JP2005219264A - 記録媒体搬送装置 - Google Patents

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Kazuyuki Hayakawa
和志 早川
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Abstract

【課題】記録媒体の搬送、特に、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体の搬送における斜行を的確に修正することが可能な記録媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】インク画像を形成するプラテン領域に記録媒体Mを搬送する搬送駆動ローラ3を備えた記録媒体搬送装置1において、搬送駆動ローラ3とともに記録媒体Mを挟持するピンチローラ5と、記録媒体Mに荷重を加えるための分割されたダンサーローラ61、62と、ダンサーローラの記録媒体Mに加える荷重を可変とするための荷重可変機構7と、記録媒体Mの縁端M1の位置を検知する位置センサ8と、を備え、荷重可変機構7は、位置センサ8からの記録媒体Mの縁端M1の位置検知情報に基づいて、分割されたダンサーローラのうちの少なくとも1本のダンサーローラ61が記録媒体Mに加える荷重を増減させて記録媒体Mに付与されるバックテンションTを増減するように構成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、記録媒体搬送装置に係り、特に、記録媒体の斜行修正機能を備えた記録媒体搬送装置に関する。
近年、種々の記録媒体に対する高精細な画像記録を行う装置として、インクジェット記録装置等の画像記録装置が広く普及している。このような装置で高精細な画像記録を行うためには、インクの吐出やインクを吐出するノズルが設けられた記録ヘッドの動作等を正確に行う必要があり、同時に記録媒体の搬送精度も精度良く行われなければならない。
例えば、シリアルヘッド方式のインクジェット記録装置を例にとって説明すれば、このような装置では、通常、記録媒体の搬送方向に平行な方向に複数のノズル列が並設された記録ヘッドを、前記搬送方向と直交する方向(以下、主走査方向という。)に走査させながら、記録媒体にノズル列の範囲内で画像を記録する。そして、記録媒体を画像のノズル列の長さ分だけ搬送して停止させ、再度ノズル列の範囲内で画像を記録する。このように、主走査方向への記録と搬送方向への搬送とを交互に繰り返しながら画像を記録する。その際、記録媒体を精度良く搬送しないと、ノズル列の範囲内での画像とその後のノズル列の範囲内での画像の間が不連続的になり、画質の品質低下を招いてしまう。
このような事態を回避するためには、搬送駆動ローラから送り出される記録媒体の搬送量を精度良くヘッドのノズル列の長さと一致させる必要がある。しかし、記録媒体の搬送方向が、主走査方向や、通常、主走査方向に平行に設けられる搬送駆動ローラの回転軸に直交する方向からずれて斜行すると、搬送駆動ローラからの搬送量がヘッドのノズル列の長さと一致するように送り出しても、実際の記録媒体の搬送量はそれより僅かに短くなり搬送精度を下げる。
このような記録媒体の斜行を修正することを目的とした搬送装置としては、ロール紙の供給スクローラからプラテンに至る搬送経路にロール紙に圧接する緩衝ローラを設け、ロール紙に均等に圧力を付与してロール紙の斜行を防止するプリンタが提案されている(特許文献1参照)。また、2組以上の搬送ローラ対や搬送ガイドにより形成される記録媒体の搬送路に設けられたローラ対や搬送ガイドの角度を調整することにより、記録媒体の搬送路長が搬送路の主走査方向の両側で差を生じるようにされた搬送装置が知られている(特許文献2参照)。
しかし、これらの搬送装置は、記録媒体として例示されたロール紙や印画紙のような引張り弾性率(ヤング率)が高く伸張性が低い記録媒体に対しては有効にその機能を発揮し得るが、前述したポリエチレンシートや塩化ビニルシートのような引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体の場合には、記録媒体の斜行を必ずしも効果的に修正できない。このような記録媒体は、圧接された緩衝ローラや角度を調整されたローラ対や搬送ガイドの部分で伸びてしまうためである。
