JP2007230411A - 補助動力付き車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】搭乗者の体力などの特性を把握することが可能で、搭乗者の特性(性別、年齢等)を把握して最適なアシスト比率を設定することができ、走行距離を延ばすことも可能である電動アシスト自転車などの補助動力付き車両を提供する。
【解決手段】補助駆動力を制御する制御部10が、トルクセンサ11により検出された踏力値を随時入力し、この踏力値から、走行時における基準単位時間間隔内での各最大踏力値を記憶部17に順次記憶させ、記憶させた複数の最大踏力値に基づいて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、踏力などの人力駆動力を検出する人力駆動力検出部と、人力駆動力に加える補助駆動力をモータから発生させる補助駆動部とを有し、人力駆動力にモータからの補助駆動力を付加して走行する電動アシスト自転車などの補助動力付き車両、特にそのアシスト比率の設定方法に関するものである。
踏力などの人力駆動力に、バッテリによって作動するモータを備えたモータ駆動ユニットの補助駆動力を加えることで、上り坂などでも楽に走行できる電動アシスト自転車は既に知られている。従来、この種の電動アシスト自転車においては、一般に、人力駆動力として踏力をトルクセンサ等により検出するとともに、この検出時の瞬間の人力駆動力に応じて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を設定していた。
例えば、特許文献1に開示された電動アシスト自転車においては、人力駆動力としてのペダルへの踏力(踏力トルク)を随時検出し、検出時の踏力が、予め設定した範囲内であればアシスト比率を大(例えば1.0以上)とし、踏力が前記設定範囲よりも小さい場合および前記設定範囲値よりも大きい場合に、アシスト比率を小(例えば1.0未満)にする構成としている。そして、踏力の測定は継続して行うものの、その測定の瞬間の踏力値に基づいて判定してアシスト比率を決定している。
また、特許文献2に開示された電動アシスト自転車においては、1分間や2分間での踏力の平均値を算出して、この踏力の平均値が大きい時にアシスト比率も大とし、また踏力の平均値が小さい時にはアシスト比率を小とする手法と、図11に示すように、検出トルクに基づいてアシスト比率Aを算出し、算出したアシスト比率Aが直前のアシスト比率A’よりも大きい場合には、算出したアシスト比率Aに変更する一方、算出したアシスト比率Aが直前のアシスト比率A’よりも小さい場合には、この算出したアシスト比率Aが、直前のアシスト比率A’よりも小さい状態で所定時間を越えた場合(タイマによるカウント値Tが50を越えた場合)のみ前記アシスト比率Aに変更する手法が開示されている。
このように構成することで、走行場所が、上り坂の途中に一時的に平地になる場所がある場合などにアシスト比率が頻繁に変更されて乗り心地が悪くなるなどの不具合に対処するよう図られている。
特開平11−91678号公報 特開2000−142548公報
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2に開示されたアシスト比率の決定手法によれば、搭乗者の体力などの特性に関係なく、走行している瞬間の踏力やその時から数分間の踏み込み状況などに強い影響を受けた状態でアシスト比率が決定されるため、以下のような欠点がある。
すなわち、特許文献1に開示されたアシスト比率の決定手法を採用すると、上り坂の走行中などにペダルを強く踏み込んだ場合には、電動アシスト自転車としては十分な補助駆動力を加える機能を有しているにもかかわらず、小さいアシスト比率に変更されて補助駆動力が少なくなり、搭乗者(運転者)が老齢者や女性などの体力が少ない人である場合でも、搭乗者へのさらなる踏み込みを強いる欠点がある。また、アシスト比率を大きめに変更する設定範囲値の設定方法によっては、搭乗者が、青年期の男性など体力が十分ある人である場合に、少し強めにペダルを踏み込んだだけで、大きめのアシスト比率となってバッテリの負荷(使用量)が大きくなり、その結果、補助駆動力を付加できる走行距離が短くなるおそれがある。
また、特許文献2に開示されたアシスト比率の決定手法において、1分間や2分間での踏力トルクの平均値に基づいて、検出トルクに比例するようにアシスト比率を変更する手法を採用した場合や、検出トルクが大きくなった場合にはアシスト比率を変更する一方で、検出トルクが小さくなった場合にはこの状態がしばらく続いた(例えばタイマーの50カウント(50秒))場合に限りアシスト比率を変更する手法を採用した場合でも、搭乗者が、青年期の男性など体力が十分ある人である場合に、少し強めにペダルを踏み込んだだけで、大きめのアシスト比率となってバッテリの負荷が大きくなり、ひいては補助駆動力を付加できる走行距離が短めになるおそれがある。
