JP2007217176A - 制御装置および液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録用紙190の搬送量を正確に制御できる制御装置。
【解決手段】記録用紙190を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送された記録用紙190に対して液体を噴射する記録ヘッド182とを備えたインクジェット式記録装置100において、搬送手段による記録用紙190の搬送量を制御する制御装置300であって、搬送手段により記録用紙190を搬送させながら、記録用紙190の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影装置312と、画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより記録用紙190の搬送量を算出する搬送量算出部320と、搬送量に基づいて搬送手段の動作量をフィードバック制御する搬送モータ制御部146とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】記録用紙190を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送された記録用紙190に対して液体を噴射する記録ヘッド182とを備えたインクジェット式記録装置100において、搬送手段による記録用紙190の搬送量を制御する制御装置300であって、搬送手段により記録用紙190を搬送させながら、記録用紙190の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影装置312と、画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより記録用紙190の搬送量を算出する搬送量算出部320と、搬送量に基づいて搬送手段の動作量をフィードバック制御する搬送モータ制御部146とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は制御装置および液体噴射装置に関する。より詳細には、被記録物をひとつの方向に搬送しつつそれに対して液体を噴射する液体噴射装置と、その液体噴射装置において被記録物を正確な搬送量で搬送させる目的で用いる制御装置とに関する。
多くの液体噴射装置は、被記録物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送される被記録物に対向する位置において搬送方向と交差する方向に液体噴射ヘッドを往復移動させる走査手段とを備える。また、被記録物の搬送と液体噴射ヘッドの往復移動を組み合わせることにより、被記録物上の任意の領域に対して液体を噴射できるように形成される。従って、被記録物における搬送方向の記録解像度は、搬送手段による搬送量の制御に依存する。一方、液体噴射装置による記録精度の向上は目覚ましく、液体噴射装置の搬送手段に対してもμm単位の精度が求められる。
下記特許文献1には、間隔をおいて配置した複数のセンサアレイを用いて、相互相関関数に基づいて媒体表面の移動距離を求める技術が開示される。これにより、非接触でμm単位の移動距離を測定できると記載される。また、下記特許文献2には、記録紙の種類に応じて搬送装置による搬送量を補正することが記載される。これにより、記録紙の特性の相違に起因する僅かな搬送誤差も解消できると記載される。更に、下記特許文献3には、DCモータとエンコーダを有する搬送装置を、所与の補正値を参照しつつ制御することにより、高い搬送精度が得られることが記載される。
特開平06−056314号公報
特開2002−225360号公報
特開2004−114618号公報
一方、上記の各文献に記載された技術では、所与の補正値に対応した補正量で搬送手段の動作量を制御することにより搬送量を補正する。しかしながら、液体噴射装置における被記録物の搬送誤差は、多くの場合、搬送装置および被記録物の滑り量の変化による。また、被記録物の滑り量は、被記録物の搬送負荷の変動に応じて変化する。このため、搬送装置自体の動作量をいかに正確に制御しても、被記録物の搬送誤差の変動が解消されないという問題があった。
そこで、上記課題の解決を目的として、本発明の第1の形態として、被記録物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送された被記録物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置において、搬送手段による被記録物の搬送量を制御する制御装置であって、搬送手段により被記録物を搬送させながら、被記録物の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影手段と、画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより被記録物の搬送量を算出する搬送量算出手段と、搬送量に基づいて、搬送手段の動作量をフィードバック制御する動作量制御手段とを備える制御装置が提供される。これにより、被記録物自体の搬送量の変化を監視して搬送装置の動作量を制御するので、搬送量の変化を直接に把握して搬送制御を実行できる。
