JP2007213937A - 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スルホン酸基の導入量を増加しても優れた耐熱水性と機械的特性を有するスルホン化ポリマーを含む固体高分子電解質膜を備えた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記固体高分子電解質膜は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有するポリアリーレン系共重合体を含む。
[Yは−CO−、または、−SO2−を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示す。Arは、一般式(2’)または(3’)で表される構造を示す。]
【選択図】なし
【解決手段】固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記固体高分子電解質膜は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有するポリアリーレン系共重合体を含む。
[Yは−CO−、または、−SO2−を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示す。Arは、一般式(2’)または(3’)で表される構造を示す。]
【選択図】なし
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体及びその製造方法に関する。
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これを固体系に置き替えていく傾向が高まってきている。その第1の理由としては、例えば、電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・省電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物からなるもの、有機物からなるものの両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が十分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、Dupont社製のNafion(登録商標)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾールやポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー(例えば、非特許文献1〜3参照)などの有機系ポリマーが挙げられる。
上記有機系ポリマーは、通常、フィルム状で用いられるが、溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できる。しかしながら、これら有機系ポリマーの多くは、プロトン伝導度がまだ十分でないことに加え、高温(100℃以上)において耐久性、プロトン伝導性および力学的性質、特に弾性率が大きく低下すること、湿度条件に対する依存性が大きいこと、電極との密着性が十分でないこと、含水ポリマー構造に起因する稼動中の過度の膨潤による強度の低下や形状の崩壊に至ることなどの問題がある。したがって、これらの有機系ポリマーは、電気・電子材料などに応用するには種々の問題がある。
さらに、特許文献1には、スルホン化された剛直ポリフェニレンからなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーはフェニレン連鎖からなる芳香族化合物を重合して得られるポリマーを主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入している。
米国特許第5,403,675号公報
Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492(1993)
Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.735〜736(1994)
Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730(1993)
しかしながら、この特許文献1に記載されたポリマーでは、スルホン酸基の導入量の増加によってプロトン伝導度も向上するものの、同時に、得られるスルホン化ポリマーの機械的性質、例えば破断伸び、耐折曲げ性等の靭性や耐熱水性が著しく損なわれるという問題点があった。
従って、本発明の目的は、スルホン酸基の導入量を増加しても優れた耐熱水性と機械的特性を有するスルホン化ポリマーを含む固体高分子電解質膜を備えた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、特定の構成単位を有するスルホン化ポリアリーレンを含む固体高分子電解質膜によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記固体高分子電解質膜は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有するポリアリーレン系共重合体を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
[式(1’)中、Yは−CO−、または、−SO2−を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示す。Arは、下記一般式(2’)または(3’)で表される構造を示す。]
[式(2’)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(3’)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、または、−SO2−を示し、pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。]
(2) 前記ポリアリーレン系共重合体は、さらに、一般式(4)で表される構成単位を有することを特徴とする(1)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
[式(4)中、A、Dはそれぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR’’2−(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、および、ハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、および、フルオレニリデン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示す。Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部または全てがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、および、ニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。sおよびtは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
(3) 前記一般式(1’)で表される構成単位は、下記一般式(1’a)で表される構成単位であることを特徴とする(1)または(2)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
[式(1’a)中、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示す。Arは、下記一般式(2’a)または(3’a)で表される構造を示す。]
[式(2’a)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(3’a)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。]
