JP2007238561A - ペオニフロリン含有ゼリー製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゼリー基剤としてペクチンを用い、ペクチン1重量部に対する2価の金属イオンの含量を金属換算量で0.015〜0.05重量部になるよう調整することにより、軽量で嵩張らず、携帯に便利なペオニフロリン含有抽出物のゼリー製剤を提供する。
【選択図】なし
Description
漢方薬の固形製剤における数グラムの服用量を少なくする製剤として液剤があり、例えば、排尿障害治療薬として賞用されている八味地黄丸抽出エキスの液剤が、内服液として市販されている。この八味地黄丸抽出エキスには、ペオニフロリンが有効に濃縮されていることが、特許文献1に記載されている。
該抽出物の形態としては、乾燥粉末および乾燥エキス、軟エキス、流エキスなどの抽出エキスが挙げられるが、抽出エキスが好ましい。八味地黄丸の抽出エキスとしては、八味地黄丸を水で加熱抽出し、得られる抽出液を濃縮した後、濃縮物をエタノールで抽出して得られるエキスが、さらに好ましい。
具体的には、例えば、地黄25g、山茱萸15g、山薬15g、沢瀉15g、茯苓15g、牡丹皮15g、桂皮5gおよび附子5gを、水2200mLで煮出して抽出し(95℃、60分間)、ろ過した後、ろ液を濃縮する。このようにして得られる濃縮液220mLに対して、94mLのエタノールを加えて16時間放置し、遠心分離して沈殿を除去した液をさらに濃縮し、濃縮液に水を加えて55mLとすることにより、八味地黄丸抽出エキス(以下、「エキスH」ともいう)が製造される。八味地黄丸抽出エキスとして市販品を用いることもできる。
本発明のゼリー製剤に配合されるペオニフロリン含有成分が生薬または漢方薬からの抽出物である場合、その含量は特に限定されないが、ゼリー製剤に対して重量比で5〜90 %、好ましくは10〜80 %である。そして、ペオニフロリン含有成分が八味地黄丸抽出物(エキスH含む)である場合、その含量は、通常、ゼリー製剤に対して重量比で5〜85 %であり、好ましくは10〜80 %である。
ペクチンは、柑橘類やリンゴなどから抽出される、ガラクチュロン酸がα-1,4グルコシド結合によって直鎖状に連なった多糖類である。ガラクチュロン酸のカルボキシル基は部分的にメチルエステル化されており、メトキシル基含量が7 %より多いものを高メトキシル(HM)ペクチン、7%以下のものを低メトキシル(LM)ペクチンという。高メトキシルペクチン及び低メトキシルペクチンは、ともに市販されている。
ペクチンの含量は、特に限定されないが、高メトキシルペクチンの場合、通常、ゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%、好ましくは2〜5%であり、低メトキシルペクチンの場合、通常、ゼリー製剤に対して重量比で0.5〜4%、好ましくは1.8〜2.8 %である。
ゼリー製剤中の2価の金属イオン濃度を測定する方法としては、通常、公知の方法が使用でき、例えば、液体クロマトグラフィーを用いることにより測定できる。
さらに、ペクチンとして高メトキシルペクチンを用いる場合、2価の金属イオンを添加しなくても、保存安定性のより優れたゼリー製剤が得られる。
甘味剤としては、例えば、エリスリトール、キシリトール、アセスルファムカリウム、砂糖、マンニトール、マルチトール、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、ソルビトース、還元麦芽糖水飴などが挙げられ、これらの甘味剤は2種以上を併用してもよい。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどが挙げられ、これらの防腐剤は2種以上を併用してもよい。
香料としては、例えば、コーラフレーバー、黒糖フレーバー、アップルフレーバー、レモンフレーバー、ストロベリーフレーバー、メントールなどが挙げられ、これらの香料も2種以上併用することができる。
このようにして得られるゼリー製剤の包装形態は、特に限定されないが、有効成分の1回投与量を1つのスティックに充填すれば、携帯するのに特に便利である。
ゼリー製剤のスティックへの充填およびシールは、常法により行なわれる。
地黄25g、山茱萸15g、山薬15g、沢瀉15g、茯苓15g、牡丹皮15g、桂皮5gおよび附子5gを水2200mLに加え、95℃で60分間加熱する。混合物をろ過し、ろ液を220mLまで濃縮し、得られた濃縮液に94mLのエタノールを加え、16時間放置する。これを遠心分離して沈殿物を除去した液を濃縮し、濃縮物に水を加えて55mLとすることにより、エキスHを製造した。
なお、エキスHのカルシウム濃度を、日本薬局方一般試験法液体クロマトグラフ法に準じ、高速液体クロマトグラフィー装置LC-10ADVP(島津製作所製)、電気伝導度検出器CDD-10AvP(島津製作所製)及びカラムTSKgel IC-Cation I/IIHR 4.6mmID×10cmL(東ソー社製)を用いて測定したところ、0.092%(W/V)であった。
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.320
LMペクチン 0.644
エリスリトール 2.800
キシリトール 2.800
アセスルファムカリウム 0.050
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.042
ソルビン酸カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 9.248
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 22.400
HMペクチン 0.560
精製白糖 4.500
アセスルファムカリウム 0.050
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.057
ソルビン酸カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 0.331