また、ひとつの実施形態によると、上記制御装置において、撮影手段が、被記録物が搬送方向に対して傾きを生じ難い位置に配置される。これにより、被記録物の傾きの影響を排除して、精密な搬送量の制御ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、撮影手段が、記録ヘッドに対向する位置を通過する被記録物を撮影する。これにより、搬送方向の記録品質に直接に影響する期間について被記録物の搬送量を監視できる。従って、記録品質を向上させ得る搬送装置の制御を効率よく実行できる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送手段が、回転駆動されつつ被記録物に当接する給送駆動ローラを有して、被記録物を液体噴射装置の内部に取り込む給送装置を含み、撮影手段が、給送装置の直後における被記録物を撮影する。これにより、搬送装置、排出装置等の他の搬送手段に到達する前から、被記録物の搬送量を正確に制御できる。また、給送装置において発生する搬送誤差に対して有効な搬送制御ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送量算出手段が、給送駆動ローラおよび給送従動ローラの間から被記録物の後端が離脱するタイミングを含む期間の搬送量を算出する。これにより、給送ローラからの離脱による被記録物の搬送負荷の変動に起因する搬送量の変動の影響を排除した搬送制御ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送手段が、回転駆動されつつ被記録物に当接する搬送駆動ローラと、搬送駆動ローラに対して被記録物を押し付ける搬送従動ローラとを有して、被記録物を液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置を含み、撮影手段が、搬送装置を通過する被記録物を撮影する。これにより、液体噴射ヘッドの直前に配置された搬送装置における被記録物の搬送を制御できるので、記録品質の向上に大きく寄与する。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、撮影手段が搬送駆動ローラの表面性状を撮影して、搬送量算出手段が搬送駆動ローラの表面の変位量を算出する。これにより、被記録物の搬送に直接関与する搬送駆動ローラ表面の変位を検出できる。従って、搬送駆動ローラの変位と被記録物の搬送量の相違に基づいて、搬送装置において生じる搬送誤差の影響を受けることがない搬送制御ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送駆動ローラの表面が、撮影装置に対して、被記録物に近い光学的特性を有する。これにより、ひとつの撮影装置を用いて、搬送駆動ローラおよび被記録物のいずれに対しても、変位量および搬送量の正確な検出ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送手段が、回転駆動されつつ被記録物に当接する排出駆動ローラと、排出駆動ローラに対して被記録物を押し付ける排出従動ローラとを有して、被記録物を液体噴射装置の外部に排出する排出装置を含み、撮影手段が、排出装置を通過する被記録物を撮影する。これにより、被記録物が、搬送装置等の他の搬送手段から離脱した後も、搬送量を正確に制御できる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送手段が、被記録物を液体噴射装置に取り込む給送装置と、被記録物を液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置とを含み、撮影手段が給送装置の直後における被記録物を撮影し、動作量制御手段が搬送装置の動作量を制御する。これにより、搬送装置おける搬送制御パラメータを、被記録物が搬送装置に到達する前に算出できるので、迅速な処理ができる。
更に、他の実施形態によると、上記制御装置において、搬送手段が、被記録物を液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置と、被記録物を液体噴射装置の外部に送り出す排出装置とを含み、撮影手段が搬送装置を通過する被記録物を撮影し、動作量制御手段が排出装置の動作量を制御する。これにより、排出装置おける搬送制御パラメータを、被記録物が排出装置に到達する前に算出できるので、迅速な処理ができる。
