JP2007213384A - マイクロ磁化解析プログラム、方法及び装置 - Google Patents

マイクロ磁化解析プログラム、方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記録媒体と記録ヘッドのような複数の磁性体の1つを任意方向に移動しながらマイクロ磁化状態の過渡的変化を解析可能とする。
【解決手段】入力部14は空間に固定される磁性体と移動の対象となる磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと解析条件を読込む。磁界分布計算部16は各磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ各磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成し、この連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求め、更にベクトルポテンシャルから各要素内の磁界分布を求める。マイクロ磁化運動計算部18はマイクロ磁化領域の各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置し、磁界計算部16で求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ミクロンやナノオーダー領域の磁性体のマイクロ磁化の状態や変化を解析するマイクロ磁化解析プログラム、方法及び装置に関し、特に、例えばハードディスクの磁気ヘッドの書込みや読出しを対象に相対移動する2つの磁性体の離散化に有限要素法と境界要素法を使用し、マイクロ磁化の運動を記述するLLG方程式の離散化に有限体積法を使用し、それぞれを連立してマイクロ磁化を解析するマイクロ磁化解析プログラム、方法及び装置に関する。
従来、例えばハードディスクの記録ヘッドと記録媒体を磁性体モデルとしたマイクロ磁化解析プログラム及び解析装置として、解析対象モデルを微小要素にメッシュ分割し、微小要素の中心にマイクロ磁化ベクトルのパラメータ(未知数)を割当て、磁場方程式としてLLG(ランダウ・リフシッツ・ギルバート)方程式を用いて領域全体の磁界分布を計算している。
磁界中のマイクロ磁化(小さな磁石)の運動を記述する方程式であり、まず図15(A)のように、解析対象モデル200おける記録媒体202に相当する磁性体領域、記録ヘッド204を構成する磁性体領域、コイル208に相当する磁性体領域、更に磁性体領域を取り囲む空気領域210の全領域を例えば数十〜数百nmオーダーの微小要素にメッシュ分割する。
続いて図15(B)のように、全ての磁性体領域及び空気領域210に対して、磁場の方程式の未知数であるベクトルポテンシャル214をメッシュ分割した微小要素212の辺に配置し、定常磁場または非定常磁場の方程式を有限要素法により解く。続いて図15(C)のように、記録磁界を発生するマイクロ磁化として扱う図15(A)のマイクロ磁化領域206に対して、LLG方程式の未知数Mとなるマイクロ磁化216を微小要素212の中心に配置し、磁場の方程式とLLG方程式とを交互に解くことで、マイクロ磁化領域206の記録動作のためのマイクロ磁化状態を計算する。
特開2005−100067号公報
しかしながら、このような従来のマイクロ磁化領域の磁気解析にあっては、磁場の方程式に有限要素法だけを使用しているため、空気領域210を含む全ての磁性体領域に対してメッシュ分割を行い、全ての微小要素に磁場の方程式の未知数を配置する必要がある。
そのため、記録媒体202の磁性体領域と記録ヘッド204を構成する磁性体領域との間の空気領域210についてもメッシュ分割による微小要素が存在してしまい、記録媒体202の磁性体領域を移動しながら記録過程の磁化状態を数値解析することができない問題がある。
仮に、移動する記録媒体202の磁性体領域をモデル化して解析すると、図16(A)〜(C)のように、複数のモデル200−1〜200−3を作成して使用する必要が生じ、解析処理の工数が増加し処理に時間がかかる。また、従来のように磁性体領域の間の空気領域をメッシュ分割して微小要素を作成する場合には、微小要素の連続性を保つ必要性があるため、記録ヘッドなどの複雑な形状の磁性体領域の近傍に記録媒体のような単純な形状をもつ磁性体領域をモデルとして作成することが困難である。
更に、記録媒体202の磁性体領域の移動に伴って記録ヘッド204側の磁性体領域との間の空気領域210のメッシュ形状が初期設定した矩形から台形に変化して歪み、このメッシュの歪によって計算精度も低下する問題もある。
本発明は、記録媒体と記録ヘッドのような複数の磁性体の内の1つを任意方向に移動しながらマイクロ磁化状態の過渡的変化を解析可能とするマイクロ磁化解析プログラム、方法及び装置を提供することを目的とする。
(プログラム)
本発明は,コンピュータにより実行されるマイクロ磁化解析プログラムを提供する。本発明のマイクロ磁化解析プログラムは、コンピュータに、
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、磁界計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算ステップと、
マイクロ磁化運動計算ステップで求めたマイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、マイクロ磁化を用いて第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、磁場分布計算ステップ及びマイクロ磁化運動計算ステップを繰り返す連立方程式修正ステップと、
を実行させることを特徴とする。
ここで、連立方程式作成ステップにおける有限要素法の磁場方程式は非定常方程式である。また連立方程式作成ステップにおける有限要素法の磁場方程式は定常方程式であってもよい。連立方程式作成ステップにおける未知数は各微小要素の辺、節および要素中心に配置しても良い。
本発明のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、更に、移動速度に基づき第2磁性体を任意方向に移動させながら連立方程式作成ステップ以降の処理を繰り返してマイクロ磁化過渡的変化を解析させる移動対象移動ステップを実行させることを特徴とする。
入力ステップは、モデル形状表示画面またモデル名リストから移動対象となる第2磁性体を選択して、初期位置及び移動速度を設定する。 入力ステップは、前記磁性体の表面を自動的に境界要素法として扱う領域として設定しても良い。入力ステップは、磁性体の形状表示画面または境界名のリストから境界要素法として扱う境界面を任意に選択して設定するようにしても良い。
解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は記録ヘッドであり、移動対象となる第2磁性体は記録媒体あり、記録ヘッドの記録磁極領域及び記録媒体領域をマイクロ磁化領域として記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析する。
解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は再生ヘッドであり、移動対象となる第2磁性体は記録媒体あり、再生ヘッドのリード素子領域をマイクロ磁化領域として記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析する。
(方法)
本発明はマイクロ磁化解析方法を提供する。本発明のマイクロ磁化解析方法は、
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、磁界計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算ステップと、
