JP2007211167A - 易水分散性カチオン化高分子化合物及びその製造方法 - Google Patents

易水分散性カチオン化高分子化合物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に水又は水系溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物、並びに、その製造方法を提供すること。
【解決手段】カチオン化高分子化合物をアミノシラン系カップリング剤で処理することを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法、及び、前記製造方法により得られることを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、易水分散性カチオン化高分子化合物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、容易に水又は水系溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物、並びにその製造方法に関する。
カチオン化高分子化合物は、その窒素含有率によって定まる親水性、粘性を利用して、一般的に水、又は水を含む混合溶媒(本明細書中において「水系溶媒」という場合がある)に溶解されて、主に、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤などとして幅広く用いられている。このようなカチオン化高分子化合物としては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タラガム、カチオン化コラーゲン、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルクなどが知られている。
これらのカチオン化高分子化合物は、前述のように、一般的に水又は水系溶媒に溶解して使用されるので、使用する立場から言えば、水又は水系溶媒に簡便に溶解することが、重要かつ非常に望まれる特性である。従来より、市販されている易水分散性カチオン化高分子化合物は、溶解時間が短くなるように、一般に、平均粒子径で100μm以下の微粒子に粉砕された状態で販売されている。そして、実際に、水又は水系溶媒に溶解させる場合に、この粒度が活かされている。
しかし、このような微粉砕されたカチオン化高分子化合物を用いて水溶液又は水系媒体溶液を調製する場合、これらの微粉砕されたカチオン化高分子化合物は、水又は水系溶媒への溶解が非常に速いので、そのまま水又は水系溶媒に投入した場合、表面だけが水に濡れて溶解し、互いにくっついて、カチオン化高分子化合物の塊、いわゆる「ママコ」が生成する。一旦この「ママコ」が生成すると、カチオン化高分子化合物の溶解速度を支配する水との接触面積が極度に減少し、その溶解は極めて緩慢になり、もはや工業的プロセスには適さなくなる。
前記のような弊害を解消するために、逆にカチオン化高分子化合物の粒度を、例えば平均粒子径500μmまで大きくして、「ママコ」の生成を無くし、水又は水系溶媒に均一に分散させようと試みても、実質上「ママコ」の生成を阻止することができず、仮に均一に分散させることができたとしても、今度はその大きな粒度ゆえに溶解が遅くなり、これも実際の使用には適さなくなる。
よって、水溶液又は水系媒体溶液を調製するための易水分散性カチオン化高分子化合物としては、水に接触させたときには一時的に不溶性となっており、それゆえに均一に水に分散され、なおかつ少しの時間を置いて易溶解性に戻るか、又は溶解開始剤を適当に添加することにより粘度が発現するもの、つまり結果として、優れた溶解特性を有するものが望ましい。
一方、水に接触させたときに一時的に不溶性となる望ましい特性を、水溶性セルロースエーテルに付与する技術としては、例えば、水溶性セルロースエーテルを、一般式(RN−RSi(Y)X4−a−b(式中において、R1,R2は水素原子又は一価の有機酸、R3は炭素数3以上の2価炭化水素基、Yはアルキル基又はアリール基、Xは炭素原子数1〜4のアルコキシ基、aは1又は2の数、bは0,1,2又は3の数である。ただし、1≦a+b≦4)で表されるシラン化合物で処理する技術が知られている(特許文献1参照)。
しかし、セルロースエーテルと比較して、更に親水性が高く、「ママコ」が生成し易いカチオン化高分子化合物についての技術は開示されておらず、また、特定の処理条件によって、より性能が向上するなどの開示もない。
また、前記のような望ましい特性を有するセルロース類を得る方法として、従来から最も良く知られ、かつ実際に使用されている方法は、グリオキザールを用いて、セルロースが持つ水酸基とヘミアセタールを結合させて架橋反応させる方法(グリオキザール処理)である。このグリオキザール処理により、セルロース類を、水又は水系溶媒に容易に分散湿潤させることが可能となる。このようなグリオキザール処理の方法としては、例えば、セルロースエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体やデンプンなどの水酸基を含む天然高分子に対して、グリオキザールを水溶液として噴霧させ、乾燥させる方法が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
しかし、特定の処理条件により性能が向上するなどの開示はない。また、グリオキザールは変異原性物質として指定されており、シャンプーやボディーソープ中等で長期経日後に微量に脱離することがあるなど、使用条件下によっては安全性上の懸念がある。
