JP2013131071A - 磁性体特性解析プログラム、磁性体特性解析装置、及び磁性体特性解析方法 - Google Patents

磁性体特性解析プログラム、磁性体特性解析装置、及び磁性体特性解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速且つ高精度に磁性体の特性を解析すること。
【解決手段】磁性体特性解析装置に、解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、各要素のベクトルポテンシャルを算出させ、算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする磁性体特性解析プログラム。
【選択図】図16

Description

本発明は、磁性体特性解析プログラム、磁性体特性解析装置、及び磁性体特性解析方法に関する。
従来、磁性体を用いた機器(モータ、トランス等)の特性や損失を解析するために、コンピュータを用いた磁性体の特性解析シミュレーションが行われている。係るシミュレーションにおいては、有限要素法による磁場解析技術が活用されている。有限要素法による磁場解析技術を用いると、解析対象を小さなメッシュに分割することで複雑な形状を扱うことができる。
また、磁性体の特性解析に用いられる他の手法として、マイクロマグネティクスが知られている。マイクロマグネティクスを用いると、コンピュータが高精度に磁性体の磁区構造を再現することができる。
磁性体の特性解析に関連し、解析対象物から発生する電流ベクトルによる磁界を算出するための第一の方程式を有限要素法および境界積分法により解析可能な形式で作成する磁界磁性体特性解析装置についての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁界磁性体特性解析装置は、解析対象物から発生する磁化ベクトルによる磁界を算出するための第二の方程式を有限要素法および境界積分法により解析可能な形式で作成する。そして、特許文献1に記載の磁界磁性体特性解析装置は、第一の方程式と第二の方程式とを用いて、第一の磁界および第二の磁界それぞれを算出し、第一と第二の磁界を合算した合算磁界を解析対象物における磁界の解析結果とする。
特開2009−148993号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の装置の如く、有限要素法と他の手法を用いて磁性体の特性解析を行う場合、有限要素法によりメッシュに分割された要素(メッシュ)の数が多くなってしまう場合がある。例えば、解析対象となる磁性体が薄い平板形状である場合、平板面に並行な磁束が変化することによる影響は、板厚方向へのメッシュの分割をしなければ正確に解析することができない。一方、磁性体の特性解析の上では、メッシュに分割された要素の形状は、立方体に近い方が好ましいことが多い。このため、板厚方向にメッシュの分割を行い、且つ立方体に近い要素に分割するとなれば、多くの要素が生成されることになり、磁性体の特性解析が遅延する可能性がある。
一つの側面では、本発明は、高速且つ高精度に磁性体の特性を解析することを目的とする。
上記目的を達成するための一態様は、
磁性体特性解析プログラムにおいて、
磁性体特性解析装置に、
解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出させ、
前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする磁性体特性解析プログラムである。
一実施態様によれば、高速且つ高精度に磁性体の特性を解析することができる。
本発明の一実施例に係る磁性体特性解析装置1のハードウエア構成例である。 本発明の第1実施例に係る磁性体特性解析装置1の機能構成例である。 有限要素法においてメッシュへの分割が行われる様子を示す図である。 複数節点で構成される三角形要素と四角形要素を示す図である。 一次元の補間関数Nを一次元座標上で表現した図である。 立方体を構成する複数の磁化ベクトルを示す図である。 磁化ベクトルの平均値と外部磁界の関係を示す図である。 電磁鋼板面に垂直な磁束が変化することで生じる渦電流を示す図である。 電磁鋼板面に並行な磁束が変化することで生じる渦電流を示す図である。 要素の板厚方向の長さに合わせて磁性体を細かくメッシュを分割する様子を示す図である。 通常のメッシュの分割が行われた解析対象と、均質化法が適用された解析対象とを比較した図である。 マクロ要素、サブグリッド、及びサブ要素の関係を示す分解斜視図である。 均質化法を適用した一つの要素におけるパラメータの配置方法である。 通常の要素に対するマクロの磁場解析と、電磁鋼板を構成する全てのメッシュのサブグリッドにおける1次元の磁場解析との間で変数を共有し合いながら収束計算を行う様子を示す図である。 均質化法のサブグリッドが画成するサブ要素における磁化ベクトル→Miの割り当て方法を示す図である。 第1演算処理部40、第2演算処理部50、第3演算部60により実行される処理を概念的に示す図である。 制御部70により実行される処理の流れを示すフローチャートである。 本実施例の磁性体特性解析装置1の解析結果を表示装置24により表示した画面例である。 参考手法において実行される処理を概念的に示す図である。 参考手法において実行される処理の流れを示すフローチャートである。 本実施例に係る手法により用いられたメッシュデータと、参考手法により用いられたメッシュデータを比較した図である。 外部磁界の周波数を1000[Hz]とした場合の外部磁界の時間変化を示す図である。 図22に示す外部磁界を本実施例に係る手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。 図22に示す外部磁界を参考手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。 外部磁界の周波数を5000[Hz]とした場合の外部磁界の時間変化を示す図である。 図25に示す外部磁界を本実施例に係る手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。 図25に示す外部磁界を参考手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。 本実施例の手法と参考手法による処理時間を比較した図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
以下、図面を参照し、本発明の一実施例に係る磁性体特性解析プログラム、磁性体特性解析装置、及び磁性体特性解析方法について説明する。
[構成]
図1は、本発明の一実施例に係る磁性体特性解析装置1のハードウエア構成例である。磁性体特性解析装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)10と、ドライブ装置12と、補助記憶装置16と、メモリ装置18と、インターフェース装置20と、入力装置22と、表示装置24と、を備える。これらの構成要素は、バスやシリアル回線等を介して接続されている。
CPU10は、例えば、プログラムカウンタや命令デコーダ、各種演算器、LSU(Load Store Unit)、汎用レジスタ等を有する演算処理装置としてのプロセッサである。
ドライブ装置12は、記憶媒体14からプログラムやデータを読み込み可能な装置である。プログラムを記録した記憶媒体14がドライブ装置12に装着されると、プログラムが記憶媒体14からドライブ装置12を介して補助記憶装置16にインストールされる。記憶媒体14は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型の記憶媒体である。また、補助記憶装置16は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリである。
