JP2004219178A - 磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及び記録媒体 - Google Patents

磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に精度が高い磁区構造のシミュレーションを行うことができる磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】コンピュータ等の計算機を用いて、電磁鋼板の静磁エネルギEst、磁区内の結晶磁気異方性エネルギEan及び磁壁エネルギEwを求め、これらの総和(総エネルギ)を求める。磁壁エネルギEwは磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギから構成される。そして、総エネルギが最小となるような磁化の方向、磁化が生成するベクトルポテンシャル及び磁区幅を、有限要素法又は差分法等により求める。この有限要素法に当たっては、磁区の大きさを変化させる際に、磁区幅が変化する方向のスケールを磁区幅の変化に応じて変化させる。このとき、全領域の再区画を行うのではなく、磁区幅が変化する方向のスケールを変化させる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁鋼板等の磁性材料の開発に好適な磁性材料の磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性材料の特性、例えばエネルギ損失及び磁歪等は、一般的に、磁区構造に起因すると考えられている。従って、磁性材料の特性向上は、磁区構造を最適化することにより達成される。磁区構造を変化させる要因は多数存在し、例えば材料自体の形状、表面の状態、結晶方位及び歪等が挙げられる。
【0003】
そして、磁区構造を変化させることを目的として、トランス等に使用される電磁鋼板等では、その表面に溝等の外乱が付与されている。このような外乱の付与により、磁区が細分化される。一方、磁性材料の損失には、大別して、ヒステリシス損と渦電流損とが存在する。渦電流損は、更に古典渦電流損と異常渦電流損とに分類される。上記の磁区の細分化には、異常渦電流損を低減する効果がある。
【0004】
磁区構造を解析する方法としては、例えば、コロイド法、磁区SEM、カー効果又はファラデー効果を利用した磁気光学法等がある。但し、これらの方法では、使用の変化に応じて、その都度試料を作る必要があり、多大な手間及び時間が必要とされる。また、試料の表面近傍の磁区構造の解析は可能であるが、試料の内部の磁区構造を解析することが困難である。これは、磁性材料の磁気特性には、形状異方性があるため、試料の切断等を行うと、本来の磁区構造が変化してしまうためである。
【0005】
そこで、計算機を使用した磁区構造のシミュレーション方法が研究されている。例えば、文献(Riccardo Hertel and Helmut Kronmuller、「Physical ReviewB」、1999年、60巻、p.7366−7378)には、パーマロイ薄膜における磁区構造の解析を、Landau−Lifshitz−Gilbert(LLG)方程式を用いて行う方法が記載されている。この解析で対象とされているパーマロイ薄膜は、磁気記録装置の磁気ヘッド等に使用されており、そのサイズはナノスケールである。このため、磁区の大きさと磁壁の大きさとの差は小さく、数値計算における最小スケールで磁壁内の磁化分布を表現することが可能である。従って、パーマロイ薄膜については、LLG方程式を直接適用してその磁区構造をシミュレーションすることが可能である。
【0006】
また、方向性珪素鋼板についての磁区細分化効果の解析方法が文献(石田昌義、中野恒、本田厚人、佐藤圭司、「方向性珪素鋼板に導入した線状溝による磁区細分化効果の解析」、日本応用磁気学会誌、1994年、18巻、p.809−813)に記載されている。一般に、電磁鋼板については、上述のように、その表面に溝等の外乱を導入して磁区細分化を行い、異常渦電流を下げる開発が行われている。そして、上記の文献には、溝による磁区細分化の効果を極めて単純な計算モデルを用いて調べる方法が記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
Riccardo Hertel and Helmut Kronmuller、「Physical Review B」、1999年、60巻、p.7366−7378
【非特許文献2】
石田昌義、中野恒、本田厚人、佐藤圭司、「方向性珪素鋼板に導入した線状溝による磁区細分化効果の解析」、日本応用磁気学会誌、1994年、18巻、p.809−813
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アモルファス材料を含む電磁鋼板のような軟質磁性材料においては、磁区の大きさが数百μmであるのに対し、磁壁の厚さが数十nm程度であり、これらの大きさの相違が極めて大きい。従って、パーマロイ薄膜と同様にして、LLG方程式を直接適用すると、分割数、即ち未知変数の数が増大し、膨大な計算量が必要とされ、非現実的である。
【0009】
また、上記文献に記載された極めて単純な計算モデルを用いた方法は、解析的な計算に基づくものであるため、矩形の溝が形成されているモデル以外に適用することができない。更に、磁化の変化や結晶磁気異方性も考慮されていないため、還流磁区を扱うことができず、磁気エネルギを正確に見積もることができていない。この結果、このシミュレーションでも、実測値と計算値との差が大きく、この方法に基づいて磁区構造を最適化することは極めて困難である。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、容易に精度が高い磁区構造のシミュレーションを行うことができる磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0012】