また、本発明の第2の形態として、被記録物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送された被記録物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置において、搬送手段による被記録物の搬送量を制御する制御装置を備えた液体噴射装置であって、制御装置が、搬送手段により被記録物を搬送させながら、被記録物の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影手段と、画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより被記録物の搬送量を算出する搬送量算出手段と、搬送量に基づいて、搬送手段の動作量をフィードバック制御する動作量制御手段とを備える液体噴射装置が提供される。これにより、被記録物を取り扱う液体噴射装置において、上記の通りの精密な搬送制御を実現できる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置100の内部構造を概観する斜視図である。同図に示すように、このインクジェット式記録装置100は、全体の台座となる下ケース110上に搭載されたフレーム112の周囲に形成される。フレーム112の後方には、被記録物としての記録用紙190を装填するペーパサポート120が装着される。なお、この図ではフレーム112に隠れるが、ペーパサポート120の下方には、給送装置130が配置される。また、フレーム112の前方には、搬送装置140、プラテン150、排出装置160および排出トレイ170が順次配置される。従って、このインクジェット式記録装置100においては、ペーパサポート120に装填された記録用紙190は、これら給送装置130、搬送装置140および排出装置160に順次搬送される搬送経路(不図示)を経て、排出トレイ170上に排出される。
一方、プラテン150の上方には、キャリッジ180が配置される。キャリッジ180は、フレーム112の前面に水平に配置されたガイド軸181に案内され、プラテン150上を、記録用紙190の搬送方向と直交する方向に移動する。また、キャリッジ180は、フレーム112の前面に掛けわたされたタイミングベルト183に結合されており、図示されキャリッジモータ(不図示)の動作に応じてタイミングベルト183に牽引されて往復移動する。従って、前記した給送装置130、搬送装置140および排出装置160による記録用紙190の搬送と組み合わせることにより、キャリッジ180は記録用紙190の上面を全面にわたって走査できる。なお、キャリッジ180の移動量は、フレーム112の前面にガイド軸181と平行に張りわたされたリニアスケール185を利用して制御される。
更に、キャリッジ180は、上面のカバー184の中にインクカートリッジを搭載する。また、キャリッジ180の下面には、インクを吐出する記録ヘッド182が装着される。従って、このインクジェット式記録装置100では、記録用紙190の任意の領域に向かってインクを吐出して、記録用紙190上に画像を形成できる。
図2は、インクジェット式記録装置100における記録用紙190の搬送経路200を示す断面図である。なお、図1と共通の構成要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
同図に示すように、ペーパサポート120に立てて装填された記録用紙190は、給送ローラ132を含む給送装置130によりインクジェット式記録装置100の内部に1枚ずつ取り込まれる。また、搬送装置140に到達するまでの区間で屈曲された記録用紙190は、略水平に搬送装置140に進入する。
給送装置130は、ペーパサポート120に設けられたホッパによりに押し出された記録用紙190に接する給送ローラ132を備える。給送ローラ132は回転駆動されており、記録用紙190を、インクジェット式記録装置100の内部に1枚ずつ取り込む。取り込まれた記録用紙190の先端は、やがて、搬送装置140に到達する。
搬送装置140は、搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144を備える。搬送駆動ローラ142は、回転伝達機構149を介して搬送モータ145により回転駆動される。また、搬送従動ローラ144は、下方に向かって付勢されつつ搬送駆動ローラ142に当接して、搬送駆動ローラ142に連れ回される。搬送装置140に到達した記録用紙190は、上記の搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144の間に進入して、搬送駆動ローラ142の回転に従ってプラテン150上に送り込まれる。
なお、記録用紙190の搬送方向の長さは、給送装置130および搬送装置140の間隔よりも長い。従って、記録用紙190が搬送装置140に到達した当初は、記録用紙190は、給送装置130および搬送装置140の両方によって同時に搬送される。しかしながら、給送装置130の給送ローラ132は、記録用紙190が搬送装置140に到達した後に記録用紙190から離れるので、記録用紙190を搬送する役割は搬送装置140に移行する。
プラテン150上では、キャリッジ180の底面に装着された記録ヘッド182により、記録用紙190の上面に対して断続的にインクが吐出され、画像が形成される。このとき、プラテン150は、記録用紙190を下方から支持するので、記録ヘッド182および記録用紙190の間隔は一定に維持される。