(4) 前記ポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1’b)〜(1’e)で表される構成単位を有することを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
[式(1’b)中、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(1’c)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、n+o≧1である。式(1’d)中、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜4の整数を示し、pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。式(1’e)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、p+q≧1である。]
(5) 前記ポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1’f)〜(1’i)で表される構成単位を有することを特徴とする(1)または(2)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
[式(1’f)中、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜1の整数を示し、nは0〜1の整数を示し、oは0〜2の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(1’g)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。nは0〜1の整数を示し、oは0〜2の整数を示す。ただし、n+o≧1である。式(1’h)中、Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。lは0〜1の整数を示し、pは0〜1の整数を示し、qは0〜2の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。式(1’i)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、−SO2−、または、−SO−を示す。pは0〜1の整数を示し、qは0〜2の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、p+q≧1である。]
本発明によれば、固体高分子電解質膜として、複数のスルホン酸基を有する芳香族ユニットと、スルホン酸基を有さないユニットとを有するポリアリーレン系共重合体を用いるため、スルホン酸濃度が高くてプロトン伝導度も高いうえ、熱水耐性や機械的特性に優れた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体を提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<芳香族スルホン酸エステル誘導体>
本実施形態において、固体高分子電解質膜として用いられるポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から得られる。
式(1)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2CH3、および、−OSO2CF3からなる群より選ばれる原子または基を示し、ハロゲン原子が好ましい。Yは−CO−または−SO2−を示し、−CO−が好ましい。Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、または、−SO2−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示し、好ましくは0または1である。Arは、下記一般式(2)または(3)で表される構造を示す。
式(2)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(3)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、または、−SO2−を示し、pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。Rは独立に炭素数4〜20の炭化水素基を示す。
本実施形態において、固体高分子電解質膜として用いられるポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体から得られる。
式(3)におけるRの具体例としては、t−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、アダマンチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基などが挙げられる。
後述する共重合体とする場合、これらの中でも、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、ネオペンチル基がより好ましい。
このような芳香族スルホン酸エステル誘導体の合成方法としては、上記式(1)で表される化合物が合成できれば特に制限されるものではない。たとえば、特定のクロロベンゾフェノンとヒドロキシベンゾフェノンとを反応させたのち、硫酸エステル基を導入しても良い。また、式(1)または(2)で表される官能基を誘導する化合物と、クロロスルホン化物を反応させて合成することも可能である。また、式(1)または(2)で表される官能基を誘導する化合物を合成し、硫酸エステル基を導入した後に、酸化反応を行うことにより合成することも可能である。
得られた芳香族スルホン酸エステル誘導体は、必要に応じて精製され、また、末端Naをエステル交換される。
芳香族スルホン酸エステル誘導体の同定方法としては、特に制限されるものではなく、公知のNMRなどの方法が採用される。
<スルホン化ポリアリーレン>
本実施形態に係るポリアリーレン系重合体は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有する。
式(1’)中、Yは−CO−または−SO2−を示し、−CO−が好ましい。Zは酸素原子、硫黄原子、−CO−、または、−SO2−を示す。lは0〜4の整数を示し、mは0以上の整数を示し、好ましくは0または1である。Arは、下記一般式(2’)または(3’)で表される構造を示す。
式(2’)中、Uは−CO−、−SO2−、または、−SO−を示し、nは0〜4の整数を示し、oは0〜4の整数を示す。ただし、l+n+o≧1である。式(3’)中、Vは酸素原子、硫黄原子、−CR’2−、−CO−、または、−SO2−を示し、pは0〜3の整数を示し、qは0〜4の整数を示す。ただし、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、l+p+q≧1である。
本実施形態に係るポリアリーレン系重合体は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有する。
<スルホン化ポリアリーレン系共重合体>
本実施形態に係るポリアリーレン系重合体は、上記式(1’)で表される構成単位の単独重合体であってもよく、通常、一般式(4)で表される構成単位を含むことが望ましい。このような構成単位を含んでいると、重合体の強度や耐水性を向上させることができる。