プログラムのインストールは、上記のように記憶媒体14を用いる他、インターフェース装置20がネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードし、補助記憶装置16にインストールすることによって行うこともできる。ネットワークは、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線ネットワーク等である。また、プログラムは、磁性体特性解析装置1の出荷時に、予め補助記憶装置16やROM(Read Only Memory)等に格納されていてもよい。
このようにしてインストール又は予め格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、図1に示す態様の情報処理装置を、本実施例の磁性体特性解析装置1として機能させることができる。
メモリ装置18は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等である。インターフェース装置20は、上記ネットワークとの接続等を制御する。
入力装置22は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル、マイク等である。また、表示装置24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置である。磁性体特性解析装置1は、表示装置24の他、プリンタ、スピーカ等の他の種類の出力装置を備えてもよい。
図2は、本発明の第1実施例に係る磁性体特性解析装置1の機能構成例である。磁性体特性解析装置1は、設定入力受付部30と、第1演算処理部40と、第2演算処理部50と、第3演算処理部60と、制御部70と、を備える。これらの機能ブロックは、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、これらの機能ブロックが明確に分離したプログラムによって実現される必要はなく、サブルーチンや関数として他のプログラムによって呼び出されるものであってもよい。また、機能ブロックの一部が、LSI(Large Scale Integrated circuit)、IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア手段であっても構わない。
設定入力受付部30は、各種パラメータ設定、及び解析対象の物性情報等の入力を受け付ける。各種パラメータには、磁場の非定常計算ステップN、サブグリッドの磁場解析とLLG時間積分の反復回数M1、LLGループ回数M2、収束判定閾値ε、外部磁界の時間当たりの変動量、自由度P等が含まれる。また、解析対象の物性情報には、基本物性値、材料の性質、異方性の設定等が含まれる。これらの設定入力は、例えばインターフェース装置20や入力装置22に対して行われ、入力されたデータは補助記憶装置16やメモリ装置18に格納される。
第1演算処理部40は、有限要素法によるマクロの磁場解析(マクロ要素についての磁場解析)を行う。第1演算処理部40は、具体的には、解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、各要素のベクトルポテンシャルを算出するベクトルポテンシャル算出部として機能する。また、第2演算処理部50は、有限要素法によるサブグリッドの磁場解析(サブグリッド及びサブ要素についての磁場解析)を行う。また、第3演算処理部60は、マイクロマグネティックスに基づく磁性体の特性解析を行う。第3演算処理部60は、具体的には、サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG方程式を時間積分することにより、各要素についての平均磁化を算出する平均磁化算出部として機能する。
以下、有限要素法、マイクロマグネティックス、及び有限要素法におけるサブグリッドの概念について説明する。
[有限要素法、マイクロマグネティックス、サブグリッド]
(有限要素法の基本概念)
有限要素法は、解析対象を有限個の小領域(要素)にメッシュを分割し、解を求める手法である。流体、構造、磁場等の物理状態を支配する微分方程式は一般に支配方程式と呼ばれ、空気や固体・液体等の物質中に連続的に定義される物理量(連続場)が未知変数となる。有限要素法は、解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法の一つである。有限要素法では、本来は無限の自由度を持つ支配方程式の定義領域Ωを有限個の小領域(要素)にメッシュを分割することにより、解を求めることが可能になる。図3は、有限要素法においてメッシュへの分割が行われる様子を示す図である。
要素とは、解析対象となる領域を分割した最小単位の領域であり、複数の節点によって構成される。図4は、複数節点で構成される三角形要素と四角形要素を示す図である。このように、有限要素法では、モデル全体を小さな要素で構成して解を求めるため、複雑な形状の解析対象領域を扱うことができる。
有限要素法による磁場解析手法として、ガラーキン法(または重み付き残差法)と称される手法が用いられる。ガラーキン法とは、支配方程式の両辺に任意形状の重み関数を乗じ、空間積分することで結果的に自由度を低減(離散化)する手法である。
式(1)は、物理変数φの空間分布を表現する支配方程式である。ここで、φは空間Xに依存する。有限要素法では、支配方程式が非線形であっても、解を求める過程では式(2)で示される線形方程式として扱うことができる。式(2)中、Fはφに対する空間微分の演算子の関数、F0はφに依存しない定数である。
N個の節点を持つ要素内の解φは、補間関数Nを用いて式(3)のように近似することができる。式(3)中、φiは、位置xiにおける場(フィールド)の値、nは節点の数である。また、重み関数w(x)は、補間関数Nを用いて式(4)のように定義される。ここで、位置xiにおける補間関数Nの値は、式(5)で示される性質を有する。図5は、一次元の補間関数Nを一次元座標上で表現した図である。
次に、補間関数Nを用いて、二次元空間で定義された式を有限要素法で解く手法について説明する。まず、式(2)の両辺に任意の重み関数wを乗じ、面積で積分すると式(6)となる。そして、重み関数wと求める解φを、補間関数Nを用いて表現すると、一要素当たりの式は式(7)となる。
このように空間積分を行うことによって、空間の自由度が消滅し、結果的に未知数φに関する方程式となる。そして、任意の重み関数の数nだけφjに関する方程式が得られるので、この連立方程式を解くことで解φを求めることが可能となる。
(有限要素法の磁場解析への適用)
空気中に磁化Mが存在する場合の磁場の方程式は、式(8)で表される。以下、数式等においてアルファベット上に矢印が付されたベクトル表記を、明細書文中では「→A」等と表記する。また、<>は平均を表すものとする。式(8)中、→Aはベクトルポテンシャル、v0は真空の透磁率の逆数、→J0は励磁電流、→Mは磁化ベクトルである。
式(8)の両辺に重み関数wを乗算し、一つの要素について空間積分を行うと、式(9)が得られる。
更に、式(9)の左辺第二項について部分積分を行うと、式(10)が得られる。
なお、式(10)の右辺第二項を導出する過程で関係式(11)を用いている。また、磁化ベクトル→Mに起因する項は、部分積分によって式(12)に書き換えられる。
式(9)の空間積分によって得られる係数cij、dij、ei、fi、giを、次式(13)〜(17)で表す。
