JP2007224054A - 鉄組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油脂類には酸化劣化という大きな問題があり、中でも、銅、鉄、マンガン、ニッケル等の重金属が油脂類の劣化を促進する。鉄による油脂類の酸化劣化防止は重要な問題であるが、それを解決する技術がいまだ確立されていない為、油脂類や油脂を含有する食品に鉄を強化することは殆ど前例がない。本発明は、保存時の、油脂の酸化劣化作用を有さない酸化安定性の高い鉄組成物及び鉄強化油脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 平均粒子径1μm以下の鉄塩と、リン脂質および/またはリゾリン脂質を含有することにより前記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平均粒子径1μm以下の鉄塩と、リン脂質および/またはリゾリン脂質を含有することを特徴とする油脂の酸化劣化作用を有さない鉄組成物に関する。
鉄は血中の蛋白質であるヘモグロビンに結合した状態で存在し、鉄不足の状態になると組織中の貯蔵鉄から補われることが知られている。貯蔵鉄が不足した状態は潜在性貧血症と呼ばれ、発展途上国から先進国において世界的な問題となっている。この傾向は、女子高生や若い成人女性において特に顕著であり、その結果鉄欠乏性貧血を起こす女性が多数見られる。この原因としては、食生活に由来する点が一番大きいと考えられるが、女性の場合は、生理的な出血、妊娠による鉄需要の増加、およびダイエットによる摂取不足等、鉄不足による貧血になり易い環境下にあることも特徴的な原因である。従って、鉄の摂取にあたっては、毎日、毎食、あらゆる機会に適当量の鉄を摂取することが望まれている。
鉄の摂取に関しては、上記に示したように、鉄を強化した種々の食品や基本的な食材の提供が望まれている。しかし、油脂類や油脂を含有する食品に鉄を強化することは現在まで知られていなかった。
油脂類には酸化劣化という大きな問題があり、油脂類は保存中や加熱処理中劣化し、風味の劣化や悪臭の原因となったり、多くの疾病を引き起こす原因となる。従って、劣化した油脂類は商品価値が低く、油脂類の劣化を防止するための対策が、油脂類を利用する上で不可欠な技術として挙げられる。油脂類を劣化させる要因としては、光、酸素、ミネラルの存在等が挙げられるが、その中でも、銅、鉄、マンガン、ニッケル等の重金属が油脂類の劣化を促進する。また、食品中に含まれている金属では銅が1番で鉄が2番目に酸化の促進力が強いとされている。食品への鉄強化に通常用いられる硫酸第一鉄やクエン酸鉄等の無機鉄は、食品中に含まれる油脂類の劣化を促進する。
上記のように、鉄による油脂類の酸化劣化防止は重要な問題であるが、それを解決する技術がいまだ確立されていない為、油脂類や油脂を含有する食品に鉄を強化することは殆ど前例がない。なお、トコフェロールの抗酸化作用と縮合リン酸塩のシネルギストとしての効果も知られている(例えば、非特許文献1参照。)が、必ずしも満足できるものではなかった。
青山 稔ら,「トコフェロールの酸化防止効果向上に関する研究(第20報)」,油化学,日本油化学協会,第38巻,第1号,p.78,1989年1月
従って、本発明の目的は、保存時の、油脂の酸化劣化作用を有さない酸化安定性の高い鉄組成物及び鉄強化油脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果平均粒子径1μm以下に微細化した鉄塩をリン脂質および/またはリゾリン脂質により逆リポソーム化して調製された鉄組成物を油脂類に配合したところ、鉄による酸化劣化の促進が少なく安定である油脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の鉄組成物及び鉄強化油脂組成物を含有する食品は、鉄による保存中の油脂類の酸化劣化の促進が殆ど見られず安定であるので、食品、飼料、化粧品、医薬品、農薬、機械その他各種工業分野において利用することができる。
以下、まず本発明の鉄組成物について詳述する。本発明の鉄組成物は、平均粒子径1μm以下の鉄塩およびリン脂質および/またはリゾリン脂質を含有してなり、油脂に添加しても鉄による酸化劣化の促進が少ない安定な油脂組成物及びその油脂組成物を含有する食品を得る。
