JP2007236665A - 血液成分分離装置及びその使用方法 - Google Patents

血液成分分離装置及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、全血からウィルス等の病原体粒子を除去した血漿成分を調製する装置とその調製方法を提供する。
【解決手段】 遠心力によって分離された血漿成分を、遠心力によって粒子除去フィルタで濾過する血液成分分離方法及びそのための装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、採血した全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分に分離し、血漿成分を得る際に粒子捕捉フィルタによって血漿成分を濾過する装置及び方法に関する。
特に、この装置及び方法は血漿成分よりウィルスのような微小な病原体を取り除くために孔径の小さなフィルタを用いる際に適している。病原体を取り除いた血漿成分は患者に輸血することができる。
血液提供者から採血した全血より血漿成分を得るためのプロセスは、全血採血と成分採血の大きく2種類に分類することができる。全血採血では、採血された全血はそのまま回収され、血液センター等の施設において必要に応じて遠心分離機によって血漿成分と非血漿成分に分けられ、それぞれ回収される。一方、成分採血においては、採血された全血は採血時に採血装置によって血漿成分と非血漿成分に分離され、血漿成分のみを回収して非血漿成分を血液提供者に返血する。このため、全血採血に比して血液提供者の身体的負担が比較的小さく、また、各成分の需要に応じた計画的な採血の実施に有効である。
成分採血において全血を血漿成分と非血漿成分に分離する際には、レーサムボウルと呼ばれる、特許文献1に開示されたタイプの遠心分離ボウルが広く用いられているほか、特許文献2に開示されたハウジングが環状に保持されたシステムが分離装置の代表的なものである。
ヒトまたは動物の、血漿または血清は、血漿製剤、血漿分画製剤、バイオテクノロジー等における種々の原料等に用いられるが、潜在的にウィルス混在の危険性がある。これまでに、これらのウィルスを除去する方法が提案されてきたが、その一つに膜濾過によるウィルス除去法が挙げられる。この方法が他の方法に比べて優れている点は、ウィルスの種類、ウィンドウ期、およびエンベロープの存在の有無に関わらず、特定の大きさ以上のウィルスであれば、その分画能により除去できるという点である。
血液提供者から採血した全血から血漿成分を得ると共にフィルタによる濾過を行う方法として、特許文献3では、透過性の側壁を備えるチューブ状のコアを有する遠心ボウルを回転させて血漿成分と非血漿成分を分離した後、非血漿成分の圧力によって該側壁からコア内部へと血漿成分を透過させる方法が開示されている。
しかし、例えばウィルスのような微小な粒子を除去することを目的とする場合においては、このような方法で十分な濾過速度を達成するためには大きな圧力を発生させられる送液機構が必要となる上、ボウルと採血針や血液バッグを接続する回路はそのような大きな圧力に耐えうる強度が必要となり、回路の製造コストが高くなるという欠点がある。例えば、一般的に広く用いられているようなペリスタティックポンプを送液機構とするような場合、高い透過圧力を発生させるにあたってポンプを高速で稼動させなければならず、それによって回路を破損してしまう可能性がある。加えて、該透過性の側壁は、血漿成分中のタンパクの吸着を防ぐために側壁の表面は親水性であることが好ましいが、そのような側壁が血漿成分によって濡れて細孔内が血漿成分由来の液体で満たされると、毛細管現象によって液体は細孔内に強く保持されるため、該ボウル出口から気体を導入して分離後の非血漿成分を返血するためには大きな圧力が必要となる上、細孔からの液体の排出に従って返血流量が変動することが考えられ、その制御が困難となる欠点がある。
即ち、遠心分離によって全血より血漿成分と非血漿成分を分離した後に、血漿成分からウィルスのような微小な病原体を、速やかにフィルタ濾過によって除去する血液成分分離装置及び分離方法は知られていなかった。
米国特許第4300717号公報 特許第2556741号公報 米国特許第6464624号公報
本発明は、遠心力により全血を血漿成分と非血漿成分に分離すると同時に得られた血漿成分に混入するウィルスのような微小な病原体を除去することを可能にせしめる装置及びその装置の使用方法を提供することを目的とする。
とりわけ、病原体の種類、ウィンドウ期、およびエンベロープの存在の有無に関わらず、特定の大きさ以上の病原体をフィルタによる濾過によって除去し、且つ濾過された血漿成分の回収及び非血漿成分の血液提供者への返血を速やかに行うことが可能な装置及びその装置の使用方法を提供することにある。
本発明者は、上記のような問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、血液を遠心力によって分離する第1の空間と粒子捕捉フィルタを備える第2の空間が同一の回転軸を有するように配置され、かつ、両空間を接続する通路を有する血液成分分離装置によって、血漿成分に混入するウィルスのような微小な病原体を速やかに除去することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1、血液提供者から採血した全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分とに分離するための第1の空間(A)と、分離した血漿成分を遠心力によって濾過するための粒子捕捉フィルタを備える第2の空間(B)が、同一の回転軸を共有しており、かつ、該第1の空間から該第2の空間へ血漿成分を移送するための通路(C)を有することを特徴とする遠心分離機を具備する血液成分分離装置。