そして、式(9)を任意の値の重みwiに対する恒等式とみなすと、重みwiの係数はゼロとなり、連立方程式(18)が得られる。
式(18)は、一つの要素における未知数Ajに関する連立方程式である。全ての要素に対して未知数Ajに関する連立方程式を合成することで、定義領域全体の連立方程式が構成できる。ここで、要素単位の連立方程式である式(18)のインデックスi、jをそれぞれ、領域全体のインデックスI、Jに書き換え、時刻n、n+1に対して陰解法で記述すると式(19)となる。式(19)における未知数Aj n+1を左辺に移行すると式(20)が得られる。
そして、式(21)のように、未知数Aj n+1に関する連立方程式を解くことにより、時刻n+1における解Aj n+1を求めることができる。なお、解析領域の境界から磁束が流入又は流出しない一般的な場合には、式(21)における→Bがゼロとなり、式(22)が成立する。
こうして解として得られるベクトルポテンシャルAj n+1により、式(23)のように磁束密度Bn+1が得られる。ここで、Nは一つの要素内に定義される補間関数であり、Bn+1は対象となる要素における値である。
そして、式(23)の磁束密度Bn+1を用いて、式(24)の磁界Hj n+1が得られる。
(マイクロマグネティクスをベースとする磁気特性の表現方法)
本実施例の第3演算処理部60は、マイクロマグネティクスにおけるLLG方程式を積分し、LLG方程式が所定値未満となる定常状態の磁化ベクトル→Mを求める。LLG方程式は、式(25)で表される。LLG方程式は、磁性体の磁性体の磁区構造やそれに基づく磁気特性を解析するために用いられる。式(25)中、→Miは磁化ベクトル、→Heffは磁化ベクトルに作用する有効磁界、γはジャイロ磁気定数(Hz・m/A)、αはダンピングコンスタントである。
磁化ベクトルに作用する有効磁界は、式(26)で表される。式(26)中、→Haniは結晶磁気異方性磁界、→Hexcは磁気交換結合磁界、→Hexternalは外部磁界、→Hはその他の磁界(磁界による静磁界、励磁電流、渦電流によるもの)である。
LLG方程式は、複数の部分構造を有する磁性体モデルの磁気特性や磁区構造を解析するために活用されてきた。LLG方程式を解くことで得られる個々の部分構造の磁化ベクトルは、それぞれ空間上の位置に配置され、磁化ベクトルの空間分布による磁界(静磁界、交換結合磁界)も磁気特性に寄与する。しかし、磁化ベクトルの空間分布に依存する有効磁界(静磁界、交換結合磁界)の影響を減らしても、磁性体の特性を近似的に再現することが可能である。従って、詳細な幾何形状を無視した適当なサイズの直方体モデルに対してLLG方程式を適用して磁化ベクトルを算出し、磁化ベクトルの平均値を求めることによって、磁性体の特性を近似的に表現することができる。図6は、立方体を構成する複数の磁化ベクトルを示す図である。図中、矢印が磁化ベクトルの向きを示している。
磁化ベクトルの数(自由度)Pを、図6で示すようにP=l×m×nとすると、磁化ベクトル平均値は式(27)で表わされる。
図7は、磁化ベクトルの平均値と外部磁界の関係を示す図である。図示するように、磁化ベクトルの平均値を用いた結果は、磁気ヒステリシスを正確に再現することができる。
LLG方程式を磁性体に適用した場合、扱える磁性体の大きさは数百ミクロンが限界である。従って、本実施例の磁性体特性解析装置1では、有限要素法を用いてメッシュへの分割を行った各要素に対してLLG方程式を適用する。これによって、解析対象の形状やサイズに拘わらず、LLG方程式を用いた磁気特性の解析を行うことができる。
(サブグリッドの導入)
ところで、特性解析対象となる磁性体の一例である平板状の電磁鋼板に流れる渦電流には、二つのタイプが存在する。一つは、電磁鋼板面に垂直な磁束が変化することで生じる渦電流であり、この渦電流は電磁鋼板の厚さ方向に分布を持たない。図8は、電磁鋼板面に垂直な磁束が変化することで生じる渦電流を示す図である。もう一つは、電磁鋼鈑面に平行な磁束が変化することで生じる渦電流であり、この渦電流は板厚方向に分布を持つ。図9は、電磁鋼板面に並行な磁束が変化することで生じる渦電流を示す図である。
ところで、LLG方程式を用いた磁気特性の解析は、メッシュに分割された要素が立方体に近い程、精度が向上すると共に速やかに収束(後述する)に至り、メッシュに分割された要素が薄い平板状になると、精度が悪化すると共に収束が遅延するという性質を有する。このため、特性解析対象となる磁性体が平板状であれば、板厚方向にはメッシュに分割しない(或いは分割数を少なくする)ことが、精度及び速度の点で有益である。
しかしながら、図9に示す電磁鋼板面に並行な磁束が変化することで生じる渦電流の影響を有限要素法解析で再現するためには、板厚方向に多くのメッシュへの分割が必要となる。このため、メッシュに分割された要素を立方体に近づけるためには、メッシュに分割された要素の板厚方向の長さに合わせて、他の方向の長さを短くする必要がある。この結果、磁性体を細かくメッシュに分割する必要が生じる。図10は、要素の板厚方向の長さに合わせて磁性体を細かくメッシュに分割する様子を示す図である。
図10のように細かくメッシュへの分割を行うと、必然的に処理速度が低下する。そこで、本実施例の磁性体特性解析装置1では、有限要素法における均質化法を適用し、要素内にサブグリッドを設定して磁場解析を行う。そして、各サブグリッドが画成するサブ要素について平均磁化を求め、これを要素内で平均して各要素(マクロ要素)についての平均磁化を求める。
図11は、通常のメッシュへの分割が行われた解析対象(図中(A))と、均質化法が適用された解析対象(図中(B))とを比較した図である。均質化法が適用された解析対象には、通常のメッシュへの分割が行われたマクロ要素内で、解析対象の板厚方向(図中、Z軸方向)に並ぶ一次元線分のサブグリッドが設定される。サブグリッドは、要素のZ軸方向に関する一端から他端に向かう線上で、例えば所望の長さ毎に切り取られた線分である。また、要素内には、サブグリッドを包含し、マクロ要素がZ軸方向に分割された領域が複数個存在することになる。以下、この領域をサブ要素と称する。図12は、マクロ要素、サブグリッド、及びサブ要素の関係を示す分解斜視図である。
均質化法では、サブグリッドを用いて、板厚方向一次元に対して面内二成分の磁場の方程式を解く。均質化法を用いた磁場解析は、マクロ要素に対する磁場解析と、サブグリッドの1次元磁場解析とを連成し収束させることで解を求めるものである。
一般的な均質化法は、マクロ要素の解析結果から各サブグリッドに磁場の情報(ベクトルポテンシャル)を渡して解析を行い、各サブグリッドからは材料情報(透磁率、磁化、導電率等)を渡すことで、全体の磁化分布を求める手法である。図13は、均質化法を適用した一つの要素におけるパラメータの配置方法である。
図示するように、均質化法では、ベクトルポテンシャルa(サブグリッドにおけるベクトルポテンシャルは小文字のaで表す)は各サブグリッドに配置され、磁束密度Bと透磁率μはサブ要素に配置される。各サブ要素を板厚方向に貫く縦の線は、サブグリッドが配置される一次元空間(直線)である。均質化法では、辺または節点の値をサブ要素中心に補間したベクトルポテンシャルAと、サブ要素の中心に配置される磁束密度Bを用いて、サブ要素の上下面の中心(サブグリッドの両端)におけるベクトルポテンシャルの値を計算する(式(28)〜(31))。そして、均質化法では、これらの値をサブグリッドの境界値として、X成分とY成分のベクトルポテンシャルを未知数とする磁場の式を解く。式(32)、(33)は、サブグリッドに関して解かれる磁場の式である。
