JP2011121687A - 記録媒体搬送装置および記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 搬送ローラによる搬送精度を保ったまま、斜行を補正することのできる記録媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】 記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに記録媒体を押し付ける従動ローラと、前記搬送ローラによって搬送されている記録媒体の斜行方向を検知する斜行検知手段と、前記斜行検知手段による検知に応じて、前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、記録媒体と前記搬送ローラの接触状態を変える接触状態変更手段と、を有する記録媒体搬送装置である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、搬送ローラを用いて記録媒体を搬送するとともにスキュー補正を行う記録媒体搬送装置、および記録媒体搬送装置を備えた記録装置に関する。
記録媒体を搬送しながら記録手段によって画像を形成する記録装置においては、記録媒体の搬送精度を向上させるために様々な工夫がなされてきている。搬送される毎に記録媒体の位置が徐々にずれていくと記録媒体上に画像が正確に形成されず、印字ズレによる画像不良が生じてしまう。この問題を解決するために、従来より対策が講じられている。以下にその一例を説明する。
特許文献1においては、弾性体で形成された第一ローラ及び対向する剛性体の第二ローラで記録媒体を挟持搬送する。このローラ間の圧接力を記録媒体幅方向で異なるように調整可能な構成としている。この構成により、記録媒体幅方向片側の圧接力を強くすると弾性体ローラを変形させることができ、変形により記録媒体搬送半径を小さくすることができる。よって圧接力を強めた側の搬送量を少なくすることが可能で、記録媒体のスキュー補正を行うことができる。
特開昭62−215449号公報
しかしながら近年では、写真画質のようなより高品位な画像を記録するために、写真光沢紙に印字することが一般的になっている。また、特にインクジェット記録装置においては微小なサイズのドットを、より高密度および高精細に記録することが求められている。このような状況において、記録媒体を搬送させる精度も、飛躍的に向上させなければならず、また、印刷時の記録紙の扱いも従来と比較して丁寧に行う必要があり、これまでのような機構と制御方法では限界が生じていた。
つまり、従来の技術においては次のような問題点が生じていた。
印字面の鏡面度が高い写真光沢紙においては、表面が傷つきやすいため、搬送ローラ間の圧接力を強くすると用紙印字面にローラ圧接力によるキズや跡が付く場合があり、印字品位を損なう可能性があった。
また、記録媒体を搬送するためのローラ自体を変形させるため、ローラ径が搬送中も変化し、搬送精度が安定しない場合があった。微小な変化であっても、近年要求されるような高精細な搬送精度においては、この誤差が無視できない大きさとなって来ている。
また、駆動ローラをより高精度にするために金属軸にセラミック塗装を施した剛性ローラが用いられることがあるが、剛性ローラではローラを変形させてスキュー補正をする技術は採用できない。
本発明の目的は、搬送ローラによる搬送精度を保ったまま、斜行を補正することのできる記録媒体搬送装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の構成は、記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに記録媒体を押し付ける従動ローラと、前記搬送ローラによって搬送されている記録媒体の斜行方向を検知する斜行検知手段と、前記斜行検知手段による検知に応じて、前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、記録媒体と前記搬送ローラの接触状態を変える接触状態変更手段と、を有する記録媒体搬送装置である。
本発明によれば、搬送ローラによる搬送精度を保ったまま、斜行を補正することのできる記録媒体搬送装置を提供できる。