本願の第1の発明に係る磁区構造解析装置は、磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める磁区構造解析装置であって、磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出手段と、磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出手段と、磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出手段と、前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本願の第2の発明に係る磁区構造解析方法は、計算機を用いて、磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める磁区構造解析方法であって、磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出工程と、磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出工程と、磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出工程と、前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本願の第3の発明に係る磁区構造解析プログラムは、コンピュータに、磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める処理を実行させる磁区構造解析プログラムであって、前記コンピュータに、磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出処理と、磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出処理と、磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出処理と、前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出処理と、を実行させることを特徴とする。
【0015】
本願の第4の発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の磁区構造解析プログラムを記録したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る磁性材料の磁区構造解析装置、磁区構造解析方法、磁区構造解析プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
先ず、磁性材料の磁区構造の解析方法について説明する。本実施形態においては、コンピュータ等の計算機を用いて、磁性材料、例えば電磁鋼板の静磁エネルギEst、磁区内の結晶磁気異方性エネルギEan及び磁壁エネルギEwを求め、これらの総和(総エネルギ)を求める。ここで、磁壁エネルギEwは、例えば磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギから構成される。また、この磁壁エネルギEwとして、例えば180度磁区を区画する磁壁の磁壁エネルギを考慮する。そして、総エネルギが最小となるような磁化の方向、磁化が生成するベクトルポテンシャル及び磁区幅を、有限要素法又は差分法等により求める。
【0018】
ここで、静磁エネルギEst、磁区内の結晶磁気異方性エネルギEan及び磁壁エネルギEwを求める方法について説明する。
【0019】
先ず、静磁エネルギEstを求める方法について説明する。静磁エネルギEstは、例えば有限要素法又は差分法等により求めることができ、本実施形態では、有限要素法を採用する。具体的には、先ず、図1に示すように、シミュレーションの対象となる電磁鋼板1が含まれる空間を、任意の形状の複数の微小な要素(領域)2に区画する。次に、各要素2について、ベクトルポテンシャル、磁化方位及び結晶方位を設定する。このとき、電磁鋼板1の周囲の空気に属する要素2には、ベクトルポテンシャルのみを設定する。
【0020】
磁化は、|m(ベクトル)|=Ms(自発磁化の大きさ)の条件の下で、任意の方向を向くことができるように設定する。例えば、要素2の集合に含まれる要素iの磁化は、例えば下記数式1のように極座標表示で表す。但し、θ及びφは、未知変数である。
【0021】
【数1】
Figure 2004219178
【0022】
そして、図2に示すモデルに基づいて、静磁エネルギEstを下記数式2のような汎関数で表現する。数式2以降の式中の太字は、その文字が表すものが方向をもっていることを示す。
【0023】
【数2】
Figure 2004219178
【0024】
ここで、数式2中の太字の「A」は、ベクトルポテンシャルであり、下記数式3のように表すことができる。
【0025】
【数3】
Figure 2004219178
【0026】
ここで、Aは辺上の未知変数であり、このベクトルポテンシャルでは、要素の辺上に射影した値を未知変数とする補間関数N(ベクトル)が利用されている。この関数は、特許第2819220号公報及び文献(岩田圭司、「辺要素法三次元磁場解析における電流連続入力方法」、日本応用磁気学会誌、1994年、18巻、p.607−612)に記載されているように、マクロな電磁場解析において高速計算が可能であると知られているが、磁性材料の磁化等を扱うマイクロマグネティクスの分野への適用は、これまで行われていない。
【0027】
なお、ベクトルポテンシャルの表し方は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば未知変数を要素の節点上において補間関数を定めてもよい。また、補間関数も数式3で表されるものに限定されるものではない。例えば、数式3で表される補間関数は1次要素用(k=1〜12)であるが、高次要素用の補間関数を用いてもよい。
【0028】
次に、磁区内の結晶磁気異方性エネルギEanを求める方法について説明する。結晶磁気異方性は、各要素に結晶方位を設定することで定義することができる。要素内の磁化は、静磁エネルギが存在しない場合には、磁化容易軸と一致したときに最も安定するが、実際には、静磁エネルギの存在により、ある特定の方向で落ち着くこととなる。例えば、電磁鋼板(97質量%Fe+3質量%Si)には、磁化容易軸が3方向存在し、結晶構造が立方晶であれば、この結晶磁気異方性エネルギEanは、下記数式4で表すことができる。
【0029】
【数4】
Figure 2004219178
【0030】
ここで、α、α及びαは、磁化m(ベクトル)の磁化容易軸に対する方向余弦であり、Kは磁気異方性定数である。
【0031】
