JP2010173845A - プリンタ及び物体の移動検出方法 - Google Patents

プリンタ及び物体の移動検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 様々なメディアに対応可能で、メディアの移動情報を高い精度で且つ確実に検出して、良好な品質での画像形成を可能とするプリンタの提供。
【解決手段】 メディアの表面を撮像して時系列の画像データを取得する光学センサ(701)と、光学センサでの撮像位置よりも搬送方向の上流側において、搬送されるメディアの表面に接触して、光学的に識別可能な凹凸形状を付与する接触部材(1101)と、接触部材を保持して接触部材を前記のメディアの表面に接触する位置と接触しない位置とに移動させる移動機構(1102)とを備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、画像処理によって物体の移動を検出する技術、および同技術を採用したプリンタの技術分野に関する。
プリント用紙等のメディアを搬送しながらプリントを行なう際、搬送精度が低いと、中間調画像の濃度ムラが生じたり、倍率誤差が生じたりして、得られるプリント画像の品質が劣化する。そのため、高精度な部品を採用し精密な搬送機構を搭載しているが、プリント品質に対する要求は厳しくさらなる精度向上が望まれている。一方ではコストに対する要求も厳しく、高精度化と低コスト化の両立が求められている。
これに対処するため、メディアの移動を高精度に検出して、フィードバック制御により安定した搬送を実現するために、メディアの表面を撮像して、搬送されるメディアの移動を画像処理によって検出する試みがなされている。
特許文献1は、このメディアの移動検出についての一手法を開示する。特許文献1は、移動するメディアの表面をイメージセンサにより時系列に複数回撮像し、得られた画像同士をパターンマッチング処理で比較して、メディアの移動量を検出するものである。
特開2007−217176号公報
メディアの表面を撮像して画像処理によって移動を検出するためには、メディアの表面の微細な凹凸形状が光学的に十分に識別でき、固有の画像パターンが明瞭である必要がある。
しかし、使用するメディアの表面が極めて平滑な場合は、撮像で得た画像は低コントラストとなり、画像中の固有パターンの識別が困難となる場合がある。そうなると、パターンマッチング処理の精度が劣化する、あるいは処理が行なえなくなってしまう。この現象について以下に説明する。
図15は、二次元のイメージセンサにより、移動するメディアの表面の部分領域を異なるタイミングで時系列に撮像した画像の例である。画像101は最初に撮像した画像、画像102はそこからある時間にメディアが移動して撮影した画像である。いずれの画像も、メディアの表面の微細な凹凸形状(紙の繊維の凹凸など)が、高いコントラストを持った明暗パターンとして現れている。ここで画像101の中の破線で示す一部領域101aと同じパターンが、画像102の中のどこに存在するかを、既知のパターンマッチング処理により画像の類似度から判定する。その結果、画像102の中の破線で示す領域102aに存在することが判る。領域101a、102aが搬送方向で何画素離れているかを見れば、この間のメディアの移動量103を求めることができる。
図16は、表面凹凸形状が図15のものよりも平滑なメディアを用いた場合の、時系列の画像201、202の例である。図15と比較して、表面凹凸形状による固有の明暗パターンが少ない。この例では、パターンマッチング処理に用いる領域201aに固有の明暗パターンが含まれていない。このため、この領域201aと類似する画像パターンを、画像202の中で探すと、複数の領域203が類似と判定されて、メディアの移動量の検出が正確に行なえない。
図17は、表面凹凸形状が図15のものよりも平滑なメディア用いた場合の、時系列の画像301、302の例である。図15と比較して、固有パターンは見られるものの、そのコントラストが極端に低い。そのため、例えば照明光量が僅かに変化しただけで、固有パターンの情報が大きく変化してしまう。領域301aと移動後の領域302aとは、本来は同じ固有パターンであるのに、この間の照明光量の変動で、実際には異なるパターンとして認識されてしまう可能性がある。すると、パターンマッチング処理で一致を見つけることができず、メディアの移動量の検出が正確に行なえない。
