JP2007216466A - 画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】メンテナンス処理にあたってメンテナンス機構を記録ヘッドに設定する場合に、構成部材や移動機構の経時による歪みや移動誤差により高さ精度が適正でないとメンテナンスユニットが記録ヘッドに適正に設定されない場合が生じる。
【解決手段】画像記録装置が搬送機構を昇降する上下移動機構を用いて、搬送機構上に載置したメンテナンス機構を上昇させて記録ヘッドに宛がう構成であり、搬送機構のプラテン外装フレーム上に複数の弾性保持部材17Aを設け、メンテナンス機構のメンテナンス機構用フレーム16Bに設けた受け部材17Bと当接して弾性的に保持した状態で上昇させて、メンテナンス機構のメンテナンスユニット支持部材16Aに設けた突起部材15Aの位置決め先端部15A2を記録ヘッド支持部材14に形成した位置決め穴15Cの円錐形底に宛がい位置補正を行いつつ、各記録ヘッド13にメンテナンスユニット16Cをそれぞれに設定する画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクを吐出して画像記録する記録ヘッドをメンテナンスする画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構に関する。
一般に、インクジェットヘッドを用いた画像記録装置は、インクヘッドのノズルからインクを吐出して画像記録を行うため、定期的或いは記録回数に応じて、ノズルがインクで詰まることを防止するためのメンテナンスが必要である。
このメンテナンスには、ノズルから残留するインクを吸引してノズルの目詰まりを除去及び防止する吸引メンテナンス、ノズル面の汚れや吸引メンテナンスにより付着したインク滴を除去するためのワイピングメンテナンス、専用に設けたインク受けに強制的にインクを吐出させるスピッティングメンテナンス等がある。例えば、特許文献1には、図13(a),(b)に示すようなメンテナンス装置が開示されている。
このメンテナンス装置においては、用紙搬送方向(X方向)に沿って配置される4つの記録ヘッド71a、71b、71c、71dからなる記録ヘッド部71が設けられる。記録ヘッド71a、71b、71c、71dは、用紙搬送方向と直交する方向(Y方向)にインクを吐出するための多数のノズルが直線的に配置されたノズル列が設けられている。これらのノズル列は、記録用紙の幅以上の長さを有している。
それぞれの記録ヘッド71a、71b、71c、71dには、メンテナンスするためのキャップ(ワイピングブレード含む)72及びオイルパン73を備える回復処理装置(メンテナンス装置74)が設けられている。これらのキャップ72及びオイルパン73は、図13(a)に示すように、画像形成時には記録ヘッド71a、71b、71c、71d間に設けられた収納スペースに退避されている。メンテナンス時には、図示しない移動機構によって記録ヘッド71a、71b、71c、71d間から下降しスライドするように取り出されて、各記録ヘッドのノズル列とメンテナンス用のキャップ72とが対向する。
その後、図13(b)に示すように、プラテン機構75の2本1組のアーム76を回動させることにより、メンテナンス装置74のフレームごとプラテン機構75を上昇させて、記録ヘッド71a、71b、71c、71dのそれぞれにキャップ72を当接し、メンテナンスを実行する。メンテナンスが終了した後、プラテン機構75を下降することにより、各キャップ72を記録ヘッド71部から離間させて、メンテナンス装置74を下降させ、移動機構によって記録ヘッド71a、71b、71c、71d間の収納スペースに収納する。
特開2005−11939号公報
前述した特許文献1において、メンテナンス装置の昇降は、単にプラテン機構75の搬送ベルト上に載置されて上昇されている。従って、メンテナンス装置の高さ位置の精度は、搬送ベルトの高さ位置の精度に左右される。
画像記録装置は、設計仕様に基づき指定された平坦性や水平度を有していない場所に設置されて長期稼働した場合、即ち装置フレームに片寄った負荷が掛かった状態で長時間稼働させると、装置フレームに歪みが発生する虞がある。または、アーム76を回動させるために、駆動源となるモータ等による駆動力を伝える駆動伝達手段、例えば、ギアやワイヤロープによる伝達機構を用いた構成であれば、調整残差や部材の経時的な変形等によっても、アーム76を支持するフレーム本体に歪みが発生する虞がある。
