知られており、特許文献1には脂肪酸アミドを含むポリウレタン等のポリマーシートが提案されている。しかし、特許文献1に記載のポリウレタンシートは、耐ブロッキング性は向上するものの、脂肪酸アミドがポリマーシートの表面にブリードアウトし、また、表面に疎水基が均一に配向する為、少量の添加でも透湿性が著しく低下するという問題がある。
ブロッキング防止剤としては脂肪酸アミドが広く知られており、特許文献1には脂肪酸アミドを含むポリウレタン等のポリマーシートが提案されている。しかし、特許文献1に記載のポリウレタンシートは、耐ブロッキング性は向上するものの、脂肪酸アミドがポリマーシートの表面にブリードアウトし、また、表面に疎水基が均一に配向する為、少量の添加でも透湿性が著しく低下するという問題がある。
また、透湿防水性を有する合成皮革様シートとしてポリウレタン樹脂の湿式製膜フィルムのような微多孔質シートを利用するもの(例えば、特許文献2参照)等がよく知られている。しかしながら、従来の多孔質のシートでは、汗、汚れ等で目詰まりして透湿性が低下するという問題やシートの耐摩耗性が十分でないという問題がある。
本発明の目的は、耐摩耗性に優れると共に、ブロッキング防止剤のブリードアウトが大幅に低減され、耐ブロッキング性と透湿性の両立が可能なポリウレタンフィルムが得られるポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明は、ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有するポリウレタン樹脂組成物であって、前記ブロックポリマー(X)がウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)又はエステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)と、炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)及び/又は1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)とを有し、前記ポリウレタン樹脂(U)が前記ブロック(b1)及び(b2)のいずれをも有さず、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有するポリウレタン樹脂であるポリウレタン樹脂組成物(W)である。
本発明のポリウレタン樹脂組成物により、耐摩耗性に優れると共に、ブロッキング防止剤のブリードアウトが大幅に低減されることからブリードアウトによる汚染が少なく、耐ブロッキング性と透湿性の両立が可能なポリウレタンフィルムが得られる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)は、ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有する。
本発明におけるブロックポリマー(X)は、ウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)又はエステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)と、炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)及び/又は1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)とを有する。
[ウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)]
ウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)を構成するポリエステル樹脂としては、縮合型ポリエステル樹脂、ポリラクトンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられ、縮合型ポリエステル樹脂は末端に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する。
ウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)を構成するポリエステル樹脂としては、縮合型ポリエステル樹脂、ポリラクトンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられ、縮合型ポリエステル樹脂は末端に水酸基及び/又はカルボキシル基を有する。
縮合型ポリエステル樹脂としては、数平均分子量(以下、Mnと略記)又は化学式量が500未満のポリオール(c1)と炭素数2〜20のポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級(炭素数1〜4)アルキルエステル及び酸ハライド等]との縮合により得られるもの等が挙げられる。
尚、本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
Mn又は化学式量が500未満のポリオール(c1)としては、炭素数2〜20の多価アルコール;炭素数2〜20の多価アルコールの炭素数2〜12のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物であってMn又は化学式量が500未満のもの;ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)の炭素数2〜12のAO付加物であってMn又は化学式量が500未満のもの;ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその炭素数2〜12のAO付加物であってMn又は化学式量が500未満のもの;カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン性基を有するジオール等が挙げられる。Mn又は化学式量が500未満のポリオールは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明における炭素数2〜12のAOとしては、エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−,1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド及びエピクロルヒドリン等が挙げられる。
炭素数2〜20の多価アルコールとしては、炭素数2〜12の直鎖又は分岐の脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール等の直鎖アルコール;1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール及び4−メチルオクタンジオール等の分岐アルコール等];炭素数6〜20の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[m−又はp−キシリレンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及びビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等];炭素数3〜20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等];炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等);糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)];等が挙げられる。
カルボン酸(塩)基を有するジオールとしては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
スルホン酸(塩)基を有するジオールとしては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
スルファミン酸(塩)基を有するジオールとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
リン酸(塩)基を有するジオールとしては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