本発明の実施形態1であるインクジェット記録装置を示す図。 インクジェット記録装置を示す図。 インクジェット記録装置の制御部説明図。 スキュー補正フローを示したフローチャート。 実施形態1におけるスキューセンサ構成及び出力結果例。 実施形態1におけるスキュー補正原理説明図。 実施形態1における別のスキュー補正フローを示したフローチャート。 実施形態1におけるカット紙のスキュー補正フローを示したフローチャート 実施形態2の記録装置を示す図。 実施形態2の記録装置の上面図。 実施形態2におけるスキュー補正フローを示したフローチャート 実施形態3におけるピンチローラ部側面図、上面図 実施形態3におけるスキュー補正フローを示したフローチャート
以下に図面を用いて、この発明の好適な実施の形態である記録媒体搬送装置を備えた記録装置を示す。
以下、記録装置の例として、シリアルヘッドを用いたインクジェット方式の記録装置を例に説明するが、ラインヘッドの場合でも同様に適用が可能である。なお、本明細書では、紙、プラスチックシート、フィルム等のシート状またはロール状の被記録媒体を「記録紙」と称する。
図1(a)は本発明の実施形態に係る記録装置の記録紙搬送部を示す上面図、図1(b)は搬送部の断面図である。
図1(a)および図1(b)において、Pは記録紙であり、ロール状に巻かれた紙ロールから引き出されて連続供給される連続紙である。20は記録紙Pの紙ロールの部分を保持するロール紙ホルダ、21はロール紙ホルダ22に保持された紙ロールから引き出された記録紙Pを給紙するための給紙ローラである。22は給紙ローラに対向して記録紙Pを押圧するための給紙ピンチローラ、17は給紙ローラ21を駆動するための給紙モータである。2は記録紙Pを精度良く搬送する搬送ローラであるLFローラ、1は記録紙をLFローラ2と挟持して搬送する従動ローラである。従動ローラ1は紙面右側から1a、1b、1c、1dと4個のピンチローラを有しており、通常はLFローラ2の軸線とピンチローラ4個の軸線は略平行に配置されている。LFローラ2はLFモータ12から駆動を受けて回転する。LFロータリーエンコーダ15はLFローラ2の回転速度、回転量、回転位相の検出を行うためのものであり、LFロータリーエンコーダ15の検出信号によって記録紙Pの搬送制御が行われる。3は記録紙Pの斜行方向および斜行量(スキュー量)を検知するための斜行検知手段であるスキューセンサである。スキューセンサ3は透過型のレーザーセンサを用いて記録紙Pの端部位置を検出する。13は記録紙にインクを吐出して記録するための記録ヘッド、4は記録ヘッドを保持するためのキャリッジである。キャリッジ4はキャリッジシャフト14に沿って往復運動することにより記録紙上を走査する。16はキャリッジ位置を検出するためのキャリッジリニアエンコーダであり、検出位置に基づいてヘッド13からインクを吐出して記録紙への画像形成を精度良く行う。
5は記録後の記録紙Pを排出する排紙ローラ、6は排紙ローラと記録紙Pを挟持して搬送する排紙ピンチローラである。19はカッターであり、印字後の記録紙Pを切断することにより、連続紙から印字済みの部分を切り離す。
図2(a)はLFローラ2及び従動ローラ1周りの詳細側面図である。ピンチローラ1a、1b、1c、1dは1本の軸30に固定されている。図2(a)に示されるように、軸30の一端はピンチローラホルダ7に設けられた軸受に回転自在に支持されている。9はピンチローラホルダ7をホルダ軸7aによって回転自在に保持するピンチローラホルダフレームである。8はピンチローラホルダ9を介してピンチローラ1をLFローラ2方向に圧接するためのピンチローラバネである。ピンチローラホルダフレーム9は図示しないガイド部材によって搬送方向に摺動可能に案内支持されている。9aはピンチローラホルダフレーム9の上面部に配置されたラック部、10はラック部9aと噛みあいラック部9aを移動させるためのピニオンギア、11はピニオンギア10を駆動するピンチローラモータである。
軸30の他方の端部は位置が固定された軸受に支持されていても良いが、モータによって移動可能なピンチローラホルダ7に支持されていても良い。軸30の他方の端部を移動可能とする場合は、他方の端部にも、ピンチローラホルダフレーム9、ラック部9a、ピンチローラモータ11を備えた同様のピンチローラ移動機構を設ける。
本実施形態で適用する記録ヘッド13は、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式であって、熱エネルギを発生するための電気熱変換体を複数備えたものである。詳しくは、電気熱変換体に印加されるパルス信号によって熱エネルギを発生し、この熱エネルギによってインク液内部に膜沸騰を起こさせ、更に膜沸騰の発泡圧力を利用して、吐出口よりインクを吐出して記録を行うものである。