前述したように、プラテン機構75は、2つのアーム76の回動によって昇降されている構成となっている。フレーム本体の歪みは、回動中心位置77の支持点の高さに影響を与える。
この支持点の高さが変化すると、上昇時に支持されるプラテン機構の上昇位置が変化して、複数のアームを用いた場合には、水平が失われて傾き等が発生する。その結果、メンテナンス装置のキャップ72が適正に記録ヘッド部71に当接できなくなる。例えば、用紙搬送方向の上流側と下流側で高さに差があると、メンテナンス装置に搭載されたキャップがノズル列に対して適正に宛がわれない箇所が発生する。この状態で、インクを吐出させるとキャップ72からインクがこぼれ落ちたり、又は、ワイピングを行うと、ワイピングブレードがノズル面を適正にワイピングせず、ノズル面のインク滴による汚れが残ってしまう問題が発生する。さらに、回動中心位置77の支持点が大きく位置ずれした場合には、メンテナンスされない記録ヘッド部71が発生することとなる。
そこで本発明は、搬送機構(プラテン機構)によるメンテナンス機構の移動に対して位置精度が低下しても、記録ヘッドに適正にメンテナンス機構が宛がうことができる画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構は、記録媒体を載置して搬送する搬送機構と、複数のノズルを形成する記録ヘッドを少なくとも1つ記録ヘッド支持部材で支持する画像記録部と、複数のノズルにおけるノズル面に対し吸引を行うメンテナンス機構と、少なくともメンテナンス機構を上下移動させる上下移動機構と、を有する画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構において、メンテナンス機構を、ノズル面に対して吸引を行うためのメンテナンス位置に案内する案内機構と、メンテナンス機構と搬送機構との間に設けられ、メンテナンス機構の傾きを矯正する矯正機構と、を備え、メンテナンス機構をメンテナンス位置に案内する際、当該メンテナンス機構が複数のノズルにおけるノズル面に対して略平行に保たれる、ことを特徴とする。
本発明によれば、搬送機構によるメンテナンス機構の移動に対して位置精度が低下しても、記録ヘッドに適正にメンテナンス機構が宛がうことができる画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、画像記録装置と本発明に係る画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構との関係を示すブロック構成図である。図2は、画像記録装置の配置図である。図3は、図1に示す画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構おける外観構成を斜め上方から見た斜視図である。図4は、図3に示す画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構において、各構成部位に分離した状態を示す分解斜視図である。図5は、画像記録部を吐出面側から見た外観構成を示す図である。図6は、記録ヘッドの外観構成を示す図である。図7は、メンテナンス機構の一部構成を詳細に示す図である。図8は、矯正機構における弾性保持部材の外観図である。
以下の実施形態で説明する図面において、記録媒体の搬送方向をX軸方向(副走査方向)、この搬送方向に水平に直交する方向を記録媒体幅方向又はY軸方向(主走査方向)、記録媒体の記録面又は搬送ベルト面と垂直に直交する方向をZ軸方向又は上下方向として説明する。
本実施形態の画像記録装置1には、複数の記録媒体を収納し、供給する記録媒体供給機構2と、制御部3と、画像記録された記録媒体を収容する記録媒体収容機構4と、さらに本発明のメンテナンス機構の位置決め機構11と、を備えている。
この画像記録装置1の制御部3は、記録媒体供給機構2及び記録媒体収容機構4をそれぞれ制御すると共に、本発明のメンテナンス機構の位置決め機構11も制御する。
本発明のメンテナンス機構の位置決め機構11は、記録ヘッド13を支持固定する記録ヘッド支持部材14を備える画像記録部12と、案内機構15と、メンテナンス機構16と、矯正機構17と、搬送機構18と、上下移動機構19と、を備えている。
次に、制御部を除く画像記録装置の配置図について図2を参照しながら説明する。
画像記録装置1は、搬送経路上の最上流側に記録媒体供給機構2、その下流側に画像記録部12と、案内機構15と、メンテナンス機構16と、矯正機構17と、搬送機構18及び上下移動機構19、さらにその下流側に記録媒体収容機構4が配設されている。