2、該第2の空間は少なくとも該第1の空間の遠心半径方向外側に位置することを特徴とする、上記1に記載の血液成分分離装置。
3、該第2の空間が硬質ハウジングからなることを特徴とする、上記1または2に記載の血液成分分離装置。
4、該第2の空間が粒子捕捉フィルタによって遠心半径方向内側と遠心半径方向外側の2つの区画に仕切られ、該2つの区画が接続手段によって通気されていることを特徴とする上記3に記載の血液成分分離装置。
5、該接続手段の接続部が第2の空間から粒子補足フィルタによってろ過された血漿成分を排出するための排出経路の入口より上に配置されていることを特徴とする上記4に記載の血液成分分離装置。
6、該排出経路の入口部が該粒子捕捉フィルタよりも遠心半径方向外側に位置していることを特徴とする、上記4に記載の血液成分分離装置。
7、該第1の空間及び/または該第2の空間が、可撓性ハウジングから構成されることを特徴とする、上記1〜6のいずれかに記載の血液成分分離装置。
8、該粒子がウィルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫、病原性プリオン、白血球、細胞由来粒子のうち少なくとも一つ以上であることを特徴とする、上記1〜7のいずれかに記載の血液成分分離装置。
9、血液提供者から採血した全血より血漿成分を分離して採集する方法であって、該血漿成分を、
(1)遠心分離機内の第1の空間へ全血を移送し、
(2)該第1の空間において、全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分とに分離し、
(3)該第1の空間から、遠心分離機内の粒子捕捉フィルタを備える第2の空間へ該通路Cを利用して血漿成分を移送し、
(4)該第2の空間において、血漿成分を遠心力によって該粒子捕捉フィルタで濾過して得ることを特徴とする血液成分分離方法。
に関する。
本発明の装置及び方法によれば、全血より遠心力によって分離された血漿成分を、同じく遠心力を用いて粒子捕捉フィルタによって濾過する為、血漿成分に混入するウィルスのような微小な病原体を除去する場合に好適に適用可能である。更に、血漿成分の分離と、その中に混入するウィルスの除去をいずれも遠心力で達成できるために、本発明の特定の構造からなる装置によって、血漿成分の分離と、その中に混入するウィルスの除去を逐次的に実施するのはもちろん、同時に実施することも可能となるので、より好適に適用可能となった。
即ち、本発明によれば、無菌的かつ迅速に病原体を除去した血漿を調製することが可能となる。例えば、調製されウィルス等を除去した血漿は安全な輸血用血漿として使用することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい態様の一例について具体的に説明するが、本発明は添付の図面に記載された特定の好ましい態様に限定されることはない。
図1は本発明における全血より血漿成分を分離して採集する装置の構成の一態様を示した図である。入口1と出口10を有するハウジング12及び入口1とハウジング12を連絡する導入路2、出口10とハウジング12を連絡する排出路9よりなり、ハウジング12の内部は全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分に分離する第1の空間である血液成分分離空間3と、血漿成分を遠心力によって粒子捕捉フィルタで濾過するための第2の空間16からなる。第2の空間16は濾過空間5、回収空間7に分かれており、血液成分分離空間3及び濾過空間5は通路14によって接続されている。濾過空間5と回収空間7との間の隔壁15には粒子捕捉フィルタ6及び接続手段11を備えている。ハウジング12は導入路2及び排出路9を中心に回転できるように、ハウジング12と排出路9の間には密閉シール13を備える。血液成分分離空間の容量を規定するためにコア部18を備え、導入路2との間は密閉シールとなっている。上記の構造は、第1の空間と第2の空間が同一の回転軸を共有していることを表す。
ハウジングの材質は特に限定されないが、例えば有機材料又は無機材料、あるいは有機材料と無機材料とからなる複合材料であってもよい。これらのうち、有機材料、とりわけ有機高分子材料が射出成型や切断等の加工性に優れるため好ましい。有機高分子としては、例えば、ポリメチルペンテン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロルフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロツクコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等が挙げられるが、本発明のハウジングはこれらに限定されるものではない。