図3は、本実施形態で適用するインクジェット記録装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。
図3において、コントローラ100は記録装置の主制御部である。コントローラ100は、例えばマイクロコンピュータ形態のCPU101、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM103、画像データを展開する領域や作業用の領域等を設けたRAM105を有する。
ホスト装置110は、記録装置の外部に接続されて画像の供給源となる装置である。ホスト装置110は、記録に係る画像等のデータの作成や処理等を行うコンピュータでもよいし、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。ホスト装置110から供給される画像データやその他のコマンド、更にステータス信号等は、インタフェース(I/F)112を介してコントローラ100と送受信可能な構成となっている。
操作部120は操作者による入力指示を受容するスイッチ群であり、電源スイッチ122、吸引回復の起動を指示するための回復スイッチ126等を有する。
センサ部130は装置の状態を検出するためのセンサ群である。本実施形態においては、上述したスキューセンサ3の他に、環境温度を検出するために設けられた温度センサ134や各種センサを有している。
140はヘッドドライバであり、記録データに応じて記録ヘッド13を駆動する。またヘッドドライバ140には、記録紙上でのドット形成位置を調整するために吐出タイミングを適切に設定するタイミング設定部等が含まれている。
記録ヘッド13の近傍には、サブヒータ142が設けられている。サブヒータ142はインクの吐出特性を安定させるために、記録ヘッドの温度調整を行うものであり、記録ヘッド13の基板上に形成された形態でもよいし、また記録ヘッド13の本体に取り付けられている形態であってもよい。
170はLFモータ12及び給紙モータ17を駆動するためのモータドライバである。給紙モータ17の駆動によりロール紙を給紙し、LFモータ12の駆動により、記録紙Pを印字部へと搬送する。160は、ピンチローラモータ11を駆動するためのモータドライバであり、ピンチローラモータ11の駆動によって、ピンチローラ軸30の端部の位置変更を行う。なお、ピンチローラ軸の一端のみを移動させる場合はピンチローラモータ11は単一であるが、両端を移動させる場合は2個であり、それぞれを独立して駆動制御する。あるいは、4個のピンチローラ1a、1b、1c、1dそれぞれを別個のピンチローラホルダ7で支持し、それぞれにピンチローラホルダフレーム9、ラック部9a、ピンチローラモータ11を備えたピンチローラ移動機構を設けても良い。その場合はピンチローラモータは4個必要でありそれぞれを独立して駆動制御する。
以上の構成において、記録紙Pがスキューした際の補正動作について説明する。図2(b)はスキュー補正動作を説明する上面図、図4は補正動作のフローチャートである。ここで、記録紙P搬送中に、スキューセンサ3が所定量以上のスキューを検知した場合、スキュー補正動作を行う(S114)。例えば、50mm搬送した間に0.3mm以上スキューすると補正動作を行う。図2(b)では点線で示す方向に記録紙Pがスキューしている。これを補正するためにピンチローラ2は図2(b)のようにY1方向にピンチローラ軸線を動かす(S115)。ピンチローラ1a側端部のピンチローラモータ11を駆動してピンチローラホルダフレーム9を搬送方向下流側に移動させる。つまり、図2(b)では斜行方向が右方向であるので、右側端部のピンチローラ1aは最も下流側に大きく移動し、ピンチローラ1dに向かってその移動量は減少し、斜行方向とは反対側の左端部のピンチローラ1dは最も移動量が少ない。中央よりも斜行方向側のピンチローラ1a、1bは、中央よりも斜行方向とは逆側のピンチローラ1c、1dよりも大きく移動させる。この動作により記録紙Pは図2(b)矢印Y2方向に移動し、スキューが補正される。本実施形態ではピンチローラ軸の両端にピンチローラ移動機構が設けられ、軸線が斜めになるように従動ローラ1を移動している。各ピンチローラのピンチローラ移動機構を設けた場合は、各ピンチローラを記録紙P搬送方向に平行移動し、ピンチローラ1a側ほど大きく移動させるように移動量に差を設けても同様な効果が得られる。スキュー量の閾値は記録装置の特性に応じて画像上印字ズレが許容できる範囲に設定すれば、高品位な印字結果を常に保つことができる。従動ローラ1は図2(a)で説明したように、左右に配置したピンチローラモータ11を駆動することによりピンチローラホルダフレーム9を移動させ、ピンチローラ1の左右位置を図2(a)の矢印方向のように左右で異なる位置に変化させる。