本発明は上記課題を解決するもので、搭乗者の体力などの特性を把握することが可能で、搭乗者の特性(性別、年齢等)を把握して最適なアシスト比率を設定することができ、搭乗者(運転者)が、青年期の男性など体力が十分ある人である場合には、最適なアシスト比率を設定できると同時に走行距離を延ばすことも可能である電動アシスト自転車などの補助動力付き車両を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の補助動力付き車両は、人力駆動力を検出する人力駆動力検出部と、人力駆動力に加える補助駆動力をモータから発生させる補助駆動部と、補助駆動力を制御する制御部と、人力駆動力値の履歴データを記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、人力駆動力検出部により検出された人力駆動力値を随時入力し、この人力駆動力値から、走行時における基準単位時間間隔内での各駆動力最大値を時間経過に伴わせて記憶部に順次記憶させ、記憶させた複数の最大人力駆動力値に基づいて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を調整することを特徴とする。
この構成により、補助動力付き車両が例えば電動アシスト自転車である場合に、走行時などに人力駆動力検出部により、ペダルに作用する踏力などの人力駆動力を随時検出し、例えば、1日において、走行中の基準単位時間間隔内(例えば走行時における1分間毎)の最大踏力トルクなどの最大人力駆動力値を、記憶部に記憶させる。そして、このようにして記憶した複数の最大人力駆動力値を参照することで、搭乗者(運転者)が、体力がある人なのか、少ない人なのかなど、搭乗者の特性を判定することができるので、これに基づいて、その搭乗者の特性に合わせてアシスト比率を調整する。
すなわち、一定期間の踏力を読取り、この一定期間の各基準単位時間間隔内の最大人力駆動力値(最大踏力値)を認識することにより、搭乗者の特性を見極め、記憶部に記憶している複数のアシスト比率のパターンから最適なものを選択するなどして、アシスト比率を調整する。
ところで、補助動力付き車両が例えば電動アシスト自転車である場合に、搭乗者のペダルへの踏力には性別、年齢等によって特徴がある。例えば最大踏力に関して言えば、女性では50歳代:19kg、20歳代:23kg、男性で50歳代:23kg、20歳代:28kgが平均的な値と言われている。平坦路での自転車の発進時の踏力に関しても同様なことが言え、女性50歳代で11kg、男性20歳代で19kg程度と大きな開きがある。
上記踏力の差をアシスト比率と良好に相関させるべく、瞬時の踏力の検出ではなく、踏力の測定を一定期間継続して行い、搭乗者の体力などの固有情報に関するものとして、踏力(トルク)の最大値などの最大人力駆動力値を多数読取り、壮年者は踏力の最大値が大、そして老齢者は踏力の最大値が小であることから、これを判断基準として認識して判定し、アシスト比率を変化させるものである。
これによって、搭乗者の特性が明確になり、その搭乗者に最適なアシスト比率を設定できる。
また、本発明は、この場合のアシスト比率の調整手法として、所定期間中に読み取った複数の最大人力駆動力値(最大踏力値)が大きいと認識した場合はアシスト比率を小さく、前記最大人力駆動力値(最大踏力値)が小さいと認識した場合はアシスト比率を大きく調整するものである。
これによって、本来、あまり大きな補助駆動力が必要でない壮年者等に対しては、不必要な補助駆動力を与えないで、走行距離を延長させることができ、また老齢者等に対しては、必要となる大きめの補助駆動力を与えることができる。これら一連の補助駆動力変更の働きは、搭乗者の選択ではなく、電動アシスト自転車の制御部が踏力の傾向を読取り、自動的に行うものである。
また、本発明は、最大人力駆動力値に基づく設定でアシスト比率が小となったとしても、停車状態からの発進時等には踏力が一定以上であれば大きなアシスト比率で対応させることで坂道発進時等の使い勝手の向上を目指している。
本発明によれば、従来のように、走行時の瞬間や数分間の踏み込み状況(すなわち現在のタイミングでの踏力値(人力駆動力値))に基づいてアシスト比率を調整するのではなく、例えば1日以上という長期間の人力駆動力値を随時検出するとともに、この長期間の人力駆動力から、基準単位時間間隔内毎、たとえば、1分間内での最大人力駆動力値を時間経過に伴わせて記憶部に順次記憶させ、この最大人力駆動力値によって搭乗者の特性を学習することで、搭乗者に本来必要なアシスト比率を適正に決定することができ、しかも、搭乗者によっては必要でないアシスト力を与えることもなくなり、電動アシスト自転車などの補助動力付き車両の走行距離を増加させることができる。