記録媒体供給機構2における媒体トレイ42には、複数の記録媒体41が収納され、媒体トレイ42の上部に設けられたピックアップローラ43によって記録媒体41を1枚ずつ供給する。ピックアップローラ43によって供給された記録媒体41は、レジストレーションローラ対44に一旦当接させて傾き(搬送方向に対して斜め方向のずれ)を無くし、搬送方向に沿うように修正し、供給ローラ対45により、記録媒体41を搬送機構18側へ搬送する。
搬送された記録媒体41は、上下移動機構19により画像記録位置に上昇した搬送機構18上を搬送され、画像記録部12により画像記録が行われ、記録媒体収容機構4側へ搬送される。
画像記録部12は、記録ヘッド13を記録媒体41の搬送方向と直交する方向に記録媒体41の幅に亘ってラインヘッド(記録ヘッド群)21を形成し、搬送方向の上流側から下流側にブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色の色別のインク液を吐出するラインヘッド21K、21C、21M、21Yが所定の間隔で記録ヘッド支持部材14によって支持されている。
また、メンテナンス機構16は、画像記録時に影響を及ぼさない位置に退避収納され、案内機構15は、画像記録部12とメンテナンス機構16との間に設けられ、矯正機構17は、搬送機構18とメンテナンス機構16との間に設けられている。
記録媒体収容機構4は、記録媒体41の搬送方向において、収容トレイ53の上流側に、画像記録された記録媒体41を収容トレイ53へ搬送するための排出部搬送ローラ54と、排出部排出ローラ55とが設けられている。
次に、本発明の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構における各構成の詳細について図3乃至図8を参照しながら説明する。
上下移動機構19は、図3及び図4に示すように、下端を支点として回動可能な4本のアーム19Aにより構成され、Y軸方向の2つのアーム19Aが連結部材により連結された2組の回動アーム部を有している。これらの回動アーム部は、図示しない駆動機構とモータにより回動され、アーム19Aのアーム先端部19Bで支持する搬送機構18をZ軸方向に昇降移動させる。この搬送機構18の昇降移動により、後述するメンテナンス機構16を昇降させている。
搬送機構18は、図3及び図4に示すように、プラテン外装フレーム52にベルトプラテン部40と無端ベルト51とが取り付けられ、一体となって構成されている。ベルトプラテン部40には、搬送中の記録媒体41に対する吸引機能を有する図示しないファンが設けられている。また、無端ベルト51は、無数の孔が設けられた帯状のベルトであり、複数のベルトローラに巻回されて回転可能となっている。また、プラテン外装フレーム52には、後述する矯正機構17の弾性保持部材17Aがプラテン外装フレーム52上で水平(記録媒体の記録面と平行又は記録ヘッドによる画像記録面と平行)が取れるように三角形を成す位置の3箇所に設けられている。
画像記録部12は、図3及び図4に示すように、記録ヘッド13と当該記録ヘッドを支持する記録ヘッド支持部材14とで構成されている。記録ヘッド13は、図6に示すように、画像記録のためにインクを吐出する部位をノズル13A、複数のノズル13Aが列状に配置された状態をノズル列13B、ノズル列13Bが設けられた面をノズル面13C、ノズル面とその周辺部(ヘッドフレーム面)をノズル形成領域(又はインク吐出面)13Dと称す。記録ヘッド13は、使用する記録媒体の幅以上の長さを有したノズル列で1つの記録ヘッドを構成してもよいし、本実施形態の図5に示すような記録媒体の幅以下の長さのノズル列が設けられた短尺な記録ヘッドを記録ヘッド支持部材14に複数配設し、記録媒体の幅以上になるようにラインヘッド(又は記録ヘッド群)21を形成してもよい。
また、記録ヘッド13は、1列のノズル列の記録ヘッドを、平行になるように2つ重ね合わせて一体的に構成したヘッドユニットとしてもよい。また、2つに限らず、複数のノズル列となるように複数の記録ヘッドを一体的に重ね合わせても良い。また、1つの記録ヘッドがノズル面に複数列のノズル列を有していてもよい。
図5に示す構成では、画像記録幅に対して短尺な記録ヘッド13を2つ重ね合わせて一体的に構成したヘッドユニットをY軸方向に沿って千鳥に配設することで、記録媒体の幅以上のラインヘッド21を確保している。この構成では、少なくともインクの色数分に、4グループのラインヘッド21(21K,21C,21M,21Y)にブロック分割されて、記録媒体の搬送方向に対して等間隔にスペースSを空けて記録ヘッド支持部材14上に配設される。勿論、これに限定されるものではなく、設計に応じて適宜、個数及び配置形態は変更することができる。例えば、本実施形態では、4色のインクを用いているため、4ブロック分割であるが、5色であれば5ブロック分割でもよいし、同じ色を複数のブロックに分割してもよい。
