JP4673235B2 - 鉄強化食品用組成物 - Google Patents

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本発明は、微粒子に調整された水不溶性鉄塩組成物において、風味に優れており、且つ保存時の二次凝集防止効果を有し、製造時の作業性及び水相中での再分散性の優れた鉄強化食品用組成物に関するものである。
近年、ミネラル摂取量の不足が指摘され、その原因により引き起こされる成人病の予防や健康維持等に関して、いろいろな種類のミネラルの役割が重要視され始めている。
その中でも鉄は、血中の蛋白質であるヘモグロビンに結合した状態で存在することが知られており、鉄不足の状態になると組織中の貯蔵鉄から補われる。貯蔵鉄が不足した状態は潜在性貧血症と呼ばれ、日本人の約60%以上が患っていると言われている。この傾向は、女子高生や若い成人女性において特に顕著であり、その結果鉄欠乏性貧血を起こす女性が多数見られる。
この原因としては、食生活に由来する点が一番大きいと考えられるが、女性の場合は、生理的な出血、妊娠による鉄需要の増加、及びダイエットによる摂取不足等、鉄不足による貧血になり易い環境下にあることも特徴的な原因である。
この鉄不足を解消するために、鉄分強化食品が販売されるようになってきており、牛乳、清涼飲料水等に鉄分強化した商品も多数販売されはじめている。例えば、鉄分を強化する目的の清涼飲料水等において、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム等の水溶性の鉄や、ピロリン酸第二鉄等の水不溶性又は難溶性の鉄が添加使用されている。しかしながら、水溶性の鉄は鉄味が強く、官能的に問題があるため、一度にたくさんの量を使用できないという欠点があった。また水溶性であるため、イオン化した鉄は胃壁に対して反応性が高いために過剰に摂取した場合、潰瘍などの原因になることもある点が問題であった。また飲料中の他の成分との反応性も高く、反応物による沈澱、凝集及び着色などが発生するなどの問題があった。また水不溶性又は難溶性の鉄においては、鉄味は改善されるものの比重が2.75以上と高く、飲料に分散添加した場合、短時間で沈澱するため、食品としての美観上好ましくないといった問題があった。
これらを改善する方法として、ピロリン酸第二鉄とアラビアガムを混合し、化学的又は物理的方法により粉砕及び/又は分散処理する方法(例えば、特許文献1参照。)が挙げられるが、同方法では経時的に二次凝集が生じてミクロンオーダーの粗大粒子となり、飲料に分散添加した場合、短時間で沈澱する問題がある。またこれらの方法では、高濃度の組成物を調製した場合、粒子の凝集により粘度が高くなり、ハンドリングが困難な状態となる。
特再表98/042210(第1−45頁)
本発明は、上記した問題点を有しない新規な鉄強化食品用組成物を開発することを目的でなされたものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、鉄強化食品用組成物の製造において、水不溶性鉄塩にキレート剤を添加することにより、風味が良好で、且つ高濃度においても凝集性のない良好な分散性を有する鉄強化食品用組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。本発明の特徴は、水不溶性鉄塩にキレート剤を添加することにより電荷的に非常に安定な状態を形成し、粒子の二次凝集を抑制し、製剤中及び飲料等へ添加した場合において、風味が良好で、凝集性のない優れた分散性を有する鉄強化食品用組成物を製造することにある。
また、リゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆多糖類、ペクチン、カラギナン、CMセルロース、加工デンプン、ガラクトマンナン分解物、アラビアガム、アラビノガラクタンのうち選ばれた1種又は2種以上を併用することがより好ましい。
本発明によれば、鉄強化食品用組成物の製造において、水不溶性鉄塩にキレート剤を添加することにより、風味が良好で、且つ高濃度においても凝集性のない良好な分散性を有する鉄強化食品用組成物を提供することができる。
本発明の鉄強化食品用組成物は、水不溶性鉄塩にキレート剤を添加することを特徴とする。本発明において水不溶性鉄塩とは、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸第二鉄、リン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄、水酸化第二鉄、酸化第二鉄等が挙げられるが、高濃度において凝集性のない良好な分散性を有する鉄強化食品用組成物を提供するには、好ましくはリン酸第二鉄、ピロリン酸第二鉄であり、より好ましくはピロリン酸第二鉄である。これらは単独で配合してもよく、また2種以上を組み合わせて配合してもよい。
本願発明に用いられる水不溶性鉄塩の不溶性とは、特に限定されるものではないが、味、消化管粘膜刺激性等の観点から、日本の第七版食品添加物公定書通則29の試験法において「極めて溶けにくい」(溶質1gを溶かすに要する水の量が1,000ml以上10,000ml未満)又は、「ほとんど溶けない」(溶質1gを溶かすに要する水の量が10,000ml以上)に該当するものをいい、好ましくは、「ほとんど溶けない」に該当するものである。
本願発明に用いられる水不溶性鉄塩の粒子径は、特に限定されるものではないが、できるだけ微粒子化するのが良く、好ましくは平均粒子径が0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.4μmまで超微粒子化することが好ましい。微粒子化する方法としては、物理的破砕法あるいは中和造塩法が好ましい。物理的破砕法としては、ダイノミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕機、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、ホモゲナイザー等の乳化・分散装置、超音波分散機が使用できる。微粒子化することで水中においても極めて安定な鉄強化食品用組成物を有利に製造することができる。本願発明における水不溶性鉄塩の平均粒径の測定方法は、特に限定するものではないが、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、沈降法、画像解析法などが挙げられ、測定精度及び簡便性の観点からレーザー回折・散乱法、動的光散乱法が好ましい。