次に、磁壁エネルギEwを求める方法について説明する。この磁壁エネルギEwには、前述のように磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギが含まれている。そして、磁気異方性定数K及び交換定数Aから、π(2AK)1/2で表される値をεとし、磁区の幅をdすると、磁壁エネルギEwは、下記数式5で表すことができる。
【0032】
【数5】
Figure 2004219178
【0033】
このように、総エネルギは、汎関数E(Ak、θ、φ、・・・)で表され、ベクトルポテンシャルの未知変数Ak並びに磁化の向きθ及びφ等から構成される。
【0034】
次に、総エネルギが最小となる磁化方向、磁化が生成するベクトルポテンシャル及び磁区幅を有限要素法により求める方法について説明する。
【0035】
本実施形態では、磁区の大きさ及び要素2の大きさを変化させながら、上記の磁化方向等を求める。このとき、磁区の大きさを変化させる際に、磁区幅が変化する方向のスケールを磁区幅の変化に応じて変化させる。本実施形態では、静磁エネルギEstを用いており、初期状態では、図3(a)に示すように、互いに磁化5の向きが相反する2つの磁区3間に180度磁壁4が存在し、磁区3内に複数の要素2が存在している。そして、磁化方向等を求めるに当たって、磁区3の大きさを変化させるが、このとき、本実施形態では、図3(b)に示すように、全領域の再区画を行うのではなく、図3(c)に示すように、磁区幅が変化する方向のスケールを変化させる。
【0036】
そして、本実施形態では、各未知変数(Ak、θ、φ)に対する勾配、及びこの勾配の勾配を用いた最適化法、例えばNewton−Raphson法等により、総エネルギの最小値を求める。Newton−Raphson法に基づく計算を行うためには、総エネルギの各未知変数に対する勾配、及びこの勾配の勾配から構成される多次元連立方程式を解く必要があるが、本実施形態では、この計算を収束計算により行う。
【0037】
このような方法で総エネルギの最小値を求める場合、要素分割を行う回数は1回のみであるため、極めて効率よく計算を行うことが可能となる。また、有限要素法を用いることにより、複雑な形状の磁性材料にも容易に対応することが可能である。つまり、電磁鋼板では、前述のように、磁区の細分化のために、鋼板に溝を形成することが多いが、本実施形態によれば、いかなる形状の溝にも容易に対応することが可能である。
【0038】
更に、本実施形態では、ベクトルポテンシャルの補間関数に要素の辺上に未知変数が設定される関数を用いているので、多次元連立方程式を解くために使用する行列が対角優勢の疎行列となり、計算が容易である。
【0039】
次に、実際に、本願発明者が行ったシミュレーション及び実測の結果について説明する。この測定では、電磁鋼板として珪素鋼板(Fe−3質量%Si)を対象とし、導入溝の深さと最適な磁区幅との関係を解析した。試料の形状については、珪素鋼板の厚さは0.23mmとし、溝の幅は0.1mmとし、溝のピッチは5mmとした。また、シミュレーションによる解析の条件として、鋼板と鋼板を取り囲む空間を含んだ解析領域全体の分割要素数は35400とした。また、鋼板部分に関しては、図1に示すように、周期境界条件及び鏡面対称条件を設定した。
【0040】
また、実測の試料として、鋼板の表面の面方位と容易磁化軸[100]とが直交しておらず、図4に示すように、容易磁化軸が1.5度だけ珪素鋼板の表面から傾斜しているものを使用した。シミュレーションでもこの傾斜を考慮した。また、シミュレーションでは、珪素鋼板には容易磁化軸が3軸存在し、その結晶は立方晶であるため、結晶磁気異方性を求めるに当たり、数式4を用いた。ここで、磁気異方性定数Kは、4.8×10J/mとした。更に、自発磁化Msは2.16Tとし、180度磁壁の単位面積当たりのエネルギεは3.9×10−3J/mとした。
【0041】
この結果を、図5に示す。図5中の●は本発明の上記の実施形態に係るシミュレーションの結果を示し、四角印は従来の方法に基づくシミュレーションの結果を示し、×は実測値を示す。図5に示すように、本実施形態によれば、従来のものと比較して、実測値に極めて近い結果が得られた。従来の方法は、磁化m(ベクトル)が動かない固定された方法であるため、静磁エネルギが過大に見積もられ、このエネルギを下げるために、結果として磁区幅が小さくなっている。一方、本実施形態では、磁化の方向を未知変数とすることができているので、磁化の変化によるエネルギの利得を考慮することができ、静磁エネルギ等の磁気エネルギを高い精度で見積もることができる。この結果として、還流磁区構造を再現することが可能となり、実測値に近い計算結果が得られている。
【0042】
このような本発明は、特に、電磁鋼板に好適である。これは、電磁鋼板では、磁区の大きさが数百μmであるのに対し、磁壁の厚さが数十nm程度であるため、これらのスケール差が1万倍程度にまで及び、従来のパーマロイ薄膜等に適用しているシミュレーション方法では、空間を区画して方程式を解くに当たり、空間分割数に比例して未知変数が増大し、計算時間が膨大なものとなるためである。
【0043】
なお、本発明の実施形態は、上述のように、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、珪素鋼板及びアモルファス等の電磁鋼板のように、磁区の大きさ(幅)と磁壁の幅との間に大きなスケール差が存在する磁性材料に対しても、高い精度で速やかにその磁区の構造の解析を行うことができる。このため、試行錯誤に基づく実験を行わずとも、シミュレーションにより好ましい磁区構造を見つけ出し、設計及び仕様の変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空間を区画する方法を示す模式図である。
【図2】静磁エネルギを求めるためのモデルを示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態における、磁区の大きさを変化させた場合の要素の変化を示す模式図である。
【図4】試料とその容易磁化軸との関係を示す模式図である。
【図5】シミュレーション及び実測の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1;電磁鋼板
2;要素
3;磁区
4;磁壁
5;磁化

Claims (19)

  1. 磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める磁区構造解析装置であって、
    磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出手段と、
    磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出手段と、
    磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出手段と、
    前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出手段と、
    を有することを特徴とする磁区構造解析装置。
  2. 前記磁壁エネルギは、磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギからなることを特徴とする請求項1に記載の磁区構造解析装置。
  3. 前記各磁壁は、180°磁壁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁区構造解析装置。
  4. 前記静磁エネルギ算出手段は、有限要素法又は差分法を用いて前記静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁区構造解析装置。
  5. 前記静磁エネルギ算出手段は、前記磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させるにあたり、
    前記磁性材料内の磁区の構造を最初に規定する際に前記磁性材料を複数の領域に区画し、
    その後の前記磁区の構造の段階的な変化の度に、前記複数の領域の大きさを変化させながら前記静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁区構造解析装置。
  6. 前記磁性材料は、電磁鋼板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁区構造解析装置。
  7. 計算機を用いて、磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める磁区構造解析方法であって、
    磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出工程と、
    磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出工程と、
    磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出工程と、
    前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出工程と、
    を有することを特徴とする磁区構造解析方法。
  8. 前記磁壁エネルギは、磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギからなることを特徴とする請求項7に記載の磁区構造解析方法。
  9. 前記各磁壁は、180°磁壁であることを特徴とする請求項7又は8に記載の磁区構造解析方法。
  10. 前記静磁エネルギ算出工程において、有限要素法又は差分法を用いて前記静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の磁区構造解析方法。
  11. 前記静磁エネルギ算出工程において、前記磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させるにあたり、
    前記磁性材料内の磁区の構造を最初に規定する際に前記磁性材料を複数の領域に区画し、
    その後の前記磁区の構造の段階的な変化の度に、前記複数の領域の大きさを変化させながら前記静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の磁区構造解析方法。
  12. 前記磁性材料は、電磁鋼板であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の磁区構造解析方法。
  13. コンピュータに、磁性材料内の磁区の構造を段階的に変化させ、段階毎に前記磁性材料の磁気エネルギを算出して、最も磁気エネルギが小さくなる段階を求める処理を実行させる磁区構造解析プログラムであって、
    前記コンピュータに、
    磁化を考慮しながら磁区内の静磁エネルギを算出する静磁エネルギ算出処理と、
    磁化を考慮しながら磁区内の結晶磁気異方性エネルギを算出する結晶磁気異方性エネルギ算出処理と、
    磁壁内の磁壁エネルギを算出する磁壁エネルギ算出処理と、
    前記静磁エネルギ、前記結晶磁気異方性エネルギ及び前記磁壁エネルギの総和を前記磁気エネルギとして算出する総エネルギ算出処理と、
    を実行させることを特徴とする磁区構造解析プログラム。
  14. 前記磁壁エネルギは、磁壁内の結晶磁気異方性エネルギ及び交換エネルギからなることを特徴とする請求項13に記載の磁区構造解析プログラム。
  15. 前記各磁壁は、180°磁壁であることを特徴とする請求項13又は14に記載の磁区構造解析プログラム。
  16. 前記静磁エネルギ算出処理において、有限要素法又は差分法を用いて前記静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の磁区構造解析プログラム。
  17. 前記静磁エネルギ算出処理において、前記磁区の構造の段階的な変化の度に、前記磁性材料を段階的に複数段階の大きさの領域に、その総数を一定としながら区画し、前記領域毎に静磁エネルギを算出することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の磁区構造解析プログラム。
  18. 前記磁性材料は、電磁鋼板であることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載の磁区構造解析プログラム。
  19. 請求項13乃至18のいずれか1項に記載の磁区構造解析プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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