イオン性基を有するジオールの内、ウレタン樹脂との相溶性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール及びスルホン酸(塩)基を有するジオールである。
Mn又は化学式量が500未満のポリオール(c1)の内、ポリウレタン樹脂(U)との親和性及び得られるウレタンフィルムの柔軟性の観点から好ましいのは脂肪族ジオールであり、更に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコール、特に好ましいのはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールである。
炭素数2〜20のポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。
炭素数2〜20のポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の内でポリウレタン樹脂(U)との親和性及び得られるウレタンフィルムの柔軟性の観点好ましいのは、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、そのエステル形成性誘導体及びこれらと芳香族ジカルボンとの併用、更に好ましいのは直鎖型の脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体である。脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸を併用する場合、芳香族ジカルボン酸の使用量はカルボン酸の総モル数に基づいて20モル%以下が好ましい。炭素数2〜20のポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
Mnが500以上のポリラクトンポリオールとしては、上記炭素数2〜20の多価アルコールを開始剤として炭素数3〜12のラクトンモノマー(β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、η−カプリロラクトン、11−ウンデカノラクトン及び12−トリデカノイド等)を開環重合させたもの等が挙げられる。ラクトンモノマーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールとしては、上記炭素数2〜20の多価アルコール(好ましくは炭素数3〜9、更に好ましくは炭素数4〜6の脂肪族2価アルコール)の1種又は2種以上(好ましくは2〜4種)と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ブロック(a1)を構成するポリエステル樹脂としてポリウレタン樹脂(U)との親和性及び得られるウレタンフィルムの柔軟性の観点から好ましいのは縮合型ポリエステル樹脂であり、更に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコールと炭素数2〜20のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とを構成単量体とするものである。
[ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)]
ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)を構成するポリエステル樹脂としては、ポリエステルポリオール[上記ブロック(a1)で例示した縮合型ポリエステル樹脂で末端に水酸基を有するもの(縮合型ポリエステルポリオール)、ポリラクトンポリオール及び/又はポリカーボネートポリオール]と有機ポリイソシアネート(d)とを必須構成単量体とし、鎖伸長剤(e)及び反応停止剤(f)を任意の構成単量体とし、末端に水酸基、イソシアネート基又はアミノ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)を構成するポリエステル樹脂としては、ポリエステルポリオール[上記ブロック(a1)で例示した縮合型ポリエステル樹脂で末端に水酸基を有するもの(縮合型ポリエステルポリオール)、ポリラクトンポリオール及び/又はポリカーボネートポリオール]と有機ポリイソシアネート(d)とを必須構成単量体とし、鎖伸長剤(e)及び反応停止剤(f)を任意の構成単量体とし、末端に水酸基、イソシアネート基又はアミノ基を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。
ウレタン結合を有するポリエステル樹脂には、上記縮合型ポリエステルポリオール等と有機ポリイソシアネート(d)とを繰り返し単位としてそれぞれ複数有するものが含まれ、また、上記縮合型ポリエステルポリオール等の一つを有機ポリイソシアネート(d)でブロック(b1)及び/又は(b2)とジョイントしたものも含まれる。
使用する構成単量体の種類と使用量を調整することにより、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂が有する末端の官能基を所望のものにすることができる。
使用する構成単量体の種類と使用量を調整することにより、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂が有する末端の官能基を所望のものにすることができる。
有機ポリイソシアネート(d)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(d1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(d2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(d3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(d4)及びこれらの有機ポリイソシアネートの変性物(d5)等が挙げられる。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(d1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(d2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(d3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(d4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
(d1)〜(d4)の有機ポリイソシアネートの変性物(d5)としては、前記ポリイソシアネートのウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物[例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI]が挙げられる。
これらの中でウレタンフィルムの耐ブロッキング性の観点から好ましいのは、芳香族ポリイソシアネートであり、更に好ましいのは、TDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物であり、特に好ましいのは、MDIである。有機ポリイソシアネート(d)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
鎖伸長剤(e)としては、水、上記Mn又は化学式量が500未満のポリオール(c1)及びMn又は化学式量が500未満のポリアミン化合物等が挙げられる。