サブグリッドの磁場解析からマクロの磁場解析に引き渡す透磁率は、式(34)、(35)で与えられる。式(34)で求められる透磁率は、電磁鋼板の面内成分の透磁率であり、式(35)で求められる透磁率は、電磁鋼板の面に垂直な成分の透磁率である。式(34)の分母はサブグリッドの空気層の磁界であり、分子はマクロの磁場解析で得られる磁束密度である。また、式(35)のliはサブグリッドにおけるi番目のメッシュ幅、μiはサブグリッドにおけるi番目の透磁率である。
図14は、通常の要素に対するマクロの磁場解析と、電磁鋼板を構成する全てのメッシュのサブグリッドにおける1次元の磁場解析との間で変数を共有し合いながら収束計算を行う様子を示す図である。均質化法は、サブグリッドで面内の磁界成分の厚さ方向の分布を考慮できるため1メッシュ内の渦電流を再現することができる。
均質化法を適用することで、厚さ方向のメッシュが一つ(或いは少数)であっても、厚さ方向の渦電流分布を考慮することができる。この結果、モータ等の電磁鋼板を有する磁性体の特性解析時間を短縮することができる。
しかしながら、上記説明した均質化法の手法では、透磁率を用いて磁性材料を表現しているため、ヒステリシスを考慮したBHカーブを再現することが困難であるという課題が存在する。
そこで、本実施例の磁性体特性解析装置1では、均質化法におけるサブグリッドからマクロの解析に磁化ベクトルを渡すことで連成解析を行い、その上でLLG方程式の積分処理を行う。
式(36)は、マイクロマグネティクスの磁化ベクトル平均値<M>である。一方、均質化法を適用する要素における磁化ベクトル平均値は、式(37)で表される。ここで、Nは統計平均で磁性材料を表現するために用いる磁化ベクトルMのサンプル数、Nsubはサブ要素の数である。
図15は、均質化法のサブグリッドが画成するサブ要素における磁化ベクトル→Miの割り当て方法を示す図である。本実施例の磁性体特性解析装置1では、マクロの要素内のサブ要素(図では0、1、2、3)に複数の磁化ベクトル→Miを配置し、サブ要素内の磁化ベクトルの平均値<→M>を、各サブ要素における平均磁化(以下、サブ平均磁化と称する)を定義する。更に、本実施例の磁性体特性解析装置1では、マクロ要素内の各サブ要素に関するサブ平均磁化<→M>の平均値<<→M>>をマクロ平均磁化と定義する。
[具体的動作]
図16は、第1演算処理部40、第2演算処理部50、及び第3演算部60により実行される処理を概念的に示す図である。また、図17は、制御部70により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図17に示すように、まず、制御部70は、パラメータの初期化を行う(S100)。パラメータの初期化には、磁場の非定常計算ステップN、サブグリッドの磁場解析とLLG時間積分の反復回数M1、及びLLGループ回数M2の指定、収束判定閾値εの設定、磁場の方程式の時間ステップnの初期化等が含まれる。制御部70は、設定入力受付部30が受け付けた値、或いはデフォルト値として補助記憶装置16等に格納された値を読み込み、メモリ装置18上に展開する。
次に、制御部70は、物性情報を設定し、外部磁界→Hexternalの初期値を設定する(S102)。物性情報や外部磁界→Hexternalは、上記パラメータと同様に、設定入力受付部30が受け付けた値、或いはデフォルト値として補助記憶装置16等に格納された値であり、メモリ装置18上に展開される。
次に、制御部70は、有限要素法におけるメッシュへの分割を行い、複数の要素及びサブ要素を設定する(S104)。
次に、制御部70は、第3演算処理部60がLLG方程式の計算を行う際の自由度(サブ要素内で磁化ベクトル→Miを計算する内部構造の数)Pを設定する(S106)。
次に、制御部70は、各サブ要素内の内部構造について、初期の磁化ベクトルを例えばランダムに設定する(S108)。そして、制御部70は、設定した磁化ベクトルに基づいてサブ平均磁化<→M>、及びマクロ平均磁化<<→M>>を算出する(S110)。なお、S106〜S110の処理は、第3演算処理部60により行わせてもよい。
このように処理状態の設定が終了すると、制御部70は、第1演算処理部40にマクロの磁場解析を行わせる(S112)。第1演算処理部40は、S110又は後述するS124において算出されたマクロ平均磁化<<→M>>を図16における式(38)に代入し、ベクトルポテンシャル→Aj n+1を算出する。
次に、制御部70は、サブグリッドの磁場解析とLLG時間積分の反復回数jを初期化する(S114)。そして、制御部70は、第2演算部50に、サブグリッドの磁場解析の連立方程式を解くことによりベクトルポテンシャルa、磁束密度B、磁界Hを算出させ、反復回数jを1増加させる(S116)。
第2演算部50は、図16における式(39)により、第1演算処理部40が算出したベクトルポテンシャルAj n+1を用いて、ベクトルポテンシャルの面内成分(サブグリッド方向に直行する平面内の成分)a//j n+1を算出する。次に、第2演算部50は、ベクトルポテンシャルの面内成分a//j n+1を用いて、図16における式(40)により磁束密度→Bn+1を算出する。そして、第2演算部50は、磁束密度→Bn+1を用いて、図16における式(41)により磁界→Hn+1を算出する。ここで、磁界→Hn+1は、磁束密度→Bn+1を真空透磁率μ0で除算して得られる成分(→H1 n+1)と、平均磁化<M>の符号を逆にした値を真空透磁率μ0で除算して得られる成分(→H2 n+1)に分解することができる。第2演算処理部50は、これらのうち磁束密度→Bn+1を真空透磁率μ0で除算して得られる成分→H1 n+1を第3演算処理部60に出力する。
次に、制御部70は、LLG方程式の時間ステップを初期化し(S118)、第3演算処理部60に以下の処理を実行させる。
第3演算処理部60は、図16における式(42)により有効磁界を算出する(S120)。ここで、第3演算処理部60は、式(42)における磁界の項→H1 n+1については、S116において第2演算処理部50により算出された値を固定値として用いるが、他の成分<→M>/μ0については、S124で更新した値を再帰的に反映させる。
次に、第3演算処理部60は、各サブ要素の内部構造について、図16における式(43)に示すLLG方程式を設定し、LLG方程式を時間積分して磁化ベクトル→Miを算出する(S122)。
そして、第3演算処理部60は、各サブ要素について、図16における式(44)により、サブ平均磁化<→M>を求めてサブ平均磁化<→M>を更新し、更に式(45)によりマクロ平均磁化<<→M>>を求めてマクロ平均磁化<<→M>>を更新する。マクロ平均磁化<<→M>>は、各マクロ要素について算出・更新される。式(44)、(45)におけるlはサブ要素の識別子であり、Xは一つのマクロ要素内におけるサブ要素の数である。そして、第3演算処理部60は、LLG方程式の時間ステップkを1増加させる(S124)。
次に、第3演算処理部60は、LLG方程式の時間ステップkがLLGループ回数M2に等しくなったか否かを判定する(S126)。LLGループ回数M2は、例えば数十〜数百程度の値に設定される。
LLG方程式の時間ステップkがLLGループ回数M2に等しくない場合、第3演算処理部60は、S120に戻り処理を実行する(ループ(A))。
LLG方程式の時間ステップkがLLGループ回数M2に等しくなると、第3演算処理部60の処理が一時的に終了し、制御部70がサブグリッドの磁場解析とLLG時間積分の反復回数jが反復回数M1に等しくなったか否かを判定する(S128)。反復回数M1は、例えば数回〜数十回程度の値に設定される。
反復回数jが反復回数M1に等しくない場合、S116に戻り第2演算処理部50が処理を実行する。