従動ローラ1の移動距離はスキューセンサ3のスキュー検出量に応じて変化させていく。本実施形態では、表1に示すようなテーブルをROM103に保存し、テーブルに基づいて従動ローラ1の移動距離を決定する。
表1はピンチローラ1a〜1dを搬送方向へ移動させたときの移動距離と、その状態で50mm搬送したときに発生するスキュー量K(図5(c)参照)の関係を示している。表1のスキュー量は予め実験によって得られた値である。
例えば+方向(図5(c)の右方向)に+0.3mmのスキューが発生したとき表1のNo.4ようにピンチローラ1aを+1.8mm、1bを+1.2mm、1cを+0.6mm搬送方向に移動させる。この状態で50mm搬送するとピンチローラの移動により発生する−0.3mmのスキューにより+0.3mmのスキューが打ち消され、補正がなされる。
尚、本実験結果はLFローラ径φ10、ピンチローラ径φ7におけるものであり、これらの径が異なる構成においては実験値を取り直せばよい。
オフセット変更量は、表1に示すような事前に得られた実験値を基準に決定するが、実際には再現性バラツキがあるため、スキューセンサ3の検出量をフィードバックして調整を行うとより正確な補正が可能となる(S116)。スキュー量が所定量以下になったところで補正動作は終了する(S117)。
Figure 2011121687
図5(a)及び図5(b)でスキューセンサの構成及び検出結果例を示す。図5(a)はスキューセンサ3と記録紙Pの関係を表している。スキューセンサ3のレーザー受光部3aを記録紙Pの端部が遮る位置を検出することによりスキュー検知を行う。紙面上で右側を+、左側をーとする。図5(b)はスキューセンサ3によるスキュー検出結果例を示す。破線は記録紙Pが移動してもセンサ検出値が変化しないため、スキュー無しと判断する。2点鎖線は記録紙Pの移動に伴いスキューセンサ3の検出値が変化しており、所定移動量における検出値変化量(スキュー量)が所定量(例えば0.3mm)を超えるとスキュー補正を行う。
ここで、従動ローラ1のオフセット量を変化させるとスキュー補正できる原理を説明する。図6(a)はピンチローラ1aのオフセット0、図6(b)はピンチローラ1dのオフセット+3mmの時の断面図であり矢印方向が記録紙Pの搬送方向である。図6(a)においては記録紙PはLFローラ2とそのニップ線においてのみ接触しており、記録紙PがLFローラ2と接触している部分の搬送方向の長さは短い。一方、図6(b)においては、ピンチローラ1dを記録紙P搬送方向にオフセットしている分、記録紙PにはLFローラ2に巻き付く部分(P1)が発生し、記録紙PがLFローラ2と接触している部分の搬送方向の長さは図6(a)の部位よりも長い。そのため、巻き付け効果により搬送抵抗に強くなり、オフセットしていない側と比較して相対的にLFローラ2の単位回転あたりの搬送距離が長くなる。従って、ピンチローラ1a部とピンチローラ1dにおける記録紙Pの搬送量に差が生じるために、スキュー補正が可能となる。ピンチローラ1b、1cはこの搬送長変化を滑らかにするために1a、1dのオフセット量を紙幅位置に比例した配分量で設定する。前述した表1に示す実験値からもこの巻き付け効果による搬送長の変化が確認できる。
このように、ピンチローラ移動機構は記録媒体とLFローラの接触状態を変える接触状態変更手段を構成する。
尚、ピンチローラオフセット量のみを変化させてスキュー補正を行うため、従来例の必要構成であった弾性ローラを使用するというような制限は必要なく、様々な材質のローラに対して本発明は適用できる。
次に、他の制御例を説明する。図7に示すフローチャートのようにスキュー補正時には一旦印字を停止させてもよい。
この制御においては、スキューを検知すると現在印刷しているジョブは一旦完成させる(S103)。記録紙Pは連続紙であり、記録紙Pを排紙ローラ5の下流側に配置されたカッター19でカットし(S106)、残った連続紙である記録紙PはLFローラ2及び給紙ローラ21により従動ローラ1より上流側に戻す(S107)。このようにLFローラ2と従動ローラ1の間に記録紙Pを挟持していない状態で次の動作に入る。例えば図2(b)では点線で示すように右方向に記録紙Pがスキューしているため、これを補正するために従動ローラ1の軸線を図2(b)のY1方向に動かす(S108)。つまり、斜行方向の右側の端部のピンチローラ1aは最も下流側に大きく移動し、ピンチローラ1dに向かってその移動量は減少し、ピンチローラ1dは最も移動量が少ない。従動ローラ1の移動量は、まずは表1に示す実験より得られたスキューを修正するために必要な量とする。従動ローラ1移動後は、スキュー補正が想定通りになっているか確認するために、印字前に一度記録紙Pを所定量搬送し、スキューセンサ3でスキュー量を測定する(S110)。想定通りスキューが補正されている場合、そこから印字を開始する(S111)。