ハウジングの材質は硬質・軟質のいずれであってもよい。例えば、硬質の有機材料を用いて図1で示されるような内部を区切られたボウル状に成型してもよい。軟質の有機材料を用いる場合には、例えば図5に示されるような、可撓性の血液分離用ハウジング23及び粒子捕捉フィルタ25を備えた濾過用可撓性ハウジング24からなるユニットをローター37に取り付けて使用することができる。
導入路及び排出路の材質は特に限定されないが、例えば有機材料又は無機材料、あるいは有機材料と無機材料とからなる複合材料であってもよい。これらのうち、無機材料、とりわけ金属は強度や加工性のよさから好ましい。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅、クロム、モリブデン、マグネシウム及びこれらの合金等が挙げられるが、本発明の導入路及び排出路はこれらに限定されるものではない。また、金属に代表される無機材料からなる部分と有機材料からなる部分を組み合わせて構成してもよい。
ハウジング内部の血液成分分離空間及び濾過空間は通路によって接続されることで、血液成分分離空間にて全血から分離された血漿成分を、速やかに濾過空間へ移送することが可能となる。血液成分分離空間と濾過空間を接続する通路の位置及び大きさ、数に特に制限はないが、血液成分分離空間の遠心半径方向内側に位置することは、血液成分分離空間にてより多くの全血を分離することができるため好ましい。
ハウジング内部における血液成分分離空間及び濾過空間の位置及び大きさ、数に特に制限はないが、濾過空間が血液成分分離空間の遠心半径方向外側に位置することは、血液成分分離空間と濾過空間を接続する通路に達した血漿成分を遠心力によって濾過空間への速やかに移送することが可能なことから、好ましい。
粒子捕捉フィルタに対して1次側に位置する濾過空間と2次側に位置する回収空間の大きさ及び数に特に制限はないが、遠心力によって濾過を行うため、回収空間が濾過空間の遠心半径方向外側に位置していることが好ましい。濾過空間と回収空間を区切る粒子捕捉フィルタのフィルタ面が遠心半径に対し鉛直となるように位置することは、粒子捕捉フィルタ全面に均等に遠心力を付加できることから好ましい。
本発明に記載の、粒子捕捉フィルタとは、多孔質体からなる構造物で、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有し、且つ、特定の粒子を選択的に分離除去できる孔径または表面親和性を有する基材を意味する。
多孔質体とは、微細な孔を多数有する基材のことをいい、その材質、厚さ、形状、寸法等は限定されない。多孔質体からなる粒子捕捉フィルタの材質としては、有機材料、無機材料、または有機材料と無機材料からなる複合材料であってもよい。その中でも、有機材料、とりわけ、有機高分子材料は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロツクコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、望ましい性質を得るために複数種類の有機高分子を混合することもできる。
多孔質体からなる粒子捕捉フィルタの形状は、粒子を捕捉できる細孔を有するものであればよいが、ハウジングの形成の容易さから平板状であることが好ましい。このような例として、メッシュ、フィルム、シート、膜、板、不織布、濾紙、スポンジ、織物、編物、ビーズ等が挙げられる。濾過によって粒子を捕捉するにあたって、操作を行いやすいように粒子を捕捉する孔の大きさを簡単に制御できることや、フィルタ及びハウジング作製の容易さ及びコスト等を考慮すると、メッシュ、フィルム、シート、濾紙、膜、板、不織布、スポンジおよびビーズが好ましく、より好ましくは、メッシュ、フィルム、シート、膜および不織布である。
粒子の選択的捕捉を容易にするためには、フィルタとして上記多孔質体を複数種類あるいは複数枚重ね合わせて使用してもよく、重ね合わせる際に、熱や圧力をかけて貼り合わせてもよい。
本明細書において、粒子とは、フィルタの細孔にサイズ又は親和性によって捕捉されうる物を意味しており、有機物又は無機物のいずれであってもよい。粒子には、例えば、健康を害する粒子が含まれる。粒子が健康を害するものである場合には、粒子捕捉フィルタにより該粒子を捕捉することで、例えば輸血用血液の安全性を高めることができる。
健康を害する粒子とは、ヒトの体内に入ることで健康を害する可能性のある粒子のことを意味しており、例えば、ウィルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫、病原性プリオン、白血球の他、細胞破砕物のような細胞由来粒子のことである。
サイズにより粒子を捕捉する場合にはフィルタの細孔の孔径は粒子の直径より小さいことが好ましいが、濾過処理中にフィルタの2次側への粒子の流出を防ぐことができれば粒子捕捉フィルタの孔の大きさには限定はなく、上記のような健康を害する粒子を選択的に捕捉することを考慮すると、平均孔径が0.05nm 以上500nm 以下であることが好ましく、1nm 以上 200nm 以下がより好ましく、最も好ましくは10nm以上100nm 以下である。
本発明における多孔質体の平均孔径とは、水銀ポロシメーターで測定される値である。水銀ポロシメーターで測定する場合は、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔径(直径)が本発明でいう平均孔径である。したがって、多孔質体の平均孔径よりも大きい直径を有する粒子は入り難いという径を表わすものであって、これ以上の直径の粒子は絶対に入らないというものではない。