式(4)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数である)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、および、フルオレニリデン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示す。これらの中では、直接結合、−O−、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、および、フルオレニリデン基が好ましい。R’としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、エチルヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、これらの置換基中の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン化された置換基などが挙げられる。Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全てがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、および、ニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。上記アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基としては、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。上記アリル基としては、たとえば、プロペニル基などが挙げられる。上記アリール基としては、たとえば、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。sおよびtは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
本実施形態に係るポリアリーレン系重合体は、上記式(1’)で表される構成単位の単独重合体であってもよく、通常、一般式(4)で表される構成単位を含むことが望ましい。このような構成単位を含んでいると、重合体の強度や耐水性を向上させることができる。
上記構成単位(4)の好ましい構造としては、上記式(4)において、
(i)s=1およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(ii)s=1およびt=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(iii)s=0およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリル基である構造、が挙げられる。
(i)s=1およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(ii)s=1およびt=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(iii)s=0およびt=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリル基である構造、が挙げられる。
上記構成単位(4)となりうるモノマーもしくはオリゴマー(以下「化合物(4’)」ともいう)は、たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法を参照することにより合成することができる。
<スルホン化ポリアリーレンの製造方法>
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法で合成することができる。具体的には、まず、上記式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体、および上記化合物(4)の前駆体である下記一般式(4’)で表される化合物を触媒の存在下で共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、該スルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
式(4’)中、Xは、フッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2CH3、および、−OSO2CF3からなる群より選ばれる原子または基を示し、塩素または臭素が好ましい。A、B、D、R1〜R16、s、t、rは、上記式(4)中のA、B、D、R1〜R16、s、t、rと同義である。
本発明のスルホン化ポリアリーレンは、たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法で合成することができる。具体的には、まず、上記式(1)で表される芳香族スルホン酸エステル誘導体、および上記化合物(4)の前駆体である下記一般式(4’)で表される化合物を触媒の存在下で共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、該スルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
上記重合の際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、このような触媒系としては、(i)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または、配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)と、(ii)還元剤とを必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件などは、特開2001−342241号公報に記載されている化合物および条件等を参考にして使用または設定することができる。
上記のような方法により製造されるスルホン化ポリアリーレンのイオン交換容量は、通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜4meq/g、さらに好ましくは0.8〜3.5meq/gである。イオン交換容量が上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低く、発電性能が低くなる傾向にあり、上記範囲を超えると、耐水性が大幅に低下する傾向にある。
ただし、今回開発したスルホン化モノマーを用いると、従来のモノスルホン化モノマーを用いた場合と比較して、イオン交換量を大幅に大きくできる。このため、本発明により合成されるポリマーは、従来のポリマーと比較して高いプロトン伝導度を有する傾向にある。
上記イオン交換容量は、たとえば、上記化合物(1’)および化合物(4’)の種類、使用割合、組み合わせなどを変えることにより、調整することができる。なお、本実施形態のスルホン化ポリアリーレンは、構成単位(1)を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、構成単位(4)を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有することが望ましい。
このようにして得られるスルホン化ポリアリーレンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で、1万〜100万、好ましくは2万〜50万、より好ましくは3万〜30万である。
このようなポリアリーレン系重合体は、プロトン伝導性が高く、燃料電池のプロトン伝導膜、電極電解質、結着剤として好適に使用できる。また、このようなポリアリーレン系重合体を含む電極電解質は、膜電極接合体としても好適である。
<高分子電解質膜>
本実施形態では、上記のポリアリーレン系重合体を、例えばN−メチルピロリドン等に溶解させた後、基板上にキャストすることにより、高分子電解質膜を作製することができる。
本実施形態では、上記のポリアリーレン系重合体を、例えばN−メチルピロリドン等に溶解させた後、基板上にキャストすることにより、高分子電解質膜を作製することができる。
<電極>
本発明において使用される触媒としては、細孔の発達したカーボン材料に白金又は白金合金を担持させた担持触媒が好ましい。細孔の発達したカーボン材料としては、カーボンブラックや活性炭などが好ましく使用できる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられ、また活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理して得られる。