なお、本願発明における水不溶性鉄塩の平均粒子径は、下記の機器を用いて測定されたものである。
測定機器:BECKMAN COULTER LS230(レーザー回折・散乱法)
予備分散:TOMY ULTRASONIC DISRUPTOR UD−200
OUT PUT 目盛り5、5分間
本願発明におけるキレート剤としては、キレート能を有していれば特に限定されるものではないが、クエン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩等の有機酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩等の縮合リン酸塩、EDTA塩が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いられるが、高濃度において凝集性のない良好な分散性を有する鉄強化食品用組成物を提供するには、メタリン酸塩、クエン酸塩が好ましく、メタリン酸塩がより好ましい。塩としては、Na、K等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本願発明におけるキレート剤の添加量は、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩100重量部に対してキレート剤を0.05〜20重量部含有していることが好ましく、0.08〜10重量部含有していることがより好ましく、0.1〜5重量部含有していることが最も好ましい。キレート剤の添加量がこの範囲以下の場合は、粒子の二次凝集を完全に抑制することができず、分散安定性の高い鉄強化食品用組成物が得られない場合もある。またキレート剤の添加量が範囲以上の場合は、水不溶性鉄塩の溶解が起こり、組成物を添加した食品中において鉄特有の金属味を発生し、風味の低下につながる恐れがある。
本発明におけるキレート剤の添加方法については、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩の分散液にキレート剤を溶解させる方法、キレート剤の水溶液に水不溶性鉄塩を分散させる方法等が用いられる。
本願発明において、鉄強化食品用組成物のpHは電荷的に非常に安定な状態を形成し、粒子の二次凝集を抑制する為に重要な要素となる。具体的に分散安定性の高い鉄強化食品用組成物を得るには、水不溶性鉄塩の濃度を12重量%に調整したときの鉄強化食品用組成物のpHが2.8〜4.2であることが好ましく、2.9〜4.0であることがより好ましく、3.0〜3.8であることがさらに好ましい。鉄強化食品用組成物のpHがこの範囲以下であると粒子の二次凝集が促進され易く、分散安定な組成物が得られない場合もある。またpHがこの範囲以上であると水不溶性鉄塩の溶解が起こり易く、組成物を添加した食品中において鉄特有の金属味を発生し、風味の低下につながる恐れがある。なお、水不溶性鉄塩の濃度を12重量%に調整する方法としては、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩の濃度が12重量%以上である場合は、イオン交換水で希釈して12重量%に調整することが好ましく、また12重量%以下である場合は、遠心分離等を用いて濃縮する方法が好ましい。
本願発明における鉄強化食品用組成物の形態は特に限定するものではないが、液状又は粉末状であることが好ましい。液状の組成物としては、特に限定されるものではないが、ハンドリングの観点から、25℃での粘度が20,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・sであることがより好ましい。また必要に応じて本願発明の鉄強化食品用組成物を乾燥粉末化することにより、鉄強化パウダー組成物を調製することができる。乾燥に用いられる乾燥機については特に制限はないが、組成物の変質防止の観点から極めて短時間で行うことが好ましく、スプレードライヤー、スラリードライヤー等の液滴噴霧型乾燥機を用いるのが望ましい。またパウダー組成物を造粒処理することにより、食品に添加する際に溶解性に優れた顆粒組成物を調製することも可能である。
本願発明における鉄強化食品用組成物中の水不溶性鉄塩の含有濃度は、流通の際に必要な輸送費、容器費等のコストの観点、及び食品へ添加する際のハンドリングの観点から、高濃度のものが望まれている。水不溶性鉄塩の含有濃度が1重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましい。また鉄強化食品用液状組成物の場合、粘度及び流動性の観点から、50重量%以下であることが好ましい。
本発明における好ましい併用物質としては特に限定されるものではないが、例えばリゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆多糖類、ペクチン、カラギナン、CMセルロース、加工デンプン、ガラクトマンナン分解物、アラビアガム、アラビノガラクタンのうち選ばれた1種又は2種以上を併用することにより、さらに分散安定性を補助する役割を与えることができ、本発明の特徴が発揮される。またリゾレシチンと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆多糖類、ペクチン、カラギナン、CMセルロース、加工デンプン、ガラクトマンナン分解物、アラビアガム、アラビノガラクタンのうち選ばれた1種又は2種以上を併用することがより好ましい。
本発明における鉄強化食品用組成物を含有する食品としては、クッキー、パン、麺類等に代表される小麦粉2次製品、白飯、赤飯、おかゆ、炊き込み飯等の米加工品、畜肉、魚肉等の加工品及び清涼飲料、乳飲料、炭酸飲料、アルコール飲料等の飲料が挙げられ、これらに水不溶性鉄塩の添加を可能とすることで、不足しがちな鉄の栄養強化が容易に実施することが可能となる。特に飲料を中心とする液体食品においては、水不溶性鉄塩の添加は鉄成分の沈降性から応用範囲が非常に狭いものであったが、本発明によって風味上優れ、化学的にも安定な形態で鉄強化を実施できる。
実施例1