不織布とは、編織によらずに繊維または糸の集合体が、化学的、熱的または機械的に結合された布状のものである。繊維と繊維とが互いに接触して、摩擦によりまたは互いにもつれあうことにより一定の形状を保っている場合、これも、機械的に結合された、ということができる。織布とは、縦糸と横糸とが交錯してできた布地を意味する。
血液あるいは血液由来成分と上記の多孔質体からなる粒子捕捉フィルタが接した際に、溶血や血小板の活性化、補体活性化、蛋白質の吸着といった、血液あるいは血液由来成分を輸血用途に使用するにあたって望ましくない現象を抑制するために、多孔質体の孔を塞がない程度に、親水性化合物により表面処理を施されていてもよく、その手法として、グラフト及び電子線や放射線照射、高分子による表面コーティング等を用いることができる。
グラフトによる表面処理に用いる親水性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸と多価アルコールのエステル類などの親水性モノマーやモノマーの混合物、並びに架橋可能なビニル基やアリル基等を有するポリエチレンオキサイド、ポリグリシドール、ポリビニルピロリドン、またはそれらの共重合体等が好適に用いられる。上記した架橋可能なビニル基やアリル基を主鎖または側鎖に有する親水性ポリマーを粒子捕捉フィルタ表面にコーティングし、熱、放射線、架橋剤等で架橋することもでき、ポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体等の親水性のポリマーを粒子捕捉フィルタ表面にコーティングすることもできる。また、ポリエチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート系化合物を親水性化合物に添加してから反応を行い、得られた反応生成物を架橋することもできる。
濾過空間と回収空間を隔てる隔壁の一部に開口部を有し、開口部に粒子捕捉フィルタの周縁部を接着することで、隔壁の一部をなすように固定されていることは、濾過空間から回収空間への濾過されていない血漿成分の漏出を防ぐために好ましい。接着の方法は特に限定されないが、例えば、強固且つ均一に接着できることから、高周波溶着、超音波溶着、熱溶着、溶剤溶着等が挙げられる。また、遠心力による大きな圧力が粒子捕捉フィルタに印加されることから、粒子捕捉フィルタの遠心半径方向外側に、粒子捕捉フィルタの支持部材を有していてもよい。支持部材の例としてメッシュ、不織布、網、織物、編物、糸等が挙げられる。また、開口部を格子状、スリット状、多孔状として、隔壁の一部を支持部材として機能させてもよい。
ウィルスのような微小な病原体を除去できる粒子捕捉フィルタの孔径は非常に小さいため、特に粒子除去フィルタの細孔が液で満たされた状態では気体を透過するために大きな圧力を必要とする。例えば、濾過空間と回収空間が粒子捕捉フィルタを介してのみ接続されている場合、処理開始時に血液成分分離空間へ全血を導入する際、血液分離空間及び濾過空間内に存在する気体が、全血によって押し出され、粒子捕捉フィルタを透過して回収空間から出口へと排出されることになり、処理完了後に血液分離空間に残った非血漿成分を導入路より返血する際には、粒子捕捉フィルタを介して回収空間より気体が濾過空間へ戻ることになるため、処理開始及び返血に要する時間が長くなり、血液提供者の心身への負担が増すことが懸念される。
濾過空間と回収空間を通気的に接続する手段を有することは、処理開始及び返血の際に、濾過空間と回収空間の間を迅速に気体が透過できるため、処理時間を大幅に短縮することが可能となり、好ましい。採血時のトラブルは血液提供者に負の印象をもたらすことから、血液提供者の自発的善意によって成り立つ献血システムにおいては極力発生を防ぐことが求められる。濾過空間と回収空間を通気的に接続する手段を設けることは、濾過によって粒子捕捉フィルタが目詰まりして気体が透過不能となった場合においても、返血が可能となることから、採血時のトラブル発生を未然に防ぐことができ、好ましい。
濾過空間と回収空間を通気的に接続する手段に特に制限は無いが、濾過空間に存在する濾過前の血漿成分が、粒子捕捉フィルタを介さずに回収空間へ侵入することを防げる手段であることが求められる。一方で、輸血用血漿成分においてはウィルス濃度を1/10000以下にできることが、ウィルス除去性能の指標とされていることから、処理中の振動等によって発生した飛沫やミストですら混入を防ぐことが重要となる。そのような手段として、例えば接続手段として通気フィルタを用いることが挙げられる。濾過空間と回収空間が通気フィルタで接続されていることは、濾過空間と回収区間の間を気体が透過することを可能にすると共に、濾過空間に存在する濾過前の血漿成分が、例えば処理中の振動等により発生した飛沫やミストとして、回収空間に存在する濾過後の血漿成分に混入することを防ぐことができることから、好ましい。
本発明に記載の、通気フィルタとは、多孔質体からなる構造物で、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有し、且つ、気体を透過し、液体の透過を阻止できる孔径または表面親和性を有する基材を意味する。