また、このような引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体は、紙類等とは異なった搬送特性を有する。例えば、図3に示すように、記録媒体Mの搬送方向について搬送駆動ローラ100の上流側でダンサーローラ101の自重等により、いわゆるバックテンションTを与えないと、搬送駆動ローラ100により適正に搬送され難い。また、記録媒体Mを搬送駆動ローラ100にある程度巻きつけるようにし、記録媒体Mを搬送駆動ローラ100とピンチローラ102とで挟持するようにして送り出すことが必要となる。
さらに、記録媒体の搬送量は、前記バックテンションと、搬送駆動ローラとピンチローラとのニップ圧力に依存することが分かっている。図4に示すように、記録媒体Mの搬送量Fは、バックテンションTが大きくなるにつれて搬送量Fも増加していくが、バックテンションTがさらに増大すると搬送量Fは減少に転じる。これは、バックテンションTが小さいうちは、バックテンションTが大きくなるにつれて記録媒体Mの搬送駆動ローラ100への巻きつきがよくなり、搬送駆動ローラ100の回転に的確に追随するようになるが、バックテンションがさらに大きくなると、今度は記録媒体Mを上流側に引き戻すブレーキとしての役割を果たすようになるためと考えられている。
また、ニップ圧力Prが大きくなるにつれて記録媒体Mの搬送量Fが大きくなる。これも、ポリエチレンシート等のような引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体に特有の現象である。図5は、種々のバックテンションにおけるニップ圧力と記録媒体の搬送量との相関を示すグラフである。このグラフに示すように、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体Mでは、ピンチローラによるニップ圧力Prが大きくなると、記録媒体Mの間欠搬送量Fはそれにほぼ比例して増加する。尚、図中のT1、T2、T3はそれぞれバックテンションTとして記録媒体Mの自重の1倍、3倍、6倍に相当するバックテンションを加えた場合を示す。
そして、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体の搬送量は、摩擦係数をμとして、搬送駆動ローラとピンチローラとのニップ圧力Prにより生じる搬送力μPrと、記録媒体の自重及びダンサーローラの自重の和から生じるバックテンションTによる搬送力μTとの和により規定される。実装置では、1本の搬送駆動ローラに対して複数のピンチローラを押圧させる場合があるが、その場合、記録媒体は、搬送力μTと各ピンチローラによる搬送力μPrとの合力により搬送量が規定され、この合力の方向に記録媒体Mが送り出される。
特開平11−246093号公報 特開2003−292198号公報
しかしながら、装置に対する部材の組立公差等により、実際の搬送装置では、搬送駆動ローラの母線と各ピンチローラの母線とは完全に平行に対峙しているとは限らず、各ピンチローラのニップ位置における記録媒体の搬送方向は、搬送駆動ローラの回転軸に直交する方向に必ずしも一致していない。さらに、各ピンチローラによるニップ圧力も、それぞれ設定されたニップ圧力Prに対して、通常、僅かにばらつきを生じている。そのため、前述したバックテンションTによる搬送力μTと各ピンチローラによる搬送力μPrの合力の向きは、望まれる搬送駆動ローラの回転軸に直交する方向とは必ずしも一致しない。
例えば、本発明者の実験によれば、記録媒体として引張り弾性率が低く伸張性の高い塩化ビニルシートを用い、8本のピンチローラのニップ圧力をそれぞれ750g/cmに設定し、直径40mmの搬送駆動ローラの間欠回転で1/4回転ずつ、即ち、間欠搬送量が31.416mmになるように送り出した場合、記録媒体の搬送方向への1000mmの搬送について、主走査方向に標準偏差2σで2mmの斜行が測定された。そして、その場合、1間欠搬送量(31.416mm)に対して搬送方向に標準偏差2σで60μmの搬送量のばらつきが測定されている。