本発明において使用される触媒としては、細孔の発達したカーボン材料に白金又は白金合金を担持させた担持触媒が好ましい。細孔の発達したカーボン材料としては、カーボンブラックや活性炭などが好ましく使用できる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられ、また活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理して得られる。
また、カーボン担体に白金又は白金合金を担持させた触媒を用いるが、白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、コバルト、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛、及びスズからなる群から選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
白金又は白金合金の担持率(担持触媒全質量に対する白金又は白金合金の質量の割合)は、20〜80質量%、特に30〜55質量%が好ましい。この範囲であれば、高い出力を得られる。担持率が20質量%未満では、充分な出力を得られないおそれがあり、80質量%を超えると、白金又は白金合金の粒子を分散性よく担体となるカーボン材料に担持できないおそれがある。
また、白金又は白金合金の一次粒子径は、高活性なガス拡散電極を得るためには1〜20nmであることが好ましく、特に、反応活性の点で白金又は白金合金の表面積を大きく確保できる2〜5nmであることが好ましい。
本発明における触媒層には、上述の担持触媒に加え、スルホン酸基を有するイオン伝導性高分子電解質(イオン伝導性バインダー)が含まれる。通常、担持触媒は当該電解質により被覆されており、この電解質の繋がっている経路を通ってプロトン(H+)が移動する。
スルホン酸基を有するイオン伝導性高分子電解質としては、特に、Nafion(登録商標)やFlemion(登録商標)、Aciplex(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボン重合体が好適に用いられる。なおパーフルオロカーボン重合体だけでなく、本明細書で記載されている、スルホン化ポリアリーレンなどの芳香族系炭化水素化合物を主とするイオン伝導性高分子電解質を用いてもよい。
また、前記イオン伝導性バインダーは、触媒粒子に対し、質量比で0.1〜3.0の割合で含有することが好ましく、特に0.3〜2.0の割合で含有することが好ましい。イオン伝導性バインダー比が0.1未満であると、プロトンを電解膜に伝達することができず、充分な出力が得られないおそれがあり、また、3.0を超えると、イオン伝導性バインダーが触媒粒子を完全に被覆してしまい、ガスが白金に到達できず、充分な出力が得られないおそれがある。
本発明における膜−電極構造体は、アノードの触媒層、プロトン伝導膜及びカソードの触媒層のみからなってもよいが、アノード、カソードともに触媒層の外側にカーボンペーパーやカーボンクロスのような導電性多孔質基材からなるガス拡散層が配置されるとさらに好ましい。ガス拡散層は集電体としても機能するので、本明細書ではガス拡散層を有する場合はガス拡散層と触媒層とを合わせて電極というものとする。
本発明の膜−電極構造体を備える固体高分子型燃料電池では、カソードには酸素を含むガス、アノードには水素を含むガスが供給される。具体的には、例えばガスの流路となる溝が形成されたセパレータを膜−電極構造体の両方の電極の外側に配置し、ガスの流路にガスを流すことにより膜−電極構造体に燃料となるガスを供給する。上述したように、本発明の膜−電極構造体は、特に低加湿運転のときに効果が高い。
本発明の膜−電極構造体を製造する方法としては、イオン交換膜の上に触媒層を直接形成し必要に応じガス拡散層で挟み込む方法、カーボンペーパー等のガス拡散層となる基材上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜と接合する方法、及び平板上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜に転写した後平板を剥離し、さらに必要に応じガス拡散層で挟み込む方法等の各種の方法が採用できる。
触媒層の形成方法としては、担持触媒とスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体とを分散媒に分散させた分散液を用いて(必要に応じて撥水剤、造孔剤、増粘剤、希釈溶媒等を加え)、イオン交換膜、ガス拡散層、又は平板上に噴霧、塗布、ろ過等により形成させる公知の方法が採用できる。触媒層をイオン交換膜上に直接形成しない場合は、触媒層とイオン交換膜とは、ホットプレス法、接着法(特開平7−220741参照)等により接合することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
(分子量)
重合体の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加したN−メチル−2−ピロリドンを用いた。
重合体の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として臭化リチウムを添加したN−メチル−2−ピロリドンを用いた。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去して十分に洗浄し、乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
(プロトン伝導度)
交流抵抗は、膜試料を5mm幅の短冊状とし、この膜試料の表面に白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中にこの膜試料を保持して、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、Solartron社製SI1260インピーダンスアナライザを用い、恒温恒湿装置には、エスペック社製小型環境試験機SH−241を使用した。白金線は5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させて、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から下記の数式(1)により膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から下記の数式(2)により交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導度を求めた。
交流抵抗は、膜試料を5mm幅の短冊状とし、この膜試料の表面に白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中にこの膜試料を保持して、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、Solartron社製SI1260インピーダンスアナライザを用い、恒温恒湿装置には、エスペック社製小型環境試験機SH−241を使用した。白金線は5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させて、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から下記の数式(1)により膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から下記の数式(2)により交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導度を求めた。
(破断強度の測定)
破断強度の測定は、JIS K7113に準じて行った(引張り速度:50mm/min)。但し、伸びは表線間距離をチャック間距離とし算出した。JIS K7113に従い、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で48時間の状態調整を行った。ただし、試料の打ち抜きは、JIS K6251に記載の7号ダンベルを用いた。引っ張り試験装置は、島津製作所製オートグラフAGS−Jを用いた。
