JP4096214B2 - ポリウレタン組成物及びそれから得られる繊維 - Google Patents

ポリウレタン組成物及びそれから得られる繊維 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NO2 による変色劣化に対して安定化されたポリウレタン組成物及びそれから得られるポリウレタン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイソアネート、比較的低分子量のポリマージオール及び低分子量の多官能性活性水素化合物から製造されるポリウレタンは、機械的性質が優れること、加工しやすいこと等の理由から、フォーム、エラストマー、塗料、合成皮革、繊維等の広い用途に用いられているが、耐久性の付与及び加工時の劣化防止のためには、安定剤の使用が不可欠である。
【0003】
ポリイソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートは、得られるポリウレタンの力学的性質が特に優れていることから広く用いられているが、芳香族イソシアネートから得られるポリウレタンは光やNO2 による変色が著しい。
【0004】
従来より、ポリウレタンの変色を防止するために、立体障害性の大きい基で置換されたアミノ基を含む化合物をポリウレタンに添加する方法はよく知られている。例えば特公昭47−48895号公報では第三級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートからなるウレタン化合物を添加する方法が提案されている。また、特公昭46−2904号公報ではN,N−ジアルキル−β−アミノエチルメタクリレート系重合体を添加したポリウレタン組成物が提案されている。その他にもポリアルキルピペリジン誘導体などが、ポリウレタンの変色防止剤として知られている。
【0005】
ヒドラジン誘導体も同様のポリウレタンの変色防止剤として広く知られている。例えば特公昭40−27348号公報や特開昭61−218659号公報ではN,N−ジアルキルヒドラジン誘導体を添加したポリウレタン組成物が提案されている。また特開平52−15550号公報では、ヒドラジンのアミノ基が二つとも置換されたジ酸ヒドラジド化合物を添加したポリウレタン組成物が提案されている。
【0006】
また、上記の化合物をいくつか併用することでポリウレタンの変色を防止しようとする試みも提案されている。例えば特開平1−207350号、特開平2−22360号、特開平4−202851号公報などでは、ヒンダードアミン化合物と共にN,N−ジアルキルヒドラジン誘導体を用いることが提案されている。
【0007】
従来の上記アミン化合物やジ酸ヒドラジド化合物は、NO2 によるポリウレタンの変色をある程度抑制するが、いまだ満足できるレベルではなかった。N,N−ジアルキルヒドラジン誘導体は、変色を抑制する効果が高いものの、ポリウレタンの熱分解を促進してしまうという欠点を有している。ヒンダードアミン化合物とN,N−ジアルキルヒドラジン誘導体を併用する場合でも、N,N−ジアルキルヒドラジン誘導体がポリウレタンの熱による劣化を促進するという欠点は、依然存在していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、NO2 によるポリウレタンの変色を抑制するために、多くの試みが提案されてきたが、ポリウレタンの特性を損なうこと無く、NO2 による変色劣化を抑制することはいまだ成されていなかった。そこで本発明は、前記従来の欠点を解消すること、つまりポリウレタンの特性を損なうこと無く、NO2 による変色劣化を抑制することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリウレタンに、ジ酸ヒドラジド化合物とヒンダードアミン化合物とを添加することで、ポリウレタンが本来有する特性を保持しつつNO2 によるポリウレタンの変色を充分に安定化できることを見いだし、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、(1)ポリウレタンに、(A)下記式(I)で表されるジ酸ヒドラジド化合物の一種または二種類以上の混合物と、(B)ヒンダードアミン化合物とを含有してなるポリウレタン組成物であって、式(I)で表されるジ酸ヒドラジド化合物のR 1 、R 2 のいずれかもしくは両方が、下記式( II )で表される群より選ばれる、同一または異なる基であることを特徴とするポリウレタン組成物、および(2)該ポリウレタン組成物から得られる繊維である。
【0010】
【化3】
Figure 0004096214
〔式(I)において、R1 ,R2 は、同一または異なる炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基(アラルキル基における芳香環は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキル基が置換していてもよい)を表す。R3 は炭素数1〜10のアルキレン基であるか、もしくは無くてもよい。nは0〜10の整数を表す。〕
【化4】
Figure 0004096214
