JP2007215408A - 食品の加工処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
食品素材の鮮度を維持することができるとともに調理加工時の加熱による外観、風味、食感をコントロールすることができるようにした食品の加工処理方法を提供する。
【解決手段】
食品素材に所定条件でマイクロ波を照射する食品の加工処理方法であって、マイクロ波照射前の前記食品素材の温度が0℃〜40℃の範囲で、且つマイクロ波処理前後の前記食品素材の温度差が所定の温度範囲を越えない範囲で、マイクロ波照射を行うようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は食品素材の鮮度を維持することができるとともに加工時の加熱による外観、風味、食感をコントロールすることができるようにした食品素材の加工処理に係わるものである。
昔から夫々の食品素材に適した調理加工方法が工夫されてきたが、それらは全て素材の美味しさを活かそうとする工夫の中から生まれてきたものである。例えば、魚の頭と内臓を取り除いた後に冷蔵庫内で寝かせることにより旨みを出すという調理人の技があるが、これは魚体内のタンパク分解酵素により呈味成分が増えるからである。食品素材に含有される酵素群は低温下では作用活性が抑えられるが、5℃〜10℃程度では酵素が少しずつ働き、食品素材を僅かながら変化させている。一般的には料理人の行うような微妙なコントロールは困難であり、通常は品質が劣化するという方向で現れ、魚、特に頭や内臓を付けた状態では、冷蔵下であっても時間を経ると劣化し、風味、食感が悪くなるということになる。
一般的に食品素材の品質劣化に最も大きな働きをする酵素は、脂質やポリフェノールの酸化に関与する酸化酵素、タンパク質の分解に関与するプロテアーゼ、でんぷんの分解に関与するアミラーゼ等が挙げられる。食材の品質低下という観点に立てば、酸化酵素の働きにより、脂質の酸化によるフレーバー成分の生成、ポリフェノール類の酸化による褐変化、あるいは渋みの発現等の反応が進行するのである。また、タンパク分解酵素の働きにより、貯蔵中に鮮魚では肉質の劣化が起こり、鮮度の低下あるいは煮崩れの原因となり商品価値の低下に繋がるのである。さらには、調理加熱の過程で外部から加えられる熱によって、固体である食品素材の内部まで熱が徐々に伝わる間に、素材に含有される酵素群の働きにより風味や食感が劣化してしまうのである。
基本的にこれら食材中の酵素群の働きを抑制することが出来れば、食材の風味並びに食感の保持、あるいはコントロールができるのである。食品添加物を使用することなく、氷温貯蔵のような特別な流通システムの構築を必要としない簡易な加工流通システム、あるいは食材の風味、品質を損なわない加工技術があれば、消費者のメリットは大きく、消費の拡大に繋がるものと期待されるのである。
マイクロ波は食品中の水分子を振動させ、その摩擦により熱を発生させるところから、電子レンジとして様々な食品の加熱調理に活用されている。そして、これまでのマイクロ波の食材への利用は、全て熱の発生を期待したものであり、加熱による澱粉のアルファー化(特許文献1〜4)があるが、十分な熱の発生がポイントで、例えば70℃以上という熱の発生を必要としている(特許文献5)。マイクロ波により玄米の細胞組織にヒビを入れて吸水を早める(特許文献6)というように物理的に組織を破壊する利用も知られており、この場合は高温域で処理を行うための焦げ(炭化)を抑えるために、水分を飛散させないための密閉空間内で行うことを明記している。マイクロ波処理により果実中の酵素を失活させるという報告(特許文献7)では、酵素失活のためには95℃以上が必要という。また、大豆含有脂質酸化酵素をマイクロ波で失活させるという方法が提案されている(特許文献8)が、その必要条件は大豆内部温度が65℃以上という熱の発生を必要としている。