マイクロ磁化運動計算ステップで求めたマイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、マイクロ磁化を用いて第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、連立方程式作成ステップ以降の処理を収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正ステップと、
を備えたことを特徴とする。
(装置)
本発明はマイクロ磁化解析装置を提供する.本発明のマイクロ磁化解析装置は、
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力部と、
第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成部と、
第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法部と、
ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算部と、
第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、磁界計算部で求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算部と、
マイクロ磁化運動計算部で求めたマイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、マイクロ磁化を用いて第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻を部的に増加させた後に、連立方程式作成ステップ以降の処理を収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正部と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、磁場の方程式に有限要素法を使用し、マイクロ磁化の運動を記述するLLG方程式に有限体積法を使用する従来のマイクロ磁化解析手法に対して、磁場の方程式に有限要素法と境界要素法を使用したことで、モデル間の空気領域のメッシュ分割して微小要素毎に磁場方程式を解く処理が不要になり、磁性体等のモデルを任意方向に移動しながら磁化状態の過渡的変化を解析することができる。
従来の手法で磁性体等を移動するマイクロ磁化解析を行うとすると、移動対象となるモデルを少しずつシフトした複数のモデルを予め作成し、途中経過を保存しながら順番にファイルを読み込んで計算する必要があったが、本発明によれば、複数のモデルの中の特定のモデルを任意の方向に移動させながら連続的に過渡的な磁気変化を解析でき、移動位置に対応して複数のモデルを作成して解析する必要がないため、モデル作成および磁化解析のための計算時間を大幅に短縮できる。
更に、従来のモデル間を含めて領域全てを有限要素法で解く手法では、磁場の方程式の性質からメッシュ形状のタイプが4面体または6面体だけに限定されているが、モデル間のメッシュが不要な本発明の手法では、モデル領域ごとに4面体また6面体とそれぞれ選択してメッシュの作成ができるため、複雑な形状モデルを対象としたマイクロ磁化解析が容易になり、かつメッシュ品質が向上することで計算精度を高めることができる。
図1は本発明によるマイクロ磁化解析プログラムを実行する磁気解析装置の機能構成のブロック図である。
図1において、磁気解析装置10には、データファイル12−1、入力部14、磁界計算部16、マイクロ磁化運動計算部18、計算結果保存部20及びデータファイル12−2が設けられている。このうち入力部14、磁界分布計算部16、マイクロ磁化運動計算部18及び計算結果保存部20の機能が、本発明のマイクロ磁化解析プログラムのコンピュータによる実行で実現される機能となる。
データファイル12−1には、解析対象モデルのモデルデータ22と、マイクロ磁化解析に必要な解析条件データ24が格納されている。入力部14には解析用モデル読込み部25と解析条件読込み部26が設けられる。解析用モデル読込み部25は、データファイル12−1のモデルデータ22から解析対象となるモデルの形状データを読み込む。
本発明にあっては、解析対象モデルとして例えばハードディスクドライブにおける記録媒体と記録ヘッドのように、解析対象となる空間に固定される記録ヘッドに相当する第1磁性体と、移動対象となる記録媒体に対する第2磁性体を含む形状モデルを、解析対象モデルとして読み込んでいる。また解析用モデルのモデル形状については、微小要素にメッシュ分割されており、メッシュ分割された微小要素は例えば数十〜数百nmオーダのサイズとなっている。
解析条件読込み部26は、マイクロ磁化解析に必要な解析条件として、材料特性、移動速度、時間刻み、トータル計算時間などを読み込む。この解析条件読込み部26による読込みは、図13,図14で説明する解析条件設定用ダイヤログを使用して行われる。
磁界分布計算部16には、連立方程式作成部28、連立方程式解法部30及び磁界計算部32が設けられている。またマイクロ磁化運動計算部18には、移動対象移動部34、マイクロ磁化状態計算部35及び連立方程式修正部36が設けられている。
本発明のマイクロ磁化解析プログラムにあっては、固定モデルと移動モデルを空間を介して配置した解析対象モデルに対し、定常磁場の方程式または非定常磁場の方程式の離散化に有限要素法(FEM)と境界要素法(BEM)を使用し、マイクロ磁化の運動を記述するLLG方程式の離散化に有限体積法を使用し、それぞれの連立方程式を連立することでマイクロ磁化解析を実現している。
ここでマイクロ磁化解析とは、磁性体を微小要素にメッシュ分割し、各微小要素の磁気エネルギ方程式を最小に近付けることで、動的に変化する障壁、軸などの磁性体の挙動及び磁化の安定状態を解析する手法である。
このマイクロ磁化解析に、本発明にあってはLLG方程式を使用している。LLG方程式は、各微小要素のマイクロ磁化がそれぞれの有効磁界方向を中心軸として歳差運動をしながら、磁化領域全体のエネルギが安定状態に遷移する様子を記述する方程式である。
このLLG方程式によるマイクロ磁化の解析に、本発明にあっては、微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置し、LLG方程式の離散化に有限体積法を使用してマイクロ磁化を求めている。
このような本発明のマイクロ磁化解析の計算処理にあっては、磁界分布計算部16において、磁場の方程式を解くために磁場の方程式を有限要素法と境界要素法で離散化し、連立方程式を作成し、これを解法している。
このため磁界分布計算部16に設けた連立方程式作成部28は、解析対象モデルにおける固定側の第1磁性体と移動側の第2磁性体の全ての微小要素の辺に磁界ベクトルの未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1の磁場方程式を作成し、且つ固定側の第1磁性体と移動側の第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に磁界ベクトルの未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成している。
このように空間を介して存在する解析対象モデルの2つの磁性体の磁場方程式の離散化に有限要素法と境界要素法を使用することで、磁性体の間の空間、即ち空気領域のメッシュ分割を不要とし、一度解析対象モデルを作成すれば、そのまま速度情報に応じて移動側の磁性体を移動させながらマイクロ磁化解析を繰り返すことで、同じ解析対象モデルを使用して移動位置ごとのマイクロ磁化解析を行うことができる。