さらに、記録ヘッド支持部材14には、後述する案内機構15の突起部材15Aが嵌通する嵌通孔15Bと、この嵌通孔15Bの近傍に、所定の深さで底部が円錐面を成す位置決め穴15Cが設けられている。
また、記録ヘッド支持部材14は、図3に示すように記録ヘッド13がインクを適正に下方(Z軸方向)に吐出するように、図示しない装置フレームに吊り下げられて固定されている。
メンテナンス機構16は、図3及び図4に示すように、メンテナンスユニット支持部材16Aと、メンテナンス機構用フレーム16Bと、メンテナンスユニット16Cとで構成されている。
メンテナンスユニット支持部材16Aは、メンテナンスユニット16Cを載置支持している。尚、メンテナンスユニット支持部材16Aには、後述する案内機構15の突起部材15Aが、三角形を成す位置の3箇所に設けられている。
メンテナンス機構用フレーム16Bは、サイドフレーム16B1と、昇降フレーム16B2と、連結部材16B5とで構成される。サイドフレーム16B1には、メンテナンスユニット支持部材16AをX軸方向(副走査方向)に移動可能に保持する保持部材16B6と、記録ヘッド支持部材14(記録ヘッド13)と平行になるスリット16B3が一方のサイドフレーム16B1に形成されている。このスリット16B3により、メンテナンスユニット支持部材16AのX軸方向への移動を規制している。さらに、サイドフレーム16B1は、装置本体フレーム(図示せず)に固定されている4つの昇降フレーム16B2に昇降可能に支持されている。これらの昇降フレーム16B2には、上下方向(Z軸方向)にスリット16B4に形成される。それぞれのサイドフレーム16B1及び昇降フレーム16B2のスリット16B4を重ね合わせてビス等からなる連結部材16B5により嵌着する。
尚、サイドフレーム16B1には、後述する矯正機構17の受け部材17Bが弾性保持部材17Aと対応する位置に設けられている。
メンテナンスユニット16Cは、記録ヘッド支持部材14に固定された記録ヘッド13と対向した際に、記録ヘッド13の各位置と一致するように、オイルパン16C1とメンテナンス吸引部16C2とが配置されて構成されている。ここでは、4つにブロック分割されたメンテナンスユニット16C(16C−K、16C−C、16C−M、16C−Y)が設けられている。画像記録時などには、これらのメンテナンスユニット16Cは、ラインヘッド21間に設けられたスペースSに退避する。
図7(a)は、メンテナンス機構の一部を詳細に示した図である。メンテナンスユニット毎に設けたオイルパン16C1(16C1−K、16C1−C、16C1−M、16C1−Y)上には、それぞれに、記録ヘッド13に対応するように配置されたメンテナンス吸引部16C2(16C2−1〜16C2−24)がY軸方向(主走査方向)に移動可能に備えられている。本実施形態では、記録ヘッド13を2つ重ね合わせて一体的に構成しているため、メンテナンス吸引部は24個となっているが記録ヘッド毎に設けてもよい。
このオイルパン16C1は、メンテナンスを実施した際に、吐出されたインクが他の構成部位に飛散しないように回収するために設けられている。
図7(b)は、メンテナンス吸引部16C2(16C2−1〜16C2−24)の1つを拡大した図である。メンテナンス吸引部16C2は、インク吸引部31とキャップ部32とで構成されている。
インク吸引部31とキャップ部32とは、同図に示すように一体的に構成されて配置されても、それぞれ別体で配置されてもよい。
インク吸引部31は、上面に複数の吸引口31Aが設けられ、図示しない吸引ポンプ等から成る負圧生成部に連結されている。インク吸引部31は、ノズル面13Cに近接して対向しつつスライドする際に、吸引口31Aからノズル面13C上に付着するインクを吸引する。さらに、インク吸引部31には、スライド移動時にノズル面13Cを拭き取るためのワイパー31Bが取り付けられている。このワイパー31Bは、ゴム等の弾性部材や樹脂等により形成される。本実施形態では、ゴムを板状に形成し、該ゴム先端をノズル面13Cに宛てて曲がった状態でスライドさせることで付着しているインクを払拭させている。