通気フィルタの材質、厚さ、形状、寸法等は限定されない。多孔質体からなる通気フィルタの材質としては、有機材料、無機材料、または有機材料と無機材料からなる複合材料であってもよい。その中でも、有機材料、とりわけ、有機高分子材料は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロツクコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。表面が疎水性であることは液体を阻止するために好ましい。そのような表面性状を有し、加工性に優れ、安価に入手が可能な有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。また、望ましい性質を得るために複数種類の有機高分子を混合することもできる。
多孔質体からなる通気フィルタの形状は、気体を透過し、且つ液体を阻止できる細孔を有するものであればよいが、ハウジングの形成の容易さから平板状であることが好ましい。このような例として、メッシュ、フィルム、シート、膜、板、不織布、濾紙、スポンジ、織物、編物、ビーズ等が挙げられる。濾過によって粒子を捕捉するにあたって、操作を行いやすいように粒子を捕捉する孔の大きさを簡単に制御できることや、フィルタ及びハウジング作製の容易さ及びコスト等を考慮すると、メッシュ、フィルム、シート、濾紙、膜、板、不織布、スポンジおよびビーズが好ましく、より好ましくは、メッシュ、フィルム、シート、膜および不織布である。
気体の透過と液体の阻止を容易にするためには、通気フィルタとして上記多孔質体を複数種類あるいは複数重ね合わせて使用してもよく、重ね合わせる際に、熱や圧力をかけて貼り合わせてもよい。
多孔質体からなる通気フィルタの孔の大きさには限定はないが、液体の透過を阻止することを考慮すると、平均孔径が1nm以上1000nm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下がより好ましく、最も好ましくは50nm以上250nm以下である。
濾過空間と回収空間を隔てる隔壁の一部に開口部を有し、開口部に通気フィルタの周縁部を接着することで、隔壁の一部をなすように固定されていることは、濾過空間から回収空間への濾過されていない血漿成分の漏出を防ぐために好ましい。接着の方法は特に限定されないが、例えば、強固且つ均一に接着できることから、高周波溶着、超音波溶着、熱溶着、溶剤溶着等が挙げられる。また、通気フィルタの内側ないし外側に、通気フィルタの支持部材を有していてもよい。支持部材の例としてメッシュ、不織布、網、織物、編物、糸等が挙げられる。また、開口部を格子状、スリット状、多孔状として、隔壁の一部を支持部材として機能させてもよい。
図1に示すように、濾過された血漿成分は速やかに血液バッグ等の保存容器に移送し、凍結することが望ましいため、回収空間より濾過後の血漿成分を保存容器へ移送するための排出経路9を備えていることが好ましい。排出経路の形状や位置は特に限定されないが、排出経路の回収空間における開口部8が粒子捕捉フィルタよりも遠心半径方向外側に位置することは、遠心力によって回収空間の遠心半径方向外側の壁に移動した濾過後の血漿成分を速やかに保存容器に移送することが可能となり、好ましい。開口部は回収空間の遠心半径方向外側の壁に近いほど残液量を削減することが可能となるが、回転時にハウジングのぶれによって接触しない程度にとどめるべきである。また、濾過空間と回収空間を通気的に接続する手段を有するハウジングにおいて、回転を停止させた後に濾過された血漿成分を回収する場合には、図4に示すように、濾過後の血漿成分が接続手段11に接することで気体の透過が妨げられてしまうことから、接続手段11は排出経路の回収口22よりも上に位置していることが好ましい。
血液提供者より採血した全血は、入口1より導入路2を通じて外壁17により仕切られた成分分離空間3へと移送される。ボウル状ハウジング12を回転させることで、成分分離空間3に移送された全血は、図2に示すように遠心力によって血漿成分19と非血漿成分20に成分分離空間3にて分離される。成分分離空間3への全血の移送を継続することにより、分離された全血は成分分離空間3を満たし、やがてその液面がダム部4に達する。更に全血の移送を継続することにより、図3で示すように血漿成分19はダム部4を越え、濾過空間5を満たす。濾過空間5の壁の一部は粒子捕捉フィルタ6によって構成されており、濾過空間5の血漿成分21に対して働く遠心力により、血漿成分21は粒子捕捉フィルタ6を透過して回収空間7に入る。回収空間7に入った血漿成分は、回収口8より排出路9を通じて出口10へと移送される。
図5は本発明における全血より血漿成分を分離して採集する装置の別な態様の一例である。血液提供者より採血した全血は、可撓性ハウジング23の入口29より血液成分分離空間26へと移送される。図6に示すように、ローター37を矢印32の方向に遠心力が働くように回転させることで、血液成分分離空間26に移送された全血は、遠心力によって血漿成分33と非血漿成分34に血液成分分離空間26にて分離される。血液成分分離空間26への全血の移送を継続することにより、図7に示すように、分離された全血は血液成分分離空間26を満たし、やがてその液面が凸部38によって形成されるダム部39に達する。更に全血の移送を継続することにより、血漿成分33はダム部39を越え、可撓性ハウジング23の出口30より、移送路36を通じて、粒子捕捉フィルタによって内部が1次側空間27と2次側空間28に分けられた可撓性ハウジング24の入口31から1次側空間27へ達する。1次側空間27の血漿成分35に働く遠心力により、血漿成分35は粒子捕捉フィルタ25を透過して2次側空間28に入る。2次側空間に入った血漿成分は、可撓性ハウジング24の出口32より回収される。