なお、記録用紙190に形成される画像の、搬送方向についての解像度および記録品質は、搬送装置140による記録用紙190の搬送精度に大きく依存する。即ち、搬送駆動ローラ142による搬送量が大きすぎた場合は、記録画像の行間に空白が生じる。一方、搬送量が過少の場合は、行の一部が相互に重なって記録され、画像上に搬送方向と直交する平行線が生じる。また、記録用紙190および搬送駆動ローラ142の間の滑りは少ない方が好ましいので、搬送従動ローラ144は、搬送駆動ローラ142に対して記録用紙190を強い力で押さえつける。
インクによる画像を形成された記録用紙190は、搬送装置140により更に前進して、やがて先端が排出装置160に到達する。排出装置160も、互いに当接した排出駆動ローラ162および排出従動ローラ164を備える。排出駆動ローラ162は、図示されない伝達機構を介して搬送モータ145により回転駆動される。一方、排出従動ローラ164は、下方に向かって付勢されて、記録用紙190を排出駆動ローラ162に押し付けつつ、排出駆動ローラ162の回転に連れ回される。
このとき、排出従動ローラ164が接する記録用紙190の上面には、すでにインクによる画像が形成される。そこで、画像を損傷することがないように、排出従動ローラ164は、搬送従動ローラ144に比較すると弱い力で付勢される。また、排出従動ローラ164の表面には鋭利な突起が形成され、非常に小さな面積で記録用紙190に触れる。更に、排出駆動ローラ162の表面も、弱い圧力で接する記録用紙190を効率よく搬送すべく、柔軟で摩擦係数の高い材料で形成される。
なお、排出装置160および搬送装置140の間隔も、記録用紙190の搬送方向の長さよりも短い。従って、記録用紙190が排出装置160に到達した当初は、排出装置160および搬送装置140が同時に記録用紙190を移動させる。やがて、記録用紙190の後端が搬送装置140を通過すると、記録用紙190は排出装置160に搬送されて、インクジェット式記録装置100の外部に送り出される。
以上説明したように、このインクジェット式記録装置100における記録用紙190の搬送経路200上には、給送装置130、搬送装置140および排出装置160を含む、記録用紙190の搬送に与る複数の要素が配置される。また、記録用紙190は、ペーパサポート120内では略重力方向に移動するのに対して、搬送装置140以降の搬送経路200では略水平に移動する。従って、上記のように、ペーパサポート120から搬送装置140に至る区間においては、記録用紙190の搬送経路200が屈曲するので、記録用紙190に対する搬送負荷は不断に変化し続ける。また、給送装置130、搬送装置140および排出装置160の各々において記録用紙190に作用する力の強さは様々に変化する。
また更に、搬送装置140のように記録用紙190を大きな力でローラ間に挟んで移動させた場合、記録用紙190が搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144の間から離脱するときに、蹴飛ばしと呼ばれる現象が生じる。これは、記録用紙190の後端がローラ間から抜け出る瞬間に、ローラ相互の間の押圧力が記録用紙190を搬送方向に押し出すように作用する現象で、記録用紙190の搬送速度を瞬間的に大きく変動させる場合がある。
このように、インクジェット式記録装置100における記録用紙190の搬送については様々な要素が関係する。また、これらの要素は、個々のインクジェット式記録装置100の個体差、各部材の経時変化等によってもさらに変化する。従って、実際に搬送される記録用紙190の搬送量を監視して、搬送制御を実行することが有利になる。
図3は、上記したインクジェット式記録装置100に対して形成した制御装置300の構造を模式的に示す図である。同図に示すように、インクジェット式記録装置100の備える搬送モータ制御部146は、回転伝達機構149を介して搬送駆動ローラ142を回転駆動する搬送モータ145の回転量を変化させることができる。従って、搬送駆動ローラ142の回転量により、記録用紙190の搬送量を制御できる。
また、制御装置300は、記録用紙190の搬送経路200上に配置された撮影装置312と、撮影装置312により得られた画像に基づいて記録用紙190の搬送量を算出する搬送量算出部320とを備える。撮影装置312は、キャリッジ180の近傍に配置され、キャリッジ180の直下を搬送される記録用紙190の表面を連続的に撮影する。また、搬送量算出部320が算出した記録用紙190の搬送量は、搬送モータ制御部146に提供される。
更に、このインクジェット式記録装置100は、記録用紙190の搬送経路200上の給送装置130の直後に、紙端センサ134を備える。紙端センサ134は、搬送される記録用紙190が物理的に作動させるスイッチ等により形成され、記録用紙190の前端が通過したタイミングを搬送モータ制御部146に通知する。従って、紙端センサ134により通知された記録用紙190通過のタイミングから起算して、記録用紙190の位置も把握できる。