また、前記バックテンションによる効果は、ダンサーローラによって記録媒体に幅方向に均一な張力を与えることにより、記録媒体に対する搬送駆動ローラ及びピンチローラによるニップ位置の上流側の平面性を維持し、搬送駆動ローラとの密着性を上げ、搬送量の安定に寄与する。そして、通常、1本のダンサーローラにより、記録媒体に対してその自重の3倍程度の荷重が加えられる。しかし、記録媒体の自重のおよそ5倍を超える程度のバックテンションを与えると、図4に示したように、逆に搬送力が低下して、搬送量が小さくなる。さらに、より大きなバックテンションを与えると、記録媒体の幅方向の中央部分において内部張力の応力緩和が行われにくくなり、中央部分にバックテンションの高い領域が発生する。このようなバックテンションのばらつきにより、記録媒体の搬送方向が不安定なより蛇行し易い搬送状態になってしまう。
本発明の目的は、記録媒体の搬送、特に、前記のような特有の搬送特性を有する引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体の搬送における斜行を的確に修正することが可能な記録媒体搬送装置を提供することである。
前記の問題を解決するために、請求項1に記載の記録媒体搬送装置は、
インク画像を形成するプラテン領域に記録媒体を搬送する搬送駆動ローラを備えた記録媒体搬送装置において、
前記搬送駆動ローラに対向して取り付けられ、前記搬送駆動ローラとともに前記記録媒体を挟持して搬送ニップ状態を形成するピンチローラと、
前記搬送駆動ローラの前記搬送方向上流側に設けられ前記記録媒体に荷重を加えるための分割されたダンサーローラと、
前記ダンサーローラの前記記録媒体に加える荷重を可変とするための荷重可変機構と、
前記記録媒体の幅方向縁端の位置を検知する位置センサと、を備え、
前記荷重可変機構は、前記位置センサからの前記記録媒体の幅方向縁端の位置検知情報に基づいて、前記分割されたダンサーローラのうちの少なくとも1本のダンサーローラが前記記録媒体に加える荷重を増減させて前記記録媒体に付与されるバックテンションを増減するように構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、搬送駆動ローラとピンチローラとで記録媒体を挟持した状態で、分割されたダンサーローラの少なくとも1本のダンサーローラが記録媒体に加える荷重を増減させると、特に、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体では、その特有の搬送特性により、その部分の搬送量が増減する。
請求項1に記載の発明によれば、搬送駆動ローラとピンチローラとで記録媒体を挟持した状態で、分割されたダンサーローラの少なくとも1本のダンサーローラが記録媒体に加える荷重を増減させると、特に、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体では、その特有の搬送特性により、その部分の搬送量が増減する。そのため、位置センサで記録媒体の縁端の位置を検知し、位置センサが発する縁端の位置検知情報に基づいて、ダンサーローラが記録媒体に加える荷重を増減させることにより、前記のような記録媒体では、その部分の搬送量を増減させることができる。そして、それにより、記録媒体の搬送において生じる記録媒体の斜行を的確に修正することができる。
以下、本発明の記録媒体搬送装置に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の記録媒体搬送装置を適用したインクジェット記録装置の実施形態を示す概略図であり、図2は、図1の記録媒体搬送装置の搬送駆動ローラ及びダンサーローラ付近を示す概略斜視図である。尚、図1では、記録媒体搬送装置1がシリアルヘッド方式である場合を示し、記録媒体Mとしては塩化ビニルシート(厚さ210μm、幅1270mm、ヤング率0.3GPa、比重1.1)が用いられる場合を示す。また、図2では、パルスモータ4等は省略している。