キャップ部32は、記録ヘッド13による画像記録が行われていないスタンバイ状態又は停止状態の時に、記録ヘッド13のインク吐出面を覆うように宛がわれ、外気を遮断する。このキャップ部32により、ノズル13Aの乾燥を防止し、また不用意なインク垂れによる他の構成部位、例えば、無端ベルト等への汚れを防止することができる。従って、記録ヘッド13が駆動している時以外は、キャップ部32でインク吐出面を覆うことが好ましい。
尚、インク吸引部31で吸引したインクとオイルパン16C1で回収したインクは、図示しない廃液タンクに回収されている。
案内機構15は、図3及び図4に示すように、メンテナンスユニット支持部材16Aに設けられ突起部材15Aと、記録ヘッド支持部材14に設けられた嵌通孔15B及び位置決め穴15Cとで構成されている。
突起部材15Aは、メンテナンス処理実行時に、メンテナンスユニット16Cと記録ヘッド13(ノズル面)とを適正な位置にするものである。突起部材15Aは、例えば円柱形状を成す突起部15A1と、その突起部15A1上面が半球形状を成す位置決め先端部15A2とからなる。位置決め先端部15A2は、硬質な材料により形成され、鏡面処理が施される。又は、摩擦抵抗が少なくなる表面処理(コーティング処理等)が施されている。
また、突起部15A1と位置決め先端部15A2は、同じ材料により一体的に形成されてもよいし、別の材料により個々に形成した後に接着してもよい。
嵌通孔15Bは、メンテナンスユニット16Cの収納時に、突起部材15Aを嵌入するもので、突起部材15Aの直径より大きく開口されている。このため、多少の位置ずれがあっても嵌入することができる。
位置決め穴15Cは、底部が円錐面に形成され、メンテナンス時に突起部材15Aと当接する。円錐面は、同様に鏡面処理等、摩擦抵抗を少なくする表面処理が施される。
尚、位置決め穴15C及び突起部材15Aが当接した、即ち、円錐面内に位置決め先端部15A2が入り込んだ状態がメンテナンスユニット16Cと記録ヘッド13(ノズル面)との距離を決めているため、それぞれに摩耗等経時的な変化が少ない材料を用いることが望ましい。
矯正機構17は、図3及び図4に示すように、プラテン外装フレーム52に設けられた弾性保持部材17Aと、サイドフレーム16B1に設けられた受け部材17Bとで構成されている。
弾性保持部材17Aは、図8に示すように、円柱形状のピン17A2と、ピン17A2の外周に嵌装されたコイルバネ17A1とで構成される。ピン17A2の上端は面取りされて、テーパー面を有している。
さらに、プラテン外装フレーム52に固定(又は嵌合)されるピン17A2の接続部分及びその周囲は、その外周より一段低くなる外周面52Aが溝加工される。
受け部材17Bの当接面には、弾性保持部材17Aのピン17A2が嵌入可能な径を有するガイド穴17B1が開口されている。
次に、図9乃至図11は、本実施形態の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構におけるメンテナンス動作について説明するための図である。
まず、前述した図2は通常の画像記録位置を示している。この位置の時には、メンテナンスユニット16C(16C−K、16C−C、16C−M、16C−Y)は、図5に示すラインヘッド21(21K〜21Y)間のスペースSに退避している。この状態から、ユーザが図示しない画像記録装置の操作パネルでメンテナンスを実行するように指示した場合、又は予め設定された処理枚数や処理時間累計値に達した場合に、メンテナンス動作が開始される。
画像記録位置から図9に示すように、上下移動機構19のアーム19Aが回動してアーム先端部19Bが下がる。これに伴い、搬送機構18(プラテン外装フレーム52)及びメンテナンス機構16(サイドフレーム16B1)が下降する。この時、搬送機構18は、メンテナンス機構16を載置して下降する。この下降は、メンテナンスユニット16Cが記録ヘッド13のインク吐出面より僅かに下がった位置において一旦停止する。
次に、図10示すように、メンテナンスユニット支持部材16Aが図示しないX軸方向(副走査方向)に駆動させるX軸方向駆動機構により、搬送方向の上流側に移動され、メンテナンスユニット16Cが記録ヘッド13のインク吐出面と対向する位置で停止される。
次に、図11に示すように、上下移動機構19のアーム19Aを回動してアーム先端部19Bにより搬送機構18(プラテン外装フレーム52)及びメンテナンス機構16(サイドフレーム16B1)を上昇する。この時、搬送機構18は、メンテナンス機構16を載置して上昇する。この上昇は、メンテナンスユニット16Cのワイパー31Bのみが記録ヘッド13のノズル面13Cに当接する位置で停止する(メンテナンス位置)。