本発明の方法では、血液提供者より採血された全血より血漿成分を得る方法において、全血を血液成分分離装置の第1の空間で血漿成分と非血漿成分に遠心力によって分離した後に、血漿成分を該分離装置の第2の空間へと移送し、第2の空間に備えられた粒子捕捉フィルタによって血漿成分を遠心力を用いて濾過することを特徴としている。
全血を比重の違いを利用して血漿成分と非血漿成分に遠心力により分離する手段は公知である。血液成分の分離が採血と同時に行われることは、所望の成分を速やかに調製することが出来ることから、需要の変動に応じやすいため好ましいが、採血した全血を貯留した後に行ってもよい。
全血を遠心分離機内の第1の空間へと移送する手段は特に限定されないが、例えばペリスタティックポンプやシリンジポンプに代表されるようなポンプによる方法や、全血の入った血液バッグを押し潰して回路へと押し出す方法といった能動的な移送の他、全血の入った血液バッグを遠心分離機よりも高く設置することにより落差を利用した方法による移送が挙げられる。
第1の空間で遠心力によって分離された血漿成分を、粒子捕捉フィルタを備える第2の空間へ移送する手段は特に限定されない。全血を継続的或いは断続的に第1の空間へ、既に分離された血漿成分と非血漿成分の界面を乱さないように移送することで血漿成分を第2の空間へ押し出す方法は、制御が容易となるため好ましい。
血漿成分を遠心力によって粒子捕捉フィルタで濾過する際の形態は特に限定されないが、フィルタ面に対して鉛直方向に遠心力を印加することは、粒子捕捉フィルタのフィルタ面を有効に活用できるため、好ましい。また、本発明において、遠心力によって濾過するとは、遠心力のみによって濾過するということに留まらず、遠心力に加えてポンプ等によって膜間差圧を増大させてもよい。
遠心分離機のハウジングが硬質である場合には、操作開始時において第1の空間及び第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間は気体又は液体によって満たされていることが考えられるが、液体によって血漿成分が希釈されることは好ましくないため、少なくとも一部は気体によって満たされていることが好ましい。全血を第1の空間へ移送することにより、第1の空間を満たす気体に圧力が印加される。第1の空間と第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間は通路により接続されているため、全血の移送に伴って、更に第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間内を満たす気体に圧力が印加される。印加された圧力を開放しなければ、第1の空間及び第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間において上昇した圧力によって全血の移送が妨げられる一方、粒子捕捉フィルタの孔径が非常に小さい場合には、気体が粒子捕捉フィルタを透過する速度は非常に遅くなる。第1の空間及び第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間に印加される圧力を通気的接続手段によって圧力により気体を、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間へ押し出して透過させることは、上のような問題を解消することが出来るため、好ましい。第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間へ押し出された気体は、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間から排出路を通じて遠心機外へ移送することが出来る。
遠心分離機のハウジングが硬質である場合には、操作開始時において第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間は気体又は液体によって満たされていることが考えられるが、液体によって血漿成分が希釈されることは好ましくないため、少なくとも一部は気体によって満たされていることが好ましい。血漿成分が遠心力によって粒子捕捉フィルタで濾過されることにより、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間へと到達することで、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間内を満たす気体に圧力が印加される。印加された圧力を開放しなければ、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間において上昇した圧力によって、粒子捕捉フィルタの膜間差圧が小さくなり、濾過が妨げられる一方、粒子捕捉フィルタの孔径が非常に小さい場合には、気体が粒子捕捉フィルタを透過する速度は非常に遅くなる上、特に粒子捕捉フィルタの表面が親水性で、血漿成分のような液体が細孔を満たしている場合には、細孔に充填された液体が毛細管現象で強く保持されるため、気体は殆ど透過出来なくなる。