上記鉄組成物の製造法に特に制限は無く、種々の製造方法により製造されたものを何ら制限無く用いることができる。しかし、粗大化した粒子である場合、粒子のざらつきが食感に影響するため、平均粒子径1μm以下にする必要がある、すなわち中和造塩法及びミルによる摩砕法のどちらの方法により得られたものでも何ら制限無く用いることができる。平均粒子径1μm以下に微細化した物を得るには、中和造塩法は微細化調整には比較的好適であるが、水を溶媒として必要な為、油脂に添加する前に脱水する必要があり、その場合に平均粒子径1μm以上に粗大化しやすい。一方、ミルによる摩砕法は油脂類を分散媒として使用できるため、微細化調整後、そのまま用いることができるため、より好適である。
本発明における鉄塩は特に限定するものではなく、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄、EDTA鉄ナトリウム、グルコン酸第一鉄、乳酸鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄などがよい。さらに、味、食品成分との反応性、消化粘膜刺激性などの観点から、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄であることが好ましく、更に好ましくはピロリン酸第二鉄である。
また、鉄塩に加えて、マンガン塩やニッケル塩等の他ミネラル由来の塩を併用することも可能である。その場合の塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、マンガン塩、ニッケル塩、クロム塩、セレン塩、銅塩、モリブデン塩、ヨウ素塩等の1種または2種以上の混合物を用いることができる。
本発明におけるリン脂質とは、リン脂質化合物であれば、特に限定するものではなく、例えば、動物又は植物から抽出される大豆レシチン、卵黄レシチン、菜種レシチン、綿実レシチン、トウモロコシレシチン等、一般にレシチンと呼ばれるものや、それらの構成成分である、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、フォスファチジン酸、スフィンゴミエリン、フォスファチジルグリセロール及びそれらの水素添加品、アセチル化品、ヒドロキシル化品、ハロゲン化品、スルホン化品等のリン脂質及びその誘導体等が挙げられる。
本発明におけるリゾレシチンとは、上記レシチンをフォスホリパーゼで処理して得られる酵素分解レシチンのことであり、例えば、リゾ大豆レシチン、リゾ卵黄レシチン、リゾ菜種レシチン、リゾ綿実レシチン、リゾトウモロコシレシチン、リゾフォスファチジルコリン、リゾフォスファチジルイノシトール、リゾフォスファチジルエタノールアミン、リゾフォスファチジルセリン、リゾスフィンゴミエリン等が挙げられる
上記リン脂質及びリゾリン脂質は単独で用いても良く、また2種以上を併用しても良い。好ましくは、リゾレシチンの1種又は2種以上である。
さらに、安定な逆リポソームを得るためには、リン脂質とその酵素分解品であるリゾリン脂質を適当な配合比で添加し、HLB値の調整をすることが好ましい。
すなわち、その配合比としてはリン脂質100重量部に対してリゾリン脂質を0〜500重量部であり、更に好ましくは10〜400である。調整後のHLB値としては特に限定するものではないが、好ましくは7〜12であり、更に好ましくは7.5〜11である。
通常リポソームとは水系の溶媒中に2分子膜で安定化された物質となるが、本発明における溶媒は油脂類である。そこで、本発明の研究者らは創意工夫を重ねた結果、特定の作成法により油脂中において逆型のリポソームすなわち逆ベシクル構造を形成することを見いだし、さらに内相物質がミネラル塩の場合は安定な逆リポソームが形成されることを見出した。その作成法としては、例えば、鉄塩をコボールミル等の湿式摩砕装置により微細化するにあたって、あらかじめ逆リポソームに必要なリン脂質やその他の併用しても良い乳化剤としては特に限定するものではなく、通常ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコールの単品あるいは混合物、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルを添加しておく方法がある。上記方法で調製された鉄塩はリン脂質を必須とする2分子膜で逆リポソーム化されており、分散性が安定に保持されると共に、内容物の溶出を防ぐ為、酸化安定性も付与される。