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)0.3gをイオン交換水879.7gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が600mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.32μmであった。
実施例2
リン酸第二鉄(和光純薬工業製)120g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)0.07gをイオン交換水879.93gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%リン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が1,810mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.38μmであった。
実施例3
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、クエン酸ナトリウム(田辺製薬製)24gをイオン交換水856.0gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が540mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.24μmであった。
実施例4
リン酸第二鉄(和光純薬工業製)120g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)6.0gをイオン交換水874.0gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%リン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が450mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.34μmであった。
実施例5
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)1.0g、リゾレシチン(太陽化学社製)0.1gをイオン交換水878.9gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が320mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.30μmであった。
実施例6
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)0.5g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトA−14E:太陽化学製)0.5gをイオン交換水879.0gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が140mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.28μmであった。
実施例7
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、クエン酸ナトリウム(田辺製薬製)0.07g、リゾレシチン(太陽化学製)0.1g、アラビアガム(三協食品工業製)1gをイオン交換水878.83gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が220mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.34μmであった。
実施例8
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)360g、メタリン酸ナトリウム(米山化学工業製)4.0g、リゾレシチン(太陽化学製)0.2g、ポリグリセリン脂肪酸エステル(サンソフトA−14E:太陽化学製)0.5gをイオン交換水635.3gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、36重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が1540mPa・sと充分に低く、流動性は良好であった。また平均粒子径は、0.38μmであった。
比較例1
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120gをイオン交換水880gに混合し、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、粒子の凝集による影響により、25℃での粘度が25,000mPa・sと非常に高く、ハンドリングは困難であった。また平均粒子径は、1.1μmであった。
比較例2
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、クエン酸ナトリウム(田辺製薬製)0.01gをイオン交換水879.99gに混合し、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、粒子の凝集による影響により、25℃での粘度が22,000mPa・sと非常に高く、ハンドリングは困難であった。また平均粒子径は、1.2μmであった。
比較例3
ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、クエン酸ナトリウム(田辺製薬製)36gをイオン交換水844gに混合し、本分散液を湿式摩砕機ダイノミル(WAB社 MULTI LAB)を用いて湿式粉砕を行い、12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。得られた高濃度組成物は、25℃での粘度が340mPa・sと充分に低く、流動性は良好であったが、ピロリン酸第二鉄の溶解により液全体が黄着色していた。また平均粒子径は、0.37μmであった。
水不溶性鉄塩100重量部に対してのキレート剤の添加量を表1に示す。
Figure 0004673235
試験例1