同じくマイクロ波を大豆に照射して、大豆含有酵素の一部を活用しようという報告(特許文献9)では、原料大豆の水分含量が13%程度のものを5%程度まで減少させているので、明らかにマイクロ波による発熱を利用した乾燥を目的としている。そのためマイクロ波による照射時間も10分〜40分を必要としている。タンパク質溶液をマイクロ波照射して変性温度以下に加熱するという報告(特許文献10)においても、タンパク質溶液の温度を40℃〜65℃、好ましくは45℃〜55℃とすることを必要条件としている。魚介、畜肉の鮮度維持処理法(特許文献11)では、遠赤外線とマイクロ波によりごく短時間に40℃から70℃の間の加熱処理を行うと明記している。
さらには、5〜10℃での低温貯蔵後の柑橘類を短時間でプラス13℃程度まで内部温度を上げ、そのまま熟成を行う(特許文献12)というように、限定された条件下に管理された果実の温度上昇を目的とし、さらにその温度帯における熟成を期待したものも知られている。また、果実、野菜をマイクロ波により45℃を超えない温度で処理した後冷凍すると報告されている(特許文献13)が、マイクロ波で処理する目的は5〜40重量%の水分除去であり、次いでマイクロ波処理後冷凍するという極めて限定された使用法である。なお、氷結点貯蔵食材に適宜マイクロ波等を照射して振動を与えて、食材の凍結を防ぐ手段としている(特許文献14)ものが知られているが、これは条件の限定された中で凍結を防ぐための振動手段として利用されているに過ぎない。
特開平3−123458号公報 特開平4−152878号公報 特開平5−23161号公報 特開平5−317022号公報 特開平9−294579号公報 特開平10−210940号公報 特公平4−17621号公報 特開2004−357621号公報 特許第3318048号 特許第331808号 特開平1−202242号公報 特開平6−343442号公報 特開平8−308487号公報 特開平8−252082号公報
本発明者は鋭意検討の結果、食品原材料に微量のマイクロ波を照射することにより、外観、風味、食感を損なうことなく、食品素材中に含有される酵素群の活性を減少或いは失活させることが出来、これにより鮮度を維持し、さらには調理加工時の加熱による外観、風味、食感をコントロールすることのできる、食品材料の加工処理法を開発した。
本発明のように極めて微量のマイクロ波を照射することにより、細胞の破壊を含むことなく、且つ基本的に食材の温度上昇を抑え、食品材料中の特定酵素の活性を停止させることにより、鮮度維持や加熱調理加工時の品質のコントロールを行おうとする考え方はこれまでに全く無かった。
本発明は、食品素材の鮮度を維持することができるとともに調理加工時の加熱による外観、風味、食感をコントロールすることができるようにした食品の加工処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、食品素材に含有される各種酵素系の活性を、細胞を破壊することなく低減させ、貯蔵、流通での品質低下を抑え、さらには調理中の品質の低下を抑えて風味、食感の良好な調理加工品を提供することのできるシステムを完成させた。
本発明の食品加工処理方法は食品素材に所定条件でマイクロ波を照射する食品の加工処理方法であって、マイクロ波照射前の前記食品素材の温度が0℃〜40℃の範囲で、且つマイクロ波処理前後の前記食品素材の温度差が所定の範囲を超えない条件で、マイクロ波照射を行うことを特徴とする。
前記食品素材の種類に応じて、食品素材に含有される各種酵素系の活性の低減化あるいは失活を目的とし、且つ発生する熱によ変性あるいは組織及び細胞の破壊を伴わない範囲で、マイクロ波照射を行うのが好ましい。
前記食品素材としては、穀類、畜肉、魚介、海草並びにそれらの加工品をあげることができる。
