JP2007204551A - ポリウレタン発泡体及びそれを用いたシール材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び撥水剤を含むポリウレタン発泡体の原料を反応、発泡及び硬化させて得られ、その表面に両面粘着テープが貼着可能になっている。前記ポリウレタン発泡体の原料には粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールが含まれ、その含有量がポリオール類100質量部当たり1〜30質量部である。(メタ)アクリルポリオールとしては、水酸基価が20〜200mgKOH/gのものであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体においては、その原料に撥水剤が含まれていることからその撥水性に基づいて良好な止水性を発揮することができる。さらに、ポリウレタン発泡体の原料には粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールが含まれ、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.7〜30質量部に設定されていることから、止水性を維持しつつ、(メタ)アクリルポリオールに基づいて両面粘着テープに対する優れた接着性を発揮することができる。
本実施形態におけるポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)は、その表面に両面粘着テープが貼着可能なものである。係るポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び撥水剤を含むポリウレタン発泡体の原料に粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールが前記ポリオール類100質量部当たり0.7〜30質量部含まれ、その原料を反応、発泡及び硬化させて得られる。このポリウレタン発泡体は、その表面に両面粘着テープが貼着されてシール材として用いられる。そのシール材は、例えばカーエアコン用ダンパー材に代表される空調機器用のシール材などとして使用される。
(ポリオール類)
ポリオール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール又はポリエーテルエステルポリオールが単独又は混合して用いられるが、撥水剤及び粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールとの相溶性に優れる点からポリエステルポリオールが好ましい。
(ポリイソシアネート類)
次に、ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。
(発泡剤)
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかジクロロメタン(塩化メチレン)、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、炭酸ガス等が用いられる。これらの発泡剤のうち、ポリイソシアネート類と速やかに反応して十分な炭酸ガスを発生でき、取扱いが良好である点から水が好ましい。発泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり1〜5質量部であることが好ましい。発泡剤の配合量が1質量部未満の場合には、発泡が不十分となり、低密度の発泡体が得られ難くなる。一方、5質量部を越える場合には、発泡が過剰となり、発泡体の硬さ、引張強さ等の物性が低下する。
(触媒)
触媒は主としてポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するためのものである。触媒として具体的には、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が単独、或いは混合して用いられる。触媒の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜1.5質量部であることが好ましい。触媒の配合量が0.5質量部未満の場合、ウレタン化反応などの進行が十分ではなく、発泡体の機械的物性等が低下する傾向を示す。一方、1.5質量部を越える場合、ウレタン化反応の進行が過度になって発泡体の形成に偏りが生じて好ましくない。
(撥水剤)
撥水剤は、ポリウレタン発泡体に撥水性に基づく止水性を発現させるためのもので、ポリオールと炭素数12以上のモノカルボン酸とのエステル、ポリオールと炭素数12以上のモノカルボン酸と炭素数8以上のジカルボン酸とのエステルなどが用いられる。ポリオールとしては、二価以上のポリオールすなわち分子量1000〜4000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン−プロピレン共重合体のグリコールなどが挙げられる。炭素数12以上のモノカルボン酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。炭素数8以上のジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などが挙げられる。これらの撥水剤のうち、ダイマー酸のジエステルなどの分子が嵩高く、接触角が大きいため撥水性の良好な化合物が好ましい。
(粘着性付与剤)
粘着性付与剤はポリウレタン発泡体に両面粘着テープに対する接着性を付与するためのものである。なお、両面粘着テープに用いられる粘着剤には、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレートなどのモノマー混合物を重合して得られる(メタ)アクリル系ポリマーが含まれている。粘着性付与剤としては、(メタ)アクリルポリオールが用いられる。(メタ)アクリルポリオールは、水酸基価が好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは40〜120mgKOH/g、特に好ましくは60〜100mgKOH/gである。水酸基価が20mgKOH/g未満の場合には、得られるポリウレタン発泡体の架橋密度が低く、柔らかくなって機械的強度が低下する傾向を示す。その一方、水酸基価が200mgKOH/gを越える場合には、得られるポリウレタン発泡体の架橋密度が高くなって、脆くなる傾向を示す。