本発明の補助動力付き車両は、人力駆動力を検出する人力駆動力検出部と、人力駆動力に加える補助駆動力をモータから発生させる補助駆動部と、補助駆動力を制御する制御部と、人力駆動力値の履歴データを記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、人力駆動力検出部により検出された人力駆動力値を随時入力し、この人力駆動力値から、走行時における基準単位時間間隔内での各駆動力最大値を時間経過に伴わせて記憶部に順次記憶させ、記憶させた複数の最大人力駆動力値に基づいて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を調整することを特徴とする。
すなわち、電動アシスト自転車等の補助動力付き車両において、走行時における基準単位時間間隔内での各駆動力最大値に基づいてアシスト比率を調整する機能を制御部に持たせることで、搭乗者の特性に合ったアシスト比率を決定することができ、しかも、搭乗者によっては必要でないアシスト力を与えることもなくなるので、電動アシスト自転車などの補助動力付き車両の走行距離を延長させることができる。
また、本発明は、上記構成において、最大人力駆動力値に対する閾値または複数の設定領域を記憶部に記憶させ、所定期間内で順次記憶させた複数の最大人力駆動力値における閾値を越えた回数または各設定領域における最大人力駆動力値の割合に基づいてアシスト比率を調整することを特徴とし、この構成により、搭乗者の特性を良好に把握することができる。
また、本発明の制御部は、所定期間内で順次読み取って記憶させた複数の最大人力駆動力値が大きいと認識した場合はアシスト比率を小さく、前記複数の最大人力駆動力値が小さいと認識した場合はアシスト比率を大きくすることを特徴とし、この構成により、壮年者には急激な発進、そして過度のスピードの出過ぎを抑えて安全を担保させ、老齢者には大きなアシスト比率で楽な運転を提供することができる。
また、本発明は、速度に対応するアシスト比率の設定パターンを記憶部に複数種類記憶させ、この複数の設定パターンの中から、最大人力駆動力値に基づいて、1つのアシスト比率の設定パターンを選択することを特徴とする。
また、本発明は、最大人力駆動力値に基づく調整によりアシスト比率を小さくする設定になった場合に、停止状態からの発進時には、一定時間内でアシスト比率を前記設定より大きくすることを特徴とし、この構成により、平坦路や上り坂の使用において一番踏力を必要とする発進時には大きなアシスト比率を与えることができて、使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る補助動力付き車両としての電動アシスト自転車の後方からの外観図を示すものであり、図2は、同電動アシスト自転車の基本構成を概略的に示すブロック図である。
図1、図2に示すように、電動アシスト自転車は、前輪1および後輪2がそれぞれ回転自在に取り付けられた車体3と、人力駆動力(踏力)が加えられるペダル4がクランク5を介して取り付けられたクランク軸6と、このクランク軸6を回転自在に支持するとともに、補助駆動力を発生する補助動力源としてのモータ7や減速機8、補助駆動力を出力する駆動スプロケット9、ペダル4からの踏力を検出するトルクセンサ(人力駆動力検出部)11、および各種制御動作を行う制御部10などが設けられた補助駆動部としてのモータ駆動ユニット12(図1においては、チェーンカバー18の裏面に隠れている)と、モータ駆動ユニット12に給電する二次電池からなるバッテリ13と、ハンドル14に取り付けられてモータ駆動ユニット12への給電を切り替える電源スイッチなどが設けられている操作部15と、人力駆動力および補助駆動力を後輪2に伝達するチェーン16などを備えている。
制御部10は、トルクセンサ11により検出されたペダル4からの踏力トルク値を随時入力し、後述する処理により設定したアシスト比率に応じた補助駆動力を駆動スプロケット9から出力するようにモータ7を制御し、これらの人力駆動力と補助駆動力とを合わせてチェーン16を介して後輪2側に伝達することで、人力駆動力を補助(アシスト)して走行するように動作する。なお、制御部10は例えばマイクロコンピュータを含む電気回路などにより構成されており、計時用のタイマと、不揮発性メモリからなる記憶部17などを備えている。なお、図2においては、制御部10をモータ駆動ユニット12に内蔵させた場合を示しているが、モータ駆動ユニット12以外の箇所に配設しても差し支えない。