即ち、マイクロ波を食品素材に照射するのであるが、食材の品質を変化させるような温度上昇をもたらすことなく、且つ食材の組織の変化や細胞の破壊を起こすことなく、食材に含有される酵素群に作用してその活性を低減化するのである。本発明に用いられる食品素材である穀類、畜肉、魚介、海草並びにその加工品は、本発明の処理を行うことによりその時点で熟成を停止することとなるので、本法はマイクロ波処理時点での品質維持、又は改良、あるいはコントロールということとなるのである。即ち、マイクロ波処理後の品質の劣化を防ぎ、商品価値を向上させるのである。
従って、本発明によればマイクロ波処理によってその後の熟成は全く期待できないのである。そのため、対象食材のマイクロ波による直接の劣化を防ぐ目的から、処理前後の温度上昇を極力抑えることが重要である。基本的には20℃を越えない範囲、好ましくは10℃を超えない範囲、さらに好ましくは8℃を超えない範囲でマイクロ波照射を終えるのである。また、マイクロ波照射時の温度条件は0℃〜40℃の範囲であり、好ましくは1℃〜35℃である。そのための処理条件として、例えば、マイクロ波の周波数2450MHz、出力100〜500Wの場合には、対象食材100gあたり照射時間は1秒以上120秒以下、好ましくは90秒以下、さらに好ましくは60秒以下、が好適である。
本発明によれば、食品素材の鮮度を維持することができるとともに加工時の加熱による外観、風味、食感をコントロールすることができるという若大な効果を達成することができる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
以下に本発明を具体的に説明する。本発明に用いられる食品素材は、穀類及び畜肉、魚介、海藻類並びにその加工品等どのようなものでもよい。即ち、本発明のそれぞれの食品素材に対する効果は、保存性の向上、風味の向上、食感の改良、保水性の向上等であるが、貯蔵形態、流通形態、加工形態、さらには製品形態により、目的とする効果を組み合わせることができる。例えば、精白米に微量のマイクロ波を照射することにより、炊飯米の硬さ、粘りといった物性のコントロールが可能であり、食味の向上を行うことができる。この物性は時間経過後もその傾向を維持することができるのであり、24時間後においても改良された食感と美味しさを維持する。添加物等を加えて物性を変えるという場合は、炊飯米に目的とする物性、例えば粘りを付け加えるのであるから、炊飯米の劣化に対して添加物の量的な調整が必要であるため、必然的に添加量は増える傾向にあり、炊飯直後には添加物の量が多過ぎて粘り過ぎという現象が起こり得る。しかしながら、本発明では米の中のプロテアーゼとアミラーゼをターゲットとして、微量のマイクロ波の照射によりその活性レベルを調節できるので、炊飯米の硬さと、粘りをコントロールすることができるのである。従って、炊飯直後の物性の特徴と、炊飯後に長時間経過したものとは本質的に変わらないのである。勿論、籾米、あるいは玄米の段階でマイクロ波処理を行えば、貯蔵中の品質劣化を抑制することができ、さらには精白した炊飯米の物性コントロールにもなるのである。また、畜肉及び鮮魚に微量のマイクロ波を照射することにより、素材中に含有されるプロテアーゼ活性が減少し、鮮度を維持することができる。さらには、本発明で対象とする食品素材より加工される所謂加工食品に、微量のマイクロ波を照射すれば、その時点以降の熟成をコントロールすることができ、保存中あるいは流通段階での品質の維持が可能となるのである。
本発明に用いられるマイクロ波は一般に0.1GHz〜1000GHzの周波数の電子線が用いられる。出力と照射時間は食品素材それぞれに対しての期待する効果、一度に照射する食品素材の量、あるいは形状により決定される。しかしながら、いずれの場合も対象物の外観、色彩及び風味の変化の無い範囲であることは勿論のこと、食品素材自体が大きく発熱する状態を避け、処理前後の温度変化がプラス20℃以上にならないように、好ましくは10℃以上にならないように、さらに好ましくは8℃以上にならないようにしなくてはならない。そのためにも、マイクロ波照射の対象食材の温度は0℃〜40℃の範囲、好ましくは1℃〜35℃の範囲でなくてはならない。また、熱変性が起こればその時点で細胞は破壊されてしまうので、素材自体に熱変性を生じさせることのないようにするのである。そのためにも、マイクロ波の照射時間は1秒以上120秒以下、好ましくは90秒以下、さらに好ましくは60秒以下であることが望ましい。あくまでも、マイクロ波により食品素材の分子構造に、振動による揺るぎを与える程度に照射するのがポイントである。