連立方程式解法部30は、連立方程式作成部28で作成された有限要素法を用いた第1磁場方程式と境界要素法を用いた第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて、各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める。磁界計算部32は、連立方程式解法部30により求めたベクトルポテンシャルから各要素内の磁界分布を求める。
マイクロ磁化運動計算部18のマイクロ磁化状態計算部35は、解析対象モデルにおける固定側の第1磁性体及びまたは移動側の第2磁性体について、指定されたマイクロ磁化領域、例えば記録ヘッドであれば記録磁極を有するヘッド領域をマイクロ磁化領域に指定し、このマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、磁界分布計算部16で求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、LLG方程式の離散化に有限体積法を使用して、LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求める。
連立方程式修正部36は、マイクロ磁化状態計算部35で求めたマイクロ磁化が、磁化領域全体のエネルギが安定状態に収束するという収束条件を満足しない場合、マイクロ磁化を用いて、磁界分布計算部16で使用する第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後、磁界分布計算部16の連立方程式解法部30からの処理を収束条件を満足するまで繰り返させることになる。
更に、マイクロ磁化運動計算部18には移動対象移動部34が設けられており、解析条件として読み込まれた移動速度に基づき、移動側である第2磁性体を指定された方向に移動させながら、磁界分布計算部16における連立方程式作成部28以降の処理を繰り返し、移動位置ごとにマイクロ磁化を求めることで、移動に伴うマイクロ磁化の過渡的変化を解析させることができる。
図2は図1の磁気解析装置10における機能構成が構築されるコンピュータのハードウェア環境のブロック図である。図2において、CPU40のバス42に対しては、RAM44、ROM46、ハードディスクドライブ48、キーボード52,マウス54,ディスプレイ56を接続するデバイスインタフェース50が設けられている。
ハードディスクドライブ48には本発明のマイクロ磁化解析プログラムがインストールされており、コンピュータを起動した際のブート処理に続くOSの展開後に、キーボード52などの操作によるアプリケーションプログラムとしてのマイクロ磁化解析プログラムの実行に伴い、ハードディスクドライブ48から読み出されてRAM44に展開され、CPU40により実行されることになる。
図3は図1の磁気解析装置10の機能構成による本発明のマイクロ磁化解析動作の概要の説明図である。図3において、まず解析条件読込み部26がデータファイル12に格納している解析条件データ24を読込み処理58により読み込み、続いて解析用モデル読込み部25がデータファイル12に格納しているモデルデータ22を読込み処理60により読み込む。
解析条件及び解析用モデルの読込みが済むと、ステップ1に示す一連のマイクロ磁化解析処理が実行される。即ち連立方程式作成部28が、解析用のモデルデータの複数のモデル領域を対象に、磁場の方程式の離散化に有限要素法と境界要素法を使用して連立方程式を作成し、続いて連立方程式解法部30で連立方程式を解いて、各微小要素のベクトルポテンシャルを求め、磁界計算部32でベクトルポテンシャルから各微小要素の磁界を計算する。
続いてマイクロ磁化状態計算部35が、磁場の方程式から求められた各微小要素の磁界を外部磁界として、各微小要素の中心に配置したマイクロ磁化の未知数を、LLG方程式の離散化に有限体積法を使用して求める。
ここで、計算されたマイクロ磁化が収束条件を満足していた場合には、移動対象移動部34が移動速度に基づいて一定の時間刻み後の移動位置を特定し、既にマイクロ磁化状態計算で収束条件が得られていることから、連立方程式修正部36による修正は行わずに、再び解析用モデル読込み部25に戻り、移動速度に基づき、移動するモデルの新たな座標位置を計算した後、ステップ2に示す一連の処理を繰り返す。
ステップ2の処理が終了した時点で移動のトータル時間に達したとすると、ここで計算終了62となり、計算結果が計算結果保存部20により結果データ38としてデータファイル12に格納されることになる。
図4は本発明によるマイクロ磁化解析プログラムの全体処理のフローチャートである。本実施形態では、マイクロ磁化の運動を記述するLLG方程式に対する外部磁界を求めるため、定常または非定常の磁場の方程式の離散化に有限要素法と境界要素法を使用して磁場の連立方程式を解き、これにより求められた外部磁界をLLG方程式に適用して、その時間積分によりマイクロ磁化の運動を解析している。
図4において、処理が開始されると、まずステップS1で解析対象モデルの読込みが行われる。図5は本実施形態で読み込む解析対象モデルの一例である。
図5において、解析対象モデルはハードディスクドライブ(HDD)の垂直記録ヘッドの磁界解析モデルであり、垂直記録ヘッド64は磁極65とコイル66で構成され、垂直記録ヘッド64に対し所定のエアーギャップを介して記録媒体68が配置され、記録媒体68は移動ベクトル70に示す方向に一定速度で移動する。
このような解析対象モデルにおける垂直記録ヘッド64及び記録媒体68については、それぞれの領域を微小要素にメッシュ分割している。また、この垂直記録ヘッド64の磁気解析にあっては、磁極面71からの磁界による記録媒体68の垂直磁気記録を対象とすることから、磁極面71に磁界を発生する斜線で示す領域を、マイクロ磁化領域72に指定している。
再び図4を参照するに、次のステップS2で解析条件の設定を行う。解析条件は、図5の解析対象モデルを例にとると、同じ材料で構成された磁極65、コイル66及び記録媒体68ごとに微小要素をグループ分けし、要素グループのそれぞれに対する微小要素に対し一括して、材料特性、移動速度、時間刻みなどの解析条件が設定され、具体的には、後の説明で明らかにする図13及び図14の解析条件設定用ダイヤログを使用して行うことになる。
ここでステップS2の解析条件の設定は、図13、図14の解析条件設定ダイヤログを使用することになるが、読み込んだ解析対象モデルの中の特定のモデルを移動対象とするため、モデル形状表示画面またはモデル名リストをディスプレイ上に表示し、その中から移動対象となるモデル例えば図5における記録媒体68を選択し、初期位置及び移動速度を設定する。
また本発明にあっては、解析対象モデルにおける各モデル領域につき磁場の方程式に離散化に有限要素法と境界要素法を使用しており、このうち境界要素法を使用するモデルについては原則として空気領域と接する微小要素の境界エッジを境界要素法として扱う境界面とするが、この解析対象モデルの境界要素法として扱う領域をモデル形状から自動的に設定することができる。
また特定の境界面を境界要素法として扱うことを可能とするため、解析対象モデルの形状表示画面または境界面のリストから境界要素法として扱う境界面を任意に選択して設定することも可能とする。
このようにして、ステップS1の解析対象モデルの読込み及びステップS2の解析条件の設定が済むと、ステップS3で時刻tをt=0に初期化した後、ステップS4で磁場の方程式に有限要素法(FEM)と境界要素法(BEM)を使用した離散化による連立方程式の作成・解法により、図5の解析対象モデルについて、磁極65、コイル66及び記録媒体68をメッシュ分割した全ての微小領域の磁界分布を計算する。
ここで、ステップS4で離散化に有限法と境界法を使用する非定常磁場の方程式としては次式が使用される。なお、以下の説明でベクトルについては記号にアンダーラインをつけて表記する。