本発明における微細化の条件とは、平均粒子径を1μm以下に調整することが必要である。すなわち平均粒子径が1μmより大きい粗大粒子となるとき、油脂類を含有する食品の食感をざらつきの面で著しく損なうとの理由からである。また、平均粒子径が1μmより大きい粗大粒子となるとき、保存中の分散安定性においても悪く、粒子は沈殿分離を引き起こす。また、平均粒子径を1μmより大きい粗大粒子では逆リポソームの作成が非常に困難となる。すなわち、たとえ粒子表面を逆リポソーム化したとしても、粒子の曲率が非常に小さい為、その逆リポソームによる分子の膜を安定に保てない等の問題がある。これらの問題を解決する為に、平均粒子径を1μm以下に、好ましくは平均粒子径を0.5μm以下に、更に好ましくは平均粒子径を0.3μm以下に微細化することが好ましい。ここで、平均粒子径の測定については既存の方法を用いることができ、特に限定されるものではなく、例えば動的光散乱法やレーザー回折光散乱法である。
本発明における油脂組成物に使われる油脂としては、とくに制限するものではないが、食品、飼料、化粧品、医薬品及び工業等の分野で利用される公知の油脂類成分を特に制限無く用いることができる。該油脂類成分としては液体状態のものを用いるが、常温で液体状態のものでもよく、また、加温により溶解するものであれば、特に制限無く用いることができる。該油脂類成分としては、例えば、抗酸化剤、栄養強化剤、薬剤及び動植物抽出物質、炭化水素類、動植物性油脂類、高級アルコール類、ワックス類、シリコーン系物質、ステロール類、これらを酵素処理(加水分解、エステル交換)や化学的処理(水素添加)したもの等が挙げられ、具体的には、ミックストコフェロール、d1-α-トコフェロール、トコトリエノール、ごま抽出物、β―カロチン、ビタミンA、ローズマリー油、ビタミンD類、ビタミンK類、ビタミンQ類、必須脂肪酸、米ぬか抽出物、γ−オリザノール、センブリエキス、プロポリス抽出物、セージ抽出物、ペパー抽出物、スクワレン、スッポンオイル、肝油、大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、落花生油、小麦胚芽油、玄米胚芽油、ハトムギ油、マカダミアンナッツ油、ガーリックオイル、魚油、卵油、卵黄油、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン、テレピン油、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソパルミチルエステル、ミリスチン酸2-オクチルドデシルエステル、2−エチルヘキサン酸グリセリルエステル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリルエステル、魚硬化油、コレステロール、フィトステロール、ラノリン、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、上記油性成分は、単独で用いても、又は2種以上を組み合わせて用いても良い。上記油脂類に微細化してリン脂質により逆リポソーム化した鉄塩を配合することにより、酸化に対して安定な鉄強化油脂組成物を得ることができる。
リン脂質および/またはリゾリン脂質の単用においても充分な逆リポソーム化による酸化劣化安定化効果が得られるが、油脂組成物への分散性および逆リポソームの安定性が得られない場合は補助剤として、ポリオキシチレン付加型界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル等の食品用の乳化剤等の他の界面活性剤成分等と併用することにより、より好ましいリン脂質の鉄塩への安定逆リポソーム化の向上が認められる。また、油脂類中での乳化剤の挙動を見た場合、親水性の高い乳化剤は凝集し性能を発揮しない。また、親油性の高い乳化剤は油脂へ均一分散してしまい、性能を発揮しない。そのため、リン脂質との逆リポソーム化条件も考慮した場合、HLBが6〜12程度の極性的に中程度の乳化剤が吸着皮膜として好ましく、本発明の効果が発揮される。しかしながら、本発明によるリン脂質の逆リポソーム化を損なわない添加量で処理が施されていなければ酸化劣化を抑制し、安定に分散した鉄塩を得るに至らない。すなわち、添加量としてはリン脂質及びまたはリゾリン脂質の合計量100重量部に対して0から500重量部である。