記録媒体搬送装置1には、記録媒体Mを下方から支持する平板状のプラテン2がほぼ水平方向に配設されている。プラテン2の搬送方向上流側には、記録媒体Mを水平方向に押し出して前記プラテン2の表面上を搬送方向Yに搬送させるための搬送駆動ローラ3がパルスモータ4により直結駆動されて回動可能に設けられている。本実施形態では、搬送駆動ローラの1/4回転で1走査分の間欠搬送を行うため、記録媒体Mは、図2に示すように、搬送駆動ローラ3の外周に1/4周巻きつけられるようになっている。
搬送駆動ローラ3と記録媒体Mとの解離位置には、8本のピンチローラ5が搬送駆動ローラ3の回転軸と平行にほぼ等間隔に配設されている。8本のピンチローラ5は、搬送駆動ローラ3に対向してそれぞれ押圧自在に取り付けられており、搬送駆動ローラ3及びピンチローラ5が所定のニップ圧力Prで記録媒体Mを挟持して搬送ニップ状態を形成するように構成されている。
具体的には、図2に示すように、搬送駆動ローラ3の上方には、棒状の軸部材51が搬送駆動ローラ3に対してほぼ平行に配置されており、この軸部材51には、一対の支持片52、52がその軸部材51に固定された一端部を支点として揺動自在に支持されている。これら各支持片51、51の他端部の間には、ピンチローラ5が回転自在に軸支されている。また、軸部材51の端部には、パルスモータ53の出力軸が連結されており、パルスモータ53の出力軸を回転駆動させて、その回転力を支持片52、52を介してピンチローラ5に伝達することにより、ピンチローラ5の搬送駆動ローラ3及び記録媒体Mに対する押圧力、すなわち、ニップ圧力を調整することができるようになっている。
本実施形態では、8本のピンチローラ5によるニップ圧力が750g/cmになるように設定されている。尚、ピンチローラごとにニップ圧力Prを調整できるように構成することも可能である。また、搬送駆動ローラ3やピンチローラ5は、搬送駆動ローラ3及びピンチローラ5によるニップ圧力を適正に記録媒体Mの搬送力に変換できるように、即ち、適正な摩擦係数μを得ることができるように、搬送駆動ローラ3の表面に焼き付けるゴムの材質やピンチローラの材質が選定されている。
搬送駆動ローラ3の搬送方向Yの上流側には、それぞれ長さ400mmの2本に分割されたダンサーローラ61、62が記録媒体Mの両端にそれぞれ位置するように載置されており、ダンサーローラ61、62は、それぞれ上方から記録媒体Mに荷重を加えて記録媒体MにバックテンションTa、Tbを付与するように構成されている。本実施形態では、2本のダンサーローラ61、62は、搬送駆動ローラ3の下方約600mmの所に位置するように構成されている。
分割されたダンサーローラのうちの1本のダンサーローラ61は、荷重可変機構7により下方に押し下げられることにより、原反ロールRから搬送駆動ローラ3に搬送される記録媒体Mの移動に従って従動回転しながら記録媒体Mを押し下げて、記録媒体MにバックテンションTaを付与するように構成されている。
荷重可変機構7は、ダンサーローラ61が記録媒体Mに加える荷重を可変とすることができるようになっている。荷重可変機構7は、ダンサーローラ61に対してほぼ平行に配置された軸部材71を有しており、この軸部材71には、長片状の支持片72がその軸部材71に固定された一端部を支点として揺動自在に支持されている。この支持片72の中央部には、ダンサーローラ61の回転軸が回転自在に片持ち状に軸支されており、支持片72の他端部には、開孔72aが設けられている。支持片72の下方には、歯車73が回転自在に配設されており、歯車73の外周近傍には、開孔73aが形成されている。支持片72の開孔72aと歯車73の開孔73aとの間には、コイルばね74が掛け渡されており、このコイルばね74の付勢力により支持片72を下方に、すなわち、ダンサーローラ61が記録媒体Mを下方に押し下げる方向に付勢するようになっている。歯車73の近傍には、パルスモータ75が配設されており、このパルスモータ75の出力軸76の外周には、ねじ山が形成されている。パルスモータ75の出力軸76には、小歯車77を介して歯車73が噛合されるようになっている。そして、パルスモータ75の出力軸76を回転駆動させて小歯車77を介して歯車73を回転駆動させることにより、開孔73aを移動させてコイルばね74を引張り動作させるようになっており、このコイルばね74の引張り動作により、記録媒体Mに加えるダンサーローラ61の荷重を調整することができるようになっている。