上記のような構造を有する制御装置300において、搬送モータ制御部146は、記録用紙190の搬送量を搬送量算出部320から逐次獲得する。従って、獲得する搬送量に基づいて搬送モータ145の動作量をフィードバック制御することにより、発生原因の如何にかかわらず、記録用紙190の搬送量を所与の搬送量に一致させる制御ができる。
なお、上記の説明では、搬送モータ145の動作量により記録用紙190の搬送量を制御する構造について説明した。しかしながら、このインクジェット式記録装置100においては、給送装置130および排出装置160も、記録用紙190の搬送に関与している。従って、搬送量算出部320の算出した制御量を利用して、搬送手段の一部をなす給送装置130、排出装置160等の動作を制御することもできる。
図4は撮影装置312の構造を模式的に示す図である。同図に示すように、この撮影装置312は、光学系412を付加された発光素子410と、やはり光学系422を付加された撮像素子420とを備える。発光素子410から出射された光は、光学系412により収束されて、記録用紙190の表面に斜め上方から照射される。これにより、記録用紙190表面の微細な起伏が高いコントラストで現れる。一方、撮像素子420は、発光素子410により照明された記録用紙190上の領域を、光学系422により拡大された状態で撮影する。また、撮像素子420は複数の画素センサ424を有して、記録用紙190の表面の微細な起伏を、二次元画像として撮影する。
なお、撮像素子420としては、C−MOSセンサ、電荷結合素子等を用いることができる。また、制御装置300においては、図中に矢印Mで示す搬送方向に搬送される記録用紙190の表面を連続的に撮影するので、画像フレーム毎に異なる画像が撮影される。
図5は、上記のような撮影装置312により撮影された記録用紙190表面の撮影画像400を模式的に示す図である。また、図5においては、経時的に変化する3つの画像を並べて示す。
同図に示すように、撮影画像400には、発光素子410により照明された記録用紙190表面の起伏に応じた画像が現れる。更に、図中に矢印Mにより示す搬送方向への記録用紙190の移動に従って画像も変化する。ここでは、ひとつの例として、図中に「○」により示す画素で形成された画像パターンに着目すると、画像がAからCへと変化するに従って画像パターンが図中で上方に移動することが判る。従って、撮影画像400上の画像パターンの移動距離から、記録用紙190の実搬送量を算出できる。なお、図中に固有の図形で示した画素は、実際には、例えば明暗の階調の相違として現れる。
図6は、上記のような撮影装置312および搬送量算出部320により算出された記録用紙190の実搬送量の推移を模式的に示すグラフ500である。同図に示すように、給送装置130によりインクジェット式記録装置100の内部に記録用紙190が取り込まれ始めた当初は、搬送経路200の屈曲に合わせて記録用紙190を変形させながら給送しなければならない給送ローラ132の負荷が増加する。しかしながら、記録用紙190の先端が搬送装置140に到達すると搬送装置140が記録用紙190の搬送に関与するので、給送装置130の負荷は減少する。
また、給送装置130および搬送装置140の間で記録用紙190が弛まないように、記録用紙190に対してはバックテンションがかけられる。このため、搬送装置140の搬送量は給送装置130の搬送量よりも大きく設定されて、記録用紙190にバックテンションを発生させる。従って、搬送装置140が搬送に関与すると、記録用紙190の搬送量は増加する。
更に、記録用紙190の搬送に搬送装置140が関与すると、給送装置130は速やかに記録用紙190から離れる。このため、上記した給送ローラ132によるバックテンションは消滅して、記録用紙190の搬送量は一段と増加する。続いて、記録用紙190の先端は排出装置160に到達する。排出装置160の固有の搬送量は、搬送装置140の固有の搬送量に略等しい。しかしながら、搬送装置140および排出装置160が同時に記録用紙190の搬送に関与することにより、各ローラおよび記録用紙190の間の滑りが減少するので、記録用紙190の搬送量は僅かに増加する。更に記録用紙190が搬送されると、記録用紙190の後端が搬送装置140を通りすぎる。このとき、前記した搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144による蹴飛ばし現象が発生して、記録用紙190の搬送量は一瞬増加する。これ以降は、記録用紙190は排出装置160によりインクジェット式記録装置100の外部に送り出されるので、搬送量の大きな変動は生じない。