また、本発明の酸化に対して安定な、鉄強化油脂組成物を含有する食品は、油脂を含むあらゆる食品に適用できるが、特に、マーガリン、バター、ドレッシング、クリーム、チーズ、育児粉乳等に適用され、これらの食品を製造するに際しては、予め、微細化してリン脂質及びまたはリゾリン脂質により逆リポソーム化した鉄組成物を配合した酸化に対して安定な油脂類を原料とし、この安定な鉄強化油脂組成物を食品に配合して鉄強化油脂類含有飲食品を得ることもできる。また、油脂類を含む食品に微細化してリン脂質および/またはリゾリン脂質により逆リポソーム化した鉄組成物を配合して鉄強化油脂類含有飲食品を得ることもできる。
本発明においては、油脂類や油脂類を含有する食品に配合する微細化してリン脂質及びまたはリゾリン脂質により逆リポソーム化した鉄組成物の配合量については、特に制限はなく、物理的に可能な量を配合することができる。しかし、鉄の過剰摂取を避けなければならないということも考慮しなければならないため、好ましくは油脂類100重量部に対して鉄塩を0.001〜5.0重量部であり、更に好ましくは0.005〜1.0重量部である。
本発明における鉄強化油脂組成物を水中油型のエマルジョンとした場合、水系の飲食品にも利用することができ、本発明である油脂の酸化劣化防止が発揮される。その場合の食品としては、クッキー、パン、麺類等に代表される小麦粉2次製品、おかゆ・炊き込み飯等の米加工品、畜肉・魚肉等の加工品及び清涼飲料、乳飲料、炭酸飲料、アルコール飲料等の飲料が挙げられる。
本発明における酸化劣化の少ない鉄強化油脂組成物とは、特に限定されるものではないが、例えば30℃10日間保存した後のPOVが5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であることをいう。
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄(富山薬品工業製)10kgをナタネ油86.95kgに分散させた溶液をダイノーミルによって平均粒子径約0.25μmのスラリーに調製した。この溶液にレシチン(サンレシチンL−6;太陽化学製)を1.5kgと酵素分解レシチン(サンレシチンA;太陽化学製)を1.5kgとビタミンE(Eオイル600;理研ビタミン製)を0.05kg添加溶解し、液温を45℃に加熱し、ホモジナイザーで15分間処理して逆リポソーム化したあと、生成した組成物を透明容器に充填して保存し、10%ピロリン酸第二鉄含有油脂組成物(本発明品A)を得た。
試験例1
DHA含有油脂100kgに対して実施例1で調製した鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgを撹拌機で分散させて配合した、鉄強化DHA製剤を調製した(試料1:鉄含量0.025%)。次に、鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgの代わりに硫酸第1鉄7水和物を0.03kgとナタネ油0.97kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1作成法と同様にして鉄強化DHA製剤を比較品として調製した(試料2:鉄含量0.025%)。さらに、鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgの代わりにクエン酸第1鉄ナトリウムを0.06kgとナタネ油0.94kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1作成法と同様にして鉄強化DHA製剤を比較品として調製した(試料3:鉄含量0.025%)。さらに、鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgの代わりに平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄を0.024kgとナタネ油0.976kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1作成法と同様にして鉄強化DHA製剤を比較品として調製した(試料4:鉄含量0.025%)。さらに、鉄無添加のDHA含有油脂を対照品として調製した(試料5)。上記の試料1〜5を用いて油強制劣化試験および過酸化物価測定試験を行った。