反復回数jが反復回数M1に等しくなると、制御部70がマクロ平均磁化<<→M>>の残差δ<<M>>を算出する(S130)。残差δ<<M>>は、S112〜S124の処理において最終的に算出されたマクロ平均磁化<<→M>>から、前回実行されたS112〜S122の処理において最終的に算出されたマクロ平均磁化<<→M>>を差し引いた値に基づく指標値である。残差δ<<M>>は、例えば各要素について算出されたマクロ平均磁化<<→M>>の平均値<<<→M>>>の差分である。また、残差δ<<M>>は、各要素についてのマクロ平均磁化<<→M>>の差分の集合であっても構わない。
残差δ<<M>>は、例えば式(46)〜(48)により算出される。式(48)により最も高精度に残差δ<<M>>が算出されるが、処理負荷が大きいため、磁性体特性解析装置1は、解析に求められる精度に応じていずれか任意の式を採用してもよいし、ユーザ設定等によって切り換えてもよい。
残差δ<<M>>を算出すると、制御部70は、残差δ<<M>>が収束判定閾値ε未満であるか否かを判定する(S132)。本ステップの判定は、残差δ<<M>>がマクロ平均磁化<<→M>>の平均値<<<→M>>>の差分である場合は、当該平均値<<<→M>>>の差分が収束判定閾値ε未満であるか否かを判定するものとなる。また、残差δ<<M>>が各要素についてのマクロ平均磁化<<→M>>の差分の集合である場合は、例えば差分の全てが収束判定閾値ε未満であるかを判定する。
残差δ<<M>>が収束判定閾値ε以上である場合、S112に戻り、第1演算処理部40がマクロの磁場解析を行う(ループ(C))。
残差δ<<M>>が収束判定閾値ε未満である場合、現在の外部磁界→Hexternalに関してマクロ平均磁化<<→M>>が十分に収束したと判断することができる。従って、磁性体特性解析装置1は、外部磁界→Hexternalとマクロ平均磁化<<→M>>の規格化した値(例えば各要素について平均した値)を、解析結果の一部として出力する(S134)。係る解析結果は、例えばメモリ装置18に格納される。
次に、制御部70は、磁場の方程式の時間ステップnが磁場の非定常計算ステップNに等しくなったか否かを判定する(S136)。
磁場の方程式の時間ステップnが磁場の非定常計算ステップNに等しくない場合、制御部70は、An+1=An、n=n+1とし、時間ステップを進める(S138)。この際に、制御部70は、は、予め定められた外部磁界の時間当たりの変動量等に基づき、外部磁界→Hexternalを一定量変更する。そして、S112に戻り、第1演算処理部40がマクロの磁場解析を行う(ループ(D))。
ループ(D)に係る処理を繰り返し実行することによって、外部磁界→Hexternalと、当該外部磁界が与えられた際のマクロ平均磁化<<→M>>の収束値を規格化した値(例えば要素間平均)との組み合わせであるデータが複数個出力されることになる。係る複数個のデータが、本実施例の磁性体特性解析装置1の解析結果の一つとなる。図18は、本実施例の磁性体特性解析装置1の解析結果を表示装置24により表示した画面例である。図示するように、磁性体特性解析装置1の解析結果は、例えば外部磁界と平均磁化の関係を示すBHカーブとなる。
磁場の方程式の時間ステップnが磁場の非定常計算ステップNに等しくなると、制御部70は、本フローチャートの処理を終了する。
なお、S132における外部磁界→Hexternalの変更程度は、例えば磁場の方程式の時間ステップnが磁場の非定常計算ステップNに等しくなる時点で一巡するように、予め設定されている。
本実施例の磁性体特性解析装置1は、上記説明したループ(A)〜(C)の処理によって、マクロ平均磁化<<→M>>の収束を早め、処理速度を向上させることができる。第2演算部50が算出する磁界の成分H1 n+1は、磁化分布、励磁電流、渦電流等に起因する成分であり、マクロ平均磁化<<→M>>が変化する時間と比較すると、緩やかに変化する。
この結果、磁界の成分H1 n+1は、磁界の成分H2 n+1に比して緩やかに時間変化し、磁界の成分H2 n+1の変化に対して静止しているものとして扱うことができる。これに対し、磁界の成分H2 n+1は、LLG方程式の時間発展に関するループ(A)の中でマクロ平均磁化<<→M>>と共に変化する磁界であり、解析結果となり得るBHカーブの形に大きく影響する。
更に、有限要素法による磁場解析では、メッシュに分割された各要素に関する連立方程式を解く必要があるため、S112の磁場解析は、S122のLLG方程式の時間積分に比して、多くの処理時間を要するものである。
従って、ループ(A)において、磁界の成分H1 n+1を固定しつつ、マクロ平均磁化<<→M>>に比例する磁界の成分H2 n+1を変化させることにより、ループ(C)におけるマクロ平均磁化<<→M>>の収束を早めることができる。
また、S112の処理を一回実行した後、ループ(A)、(B)の処理を複数回実行することにより、例えばこれらを一回ずつ交互に実行する場合に比して、多くの処理時間を要する有限要素法による磁場解析の実行頻度を低下させることができる。この結果、高速且つ高精度に磁性体の特性を解析することができる。
更に、本実施例の磁性体特性解析装置1は、メッシュに分割された要素をサブ要素に分割し、サブグリッド及びサブ要素について磁場解析を行っているため、要素数を過大にすることなく、薄い板状の磁性体について渦電流を正確に反映させることができる。
この結果、更に高速且つ高精度に磁性体の特性を解析することができる。
[参考手法との比較]
ここで、本実施例に係る手法と、サブグリッドを設定せずに磁性体の特性解析を行う手法(以下、参考手法と称する)との比較について説明する。図19は、参考手法において実行される処理を概念的に示す図である。図示するように、参考手法では、有限要素法によるマクロの磁場解析によって磁界の成分H1 n+1を算出し、これを固定値としてLLG方程式を複数回積分している。また、図20は、参考手法において実行される処理の流れを示すフローチャートである。図20に示す参考手法の処理の流れは、図17に示す本実施例の処理の流れと比較すると、S114、S116、S128の処理が省略され、ループ(B)が無くなっている。このため、サブグリッドを設定しないことをカバーするためにメッシュへの分割を細かく行う必要が生じる。
本出願の出願人は、本実施例に係る手法と、参考手法の双方により磁性体の特性解析シミュレーションを行った。参考手法では、サブグリッドを設定しない代わりにメッシュへの分割を十分に細かく設定するものとした。この結果、本実施例の処理結果は、与えられた外部磁界→Hexternalに対して平均磁化<→M>が収束した際の平均磁化<→M>について、参考手法による処理結果と一致する筈である。
図21は、本実施例に係る手法により用いられたメッシュデータ(図中(A))と、参考手法により用いられたメッシュデータ(図中(B))を比較した図である。双方のメッシュデータは、同様のサイズ、形状の板状磁性体に関するものである。本実施例に係る手法により用いられたメッシュデータは厚さ方向にメッシュが分割されていないが、参考手法により用いられたメッシュデータは、厚さ方向に32層に分かれるようにメッシュへの分割が行われている。
特性解析シミュレーションにおいて使用されたパラメータを、以下に示す。外部磁界の大きさは、磁性体のBH特性が線形となる範囲の大きさとした。
・導電率 :1.92E6[/Ωm]
・透磁率 :500×μ0[H/m](μ0=4π×10-7
・外部磁界の周波数 :1000、5000[Hz]
・外部磁界の振幅 :5000[A/m]
・外部磁界の向き :X軸(図8、9、21を参照)