破断強度の測定は、JIS K7113に準じて行った(引張り速度:50mm/min)。但し、伸びは表線間距離をチャック間距離とし算出した。JIS K7113に従い、温度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で48時間の状態調整を行った。ただし、試料の打ち抜きは、JIS K6251に記載の7号ダンベルを用いた。引っ張り試験装置は、島津製作所製オートグラフAGS−Jを用いた。
(熱水耐性)
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし、秤量して試験用のテストピースとした。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC−242HS)を用いて、120℃で24時間加温した。熱水試験終了後、フィルムを熱水中から取り出し、フィルムを真空乾燥機で5時間乾燥して重量を秤量し、試験前の乾燥フィルムの重量に対する試験後の重量の割合(重量保持率)を求めた。
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし、秤量して試験用のテストピースとした。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC−242HS)を用いて、120℃で24時間加温した。熱水試験終了後、フィルムを熱水中から取り出し、フィルムを真空乾燥機で5時間乾燥して重量を秤量し、試験前の乾燥フィルムの重量に対する試験後の重量の割合(重量保持率)を求めた。
(発電特性の評価)
本発明の膜−電極構造体を用いて、温度70℃、燃料極側/酸素極側の相対湿度を70%/70%、電流密度を1A/cm2とした発電条件により、発電性能を評価した。燃料極側には純水素を、酸素極側には空気をそれぞれ供給した。さらに、セル温度を105℃とし、電流密度0.5A/cm2で燃料極側/酸素極側の相対湿度をともに70%とした発電条件で耐久テストを実施し、クロスリークに至るまでの時間を計測した。発電耐久時間が500hr以上であった場合を良として「○」で表示し、500hr未満だった場合には不良として「×」で表示した。
本発明の膜−電極構造体を用いて、温度70℃、燃料極側/酸素極側の相対湿度を70%/70%、電流密度を1A/cm2とした発電条件により、発電性能を評価した。燃料極側には純水素を、酸素極側には空気をそれぞれ供給した。さらに、セル温度を105℃とし、電流密度0.5A/cm2で燃料極側/酸素極側の相対湿度をともに70%とした発電条件で耐久テストを実施し、クロスリークに至るまでの時間を計測した。発電耐久時間が500hr以上であった場合を良として「○」で表示し、500hr未満だった場合には不良として「×」で表示した。
<合成例1>
2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン53.8g(0.2mol)、4―ヒドロキシベンゾフェノン39.6g(0.2mol)、炭酸カリウム35.9g(0.26mol)をフラスコにとり、ジメチルアセトアミドを200ml加えた。100℃で10時間反応溶液を攪拌した後、反応溶液に水を加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−4’−ベンゾイルジフェニルエーテルを54.5g得た。
2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン53.8g(0.2mol)、4―ヒドロキシベンゾフェノン39.6g(0.2mol)、炭酸カリウム35.9g(0.26mol)をフラスコにとり、ジメチルアセトアミドを200ml加えた。100℃で10時間反応溶液を攪拌した後、反応溶液に水を加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−4’−ベンゾイルジフェニルエーテルを54.5g得た。
4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−4’−ベンゾイルジフェニルエーテル38.0g(0.085mol)を冷却管、三方コック、温度計を取り付けた3口フラスコにとり、窒素置換を行なった。ここに、クロロスルホン酸149g(1.28mol)を加えて攪拌し溶解させた。オイルバスで反応液を100℃まで加熱し、10時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷したのち、反応液を氷水に注いだ。有機物を酢酸エチルにより抽出した。得られた有機層を洗浄液が中性になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去することにより、クロロスルホン化物を57.3g得た。
得られた、クロロスルホン化物49g(0.066mol)を、三方コックを取り付けた三口フラスコにとり、ピリジン200mlを加えた後、0℃に冷却した。ここに、2,2−ジメチル−1−プロパノール17.4g(0.198mol)を徐々に加えた、4時間氷冷下で攪拌した。反応終了後、反応溶液を塩酸水溶液に加えた。有機物を、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。メタノール/ヘキサンから再結晶を行い、目的の化合物を40.5g得た。得られた化合物は下記の式(I)で表される化合物であった。
<合成例2>
ジフェニルチオエーテル18.63g(0.100mol)をフラスコにとり、塩化アルミニウム8.00g(0.060mol)を加えた。混合物を5℃に冷やした後、2,5−ジクロロベンゾイルクロライド10.5g(0.050mol)を30分かけて滴下した。3時間反応溶液を室温で攪拌した後、反応溶液を氷水中に加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出後、有機層が中性になるまで、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ジフェニルチオエーテルを12.4g得た。
ジフェニルチオエーテル18.63g(0.100mol)をフラスコにとり、塩化アルミニウム8.00g(0.060mol)を加えた。混合物を5℃に冷やした後、2,5−ジクロロベンゾイルクロライド10.5g(0.050mol)を30分かけて滴下した。3時間反応溶液を室温で攪拌した後、反応溶液を氷水中に加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出後、有機層が中性になるまで、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ジフェニルチオエーテルを12.4g得た。
4−(2,5−ジクロロベンゾイル)−ジフェニルチオエーテル10.06g(0.028mol)を冷却管、三方コック、温度計を取り付けた3口フラスコにとり、窒素置換を行なった。ここに、硫酸8.3gを加えて攪拌し溶解させた。硫酸溶液に、30%発煙硫酸21.0gを加え80℃に加熱し、6時間加熱した。反応終了後、室温まで放冷したのち、反応液を氷水に注ぎ、水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和し、不溶物をろ過した。ろ液を濃縮した後、ジメチルスルホキシドを加えた。不溶物をろ過し、ろ液を濃縮することにより、トリスルホン化物を15.0g得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管、冷却管および滴下ロートを取り付けた三口フラスコに、トリスルホン化物39.9g(0.06mol)および酢酸420mlを量りとった。そこに、過ホウ酸ナトリウム4水和物46.2g(0.271mol)加えた。60℃で7時間攪拌した後、0℃まで冷やした。ろ過を行なってから、溶媒を留去した。水を100ml加えた後、水酸化ナトリウム水溶液をPHが6−7になるまで加えた。その後濃縮し、濃縮液をジイソプロピルエーテル溶液に加え、凝固させて化合物(II)を38.8g得た。