本発明は、上述の課題の認識に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、様々なメディアに対応可能で、メディアの移動量を高い精度で且つ確実に検出して、良好な品質での画像形成を可能とするプリンタの提供である。本発明の別の目的は、様々な物体に対応可能で、物体の移動情報を高い精度で且つ確実に検出することが可能な方法の提供である。
上記課題を解決する本発明は、メディアを搬送してプリントを行なうプリンタであって、メディアの表面を撮像して画像データを取得する光学センサと、前記光学センサによる撮像位置よりも搬送方向の上流側において搬送されるメディアの表面に接触して光学的に識別可能な固有の凹凸形状を付与する接触部材と、前記接触部材を保持して前記接触部材を前記のメディアの表面に接触する位置と接触しない位置とに移動させる移動機構と、前記光学センサで取得した画像データを用いて前記メディアの移動量を求める処理を行なう処理部と、前記移動機構による前記接触部材の移動を制御するコントローラとを有することを特徴とするものである。
また、本発明の別の形態は、物体の移動検出方法であって、移動する物体の表面に接触して光学的に識別可能な固有の凹凸形状を付与するステップと、前記移動する物体の表面を光学センサで撮像して画像データを取得するステップと、前記光学センサで取得した画像データを用いて前記物体の移動量を求めるステップと、前記物体の表面状態に応じて、前記接触部材を前記物体の表面に接触させる位置に移動させる又は接触しない位置に退避させるステップとを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、様々なメディアに対応可能で、メディアの移動情報を高い精度で且つ確実に検出して、良好な品質での画像形成を可能とするプリンタを提供することができる。また、様々な物体に対応可能で、物体の移動情報を高い精度で且つ確実に検出することが可能な方法を提供することができる。
インクジェットプリンタの主要部の構成図 接触部材の構造を示す図 検出ユニットの構造を示す断面図 メディア表面に微細な線状の擦り傷(スクラッチ)を付与する状態を示す図 メディア表面に微細な線状の擦り傷(スクラッチ)を付与する状態を示す図 光学センサの構成図 プリント時のメディアの搬送制御の処理手順を示すフローチャート図 メディアの搬送状態を示す図 メディアの一部を撮像して取得する時系列画像の例を示す図 接触部材の別の形態である回転体の構成を示す図 回転体を組み込んだ検出ユニットの断面図 回転体によってメディアに凹凸を付与する状態を示す図 回転体によってメディアに凹凸を付与する状態を示す図 被写界深度内と外での撮像を説明する図 異なるタイミングで取得した画像の例を示す図 コントラスト発生部位が少ない場合の画像の例を示す図 コントラスト差が小さい場合の画像の例を示す図
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示する。ただしこの実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。
本発明の適用範囲は、プリンタを始めとして、物体の移動検出を高精度に行なうことが要求される分野に広く渡る。例えば、プリンタ、スキャナ等の機器や、物体を搬送して検査、読取、加工あるいは各種の処理を施す、工業分野、産業分野、物流分野などで使用する機器に適用可能である。また、本発明をプリンタに適用する場合は、インクジェット方式、電子写真方式、サーマル方式、ドットインパクト方式などの様々な方式のプリンタに適用可能である。なお、本明細書において、メディアとは、紙、プラスチックシート、フィルム、ガラス等のシート状あるいは板状のプリント媒体をいう。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェットプリンタの主要部の構成図である。ヘッドカートリッジ1は、キャリッジ2に着脱可能に搭載される。ヘッドカートリッジ1は、インクジェット方式でインクを吐出させるプリントヘッドと、インクを収容してプリントヘッドに供給するインクタンクを有する。インクジェット方式は、発熱体を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、さまざまな方式を用いることができる。
キャリッジ2はガイドシャフト3によって案内支持され、主走査方向(Y軸)に往復移動する。キャリッジ2の移動は、キャリッジモータ4、プーリ5、プーリ6、タイミングベルト7からなるキャリッジ駆動機構によって行なう。センサ30と遮蔽板36は、キャリッジ2がホームポジションにあることを検出するものである。