スキュー補正後もスキュー量が所定量以下になっていない場合は、補正過不足量に応じて再度ピンチローラを移動する。移動量は、実験値と実際に今回補正された量の差分を加味して決定する。
例えば、50mmの搬送に対して+0.2mmのスキューが発生していた場合、このスキューを調整するのに表1によりピンチローラ1a、1b、1cをそれぞれ+1.2mm、+0.8mm、+0.4mm下流方向に移動する(表1のNo.3)。この状態で記録紙Pを搬送し、実際に測定されたスキュー量が50mmの搬送に対して+0.1mmであった場合、記録紙Pを従動ローラ1の上流側に戻して再度従動ローラ1の移動を行う。前回の実測によるとピンチローラ1aを+1.2mm移動して−0.1mm分の補正がなされている。よって、補正し切れなかった+0.1mm分のスキューを補正するためにピンチローラ1a、1b、1cをさらにそれぞれ+1.2mm、+0.8mm、+0.4mm下流方向に移動する。
このように従動ローラ1のオフセット移動時に記録紙Pをニップ間に挟持しない状態とすることにより、例えば記録紙Pが非常に薄手で搬送ローラ1の移動によりシワが発生しやすい場合でも、記録紙Pにダメージを与えることなくスキュー補正を行うことができる。通常の記録紙は図4におけるフローでスキュー補正を行い、極端に薄い記録紙を使用する場合は図7に示すフローで実行するという使い分けをすればよい。
更に、カット紙の場合は図8に示すフローチャートのように、スキュー補正を行う際には、一旦カット紙を排紙する(S204)。その他の動作は前述した例と同様である。
尚、本実施形態ではピンチローラをLFローラ2に対して1列配置しているが、記録紙P搬送方向にピンチローラを複数列配置した構成においても本発明は適用可能である。この場合は、複数のピンチローラ列を同時に同方向に移動させればよい。
また、記録ヘッド13は往復運動により印字を行うシリアルヘッドで説明したが、複数の記録ヘッドを記録紙搬送方向に配置したラインヘッド構成としてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、搬送ローラ材質に関わらず、搬送ローラを変形させて搬送精度を損なうことなく、また記録媒体にキズや跡を付けることなく確実にスキュー補正を行うことができる。その結果、高精度な記録媒体の搬送が実現可能で、記録紙のスキューによる画像ズレを防止し、高品位な印字結果を出力することが可能となる。
図9及び図10は本発明における第2の実施形態である記録装置の断面図及び上面図である。図11は補正動作のフローチャートである。
図9(a)において、18はLFローラ2の上流に配置した案内ローラとしての紙パス調整ローラである。紙パス調整ローラ18は記録紙Pの上面に接しながら従動回転可能に設けられている。紙パス調整ローラ18の両端は高さを変えることができるように位置変更機構によって支持されている。位置変更機構は、紙パス調整ローラ18の一方の端部の高さを変える偏芯カム23と、偏芯カム23を回転させる紙パス調整モータ24を有している。偏芯カム23と紙パス調整モータ24が紙パス調整ローラ18の両端に設けられている。
他の構成は図1(b)に示した記録装置と同じである。
次に図11を用いて斜行補正動作を説明する。
ステップS102において、記録紙Pの搬送中に、スキューセンサ3が所定量以上のスキューを検知した場合、ステップS303に移行してスキュー補正動作を行う。ステップS303では、記録紙Pがスキューした側の紙パス調整ローラ18の端部を位置変更機構によって所定距離下方に移動させる。スキューを検知すると紙パス調整ローラ18を記録紙幅方向で異なる高さに移動することにより記録紙紙幅方向で紙パスを変更し、実施形態1と同様にLFローラ2への記録紙Pの巻き付け量を紙幅左右で差を設ける。この動作により、記録紙Pのスキュー補正が可能になる。