(式中において、R4 は炭素数1から10のアルキレン基を表し、R5 ,R6 は同一または異なる炭素数1から5のアルキル基を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、ポリウレタンに対し、上記のジ酸ヒドラジド化合物(A)及びヒンダードアミン化合物(B)を添加することが必須である。これらの(A),(B)いずれか単独のみではNO2 によるポリウレタンの変色劣化を充分に安定化することはできない。これら二つの化合物を併用することでNO2 によるポリウレタンの変色劣化を抑制できるのは、定かではないが両者の抑制機構が異なっているためと考えられる。すなわち、ヒンダードアミン化合物(B)はNO2 をアミン部で吸着してポリウレタンとの反応を抑制し、ジ酸ヒドラジド化合物(A)はポリウレタンとNO2 の反応物が着色していくのを抑制していると考えられる。そのため、両者が相補的に作用し、優れた相乗効果が得られたのではないかと推察している。
【0012】
前記式(I)で表されるジ酸ヒドラジド化合物におけるR1 、R2 は、同一または異なる炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基であり、該アラルキル基における芳香環は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキル基が置換していてもよい。中でもポリウレタンへの保持性を高める面からアラルキル基が好ましい。R1 ,R2 がアラルキル基である場合は、ジ酸ヒドラジド基に結合している部分が脂肪族の炭化水素基であることが安定化効果をさらに上げるために好ましい。R3 は、炭素数1〜10のアルキレン基であるか、もしくは無くてもよい。中でも炭素数が2〜4であることが好ましい。nは0〜10の整数であり、中でも0〜2が好ましい。
【0013】
1 ,R2 は下記式(II)で表される構造である。前記式(II)において、R4 は炭素数1〜10のアルキレン基であり、ポリウレタンとの相溶性から炭素数1〜6である。またR5 ,R6 は炭素数1〜5のアルキル基であり、t−ブチルまたはt−アミル基が好ましい。
【化1】
Figure 0004096214
【化2】
Figure 0004096214
【化3】
Figure 0004096214
【化4】
Figure 0004096214
【0014】
【化4】
Figure 0004096214
【0015】
ジ酸ヒドラジド化合物(A)の例として、下記の化合物を挙げることができる。中でも(A6)〜(A10)の化合物が好ましい。これらの化合物の製造方法の例として、カルボン酸エステルとヒドラジンを反応させる方法との反応、あるいはカルボン酸塩化物とヒドラジンの反応などを挙げることができる。
【0016】
【化5】
Figure 0004096214
【0017】
【化6】
Figure 0004096214
【0018】
【化7】
Figure 0004096214
【0019】
【化8】
Figure 0004096214
【0020】
【化9】
Figure 0004096214
【0021】
【化10】
Figure 0004096214
【0022】
【化11】
Figure 0004096214
【0023】
【化12】
Figure 0004096214
【0024】
【化13】
Figure 0004096214
【0025】
【化14】
Figure 0004096214
【0026】
ヒンダードアミン化合物(B)としては公知の化合物を用いることができる。その例として、アルキルピペリジン誘導体、第三級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートからなるウレタン化合物、およびN,N−ジアルキル−β−アミノエチルメタクリレート系重合体などを挙げることができる。中でもアルキルピペリジン誘導体、第三級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートからなるウレタン化合物が好ましい。
【0027】
アルキルピペリジン誘導体は、下記式(III)で表される構造を、分子中に少なくとも一つ以上有する化合物を挙げることができる。
【0028】
【化15】
Figure 0004096214
前記式(III)において、Yは、−H,−CH3 ,−CH2 −,−OCH2 −の群より選ばれる基である。R7 、R8 は同一または異なる炭素数1〜5のアルキル基、またはR7 ,R8 が結合して形成した炭素数5〜10の脂環基を表す。なお本発明において、Yで表される基としては、−H,−CH3 ,−CH2 −であることがより好ましい。
【0029】
ポリアルキルピペリジン誘導体の具体例として例えば、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス−(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ポリ{〔(6−モリフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〕(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザアイスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコサン−イル−オン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと1−トリデカノールの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと1−トリデカノールの縮合物の縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、ポリ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、ポリ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)などが挙げられる。中でも好ましい化合物として、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物が挙げられる。