上記のような、また、図6に示すような記録用紙190の搬送量の推移を勘案すると、搬送量の算出を、少なくとも4つの区間についてそれぞれ個別に実行することが好ましい。即ち、記録用紙190の先端が搬送装置140を通過しない限り、インクジェット式記録装置100は記録動作を実行しないので、記録用紙190が搬送装置140に到達してから給送ローラ132に開放されるまでがひとつの期間となる。また、その後、記録用紙190の先端が排出装置160に到達するまで、記録用紙190の後端が搬送装置140から抜け出るまで、記録用紙190が排出装置160から排出されるまでのそれぞれの期間について搬送量を算出して、それぞれの期間の搬送制御に適用することが好ましい。これにより、記録用紙190の搬送に関与する要素の変化に対応した搬送制御ができる。
なお、記録用紙190の後端が搬送装置140から離脱する瞬間については、別途、他の搬送制御を導入することもできる。即ち、記録用紙190の後端が搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144の間を抜け出る瞬間に搬送駆動ローラ142の駆動量を変化させ、場合によっては逆転させる等の制御により搬送量の変動を打ち消すことができる。
図7は、制御装置300の他のレイアウトを模式的に示す図である。同図に示すように、インクジェット式記録装置100の内部において記録用紙190の表面を撮影する撮影装置312、314、316、318を複数配置することもできる。即ち、図3に示した制御装置300では、撮影装置312はキャリッジ180の直近に配置され、インクを吐出される直前の記録用紙190を撮影する。しかしながら、前述したように、記録用紙190の搬送量の変動は、インクジェット式記録装置100内部のさまざまな要素によって生じるので、それらを個別に検出して、より精密な搬送制御を実施することもできる。
図7に示すように、撮影装置316により給送ローラ132の直近における記録用紙190を撮影した場合は、給送ローラ132による記録用紙190の搬送において生じる搬送量の変動を個別に検出できる。また、撮影装置318により排出装置160直前において記録用紙190を撮影した場合は、記録用紙190の後端が撮影装置312の撮影範囲を通り過ぎた後も、記録用紙190の搬送量の変動を検出できる。
また、複数の撮影装置312、314、316、318を備えた制御装置300では、記録用紙190の搬送方向について上流の撮影装置316、314、312を用いて検出した記録用紙190の搬送量に基づいて、下流に位置する搬送装置140、排出装置160等の動作を制御させることもできる。これにより、下流側の各要素に対しては、記録用紙190が到達する前に制御量を予測できるので、迅速な処理ができる。
更に、搬送装置140を通過する記録用紙190を撮影できるように撮影装置314を配置した場合、搬送装置140における搬送量の固有の変動を検出できるばかりではなく、搬送駆動ローラ142を撮影することもできる。これにより、搬送駆動ローラ142自体の表面の変位量を検出できる。一方、既に説明した通り、記録用紙190の搬送量も検出できるので、変位量と搬送量の差分から、搬送装置140において発生する搬送誤差を正確に把握できる。また、搬送駆動ローラ142の劣化を検出することもできる。
なお、撮影装置314を用いて搬送駆動ローラ142表面の変位量を検出する場合は、搬送駆動ローラ142の表面の光学的特性が、記録用紙190の光学的特性に近いことが好ましい。これにより、記録用紙190の搬送量を検出するための撮影装置314を用いて、搬送駆動ローラ142表面の変位量を高精度に検出できる。
なお、多くのインクジェット式記録装置100において、給送ローラ132は、記録用紙190の幅よりも細い幅で形成される。このため、給送ローラ132が記録用紙190を搬送する状態では、記録用紙190が搬送方向に対して傾く場合がある。一方、搬送装置140においては、搬送駆動ローラ142および搬送従動ローラ144は、記録用紙190を全幅にわたって挟む。このため、搬送装置140が記録用紙190の搬送に関与する期間は、記録用紙190は搬送方向に対して傾き難い。従って、給送ローラ132の近傍で実搬送量を検出する撮影装置316は、記録用紙190の先端が搬送装置140に到達してから撮影を開始することが好ましい。
以上詳細に説明したように、この制御装置300とそれを具備した液体噴射装置は、実際に搬送される被記録物の搬送量に基づいて制御を実行する。従って、多くの要素が関係して発生する搬送誤差について、発生原因、発生時期等の如何にかかわらず影響を排除した正確な搬送制御ができる。
なお、上記の発明に係る制御装置300は、被記録物を搬送する搬送手段を含む液体噴射装置に広く適用できる。具体例には、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造における色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造における電極形成装置またはバイオチップ製造に使用する試料噴射ヘッド等があげられるが、これらに限定されるわけではない。
以上、実施の形態を参照して説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