Figure 2007213384
但し、はベクトルポテンシャル、
0は電流の電流密度、
φはスカラポテンシャル、
σは導電率、
Vは透磁率μの逆数
また定常磁場の方程式は、非定常磁場の方程式(1)(2)においてφ=0、ベクトルポテンシャルAの磁界成分を0とした場合であることから、次式で与えられる。
Figure 2007213384
式(1)(2)の非定常磁場方程式は電流の時間的変化が大きい場合の磁場計算に用いられるものであり、例えば図5のように、垂直記録ヘッド64のコイル66に電流を流し、記録媒体68にデータを書き込む際の書込み磁界の解析に使用される。
これに対し、(3)式の定常磁界方程式は定常電流や時間的にゆっくり変化する電流がコイルに流れた場合の磁場解析に用いられ、磁場の時間変化による渦電流を考慮することなく磁場計算が行われる。具体的には、ハードディスクドライブにおいてリード動作を行う場合の再生ヘッドの周囲の磁場解析、即ち再生ヘッドに一定のセンス電流を流し、記録媒体からの磁界をセンス電流の変化で管理する場合の磁場解析に用いられる。
図6は、定常または非定常磁場の方程式に有限要素法と境界要素法を使用する場合の境界を含む非マイクロ磁化領域に対する未知数の設定を示した説明図である。
図6(A)は4つの微小要素76−1〜76−4に分割された磁性体74を解析対象モデルとして示しており、磁場の方程式により求める未知数として、有限要素法により離散化した第1連立方程式により求めるベクトルポテンシャルの未知数を矢印78に示すように各微小要素76−1〜76−4の辺に配置し、同時に磁場方程式を境界要素法により離散化した第2連立方程式により求める磁界ベクトルの未知数については微小要素76−1〜76−4における周囲の空気領域に接する要素の境界の辺に丸印80に示すように設定している。
図6(B)(C)は、図6(A)の微小要素76−1〜76−4の辺に対する有限要素法で求めるベクトルポテンシャルと境界要素法で求める磁界ベクトルの配置を分離して示している。図6(B)は有限要素法の未知数となるベクトルポテンシャルの配置であり、矢印78で示すベクトルポテンシャルは周囲の空気領域と接する境界及び内部の境界を含めて全ての辺に配置されている。
これに対し図6(C)の境界要素法で求める磁界ベクトルの未知数80については、磁性体74の外側の空気領域に接する辺についてのみ配置している。
この図6に示した磁性体74に対する有限要素法の未知数であるベクトルポテンシャルの全ての辺への配置と境界要素法の未知数である磁界ベクトルの境界面の辺への設定に基づく連立方程式の作成とその解法については、後の説明で更に明らかにする。
再び図4を参照するに、ステップS4で磁場の方程式による有限要素法と境界要素法を用いた連立方程式の作成と解法による計算で、全体の磁界分布、即ち図5の解析対象モデルにおける全ての微小要素の磁界分布が計算できたならば、ステップS5で例えば図5の垂直記録ヘッド64におけるマイクロ磁化領域72の微小要素を対象にLLG方程式による解法でマイクロ磁化の運動計算を実行する。
即ち、ステップS4で計算された磁界分布をLLG方程式におけるマイクロ磁化における外部磁界としてLLG方程式の時間積分が求められる。このLLG方程式の時間積分の算出に際し、本実施形態にあっては、図7に示すように、LLG方程式により求める未知数Mであるマイクロ磁化82を微小要素76−1〜76−4の中心に配置し、LLG方程式の離散化に有限体積法を使用してLLG方程式の時間積分を求めている。
ここでマイクロ磁化ベクトルの運動を記述するLLG方程式は次式で与えられる。
Figure 2007213384
但し、Hは実行磁場
γは摩擦係数
αは架空周波数に依存する定数(磁気回転比)
である。
続いて、ステップS6でLLG方程式の時間積分として求めたマイクロ磁化が収束条件を満足するか否か判定する。マイクロ磁化ベクトルは実効磁界の周りで歳差運動をしながら外部磁界や他のマイクロ磁化による交換相互作用による磁界などの作用の下で全体としてのエネルギが安定的な状態に収束するものであり、この安定状態の収束をステップS6で判定している。具体的には、マイクロ磁化ベクトルの時間的変化率の大きさが所定の閾値より小さくなった場合に収束したものと判断する。
ステップS6で収束条件が満たされなかった場合には、ステップS7で磁場方程式における要素行列の修正が行われ、続いてステップS8で計算時刻tがΔtだけインクリメントされ、再びステップS4からの処理が、ステップS6で収束条件を満足するまで繰り返し行われる。ステップS6で収束条件が満足されると、ステップS9に進み、磁界を計算して、これを結果データとして保存する。
図8は図4のステップS4における磁界分布計算の詳細処理のフローチャートである。図8の磁界分布計算にあっては、ステップS1で移動対象となるモデル例えば図5の解析対象モデルにおける記録媒体68のグループ番号リストから移動対象モデルの番号を取得し、移動対象グループの座標を移動する。この座標移動に使用する座標変化量dXは、dX=V×dtとして求められる。
続いてステップS2で、定常または非定常の磁場方程式の離散化に有限要素法を使用して、有限要素法に基づく連立方程式を作成する。この有限要素法に基づく連立方程式の作成に際し、連立方程式により求めるベクトルポテンシャルの未知数は、図6(B)に示したように、解析対象とするモデルを構成する全ての微小領域の辺にベクトルポテンシャル78のように配置する。
続いてステップS3で境界要素として扱う境界領域の要素番号と要素の辺情報を取得し、境界要素法に基づく連立方程式を作成する。この場合の境界要素法に基づく連立方程式で求める磁界ベクトルの未知数の配置は、図6(C)のように、境界領域に位置する要素番号の境界に接する辺に磁界ベクトル80のように配置する。
続いてステップS4で、有限要素法と境界要素法に基づく連立方程式を解法して、各要素ごとのベクトルポテンシャルを計算する。更にステップS5で、ベクトルポテンシャルから各要素内の磁界分布Bを計算して、図4のメインルーチンにリターンする。
この図8のステップS2〜S5に亘る定常または非定常磁場の方程式の離散化に有限要素法と境界要素法を使用して磁界分布を計算する処理の詳細を説明すると次のようになる。
本実施形態で磁場の方程式を解く場合には、有限要素法と境界要素法で離散化し、連立方程式を作成する必要がある。式(1)(2)で与えられる非定常磁場方程式において、スカラポテンシャルφ=0、ベクトルポテンシャルの磁界微分を0とすると、式(3)の定常磁場方程式が得られる。そこで以下では、より一般的である非定常磁場方程式である式(1)(2)について離散化方法を説明する。
有限要素法では、式(1)(2)の両辺にそれぞれ任意形状のベクトル重み関数とスカラー重み関数を掛け、以下のように変形する。
Figure 2007213384
式(5)にガウスの発散定理を使用すると次式となる。
Figure 2007213384
ここで、
Figure 2007213384
より
Figure 2007213384
となる。この方程式を未知数A、φ、Hに対して行列で表現すると以下のようになる。
Figure 2007213384
左辺のAは現在の時間ステップのAn+1、右辺のAは1ステップ前時間のAnである。また、右辺の項は励磁電流J0や固定されたAの値が含まれる。
続いて、式(2)にガウスの発散定理を使用すると次式となる。
Figure 2007213384
境界要素法で扱う境界を材料と空気の境界とすると、左辺第2項の境界積分項は電荷保存則より0となり、下式となる。
Figure 2007213384
この方程式を未知数A、φに対して行列で表現すると以下のようになる。
Figure 2007213384
有限要素法モデルの外側境界面の領域に対して、下式の磁場Hの境界積分方程式を適用することで、分離された有限要素法領域全体の磁界分布を計算する。