【0030】
第三級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートからなるウレタン化合物において、第三級窒素含有ジオールの例としては、下記式(IV)で示される化合物が挙げられる。
【0031】
【化16】
Figure 0004096214
(R9 ,R10は炭素数2〜5の直鎖あるいは分岐のアルキレン基を、R11は炭素数2〜5の直鎖あるいは分岐のアルキル基をそれぞれ表す。)
【0032】
有機ジイソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの、脂肪族ジイソシアネート化合物を用いることが好ましい。第三級窒素含有ジオールと有機ジイソシアネートを、公知の任意の方法で反応させることで第三級窒素含有ウレタン化合物が得られる。
【0033】
ポリウレタンに対する(A)ジ酸ヒドラジド化合物及び(B)ヒンダードアミン化合物の範囲は次式(V)で示される範囲が好ましい。
0.1<A<5 ,0.1<B<5 ,0.05<(A/B)<5 (V)
(A:ポリウレタンに対するジ酸ヒドラジド化合物の重量%、B:ポリウレタンに対するヒンダードアミン化合物の重量%)
さらに好ましい範囲は次式(VI)で示される範囲である。
0.3<A<3 ,0.5<B<5 ,0.1<(A/B)<2 (VI)
(A:ポリウレタンに対するジ酸ヒドラジド化合物の重量%、B:ポリウレタンに対するヒンダードアミン化合物の重量%)
【0034】
ポリウレタンへの各化合物の添加方法は、特に限定されるものではなく公知の任意の方法を採用することが出来る。ポリウレタンの原料に対して、ポリウレタンの生成反応中または、生成後に添加することが可能であるが、生成後に添加することが好ましい。各化合物は全てを一度に添加しても、各々を別々に任意の順序で添加してもよい。ポリウレタンを有機溶媒の溶液として製造する場合には、化合物を使用する溶媒に溶解して溶液として添加することが好ましい。
【0035】
本発明で使用するポリウレタンは、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系など、公知のポリウレタンを挙げることができる。かかるポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリマージオール、所望により低分子多官能活性水素化合物を反応させて得ることができる。
【0036】
ポリイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの1種またはこれらの混合物を用いることができる。好ましくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0037】
ポリマージオールは、両末端にヒドロキシル基を持つ分子量が600〜7000の実質的に線状の重合体として、例えばポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールや、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、β−メチルアジピン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの二塩基酸の一種または二種以上の混合物とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどのグリコールの一種あるいは二種以上の混合物から得られるポリエステルポリオールや、ポリエーテルエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどの任意のポリオールを用いることができる。
【0038】
低分子多官能活性水素化合物としては、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を分子中に二つ以上有する化合物(鎖延長剤)を挙げることができる。鎖延長剤として、例えば、水、ヒドラジン、またはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリアミン、またはエチレングリコール、ブタンジオールなどのポリオール、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリヒドロキシルアミン、などの化合物の一種または二種以上の混合物が挙げられる。また鎖延長剤とともに末端停止剤として、分子中にイソシアネート基と反応しうる活性水素基をただ1つ有する化合物を併用することもできる。活性水素基を分子中に1つだけ有する化合物として、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミンなどのジアルキルアミン、またはエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアルキルアミン、またはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノアルコール、などの化合物の一種または二種以上の混合物を挙げることができる。
【0039】