本発明は、食品素材中に含有される各種酵素系の失活を目的として開発されたが、マイクロ波の照射は、水分子の摩擦による発熱の結果起こる物質の変性とか破壊を目的とせず、分子の振動による物質の一部の変化を目的としている。従って、これまでのマイクロ波の利用法とは全く異なり、食材の本質的な性質を残し、一部の性質をコントロールすることが可能となったのである。このため、本発明の対象食材の加工品に於いても本発明を応用することにより、それぞれの食感、風味の改良が可能であり、粉体、固体、液体を問わずさまざまな食品の加工品においてその可能性を有しているのである。例えば、小麦粉を処理することにより、小麦粉中のアミラーゼ活性を減少させることで麺、菓子、ルーに適した改質を、プロテアーゼ活性を減少させることでパンの食感の改質をすることが可能である。さらには、直接小麦粉の物性を変化させて油の包摂能力を高めることも可能である。また、本発明対象食材を用いて発酵、醸造した加工食品に微量のマイクロ波を照射することにより、それぞれ風味、食感、呈味の度合い(深み)をコントロールすることができ、さらには品質の劣化を防ぎ、安定化を可能とする。海草から加工された寒天粉末の場合は、微量のマイクロ波を照射することにより、物性を変化させてゲル化力並びに食感の改質を行うことが出来るのである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
本発明の効果を以下の実験例により証明する。
(実験例1)
テスト1:精白した粳米(千葉県産ふさおとめ)1合(158g)当たり、200ワットの家庭用電子レンジで5秒(テスト1−1),10秒(テスト1−2)、15秒(テスト1−3)、20秒(テスト1−4)間マイクロ波を照射し、各々2合を水洗した後に定められた量の水を加え60分間浸漬、浸漬水と共に電気炊飯器で炊飯した。
対照1:テスト1と同様の粳米2合を水洗した後に定められた量の水を加え60分間浸漬、浸漬水と共に電気炊飯器で炊飯した。
炊飯米の物性測定(タケトモ電機製テンシプレッサー使用)、並びに13名のパネルによる試食の結果を最高点5点満点として表2に示した。テスト品1−1及び1−2は対照品に比べて硬さが増して粘りが減少し、味のスコアも上昇した。テスト品1−3は硬さが減少して粘りは対照に近かったが味のスコアは対照よりも高かった。テスト品1−4は硬さが減少して粘りが極端に増え、味のスコアは最も低かった。テスト品1−1と1−2が好ましい範囲であり、テスト品1−4はマイクロ波による細胞破壊が進行したために硬さ、粘り共に極端な変化をおこしたものと思われる結果であった(図1)。
24時間後の物性を対照品1とテスト品1−2で比較した結果を表3に示した。これによると対照品1、テスト品1−2共に硬さとこしが増したが、テスト品1−2は粘り以外の数値が理想値である50に近づいた。この結果を物性評価チャート(図2及び3)で比較すると、テスト品1−2の24時間後の物性は正四角形に近似しており、物性評価の上では理想的となっている。また、味のスコア的にもテスト品1−2が高い評価を得た。
Figure 2007215408
Figure 2007215408
Figure 2007215408
(実験例2)
テスト2−1:2℃に貯蔵された鯵3尾(全長29〜31cm、内臓温度2℃)をプラスチックフィルムに包み、1尾当たりマイクロ波(200W家庭用電子レンジ)を10秒間照射した(内臓温度4℃)後、それぞれを3枚におろし、刺身とした。