第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間に印加される圧力によって通気的接続手段を介して気体を第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間へ押し出して透過させることは、上のような問題を解消することが出来るため、好ましい。特に、全血を一定量移送した後に移送を停止する場合には、血漿成分が濾過されることで第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間は陰圧となることから、2次側空間で押し出された気体が通気的接続手段を介して1次側に透過することで、膜間差圧の減少を防ぐことができる。
血液提供者から全血を採血しながら血液成分を分離して血漿成分を採取する場合において、第1の空間に残留した非血漿成分を血液提供者に返血することは、血液提供者の身体的負担を軽減することが出来るため、好ましい。貯留した全血より血液成分を分離する場合においても、第1の空間に残留した非血漿成分を血液バッグ等の容器に返血することは、赤血球製剤等の輸血製剤として利用することが出来るため、好ましい。返血の際に非血漿成分を移送する手段は特に限定されないが、速やかに操作を完了するためには、例えばペリスタティックポンプ等による能動的な移送が好ましい。能動的な移送を行う手段として、圧力は遠心分離機の導入側を陰圧にすること、又は排出側を陽圧にすることが挙げられるが、いずれの手段を用いる場合においても、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間から1次側空間へ気体が通気的接続手段を介して移動することは、非血漿成分の速やかな移送を可能にすることから好ましい。
遠心分離機のハウジングが硬質である場合には、濾過された血漿成分を排出路より回収することにより、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間内が陰圧となる。圧力を開放しなければ、第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間が陰圧になることによって、血漿成分の回収が妨げられる一方、粒子捕捉フィルタの孔径が非常に小さい場合には、気体が粒子捕捉フィルタを透過する速度は非常に遅くなる上、特に粒子捕捉フィルタの表面が親水性で、血漿成分のような液体が細孔を満たしている場合には、細孔に充填された液体が毛細管現象で強く保持されるため、気体は殆ど透過出来なくなる。陰圧となる第2の空間における粒子捕捉フィルタの2次側空間に通気的接続手段によって気体を第2の空間における粒子捕捉フィルタの1次側空間から透過させることは、上のような問題を解消することが出来るため、好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定
されるものではない。
[実施例1]
図1の構成を有する、遠心分離装置を準備した。血液成分分離空間3の容積は約500ml、濾過空間5の容積は約250ml、回収空間7の容積は約250mlである。血液分離空間の外壁17は、回転軸に対して約15度傾斜しており、回転軸から下端までの距離及び回転軸から粒子除去フィルタ6までの距離は共に10cmとなっている。粒子除去フィルタ6としては、膜厚100μm、平均孔径35nmのポリエチレン製平板状微多孔膜の表面を2−ヒドロキシプロピルアクリレートのグラフト重合により親水化したものを用いた。通気のための接続手段11としては、平均孔径200nm、膜厚20μmのポリエチレン製平板状微多孔膜を用いた。入口1及び出口10に圧力計を取り付け、以下の各工程での圧力を測定した。圧力が0.05MPaを超えた場合には、安全のため操作を停止することとした。
工程1 出口2を気体収容用バッグに開放する。遠心分離装置を5000rpmで回転させながら入口1よりペリスタティックポンプによって全血を50ml/minで約450ml導入後、ペリスタティックポンプを停止し、約20分間遠心する。
工程2 回転を継続しながら入口1より全血を50ml/minで約200ml導入して回転を停止し、ペリスタティックポンプの回転方向を反転させることで血液分離空間3中の非血漿成分約250mlを返血する。
工程3 返血完了後、遠心分離装置を再び5000rpmで回転させ、15分後に出口11よりペリスタティックポンプによって濾過された血漿成分を回収する。
工程1では入口側で最大0.01MPa、出口側で最大0.002MPaであった。工程2では入口側、出口側ともに最大0.0001MPa以下であった。工程3では入口側、出口側ともに最大0.0001MPa以下であった。一連の工程により、濾過済みの血漿成分約200mlを調製することができた。
[比較例1]
実施例1と同様の装置で、通気のための接続手段を微多孔膜に換えて細孔を有しないポリエチレン製フィルムとすることで、通気できないようにしたものを準備した。工程1では、約400ml導入時に入口側圧力が0.05MPaを超えてしまったため、操作を取りやめた。
[実施例2]
