JP2007223873A - 粒子状亜鉛含有化合物、酸化亜鉛粒子およびそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽能を損なうことなく、高い分散性を有する酸化亜鉛粉末を構成する酸化亜鉛粒子およびその原料である粒子状亜鉛含有化合物を提供する。
【解決手段】結晶形が重弁状の多層構造となっている粒子状亜鉛含有化合物。板状粒子が重弁状に多層化されてなる酸化亜鉛粒子。亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液で、該塩素イオンと該硫酸イオンとのモル比が1.5:1以上5:1以下である水溶液をpH5以上6.5以下に調整することにより、前駆体を析出し、該前駆体を含有する水溶液を170℃以上250℃以下の温度で水熱処理することを特徴とする粒子状亜鉛含有化合物の製造方法。前記粒子状亜鉛含有化合物を焼成する酸化亜鉛粒子の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、粒子状亜鉛含有化合物、酸化亜鉛粒子およびそれらの製造方法に関する。
酸化亜鉛粒子からなる粉末は、紫外線遮蔽能を有し、化粧品、塗料、衣料品、包材品およびその他の紫外線遮蔽能を要する用途に用いられている。
従来の酸化亜鉛粉末の製法として、亜鉛の塩類を含んだ酸性の水溶液から、酸性領域で水酸化亜鉛を析出し、800℃の温度で加熱処理を行うことにより六角板状の酸化亜鉛粉末が得られ、亜鉛の塩類として塩化亜鉛または硫酸亜鉛を用いる製法が、特許文献1に具体的に記載されている。
特開昭53−82698号公報
しかしながら従来の製法による酸化亜鉛粉末は、六角板状であり、該粉末を樹脂等に分散させる際の分散性が十分でなかった。本発明の目的は、紫外線遮蔽能を損なうことなく、高い分散性を有する酸化亜鉛粉末を構成する酸化亜鉛粒子およびその原料である粒子状亜鉛含有化合物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記の粒子状亜鉛含有化合物、酸化亜鉛粒子およびその製造方法を提供するものである。
<1>結晶形が重弁状の多層構造となっている粒子状亜鉛含有化合物。
<2>結晶の最大径が10μm以上500μm以下である前記<1>記載の粒子状亜鉛含有化合物。
<3>板状粒子が重弁状に多層化されてなる酸化亜鉛粒子。
<4>亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液で、該塩素イオンと該硫酸イオンとのモル比が1.5:1以上5:1以下である水溶液をpH5以上6.5以下に調整することにより、前駆体を析出し、該前駆体を含有する水溶液を170℃以上250℃以下の温度で水熱処理することを特徴とする粒子状亜鉛含有化合物の製造方法。
<5>前記<1>または<2>に記載の粒子状亜鉛含有化合物を焼成する酸化亜鉛粒子の製造方法。
<6>前記<4>で得られる粒子状亜鉛含有化合物を乾燥し、450℃以上1000℃以下の温度で焼成することを特徴とする酸化亜鉛粒子の製造方法。
本発明の粒子状亜鉛含有化合物は、その結晶形が重弁状の多層構造となっている特殊な形状であり、本発明の酸化亜鉛粒子は該粒子状亜鉛含有化合物を焼成して得られる粒子であり、本発明によれば、紫外線遮蔽能を損なうことなく、高い分散性を有する酸化亜鉛粉末を提供することができ、該酸化亜鉛粉末は、化粧品、塗料、衣料品、包材品およびその他の紫外線遮蔽能を要する用途に適用でき、さらには、抗菌剤、脱臭剤、うわ薬、医薬、触媒等にも適用できることから、工業的に極めて有用である。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の粒子状亜鉛含有化合物は、その結晶形が重弁状の多層構造となっている。分散性をより高める意味で、前記結晶の最大径は、10μm以上500μm以下であることが好ましい。また、酸化亜鉛粒子が紫外線遮蔽能をより高める意味で、前記結晶を構成する花弁状部分の最大厚みは、0.3μm以上5μm以下であることが好ましい。ここで、粒子状亜鉛含有化合物の最大径およびその花弁状部分の最大厚みは、走査型電子顕微鏡写真から測定される値である。
本発明の酸化亜鉛粒子は、上述の粒子状亜鉛含有化合物を焼成して得られる。本発明の酸化亜鉛粒子は、板状粒子が重弁状に多層化されてなり、上述の粒子状亜鉛含有化合物の形骸を残している形状である。その形状から、酸化亜鉛粒子の表面に対していろいろな角度で入射してきた紫外線を効率的に遮蔽することができる。また、分散性をより高める意味で、該酸化亜鉛粒子の最大径は、10μm以上500μm以下であることが好ましい。
次に、本発明の粒子状亜鉛含有化合物の製造方法について説明する。
本発明の粒子状亜鉛含有化合物は、次のようにして製造することができる。すなわち、亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液で、該塩素イオンと該硫酸イオンとのモル比が1.5:1以上5:1以下である水溶液をpH5以上6.5以下に調整することにより、前駆体を析出し、該前駆体を含有する水溶液を170℃以上250℃以下の温度で水熱処理することにより、製造することができる。
亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液は、塩化亜鉛および硫酸亜鉛を水に溶解させることにより得ることができる。このときに、水溶液中の塩素イオンと硫酸イオンとがモル比で1.5:1以上5:1以下となる必要がある。また、塩化亜鉛または硫酸亜鉛の代わりに、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛を用いて、さらに塩酸または硫酸を混合することによっても、水溶液を得ることができる。このときにも、水溶液中の塩素イオンと硫酸イオンとがモル比で1.5:1以上5:1以下となる必要がある。このモル比の範囲内においては塩素イオンのモル比が大きくなると粒子状亜鉛含有化合物の最大粒子径が大きくなる傾向にある。このモル比の範囲外では、本発明の粒子状亜鉛含有化合物とはならない。また、水溶液中の亜鉛イオンの濃度は0.3M以上3M以下であり、この範囲内においては前記濃度が大きくなると、粒子状亜鉛含有化合物の最大粒子径が大きくなる傾向にある。この水溶液の亜鉛イオンの濃度の範囲外では、本発明の粒子状亜鉛含有化合物とはならない。
上記のようにして、亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液を得て、該水溶液と水酸化ナトリウム水溶液またはアンモニア水とを混合することにより、pHを5以上6.5以下に調整する。このpHの範囲内においてはpHが大きくなると粒子状亜鉛含有化合物の最大粒子径が大きくなる傾向にある。このpHの範囲外では、本発明の粒子状亜鉛含有化合物とはならない。このpH調整工程において、該水溶液中に前駆体が析出する。
次に、析出された前駆体を含有する水溶液を、170℃以上250℃以下の温度、好ましくは200℃以上230℃以下の温度で水熱処理することで、本発明の粒子状亜鉛含有化合物を得ることができる。該粒子状亜鉛含有化合物は、式Zn4SO4(OH)6・H2Oで表される場合がある。また、水熱処理の温度は、好ましくは0.5時間以上5時間以下、さらに好ましくは1時間以上2時間以下である。前記pH調整工程後に、前記の水熱処理を行わなければ、本発明の粒子状亜鉛含有化合物とはならない。
次に、本発明の酸化亜鉛粒子の製造方法について説明する。本発明の酸化亜鉛粒子は、前記の粒子状亜鉛含有化合物を乾燥し、450℃以上1000℃以下の温度、好ましくは750℃以上850℃以下の温度で焼成することにより得ることができる。焼成時の雰囲気は、通常、酸素または空気であるが、紫外線遮蔽能をより高くする意味では、酸素が好ましい。また、焼成時間は、通常10分以上10時間以下、好ましくは1時間以上3時間以下である。また、前記乾燥は、通常、乾燥機を用いて、60℃以上120℃以下の温度範囲で保持して行う。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1
1Mの塩化亜鉛水溶液15mlと0.5Mの硫酸亜鉛水溶液15mlとを混合し、水酸化ナトリウム水溶液添加によりpHを6に調製して、前駆体を析出させ、オートクレーブに入れ、220℃,1時間の水熱処理を行い、300℃/時間の速度で室温まで降温させ、乾燥し、粒子状亜鉛含有化合物を得た。該化合物からなる粉末は、式Zn4SO4(OH)6・H2Oで表される化合物からなった。該化合物の走査型電子顕微鏡写真を図1、図2、図3、図4に示す。図1から、粒子状亜鉛含有化合物の最大粒子径は10μm〜80μmであることがわかった。また、図2、図3、図4から該粒子状亜鉛含有化合物を構成する花弁状部分の厚みは0.3μm〜4μmであることがわかった。
実施例2
4Mの塩化亜鉛水溶液15mlと1Mの硫酸亜鉛水溶液15mlとを混合した以外は、実施例1と同様にして、粒子状亜鉛含有化合物を得た。該化合物からなる粉末は、式Zn4SO4(OH)6・H2Oで表される化合物からなった。粒子状亜鉛含有化合物の最大粒子径は200μm〜300μmであることがわかった。また、該粒子を500℃で焼成することにより、得られる酸化亜鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真を図5に示した。
比較例1
1Mの硫酸亜鉛水溶液のみを用いた以外は実施例2と同様にして、酸化亜鉛を得た。得られた酸化亜鉛の走査型電子顕微鏡写真を図6に示した。得られた酸化亜鉛は粒子状ではなかった。
実施例1における粒子状亜鉛含有化合物を示す図。 実施例1における粒子状亜鉛含有化合物を示す図。一つの粒子を拡大した図。 実施例1における粒子状亜鉛含有化合物を示す図。一つの粒子を拡大した図。 実施例1における粒子状亜鉛含有化合物を示す図。一つの粒子の花弁状部分を拡大した図。 実施例2における酸化亜鉛粒子を示す図。 比較例1における酸化亜鉛を示す図。

Claims (6)

  1. 結晶形が重弁状の多層構造となっている粒子状亜鉛含有化合物。
  2. 結晶の最大径が10μm以上500μm以下である請求項1記載の粒子状亜鉛含有化合物。
  3. 板状粒子が重弁状に多層化されてなる酸化亜鉛粒子。
  4. 亜鉛イオン、塩素イオンおよび硫酸イオンを含有する水溶液で、該塩素イオンと該硫酸イオンとのモル比が1.5:1以上5:1以下である水溶液をpH5以上6.5以下に調整することにより、前駆体を析出し、該前駆体を含有する水溶液を170℃以上250℃以下の温度で水熱処理することを特徴とする粒子状亜鉛含有化合物の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の粒子状亜鉛含有化合物を焼成する酸化亜鉛粒子の製造方法。
  6. 請求項4で得られる粒子状亜鉛含有化合物を乾燥し、450℃以上1000℃以下の温度で焼成することを特徴とする酸化亜鉛粒子の製造方法。
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