Mn又は化学式量が500未満のポリアミン化合物としては、炭素数2〜36の脂肪族ポリアミン[エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチエレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等のポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン等]、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、4,4’−又は2,4’−メチレンビスアニリン等)、炭素数8〜20の芳香脂肪族ポリアミン[1,3−又は1,4−キシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼン及びビス(アミノブチル)ベンゼン等]、炭素数3〜20の複素環式ポリアミン[2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、ピペラジン及びN−(2−アミノエチル)ピペラジン等]、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及び炭素数2〜20のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
反応停止剤(f)としては、炭素数1〜15のモノアルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール及びミリスチルアルコール等)、炭素数1〜15のモノアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
尚、反応停止剤(f)を使用する場合、ブロック(a2)とブロック(b1)及び/又はブロック(b2)とを結合させるために、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂の少なくとも1つの末端を(f)で封止しないことが必要である。
尚、反応停止剤(f)を使用する場合、ブロック(a2)とブロック(b1)及び/又はブロック(b2)とを結合させるために、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂の少なくとも1つの末端を(f)で封止しないことが必要である。
[エステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)]
エステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)を構成するポリウレタン樹脂としては、活性水素成分と上記有機ポリイソシアネート(d)とを構成単量体とする末端に水酸基、イソシアネート基又はアミノ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
使用する構成単量体の種類と使用量を調整することにより、ポリウレタン樹脂が有する末端の官能基を所望のものにすることができる。
エステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)を構成するポリウレタン樹脂としては、活性水素成分と上記有機ポリイソシアネート(d)とを構成単量体とする末端に水酸基、イソシアネート基又はアミノ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
使用する構成単量体の種類と使用量を調整することにより、ポリウレタン樹脂が有する末端の官能基を所望のものにすることができる。
活性水素成分としては、Mnが500以上の高分子ポリオール(c2)、上記鎖伸長剤(e)及び上記反応停止剤(f)等が挙げられる。ブロック(a3)を構成するポリウレタン樹脂においては、これらの活性水素成分にエステル結合を有する化合物は含まれない。尚、高分子ポリオール(c2)にポリエステルポリオールを用いたものは、上記ブロック(a2)を構成するウレタン結合を有するポリエステル樹脂に含まれる。
Mnが500以上の高分子ポリオール(c2)の内、エステル結合を有しないものとしては、上記Mn又は化学式量が500未満のポリオール(c1)に上記炭素数2〜12のAOを付加させたポリエーテルポリオール等が挙げられる。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型等)でもランダム付加でもこれらの併用系でもよい。
Mn又は化学式量が500未満のポリオール(c1)へのAOの付加は、例えば無触媒で又は触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒等)の存在下(特にAO付加の後半の段階で)に常圧又は加圧下に1段階又は多段階で行なわれる。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレング)グリコール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシ−3−メチルテトラメチレン)グリコール、テトラヒドロフラン/エチレンオキサイド共重合ジオール及びテトラヒドロフラン/3−メチルテトラヒドロフラン共重合ジオール等が挙げられる。
これらの内、得られるウレタンフィルムの柔軟性の観点から好ましいのはポリ(オキシテトラメチレン)グリコールである。
これらの内、得られるウレタンフィルムの柔軟性の観点から好ましいのはポリ(オキシテトラメチレン)グリコールである。
ポリウレタン樹脂に反応停止剤(f)を使用する場合、ブロック(a3)とブロック(b1)及び/又はブロック(b2)とを結合させるために、ポリウレタン樹脂の少なくとも1つの末端を(f)で封止しないことが必要である。
[炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)]
炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)を形成するために用いる原料としては、炭素数16〜44のモノオール及び炭素数16〜44(カルボキシル基の炭素を除く)のモノカルボン酸等が挙げられる。
炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)を形成するために用いる原料としては、炭素数16〜44のモノオール及び炭素数16〜44(カルボキシル基の炭素を除く)のモノカルボン酸等が挙げられる。
炭素数16〜44のモノオールとして、耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点から好ましいのは炭素数18〜44のアルキルモノアルコール、更に好ましいのは炭素数18〜42のアルキルモノアルコール、特に好ましいのはセチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ベヘニルアルコール及びテトラコサノールである。
炭素数16〜44のモノカルボン酸として、耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点から好ましいのはアルキルモノカルボン酸、更に好ましいのは炭素数18〜42のアルキルモノカルボン酸、特に好ましいのはステアリン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸及びトリコサン酸である。
尚、本発明におけるモノカルボン酸の炭素数は、カルボキシル基の炭素を除いた炭素数である。
尚、本発明におけるモノカルボン酸の炭素数は、カルボキシル基の炭素を除いた炭素数である。
[1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)]
1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)における1価のポリオルガノシロキサン基は、一般式(1)で表される基であることが好ましい。
1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)における1価のポリオルガノシロキサン基は、一般式(1)で表される基であることが好ましい。
一般式(1)におけるR1は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2〜R7はそれぞれ独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは1〜100の整数である。
耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点から一般式(1)で表される基のケイ素含量は高い方が望ましいことから、R1は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R2〜R7は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点から一般式(1)で表される基のケイ素含量は高い方が望ましいことから、R1は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R2〜R7は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