メディア8は、シートフィーダ32上に積載されている。プリント動作が開始されると、供給モータ35によってピックアップローラ31を回転させ、積載されるメディア8を一枚ずつ分離して供給する。シート検知器33はメディアを検知するセンサであり、メディア8の供給が正常であるかを判定する。
メディア8は、搬送ローラ9の回転によって、搬送方向(副走査方向、X軸)の下流に向けて搬送して、ヘッドカートリッジ1のプリントヘッドと対向するプリント位置に送り込む。搬送ローラ9の回転駆動は、搬送モータ1008と伝達ギアからなる駆動機構によって行なう。搬送ローラ9の回転状態(回転量又は回転速度)は、搬送ローラ9の回転軸に取り付けたロータリエンコーダ1013で検出する。この検出出力を基にコントローラ(制御部)10は搬送モータ1008の回転を制御する。プリント位置において、メディア8は、対向するプリントヘッドとの間隔が安定するように、プリント面とは反対側の表面がプラテンによりガイドされる。コントローラ10は、CPU10a、メモリ10b、各種I/Oインターフェースを有し、プリンタ本体に内蔵されており、搬送制御のみならず、後述する移動機構のほか、装置全体の各種制御を司る。
種々の搬送ガイドの一つであるベース部材1014は、主走査方向に沿って、複数の排出ローラ1010を保持すると共に、その表面には複数のリブ1015が形成されている。排出ローラ1010は、メディア8を最後まで排出するためのローラである。その回転駆動力は、搬送ローラ9からベルト1016で伝達する。ピンチローラ1012および拍車ローラ1011は、それぞれ搬送ローラ9および排出ローラ1010との間にメディア8を挟んで安定した搬送を行なうための従動ローラである。
ベース部材1014の主走査方向のほぼ中央部に検出ユニット1100がある。検出ユニット1100は、メディア8の表面(プリント面とは反対側の面)を撮像する光学センサ701、およびメディアの表面に接触する接触部材1101を一体に保持する。接触部材1101は、光学センサ701による撮像位置よりもメディア搬送方向(移動物体の移動方向)の上流側に位置して、光学センサ701での撮像の前に接触するようになっている。図2は接触部材1101の構造を示す斜視図および側面図である。接触部材1101は、弾性力を持った板を折り曲げた形状を有し、その表面には、微細な凹凸面(ヤスリ状の粗面)が形成されている。
また、検出ユニット1100は移動機構1102によって上下(メディア面の法線方向)に移動し、メディア8の面に対して接近又は離間する。移動機構1102は、接触部材1101および光学センサ701をメディア面の法線方向に対して上下方向に移動可能である。移動機構1102で上昇させると接触部材1101の頭部がメディア8の面に接触する接触位置に移動し、下降させると接触部材1101がメディア8から十分に離間して接触しない退避位置に移動する。移動機構1102はモータや、ソレノイドや、偏心カムなどを用いて構成される。移動機構1102はコントローラ10の指令信号に従って動作する。コントローラ10は、プリント状態や光学センサ701の撮影画像から、接触部材1101をどの位置に移動させるかを判断し、移動機構1102に昇降指令を送信する。
図3は検出ユニット1100の構造を示す横断面図である。移動機構1102が下降した際には、接触部材1101の折り曲がった頭部は、メディアが搬送される経路901から退避する。一方、移動機構1102が上昇した際には、接触部材1101の頭部が経路901に突出する。図3は上昇した際の状態を示している。ここにメディアが通過すると、接触部材1101の頭部の微細な凹凸面がメディア8の表面に接触して、メディア8の表面に微細な線状の擦り傷(スクラッチ)20を付与する。この状態を図4と図5に示す。擦り傷20は、微視的にはメディア上に新たに形成された、溝(凹)と山(凸)からなる凹凸形状であり、光学的に識別可能である。接触部材1101は、接触方向に弾性力を持った板バネ構造であり、メディア8と接触した際に適切な付勢力を与える。この付勢力は、メディア表面に形成される擦り傷が、人間の目視では認識が困難であるが、撮像によって適切なコントラストを持った画像が得られる程度とする。これは、接触部材1101の凹凸面の鋭利さとメディア8の表面の硬度と、移動機構1102が上昇した際の接触部材1101の頭部の高さ位置との兼ね合いで調整する。