テスト2−2:テスト2−1と同じサイズの3尾をテスト2−1と同じ条件でマイクロ波処理し、そのまま2℃の冷蔵庫内に保存した。48時間後に頭を落とし、内臓を取り出して煮立った調味液の中に入れ、落し蓋をしてそのまま25分間加熱調理をした。
対照2−1:テスト2−1と同じサイズの鯵3尾をそのまま3枚におろし、刺身とした。
対照2−2:テスト2−1と同じサイズの鯵3尾をプラスチックフィルムに包んで、そのままテスト1と同じ冷蔵庫内に保存し、48時間後にテスト1と同様の方法で煮付けを行った。
表4、5にその結果を記述したが、それぞれ3尾の平均的な評価を記した。テスト2−1も対照2−1も同様の結果であり、マイクロ波処理による刺身での食感、呈味は全て未処理のものと変わらなかった。即ち、本実験でのマイクロ波処理では鯵の肉質に変化を与えるような熱がかかっていないことが証明された。冷蔵48時間後の状態では冷蔵期間中の血液の混じったドリップが対照2−2は多く認められた。煮付けた状態ではテスト2−2は身が締まり、プリプリ感があって美味しかった。これに対し、対照2−2は煮付けた状態では身が柔らかくて締まりが無く、味が抜けた感じで美味しくないものであった。
Figure 2007215408
Figure 2007215408
(実験例3)
市販の寒天粉末2種(A、B)を用いて(寒天粉末の温度15℃)、それぞれ50gを1回の処理量としてマイクロ波(200W家庭用電子レンジ)を10秒(寒天粉末の温度22.5℃)と20秒間照射(寒天粉末の温度28℃)した。未処理寒天も含めそれぞれ5gを500ccの水に溶解後、撹拌しながら80℃まで加熱した。これをプラスチック容器に移し40℃程度まで冷却後、冷蔵庫で一晩冷却してテンシプレッサー(タケトモ電機製)で物性測定を行ったが、物性測定時の寒天温度は15℃であった。
その結果を表6に示したが、サンプルAでは未処理に対して、10秒、20秒とマイクロ波処理を行うことにより粘りと付着は大きく変化しないが、硬さ、破断強度、もろさ、噛み応えが大きく増加した。また、サンプルBでは未処理に対して、10秒、20秒とマイクロ波処理を行うことにより全ての項目で減少したが、硬さに対する粘りの比率は未処理が44に対して10秒処理では68にまで上昇した。サンプルA,B共にそれぞれ当初の性質に対してマイクロ波処理を行うことにより物性を変化させることが可能であることが実証された。
Figure 2007215408
(実験例4)
市販の薄力小麦粉(温度20℃)50gを1回の処理量としてマイクロ波(200W家庭用電子レンジ)を10秒間照射した(温度28℃)。未処理小麦粉も含めそれぞれ50gに50ccの水を加え十分に撹拌した後に、サラダ油の添加量を変えて乳化状態を観察し、その結果を表7に示した。未処理の小麦粉は20gのサラダ油を乳化したが、25gのサラダ油は乳化することができなかった。それに対し、マイクロ波を10秒間照射した小麦粉は、40gのサラダ油を完全に乳化することができた。このように小麦粉にマイクロ波を照射することにより、油の包摂効果が向上した。
Figure 2007215408
以下に実施例を示す。
(実施例1)
精白米(千葉県産ひとめぼれ)に連続的に流れるコンベア上で15℃の室温下、2450MHzのマイクロ波(平均出力200W/h)を8秒間照射した。照射前の精白米の温度は15℃で、照射後の温度は20℃であった。水洗後60分間水に浸漬し、電気炊飯器で炊き上げた。炊き上がった直後の炊飯米は、硬さ、こしがあり、適当な粘りと付着性を有しており、噛みしめると僅かに甘く、美味しいものであった。これを弁当として容器に詰めて12時間後に食したが、硬さが僅かに増し、こしが出ていたが粘り、付着性には大きな変化はなく、冷たい状態でも美味しいものであった。また、この弁当を電子レンジで温めたところ、食感はしっかりとし、柔らかく美味しいものであった。
(実施例2)