Figure 2007213384
式(13)の右辺第1項の「H×n」は式(8)の左辺第2項の値に対応し、この項では境界面内成分の磁界ベクトルを使用する。また式(13)の右辺第2項は「H・n」より、境界面に垂直な磁界成分を使用する。
そこで、境界面における磁界の垂直成分
Figure 2007213384
を式(13)に代入し、未知数A、Hに対して行列で表現すると以下のようになる。
Figure 2007213384
式(9)(12)(14)を一つの行列で表現すると以下になる。
Figure 2007213384
非定常磁場計算では、時間ステップごとに上式を解いて、過渡的なベクトルポテンシャルを計算し、磁束密度
Figure 2007213384
を計算する。
一方、定常磁場計算では、全体マトリックスは下式で書け、一度の連立方程式計算で全体の磁界分布を計算する。
Figure 2007213384
ここで、B1は励磁電流J0や固定されたAの値が含まれる。
図9は図4のステップS5におけるマイクロ時間運動計算の詳細処理のフローチャートである。この処理は、マイクロ磁化の運動を記述する歳差運動方程式、すなわちLLG方程式の、図4で説明した時間ステップΔtの範囲毎に時間積分を行なう処理である。
ここでは実際にLLG方程式の時間積分を求める前に、各要素または要素グループ毎に隣接要素から受け取る交換相互作用による交換磁界Hexの値を求め、その値をLLG方程式の実効磁界の1項目とするための処理が行なわれた後に、時間積分が実行される。
図9において、まずステップS1で要素グループのグループ番号NがN=0に初期化され、ステップS2でN番目の要素グループ内の要素の番号IがI=0に初期化され、ステップS3で要素番号Iの要素がマイクロ磁化であるか否か、すなわちその要素の中心にマイクロ磁化Mが割り当てられているか否かが判定される。
割り当てられている場合にはステップS4で隣接の要素がマイクロ磁化であるか否かが判定され、マイクロ磁化である場合には、ステップS5以降で交換相互作用による交換磁界Hexを求める処理が行なわれる。
ステップS5で現在処理の対象となっている番号Iの要素と隣接の要素との間に交換相互作用の境界が有るか否かが判定される。例えば2つの要素の間を結晶の境界としてシミュレーションを行なうような場合には、結晶境界に対応する交換相互作用境界が設定されるが、結晶境界がない場合にはステップS6で、処理を簡単化するために要素グループに対応して設定された交換相互作用係数が同じであるか否かが判定される。
すなわちステップS6では番号Iの要素と隣接の要素とが、例えばそれぞれ別々の要素グループに属するものとすると、それぞれの要素グループに対する交換相互作用の係数が同じであるか否かが判定される。
隣接要素グループの間で係数の値が同じである場合には、ステップS7で番号Iの要素自身の相互作用の係数が、隣接要素からの交換相互作用の係数とされ、ステップS8でLLG方程式の実効磁界Heff内の交換磁界Hexが追加される。
ここで隣接要素からの交換相互作用による交換磁界は、2つの磁化ベクトル、すなわち隣接要素に割り当てられた磁化ベクトルと自要素に割り当てられた磁化ベクトルとの差に対して、隣接要素からの交換相互作用の交換磁界Hexを係数を乗算することによって求められる。
一方、ステップS3で要素番号Iの要素にマイクロ磁化が割り当てられていないと判定されると、ステップS9でグループ内の要素番号Iがその最大値Imax未満であるか否かが判定され、未満である時にはステップS10でIの値がインクリメントされ、ステップS3からの処理が繰返される。
ステップS4で隣接の要素にマイクロ磁化が割り当てられていないと判定されると、隣接の要素から交換相互作用を受けることがないため、ステップS11で相互作用の係数が0とされ、ステップS8の処理に移行する。ここでは交換磁界Hexは0とされる。
またステップS5で要素間に交換相互作用の境界があると判定されると、ステップS12でその境界に対して定義された係数の値が隣接要素からの交換相互作用の係数とされる。例えば境界が結晶境界に対応するものである場合には、この係数の値を弱めに設定することによって、この境界を結晶の境界としてシミュレーションを行なうことが可能となる。そしてステップS8でその係数の値を用いて求められた交換磁界HexがLLG方程式の交換磁界として用いられる。
交換相互作用は、本来は、クーロン相互作用とパウリの原理から出てくるスピンの方向に依存する電子間の相互作用であり、要素が微小になるほどその影響は大きくなる。交換相互作用は例えば要素グループの間でマイクロ磁化ベクトルの方向をそろえる作用を持ち、交換相互作用が均一であれば、マイクロ磁化ベクトルの方向が変化するとしても、その変化は連続的となる。
従って、前述のように交換相互作用の係数を小さくする、すなわち作用を弱めることによって要素間を結晶境界としたシミュレーションができる。逆に係数を大きくすることで強磁性結合を、さらに係数を負にすることで反磁性結合を表現することが可能となる。
次にステップS6で隣接要素グループとの間で交換相互作用が同じでないと判定されると、ステップS13でその要素、すなわち番号Iの要素と隣接要素との相互作用係数の平均値が求められ、この値が相互作用の係数とされ、ステップS8において追加される交換磁界Hexの値が求められることになる。
ステップS9で要素グループ内の要素番号Iがその最大値Imaxに達したと判定されると、ステップS14で要素グループ番号Nがその最大値Nmax未満であるか否かが判定され、未満である時にはステップS15でNの値がインクリメントされた後に、ステップS2からの処理が繰返される。そしてステップS14でNの値がその最大値に達したと判定されると、ステップS16で実際にLLG方程式の時間積分が求められ、図4のメインルーチンにリターンする。
図10は記録媒体を直接移動しながら行う本実施形態のマイクロ磁化解析の説明図である。図10(A)はマイクロ磁化解析の初期位置であり、図5に示した解析対象モデルを簡略化して示しており、固定側の垂直記録ヘッド64は磁極65とコイル66を持ち、移動側は記録媒体68となる。
図10(A)の初期位置でのマイクロ磁化領域72におけるマイクロ磁化の計算が済むと、記録媒体68に設定された移動速度に基づき、次の解析ステップによる移動位置の座標計算により移動量L1が算出されて、記録媒体68が垂直記録ヘッド64側に対し移動し、この状態で2回目のマイクロ磁化解析が行われてマイクロ磁化領域72のマイクロ磁化が求められる。
更に図10(C)のように、次の時間ステップで移動速度から移動量L2が算出されて、記録媒体68の座標位置の計算で移動し、この状態で垂直記録ヘッド64のマイクロ磁化領域72についてマイクロ磁化が求められる。
このように本発明にあって、図10(A)のように解析対象モデルを1回作成すれば、それ以降については移動側を時間の経過に伴って位置移動することで、移動位置ごとに再度、マイクロ磁化解析の計算処理を繰り返すことで、記録媒体68の移動に伴う例えば記録磁気ヘッドの磁極からの磁界の過渡的変化を連続的に求めることができる。
図11は本実施形態によりマイクロ磁化解析されるハードディスクドライブの記録計算用モデルの説明図である。図11の記録計算用モデルについては、図5に示したように、磁極68とコイル66で構成された垂直記録ヘッド64の形状データと記録媒体68の記録データを読み込み、それぞれの形状データはメッシュ分割により微小要素から構成されており、記録媒体68を移動しながら垂直記録ヘッド64による記録過程をシミュレーションする。
即ち、コイル66に電流を流すことで、垂直記録ヘッド64に来る磁極65の磁極面71から記録媒体68に向かって記録媒体68に記録磁化パターン90を記録するシミュレーションを実行することができる。