なお、検出ユニット1100は、図中では主走査方向のほぼ中央に配置しているが、プリンタが対応できる幅の狭いメディアも検出できる位置、例えばホームポジション位置でも良い。さらに検出ユニットを複数箇所に配置することもできる。
図6は光学センサ701の構成図である。光学センサ701は、大きくは発光部、受光部、画像処理部からなり、これらが筐体704の中にユニットとして一体化されている。光源703は、LED、OLED、半導体レーザなどの発光素子である。光源703から発する光は、導光体702で導いてメディア8の表面を斜め方向から照明する。メディア8上の照明領域の像は、レンズ706によってイメージセンサ705に結像する。イメージセンサ705は、CCDやCMOS構造の多数の光電変換素子を二次元に配列したエリアイメージセンサである。イメージセンサ705によって、メディアの表面の画像(表面凹凸の陰影のコントラスト差)を取得する。イメージセンサ705の撮像信号は、A/D変換して、チップ化された画像処理プロセッサである画像処理部707に送る。画像処理部707では、この画像データを元に画像処理によって、搬送されるメディアの移動情報(移動量、移動速度、移動加速度、移動方向など)を検出する。先の図15で説明したように、メディアの移動に伴って複数回の撮像を行って得られた複数の画像データを、パターンマッチング処理を含む画像処理により比較して、メディアの移動量(搬送量)を検出する。また、取得した画像を一旦2値化して、2値化画像をパターンマッチング処理で比較するようにしてもよい。あるいは、取得した画像の、輝度がピークとなる部分を抽出して、画像のピーク部分を比較して位置のずれ量を取得する方法でもよい。また、メディアの移動量だけでなく、単位時間当たりの移動量から速度を求めることもできるし、微分処理によって速度の変化を見ることで加速度を求めることもできる。こうして求めたメディアの移動情報を、コントローラ10にフィードバックして、メディア8の搬送をフィードバック制御する。なお、光学センサ701に画像処理部707を内蔵してメディアの移動情報を検出する形態に限らず、コントローラ10に画像処理部707と同等の機能を内蔵する形態としてもよい。すなわち、光学センサ701はA/D変換した画像をコントローラ10に出力するだけに留めて、コントローラ10において画像処理部707と同様の画像処理を行なって移動情報を検出するようにしてもよい。
図7は、プリント時のメディアの搬送制御の処理手順を示すフローチャート図、図8はそれぞれのタイミングにおけるメディアの搬送状態を示す図である。
ステップS01で、プリント開始命令によりプリント動作を開始する。メディア8の先端が検出ユニット1100に突入する際に、メディア端部と接触部材1101とが衝突すると、メディア8の端部が破損したり搬送のジャムを引き起こす畏れがある。これを防止するために、ステップS02では、コントローラ10は移動機構1102の下降指令を出し、検出ユニット1100を下降させて退避位置へ移動させる(図8(a)参照)。ステップS03では、メディア8をシートフィーダ32から供給する。そして、ステップS04では、シート検知器33がメディア8の先端を検知したら、搬送ローラ9によるメディアの副走査方向の搬送を開始する。ステップS05では、キャリッジ2でヘッドカートリッジ1を主走査方向に往復移動させ、プリントヘッドからインクを吐出させて画像形成を開始する。
ステップS06では、メディア8の先端が検出ユニット1100の接触部材1101を超えた位置まで搬送されたら(図8(b)参照)、コントローラ10は、移動機構1102の上昇指令を出す。検出ユニット1100が上昇して接触位置に移動すると、接触部材1101の頭部がメディア8と接触する(図8(c)参照)。この状態でメディア8が移動すると、接触部材1101の頭部の凹凸がメディア8表面に微細な多数の線状の擦り傷(スクラッチ)20を付与する。
ところで、使用するメディアの表面状態によっては、上述のように接触部材で微細な傷を付けることが好ましくない場合がある。例えば、メディアの表面硬度が非常に大きい場合には、接触部材が接触しても表面に凹凸形状が殆どもしくは全く付与されない。加えて、接触部材の微細凹凸の磨耗が進んで耐久性を低下させてしまう要因ともなる。また、メディアの表面硬度が非常に小さい場合や非常に薄いメディアの場合、接触部材による付勢力が強すぎてメディアに傷が付きすぎたり、最悪メディアに穴が空くなど、視認できるほどのダメージをメディアに与えてしまう要因となる。本実施形態では、このような場合を想定して、必要に応じて移動機構1102で検出ユニット1100を退避位置に退避させて、メディアと接触部材1101との接触を回避する。