特公昭51−2103号公報 特公昭59−45685号公報 特公昭47−1601号公報 特公昭42−6674号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、容易に水又は水系溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物、並びに、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討した結果、水溶性高分子化合物の中でも親水性が高く、「ママコ」が生成し易いカチオン化高分子化合物に対して、アミノシラン系カップリング剤を用いて、好ましくは特定の条件下で処理することにより、水又は水性溶媒に対するカチオン化高分子化合物の一時的な不溶化を達成することができ、結果として、「ママコ」の生成無しに、容易に水又は水性溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物が得られることを見出した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> カチオン化高分子化合物を、アミノシラン系カップリング剤で処理することを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<2> アミノシラン系カップリング剤による処理が、該アミノシラン系カップリング剤を、カチオン化高分子化合物100質量部に対して0.1〜10質量部用いて行われる<1>に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<3> アミノシラン系カップリング剤による処理が、カチオン化高分子化合物とアミノシラン系カップリング剤とを、溶媒の存在下で反応させた後、乾燥させることにより行われる<1>から<2>のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<4> 溶媒がイソプロピルアルコールと水との混合溶媒であり、かつ、前記イソプロピルアルコールと前記水との質量比が、イソプロピルアルコール/水=70/30〜95/5である<3>に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<5> 反応時のpHが3〜9である<3>から<4>のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<6> 乾燥時の温度が60〜90℃である<3>から<5>のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<7> カチオン化高分子化合物がカチオン化セルロースである<1>から<6>のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法である。
<8> <1>から<7>のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法により得られることを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物である。
<9> pH3〜9である<8>に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、容易に水又は水系溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物、並びに、その製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
(易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法)
本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法は、カチオン化高分子化合物をアミノシラン系カップリング剤で、好ましくは特定の条件下において、処理することを含み、更に必要に応じて、その他の処理を行うことを含む。
<カチオン化高分子化合物>
前記カチオン化高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化タラガム、カチオン化コラーゲン、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルクなどが挙げられる。これらの中でも、産業上の有用性の点で、カチオン化セルロースが好ましい。
−カチオン化度−
前記カチオン化高分子化合物のカチオン化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましく、0.3〜3質量%が特に好ましい。
前記カチオン化度が、0.1質量%未満であると、カチオン化高分子化合物としての機能がなくなることがあり、5質量%を超えると、前記アミノシラン系カップリング剤との反応性が低下することがある。一方、前記カチオン化度が、前記特に好ましい範囲内であると、前記アミノシラン系カップリング剤との反応性、しいては、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の水分散性の点で、より有利である。
−粘度−
前記カチオン化高分子化合物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1質量%の前記カチオン化高分子化合物を含む水溶液の、25℃における粘度が、1〜10,000mPa・sであることが好ましい。
−形状−
前記カチオン化高分子化合物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる水分散性カチオン化高分子化合物の水への分散性、溶解性などの点で、粉末状、水若しくは溶媒を含んだケーキ状、又は、水若しくは溶媒に分散したスラリー状であることが好ましい。
また、前記カチオン化高分子化合物が粉末状である場合の前記カチオン化高分子化合物の粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜1,000μmが好ましく、50〜800μmがより好ましく、100〜600μmが特に好ましい。
前記粒子径が、10μm未満であるか、又は、1,000μmを超えると、反応性にばらつきが見られ、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の水分散性が悪くなることがある。一方、前記粒子径が、前記特に好ましい範囲内であると、反応性、しいては、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の水分散性の点で、より有利である。
<アミノシラン系カップリング剤>
前記アミノシラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメチルエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2―アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、N−2−カルボエトキシエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランが、シャンプーやボディーソープなどに使用する際、メタノールが遊離しない点で、好ましい。