記録媒体Mの反対側端部には、分割されたダンサーローラのうちのもう1本のダンサーローラ62が載置されており、ダンサーローラ61と同様の軸部材71に片側端部を軸支され揺動可能とされた支持片78が取り付けられており、その中央部分にダンサーローラ62の回転軸が回転自在に片持ち状に軸支されている。支持片78の反対側端部には、コイルばねを介して錘79が吊り下げられており、この錘79とダンサーローラ62の自重により、記録媒体Mに荷重が加わり、基準となるバックテンションTbが付与されるようになっている。本実施形態では、バックテンションTbが300g/cmになるように設定されている。
尚、この300g/cmのバックテンションTbは、図4のニップ圧力Prが750g/cmの曲線では、バックテンションTが増加すると記録媒体Mの搬送量Fも増加する範囲内にある。
搬送駆動ローラ3の搬送方向のやや下流側には、記録媒体Mの幅方向(前記主走査方向と同じ。)の縁端の位置を検知する位置センサとしての2対の反射センサ8、8がそれぞれ記録媒体Mの片側の縁端直下に配設されている。これらの反射センサ8、8により、記録媒体Mの斜行が検知されるようになっている。具体的には、図2に示すように、反射センサ8は、反射センサ81a、81b及び反射センサ82a、82bがそれぞれ対として設けられており、対をなす反射センサ同士は、記録媒体Mの幅方向に1mmの間隔を開けて設けられている。また、2対の反射センサは、搬送方向Yに300mmの間隔を置いて配設されている。記録媒体Mは、その片側の縁端M1が2対の反射センサにおいてそれぞれ対をなす反射センサの間隙の上方を通るように、即ち、反射センサ81aと反射センサ81bの間隙の上方及び反射センサ82aと反射センサ82bの間隙の上方をそれぞれ通るように搬送位置が調整されている。
記録媒体搬送装置1には、図示しない制御部が設けられており、制御部は、前記反射センサ81a、81b及び反射センサ82a、82bからの記録媒体Mの幅方向の縁端M1の位置検知情報を受け取ると、それに基づいて記録媒体Mが搬送駆動ローラ3の回転軸に直交する方向からずれて斜行しているか否かを判断するように構成されている。そして、図2において、記録媒体Mが左方向に斜行していると判断すると、荷重可変機構7を作動させてダンサーローラ61が記録媒体Mに加える荷重を増加させ、斜行状態が検知されなくなると、ダンサーローラ61の荷重を設定値に戻す、即ち、バックテンションTaが基準の300g/cmになるような荷重にするようになっている。また、制御部は、記録媒体Mが右方向に斜行していると判断すると、ダンサーローラ61の荷重を減少させ、斜行状態が検知されなくなると、ダンサーローラ61の荷重を設定値に戻すように構成されている
プラテン2(図1参照)の記録媒体搬送方向下流側には、プラテン2の表面側の領域(以下、プラテン領域という。)から記録媒体Mを搬出するための搬出ローラ9、9が所定のニップ圧力Pr´で記録媒体Mを挟持しながら記録媒体Mの搬送速度にあわせて互いに逆方向に駆動回動するように設けられている。
尚、プラテン領域の上方には、棒状のキャリッジレール10が記録媒体Mの搬送方向Yに直交する方向X、即ち主走査方向Xに略水平に配置されており、キャリッジレール10には、キャリッジレール10に沿って主走査方向Xに往復移動自在とされたキャリッジ11が支持されている。キャリッジ11には、プラテン2に支持された記録媒体Mに対してインクを吐出する複数のノズル(図示しない)が設けられた記録ヘッド12が搭載されており、記録ヘッド12からプラテン領域の記録媒体Mに向けて、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色のインクが吐出され、記録媒体Mにインク画像が形成されるようになっている。