ステップS07では、使用するメディアが接触部材1101との接触に適したものであるか(Yes)否か(No)を判断する。光学センサ701で取得した画像の中で、接触部材1101で付与される凹凸形状に対応した特定パターンのコントラストをコントローラ10又は光学センサ701に内蔵した画像処理部707で解析して、接触に適したメディアであるか否かを自動的に判断する。例えば、メディアの表面硬度が非常に大きい場合には、接触部材1101が接触してもメディアには殆どあるいは全く線状の凹凸形状が付与されない。したがって、取得した画像も接触部材1101が接触する部分のコントラストが低いものとなる。画像解析によって、図9の画像101のように副走査方向に伸びた複数の線状のパターンが含まれているかどうかを判別する。含まれていない場合はメディアが接触部材1101との接触に適しない(No)と判断する。また、含まれている場合は、線状のパターンのコントラストを解析する。例えば、メディアに傷が付きすぎて部分的に異常に強いコントラストとなる。従って、線状のパターンのコントラストが所定値よりも大きな場合には、使用するメディアが接触部材1101との接触に適さない(No)と判断する。コントラストが所定値以下の場合には、使用するメディアが接触部材1101との接触に適する(Yes)と判断する。
また、使用するメディアが接触部材1101との接触に適したものであるか(Yes)否か(No)を判断する別の方法もある。コントローラ10は、ユーザがメディアを装填した際に装置に指定するメディア種類、あるいはプリンタ内に設けたメディアセンサによって自動判別したメディア種類を認識することができる。コントローラ10は、この認識したメディア種類と、予め記憶したメディア種類と適否との対応テーブルを参照して、ステップ07のYes/Noを判断する。この方法を採る場合は、ステップS07で適否を判断せずに、それ以前の段階(例えばステップS02の前の段階)で適否を判断するようにしてもよい。その場合、適(Yes)の場合は、ステップS06の次はステップS07をスキップしてステップS08に移行する。また、否(No)の場合は、ステッS05の次は、ステップS06、ステップS07、ステップS13をスキップして、ステップS14に移行する。
こうして、ステップS07において、使用するメディアが接触部材1101との接触に適する(Yes)と判断したら、ステップS08に移行する。一方、適さない(No)と判断したらステップS13に移行する。
ステップS08では、画像処理によるメディアの搬送量検知を行なう。光学センサ701は通過するメディアを撮像する(図8(d)参照)。このとき取得される画像は、図9の画像101のように、メディア8の表面の微細な凹凸形状、とくに付与された副走査方向に伸びた線状の擦り傷20が目立つものとなる。すなわち、場所に応じた固有のパターンが明瞭な画像である。画像101に次いで、所定のタイミングの後に画像102を取得する。そして、これら時系列に取得した画像101、102を元に、画像処理部707(あるいはコントローラ10)にてパターンマッチング処理を含む画像の相関演算処理で比較を行なう。その演算から実際の搬送量(移動量)を検出する。この搬送量はコントローラ10での搬送制御にフィードバックする。
画像の相関演算処理は具体的には以下のように行なう。ある時刻Tにおいて画像101を取得した後、更に時間T1だけ経過したタイミングで、画像102を取得する。パターンマッチング処理を含む画像処理により類似の画像パターンを探すことで、画像101内の領域101aが、画像102の領域102aの位置まで移動していることが判る。パターンマッチング処理とは、画像データ同士の相関演算により、画像データの中から特定の画像パターンが存在する画像位置を検出する手法である。相関演算には既知のArea−Basedマッチング法(ウィンドウマッチング)の処理手法を用いる。具体的な処理手法として、SAD法(差分絶対値和法)、SSD法(差分自乗和法)、NCC法(正規化相関法)、POC法(位相限定相関法)といったアルゴリズムが知られ、いずれかを採用する。例えば、イメージセンサ705の1画素に相当する、メディア8上での実際の大きさを10μm角とする。図9の例では、画像101、102は、搬送方向に21画素、主走査方向に8画素からなるものとする。パターンマッチングによる画像101と画像102の差異、すなわち移動量103は、搬送方向に8画素分ずれており、主走査方向にはズレがない。従って、時間T1内における搬送方向への移動量は10μm×8画素=80μm、走査方向への移動量はゼロとして検出される。なお、画像処理部の計算負荷を軽減するのであれば、主走査方向についての計算は省略してもよい。