前記アミノシラン系カップリング剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記カチオン化高分子化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜6質量部がより好ましく、0.3〜4質量部が特に好ましい。
前記アミノシラン系カップリング剤の使用量が、前記カチオン化高分子化合物100質量部に対して、0.1質量部未満であると、「ママコ」の生成に対する抑制効果が弱くなることがあり、10質量部を超えると、「ママコ」の生成は無くなるものの、得られる易水溶性カチオン化高分子化合物の水又は水系溶媒への溶解は遅くなり、同時にコストアップにつながり、工業的に好ましくない。一方、前記アミノシラン系カップリング剤の使用量が前記特に好ましい範囲内であると、「ママコ」の生成が無く、かつ、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の水又は水系溶媒への溶解も、よりスムーズとなる点で、有利である。
<処理方法>
前記カチオン化高分子化合物を前記アミノシラン系カップリング剤で処理する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とを、溶媒の存在下で反応させた後、乾燥させる方法;前記カチオン化高分子化合物の乾燥品(例えば、粒子状のもの)に、前記アミノシラン系カップリング剤をスプレーなどで吹きつけ、再び乾燥させる方法;前記カチオン化高分子化合物の湿潤品(例えば、スラリー状のもの)に、前記アミノシラン系カップリング剤を加え、ニーダーなどを用いて乾燥させる方法;などが挙げられる。
これらの中でも、前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とを、溶媒の存在下で反応させた後、乾燥させる方法が、均一に処理する観点から、好ましい。
−好ましい処理方法−
以下、前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とを、溶媒の存在下で反応させた後、乾燥させる方法(好ましい処理方法)について説明する。
――溶媒――
前記溶媒としては、前記アミノシラン系カップリング剤が溶解され得、カチオン化高分子化合物が分散され得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、溶媒除去のし易さの点で、低級アルコールを含むものが好ましく、低級アルコールと水との混合溶媒がより好ましい。
ここで、前記低級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、エタノール、メタノールなどが挙げられる。これらの中でも、前記製造方法により得られる易水分散性カチオン化高分子化合物はシャンプーやボディーソープなどに使用され得ることから、除去のし易さ、歩留まりの確保の点で、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
前記溶媒が前記低級アルコールと水との混合溶媒である場合、前記溶媒における前記低級アルコールと前記水との質量比としては、特に制限はなく、使用する前記カチオン化高分子化合物の種類などに応じて適宜選択することができるが、低級アルコール/水=70/30〜95/5が好ましく、80/20〜95/5がより好ましい。
前記溶媒中、水の含有量が30質量%を超えると、反応時にカチオン化高分子化合物が過度に膨潤して、前記カチオン化高分子化合物の内部までアミノシラン系カップリング剤との反応が進み、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の溶解性が悪化してしまうことがある。また、乾燥工程に負荷が掛かり好ましくない。更に、カップリング剤との反応性が低下することもある。また、前記溶媒中、水の含有量が5質量%未満であると、前記カチオン化高分子化合物の膨潤が不足するため、反応が不十分となり、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の水への分散性が悪くなることがある。一方、前記溶媒における前記低級アルコールと前記水との質量比が、前記より好ましい範囲内であると、より適度な反応が起こり、水分散性、及び溶解性により優れた易水分散性カチオン化高分子化合物が得られる点で、有利である。
前記溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記カチオン化高分子化合物100質量部に対して、100〜1,000質量部が好ましく、150〜800質量部がより好ましく、200〜600質量部が特に好ましい。
前記溶媒の使用量が、前記カチオン化高分子化合物100質量部に対して、100質量部未満であると、前記カチオン化高分子化合物が分散不良のため、反応が均一に進まないことがあり、1,000質量部を超えると、前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とが十分に反応しないことがある。一方、前記溶媒の使用量が、前記特に好ましい範囲内であると、反応性が高くなり、より効率的に前記易水分散性カチオン化高分子化合物を製造できる点で有利である。
――反応――
前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とを、前記溶媒の存在下で反応させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カチオン化高分子化合物に対し、前記溶媒を加えて混合した後、所望の反応温度まで昇温させ、次いで、前記アミノシラン系カップリング剤を加えて混合する方法、などが挙げられる。
前記反応時のpHは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応時の温度条件下で、pH3〜9であることが好ましく、pH5〜7であることがより好ましい。前記pHが3未満であると、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の、水への分散性は良好となるが、不溶性となり、水に溶解しなくなることがある。また、前記pHが9を超えると、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の、水和時間や溶解時間は短くなるが、水への分散性は悪くなることがある。一方、前記pHが前記より好ましい範囲内であると、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物が、水への分散性、水和性及び溶解性により優れる点で、有利である。