また、図示しないが、電動アシスト自転車の走行速度を測定する速度計も設けられており、例えば、回転位置センサによりモータ7の回転変位量を計測し、計測した回転変位量のデータに基づいて電動自転車の速度データを算出する構成とされている。なお、これに限るものではなく、別途に設けた速度センサを用いて電動自転車の速度、すなわち車速を計測したり、後輪や前輪の回転量を検知するセンサを設けて速度を算出してもよい。
また、電動アシスト自転車のアシスト比率は、アシスト比率=補助駆動力/踏力で表され、現時点では法律上、最大値が1以下となるように規制されている。また、自転車の走行速度が時速15km/hまではアシスト比率1.0以下とするとともに、時速15〜24km/hでは速度に比例してアシスト比率を減少させ、時速24km/hに達するとアシスト比率をゼロにすることが義務付けられている。
これに対応して、本発明の電動アシスト自転車では、図3(a)に示すように、上記規制範囲内で、アシスト比率が大きめとなる設定パターン18aから小さめとなる設定パターン18dまで、複数の設定パターン18a〜18dを予め記憶部17に記憶させており、この複数の設定パターン18a〜18dの中の1つが制御部10により選択される。なお、図3において、太実線で示す設定パターン18aは車速に対するアシスト比率が最大となる設定パターン18aであり、例えば、この設定パターン18aは、自転車の走行速度が時速15km/hまではアシスト比率が1.0、時速15〜24km/hでは時速15km/hに対する超過速度に比例してアシスト比率が下がり、時速24km/hに達するとアシスト比率がゼロになるよう設定されている。また、図3(a)において、太点線で示す設定パターン18dは車速に対するアシスト比率が最小となる設定パターン18dであり、例えば、この設定パターン18dは、自転車の走行速度が時速15km/hまではアシスト比率が0.4、時速15〜24km/hでは時速15km/hに対する超過速度に比例してアシスト比率が下がり、時速24km/hに達するとアシスト比率がゼロになるよう設定されている。また同様に、設定パターン18b(または設定パターン18c)では、自転車の走行速度が時速15km/hまではアシスト比率が0.8(または0.6)、時速15〜24km/hでは時速15km/hに対する超過速度に比例してアシスト比率が下がるよう設定されている。このように、この実施の形態では、例えば、走行速度が時速15km/hまではアシスト比率が1.0〜0.4(すなわち、0.2ずつ異なる)の範囲となる4つの設定パターン18a〜18dの中の1つが制御部10により選択される。
また特に、制御部10は、トルクセンサ11から人力駆動力値としての踏力値を随時、例えば、0.1秒間隔で順次入力し、この人力駆動力値から、走行時における基準単位時間間隔内、この実施の形態では、単位時間を1分とした1分間毎での各最大踏力値を時間経過に伴わせて記憶部17に順次記憶させ、所定期間(n日、例えば、1日)内の記憶した複数の最大踏力値を、予め記憶部17に記憶させた判定用の閾値と比較して、アシスト比率を調整する。また、この実施の形態においては、制御部10は、順次記憶させた複数の最大踏力値が大きいと認識した場合はアシスト比率を小さく、前記複数の最大人力駆動力値が小さいと認識した場合はアシスト比率を大きくするように調整する。なお、図3(a)に示すように、何れの場合でも所定速度(時速15km/h)以上となった場合に、徐々にアシスト比率を下げる代わりに、図3(b)に示すように、自転車の走行速度が時速15km/hまでアシスト比率が0.4、0.6、0.8の場合には、アシスト比率が小さい場合ほど、高速になるまで同じアシスト比率を維持するように構成してもよい。この場合、図3(a)に示す場合に比べて、少しでも広い範囲にわたって、高いアシスト比率を得ることが期待できる。
ここで、例えば、判定用の閾値としては、図4や図5に示すように、設定されているアシスト比率(上記した走行速度が時速15km/hまでのアシスト比率)が1.0である場合(設定パターン18aである場合)の第1閾値19.6kg、アシスト比率が0.8である場合(設定パターン18bである場合)の第2閾値23.7kg、アシスト比率が0.6以下である場合(設定パターン18c、18dである場合)の第3閾値27.8kg、の3つの閾値が予め記憶されている。
アシスト比率を決定する制御動作を、図6のフローチャートを参照しながら詳しく、説明する。なお、この制御動作は、操作部15に設けられた電源スイッチがON状態に切り替えられた状態で行われ、電源スイッチがOFF状態であり、アシストしない状態(補助駆動されずに、単なる自転車として使用される場合)には行われない。