ポリウレタンは公知の任意の方法で重合することができる。例えば、溶融重合、溶液重合など任意の方法及びそれらの組み合わせによって、バッチ方式や連続方式で重合することができる。また、原料を一括して混合して反応させるワンショット法、あるいは先ずプレポリマーを形成し鎖延長するプレポリマー法など公知の任意の方法を採用することができる。重合されたポリウレタンは公知の方法で成形し各々の目的に使用することができる。
【0040】
上記ポリウレタン組成物には、目的に応じて他の公知の配合剤を加えることもできる。例えば、ヒンダードフェノール系やホスファイト系やチオエーテル系の任意の酸化防止剤や、ベンゾトリアゾ−ル系やベンゾフェノン系の任意の紫外線吸収剤や、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸塩、塩化亜鉛などの無機微粒子や、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサンなどの平滑剤や、有機または無機の顔料や、防カビ剤などを加えることもできる。
【0041】
得られるポリウレタン組成物は、任意の方法で成形して製品とすることができる。例えば、溶液から乾式あるいは湿式などの成形法によって、または溶融式成形法によって繊維、フィルム、フォーム、エラストマー、合成皮革などに用いることができる。本発明のポリウレタン組成物は、特に弾性繊維に適している。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお実施例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を表す。また実施例中の特性値の測定は下記の方法により行った。
【0043】
(1)NO2 黄変性試験方法:下記の実施例及び比較例で作成した40デニールのポリウレタン繊維の筒編地に対して、20℃の200ppmのNO2 を含む空気を500ml/分の速度で連続的に1.5時間曝露させた。200ppmのNO2 を含む空気は、ガステック社製のパーミエーターPD−1−Bを用いて発生させた。筒編地は、東京電色社製のカラーメーター(TC1500MC−88)を用いて曝露前後のb値を測定した。黄変性を以下の式に従ってΔbとして算出した。なおΔbが小さいほど、NO2 による変色劣化が小さく優れていることを意味する。
Δb=照射後のb値−照射前のb値
【0044】
(2)熱劣化性試験方法:下記の実施例及び比較例で作成した40デニールのポリウレタン繊維を空気中で190℃で1分間熱処理した。熱処理したポリウレタンン繊維0.0750gを25mlのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、そのうちの10mlをオストワルド型粘度計にとり30℃の恒温槽中で溶液の落下秒数を測定し、以下の式(数1)に従って対数粘度(ηinh )を求めた。なお熱処理後の対数粘度が大きいほど、ポリウレタンの熱劣化が進行しておらず優れていることを意味する。
【0045】
【数1】
Figure 0004096214
t :ポリウレタン繊維溶液の落下秒数(秒)
0 :DMAcの落下秒数(秒)
c :ポリウレタン繊維溶液の濃度(g/dl)
【0046】
実施例1
数平均分子量1825のポリテトラオキシメチレングリコール175.37部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート38.92部をN2 気流下80℃で3時間反応させた。生成したプレポリマーを308.36部のN,N−ジメチルアセトアミドを加えて溶解した。プレポリマー溶液を激しく攪拌しつつ、エチレンジアミン3.58部とジエチルアミン0.46部及び146.86部のN,N−ジメチルアセトアミドを前もって混合した溶液を一度に加え反応させて、ポリウレタン溶液を得た。
次に、得られたポリウレタン溶液に、ジ酸ヒドラジド化合物(A)として下記一般式(A1)で示されるN,N−ビス〔(3−フェニル)プロピオニル〕ヒドラジン2.17部及びヒンダードアミン化合物(B)として下記一般式(B1)で示される1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(旭電化株式会社製 商品名:アデカスタブ LA68LD)4.34部を加え、常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0047】
【化17】
Figure 0004096214
【0048】
実施例2
実施例1において、ヒンダードアミン化合物(B)として下記一般式(B2)で示される1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(旭電化株式会社製 商品名:アデカスタブ LA63P)を用いた他は実施例1と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0049】
【化18】
Figure 0004096214
【0050】
実施例3
実施例1において、ジ酸ヒドラジド化合物(A)としてN,N−ビス〔3’,5’−ジブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(A6)を用いた他は実施例1と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0051】
実施例4
実施例1において、ジ酸ヒドラジド化合物(A)としてN,N−ビス〔3’,5’−ジブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(A6)2.17部を、ヒンダードアミン化合物(B)として1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(B2)4.34部を加え、常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0052】