全粒大豆(北海道産)に連続的に流れるコンベア上で20℃の室温下、2450MHzのマイクロ波(平均出力200W/h)を10秒間照射した。照射前の大豆の温度は20℃で、照射後の大豆の温度は26.5℃であった。このマイクロ波処理大豆中のリポキシダーゼ活性は、未処理大豆の活性を100としてL−1,L−2は同等の100であったが、L−3は50に減少していた。この大豆を16℃の水に16時間浸漬した後、冷水を加えながら横型グラインダーで磨砕して磨砕物(1000L/h)を得、配管中に蒸気を吹き込み115℃まで加熱して1.5分間保持した。これを85℃まで冷却後、スクリュー型分離機で豆乳とおからに分けて豆乳を得た。この豆乳はたんぱく質濃度5.6%で、青豆臭が少なく、飲み易いものであった。この豆乳について、過酸化物価の測定及び青豆臭の成分であるn−ヘキサノールを測定したところ、過酸化物価は6meq/Kg、n−ヘキサノールは0.7ppmであった。これに対して未処理豆乳の過酸化物価は9meq/Kg、n−ヘキサノールは1.2ppmであり、マイクロ波処理により明らかに大豆の浸漬、磨砕工程での酸化が抑えられていた。
(実施例3)
牛肉角切り(約2cm角、10℃)400gにマイクロ波(200W家庭用電子レンジ)を3秒間照射した(牛肉の温度12℃)。この牛肉をサラダ油を熱した鍋で軽く炒め、
クミンを加えてさらに炒めた後に水1600ccとジャガイモ、ニンジン、トウガラシ、黒粒コショウ、シナモンを加えて煮込む。これにカレー粉、チリペッパー、コショウ、塩、ガランマサラ、シナモン、ローズマリ、バジル、クミンシード、パプリカ、ナツメッグ、ベイリーフを入れて軽く煮る。これをアルミパウチ袋に入れて密封した後に120℃、30分のレトルト処理を行った。得られたレトルトカレーは、牛肉がしっかりとした形、食感を持ち美味しいものであった。対照として上記牛肉角切りをそのまま用いて、同様にカレーを作って同様のレトルト処理を行ったが、牛肉が崩れており食感も柔らかいものであった。
(実施例4)
鯵(全長30cm程度、内臓部温度1℃)に連続的に流れるコンベア上で10℃の室温下、2450MHzのマイクロ波(平均出力200W/h)を5秒間照射したが、この時の鯵の内臓部温度は2℃であった。この鯵の内臓を取り除き、腹から開いた状態で3%食塩水に30分間漬けた後に、天日に半日干して鯵の開きの干物を作った。この干物は、肉質に適度な弾力を有しており、焼いて食したところ肉質が滑らかで、旨みの強いしっかりとした呈味をしていた。
実験例1の処理時間に対する食感変化の結果を示すグラフである。 実験例1の対照品1の物性評価の結果を示すグラフである。 実験例1のテスト品1−2の物性評価の結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 食品素材に所定条件でマイクロ波を照射する食品の加工処理方法であって、マイクロ波照射前の前記食品素材の温度が0℃〜40℃の範囲で、且つマイクロ波処理前後の前記食品素材の温度差が所定の温度範囲を越えない範囲で、マイクロ波照射を行うことを特徴とする食品の加工処理方法。
  2. 前記マイクロ波処理前後の前記食品素材の温度差が20℃を越えない範囲で、マイクロ波照射を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記食品素材に含有される各種酵素系の活性の低減化あるいは失活を目的とし、且つ発生する熱による変性、あるいは組織及び細胞の破壊を伴わない範囲で、マイクロ波照射を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記食品素材が穀類、畜肉、魚介、海草並びにそれらの加工品から選択される1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の食品加工処理方法によって加工処理されたことを特徴とする食品。
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