図12は本実施形態によりマイクロ磁化解析されるハードディスクドライブの再生用計算モデルの説明図である。図12の再生用計算モデルにあっては、解析対象モデルとしてリード素子94、上シールド96及び下シールド98で構成される再生ヘッド92の形状データと記録媒体68の形状データを読み込み、記録媒体68側を移動しながら再生過程をシミュレーションする。
再生ヘッド92は、上シールド96と下シールド98に挟まれた領域にリード素子94が存在し、このリード素子94の直下に存在する記録媒体68の記録磁化パターン90からの漏れ磁束100をリード素子94が読み込み、この記録磁化パターン90は図11の記録計算用モデルのシミュレーションで記録媒体68に記録された記録磁化パターン90を読み込んで入力条件としているため、図11及び図12の磁化解析から、記録ヘッドと記録媒体、及び記録媒体と再生ヘッドとの相互作用を考慮した磁気解析が実現できる。
図13は要素グループに対する解析条件設定用ダイヤログ102である。図13の解析条件設定用ダイヤログ102において、アイテム104は同じ材料単位に要素をまとめた要素グループID、アイテム106は要素グループの名前であり、アイテム108の材料選択は要素グループに対する材料を指定するものである。
ここで「設定なし」はこの要素グループを計算に使用しないことを設定し、「空気」は空気の領域あることを設定し、「導体」は領域を電流が流れることが可能な領域であることを設定し、「磁性体」は電流が流れかつ磁性体として扱う領域であること設定し、「マイクロ磁化」は電流が流れることが可能で且つマイクロ磁化が割り当てられる領域であることを設定する。
アイテム110の励磁電流は、磁場を生じる電流が流れる要素として設定する。アイテム112の非線型は磁性体の磁気的性質をB−H曲線、またはM−H曲線として設定する。アイテム114の着磁は計算の前に外部からある方向の磁界を加えて、例えばマイクロ磁化の性質、すなわちその大きさや方向を設定する。アイテム116は準定常計算用に磁化を固定する。すなわちアイテム126のIDで指定されたグループに対してだけ、マイクロ磁化計算を実行すべきことを設定するものである。
アイテム118は透磁率、アイテム120は誘電率、アイテム122はアイテム114の着磁における着磁の大きさ、アイテム124は着磁のX,Y,Z成分を設定する。アイテム126の準定常計算用IDは、この領域IDが呼ばれたときだけマイクロ磁化計算を実行する。
アイテム128の着磁強度分割数は、着磁強度の分割数に対して2N+1回にわたり着磁強度を増減させてマイクロ磁化解析する。例えば着磁強度を最初の解析では小さな値から始め、次の解析では段々と大きくし、最大値に達した後に、着磁強度を減少させながらマイクロ磁化解析を繰返す場合における着磁強度の大きさのステップ数に相当する。
アイテム130のマイクロ磁化変数は、マイクロ磁化の性質を決める変数を設定する領域であり、「容易軸磁界」は磁気異方性による磁化容易軸方向の磁界、「交換係数」は交換相互作用係数、「磁化強度」はマイクロ磁化の強度、「摩擦係数」はLLG方程式における摩擦係数の値を指定するものである。
アイテム132の容易軸方向は磁化容易軸方向を設定し、その方向はランダム、または整列した方向に指定される。アイテム134の初期磁化ベクトル方向は、初期磁化ベクトルの方向をX,Y,Z成分として設定するものであり、「着磁」の場合と「強制的」な指定の場合とがある。アイテム136の磁性膜の設定は出力を計算するための磁性膜を指定し、アイテム138の結合膜は磁性膜と磁性膜の結合材料の性質を設定するが、本実施形態に直接の関係はない。
図14は要素境界条件設定用ダイヤログ140である。図14は要素境界条件設定用ダイヤログ140において、アイテム142の磁場計算用境界は、「設定なし」、「外部境界」、「対称強化」、「ポテンシャル境界」を選択設定する。アイテム144の励磁電流用境界は「電位指定」または「電流指定」を選択して値を入れる。
アイテム146の交互磁界作用は交換相互作用を設定するものである。例えば境界に対しては、交換相互作用は要素間の距離の2乗に反比例するため、要素のサイズに依存する係数の設定を行なうことも可能であり、また係数の値の代わりに交換磁界の値を直接に設定することも可能である。なお、ここで要素境界に対して交換相互作用の設定を行なうと、その設定は図13における要素グループに対する設定より優先される。
アイテム148、アイテム150、アイテム152は各ポテンシャルの入力を行なうためのものであり、ベクトルポテンシャルAの成分Ax,Ay,Az、スカラポテンシャルφ、磁気ポテンシャルφmを入力する。
アイテム154は磁化ベクトルを固定するものであり、例えばX方向を固定することによって、マイクロ磁化ベクトルmのY成分、Z成分のみが変化することになる。アイテム156の準定常計算用IDは、ここで指定されるIDの境界が呼ばれた時にのみ、励磁電流用境界が有効になることを示している。
以上のように要素グループや要素境界に対して、各種の設定、例えば容易軸方向の磁界などの設定を行なうことによって従来のB−H曲線を用いる方法に比較して多様かつ精度の良い解析ができる。
なお本実施形態においては本発明によるマイクロ磁化解析プログラム及びそれを実行する磁化解析装置としてのコンピュータを説明したが、更に本発明はマイクロ磁化解析プログラムを記憶したコンピュータ可読の記録媒体を提供することができる。
本発明のマイクロ磁化解析プログラムを格納したコンピュータ可読の記録媒体としては、CD−ROM、フロッピィディスク(R)、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの可搬型記録媒体や、コンピュータシステムの内外に備えられたハードディスクHDDなどの記憶装置の他、回線を介してプログラムを保持するデータベース、あるいは他のコンピュータシステム並びにそのデータベース、更には回線上の伝送媒体を含むものである。
また本実施形態はハードディスクドライブの記録ヘッド及び再生ヘッドのマイクロ磁化解析を例に取るものであったが、本発明はこれに限定されず、適宜の磁性体の磁化解析、特に固定側と移動側を解析対象モデルの磁性体として1または複数備えたモデルを対象に、そのまま適用することができる。
また上記の実施形態にあっては、定常または非定常の方程式の離散化に有限要素法と境界要素法を使用した場合の磁性体領域をメッシュ分割した各微小要素に対する連立方程式の未知数であるベクトルポテンシャル及び磁界ベクトルの配置を微小要素の辺に行った場合を例に取るものであったが、微小要素の頂点(節)にこれらの未知数を割り当てて連立方程式の作成・解法を行うようにしてもよい。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)
コンピュータに、
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各微小要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁界計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算ステップと、
前記マイクロ磁化運動計算ステップで求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正ステップと、
を実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。(1)