前記pHは、例えば、塩酸などの無機酸類を加えることにより調整することができる。
前記反応時の温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜80℃が好ましく、25〜75℃がより好ましく、30〜70℃が特に好ましい。
前記温度が、20℃未満であると、反応が十分に進まず、ママコが発生することがあり、80℃を超えると、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の色調が悪くなることがある。一方、前記温度が前記特に好ましい範囲内であると、反応性、及び、色調の点で、より有利である。
前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤とを反応させる時間(反応時間)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜120分が好ましく、10〜100分がより好ましく、15〜80分が特に好ましい。
前記反応時間が、5分未満であると、反応が不十分となり、ママコが発生することがあり、120分を超えると、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の色調が悪くなることがある。一方、前記反応時間が、前記特に好ましい範囲内であると、反応性、及び、色調の点で、より有利である。
――乾燥――
前記乾燥は、例えば、前記反応後に得られる反応物を減圧又は常圧において加熱し、低級アルコールを除去することにより行うことができる。
前記乾燥時の温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60〜90℃が好ましい。前記温度が、60℃未満であると、カチオン化高分子化合物とアミノシラン系カップリング剤との反応が不十分となることがあり、90℃を超えると、得られる易水分散性カチオン化高分子化合物の色調が悪くなることがある。
なお、前記乾燥前に、脱液を行うこともまた、好ましい。前記脱液は、例えば、濾布を用いて、遠心脱液機を使用することにより行うことができる。
前記のような製造方法により、水溶性高分子化合物の中でも親水性が高く、「ママコ」が生成し易いカチオン化高分子化合物に対しても、水又は水系溶媒に容易に分散して、かつ、速やかに水和及び溶解可能な、易水分散性カチオン化高分子化合物(本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物)を得ることができる。
(易水分散性カチオン化高分子化合物)
本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物は、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法により得られ、容易に水又は水系溶媒に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能であるという特性を有する。
ここで、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の特性(水分散性、水和時間、溶解時間、色調など)は、例えば、後述の実施例に記載の評価方法などにより、確認することができる。
−pH−
前記易水分散性カチオン化高分子化合物のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1質量%の前記易水分散性カチオン化高分子化合物を含む水溶液について、25℃条件下で、pH3〜9であることが好ましく、pH5〜7であることがより好ましい。前記pHが3未満であると、水への分散性は良好となるが、不溶性となり水に溶解しなくなることがある。また、前記pHが9を超えると、水和時間や溶解時間は短くなるが、水への分散性は悪くなることがある。一方、前記pHが前記より好ましい範囲内であると、水への分散性、水和性及び溶解性により優れる点で、有利である。
前記pHは、例えば、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法において、前記カチオン化高分子化合物と前記アミノシラン系カップリング剤の反応時pHを調整することにより、調整することができる。
−形状−
前記易水分散性カチオン化高分子化合物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水への分散性、溶解性などの点で、粉末状が好ましい。前記易水分散性カチオン化高分子化合物が粉末状である場合の前記易水分散性カチオン化高分子化合物の粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜1,000μmが好ましく、30〜800μmがより好ましく、50〜600μmが特に好ましい。
前記粒子径が、10μm未満であると、使用時に粉塵が発生しやすいことがあり、1,000μmを超えると、溶解するまでに長時間を要することがある。一方、前記粒子径が、前記特に好ましい範囲内であると、溶解性、及び、ハンドリング性の点で、より有利である。
前記のような所望の粒子径を有する粉末状の易水分散性カチオン化高分子化合物を得るには、例えば、前記易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法において使用するカチオン化高分子化合物の粉末の粒子径を、適宜選択すればよい。
本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物は、いわゆる「ママコ」を生成すること無しに、水又は水系溶媒に容易に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能であるので、例えば、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤、頭髪化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け用化粧品、日焼け止め化粧品、爪化粧品、入浴用化粧品など、幅広い用途に有用である。更に、従来のグリオキザール処理したものと比較すると、安全性の点においても優れるので、例えば、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤などとして、特に有用である。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例で得られた易水分散性カチオン化高分子化合物、及び各比較例で得られたカチオン化高分子化合物の、(a)水分散性、(b)水和時間、(c)溶解時間、及び(d)色調、の評価は、それぞれ以下のようにして行った。