例えば図10に示すように記録紙Pが左方向にスキューしている場合、これを補正するために紙パス調整ローラ18の左側端部である18b側を下側に移動させる。紙パス調整ローラ18の移動は紙パス調整モータ24の駆動を受けて偏芯カム23を回転させることにより行う。これらは反対側にも配置されている。18b側の記録紙Pは図9(a)に示すように、よりLFローラ2に巻きつくため、搬送抵抗に強くなり搬送長が伸びることにより左右の搬送長差を設けることができ、スキューが補正される。図9(b)はスキュー補正後の状態である。
紙パス調整ローラ18の移動距離は予めROM3に保存されている表2のテーブルに基づいて決定される。表2は紙パス調整ローラ18の端部を下方に移動させた距離と、そのときに発生するスキュー量の実験値の関係を示している。
Figure 2011121687
スキュー補正量に過不足がある場合は、過不足量に応じて再度紙パス調整ローラを移動する(S304)。この動作を繰り返すことにより、常に所定範囲内のスキュー量に調整することが可能となる。
このように、実施形態1とは異なり、LFローラ2より上流に設けた紙パス調整ローラ18の左右高さを変更することによりスキュー補正が可能となる。
また、記録ヘッド13は往復運動により印字を行うシリアルヘッドで説明したが、複数の記録ヘッドを記録紙搬送方向に配置したラインヘッド構成としてもよい。
以上説明したように、上述した実施形態によれば、搬送ローラ材質に関わらず、また記録媒体にキズや跡を付けることなく確実にスキュー補正を行うことができる。その結果、高精度な記録媒体の搬送が実現可能で、記録紙のスキューによる画像ズレを防止し、高品位な印字結果を出力することが可能となる。また、記録装置の制約によりピンチローラが移動できない場合でも実施形態2の構成によりスキュー補正が可能となる。尚、実施形態1と実施形態2は構成的に可能であれば同時に実施してもよい。同時実施により大きなスキューにも対応が可能となる。
次に実施形態3について説明する。
実施形態1において記録紙搬送方向に複数列のピンチローラを配置した場合でも複数のピンチローラを同時に同方向に移動させることによりスキュー補正は可能であることは前述した通りである。図12に示すように2列のピンチローラ1a〜1hを配置した構成ではその一部である下流側のピンチローラ列を搬送方向の上流側に、他方を下流側に移動させることによっても斜行補正は可能である。図12(a)は側面図、図12(b)は上面図であり、図13はスキュー補正動作を示すフローチャートである。
ステップS402において所定以上のスキューが検知されたらステップS403で従動ローラ1を移動する。例えば、図12(b)は記録紙P(実線)がピンチローラ1a側にスキューした場合を示している。これを補正するために搬送方向上流側のピンチローラ1a、1b、1c、1dを破線位置から搬送方向上流方向に移動し(実線位置)、搬送方向下流側のピンチローラ1e、1f、1g、1hを破線位置から搬送方向下流方向に移動している(実線位置)。移動距離はピンチローラ1aおよび1eが最も長くピンチローラ1d、1hに近いほど短い。このように記録紙Pが斜行して行く側のピンチローラ(1aと1e)が搬送ローラ2に接触する位置の間隔を他方の側のピンチローラ(1dと1h)が搬送ローラ2に接触する位置の間隔よりも大きくする。すると記録紙Pが搬送ローラ2の周面に接する搬送方向長さがピンチローラ1a側が他方よりも大きくなる。従ってピンチローラ1a側の搬送量が相対的に大きくなり記録紙Pのスキューは破線で示したように補正される。
このように、従動ローラを記録紙搬送方向に2列配置した構成においても、斜行補正が可能となる。ピンチローラを2列配置にすることにより、斜行補正しない場合でも記録紙PがLFローラ2に巻き付くため、バックテンション等の外乱に強くなり更なる搬送精度向上が見込める。本構成により更にスキュー補正も可能となるので、よりいっそうの高精度な記録媒体の搬送が実現可能で、記録紙のスキューによる画像ズレを防止し、高品位な印字結果を出力することが可能となる。
また、上記各実施形態において、記録ヘッド13は往復運動により印字を行うシリアルヘッドで説明したが、記録紙Pの全幅に渡ってインクの吐出口が形成された記録ヘッド複数個を記録媒体搬送方向に配置したラインヘッド構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、搬送ローラ2は金属軸にセラミック塗装を施した剛性ローラとしてもよい。このように剛性のある精度の高い搬送ローラを用いることにより搬送誤差を極力低減し、また記録媒体にキズや跡を付けることなく確実にスキュー補正を行うことにより高精度な記録媒体の搬送を実現し、高品位な印字結果を出力することが可能となる。