(付記2)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記連立方程式作成ステップにおける前記有限要素法の磁場方程式は非定常方程式であることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記3)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記連立方程式作成ステップにおける前記有限要素法の磁場方程式は定常方程式であることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記4)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記連立方程式作成ステップにおける未知数を各微小要素の辺、節および要素中心に配置したことを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記5)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、更に、前記移動速度に基づき前記第2磁性体を任意方向に移動させながら前記連立方程式作成ステップ以降の処理を繰り返してマイクロ磁化の過渡的変化を解析させる移動対象移動ステップを実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。(2)
(付記6)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記入力ステップは、モデル形状表示画面またモデル名リストから移動対象となる第2磁性体を選択して、初期位置及び移動速度を設定することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。(3)
(付記7)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記入力ステップは、前記磁性体の表面を自動的に境界要素法として扱う領域として設定することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記8)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記入力ステップは、磁性体の形状表示画面または境界名のリストから境界要素法として扱う境界面を任意に選択して設定することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記9)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は記録ヘッドであり、移動対象となる前記第2磁性体は記録媒体あり、前記記録ヘッドの記録磁極領域および記録媒体領域をマイクロ磁化領域として前記記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記10)
付記1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は再生ヘッドであり、移動対象となる前記第2磁性体は記録媒体あり、前記再生ヘッドのリード素子領域をマイクロ磁化領域として前記記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
(付記11)
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各微小要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁場分布計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化状態計算ステップと,
前記マイクロ磁化運動計算部で求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正ステップと、
を備えたことを特徴とするマイクロ磁化解析方法。(4)
(付記12)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、更に、前記移動速度に基づき前記第2磁性体を任意方向に移動させながら前記連立方程式作成ステップ以降の処理を繰り返してマイクロ磁化の過渡的変化を解析させる移動対象移動ステップを実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記13)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、前記入力ステップは、モデル形状表示画面またモデル名リストから移動対象となる第2磁性体を選択して、初期位置及び移動速度を設定することを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記14)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、前記入力ステップは、前記磁性体の表面を自動的に境界要素法として扱う領域として設定することを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記15)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、前記入力ステップは、磁性体の形状表示画面または境界名のリストから境界要素法として扱う境界面を任意に選択して設定することを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記16)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、前記解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は記録ヘッドであり、移動対象となる前記第2磁性体は記録媒体あり、前記記録ヘッドの記録磁極領域及び記録媒体領域をマイクロ磁化領域として前記記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析することを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記17)
付記11記載のマイクロ磁化解析方法に於いて、前記解析対象モデルの固定配置される第1磁性体は再生ヘッドであり、移動対象となる前記第2移動体は記録媒体あり、前記再生ヘッドのリード素子領域をマイクロ磁化領域として前記記録媒体の移動に対しマイクロ磁化の過渡的変化を解析することを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
(付記18)
解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力部と、
前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成部と、
前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法部と、
前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算部と、
前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁界計算部で求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化状態計算部と,
前記マイクロ磁化運動計算部で求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻を部的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す返す連立方程式修正部と、
を備えたことを特徴とするマイクロ磁化解析装置。(5)
(付記19)