実施例5
実施例1において、 ジ酸ヒドラジド化合物(A)としてN,N−ビス〔3’,5’−ジブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(A6)2.17部を、ヒンダードアミン化合物(B)として、下記一般式(B3)で示されるジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとN−t−ブチル−ジエタノールアミンの反応物4.34部を加え、常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0053】
【化19】
Figure 0004096214
【0054】
比較例1
実施例1記載の方法で調製したポリウレタン溶液を常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0055】
比較例2
実施例1記載の方法で調製したポリウレタン溶液に、ジ酸ヒドラジド化合物(A1)6.51部のみを加え、常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0056】
比較例3
比較例2において、ジ酸ヒドラジド化合物(A)として(A6)6.51部を用いた他は比較例2と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0057】
比較例4
比較例2において、ジ酸ヒドラジド化合物(A)は用いずに、ヒンダードアミン化合物(B1)6.51部のみを加え、常法に従い乾式紡糸し40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0058】
比較例5
比較例4において、ヒンダードアミン化合物(B)として(B2)6.51部を用いた他は比較例4と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0059】
比較例6
実施例1において、ジ酸ヒドラジド化合物(A)の代わりに、N,N−ジアルキルヒドラジン誘導体(C)として、下記一般式(C1)で示されるビュレット−トリ(ヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジド)2.17部を加えた他は実施例1と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0060】
【化20】
Figure 0004096214
【0061】
比較例7
比較例6において、N,N−ジアルキルヒドラジン誘導体(C)として、下記一般式(C2)で示される1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’(メチレン−ジ−p−フェニレン)ジセミカルバジドを用いた他は比較例6と同様にして40デニールのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0062】
【化21】
Figure 0004096214
【0063】
実施例及び比較例で得たポリウレタン弾性繊維のNO2 黄変性及び耐熱性を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004096214
【0065】
【発明の効果】
表1より明らかなように、ジ酸ヒドラジド化合物(A)、ヒンダードアミン化合物(B)のいずれかだけでは、変色を充分に抑制することはできず、またジ酸ヒドラジド化合物(A)の代わりに、N,N−ジアルキルヒドラジン誘導体(C)を用いると、NO2 による変色劣化は抑制できるものの、ポリウレタンの熱劣化を促進することが判る。さらにジ酸ヒドラジド化合物(A)及びヒンダードアミン化合物(B)を組み合わせることでポリウレタンの特性を損なうこと無くNO2 による変色劣化を効果的に抑制できることが判る。
以上、本発明組成物は、ポリウレタン本来の特性を損なうこと無くNO2 による変色に対して優れた安定性を有しており、フォーム、エラストマー、塗料、合成皮革、繊維などに用いることができるので、産業界に寄与すること大である。

Claims (2)

  1. ポリウレタンに、(A)下記式(I)で表されるジ酸ヒドラジド化合物の一種または二種類以上の混合物と、(B)ヒンダードアミン化合物とを含有してなるポリウレタン組成物であって、式(I)で表されるジ酸ヒドラジド化合物のR1 、R2 のいずれかもしくは両方が、下記式(II)で表される群より選ばれる、同一または異なる基であることを特徴とするポリウレタン組成物。
    Figure 0004096214
    〔式(I)において、R1 ,R2 は、同一または異なる炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基(アラルキル基における芳香環は、ヒドロキシ基、炭素数1〜5のアルキル基が置換していてもよい)を表す。R3 は炭素数1〜10のアルキレン基であるか、もしくは無くてもよい。nは0〜10の整数を表す。〕
    Figure 0004096214
    (式中において、R4 は炭素数1から10のアルキレン基を表し、R5 ,R6 は同一または異なる炭素数1から5のアルキル基を表す。)
  2. 請求項1に記載のポリウレタン組成物を成形して得られるポリウレタン繊維。
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