まず、電動アシスト自転車を初めて使用する場合には、アシスト比率が、予め設定された初期アシスト比率(例えば0.8:図3における設定パターン18b)に設定され(ステップS1)、また、データ入力期間がゼロに設定される(ステップS2)。
次に、この状態でタイマにより計時(タイマカウント)しながら、トルクセンサ11から人力駆動力値としての踏力値を随時入力し、かつ、タイマカウント後のn日間(例えば1日間)における基準単位時間間隔内毎の最大踏力値(例えば、基準単位時間が1分であり、1分間内で測定した最大の踏力値)を読み取り、この最大踏力値を時間経過に伴わせて記憶部17に順次記憶させる(ステップS3)。また、次のステップS4において、現在の設定されているアシスト比率に該当する閾値(例えば、現在のアシスト比率が0.8である場合には、第2閾値23.7kg)を越えた回数(連続して越えた回数に設定してもよい)を異常踏力回数として読み取る。
そして、所定期間(n日)分のデータを取得した時点(例えばn=1として日付が変わった場合としたり、n=2として、データ取得時間が48時間以上経過した場合(電源スイッチがON状態となって実質的に48時間以上データを取得した時間)としてもよい)で、ステップS5に進んで、異常踏力回数が所定の判定用の回数(判定回数と称す:例えば2回)を越えているかどうかを判定する。ステップS5において異常踏力回数が判定回数を越えていた場合、ステップS6に進んで、読取った異常踏力に相当する低めのアシスト比率(例えば、第2閾値23.7kgを所定回数越えていた場合にはアシスト比率0.6(図3における設定パターン18c))に変更する。
一方、ステップS5において異常踏力回数が判定回数を越えていなかった場合は、ステップS7に進んで、既にステップS3でn日間格納した踏力に対応する複数の最大踏力値において、前記複数の閾値で区切ったどの領域範囲の割合が多いかを判定し、次のステップS8で、最も割合が多い領域範囲に予め割り当てられているアシスト比率に変更する。なお、この実施の形態においては、最も割合が多い領域範囲が、第1閾値19.6kg未満であればアシスト比率1.0(図3における設定パターン18a)に設定され、第1閾値19.6kgから第2閾値23.7kgまでの間であればアシスト比率0.8(図3における設定パターン18b)に設定され、第2閾値23.7kgから第3閾値27.8kgまでの間であればアシスト比率0.6(図3における設定パターン18c)に設定され、第3閾値27.8kgよりも大きければアシスト比率0.4(図3における設定パターン18d)に設定されるように構成されている。但し、上記のように場合には、異常踏力回数が第2閾値23.7kgを前記判定回数を越えていないので、アシスト比率は0.8(図3における設定パターン18b)のまま(最も割合が多い領域範囲が第1閾値19.6kgから第2閾値23.7kgまでの間である場合)か、或いは1.0(図3における設定パターン18a)に変更される(最も割合が多い領域範囲が第1閾値19.6kg未満である場合)。このように、このステップS8では現在のアシスト比率を維持する場合もある。なおこの後、アシスト比率を変更した場合には、ステップS9からステップS10に進んで、ステップS4で用いるアシスト比率に対応する閾値を変更する。一方、アシスト比率を変更しなかった場合には、ステップS3に戻り、継続して踏力や最大踏力値のデータを取得する。
図5はアシスト比率の調整の簡略的な具体例を示すものであり、図5(a)は横軸に時間経過、縦軸に最大踏力を表した図であり、図5(b)は横軸に時間経過、縦軸にアシスト比率を表した図である。図5(b)に示すように、当初のアシスト比率が0.8に初期設定された状態で、例えば、30歳の男性が搭乗して使用し、これに伴って踏力が測定開始され、例えば、1日使用した結果の最大踏力値が第2閾値23.7kg以上であるものが3回あり、判定回数である2回よりも多いことから、ステップS5からステップS6に進んで、この第2閾値23.7kgの上の領域に対応するアシスト比率0.6(図3における設定パターン18c)に変更される(図5(b)におけるA点)。このように、体力がある搭乗者の場合には4種類のアシスト比率の中から低めのアシスト比率0.6に自動的に調整されるので、このような調整を行わなかった場合に比べて、急激な発進やスピードの出過ぎを抑えて安全を担保させることができるとともに、体力がある搭乗者にとって必要でないアシスト力を与えることもなくなるので、電動アシスト自転車の走行距離を増加させることができる。ここで、図7を用いて、アシスト比率と、アシスト力(補助駆動力)を受けながら走行できる距離との相関関係を説明する。仮にアシスト比率が1の時に、50kmを走行できるバッテリ容量があるとすれば、アシスト比率が0.5である場合には走行距離が2倍の100kmとなる。すなわち、必要としないアシスト力を与えなければ、走行距離を確実に延ばすことができる。