実施例1〜8、比較例1〜3で得られた水不溶性鉄塩組成物を下記の条件でpHを測定した。
pH:水不溶性鉄塩の濃度を12重量%に調整したときの鉄強化食品用組成物のpH
Figure 0004673235
試験例2
実施例1〜8、比較例1〜3で得られた水不溶性鉄塩組成物を、鉄濃度が50ppmになるようにイオン交換水で希釈し、10人のパネラーで官能試験を行った。
評価点
鉄味がしない。 0
鉄味がほとんどしない。 1
鉄味がややする。 2
鉄味がする。 3
鉄味が強くする。 4
試験例3
実施例1〜8、比較例1〜3で得られた水不溶性鉄塩組成物を、鉄濃度が50ppmになるようにイオン交換水で希釈し、常温で3日間及び7日間静置して分散安定性を調べた。
評価点を下記のように設定し、評価を行った。
評価点
分散状態良好。 0
若干の沈澱がみられる。 1
上層が透明になり始め、沈澱がみられる。 2
上層が透明になり、沈澱層がみられる。 3
上層、中層までが透明になり、沈澱層が多い。 4
完全に沈澱し、液が透明になる。 5
Figure 0004673235
表2に示すように、水不溶性鉄塩100重量部に対して、キレート剤を0.05〜20重量部含有させてなる鉄強化食品用組成物では、鉄特有の不快な味が少なく、且つ分散安定性が高いことが確認された。これに対して、キレート剤を添加しない場合、及びキレート剤の添加量が水不溶性鉄塩100重量部に対して、0.05重量部以下又は20重量部以上である場合は、風味若しくは分散安定性で問題を生じる結果となった。
各種鉄剤投与による血清鉄の測定
試験例4
実施例1及び比較例1で得られた12%ピロリン酸第二鉄組成物をそれぞれ10gずつとり、蒸留水170gに溶かし試験溶液(Fe:2mg/g)を調製した。
10週齢のSD系雄ラット1群8匹を18時間絶食させた後、上記試験溶液をラット1匹あたりFe:2mg/kgとなるようにゾンデを用い、ラットに強制経口投与した。またブランクとして水だけを前記と同様にラットに経口投与した。投与後、0、0.5、1、2、4又は8時間経過後に尾静脈から採血を行い、速やかに血清分離をした後、International Committee for Standardization in Hematologyの標準法に従って血清中における鉄(血清鉄)濃度を測定した。
鉄の吸収量を試験溶液投与後0〜8時間の血清鉄曲線下面積[(μg/dl)・Hour]とブランク投与後0〜8時間の血清鉄曲線下面積[(μg/dl)・Hour]の差として計算した。その結果を表4に示す。
Figure 0004673235
この結果によれば、比較例1で得られたピロリン酸第二鉄組成物と比較して、実施例1で得られたキレート剤を含有するピロリン酸第二鉄組成物では、血清中における鉄濃度が2倍程度まで上昇しており、本願発明の鉄強化食品用組成物は生体利用率が向上することが明らかとなった。
実施例9
実施例1で得られた12重量%ピロリン酸第二鉄組成物を、スプレードライヤーで粉末化を行い、50重量%ピロリン酸第二鉄粉末組成物を得た。
実施例10
リンゴ果汁飲料1Lに実施例1で得られた12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化リンゴ果汁飲料を得た。(Fe:3.6mg/100ml)
得られた飲料は、色、風味ともに問題ないものであった。
実施例11
牛乳1Lに実施例1で得られた12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化牛乳を得た。(Fe:3.6mg/100ml)
得られた牛乳は、色、風味ともに問題ないものであった。
実施例12
酸乳飲料1Lに実施例1で得られた12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化酸乳飲料を得た。(Fe:3.6mg/100ml)
得られた飲料は、色、風味ともに問題ないものであった。
実施例13
清涼飲料水1Lに実施例1で得られた12重量%ピロリン酸第二鉄組成物1.0gを添加し、加熱殺菌し、鉄強化清涼飲料水を得た。(Fe:3.6mg/100ml)
得られた飲料水は、色、風味ともに問題ないものであった。
実施例14
タブレット用粉末500gに実施例9で得られた50重量%ピロリン酸第二鉄パウダー組成物3.3gを添加し、打錠を行って、鉄強化タブレットを得た。(Fe:1.0mg/1粒)
得られたタブレットは、色、風味ともに問題ないものであった。
本発明の鉄強化食品用組成物は、風味が良好で、且つ凝集性のない優れた分散性を有しているため、食品に対する鉄強化食品用組成物として有用であり、その産業上の利用価値は大である。

Claims (8)

  1. 水不溶性鉄塩、メタリン酸塩及びリゾレシチンを含有することを特徴とする鉄強化食品用組成物。
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆多糖類、ペクチン、カラギナン、CMセルロース、加工デンプン、ガラクトマンナン分解物、アラビアガム、アラビノガラクタンの群より選ばれた1種又は2種以上が併用されることを特徴とする請求項1記載の鉄強化食品用組成物。
  3. 水不溶性鉄塩が平均粒子径0.8μm以下の微粒子である請求項1又は2記載の鉄強化食品用組成物。
  4. 水不溶性鉄塩の濃度を12重量%に調整したときの鉄強化食品用組成物のpHが、2.8〜4.2であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の鉄強化食品用組成物。
  5. 形態が液状であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の鉄強化食品用組成物。
  6. 形態が粉末状であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の鉄強化食品用組成物。
  7. 鉄の生体利用率が向上することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の鉄強化食品用組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の鉄強化食品用組成物を含有することを特徴とする食品。
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