P 記録紙
1a、1b、1c、1d ピンチローラ
1e、1f、1g、1h ピンチローラ
2 LFローラ
3 スキューセンサ
7 ピンチローラホルダ
8 ピンチローラバネ
9 ピンチローラホルダフレーム
9a ラック部
10 ピニオンギア
11 ピンチローラモータ
12 LFモータ
13 記録ヘッド
18 紙パス調整ローラ
19 カッター
21 給紙ローラ
22 給紙ピンチローラ
23 偏芯カム
130 センサ部

Claims (11)

  1. 記録媒体を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラに記録媒体を押し付ける従動ローラと、
    前記搬送ローラによって搬送されている記録媒体の斜行方向を検知する斜行検知手段と、
    前記斜行検知手段による検知に応じて、前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、記録媒体と前記搬送ローラの接触状態を変える接触状態変更手段と、
    を有する記録媒体搬送装置。
  2. 前記従動ローラは前記搬送ローラに記録媒体を押し付ける複数のピンチローラを有し、前記接触状態変更手段は、前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、前記複数のピンチローラの位置を移動させる請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
  3. 前記接触状態変更手段は、前記複数のピンチローラのうち、前記記録媒体が斜行している側のピンチローラをその反対側のピンチローラよりも大きく搬送方向に移動させる請求項2に記載の記録媒体搬送装置。
  4. 前記接触状態変更手段は、前記複数のピンチローラのうち、一部を搬送方向下流方向に移動させ、残りを搬送方向上流方向に移動させ、下流方向に移動させたピンチローラが前記搬送ローラと接触している位置と、上流方向に移動させたピンチローラが前記搬送ローラと接触している位置との搬送方向の距離が、記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも大きくなるように前記複数のピンチローラを移動させる請求項2に記載の記録媒体搬送装置。
  5. 前記斜行検知手段は前記記録媒体の斜行量を検知し、該斜行量に応じた距離だけ前記複数のピンチローラを移動させる請求項2乃至4の何れか1項に記載の記録媒体搬送装置。
  6. 前記記録媒体はロール状に巻かれた紙ロールから引き出された連続紙であり、前記搬送ローラの搬送方向下流側には前記連続紙を切断するカッターを有し、前記斜行検知手段は前記連続紙の斜行量を検知し、前記斜行検知手段が検知した斜行量が所定以上のときは搬送されている連続紙を前記カッターによって切断し、連続紙を前記搬送ローラの上流側まで搬送し、前記接触状態変更手段によって前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、前記複数のピンチローラの位置を移動させた後に前記連続紙を前記搬送ローラによって搬送する請求項2に記載の記録媒体搬送装置。
  7. 前記接触状態変更手段は前記斜行検知手段が検知した斜行量に応じた距離だけ前記複数のピンチローラの位置を移動させる請求項6に記載の記録媒体搬送装置。
  8. 前記接触状態変更手段は、前記記録媒体に対して前記従動ローラと同じ側の面に接触している案内ローラを有し、前記接触状態変更手段は、前記搬送ローラが前記記録媒体に接触している部分の搬送方向の長さが、前記記録媒体が斜行している側の方がその反対側よりも長くなるように、前記案内ローラを傾ける請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の記録媒体搬送装置と、前記記録媒体搬送装置によって搬送される記録媒体に記録を行う記録手段を有する記録装置。
  10. 前記記録手段は、インクジェット記録手段であることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  11. 前記記録手段は、記録媒体の全幅に渡ってインクの吐出口が形成された記録ヘッド複数個を記録媒体搬送方向に配置した請求項10に記載の記録装置。
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