(a)水分散性
100mLビーカーにイオン交換水50gを加え、ふるいで分別して得られた106〜425μmの易水分散性カチオン化高分子化合物 [比較例の場合は、カチオン化高分子化合物(以下(a)〜(d)中、同様)] 粉末2gを加えた。粉末の分散性を、目視により評価した。
〔評価基準〕
◎:粉末が全て水中に分散する。
○:粉末が半分以上水中に分散する。
×:粉末がほとんど若しくは全く分散しない(水表面に凝集し、「ママコ」を生成している)。
(b)水和時間
100mLビーカーに25℃のイオン交換水を100g加え、スリーワンモーター(HEIDOH社製)にセットした。攪拌羽根としてはφ40mmのものを用い、羽根の下部がビーカーの下部より2cm上となるようにセットした。攪拌回転数は、400rpmとした(ただし、カチオン化セルロース以外のカチオン化高分子化合物を使用した場合は、800rpmとした)。攪拌しながら、ふるいで分別して得られた106〜425μmの易水分散性カチオン化高分子化合物2gを加えて、溶解させた。易水分散性カチオン化高分子化合物を投入してから、溶液の粘度が上昇して、液面が水平になるまでの時間を測定した。
(c)溶解時間
(b)と同様の方法で、易水分散性カチオン化高分子化合物を投入してから、易水分散性カチオン化高分子化合物が完全に溶解するまでの時間を測定した。なお、測定に用いる易水分散性カチオン化高分子化合物の量も(b)と同様に、2gとした。
(d)色調
ふるいで分別して得られた106〜425μmの易水分散性カチオン化高分子化合物粉末について、目視で、対応する未処理品と比較して、色調を評価した。
ここで、未処理品とは、後述する比較例3〜5に示す、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアガムのいずれかである。評価する易水分散性カチオン化高分子化合物粉末の高分子化合物の種類に応じて、同種の高分子化合物の未処理品を比較に用いた。
〔評価基準〕
◎:未処理品より着色が少ない。
○:未処理品と着色の程度が同等。
×:未処理品と比較して着色がある(劣る)。
(製造例1)
カチオン化セルロースの製造
ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製:LF−15、2質量%水溶液粘度(25℃):1,200mPa・s)30g(100質量部)に対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を300g(1,000質量部)、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を4.5g(15質量部)加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを150g(500質量部)抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品製:SY−GTA80、有効分:73%水溶液)を15g(50質量部)加えて、3時間反応させた。
その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6に調製し、カチオン化セルローススラリーを得た。そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロースを得た。
(製造例2)
カチオン化デンプンの製造
低カチオン化デンプン(日本コーンスターチ製:TAPLINK−3、カチオン化度:0.3質量%、有効分:87%)30g(100質量部)に対して、イソプロピルアルコール/水=80/20となる混合溶媒を144g(480質量部)、更に15質量%水酸化ナトリウム水溶液を4.5g(15質量部)加えて混合した。そして、55℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品製:SY−GTA80、有効分:73%水溶液)を9.6g(32質量部)加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6に調製し、カチオン化デンプンスラリーを得た。そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化デンプンを得た。
(製造例3)
カチオン化グアガムの製造
グアガム(三晶製:メイプログアーCSAA、有効分:85%、1質量%粘度(25℃):3,500mPa・s)30g(100質量部)に対して、イソプロピルアルコール/水=80/20となる混合溶媒を150g(500質量部)、更に15質量%水酸化ナトリウム水溶液を6g(20質量部)加えて混合した。そして、55℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品製:SY−GTA80、有効分:73%水溶液)を13.5g(45質量部)加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6に調製し、カチオン化グアガムスラリーを得た。そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化グアガムを得た。
(実施例1)
製造例1で得られたカチオン化セルロース(カチオン化度:1.8質量%、2質量%水溶液粘度(25℃):350mPa・s)30g(100質量部)に対し、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を150g(500質量部)加えて混合し、50℃まで昇温させた。その後、アミノシラン系カップリング剤として、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製、KBE−903、有効分:100%)を0.6g(2質量部)加えて混合し、pH6において30分間反応させた。