窒素導入間管および攪拌機を取り付けた三口フラスコに、化合物(II)31.9g(0.0457mol)、スルホラン10gを加え、塩化ホスホリルを69.9g(0.46mol)室温で加えた。50℃で2時間攪拌後、反応液を氷水に加えたのち、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、硫酸マグネシウムで乾燥した。ヘキサン、酢酸エチル混合溶媒から再結晶を行い、トリクロロスルホン化物30.6gを得た。
窒素導入管および攪拌機を取り付けた三口フラスコに、トリクロロスルホン化物31.6g(0.043mol)、ネオペンチルアルコール11.4g(0.143mol)およびピリジン70gをとり、0℃で12時間攪拌した。反応液をトルエンで希釈し、塩酸水溶液で2回洗浄した。さらに有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノールから再結晶を行い、下記の式(III)で表されるネオペンチルエステル28.2gを得た。
<合成例3>
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた三口フラスコに、9,9−ジメチルフルオレン9.7g(0.050mol)、塩化アルミニウム8.00g(0.060mol)をフラスコにとり、塩化メチレン50mlを加えた。反応溶液を5℃に冷やした後、2,5−ジクロロベンゾイルクロライド10.5g(0.050mol)を30分かけて滴下した。5時間反応溶液を室温で攪拌した後、反応溶液を氷水中に加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出後、有機層が中性になるまで、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、2−(2,5−ジクロロベンゾイル)−9,9−ジメチルフルオレンを16.4g得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた三口フラスコに、9,9−ジメチルフルオレン9.7g(0.050mol)、塩化アルミニウム8.00g(0.060mol)をフラスコにとり、塩化メチレン50mlを加えた。反応溶液を5℃に冷やした後、2,5−ジクロロベンゾイルクロライド10.5g(0.050mol)を30分かけて滴下した。5時間反応溶液を室温で攪拌した後、反応溶液を氷水中に加えた。酢酸エチルを用いて有機物を抽出した。抽出後、有機層が中性になるまで、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。抽出溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離精製を行い、2−(2,5−ジクロロベンゾイル)−9,9−ジメチルフルオレンを16.4g得た。
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた三口フラスコに、2−(2,5−ジクロロベンゾイル)−9,9−ジメチルフルオレンを18.4g(0.05mol)とり、ここに、クロロスルホン酸58.3g(0.5mol)を加えて攪拌し溶解させた。オイルバスで反応液を100℃まで加熱し、10時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷したのち、反応液を氷水に注いだ。有機物を酢酸エチルにより抽出した。得られた有機層を洗浄液が中性になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに食塩水を用いて洗浄した。硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターを用いて溶媒を留去することにより、クロロスルホン化物を23.4g得た。
窒素導入管および攪拌機を取り付けた500mlの三口フラスコに、クロロスルホン化物18.0g(0.032mol)、ネオペンチルアルコール5.6g(0.064mol)およびピリジン40gをとり、0℃で12時間攪拌した。反応液をトルエンで希釈し、塩酸水溶液で2回洗浄した。さらに有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ヘキサン、酢酸エチル混合溶媒から再結晶を行い、下記の式(IV)で表されるネオペンチルエステルを19.3g得た。
<実施例1>
(プロトン伝導膜の作製)
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル62.9g(70mmol)、構造式(V)で示すMn10,500の疎水性ユニット44.1g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.94g(3mmol)、ヨウ化ナトリウム0.33g(2.22mmol)、トリフェニルホスフィン7.80g(30mmol)、亜鉛11.7g(178mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
(プロトン伝導膜の作製)
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例1で得られたスルホン酸ネオペンチル62.9g(70mmol)、構造式(V)で示すMn10,500の疎水性ユニット44.1g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.94g(3mmol)、ヨウ化ナトリウム0.33g(2.22mmol)、トリフェニルホスフィン7.80g(30mmol)、亜鉛11.7g(178mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)320mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc750mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れ、115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー18gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は170,000であった。得られた重合体は、下記の式(VI)で表されるスルホン化ポリマーと推定された。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
(膜−電極構造体の作製)
1)触媒ペースト
平均径50nmのカーボンブラック(ファーネスブラック)に白金粒子を、カーボンブラック:白金=1:1の重量比で担持させ、触媒粒子を作製した。次に、イオン伝導性バインダーとしてのパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(Dupont社製Nafion(登録商標))溶液に、前記触媒粒子を、イオン伝導性バインダー:触媒粒子=8:5の重量比で均一に分散させ、触媒ペーストを調製した。
1)触媒ペースト
平均径50nmのカーボンブラック(ファーネスブラック)に白金粒子を、カーボンブラック:白金=1:1の重量比で担持させ、触媒粒子を作製した。次に、イオン伝導性バインダーとしてのパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(Dupont社製Nafion(登録商標))溶液に、前記触媒粒子を、イオン伝導性バインダー:触媒粒子=8:5の重量比で均一に分散させ、触媒ペーストを調製した。
2)ガス拡散層
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなるガス拡散層を2つ作製した。
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなるガス拡散層を2つ作製した。
3)電極塗布膜(CCM)の作製
本実施例で得られたプロトン伝導膜の両面に、前記触媒ペーストを、白金含有量が0.5mg/cm2となるようにバーコーター塗布し、乾燥させることにより電極塗布膜(CCM)を得た。前記乾燥は、100℃で15分間の乾燥を行なった後、140℃で10分間の二次乾燥を行なった。