次に、本実施形態の記録媒体搬送装置1の作用について説明する。
前述したように、記録媒体Mは、摩擦係数をμとして、搬送駆動ローラ3と各ピンチローラ5とのニップ圧力Prにより生じる搬送力μPrと、記録媒体Mの自重及びダンサーローラ7の自重の和から生じるバックテンションTによる搬送力μTとの合力により搬送量が規定され、この合力の方向に記録媒体Mが送り出される。そして、記録媒体Mの搬送方向Yが搬送駆動ローラ3の回転軸に直交する方向であれば、即ち、記録媒体搬送装置1の制御部が反射センサ81a、81b又は反射センサ82a、82b(図2参照)から送られてくる位置検知情報から記録媒体Mが斜行していないと判断すれば、記録媒体Mはそのままの状態で搬送され続ける。
しかし、例えば、すべての反射センサ81a、81b、82a、82bが記録媒体Mを検知したという位置検知情報を制御部に送り、或いは、反射センサ81aが記録媒体Mを検知せず、反射センサ81bが記録媒体Mを検知した状態で反射センサ82a及び反射センサ82bがともに記録媒体Mを検知したという位置検知情報を制御部に送ると、制御部は、記録媒体Mが、図2において搬送方向Yに対して左方向に斜行していると判断して、ダンサーローラ61の荷重を増加させる。
具体的には、制御部は、荷重可変機構7のパルスモータ75を回転駆動させて、既にダンサーローラ61に荷重を付与するために引き伸ばされているコイルばね74を更に引き伸ばす方向に歯車73を回動させ、支持片72の一端側を引き下げて、梃子の原理によりダンサーローラ61を下向きに押し下げる。このようにして、記録媒体Mに加わる荷重を増加させる。
前述したように、バックテンションが300g/cmの近傍で変化する場合、バックテンションTが増加すると記録媒体Mの搬送量Fも増加するから、前記のようにしてダンサーローラ61の荷重を増加させてバックテンションTaを大きくすることにより、記録媒体Mのダンサーローラ61側の部分の間欠搬送量Fが増加する。そのため、記録媒体Mの全体に対する搬送力方向が搬送駆動ローラ3の回転軸に直交する方向に修正される。
これにより、記録媒体Mの斜行が修正され、すべての反射センサ81a、81b、82a、82bからの位置検知情報が正常に戻ると、制御部は、ダンサーローラ61の荷重可変機構7を、ダンサーローラ61の荷重を設定値に戻すように作動させる。
また、例えば、すべての反射センサ81a、81b、82a、82bが記録媒体Mを検知していないという位置検知情報を制御部に送り、或いは、反射センサ81aが記録媒体Mを検知せず、反射センサ81bが記録媒体Mを検知した状態で反射センサ82a及び反射センサ82bがともに記録媒体Mを検知していないという位置検知情報を制御部に送ると、制御部は、記録媒体Mが、図2において搬送方向Yに対して右方向に斜行していると判断して、荷重可変機構7のパルスモータ71を、前述の場合とは逆向きに回転駆動させて、ダンサーローラ61を若干上向きに押し上げて、記録媒体Mに加わる荷重を減少させる。これによりバックテンションTaが小さくなり、記録媒体Mのダンサーローラ61側の部分の間欠搬送量Fが減少するから、記録媒体Mの全体に対する搬送力方向が搬送駆動ローラ3の回転軸に直交する方向に修正される。
記録媒体Mの斜行が修正され、すべての反射センサ81a、81b、82a、82bからの位置検知情報が正常に戻ると、制御部は、ダンサーローラ61の荷重可変機構7を、ダンサーローラ61の荷重を設定値に戻すように作動させる。
以上のように、本発明の記録媒体搬送装置によれば、通常、1本のローラとして構成されるダンサーローラを2本に分割し、そのうちの少なくとも1本のダンサーローラが記録媒体に加える荷重を可変とし、記録媒体に付与されるバックテンションを増減させることにより、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体が有する図4や図5に示したような特有の搬送特性を利用して、記録媒体の搬送の際に記録媒体が搬送駆動ローラ3の回転軸に直交する方向からずれて斜行することを的確に修正することが可能となる。