ブロック(b2)を形成するための原料としては、一般式(1)で表される基に水酸基を有する炭素数1〜12の炭化水素基が結合したモノオール及び一般式(1)で表される基にエポキシ基を有する炭素数1〜12の炭化水素基が結合したモノエポキサイド等が挙げられる。
一般式(1)で表される基に水酸基を有する炭素数1〜12の炭化水素基が結合したモノオールは、有機アルカリ金属化合物を開始剤として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサンをアニオン重合し、片末端がアルカリ金属シラノレートであるポリシロキサン(いわゆるリビングポリマー)を得て、これと水酸基を有するアルキルクロロシラン化合物とを反応させて片末端に水酸基を導入する方法や、有機アルカリ金属化合物を開始剤として環状ポリシロキサンをアニオン重合し、片末端がアルカリ金属シラノレートであるポリシロキサン(いわゆるリビングポリマー)を得て、これとジアルキルクロロシラン化合物とを反応させて片末端SiH基含有ポリシロキサンを製造し、アリルアルコール等の分子末端に二重結合を1つ有するアルコールを白金系触媒によって反応させる方法等により得ることができる。
また、一般式(1)で表される基にエポキシ基を有する炭素数1〜12の炭化水素基が結合したモノエポキサイドは、有機アルカリ金属化合物を開始剤として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサンをアニオン重合し、片末端がアルカリ金属シラノレートであるポリシロキサン(いわゆるリビングポリマー)を得て、これとエポキシ基を有するアルキルクロロシラン化合物とを反応させて片末端にエポキシ基を導入する方法等により得ることができる。
また、一般式(1)で表される基にエポキシ基を有する炭素数1〜12の炭化水素基が結合したモノエポキサイドは、有機アルカリ金属化合物を開始剤として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサンをアニオン重合し、片末端がアルカリ金属シラノレートであるポリシロキサン(いわゆるリビングポリマー)を得て、これとエポキシ基を有するアルキルクロロシラン化合物とを反応させて片末端にエポキシ基を導入する方法等により得ることができる。
[ブロックポリマー(X)]
ブロックポリマー(X)は、同一分子内にブロック(a1)〜(a3)のいずれかのブロックとブロック(b1)及び/又は(b2)とが、エステル結合、ウレタン結合及び/又はアミド結合を介して化学結合されている。
化学結合は、ウレタンフィルムの柔軟性の観点からエステル結合及びウレタン結合であることが好ましい。
ブロックポリマー(X)は、同一分子内にブロック(a1)〜(a3)のいずれかのブロックとブロック(b1)及び/又は(b2)とが、エステル結合、ウレタン結合及び/又はアミド結合を介して化学結合されている。
化学結合は、ウレタンフィルムの柔軟性の観点からエステル結合及びウレタン結合であることが好ましい。
上述の通り、ブロック(a1)の原料は末端官能基として水酸基及び/又はカルボキシル基を有し、ブロック(a2)及び(a3)の原料は水酸基、イソシアネート基又はアミノ基を有する。一方、ブロック(b1)の原料の内、モノオールは水酸基をモノカルボン酸はカルボキシル基を有し、ブロック(b2)の原料の内、モノオールは水酸基をモノエポキサイドはエポキシ基を有する。従って、ブロック(a1)〜(a3)のいずれかのブロックとブロック(b1)〜(b2)のブロック間の結合はそれぞれのブロックに使用する原料を選択することにより、エステル結合、ウレタン結合及びアミド結合の内の任意の結合とすることができ、例えば、一方の末端官能基がカルボキシル基で他方が水酸基又はエポキシ基であればエステル結合が、一方が水酸基で他方がイソシアネート基であればウレタン結合が、一方がアミノ基で他方がカルボキシル基であればアミド結合が形成される。
ブロック(a1)〜(a3)に用いる原料は末端官能基(反応性基)を2個以上有し、ブロック(b1)〜(b2)に用いる原料は末端官能基(反応性基)を1個有することから、ブロック(a1)〜(a3)に用いる原料1モルに対してブロック(b1)〜(b2)に用いる原料1モルを反応させることにより、ブロックポリマー(X)はジブロック構造となる。また、ブロック(a1)〜(a3)に用いる原料1モルに対してブロック(b1)〜(b2)に用いる原料を2モル以上反応させることにより、ブロックポリマー(X)はマルチブロック構造となる。マルチブロック構造の際のブロック(b1)〜(b2)に用いる原料は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
ブロックポリマー(X)の重量平均分子量(以下、Mwと略記)は、耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点から、1,000〜150,000が好ましく、更に好ましくは2,000〜120,000、特に好ましくは2,500〜100,000、最も好ましくは3,000〜10,000である。
尚、ブロックポリマー(X)のMwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定することができる。
装置:東ソー(株)製 HLC−8120
カラム:TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μL
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
尚、ブロックポリマー(X)のMwは、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定することができる。
装置:東ソー(株)製 HLC−8120
カラム:TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μL
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
ブロックポリマー(X)は、上述のブロック(a1)〜(a3)の原料とブロック(b1)〜(b2)の原料とを常法によりエステル化反応、ウレタン化反応又はアミド化反応させて得られる。
また、各ブロックの原料を反応させる以外に、一方の原料を製造する際に他方の原料を共存させて一括して反応させて製造することもできる。例えば、ポリオールとポリカルボン酸を脱水縮合させてブロック(a1)を構成する縮合型ポリエステル樹脂を製造する際に、ブロック(b1)の原料である炭素数16〜44のモノオール又はモノカルボン酸を共存させて脱水縮合することによりブロック(a1)とブロック(b1)を有するブロックポリマーを製造することができる。
また、各ブロックの原料を反応させる以外に、一方の原料を製造する際に他方の原料を共存させて一括して反応させて製造することもできる。例えば、ポリオールとポリカルボン酸を脱水縮合させてブロック(a1)を構成する縮合型ポリエステル樹脂を製造する際に、ブロック(b1)の原料である炭素数16〜44のモノオール又はモノカルボン酸を共存させて脱水縮合することによりブロック(a1)とブロック(b1)を有するブロックポリマーを製造することができる。
[ポリウレタン樹脂組成物(W)]
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)は、上記ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有する。
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)は、上記ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有する。
ポリウレタン樹脂(W)に用いられるポリウレタン樹脂(U)は、活性水素成分と有機ポリイソシアネートとを構成単量体とするポリウレタン樹脂であって、上記ブロック(b1)及び(b2)のいずれをも有さず、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有するポリウレタン樹脂である。