付記18記載のマイクロ磁化解析装置に於いて、更に、前記移動速度に基づき前記第2磁性体を任意方向に移動させながら前記連立方程式作成部以降の処理を繰り返してマイクロ磁化の過渡的変化を解析させる移動対象移動部を実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析装置。
(付記20)
付記17記載のマイクロ磁化解析装置に於いて、前記入力部は、モデル形状表示画面またモデル名リストから移動対象となる第2磁性体を選択して、初期位置及び移動速度を設定することを特徴とするマイクロ磁化解析装置。
本発明によるマイクロ磁化解析プログラムを実行する磁化解析装置の機能構成のブロック図 図1の機能構成が構築されるコンピュータのハードウェア環境のブロック図 図1のマイクロ磁化解析動作の概要の説明図 本発明による磁化解析処理の全体処理のフローチャート 図4のステップS1で読込まれる解析対象モデルの説明図 境界を含む非マイクロ磁化領域に対する未知数の設定を示した説明図 境界を含むマイクロ磁化領域に対する未知数の配置を示した説明図 図4のステップS4における磁界分布計算のフローチャート 図4のステップS5におけるマイクロ磁化運動計算のフローチャート 記録媒体を直接移動しながら行なう本発明のマイクロ磁化解析の説明図 本発明によりマイクロ磁化解析されるハードディスクドライブの記録計算用モデルの説明図 本発明によりマイクロ磁化解析されるハードディスクドライブの再生計算用モデルの説明図 要素グループの解析条件設定用ダイヤログの説明図 要素境界の解析条件設定ダイヤログの説明図 従来の領域全体をメッシュ分割してマイクロ磁化解析する解析対象モデルと磁場方程式及びLLG方程式の未知数の配置の説明図 記録媒体の移動に伴うマイクロ磁化解析で生成される複数モデルの説明図
符号の説明
10:磁気解析装置
12,12−1,12−2:データファイル
14:入力部
16:磁界分布計算部
18:マイクロ磁化運動計算部
20:計算結果保存部
22:モデルデータ
24:解析条件データ
25:解析用モデル読込み部
26:解析条件読込み部
28:連立方程式作成部
30:連立方程式解法部
32:磁界計算部
34:移動対象移動部
35:マイクロ磁化状態計算部
36:連立方程式修正部
38:結果データ
40:CPU
42:バス
44:RAM
46:ROM
48:ハードディスクドライブ
50:デバイスインタフェース
52:キーボード
54:マウス
56:ディスプレイ
64:垂直記録ヘッド
65:磁極
66:コイル
68:記録媒体
70:移動ベクトル
71:磁極面
72:マイクロ磁化領域
74:磁性体
76−1〜76−4:微小要素
78:ベクトルポテンシャル
80:磁界ベクトル
82:マイクロ磁化
86:電流
88:磁界
90:記録磁化パターン
92:再生ヘッド
94:リード素子
96:上シールド
98:下シールド
100:漏れ磁束

Claims (5)

  1. コンピュータに、
    解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
    前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
    前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各微小要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
    前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
    前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁界計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算ステップと、
    前記マイクロ磁化運動計算ステップで求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正ステップと、
    を実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
  2. 請求項1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、更に、前記移動速度に基づき前記第2磁性体を任意方向に移動させながら前記連立方程式作成ステップ以降の処理を繰り返してマイクロ磁化の過渡的変化を解析させる移動対象移動ステップを実行させることを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
  3. 請求項1記載のマイクロ磁化解析プログラムに於いて、前記入力ステップは、モデル形状表示画面またモデル名リストから移動対象となる第2磁性体を選択して、初期位置及び移動速度を設定することを特徴とするマイクロ磁化解析プログラム。
  4. 解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力ステップと、
    前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成ステップと、
    前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各微小要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法ステップと、
    前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算ステップと、
    前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁界計算ステップで求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算ステップと,
    前記マイクロ磁化運動計算ステップで求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻をステップ的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す連立方程式修正ステップと、
    を備えたことを特徴とするマイクロ磁化解析方法。
  5. 解析対象となる空間に固定される第1磁性体と移動の対象となる第2磁性体の領域のみを微小要素にメッシュ分割した解析対象モデルと、材料特性、移動速度、時間ステップを含む解析条件を入力する入力部と、
    前記第1磁性体および第2磁性体の全ての微小要素の辺に未知数を配置した状態で有限要素法を用いて第1磁場方程式を作成し、且つ前記第1磁性体および第2磁性体の空間と接する微小要素の境界の辺に未知数を配置した状態で境界要素法を用いて第2磁場方程式を作成する連立方程式作成部と、
    前記第1磁場方程式と第2磁場方程式に基づく連立方程式を解いて各要素の辺のベクトルポテンシャルを求める連立方程式解法部と、
    前記ベクトルポテンシャルにより各要素内の磁界分布を求める磁界計算部と、
    前記第1磁性体及び又は第2磁性体の指定されたマイクロ磁化領域に含まれる各微小要素の中心にマイクロ磁化の未知数を配置した状態で、前記磁界計算部で求めた磁界分布をLLG方程式に対する外部磁界として、前記LLG方程式の時間積分によりマイクロ磁化を求めるマイクロ磁化運動計算部と、
    前記マイクロ磁化運動計算部で求めた前記マイクロ磁化が収束条件を満足しない場合は、前記マイクロ磁化を用いて前記第1磁場方程式及び第2磁場方程式を修正して時刻を部的に増加させた後に、前記連立方程式作成ステップ以降の処理を前記収束条件を満足するまで繰り返す返す連立方程式修正部と、
    を備えたことを特徴とするマイクロ磁化解析装置。
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