その後、脱液したケーキを80℃で乾燥することにより、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末(易水分散性カチオン化高分子化合物)を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は非常に良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=75/25となる混合溶媒を用い、pH8で処理した以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=95/5となる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりにN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(有効分:100%)を用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用い、pH10で処理した以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用い、pH2で処理、かつ、乾燥温度を100℃で行った以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=65/35となる混合溶媒を用い、pH10で処理し、乾燥温度を100℃で行った以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロース粉末を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(有効分:100%)を0.06g(0.2質量部)用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロースを得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は実施例1と比較すると多少悪くなったが、問題はなく、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(実施例8)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(有効分:100%)を1.5g(5質量部)用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の易水分散性カチオン化セルロースを得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和した。ただし、実施例1〜7と比べると、溶解時間が多少長くなった。色調については良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(実施例9)
製造例2で得られたカチオン化デンプン(カチオン化度:1.5質量%、1質量%水溶液粘度(25℃):3,000mPa・s)30g(100質量部)に対し、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を150g(500質量部)加えて混合し、50℃まで昇温させた。その後、3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.6g(2質量部)加えて混合し、pH6において、30分間反応させた。その後、脱液した粉末を80℃で乾燥することにより、目的の易水分散性カチオン化デンプン(易水分散性カチオン化高分子化合物)を得た。
得られた易水分散性カチオン化デンプンを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(実施例10)
実施例9と同様のカチオン化デンプンを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=95/5となる混合溶媒を用いた以外は、実施例9と同様にして、目的の易水分散性カチオン化デンプンを得た。
得られた易水分散性カチオン化デンプンを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(実施例11)
製造例3で得られたカチオン化グアガム(カチオン化度:1.8質量%、1質量%水溶液粘度(25℃):2,700mPa・s)30g(100質量部)に対し、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を150g(500質量部)加えて混合し、50℃まで昇温させた。その後、3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.6g(2質量部)加えて混合し、pH6において、30分間反応させた。その後、脱液した粉末を80℃で乾燥することにより、目的の易水分散性カチオン化グアガム(易水分散性カチオン化高分子化合物)を得た。
得られた易水分散性カチオン化グアガムを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(実施例12)
実施例11と同様のカチオン化グアガムを用い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=95/5となる混合溶媒を用いた以外は、実施例11と同様にして、目的の易水分散性カチオン化グアガムを得た。
得られた易水分散性カチオン化グアガムを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表2に示す。
(比較例1)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに、アミノシラン系でないカップリング剤であるメチルトリエトキシシランで処理を行い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン化セルロースを得た。
得られたカチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。色調は良好であったが、ママコが生じて水に分散されず、水和時間や溶解時間は測定が不能であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表3に示す。
(比較例2)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに、アミノシラン系でないカップリング剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(有効分:100%)で処理を行い、イソプロピルアルコール/水(質量比)=80/20となる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、カチオン化セルロースを得た。
得られたカチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。色調は良好であったが、ママコが生じて水に分散されず、水和時間や溶解時間は測定が不能であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表3に示す。