ポリウレタン樹脂(U)に用いられる活性水素成分としては、上記Mnが500以上の高分子ポリオール(c2)、上記鎖伸長剤(e)及び上記反応停止剤(f)等が挙げられ、これらの活性水素成分はエステル結合を有していてもよい。従って、ポリウレタン樹脂(U)に用いられる高分子ポリオール(c2)としては、上述の縮合型ポリエステル樹脂、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオール等が使用できる。活性水素成分のそれぞれの成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂(U)は透湿性の観点から、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有する必要があるが、このポリオキシエチレン基は高分子ポリオールに由来することが好ましい。従って、高分子ポリオール(c2)としてポリ(オキシエチレン)グリコール及び/又は上記炭素数2〜20の多価アルコールの内の2価アルコールのエチレンオキサイドと他のAOの重付加物を用いることが好ましく、ポリ(オキシエチレン)グリコール及び/又はプロピレングリコール若しくはエチレングリコールへのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物を用いることが更に好ましく、ポリ(オキシエチレン)グリコールを用いることが特に好ましい。また、プロピレングリコール又はエチレングリコールへのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物はランダム付加物であることが好ましい。
Mnが500以上の高分子ポリオール(c2)のMnは、ウレタンフィルムの柔軟性及び耐摩耗性の観点から、好ましくは500〜10,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
ポリウレタン樹脂(U)に用いられる有機ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネート(d)と同様のものが挙げられ、ポリウレタンフィルムの耐摩耗性及び強度の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、更に好ましいのはTDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物、特に好ましいのはMDIである。
ポリウレタン樹脂(U)は透湿性及び柔軟性の観点から、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有する必要があり、このポリオキシエチレン基含有量は同様の観点から好ましくは30〜60重量%、更に好ましくは40〜58重量%である。
ポリウレタン樹脂(U)のMwは、引張強度の観点から、好ましくは50,000〜1,000,000、更に好ましくは100,000〜500,000である。
尚、ポリウレタン樹脂(U)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」+「TSKgel α−M」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
尚、ポリウレタン樹脂(U)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」+「TSKgel α−M」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
ポリウレタン樹脂(U)のウレタン基含有量は、得られるウレタンフィルムの耐摩耗性及び風合いの観点から(U)の重量に基づいて、好ましくは13〜20重量%、更に好ましくは15〜18重量%である。
ポリウレタン樹脂(U)の製造方法は特に限定されず、公知の方法等で製造できる。例えば、活性水素成分、有機ポリイソシアネート(d)並びに必要により有機溶剤及び添加剤を一括して仕込んで反応させてもよいし、高分子ポリオール(c2)と有機ポリイソシアネート(d)とを反応させてイソシアネート基末端のプレポリマーを得た後、鎖伸長剤(e)により伸長反応を行い、必要により反応停止剤(f)により停止反応を行うこともできる。更に、反応装置としてニーダー等を用いることにより、上記反応を無溶剤下で行うこともできるが、ブロックポリマー(X)をポリウレタン樹脂(U)に混合する容易さから有機溶剤を用いた製造方法が好ましい。
本発明における有機溶剤としては、炭素数3〜10のケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜10のエステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトン等)、炭素数4〜10のエーテル溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ及びジエチレングリコールジメチルエーテル等)、炭素数3〜10のアミド溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム等)、炭素数2〜10のスルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等)、炭素数1〜8のアルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びオクタノール等)及び炭素数4〜10の炭化水素溶剤(シクロヘキサン、トルエン及びキシレン等)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂組成物(W)は、ブロックポリマー(X)及びポリウレタン樹脂(U)を必須成分として含有するが、必要により上記有機溶剤、安定剤、顔料及びその他の添加剤(融着防止剤及び難燃剤等)を含有することができる。
安定剤としては特に限定されず公知の酸化防止剤及び紫外線吸収剤を使用することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。
顔料としては特に限定されず、公知の有機顔料及び無機顔料を使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料及びキナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としてはクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末及びカーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料及びキナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としてはクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末及びカーボンブラック等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂組成物(W)におけるブロックポリマー(X)の使用量は、耐ブロッキング性及び耐摩耗性の観点からポリウレタン樹脂(U)の重量を基準として、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%である。
安定剤の使用量は、ポリウレタン樹脂組成物(W)の重量に基づいて好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。
顔料の使用量は、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。
安定剤の使用量は、ポリウレタン樹脂組成物(W)の重量に基づいて好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。
顔料の使用量は、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。