ステップS09では、コントローラ10は、時間T1における設計上の目標値である搬送量(例えば85μmとする)に対する、画像処理で求めた実際のメディアの搬送量(80μm)を比較する。そしてこれらの差分(5μm、)を、次の搬送にフィードバックして搬送量の調整を行なう。このステップS08の搬送量検知とステップS09のフィードバック搬送制御は二次元の画像形成の間、繰返して続ける。そして、ステップ10で画像形成を終了する。
ステップS11では、画像形成が終了したらコントローラ10が下降指令を出し、移動機構1102により検出ユニット1100を退避位置へ移動させ、接触部材1101をメディアから十分に離間した位置に退避させる(図8(e)参照)。ステップS12では、排出ローラ1010でメディア8の排出を行なう。そして、ステップS17で一連のプリント動作を終了する(図7のS17)。
また、ステップS07において、適さない(No)と判断してステップS13に移行したら、以下の処理を行なう。ステップS13では、コントローラ10が移動機構1102に下降の指令信号を出して、接触部材1101がメディアと接触しな退避位置まで退避させる。これにより、例えば、表面が固いメディアであるなら接触部材1101の磨耗の進行を抑えることができ、逆に、傷つきやすいメディアであるならメディアへのダメージの付与を抑えることができる。
ステップS14では、メディアの表面に、画像相関演算処理を行なうのに必要なコントラストがある(Yes)か否か(No)の判断を行なう。例えば、硬いメディアで接触部材1101による凹凸の付与が十分でなくても、メディア自体が元々有している微細な表面凹凸の固有パターンを画像として捉えることができれば、画像相関演算処理が可能である。光学センサ701で取得した画像に固有パターンが存在するかどうか、画像解析によって判断する。Yesの場合はステップS08に移行して、上述した手順でメディア搬送のフィードバック制御を行なう。Noの場合はステップS15に移行する。
ステップS15に移行した場合は、画像処理による搬送量の取得ができないので、ロータリエンコーダ1013による搬送ローラ9の回転検出の出力のみを用いて、画像形成中の搬送制御を行なう。ステップS16で画像形成が終了したら、検出ユニット1100は退避した位置を維持したまま、ステップS12に移行して、メディアを排出して、ステップS17で一連のプリント動作を終了する。
以上説明したように、接触部材1101は、メディア8の表面に接触して光学的に認識可能な凹凸形状を付与するものである。これにより、様々なメディアに対応可能で、メディアの移動情報を高い精度で且つ確実に検出して、良好な品質での画像形成を可能とするプリンタを提供することができる。また、接触部材1101は、絶えずメディアに接触するのではなく、必要ないとき、接触しないほうがよいときは退避して接触を回避する。これにより、メディアに不要な傷を与えることを防止すると共に、接触部材1101の磨耗の進行を抑えることができる。
なお、接触部材は、板バネ状の構造に限らず、別の形態をとることもできる。図10は接触部材の別の形態である。これは、拍車のように、メディア8の搬送に従動して受動的に回転する回転体1501である。回転体1501の周囲は、鋭利な先端の複数の凸部を持った、裁縫で用いられるルーレットの回転歯のような形状を有している。図11は、この回転体を組み込んだ検出ユニット1100の横断面図である。上述の例と同様の移動機構1102で昇降する。上昇した位置において回転体1501は、メディアが搬送される経路901にその鋭利な凸部が突出する。回転体1501はバネなどの付勢力調整機構と連結して組み込まれることが望ましい。回転体1501はメディア8の搬送に従動して回転して、図12、図13に示すように、鋭利な凸部の先端がメディア8の表面に接触して、視認が困難な程度の微細な、連続したミシン目状の傷21をメディア8の表面に付与する。この傷21は、回転体の鋭利な先端が刺さって出来るスポット状の凹凸がミシン目状に並んだものである。この傷21を含む画像を撮影して、上記と同様にパターンマッチングを含む画像処理によって、メディアの移動情報を検出する。