100 インクジェット式記録装置、110 下ケース、112 フレーム、120 ペーパサポート、130 給送装置、132 給送ローラ、134 紙端センサ、140 搬送装置、142 搬送駆動ローラ、144 搬送従動ローラ、145 搬送モータ、146 搬送モータ制御部、149 回転伝達機構、150 プラテン、160 排出装置、162 排出駆動ローラ、164 排出従動ローラ、170 排出トレイ、180 キャリッジ、181 ガイド軸、182 記録ヘッド、183 タイミングベルト、184 カバー、185 リニアスケール、190 記録用紙、200 搬送経路、300 制御装置、312、314、316、318 撮影装置、320 搬送量算出部、400 撮影画像、410 発光素子、420 撮像素子、412、422 光学系、424 画素センサ、500 グラフ
Claims (12)
- 被記録物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された被記録物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置において、前記搬送手段による前記被記録物の搬送量を制御する制御装置であって、
前記搬送手段により前記被記録物を搬送させながら、前記被記録物の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影手段と、
前記画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより前記被記録物の搬送量を算出する搬送量算出手段と、
前記搬送量に基づいて、前記搬送手段の動作量をフィードバック制御する動作量制御手段と
を備える制御装置。 - 前記撮影手段が、前記被記録物が前記搬送方向に対して傾きを生じ難い位置に配置される請求項1に記載の制御装置。
- 前記撮影手段が、前記液体噴射ヘッドに対向する位置を通過する前記被記録物を撮影する請求項1に記載の制御装置。
- 前記搬送手段が、回転駆動されつつ前記被記録物に当接する給送駆動ローラを有して、前記被記録物を前記液体噴射装置の内部に取り込む給送装置を含み、
前記撮影手段が、前記給送装置の直後における前記被記録物を撮影する請求項1に記載の制御装置。 - 前記搬送量算出手段が、前記給送駆動ローラから前記被記録物の後端が離脱するタイミングを含む期間の搬送量を算出する請求項4に記載の制御装置。
- 前記搬送手段が、回転駆動されつつ前記被記録物に当接する搬送駆動ローラと、前記搬送駆動ローラに対して前記被記録物を押し付ける搬送従動ローラとを有して、前記被記録物を前記液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置を含み、
前記撮影手段が、前記搬送装置を通過する前記被記録物を撮影する請求項1に記載の制御装置。 - 前記撮影手段が前記搬送駆動ローラの表面性状を撮影して、前記搬送量算出手段が前記搬送駆動ローラの表面の変位量を算出する請求項6に記載の制御装置。
- 前記搬送駆動ローラの表面が、前記撮影手段に対して、前記被記録物に近い光学的特性を有する請求項7に記載の制御装置。
- 前記搬送手段が、回転駆動されつつ前記被記録物に当接する排出駆動ローラと、前記排出駆動ローラに対して前記被記録物を押し付ける排出従動ローラとを有して、前記被記録物を前記液体噴射装置の外部に排出する排出装置を含み、
前記撮影手段が、前記排出装置を通過する前記被記録物を撮影する請求項1に記載の制御装置。 - 前記搬送手段が、前記被記録物を前記液体噴射装置に取り込む給送装置と、前記被記録物を前記液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置とを含み、
前記撮影手段が前記給送装置の直後における前記被記録物を撮影し、前記動作量制御手段が前記搬送装置の動作量を制御する請求項1に記載の制御装置。 - 前記搬送手段が、前記被記録物を前記液体噴射ヘッドに対向する位置に送り込む搬送装置と、前記被記録物を前記液体噴射装置の外部に送り出す排出装置とを含み、
前記撮影手段が前記搬送装置を通過する前記被記録物を撮影し、前記動作量制御手段が前記排出装置の動作量を制御する請求項1に記載の制御装置。 - 被記録物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された被記録物に対して液体を噴射する液体噴射ヘッドとを備えた液体噴射装置において、前記搬送手段による前記被記録物の搬送量を制御する制御装置を備えた液体噴射装置であって、
前記制御装置が、
前記搬送手段により前記被記録物を搬送させながら、前記被記録物の表面性状を連続的な画像として撮影する撮影手段と、
前記画像から互いにタイミングの異なる複数の静止画像を抽出して比較することにより前記被記録物の搬送量を算出する搬送量算出手段と、
前記搬送量に基づいて、前記搬送手段の動作量をフィードバック制御する動作量制御手段と
を備える液体噴射装置。
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