搬送機構18がメンテナンス機構16を載置して上昇する際、搬送機構18のプラテン外装フレーム52に設けられた弾性保持部17Aのピン17A2がメンテナンス機構16のサイドフレーム16B1に設けられた受け部材17Bのガイド穴17B1に嵌入される。この際、ピン17A2にテーパー面を設けたことにより、ガイド穴17B1に対して多少の位置ずれがあっても当接位置を補正しながら適正な位置に嵌入することができる。
コイルバネ17A1の上端面は、受け部材17Bに当接し、コイルバネ17A1の反発力によって、メンテナンス機構16は3箇所で弾性的に支持される。そして、メンテナンス機構5は弾性力(バネの反発力)を要した状態で上昇される。
尚、ピン17A2の接続部分及びその周辺が、溝加工(外周面52A)されていることにより、受け部材17Bに弾性保持部材17Aが当接した際に、コイルバネの外形をガイドして縮む際のバネ底部の位置ずれを無くし、その位置ずれによる不自然な縮み形状による弾性力の偏り等を防止している。
また、メンテナンス機構16のメンテナンスユニット支持部材16Aに設けられた突起部材15Aの位置決め先端部15A2は、画像記録部12の記録ヘッド支持部材14に設けた底部が円錐面の位置決め穴15Cに入り当接する。位置決め穴15C及び位置決め先端部15A2は、前述した構成を成していることから、位置決め先端部15A2が位置決め穴15Cを摺動することで、多少の位置ずれがあっても当接位置を補正しながら嵌入することができ、記録ヘッド13のノズル面とメンテナンスユニットのメンテナンス吸引部16C2等との間隔が適正になるように位置決めされる。この時、位置決め先端部の中心と位置決め穴の中心とは、前記記録媒体の記録面に対する垂直方向で一致している。そして、コイルバネ17A1の反発力により、メンテナンスユニットのメンテメンテナンス吸引部16C2が記録ヘッド13のノズル面に適正に押し付けられた状態となっている。
例えば、上下移動機構19のアーム19Aの調整残差又は、図示しない駆動伝達部材の変形等により、アーム19Aのアーム先端部19Bの高さが変化した場合、搬送機構18(プラテン外装フレーム52)の高さが均一でなくなる。即ち適正に設定された記録媒体の記録面方向に高さの差が生じる。例えば、搬送方向における上流側のアーム19Aが高くなり、下流側のアーム19Aが低くなるような高さの差(記録面の傾き)が生じた場合を想定する。
このような状態において、本実施形態では、メンテナンス時にメンテナンス機構16が搬送機構18(プラテン外装フレーム52)に載置されて上昇し、先に搬送方向上流側における突起部材15Aが位置決め穴15Cの円錐面に当接する。引き続き、搬送機構18(プラテンフレーム52)を上昇させると、上流側のコイルバネ17A1が縮み、順次、下流側の突起部材15Aが位置決め穴15Cの円錐面に当接する。
従って、搬送機構18(プラテン外装フレーム52)に傾き(アーム先端部19Bにおける高さ差)が生じていたとしても、突起部材15Aが位置決め穴15CをZ軸方向に押しつける際、コイルバネ17A1の弾性力により適正な位置決めが可能となる。
このようにメンテナンスユニット16Cと記録ヘッド13が位置決めされたら、メンテナンス処理を行う。メンテナンス吸引部16C2は、図示しないY軸方向駆動機構によりY軸方向(主走査方向)に駆動される。この時、インク吸引部31のワイパー31Bが記録ヘッド13のノズル面を払拭しつつ(ワイビングメンテナンス)、負圧生成部により吸引動作している吸引口31aがノズル13Aに残留するインクを吸引して(吸引メンテナンス)、図示しない廃液タンクに回収する。この際に飛散したインクは、オイルパン16C1により回収されて、図示しない廃液タンクヘ送られている。
また、メンテナンス位置から画像記録位置にメンテナンス機構16を退避収納させる際は、突起部材15Aを記録ヘッド支持部材14に設けられた位置決め穴15Cから搬送方向に一定距離だけ離れた突起部材15Aより直径の大きい嵌通孔15Bに嵌入させる。尚、一定の距離とは、メンテナンスユニット支持部材16Aが、X軸方向駆動機構によりメンテナンス位置からX方向に退避してラインヘッド間のスペースSまで移動する距離と等しい距離である。この位置で搬送機構が上昇しても突起部材は、嵌通孔に挿入されているため搬送機構の上昇を妨げないようにすることができる。