なお、この例では、アシスト比率0.6に調整された場合に、ステップS4で用いるアシスト比率に対応する閾値が第3閾値27.8kgに変更される。そして、この後は、引き続き、最近の所定期間のデータに係る複数の最大踏力値に基づき、ステップS4において、この閾値を越えた異常踏力回数が判定用回数を越えたかを判断する。そして、異常踏力回数が判定用回数を越えていない場合は、ステップS7において、複数の閾値で区切ったどの領域範囲の割合が多いかを判定し、次のステップS8で、最も割合が多い領域範囲に予め割り当てられているアシスト比率に調整する。したがって、同じ人が継続して搭乗し、最大踏力値の変動が殆どなかった場合には、同じアシスト比率0.6に継続して設定される。
次に、図5(a)に示すように、「男性30歳」の搭乗者から「女性60歳」の搭乗者変わるなどして、踏力が総じて小さくなり、これに伴って、所定期間(例えば1日)分の最大踏力値が第3閾値27.8kgを越えなかった場合には、ステップS7において、前記最大踏力値(図5(a)におけるD点より右側の部分を参照)が、複数の閾値で区切ったどの領域範囲の割合が多いかが判定される。この際に、図5(a)に示すように、最大踏力値がほぼ第1閾値19.6kgよりも小さい場合(または、第1閾値19.6kgよりも小さい領域範囲の割合が多い場合)には、第1閾値19.6kgより下の領域(図4の網掛け部分を参照のこと)に対応するアシスト比率1.0(図3における設定パターン18a)に変更される(図5(b)におけるB点)。このように、体力が少ない搭乗者の場合には4種類のアシスト比率の中から大きめのアシスト比率1.0に自動的に調整されるので、このような調整を行わなかった場合に比べて、大きめのアシスト力(補助駆動力)が付加されることとなり、老齢者や女性など、体力が少ない搭乗者に対して、さらなる踏み込みを強いることが最小限に抑えられて、楽な運転を提供することができ、使い勝手が良好となる。また、搭乗者が自分の体力などの特性に合ったアシスト比率に切り換える手間も不要であるとともに、自分の体力などの特性に合っていないアシスト比率に切り換えるおそれもなく、信頼性が良好である。
なお、上記実施の形態では、所定期間の踏力値データが収集された時点で、複数の最大踏力値に基づき、ステップS4において、この閾値を越えた異常踏力回数が判定用回数を越えたかを判断し、異常踏力回数が判定用回数を越えていない場合は、ステップS7において、複数の閾値で区切ったどの領域範囲の割合が多いかを判定し、次のステップS8で、最も割合が多い領域範囲に予め割り当てる手法を採用した場合を述べたが、これに限るものではない。例えば、単に、ステップS4に対応する段階で、異常踏力回数(連続する異常踏力回数としてもよい)が判定用回数を越えている閾値を認識して、この閾値の上方の領域範囲(図4参照)に対応するアシスト比率に調整するように構成してもよい。また、これに代えて、上記ステップS4を設けることなく、単に上記ステップS7と同様の、複数の閾値で区切ったどの領域範囲の割合が多いかを判定して、アシスト比率に調整するように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、操作部15に、モータ駆動ユニット12への給電を切り替える電源スイッチだけが設けられている場合を述べたが、これに限るものではない。例えば、図8に示すように、操作部15に、モータ駆動ユニット12への給電を切り替える電源スイッチ20に、上記のように搭乗者の体力等に見合った最適なアシスト比率を自動的に設定する「最適モード」から、強制的に最大のアシスト比率(または標準のアシスト比率など所定値のアシスト比率としてもよい)に切り換えるための、モード解除スイッチ24を設けて、搭乗者が特により大きなアシスト力を必要としているような場合(または、標準のアシスト比率に戻したい場合)に、このモード解除スイッチ24を押すことで、任意のタイミング(図5(b)におけるC点)で、搭乗者の要望に応えるように構成してもよい。なお、図8における23は、前記「最適モード」を解除した状態から、前記「最適モード」に戻すための最適モードスイッチであり、最適モードスイッチ23を押した(選択した)時点から、搭乗者の踏力データや最大踏力値の取得ならびに判定を再開する。