この場合、図7のフローチャートのステップS07で、使用するメディアが回転体1501との接触に適したものであるかの判断は、コントローラ10あるいは光学センサ701に内蔵した画像処理部707での画像解析によって行なう。回転体1501によって付与される正常なスポット状の凹凸は、概ねサイズが決まっている。例えば、画像中の輝度が相対的に低い領域をサーチすることで、回転体1501で付与されたスポットを認識する。もし、表面硬度が非常に大きいメディアの場合は、メディア表面への回転体1501の刺さり方が浅いので、スポットサイズが小さくなる。逆に、傷つきやすいメディアの場合は、刺さり方が深くなるのでスポットサイズが大きくなる。従って、スポットサイズを見て、使用するメディアが回転体1501との接触に適するか否かを判断する。サイズが上限所定値よりも大きい場合や下限所定値よりも小さい場合には適さない(No)と判断する。スポットサイズが上限所定値と下限所定値の間に収まる場合は適する(Yes)と判断する。
なお、以上の例では、光学センサ701は、排出ローラ1010より搬送方向の下流側に配置しているが、上流側に配置するようにしてもよい。その場合も、接触部材1101や回転体1501は、搬送方向において撮像する位置よりも上流に位置させ、撮像の前に接触するようにする。
また、プリンタ機構の中で、移動するメディアと接触する部材に、接触部材1101や回転体1501のような接触部材を設けるようにしてもよい。例えば、搬送経路の各所にある種々の搬送ガイド部材(プラテンを含む)の表面に、接触部材1101や回転体1501と同様の接触部材を設けるようにしてもよい。また、メディアを搬送するための回転駆動力を持った搬送ローラ9、排出ローラ1010、その他、メディアと接触する各種の従動ローラ等のローラ回転体の周囲に、回転体1501と同様の複数の鋭利な凸部を設けるようにしてもよい。これらの場合も、光学センサ701は、その撮像位置が、接触部材よりも搬送方向で下流となるように配置し、移動機構1102により接触部材1101がメディアに接触および離間が可能なように構成する。なお、移動機構1102は少なくとも接触部材1101を昇降するように保持していればよく、光学センサ701は必ずしも移動機構1102に保持される必要は無い。
接触部材がいずれの形態であっても、メディアの表面に光学的に認識可能な凹凸形状を、新たに付与するものであり、撮像で得られる画像データは、各位置で固有のパターンを持ったコントラストが高いものとなる。その結果、平滑なメディアを用いた場合でも、精度の高いパターンマッチング処理が可能となる。加えて、使用するメディアが接触部材との接触に適したものであるかを判断して、適さない場合には接触を回避することで、接触部材の磨耗やメディアへのダメージを抑えることができる。すなわち、様々なメディアに対応可能で、メディアの移動を高い精度で検出して、良好な品質での画像形成を可能とするプリンタを提供することができる。
また、メディア表面に新たに凹凸を付与することで、光学センサ701の受光部に対するメディアの上下の位置ズレに対する許容度も向上する。これについて図14を用いて説明する。同図は、メディア8の表面、光学センサ701に含まれるレンズ706およびイメージセンサ705を模式的に描いたものである。画像700はイメージセンサ705により撮像された画像であり、矢印で示す範囲の被写界深度600は、レンズ706の光学特性による被写界深度、つまりイメージセンサ705上でピントが合う範囲を示している。図14(a)は、設計上の本来の位置関係を示し、メディア8の表面は被写界深度600の範囲内に位置している。そのため、イメージセンサ705で撮像された画像700は、凹凸が高コントラストに現れた鮮明なものである。一方、図14(b)はメディア8とレンズ706の間隔が本来の位置関係から、遠ざかる方向にずれた状態を示す。メディア8の基準となる面は被写界深度600の範囲から外れているが、接触部材によってメディア表面に形成された凹凸の凸部は被写界深度600の範囲に入っている。従って、イメージセンサ705で撮像された画像700は、少なくとも凹凸の凸部は鮮明に現れたものとなり、良好なパターンマッチング処理が可能となる。このように、本実施形態の方式を採用すれば、メディア8の表面の位置ズレに対する許容度が大きくなり、実用性の高いプリンタを実現することができる。
1 ヘッドカートリッジ
2 キャリッジ
4 キャリッジモータ
8 メディア
9 搬送ローラ
10 コントローラ
1013 ロータリエンコーダ
1100 検出ユニット
1101 接触部材
1102 移動機構