本実施例で得られたプロトン伝導膜の両面に、前記触媒ペーストを、白金含有量が0.5mg/cm2となるようにバーコーター塗布し、乾燥させることにより電極塗布膜(CCM)を得た。前記乾燥は、100℃で15分間の乾燥を行なった後、140℃で10分間の二次乾燥を行なった。
4)膜−電極構造体の作製
前記CCMを前記ガス拡散層の下地層側で狭持し、ホットプレスを行なって膜−電極構造体を得た。前記ホットプレスは、80℃、5MPaで2分間の一次ホットプレスの後、160℃、4MPaで1分間の二次ホットプレスを行なった。
前記CCMを前記ガス拡散層の下地層側で狭持し、ホットプレスを行なって膜−電極構造体を得た。前記ホットプレスは、80℃、5MPaで2分間の一次ホットプレスの後、160℃、4MPaで1分間の二次ホットプレスを行なった。
なお、本実施例で得られた膜−電極構造体は、ガス拡散層の上にさらにガス通路を兼ねるセパレーターを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成することができる。
<実施例2>
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例2で得られたスルホン酸ネオペンチル55.0g(65.3mmol)、下記構造式(VII)で示すMn9,500の疎水性ユニット44.6g(4.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.83g(2.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.32g(2.1mmol)、トリフェニルホスフィン7.34g(28mmol)、亜鉛11.0g(168mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例2で得られたスルホン酸ネオペンチル55.0g(65.3mmol)、下記構造式(VII)で示すMn9,500の疎水性ユニット44.6g(4.7mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.83g(2.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.32g(2.1mmol)、トリフェニルホスフィン7.34g(28mmol)、亜鉛11.0g(168mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。
ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc690mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム17g(196mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体70gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は135,000であった。得られた重合体は式(VIII)で表されるスルホン化ポリマーと推定された。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
(プロトン伝導膜の作製)
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
(膜−電極構造体の作製)
本実施例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
本実施例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
<実施例3>
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例3で得られた式(III)で表される化合物43.4g(65.0mmol)、下記構造式(IX)に示すMn10,500の疎水性ユニット52.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.83g(2.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.32g(mmol)、トリフェニルホスフィン7.4g(28mmol)、亜鉛11.0g(168mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)288mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc670mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、上記合成例3で得られた式(III)で表される化合物43.4g(65.0mmol)、下記構造式(IX)に示すMn10,500の疎水性ユニット52.6g(5.0mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド1.83g(2.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.32g(mmol)、トリフェニルホスフィン7.4g(28mmol)、亜鉛11.0g(168mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)288mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc670mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れ、115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム16.9g(195mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー124gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は170,000であった。得られた重合体は、式(X)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
(プロトン伝導膜の作製)
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
(膜−電極構造体の作製)
本実施例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
本実施例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
<比較例1>
2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン50g(145mmol)を、冷却管、三方コックおよび温度計を取り付けた1L三口フラスコにとり、乾燥窒素置換した。ここにクロロスルホン酸263gを加えて、内温を20℃以下に維持して3時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた有機層を、洗浄液が中性になるまで食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を除去してクロロスルホン化物60gを得た。得られた化合物は実施例1とは異なり、モノクロロスルホン化された化合物であった。
2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン50g(145mmol)を、冷却管、三方コックおよび温度計を取り付けた1L三口フラスコにとり、乾燥窒素置換した。ここにクロロスルホン酸263gを加えて、内温を20℃以下に維持して3時間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルによる抽出を行った。得られた有機層を、洗浄液が中性になるまで食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を除去してクロロスルホン化物60gを得た。得られた化合物は実施例1とは異なり、モノクロロスルホン化された化合物であった。