<油強制劣化試験>
調製油脂の自動酸化に対する安定性の評価は、CDM試験(日本油化学協会基準油脂分析試験法cd2.4.28.2−93)に従い、ランシマット装置(メトロノーム社製)でCDM試験により定義されている酸化誘導期の長さを測定し、酸化安定性を評価した。
<過酸化物価測定試験>
油強制劣化試験に供した試料と同様の試料について、30℃のオーブンに保存し、10日後にサンプリングして過酸化物価(POV)を測定した。分析法は、AOM試験(日本油化学協会基準油脂分析試験法 Cd2.4.28.1−81)に従って行った。
Figure 2007224054
表1の結果によると、試料5の鉄無添加のDHA含有油脂に対し、本発明の鉄組成物を含有した試料1は酸化誘導期は殆ど変化なかったのに対し、本発明以外の鉄に関しては酸化誘導期が非常に早く、酸化劣化を起こしやすく不安定であった。一方、過酸化物価においても、本発明品の鉄組成物を添加した試料1は他の鉄を加えた試料2から4のどの試料と比べても酸化安定性が高かった。
実施例2
平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄(富山薬品工業製)20kgを牛脂硬化油66.6kgに分散させた溶液をダイノーミルによって平均粒子径約0.23μmのスラリーに調製した。この溶液にレシチン(サンレシチンL−6;太陽化学製)を1.0kgと酵素分解レシチン(サンレシチンA;太陽化学製)を1.5kgとジグリセリンモノパルミチン酸エステル(サンソフトQ−16D;太陽化学製)を0.8kgとフィトステロール0.05kgと卵黄油(ヨークオイル301;太陽化学製)10kgとビタミンE(Eオイル600;理研ビタミン製)を0.05kg添加溶解し、液温を45℃に加熱し、ホモジナイザーで15分間処理してリポソーム化したあと、スプレークールによりパウダー化して、20%ピロリン酸第2鉄強化油脂組成物(本発明品B)を得た。
試験例2
コーン油100kgに対して実施例2で調製した鉄強化油脂組成物(本発明品B)0.5kgを撹拌機で分散させて配合した、鉄強化コーン油製剤を調製した(試料6:鉄含量0.025%)。この鉄強化コーン油製剤の油強制劣化試験および過酸化物価測定試験を行った。次に、鉄強化油脂組成物(本発明品B)0.5kgの代わりに硫酸第1鉄7水和物を0.03kgとナタネ油0.97kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1作成法と同様にして鉄強化コーン油製剤を比較品として調製した(試料7:鉄含量0.025%)。さらに、鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgの代わりにクエン酸第1鉄ナトリウムを0.06kgとナタネ油0.94kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1調製法と同様にして鉄強化コーン油製剤を比較品として調製した(試料8:鉄含量0.025%)。さらに、鉄強化油脂組成物(本発明品A)1kgの代わりに平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄を0.024kgとナタネ油0.976kgを配合し、レシチン及び酵素分解レシチンを添加しない以外は試料1作成法と同様にして鉄強化コーン油製剤を比較品として調製した(試料9:鉄含量0.025%)。さらに、鉄剤無添加のコーン油を対照品として調製した(試料10)。上記の試料6〜10を用いて試験例と同様の方法で油強制劣化試験および過酸化物価測定試験を行った。
Figure 2007224054