さらに操作部15に、図8に示すように、搭乗者としての2人分の特性を記憶するための搭乗者選択ボタン28,29を設けてもよく、この場合には、操作部15に表示部22を設けるとともに、この表示部22に該当する搭乗者(実際には、搭乗者に対応する記憶領域)を表す搭乗者番号表示部22aを設けてもよい。なお、第1の搭乗者選択ボタン28を押すと搭乗者番号表示部22aに[1]が表示され、第2の搭乗者選択ボタン29を押すと搭乗者番号表示部22aに[2]が表示される。また、この例では[1][2]を表示するようにしているがこれ以上の追加も可能である。
これにより、複数の人が同じ電動アシスト自転車を利用する場合に、このような搭乗者選択ボタン28,29がなければ、例えば2人の人が交互に利用する場合に、人がかわってから前記所定期間(n日)経過するまでは前に乗った人の特性に合っているため、搭乗者の体力等の特性に合っていないアシスト比率となる不具合を生じるが、上記構成によればこのような不具合を解消したり、不具合の発生を最小限に抑えたりすることができる。また、表示部22には、これ以外にもバッテリ残量と、現在のアシスト比率(パワー)をも表示させるようにすると好適であり、この場合には、搭乗者が運転中の電動アシスト自転車の状態が把握できて利便性が向上する。
(実施の形態2)
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電動アシスト自転車のフローチャートであり、図10は時間経過と踏力・アシスト力の相関図である。なお、この実施の形態における電動アシスト自転車の制御動作も、上記第1の実施の形態での説明と同様に、操作部15に設けられた電源スイッチがON状態に切り替えられた状態で行われる。
まず、最初のステップS1において、初期アシスト比率(例えば0.8:図3における設定パターン18b)に設定され(ステップS1)、また、データ入力期間がゼロに設定される(ステップS2)。
次に、この状態でタイマにより計時(タイマカウント)しながら、トルクセンサ11から人力駆動力値としての踏力値を随時入力し、かつ、タイマカウント後のn日間(例えば1日間)における基準単位時間間隔内毎の最大踏力値(例えば、基準単位時間が1分であり、1分間内で測定した最大の踏力値)を読み取り、この最大踏力値を時間経過に伴わせて記憶部17に順次記憶させる(ステップS3)。また、次のステップS4において、現在の設定されているアシスト比率に該当する閾値(例えば、現在のアシスト比率が0.8である場合には、第2閾値23.7kg)を越えた回数(連続して越えた回数に設定してもよい)を異常踏力回数として読み取る。
次に、ステップS11において、この電動アシスト自転車が直前まで停止状態であり、現在発進途中であるか否かを判断する(例えば、車速が0である状態が5秒以上続いた後、現在の車速が0より大きい場合には、直前まで停止状態であり現在発進中であると判断する)。そして、発進中であると判断した場合には、ステップS12に進んで、踏力が所定の発進用判定値(例えば、6kg)より大きいか否かを判断する。踏力が前記所定値以上である場合には、平坦路や上り坂を走行して発進途中であると判断して、ステップS13に進んで、一定時間(例えば10秒以内)、現状のアシスト比率に+α%のアシスト比率のアップを行う。
これにより、発進時において、平坦路や上り坂など、特にアシスト力を必要とするときだけ、アシスト比率を増加させる。すなわち、図10のタイムチャート(時間経過−踏力・アシスト力相関図であり、横軸に時間経過(秒)を表す)に示すように、自転車の発進時には、車速が安定した速度に至るまでは大きな踏力が必要とされる。この数秒間のアシスト比率を一定条件の基にアップさせ、運転の疲労を軽減させるものである。なお、図10においては、1回目のペダリング時、踏力が16kg、アシスト力(点線)は9.6kgを表しアシスト比率は9.6÷16=0.6である場合を示している。スタートから数秒間、4〜5回のペダリングで踏力および車速は安定するが、車速安定に至るまでが大きな踏力が必要とされるため、この数秒間のアシスト比率を一定条件の基にアップさせることで、発進時の安定性を向上させたり、運転の疲労を軽減させたりすることができる。
なお、この後は、上記第1の実施の形態の図6、ステップS5〜S10と同様に、記憶させた複数の最大人力駆動力値に基づいて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を調整する。
上記第1の実施の形態では、搭乗者の特性(体力)に応じてアシスト比率を可変することによって走行距離の延長を行う利点を特に得られる一方で、場合によっては体力のあるものでも、アシスト比率が小さければ、発進時には発進姿勢が不安定となったり、一時的に疲労したりするおそれがあるが、上記第2の実施の形態によれば、このような不具合を改善することができる。