尚、本実施形態では、案内機構15と矯正機構17とが、同一のZ軸上(記録媒体の記録面に対して垂直方向)に重なるように配置されている。即ち、当接する突起部材15Aの中心、位置決め穴15Cの中心及び、ガイド穴17B1の中心がZ軸方向(記録媒体の記録面に対して垂直方向)に一致して重なるように配置しているが、勿論、このような配置に限定されるものではない。
次に、本実施形態における変形例について説明する。
前述した実施形態では、ピンとコイルバネとで構成された弾性保持部材によりメンテナンス機構を弾性的に支持している。
本変形例では、図12に示すように弾性保持部材として板ばね17A3を用いた構成である。この板ばね17A3は、U字型に折り曲げられて2面の平面部分と屈曲部を有する形状となっている。板ばね17A3を横に倒して、下面には、少なくとも2つのビス穴を開口して、ビス61によりプラテン外装フレーム52にネジ止め固定する。また、板ばね17A3の上面には、切欠部62が設けられている。これは、板ばね17A3の上面が当接するサイドフレーム16B1に、板バネ上面の外形をガイドする凹部(図示せず、)又は、切欠部62に嵌入する突起部(図示せず)を設けて、メンテナンスユニット16Cの位置決めを行うように構成する。
この構成において、搬送機構18(プラテン外装フレーム52)が上下移動機構19により上昇され、板ばね17A3がメンテナンス機構16のサイドフレーム16B1に当接する。さらにプラテン外装フレーム52を上昇させると、板ばね17A3が撓んだ状態でサイドフレーム16B1を持ち上げて、弾性的に支持した状態となる。
この板ばね17A3を用いることにより、前述した実施形態における弾性保持部材と同等の作用効果を得ることができる。従って、板ばねは、ピンとコイルバネとで構成された弾性保持部材よりも簡易な構成であり、コストを下げ、作業効率もよくなる。
尚、前述した実施形態及び変形例においては、弾性保持部材についてコイルバネ及び板バネを例としているが、これらに限らず、他にも、エアーダンパー、オイルダンパー、磁気バネ等の弾性支持可能で適切な反発力を有するものならば、使用することができる。また、これらは、単体で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
また突起部材の位置決め先端部及び位置決め穴の底面は必ずしも半球形状及び円錐面に限定されるものではない。他の形状でも良い。例えば、位置決め先端部が円錐形状であり、位置決め穴は、位置決めピンの径よりも小径の真円の嵌通孔であってもよい。
また突起部材19Aをメンテナンス機構16に設け、嵌通孔15B及び位置決め穴15Cを記録ヘッド支持部材14に設けたが、これに限らず、突起部材19Aを記録ヘッド支持部材14に設け、嵌通孔15B及び位置決め穴15Cをメンテナンス機構16に設けてもよい。
また突起部材が3箇所に設けられた例について説明したが、この例において、搬送機構及びメンテナンス機構のX,Y軸方向(記録媒体の面方向又は画像記録面)の重心位置は、3箇所を結ぶ三角形内にあることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、搬送機構を昇降させる上下移動機構を用いてメンテナンス機構を昇降させる際に、傾きが生じていても、メンテナンス機構を最適な位置に載置し、さらに配列された各記録ヘッドに対して、相対的に精度良くメンテナンスユニットを宛がうように位置決めを行い、且つ弾性力により高さ精度の差を解消して予め設定された最適にメンテナンス位置に移動させることができる。
本発明の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構と画像記録装置との関係を示すブロック構成図である。 本発明の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構が適用される画像記録装置の配置図である。 本発明の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構の実施形態であるメンテナンス機構の位置決め機構の外観構成を斜め上方から見た斜視図である 図3に示す画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構の各構成部位に分離した状態を示す分解斜視図。 画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構における画像記録部を吐出面側から見た外観構成を示す図である。 画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構における記録ヘッドの外観構成を示す図である。 