本実施形態の記録媒体搬送装置1及び塩化ビニルシートを用いた実験では、位置センサとしての反射センサ8、8は、塩化ビニルシートの搬送でその縁端が左方向への1/300の傾きが発生した斜行状態を検知した。そして、記録媒体搬送装置1の制御部が、最も縁端に近いピンチローラ5によるニップ圧力を100g/cm増加させたところ(つまり850g/cmにしたところ)、斜行が修正された。
また、基準となるバックテンションをさらに大きくし、本実施形態の場合とは逆に、バックテンションが増加すると記録媒体Mの搬送量Fが減少する範囲(図4参照)においても、記録媒体の左右の斜行を検知した際の荷重可変機構の作動を逆にすることで、有効に斜行を修正することができる。その際、前述したように、従来の1本のダンサーローラでは、記録媒体の幅方向の中央部分にバックテンションの高い領域が発生する場合があったが、本発明のように、ダンサーローラを2分割し、それぞれのダンサーローラの間隔を開けるように構成することにより、中央部分での内部張力の応力緩和が行われ易くなり、大きなバックテンションでも、記録媒体の搬送方向が安定する。
尚、本発明は、2本に分割されたダンサーローラのうち1本のみを荷重可変としたが、分割されたダンサーローラのうち複数の又はすべてのダンサーローラの荷重を可変とすることも可能である。また、記録媒体として、特に、引張り弾性率が低く伸張性の高い記録媒体に対して効果的にその機能を発揮し得るが、引張り弾性率がより高く伸張性がより低い、例えば、紙類のような記録媒体に対しても適用可能である。
また、本実施形態では、押圧力付与機構として、図1や図2に示した構造のものを例示したが、ピンチローラに押圧力を付与し、そのニップ圧力を変化させることができるものであれば他の構造を有するものでもよい。また、搬送駆動ローラの回転軸にパルスモータを直結する場合について述べたが、その機能を果たす限り他の駆動装置を用いてもよく、ギヤ等を介して搬送駆動ローラを駆動する構成とすることも可能である。
さらに、本実施形態では、搬送駆動ローラの1/4回転で1走査分の間欠搬送を行う場合について述べたが、任意の間欠搬送に適用することができる。
本実施形態の記録媒体搬送装置を適用したインクジェット記録装置の実施形態を示す概略図である。 図1の記録媒体搬送装置の搬送駆動ローラ付近を示す概略斜視図である。 記録媒体の搬送駆動ローラへの巻きつけとバックテンションを説明する概略図である。 種々のニップ圧力におけるバックテンションと記録媒体の搬送量との相関を示すグラフである。 種々のバックテンションにおけるニップ圧力と記録媒体の搬送量との相関を示すグラフである。
符号の説明
1 記録媒体搬送装置
2 プラテン
3 搬送駆動ローラ
5 ピンチローラ
61、62 ダンサーローラ
7 荷重可変機構
8 反射センサ(位置センサ)
M 記録媒体
M1 縁端
Ta バックテンション

Claims (1)

  1. インク画像を形成するプラテン領域に記録媒体を搬送する搬送駆動ローラを備えた記録媒体搬送装置において、
    前記搬送駆動ローラに対向して取り付けられ、前記搬送駆動ローラとともに前記記録媒体を挟持して搬送ニップ状態を形成するピンチローラと、
    前記搬送駆動ローラの前記搬送方向上流側に設けられ前記記録媒体に荷重を加えるための分割されたダンサーローラと、
    前記ダンサーローラの前記記録媒体に加える荷重を可変とするための荷重可変機構と、
    前記記録媒体の幅方向縁端の位置を検知する位置センサと、を備え、
    前記荷重可変機構は、前記位置センサからの前記記録媒体の幅方向縁端の位置検知情報に基づいて、前記分割されたダンサーローラのうちの少なくとも1本のダンサーローラが前記記録媒体に加える荷重を増減させて前記記録媒体に付与されるバックテンションを増減するように構成されていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
JP2004027712A 2004-02-04 2004-02-04 記録媒体搬送装置 Pending JP2005219264A (ja)

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