なお、上記の実施の形態では何れも、アシスト比率のパターンが図3に示すような4種類のものから選択する場合を述べたが、それ以外のアシスト比率のパターンでもよいことはもちろんである。また、アシスト比率の最大値等も上記実施の形態に限るものでないことも言うまでもない。
また、上記実施の形態では、補助動力付き車両が電動アシスト自転車である場合を述べたが、これに限るものではなく、車輪を回す箇所に腕からの力が作用した際に、この人力駆動力をトルクセンサ等で検知して人力駆動力に補助駆動力(アシスト力)を加え、走行時の搭乗者への負担を軽減する電動車椅子に上記構成を適用したり、また、集配のワゴンを押す力に、この押す場所にトルクセンサ等を取り付けて補助駆動力(アシスト力)を加えて、ワゴンを押す者への負担を軽減する集配ワゴン装置等に上記構成を適用したりしてもよい。
以上のように、本発明に係る補助動力付き車両は、電動アシスト自転車に特に適しているが、これに限るものではなく、電動車椅子や集配ワゴン装置等、人力駆動力に補助駆動力を加える機能を有する各種の補助動力付き車両に適用可能である。
本発明の実施の形態に係る補助動力付き車両としての電動アシスト自転車の後方からの外観図 同電動アシスト自転車の基本構成を概略的に示すブロック図 (a)、(b)はそれぞれ同電動アシスト自転車の車速とアシスト比率との相関を示す図 同電動アシスト自転車の最大踏力とアシスト比率との相関を示す図 同電動アシスト自転車におけるアシスト比率の調整の簡略的な具体例を示すものであり、(a)は横軸に時間経過、縦軸に最大踏力を表した図、図5(b)は横軸に時間経過、縦軸にアシスト比率を表した図 同電動アシスト自転車におけるアシスト比率の制御動作を示すフローチャート 走行距離とアシスト比率との相関を示す図 本発明の操作部を示す図 本発明の他の実施の形態に係る電動アシスト自転車におけるアシスト比率の制御動作を示すフローチャート 同実施の形態における時間経過と踏力・アシスト力との相関を示す図 従来の電動アシスト自転車の制御動作を示すフローチャート
符号の説明
4 ペダル
6 クランク
7 モータ(駆動源)
10 制御部
11 トルクセンサ(人力駆動力検出部)
12 モータ駆動ユニット
13 バッテリ
15 操作部
17 記憶部
20 電源スイッチ
22 表示部
23 最適モードスイッチ
28,29 搭乗者選択ボタン

Claims (6)

  1. 人力駆動力を検出する人力駆動力検出部と、人力駆動力に加える補助駆動力をモータから発生させる補助駆動部と、補助駆動力を制御する制御部と、人力駆動力値の履歴データを記憶する記憶部とを備え、
    前記制御部は、人力駆動力検出部により検出された人力駆動力値を随時入力し、この人力駆動力値から、走行時における基準単位時間間隔内での各駆動力最大値を時間経過に伴わせて記憶部に順次記憶させ、記憶させた複数の最大人力駆動力値に基づいて、人力駆動力に対する補助駆動力の比であるアシスト比率を調整することを特徴とする補助動力付き車両。
  2. 最大人力駆動力値に対する閾値または複数の設定領域を記憶部に記憶させ、所定期間内で順次記憶させた複数の最大人力駆動力値における閾値を越えた回数または各設定領域における最大人力駆動力値の割合に基づいてアシスト比率を調整することを特徴とする請求項1記載の補助動力付き車両。
  3. 制御部は、所定期間内で順次読み取って記憶させた複数の最大人力駆動力値が大きいと認識した場合はアシスト比率を小さく、前記複数の最大人力駆動力値が小さいと認識した場合はアシスト比率を大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の補助動力付き車両。
  4. 速度に対応するアシスト比率の設定パターンを記憶部に複数種類記憶させ、この複数の設定パターンの中から、最大人力駆動力値に基づいて、1つのアシスト比率の設定パターンを選択することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の補助動力付き車両。
  5. 最大人力駆動力値に基づく調整によりアシスト比率を小さくする設定になった場合に、停止状態からの発進時には、一定時間内でアシスト比率を前記設定より大きくすることを特徴とする請求項3に記載の補助動力付き車両。
  6. 補助動力付き車両が電動アシスト自転車である請求項1〜5の何れか1項に記載の補助動力付き車両。
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