図22は、外部磁界の周波数を1000[Hz]とした場合の外部磁界の時間変化を示す図である。そして、図23、24は、図22に示す外部磁界を本実施例に係る手法と参考手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。図示するように、本実施例の手法によるシミュレーション結果は、サブグリッドを設定せずに、十分に細かくメッシュに分割した場合のシミュレーション結果と一致することが分かる。
また、図25は、外部磁界の周波数を5000[Hz]とした場合の外部磁界の時間変化を示す図である。そして、図26、27は、図25に示す外部磁界を本実施例に係る手法と参考手法に与えた場合のシミュレーション結果を示す図である。図示するように、本実施例の手法によるシミュレーション結果は、サブグリッドを設定せずに、十分に細かくメッシュに分割した場合のシミュレーション結果と一致することが分かる。
このように、本実施例の手法は、参考手法と同様の結果を得ることができるものであるが、参考手法に比して高速に処理結果を出力することができる。図28は、本実施例の手法と参考手法による処理時間を比較した図である。図示するように、本実施例の手法を用いることにより、参考手法と比較して処理時間を約1/1000以下に短縮することができると考えられる。
この処理時間の短縮効果が生じる理由について説明する。一例として、参考手法において、一枚の電磁鋼板の膜厚方向にメッシュを分割して計算する場合を考える。例えば0.35[mm]の厚さの電磁鋼板に対して膜厚方向に32分割すると、厚さ方向のメッシュ1辺の長さが約0.011[mm]となる。解析において許容できるメッシュアスペクト(長辺/短辺)を9とすると、電磁鋼板面内のメッシュサイズは約0.1[mm]である。更に、モータを構成する一枚の電磁鋼板の面積を10[cm]×10[cm]と仮定すると、面内のメッシュ数は100[cm2]/(0.1[mm]×0.1[mm])=1.0×106であり、全体では3.2×107である。
一方、本実施例の手法を用いる場合、許容できるメッシュアスペクトを9とすると、面内のメッシュサイズは9×0.35[mm]=3.15[mm]であるため、メッシュ数は、100[cm2]/(3.15[mm]×3.15[mm])=1.0×103となる。本実施例の手法を適用することにより、メッシュ数を(1.0×103)/(3.2×107)=3×10-5に低減できるため、磁場解析の計算時間を約1/10000以下に短縮することができる。なお、サブグリッドの磁界計算は一次元の計算であるため、グローバルな処理が必要な三次元の磁界計算に比べて負荷が小さいので無視することができる。
ところで、本実施例の手法のように均質化法を用いたとしても、サブグリッド内でLLG方程式を解く必要は生じるため、厚さ方向の処理量は低減できない。そこで、面内のメッシュ数を比較すると、本実施例の手法を適用することで(1.0×103)/(1.0×106)=1.0×10-3だけLLG方程式の時間積分の処理量が低減できる。この結果、LLG方程式の時間積分の計算時間を約1/1000以下に短縮することができる。
これらを総合すると、磁場解析の計算時間を約1/10000以下に短縮することができ、LLG方程式の時間積分の計算時間を約1/1000に短縮することができるため、全体としての処理時間は約1/1000以下に短縮することができると考えられる。
[まとめ]
以上説明した本実施例の磁性体特性解析プログラム、磁性体特性解析装置、及び磁性体特性解析方法によれば、板状の磁性体の厚さ方向にサブグリッドを設定し、サブグリッドについて磁場解析を行うため、高速且つ高精度に磁性体の特性を解析することができる。
また、磁界の成分H1 n+1を固定しつつ、磁界の成分H2 n+1を変化させてLLG方程式の積分を複数回行うため、マクロ平均磁化<<→M>>の収束を早めることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上記実施例では、LLGループ回数Mを固定値としたが、ループ(B)を繰り返し実行する回数(LLG方程式の時間ステップk)が増加するのに応じて、LLGループ回数Mが徐々に小さくなるように変更してもよい。平均磁化<→M>の収束が近づくと、平均磁化<→M>の変動幅が徐々に小さくなるからである。
以上の説明に関し、さらに以下の項を開示する。
(付記1)
磁性体特性解析プログラムにおいて、
磁性体特性解析装置に、
解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出させ、
前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする磁性体特性解析プログラム。
(付記2)
磁性体特性解析プログラムにおいて、
前記各要素のベクトルポテンシャルを算出させる処理と、
前記サブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理と、を交互に繰り返し実行させることを特徴とする付記1記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記3)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、
前記算出した磁界を固定値として前記各要素に作用する有効磁界を算出させ、
前記算出した有効磁界を用いてLLG方程式を時間積分することにより前記サブグリッドを包含するサブ要素内の磁化ベクトルを算出させ、
前記算出した磁化ベクトルを平均して前記各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする付記1又は2記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記4)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、前記有効磁界を算出させ、前記磁化ベクトルを算出させ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理を、該算出された平均磁化を前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行わせることを特徴とする付記3記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記5)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出する処理と、前記複数回行う処理と、を交互に複数回ずつ前記磁性体特性解析装置に実行させることを特徴とする付記4記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記6)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記磁性体特性解析装置に、
設定値である外部磁界を反映させて前記有効磁界を算出させ、
前記各要素についての平均磁化を算出する処理を実行させた後、該各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化と、前回の前記各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化との変化を示す指標値が所定値未満であるか否かを判定させ、