表2の結果によると、試料10の鉄無添加のコーン油脂に対し、本発明の鉄組成物を含有した試料6は酸化誘導期は殆ど変化なかったのに対し、本発明以外の鉄に関しては酸化誘導期が非常に早く、酸化劣化を起こしやすく不安定であった。一方、過酸化物価においても、本発明品の鉄組成物を添加した試料6は他の鉄を加えた試料7から9のどの試料と比べても酸化安定性が高かった。
実施例3
表3に示した配合表に従って、実施例1で得られた本発明品Aを配合した鉄強化マーガリン(試料11:鉄含量0.0125%)を製造した。
Figure 2007224054
また、試料11の本発明品Aに代えて、硫酸第1鉄7水和物を0.03重量%とナタネ油0.97重量%を配合(試料12:鉄含量0.0125%)、クエン酸第1鉄ナトリウムを0.06重量%とナタネ油0.94重量%を配合(試料13:鉄含量0.0125%)、平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄を0.024重量%とナタネ油0.976重量%を配合(試料14:鉄含量0.0125%)鉄剤無添加のマーガリンを対照品とし(試料15)、同様の油強制劣化試験および過酸化物価測定試験を行った。過酸化物価は油強制劣化試験に供した試料と同様の試料について、30℃のオーブンに保存し、1週間後にサンプリングして過酸化物価(POV)を測定した。
Figure 2007224054
表4の結果によると、試料15の鉄剤無添加のマーガリンに対し、本発明の鉄剤を含有した試料11は酸化誘導期は殆ど変化なかったのに対し、本発明以外の鉄剤に関しては酸化誘導期が非常に早く、酸化劣化を起こしやすく不安定であった。一方、過酸化物価においても、本発明品の鉄剤を添加した試料11は他の鉄を加えた試料12から14のどの試料と比べても酸化安定性が高かった。酸化劣化と風味の劣化が相関関係にあることからもわかるように、風味良好な鉄強化マーガリンを製造することができた。
実施例4
また、表5に示した配合表に従って、実施例2に示した本発明品Bを配合した育児用粉乳(試料16:鉄含量0.025%)を製造した。
Figure 2007224054
また、試料16の本発明品Bに代えて、硫酸第1鉄7水和物を0.03重量%とナタネ油0.97重量%を配合(試料17:鉄含量0.025%)、クエン酸第1鉄ナトリウムを0.06重量%とナタネ油0.94重量%を配合(試料18:鉄含量0.025%)、平均粒子径20μmのピロリン酸第二鉄を0.024重量%とナタネ油0.976重量%を配合(試料19:鉄含量0.025%)鉄剤無添加のマーガリンを対照品とし(試料20)、同様の油強制劣化試験および過酸化物価測定試験を行った。過酸化物価は油強制劣化試験に供した試料と同様の試料について、30℃のオーブンに保存し、10日後にサンプリングして過酸化物価(POV)を測定した。
Figure 2007224054
表6の結果によると、試料20の鉄剤無添加の育児用粉乳に対し、本発明の鉄組成物を含有した試料16は酸化誘導期は殆ど変化なかったのに対し、本発明以外の鉄剤に関しては酸化誘導期が非常に早く、酸化劣化を起こしやすく不安定であった。一方、過酸化物価においても、本発明品の鉄組成物を添加した試料16は他の鉄を加えた試料17〜19のどの試料と比べても酸化安定性が高かった。酸化劣化と風味の劣化が相関関係にあることからもわかるように、風味良好な育児用粉乳を製造することができた。
本発明の鉄組成物及び鉄強化油脂組成物を含有する食品は、鉄による保存中の油脂類の酸化劣化が殆ど見られず安定であるので、食品、飼料、化粧品、医薬品、農薬、機械その他各種工業分野において利用することができ、その産業上の利用価値は大である。

Claims (4)

  1. 平均粒子径1μm以下の鉄塩と、リン脂質および/またはリゾリン脂質を含有することを特徴とする油脂の酸化劣化作用を有さない鉄組成物
  2. 30℃、10日間油脂中に保存後のPOVが5以下であることを特徴とする請求項1記載の鉄組成物
  3. 請求項1または2記載の鉄組成物を含有することを特徴とする鉄強化油脂組成物
  4. 請求項3記載の鉄強化油脂組成物を含有することを特徴とする飲食品
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