ポリウレタン樹脂組成物(W)の製造方法としては、ブロックポリマー(X)及びポリウレタン樹脂(U)は任意の順序で混合することで行うが、ブロックポリマー(X)を均一にポリウレタン樹脂(U)に溶解又は分散させるため、ポリウレタン樹脂(U)を予め有機溶剤溶液とし、そこにブロックポリマー(X)を混合した後、加熱、混合処理を行うことが好ましい。
顔料、安定剤及びその他の添加剤は、ブロックポリマー(X)又はウレタン樹脂(U)の製造時の任意の段階で添加することでき、製造後にブロックポリマー(X)及びウレタン樹脂(U)の混合時や(W)を用いてウレタンフィルムを製造する際に任意の段階で添加してもよい。
顔料、安定剤及びその他の添加剤は、ブロックポリマー(X)又はウレタン樹脂(U)の製造時の任意の段階で添加することでき、製造後にブロックポリマー(X)及びウレタン樹脂(U)の混合時や(W)を用いてウレタンフィルムを製造する際に任意の段階で添加してもよい。
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)は、繊維質基材の少なくとも片面にポリウレタン樹脂の層を設けてなる複合材料である透湿防水素材のポリウレタン樹脂層に好適に用いられる。
繊維質基材のベース素材としては、綿、麻及びレーヨン等のセルロース系繊維並びにポリエステル、ポリアミド及びポリオレフィン等の合成繊維のいかなるものであってもよい。また、繊維質基材の形態としては、織物、編物及び不織布等のすべての組織のものが使用できるが、好ましくは織物及び編物である。
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)を用いた透湿防水素材の製造方法としては、特開2007−211239に記載の乾式ラミネート法による透湿性防水布帛の製造方法等が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物(W)を用いた透湿防水素材の製造方法としては、特開2007−211239に記載の乾式ラミネート法による透湿性防水布帛の製造方法等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
製造例1〔ブロックポリマー(X−1)の製造〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール498部、ベヘニルアルコール168部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−1)を得た。回収されたエチレングリコールは190部で、(X−1)のMwは7,500であった。(X−1)はブロック(a1)とブロック(b1)とを有する。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール498部、ベヘニルアルコール168部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−1)を得た。回収されたエチレングリコールは190部で、(X−1)のMwは7,500であった。(X−1)はブロック(a1)とブロック(b1)とを有する。
製造例2〔ブロックポリマー(X−2)の製造〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸698部、エチレングリコール498部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ(回収されたエチレングリコールは190部)、酸価が0.5以下になった時点で80℃に冷却し、次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート50部を仕込んで95℃に昇温した後10時間反応させ、イソシアネート基を末端に有するポリエステル樹脂を得た後、ベヘニルアルコール70部を仕込み、更に10時間反応させた後、取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−2)を得た。(X−2)のMwは8,200であった。(X−2)はブロック(a2)とブロック(b1)とを有する。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸698部、エチレングリコール498部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ(回収されたエチレングリコールは190部)、酸価が0.5以下になった時点で80℃に冷却し、次いで、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート50部を仕込んで95℃に昇温した後10時間反応させ、イソシアネート基を末端に有するポリエステル樹脂を得た後、ベヘニルアルコール70部を仕込み、更に10時間反応させた後、取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−2)を得た。(X−2)のMwは8,200であった。(X−2)はブロック(a2)とブロック(b1)とを有する。
製造例3〔ブロックポリマー(X−3)の製造〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、Mn2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)1,000部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート200部を加えた後、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)2950部を添加し、80℃で10時間反応させてイソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂を得た。そこにベヘニルアルコール65部を仕込み、更に10時間反応させた後、イソシアネート基が消失したことを確認して、室温に冷却してブロックポリマー(X−3)の30%DMF溶液を得た。(X−3)のMwは9,500であった。(X−3)はブロック(a3)とブロック(b1)とを有する。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、Mn2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)1,000部及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート200部を加えた後、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)2950部を添加し、80℃で10時間反応させてイソシアネート基を末端に有するポリウレタン樹脂を得た。そこにベヘニルアルコール65部を仕込み、更に10時間反応させた後、イソシアネート基が消失したことを確認して、室温に冷却してブロックポリマー(X−3)の30%DMF溶液を得た。(X−3)のMwは9,500であった。(X−3)はブロック(a3)とブロック(b1)とを有する。
製造例4〔ブロックポリマー(X−4)の製造〕
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応容器に、ブチルリチウムを触媒として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをアニオン重合して更にジメチルクロロシランを反応させて得られた片末端がブチル基で封鎖されもう一方の末端にSiH基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(Mn=400)100部と、アリルアルコール72部中に酸化白金0.3部を懸濁させた懸濁液とを仕込み、105℃で16時間撹拌下で反応させた。室温まで冷却した後、反応混合物をメンブレンフィルタ(ポリテトラフルオロエチレン[PTFE]、ポアサイズ0.45μm)に通して不溶物を除去した。その後、ろ液に含まれる過剰なアリルアルコールを減圧下で除去して、Mnが500のα−ブチル−ω−ヒドロキシ変性ポリジメチルシロキサンを得た。