該指標値が所定値未満である場合、前記外部磁界を変更させることを特徴とする付記1ないし5のいずれか1項記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記7)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記指標値が所定値未満となった場合、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理により算出された平均磁化に応じた値と、前記指標値が所定値未満となった際に設定されている外部磁界の組み合わせを解析結果として前記磁性体特性解析装置に出力させることを特徴とする付記6記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記8)
前記磁性体特性解析プログラムは更に、
前記磁性体特性解析装置に、
前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、前記有効磁界を算出させ、前記磁化ベクトルを算出させ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理を、前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行わせる処理の実行回数を、前記外部磁界が不変である期間の経過に応じて徐々に減少させることを特徴とする付記4記載の磁性体特性解析プログラム。
(付記9)
解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出するベクトルポテンシャル算出部と、
前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行なう磁場解析部と、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出する平均磁化算出部を有することを特徴とする磁性体特性解析装置。
(付記10)
磁性体特性解析装置において、
前記ベクトルポテンシャル算出部による処理と、
前記磁場解析部による処理及び前記平均磁化算出部による処理と、を交互に繰り返し実行させることを特徴とする付記9記載の磁性体特性解析装置。
(付記11)
前記平均磁化算出部は、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、前記算出した磁界を固定値として前記各要素に作用する有効磁界を算出し、
前記算出した有効磁界を用いてLLG方程式を時間積分することにより前記サブグリッドを包含するサブ要素内の磁化ベクトルを算出し、
前記算出した磁化ベクトルを平均して前記各要素についての平均磁化を算出することを特徴とする付記9又は10記載の磁性体特性解析装置。
(付記12)
前記平均磁化算出部は、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、
前記有効磁界を算出し、前記磁化ベクトルを算出し、前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、該算出した平均磁化を前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行うことを特徴とする付記11記載の磁性体特性解析装置。
(付記13)
前記平均磁化算出部は、前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出する処理と、前記複数回行う処理と、を交互に複数回ずつ実行することを特徴とする付記12記載の磁性体特性解析装置。
(付記14)
前記平均磁化算出部は、設定値である外部磁界を反映させて前記有効磁界を算出し、
前記各要素についての平均磁化を算出する処理を実行した後、該各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化と、前回の前記各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化との変化を示す指標値が所定値未満であるか否かを判定し、
該指標値が所定値未満である場合、前記外部磁界を変更することを特徴とする付記9ないし13のいずれか1項記載の磁性体特性解析装置。
(付記15)
前記指標値が所定値未満となった場合、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理により算出された平均磁化に応じた値と、前記指標値が所定値未満となった際に設定されている外部磁界の組み合わせを解析結果として出力することを特徴とする付記14記載の磁性体特性解析装置。
(付記16)
前記平均磁化算出部は、前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、前記有効磁界を算出し、前記磁化ベクトルを算出し、前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、該算出した平均磁化を前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行う処理の実行回数を、前記外部磁界が不変である期間の経過に応じて徐々に減少させることを特徴とする付記12記載の磁性体特性解析装置。
(付記17)
磁性体特性解析方法において、
磁性体特性解析装置が、
解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出し、
前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行ない、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出することを特徴とする磁性体特性解析方法。
(付記18)
磁性体特性解析方法において、
前記各要素のベクトルポテンシャルを算出する処理と、
前記サブグリッドを用いた磁場解析を行い、前記各要素についての平均磁化を算出する処理と、を交互に繰り返し実行することを特徴とする付記17記載の磁性体特性解析方法。
(付記19)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記磁性体特性解析装置が前記各要素についての平均磁化を算出する場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、
前記算出した磁界を固定値として前記各要素に作用する有効磁界を算出し、
前記算出した有効磁界を用いてLLG方程式を時間積分することにより前記サブグリッドを包含するサブ要素内の磁化ベクトルを算出し、
前記算出した磁化ベクトルを平均して前記各要素についての平均磁化を算出することを特徴とする付記17又は18記載の磁性体特性解析方法。
(付記20)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記磁性体特性解析装置が前記各要素についての平均磁化を算出する場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、前記有効磁界を算出し、前記磁化ベクトルを算出し、前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、該算出された平均磁化を前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行うことを特徴とする付記19記載の磁性体特性解析方法。
(付記21)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出する処理と、前記複数回行う処理と、を交互に複数回ずつ前記磁性体特性解析装置が実行することを特徴とする付記20記載の磁性体特性解析方法。
(付記22)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記磁性体特性解析装置が、
設定値である外部磁界を反映させて前記有効磁界を算出し、