実施例1と同様の装置を準備した。ウシウィルス性下痢症ウィルス(BVDV)の感染力価がTCID50で108となるように調製したウィルス液を全血900mlに対して100ml加え、実施例1と同様の操作を行った。いずれの工程においても入口側、出口側ともに圧力は0.05MPaを超えることはなかった。濾過され、回収された血漿の感染力価を測定したところ、測定限界である103以下となり、対数除去率(LRV)は4以上であった。
[比較例2]
実施例1と同様の装置で、粒子捕捉フィルタを取り外したものを準備した。実施例2と同様の操作を行ったところ、いずれの工程においても入口側、出口側ともに圧力は0.05MPaを超えることはなかった。回収された血漿の感染力価を測定したところ、107となり、LRVは0.1未満であった。
本発明の血液成分分離装置は、全血からウィルス等の病原体が除去された血漿を調製する医療用具として好適であり、血液成分の分離と病原体の除去を同時に行うことができる。
本発明の、血液成分分離装置の構成の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置における血液成分の分離の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置における血漿成分の濾過の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置における血漿成分の濾過の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置の構成の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置における血液成分の分離の一態様を示した模式図である。 本発明の、血液成分分離装置における血漿成分の濾過の一態様を示した模式図である。
符号の説明
1 入口
2 導入路
3 血液成分分離空間
4 ダム部
5 濾過空間
6 粒子捕捉フィルタ
7 回収空間
8 回収口
9 排出経路
10 出口
11 接続手段
12 ハウジング
13 密閉シール
14 通路
15 隔壁
16 第2の空間
17 血液成分分離空間の外壁
18 コア部
19 血漿成分
20 非血漿成分
21 血漿成分
22 回収口
23 血液分離用可撓性ハウジング
24 濾過用可撓性ハウジング
25 粒子捕捉フィルタ
26 血液成分分離空間
27 1次側空間
28 2次側空間
29 入口
30 出口
31 入口
32 遠心半径方向
33 血漿成分
34 非血漿成分
35 血漿成分
36 移送路
37 ローター
38 凸部
39 ダム部

Claims (9)

  1. 血液提供者から採血した全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分とに分離するための第1の空間(A)と、分離した血漿成分を遠心力によって濾過するための粒子捕捉フィルタを備える第2の空間(B)が、同一の回転軸を共有しており、かつ、該第1の空間から該第2の空間へ血漿成分を移送するための通路(C)を有することを特徴とする遠心分離機を具備する血液成分分離装置。
  2. 該第2の空間は少なくとも該第1の空間の遠心半径方向外側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の血液成分分離装置。
  3. 該第2の空間が硬質ハウジングからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の血液成分分離装置。
  4. 該第2の空間が粒子捕捉フィルタによって遠心半径方向内側と遠心半径方向外側の2つの区画に仕切られ、該2つの区画が接続手段によって通気されていることを特徴とする、請求項3に記載の血液成分分離装置。
  5. 該接続手段の接続部が第2の空間から粒子補足フィルタによってろ過された血漿成分を排出するための排出経路の入口より上に配置されていることを特徴とるす請求項4に記載の血液成分分離装置。
  6. 該排出経路の入口部が該粒子捕捉フィルタよりも遠心半径方向外側に位置していることを特徴とする、請求項4に記載の血液成分分離装置。
  7. 該第1の空間及び/または該第2の空間が、可撓性ハウジングから構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の血液成分分離装置。
  8. 該粒子がウィルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫、病原性プリオン、白血球、細胞由来粒子のうち少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の血液成分分離装置。
  9. 血液提供者から採血した全血より血漿成分を分離して採集する方法であって、該血漿成分を、
    (1)遠心分離機内の第1の空間へ全血を移送し、
    (2)該第1の空間において、全血を遠心力によって血漿成分と非血漿成分とに分離し、
    (3)該第1の空間から、遠心分離機内の粒子捕捉フィルタを備える第2の空間へ該通路Cを利用して血漿成分を移送し、
    (4)該第2の空間において、血漿成分を遠心力によって該粒子捕捉フィルタで濾過して得ることを特徴とする血液成分分離方法。


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