(比較例3)
実施例1と同様のカチオン化セルロースを用い、処理をせずに各評価項目で評価を行った。色調は良好であったが、ママコが生じて水に分散されず、水和時間や溶解時間は測定が不能であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表3に示す。
(比較例4)
実施例9と同様のカチオン化デンプンを用い、処理をせずに各評価項目で評価を行った。色調は良好であったが、ママコが生じて水に分散されず、水和時間や溶解時間は測定が不能であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表3に示す。
(比較例5)
実施例11と同様のカチオン化グアガムを用い、処理をせずに各評価項目で評価を行った。色調は良好であったが、ママコが生じて水に分散されず、水和時間や溶解時間は測定が不能であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表3に示す。
(実施例13)
実施例13では、スラリー状態のカチオン化セルロースを使用して、易水分散性カチオン化セルロースを製造した。
まず、以下のようにして、カチオン化セルローススラリーを調製した。
ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製:LF−15、2質量%水溶液粘度(25℃):1,200mPa・s)30g(100質量部)に対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を300g(1,000質量部)、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を4.5g(15質量部)加えて混合した。その後、30分間攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを210g(700質量部)抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品製:SY−GTA80、有効分:73%水溶液)を15g(50質量部)加えて、50℃で3時間反応させた。その後、10質量%塩酸IPA溶液を加えて、pH6に調製し、カチオン化セルローススラリーを得た。
次いで、得られたカチオン化セルローススラリーを、スラリー状態のまま、以下のようにしてシラン処理に供した。
得られたカチオン化セルローススラリーの中に3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.6g(2質量部)加えて、再びpH6まで中和を行い、50℃から60℃まで昇温し、1時間反応させた。その後、遠心脱水し、減圧下で80℃で5時間乾燥することにより、目的の易水分散性カチオン化セルロース(易水分散性カチオン化高分子化合物)を得た。
得られた易水分散性カチオン化セルロースを、各評価項目で評価した。分散性は良好であり、速やかに水和して溶解した。色調についても良好であった。
反応条件、生成物pH(1質量%水溶液、25℃)、及び評価結果を、表4に示す。
Figure 2007211167
Figure 2007211167
Figure 2007211167
Figure 2007211167
表1〜4の結果から、本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法によれば、水への分散性が良好であり、水和時間や溶解時間の点でも優れた、易水分散性カチオン化高分子化合物が得られることが判った。
本発明の易水分散性カチオン化高分子化合物は、いわゆる「ママコ」を生成すること無しに、水又は水系溶媒に容易に分散し、かつ、速やかに水和及び溶解可能であるので、例えば、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤、頭髪化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け用化粧品、日焼け止め化粧品、爪化粧品、入浴用化粧品など、幅広い用途に有用である。更に、従来のグリオキザール処理したものと比較すると、安全性の点においても優れるので、例えば、シャンプー、ボディーソープ用のコンディショニング剤などとして、特に有用である。

Claims (9)

  1. カチオン化高分子化合物を、アミノシラン系カップリング剤で処理することを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  2. アミノシラン系カップリング剤による処理が、該アミノシラン系カップリング剤を、カチオン化高分子化合物100質量部に対して0.1〜10質量部用いて行われる請求項1に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  3. アミノシラン系カップリング剤による処理が、カチオン化高分子化合物とアミノシラン系カップリング剤とを、溶媒の存在下で反応させた後、乾燥させることにより行われる請求項1から2のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  4. 溶媒がイソプロピルアルコールと水との混合溶媒であり、かつ、前記イソプロピルアルコールと前記水との質量比が、イソプロピルアルコール/水=70/30〜95/5である請求項3に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  5. 反応時のpHが3〜9である請求項3から4のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  6. 乾燥時の温度が60〜90℃である請求項3から5のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  7. カチオン化高分子化合物がカチオン化セルロースである請求項1から6のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の易水分散性カチオン化高分子化合物の製造方法により得られることを特徴とする易水分散性カチオン化高分子化合物。
  9. pHが3〜9である請求項8に記載の易水分散性カチオン化高分子化合物。
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