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 19.600
LMペクチン 0.780
エリスリトール 3.000
キシリトール 2.000
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.041
ソルビン酸カリウム 0.014
コーラフレーバー 0.028
精製水 2.483
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.8)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 5.600
LMペクチン 0.500
エリスリトール 2.000
キシリトール 3.000
クエン酸 0.028
クエン酸Na 0.026
乳酸カルシウム 0.018
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 16.786
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 2.800
HMペクチン 1.120
エリスリトール 2.000
キシリトール 3.000
精製白糖 10.000
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.023
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 8.955
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH3.0)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 4.300
HMペクチン 0.140
エリスリトール 4.500
キシリトール 4.500
精製白糖 10.000
クエン酸 0.040
クエン酸Na 0.020
乳酸カルシウム 0.023
ソルビン酸カリウム 0.014
チョコフレーバー 0.028
精製水 4.435
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH4.5)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.210
カラギーナン 0.036
ローカストビーンガム 0.036
ソルビン酸カリウム 0.014
キシリトール 2.800
エリスリトール 2.800
アセスルファムカリウム0.050
クエン酸ナトリウム 0.336
塩化カリウム 0.014
黒糖フレーバー 0.028
精製水 9.675
合計 28.000
下記の成分を用いてゼリー製剤(pH4.5)を調製し、これをアルミスティックに充填し、包装した(1包14g)。
成分名 2包中の処方量(g)
エキスH 12.210
カンテン末 0.182
ソルビン酸カリウム 0.014
キシリトール 2.800
エリスリトール 2.800
アセスルファムカリウム0.050
クエン酸ナトリウム 0.336
コーラフレーバー 0.028
精製水 9.580
合計 28.000
実施例1、比較例1および比較例2で得られたゼリー製剤について、40℃で3ヶ月間経過後のゼリー強度を測定した。ゼリー強度(N/m∧2)の測定は、(株)山電RHEONER RE-3305により,φ16mmの円柱型プランジャーを使用し、圧縮速度1mm/s、クリアランス5%にて行なった。ゼリー強度及びスタート時(0時)のゼリー強度に対するゼリー強度の割合(%)を表2に示す。
Claims (15)
- 有効成分としてペオニフロリンを含み、ペクチンをゼリー基剤とすることを特徴とするゼリー製剤。
- ペオニフロリンが生薬または漢方薬抽出物中に含まれる、請求項1に記載のゼリー製剤。
- 漢方薬抽出物が八味地黄丸抽出物である、請求項2に記載のゼリー製剤。
- 八味地黄丸抽出物が、八味地黄丸を水で加熱抽出し、抽出液を濃縮した後、該濃縮物をエタノールで抽出したものである、請求項3に記載のゼリー製剤。
- 請求項3又は4のいずれか1つに記載の八味地黄丸抽出物をゼリー製剤に対して重量比で5〜85%含む、ゼリー製剤。
- ペクチンをゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
- ペクチンが高メトキシルペクチンである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
- ペクチンが低メトキシルペクチンである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
- 低メトキシルペクチン1重量部に対して、2価の金属イオンを金属換算量で0.015〜0.05重量部含む、請求項8に記載のゼリー製剤。
- 2価の金属イオンがカルシウムイオンである、請求項9に記載のゼリー製剤。
- pHが3.0〜4.5である、請求項1〜10のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
- スティック包装された請求項1〜11のいずれか1つに記載のゼリー製剤。
- 八味地黄丸抽出物をゼリー製剤に対して重量比で5〜85%含み、低メトキシルペクチンをゼリー製剤に対して重量比で0.5〜6%含むゼリー製剤において、低メトキシルペクチン1重量部に対する2価の金属イオンの含量を金属換算量で0.015〜0.05重量部に調整することを特徴とするペオニフロリン含有ゼリー製剤の安定化方法。
- 八味地黄丸抽出物が、八味地黄丸を水で加熱抽出し、抽出液を濃縮した後、該濃縮物をエタノールで抽出したものである、請求項13に記載の安定化方法。
- pHを3.0〜4.5に調整することからなる、請求項13又は14のいずれか1つに記載の安定化方法。
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