続いて、別の冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール520部、上記α−ブチル−ω−ヒドロキシ変性ポリジメチルシロキサン280部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−4)を得た。回収されたエチレングリコールは200部で、(X−4)のMwは6,300であった。(X−4)は一般式(1)におけるR1がブチル基で、R2〜R7がいずれもメチル基であるブロックを有する。(X−4)はブロック(a1)とブロック(b2)とを有する。
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応容器に、ブチルリチウムを触媒として1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをアニオン重合して更にジメチルクロロシランを反応させて得られた片末端がブチル基で封鎖されもう一方の末端にSiH基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(Mn=400)100部と、アリルアルコール72部中に酸化白金0.3部を懸濁させた懸濁液とを仕込み、105℃で16時間撹拌下で反応させた。室温まで冷却した後、反応混合物をメンブレンフィルタ(ポリテトラフルオロエチレン[PTFE]、ポアサイズ0.45μm)に通して不溶物を除去した。その後、ろ液に含まれる過剰なアリルアルコールを減圧下で除去して、Mnが500のα−ブチル−ω−ヒドロキシ変性ポリジメチルシロキサンを得た。
続いて、別の冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール520部、上記α−ブチル−ω−ヒドロキシ変性ポリジメチルシロキサン280部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出して室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロックポリマー(X−4)を得た。回収されたエチレングリコールは200部で、(X−4)のMwは6,300であった。(X−4)は一般式(1)におけるR1がブチル基で、R2〜R7がいずれもメチル基であるブロックを有する。(X−4)はブロック(a1)とブロック(b2)とを有する。
製造例5 [ポリウレタン樹脂(U−1)の製造]
高分子ポリオール(c2)としてのポリ(オキシエチレン)グリコール(三洋化成工業株式会社製「PEG4000」、Mn=4,000)200部、鎖伸長剤(e)としてのエチレングリコール28部、有機ポリイソシアネート(d)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート127部及び有機溶剤としてのDMF828部を反応容器に仕込み、乾燥窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させた。その後、反応停止剤(f)としてのn−ブチルアルコール3.6部を仕込んで1時間末端停止反応を行い、ポリウレタン樹脂(U−1)の30%DMF溶液を得た。(U−1)中のポリオキシエチレン基含有量は(U−1)の重量を基準として55.8%であり、ウレタン基含有量は(U−1)の重量を基準として16.5重量%であった。
高分子ポリオール(c2)としてのポリ(オキシエチレン)グリコール(三洋化成工業株式会社製「PEG4000」、Mn=4,000)200部、鎖伸長剤(e)としてのエチレングリコール28部、有機ポリイソシアネート(d)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート127部及び有機溶剤としてのDMF828部を反応容器に仕込み、乾燥窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させた。その後、反応停止剤(f)としてのn−ブチルアルコール3.6部を仕込んで1時間末端停止反応を行い、ポリウレタン樹脂(U−1)の30%DMF溶液を得た。(U−1)中のポリオキシエチレン基含有量は(U−1)の重量を基準として55.8%であり、ウレタン基含有量は(U−1)の重量を基準として16.5重量%であった。
比較製造例1 [ブロック化していないポリエステル樹脂(X’−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール520部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出て室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロック化していないポリエステル樹脂(X’−1)を得た。回収されたエチレングリコールは200部で、(X’−1)のMwは7,500であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、アジピン酸695部、エチレングリコール520部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート1.0部を入れ、160℃まで昇温し、常圧で1時間反応後、0.5〜2.5kPaの減圧下で生成する水及びエチレングリコールを留去しながら8時間反応させた。次いで200℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水及びエチレングリコールを留去しながら4時間反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出て室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ブロック化していないポリエステル樹脂(X’−1)を得た。回収されたエチレングリコールは200部で、(X’−1)のMwは7,500であった。
比較製造例2 [ポリウレタン樹脂(U’−1)の製造]
「ポリ(オキシエチレン)グリコール200部」を「ポリ(オキシエチレン)グリコール55部及びMn2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)100部」に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの仕込量を130部に、DMFの仕込量を730部にする以外は製造例5と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−1)の30%DMF溶液を得た。(U’−1)中のポリオキシエチレン基含有量は、(U’−1)の重量を基準として17.4%であり、ウレタン基含有量は(U’−1)の重量を基準として19.4重量%であった。
「ポリ(オキシエチレン)グリコール200部」を「ポリ(オキシエチレン)グリコール55部及びMn2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)100部」に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの仕込量を130部に、DMFの仕込量を730部にする以外は製造例5と同様にして、ポリウレタン樹脂(U’−1)の30%DMF溶液を得た。(U’−1)中のポリオキシエチレン基含有量は、(U’−1)の重量を基準として17.4%であり、ウレタン基含有量は(U’−1)の重量を基準として19.4重量%であった。
実施例1 [ポリウレタン樹脂組成物(W−1)の製造]
加温できる反応容器に製造例5で得られたポリウレタン樹脂(U−1)の30%DMF溶液1,000部を仕込み、更にブロックポリマー(X−1)9部を投入し、80℃に加温して、1時間混合して均一化した後、冷却することでポリウレタン樹脂(U−1)のジメチルホルムアミド溶液にブロックポリマー(X−1)が分散した固形分濃度30.6%のポリウレタン樹脂組成物(W−1)を得た。
加温できる反応容器に製造例5で得られたポリウレタン樹脂(U−1)の30%DMF溶液1,000部を仕込み、更にブロックポリマー(X−1)9部を投入し、80℃に加温して、1時間混合して均一化した後、冷却することでポリウレタン樹脂(U−1)のジメチルホルムアミド溶液にブロックポリマー(X−1)が分散した固形分濃度30.6%のポリウレタン樹脂組成物(W−1)を得た。
実施例2〜4及び比較例1〜3
ブロックポリマー(X)及びポリウレタン樹脂(U)の30%DMF溶液を表1に記載のものに代える以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物(W−2)〜(W−4)及び比較用のポリウレタン樹脂組成物(W’−1)〜(W’−3)を得た。