画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構におけるメンテナンス機構の一部構成を示す図である。 画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構における弾性保持部材の外観構成を示す斜視図である。 画像記録装置のメンテナン動作開始状態を示す図である。 画像記録装置のメンテナンス位置へ移動過程を示す図である。 画像記録装置のメンテナンス位置を示す図である。 変形例における弾性保持部材の外観構成を示す斜視図である。 従来の画像記録装置に搭載されるメンテナンス装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1…画像記録装置、2…記録媒体供給機構、3…制御部、3A…ノズル、3B…ノズル列、3C…ノズル面、3D…ノズル形成領域(又はインク吐出面)、4…記録媒体収容機構11…メンテナンス機構の位置決め機構、12…画像記録部、13…記録ヘッド、14…記録ヘッド支持部材、15…案内機構、15A…突起部、15B…嵌通孔、15C…位置決め穴、16…メンテナンス機構、16A…メンテナンスユニット支持部材、16B…メンテナンス機構用フレーム、16C(16C−K、16C−C、16C−M、16C−Y)…メンテナンスユニット、17…矯正機構、17A…弾性保持部材、17B…受け部材、18…搬送機構、19…上下移動機構、19A…アーム、19B…アーム先端部、21(21K、21C、21M、21Y)…ラインヘッド(又は記録ヘッド群)、S…スペース。

Claims (7)

  1. 記録媒体を載置して搬送する搬送機構と、複数のノズルを形成する記録ヘッドを少なくとも1つ記録ヘッド支持部材で支持する画像記録部と、前記複数のノズルにおけるノズル面に対し吸引を行うメンテナンス機構と、少なくともメンテナンス機構を上下移動させる上下移動機構と、を有する画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構において、
    前記メンテナンス機構を、前記ノズル面に対して吸引を行うためのメンテナンス位置に案内する案内機構と、
    前記メンテナンス機構と前記搬送機構との間に設けられ、前記メンテナンス機構の傾きを矯正する矯正機構と、を備え、
    前記メンテナンス機構を前記メンテナンス位置に案内する際、当該メンテナンス機構が前記複数のノズルにおけるノズル面に対して略平行に保たれる、ことを特徴とする画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構
  2. 前記案内機構は、突起部材と位置決め穴と嵌通孔とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
  3. 前記突起部材は、前記位置決め穴に当接する位置決め先端部が半球形を成し、
    前記位置決め穴は、前記突起部材が当接する底部が円錐面を成し、
    当接時に前記突起部材の前記位置決め先端部が前記位置決め穴の円錐面に沿って摺動し、当該位置決め先端部の中心と位置決め穴の中心とが、前記記録媒体の記録面に対する垂直方向で一致することを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
  4. 前記嵌通孔は、前記メンテナンス機構を退避収納させた際、前記突起部材を嵌通させることを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
  5. 前記矯正機構は、少なくとも弾性保持部材を有し、当該弾性保持部材は、前記上下移動機構により上昇される前記搬送機構と前記メンテナンス機構とを弾性的に保持することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
  6. 前記突起部材は、前記メンテナンス機構に設けられ、前記位置決め穴及び前記嵌通孔は、前記記録ヘッド支持部材に設けられていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
  7. 前記突起部材は、前記記録ヘッド支持部材に設けられ、前記位置決め穴及び前記嵌通孔は、前記メンテナンス機構に設けられていることを特徴とする請求項1乃至2に記載の画像記録装置が備えるメンテナンス機構の位置決め機構。
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