このような(メタ)アクリルポリオールは、溶液重合法など通常の重合方法により製造することができる。例えば、前記モノマーを有機溶剤に溶解又は分散させ、この溶液又は分散液を窒素ガスなどの不活性ガスで置換された反応器中で反応させることにより製造することができる。ここで使用される有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。
(整泡剤)
整泡剤は発泡を円滑に行うためにポリウレタン発泡体の原料に配合されることが好ましく、係る整泡剤としては、ポリウレタン発泡体の製造に際して一般に使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。これらの中でも、線状或いは分枝状ポリエーテル−シロキサン共重合体が好ましく、特に連通性を高めるためには整泡力の低い線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体がより好ましい。整泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜2.5質量部であることが好ましい。この配合量が0.5質量部未満の場合には、ポリウレタン発泡体の原料の発泡時における整泡作用が十分に発現されず、良好な発泡体を得ることが難しくなる。一方、2.5質量部を越える場合には、整泡作用が強くなり、セルの連通性が低下する傾向を示す。
(その他の配合剤)
ポリウレタン発泡体の原料にはその他必要に応じて、架橋剤、酸化防止剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等を配合することができる。
ポリウレタン発泡体の原料を反応させて発泡及び硬化させることによりポリウレタン発泡体が製造されるが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオール類とポリイソシアネート類との付加重合反応(ウレタン化反応、樹脂化反応)、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化(発泡)反応及びこれらの反応生成物とポリイソシアネート類との架橋(硬化)反応である。ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させるワンショット法、或いはポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類を反応させるプレポリマー法のどちらも採用される。そして、ポリオール類とポリイソシアネート類との混合液、或いはプレポリマーとポリオール類との混合液に、発泡剤を混和し、さらに整泡剤、触媒、撥水剤及び粘着性付与剤としての(メタ)アクリルポリオールを添加して攪拌、混合し、それらの原料を反応、発泡及び硬化させる。
・ 本実施形態のポリウレタン発泡体においては、その原料に撥水剤が含まれていることからその撥水性に基づいて良好な止水性を発揮することができる。さらに、ポリウレタン発泡体の原料には粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールが含まれ、その含有量がポリオール類100質量部当たり1〜30質量部であることから、止水性を維持しつつ、両面粘着テープに対する優れた接着性を発揮することができる。
・ 前記シール材は、上記ポリウレタン発泡体の表面に両面粘着テープが貼着されて構成されていることから、ポリウレタン発泡体のもつ効果を発揮することができ、空調機器用のシール材などとして好適に使用することができる。
(実施例1〜10及び比較例1〜7)
まず、各実施例及び比較例で用いたポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤、触媒、撥水剤及び粘着性付与剤よりなるポリウレタン発泡体の原料を以下に示す。
ポリオールB:ポリエーテルエステルポリオール、官能基数3、水酸基価56.1(mgKOH/g)、分子量3000、三井武田ケミカル(株)製の商品名、L−50。
発泡剤(水):水道水。
アミン触媒:N,N−ジメチルアミノエタノール
金属触媒:オクチル酸スズ(スタナスオクトエート)
整泡剤:シリコーン系整泡剤、東レダウコーニング(株)製の商品名、SH−193。
(測定方法)
見掛け密度(kg/m3):JIS K7222(1999)に準拠して測定した。
止水性:打ち抜き加工により、厚さ及び幅がともに15mmの断面を有するU字状の試験片を、厚さ方向の両側から2枚のアクリル樹脂板で50%圧縮した状態(従って、厚さは7.5mm)とし、U字状の底部内面から100mmの高さまで水を入れてU字状の底部外面から水がしみ出してくるまでの時間を測定した。そして、24時間後に水がしみ出してこない場合を○、水がしみ出してきた場合を×とした。
・ 粘着性付与剤として、水酸基含有メタクリレートと他の重合性モノマーとを共重合させて得られるメタクリルポリオールを使用することができる。
・ 前記粘着性付与剤としての(メタ)アクリルポリオールは、質量平均分子量が1000〜3000のものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン発泡体。このように構成した場合には、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、発泡体の機械的物性を向上させることができる。
Claims (3)
- ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び撥水剤を含むポリウレタン発泡体の原料を反応、発泡及び硬化させて得られ、その表面に両面粘着テープが貼着可能なポリウレタン発泡体であって、
前記ポリウレタン発泡体の原料には粘着性付与剤として(メタ)アクリルポリオールが含まれ、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.7〜30質量部であることを特徴とするポリウレタン発泡体。 - 前記(メタ)アクリルポリオールは、水酸基価が20〜200mgKOH/gのものであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
- 請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン発泡体の表面に両面粘着テープが貼着されて構成されていることを特徴とするシール材。
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