Claims (13)

  1. メディアを搬送してプリントを行なうプリンタであって、
    メディアの表面を撮像して画像データを取得する光学センサと、
    前記光学センサによる撮像位置よりも搬送方向の上流側において、搬送されるメディアの表面に接触して、光学的に識別可能な固有の凹凸形状を付与する接触部材と、
    前記接触部材を保持して、前記接触部材を前記のメディアの表面に接触する位置と接触しない位置とに移動させる移動機構と、
    前記光学センサで取得した画像データを用いて前記メディアの移動量を求める処理を行なう処理部と、
    前記移動機構による前記接触部材の移動を制御するコントローラと、
    を有することを特徴とするプリンタ。
  2. 前記コントローラは、プリント動作を行なわないでメディアを搬送する際には、前記移動機構によって前記接触部材を前記のメディアの表面に接触しない位置に移動させることを特徴とする、請求項1記載のプリンタ。
  3. 前記コントローラは、使用するメディアが前記接触部材との接触に適したものであるかを判断し、適したものであると判断したら前記移動機構によって前記接触部材を前記のメディアの表面に接触する位置に移動させ、適したものではないと判断したら前記移動機構によって前記接触部材を前記のメディアの表面に接触しない位置に移動させて、メディアの搬送を行なうように制御することを特徴とする、請求項1又は2記載のプリンタ。
  4. 前記判断は、前記光学センサで取得した画像を解析して、前記使用するメディアが前記接触部材との接触に適したものであるかを判断することを特徴とする、請求項3記載のプリンタ。
  5. 前記画像の解析は、前記光学センサで取得した画像の中で、前記接触部材で付与される前記凹凸形状に対応した特定パターンのコントラストを解析する処理を有することを特徴とする、請求項4記載のプリンタ。
  6. 前記コントローラは、ユーザが指定するメディア種類あるいはプリンタ内に設けたメディアセンサによって自動判別したメディア種類と、予め記憶したメディア種類と適否との対応テーブルを参照して、前記使用するメディアが前記接触部材との接触に適したものであるか否かを判断することを特徴とする、請求項3記載のプリンタ。
  7. 前記コントローラは、使用するメディアが前記接触部材との接触に適すると判断した場合に、前記処理部で求めたメディアの移動量をもとにメディアの搬送制御を行なうことを特徴とする、請求項3乃至6のいずれか記載のプリンタ。
  8. 前記光学センサと前記接触部材は一体に保持され、前記移動機構によって移動することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか記載のプリンタ。
  9. 前記接触部材は、搬送されるメディアの表面に接触する凹凸面を有し、前記凹凸面がメディアの表面に擦り傷を与えて凹凸形状を付与することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか記載のプリンタ。
  10. 前記接触部材は、搬送されるメディアの表面に接触して回転する、複数の凸部を持った回転体を有し、前記回転体の凸部がメディアの表面に接触して凹凸形状を付与することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか記載のプリンタ。
  11. 前記処理部では、前記光学センサにより異なるタイミングで取得した時系列の複数の画像データを比較して、前記メディアの移動量を検出することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか記載のプリンタ。
  12. 前記処理部では、パターンマッチングを含む画像相関演算処理によって、前記複数の画像データを比較することを特徴とする、請求項11記載のプリンタ。
  13. 移動する物体の表面に接触して、光学的に識別可能な固有の凹凸形状を付与するステップと、
    前記移動する物体の表面を光学センサで撮像して画像データを取得するステップと、
    前記光学センサで取得した画像データを用いて前記物体の移動量を求めるステップと、
    前記物体の表面状態に応じて、前記接触部材を前記物体の表面に接触させる位置に移動させる又は接触しない位置に退避させるステップと、
    を有することを特徴とする物体の移動検出方法。
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