前記各要素についての平均磁化を算出する処理を実行した後、該各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化と、前回の前記各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化との変化を示す指標値が所定値未満であるか否かを判定し、
該指標値が所定値未満である場合、前記外部磁界を変更することを特徴とする付記17ないし21のいずれか1項記載の磁性体特性解析方法。
(付記23)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記指標値が所定値未満となった場合、前記各要素についての平均磁化を算出する処理により算出された平均磁化に応じた値と、前記指標値が所定値未満となった際に設定されている外部磁界の組み合わせを解析結果として前記磁性体特性解析装置が出力することを特徴とする付記22記載の磁性体特性解析方法。
(付記24)
前記磁性体特性解析方法は更に、
前記磁性体特性解析装置が、
前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出する場合、
前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出した後、前記有効磁界を算出し、前記磁化ベクトルを算出し、前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行わせる処理の実行回数を、前記外部磁界が不変である期間の経過に応じて徐々に減少させることを特徴とする付記20記載の磁性体特性解析方法。
1 磁性体特性解析装置
10 CPU
12 ドライブ装置
14 記憶媒体
16 補助記憶装置
18 メモリ装置
20 インターフェース装置
22 入力装置
24 表示装置
30 設定入力受付部
40 第1演算処理部
50 第2演算処理部
60 第3演算処理部
70 制御部

Claims (10)

  1. 磁性体特性解析プログラムにおいて、
    磁性体特性解析装置に、
    解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出させ、
    前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする磁性体特性解析プログラム。
  2. 磁性体特性解析プログラムにおいて、
    前記各要素のベクトルポテンシャルを算出させる処理と、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析を行わせ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理と、を交互に繰り返し実行させることを特徴とする請求項1記載の磁性体特性解析プログラム。
  3. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、
    前記算出した磁界を固定値として前記各要素に作用する有効磁界を算出させ、
    前記算出した有効磁界を用いてLLG方程式を時間積分することにより前記サブグリッドを包含するサブ要素内の磁化ベクトルを算出させ、
    前記算出した磁化ベクトルを平均して前記各要素についての平均磁化を算出させることを特徴とする請求項1又は2記載の磁性体特性解析プログラム。
  4. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、前記有効磁界を算出させ、前記磁化ベクトルを算出させ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理を、該算出された平均磁化を前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行わせることを特徴とする請求項3記載の磁性体特性解析プログラム。
  5. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記各要素についての平均磁化を算出する処理を、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出する処理と、前記複数回行う処理と、を交互に複数回ずつ前記磁性体特性解析装置に実行させることを特徴とする請求項4記載の磁性体特性解析プログラム。
  6. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記磁性体特性解析装置に、
    設定値である外部磁界を反映させて前記有効磁界を算出させ、
    前記各要素についての平均磁化を算出する処理を実行させた後、該各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化と、前回の前記各要素についての平均磁化を算出する処理において算出された平均磁化との変化を示す指標値が所定値未満であるか否かを判定させ、
    該指標値が所定値未満である場合、前記外部磁界を変更させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の磁性体特性解析プログラム。
  7. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記指標値が所定値未満となった場合、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理により算出された平均磁化に応じた値と、前記指標値が所定値未満となった際に設定されている外部磁界の組み合わせを解析結果として前記磁性体特性解析装置に出力させることを特徴とする請求項6記載の磁性体特性解析プログラム。
  8. 前記磁性体特性解析プログラムは更に、
    前記磁性体特性解析装置に、
    前記磁性体特性解析装置に前記各要素についての平均磁化を算出させる場合、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により磁界を算出させた後、前記有効磁界を算出させ、前記磁化ベクトルを算出させ、前記各要素についての平均磁化を算出させる処理を、前記有効磁界に再帰的に反映させて複数回行わせる処理の実行回数を、前記外部磁界が不変である期間の経過に応じて徐々に減少させることを特徴とする請求項4記載の磁性体特性解析プログラム。
  9. 解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出するベクトルポテンシャル算出部と、
    前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行なう磁場解析部と、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出する平均磁化算出部を有することを特徴とする磁性体特性解析装置。
  10. 磁性体特性解析方法において、
    磁性体特性解析装置が、
    解析対象が分割された各要素について与えられる平均磁化を用いて、前記各要素のベクトルポテンシャルを算出し、
    前記算出される各要素のベクトルポテンシャルを用いて、前記各要素内において一方向に並ぶサブグリッドを用いた磁場解析を行ない、
    前記サブグリッドを用いた磁場解析により得られた磁界を用いてLLG(Landau Lifshitz Gilbert)方程式を時間積分することにより前記各要素についての平均磁化を算出することを特徴とする磁性体特性解析方法。
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