得られたクロロスルホン化物を、冷却管、三方コックおよび温度計を取り付けた0.5L三口フラスコにとり、ピリジン75gを加えた後、約5℃に冷却した。ここに2,2−ジメチル−1−プロパノール13.2g(149mmol)を徐々に加えた後、4時間氷冷下で攪拌した。反応終了後、トルエンで希釈し、塩酸水溶液で2回洗浄した。さらに、有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、飽和食塩水で処理した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。メタノール/ヘキサンから再結晶を行い、目的の化合物60gを得た。得られた化合物は下記の式(XI)で表される化合物であった。
次に、攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた1L三口フラスコに、得られた式(XI)で表される化合物78.1g(121mmol)、数平均分子量11,200の[4,4’−ジクロロベンゾフェノン・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン]重縮合物47.8g(4.3mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.5g(3.8mmol)、ヨウ化ナトリウム0.56g(3.8mmol)、トリフェニルホスフィン13.2g(50.2mmol)および亜鉛19.7g(301mmol)を量りとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)295mLを加え、反応温度を80℃に保ちながら3時間攪拌した後、DMAc300mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
得られたろ液を、攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた3L三口フラスコに入れ、115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム31.6g(364mmol)を加えた。7時間攪拌後、反応液をアセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。得られた生成物を、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー90gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は145,000、イオン交換容量は2.2meq/gであった。得られた重合体は下記の式(XII)で表されるスルホン化ポリマーであると推定された。
(プロトン伝導膜の作製)
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
得られたスルホン化ポリマーをN−メチルピロリドンに溶解し、PET板上にキャストして、膜厚50μmのフィルムを作製した。
(膜−電極構造体の作製)
本比較例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
本比較例で得られたプロトン伝導膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜−電極構造体を作製した。
<評価>
実施例1〜3および比較例1で得られた膜を用いて、プロトン伝導性、引張り強度、引張り伸び、および耐熱水性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜3および比較例1で得られた膜を用いて、プロトン伝導性、引張り強度、引張り伸び、および耐熱水性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示す通り、本実施例のスルホン化ポリアリーレンは、イオン交換容量を高くすることが可能で、プロトン伝導度を向上できることが確認された。また、イオン交換容量を高くしても、引張り伸びが高く、靭性に優れるとともに、熱水耐性にも優れていた。さらに、本実施例によるプロトン伝導膜を使用することにより、優れた発電性能ならびに高温耐久性を有する膜−電極構造体が得られることが確認された。
Claims (5)
- 固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、
前記固体高分子電解質膜は、下記一般式(1’)で表される構成単位を有するポリアリーレン系共重合体を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
- 前記ポリアリーレン系共重合体は、さらに、一般式(4)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
- 前記一般式(1’)で表される構成単位は、下記一般式(1’a)で表される構成単位であることを特徴とする請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
- 前記ポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1’b)〜(1’e)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
- 前記ポリアリーレン系共重合体は、下記一般式(1’f)〜(1’i)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
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---|---|---|---|
JP2006031602A JP2007213937A (ja) | 2006-02-08 | 2006-02-08 | 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体及びその製造方法 |
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Cited By (3)
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CN104030949A (zh) * | 2013-03-08 | 2014-09-10 | 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 | 含有磺酸酯基的芳香族化合物及其制备方法 |
CN107074754A (zh) * | 2014-12-19 | 2017-08-18 | 株式会社Lg化学 | 新型化合物和使用该化合物的聚合物电解质膜 |
WO2020017113A1 (ja) * | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 国立大学法人山梨大学 | 高分子電解質、その製造方法、それを用いた高分子電解質膜、触媒層、膜/電極接合体、及び燃料電池 |
-
2006
- 2006-02-08 JP JP2006031602A patent/JP2007213937A/ja active Pending
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US10727516B2 (en) | 2014-12-19 | 2020-07-28 | Lg Chem, Ltd. | Compound and polymer electrolyte membrane using same |
WO2020017113A1 (ja) * | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 国立大学法人山梨大学 | 高分子電解質、その製造方法、それを用いた高分子電解質膜、触媒層、膜/電極接合体、及び燃料電池 |
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