尚、実施例3におけるブロックポリマー(X−3)は30%DMF溶液のため、ポリウレタン樹脂(U−1)1,000部に対してブロックポリマー(X−3)のDMF溶液30部(固形分として9部)を投入した。
また、比較例3においては、「ブロックポリマー(X−1)9部」に代えて比較用の「エルカ酸アミド1.8部」を投入した。
ブロックポリマー(X)及びポリウレタン樹脂(U)の30%DMF溶液を表1に記載のものに代える以外は実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物(W−2)〜(W−4)及び比較用のポリウレタン樹脂組成物(W’−1)〜(W’−3)を得た。
尚、実施例3におけるブロックポリマー(X−3)は30%DMF溶液のため、ポリウレタン樹脂(U−1)1,000部に対してブロックポリマー(X−3)のDMF溶液30部(固形分として9部)を投入した。
また、比較例3においては、「ブロックポリマー(X−1)9部」に代えて比較用の「エルカ酸アミド1.8部」を投入した。
実施例1〜4のポリウレタン樹脂組成物(W−1)〜(W−4)及び比較例1〜3のポリウレタン樹脂組成物(W’−1)〜(W’−3)を用いて、以下の試験方法により耐摩耗性、耐ブリードアウト性及び透湿度を測定又は評価した結果を表1に示す。
[1]耐摩耗性の測定方法
ポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に0.7mmの厚みに塗布し、70℃の循風乾燥機で3時間乾燥した後、ガラス板から剥がして厚さが約0.2mmのウレタンフィルムを作製した。ウレタンフィルムをJIS K−6902に準拠してテーバー摩耗試験器にセットし、1,000回回転前後の重量変化から摩耗減量を測定した。摩耗減量が少ないほど耐摩耗性に優れる。
ポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に0.7mmの厚みに塗布し、70℃の循風乾燥機で3時間乾燥した後、ガラス板から剥がして厚さが約0.2mmのウレタンフィルムを作製した。ウレタンフィルムをJIS K−6902に準拠してテーバー摩耗試験器にセットし、1,000回回転前後の重量変化から摩耗減量を測定した。摩耗減量が少ないほど耐摩耗性に優れる。
[2]耐ブリードアウト性の評価方法
上記耐摩耗性の測定方法と同様に作製したフィルムを10cm各に裁断し、25℃で1週間静置した後、フィルムに指を押し付けた後の外観で評価した。
フィルムに指の跡が付き、指に白い粉状の物質が付着する;1
フィルムに指の跡が付き、指にかすかに白い粉状の物質が付着する;2
フィルムに指の跡が付かず、指に白い粉状の物質が付着しない;3
上記耐摩耗性の測定方法と同様に作製したフィルムを10cm各に裁断し、25℃で1週間静置した後、フィルムに指を押し付けた後の外観で評価した。
フィルムに指の跡が付き、指に白い粉状の物質が付着する;1
フィルムに指の跡が付き、指にかすかに白い粉状の物質が付着する;2
フィルムに指の跡が付かず、指に白い粉状の物質が付着しない;3
[3]透湿度の測定方法
ポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に50μmの厚みに塗布し、150℃の循風乾燥機で6分間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより、厚さが15μmの透湿度測定用フィルムを作製した。
得られた透湿度測定用のフィルムを、JIS L−1099−1998塩化カルシウム法(A−1)に基づいて、透湿度を測定した。
ポリウレタン樹脂組成物を、離型処理したガラス板上に50μmの厚みに塗布し、150℃の循風乾燥機で6分間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより、厚さが15μmの透湿度測定用フィルムを作製した。
得られた透湿度測定用のフィルムを、JIS L−1099−1998塩化カルシウム法(A−1)に基づいて、透湿度を測定した。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、耐ブロッキング性及び耐摩耗性に優れ、ブリードアウトによる汚染も少ないことに加えて透湿性能も良好なウレタンフィルムを与えることから、フィッシングや登山等の際のアウトドアウェア、スキー関連ウェア、ウィンドブレーカー、アスレチックウェア、ゴルフウェア、レインウェア、カジュアルコート、屋外作業着、手袋、靴及びテント等の登山用具等に用いられる透湿防水素材の製造に特に有用である。また、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ)用のバックシートやその他の衛生材料(例えば、生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、手術用アンダーパッド、ペットシート等)にも好適に使用することができる。
Claims (7)
- ブロックポリマー(X)とポリウレタン樹脂(U)とを含有するポリウレタン樹脂組成物であって、前記ブロックポリマー(X)がウレタン結合を有しないポリエステル樹脂からなるブロック(a1)、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂からなるブロック(a2)又はエステル結合を有しないポリウレタン樹脂からなるブロック(a3)と、炭素数16〜44の1価の炭化水素基からなるブロック(b1)及び/又は1価のポリオルガノシロキサン基からなるブロック(b2)とを有し、前記ポリウレタン樹脂(U)が前記ブロック(b1)及び(b2)のいずれをも有さず、(U)の重量に基づいて20重量%以上のポリオキシエチレン基を有するポリウレタン樹脂であるポリウレタン樹脂組成物(W)。
- 前記ブロックポリマー(X)の重量平均分子量が、1,000〜150,000である請求項1又は2記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ブロック(a1)及び(a2)を構成するポリエステル樹脂が、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を必須構成単量体とする請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(U)が、構成単量体として数平均分子量500〜10,000のポリ(オキシエチレン)グリコール及び/又はプロピレングリコール若しくはエチレングリコールへのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物を含有する請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(U)のウレタン基含有量が、(U)の重量に基づいて13〜20重量%である請求項1〜5のいずれか記載のポリウレタン樹脂組成物。
- 透湿防水素材用である請求項1〜6のいずれか記載のポリウレタン樹脂組成物。
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JP2018149815A JP2020023653A (ja) | 2018-08-09 | 2018-08-09 | ポリウレタン樹脂組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020246503A1 (ja) | 2019-06-03 | 2020-12-10 | 株式会社大分大学先端医学研究所 | 狂犬病治療のための環状アミド化合物およびその方法 |
-
2018
- 2018-08-09 JP JP2018149815A patent/JP2020023653A/ja active Pending
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WO2020246503A1 (ja) | 2019-06-03 | 2020-12-10 | 株式会社大分大学先端医学研究所 | 狂犬病治療のための環状アミド化合物およびその方法 |
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