JP2007199702A - 微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材 - Google Patents

微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面硬度や基材への密着性が優れる微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材を提供する。
【解決手段】 表面に極性基を有する固体基材の表面に微粒子および電解質ポリマーを交互に吸着させてなる微粒子積層膜積層体。表面に極性基を有する固体基材は、基材表面に極性基を含む中間層が形成されたものであることが好ましく。微粒子積層膜の表面硬度が6B以上3H以下の濃度記号の鉛筆硬度を有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微粒子積層膜積層体、交互積層法を利用するその製造方法及びそれを用いた実用上有用な光学部材に関する。
ナノメータースケールの薄膜を溶液から形成する方法として、交互積層法が提案されている(非特許文献1参照)。シリカやチタニア、セリアといった微粒子を交互積層法で積層する方法も報告されている(非特許文献2参照)。この微粒子を積層した膜(微粒子積層膜)は、微粒子の光学特性が反映される。例えば、シリカ微粒子積層膜は低屈折率、チタニア微粒子積層膜は高屈折率を示す。
しかし、微粒子積層膜を光学用途の部材の一部として用いる場合、実用的な表面硬度が要求される。ディスプレイ最表面に位置する反射防止膜ではさらに高い表面硬度が要求され、ディスプレイ内部の光学部材であっても組み立て時に傷が発生しない程度の表面硬度が要求される。特許文献1には、微粒子積層膜を透明封止材の塗布により封止し、硬化させることにより、強度を確保したり変形を防いだりすることが記載されている。特許文献2には、微粒子積層膜内の空隙に活性照射線反応性モノマーおよび重合開始剤を充填させ、これらを硬化させることにより微粒子積層膜の耐擦傷性を向上させることが記載されている。また、特許文献3には、微粒子積層膜からなる反射防止膜を形成した光電変換素子をトリメトキシメチルシラン溶液に浸漬し、アンモニア蒸気や塩酸蒸気によってトリメトキシメチルシランを縮合させることにより、反射防止膜の密着性を向上させることが記載されている。また、特許文献4や特許文献5には、極性基を有するグラフトポリマー鎖を表面グラフト重合法により基材上に導入することで、その基材を微粒子分散溶液に1回浸漬することで形成した微粒子単層膜や微粒子積層膜と基材との吸着が強固になると記載されている。特許文献6には、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合などがおきる官能基を透明基材表面と微粒子表面のそれぞれに導入し、化学的かつ不可逆的な結合を形成させることで微粒子の透明基材上への付着力を向上させると記載されている。
特開2002−361767号公報 特開2003−205568号公報 特開2003−332604号公報 特開2003−112379号公報 特開2004−114339号公報 特開2002−6108号公報 Thin Solid Films, 210/211, p831(1992) Langmuir、Vol.13、(1997)p6195−6203
前記したことからも明らかなように、従来、微粒子積層膜を少なくとも一部に用いた光学用途などの実用面において、その微粒子積層膜は、表面硬度や基材への密着性が不十分である。
そこで、本発明は、表面硬度又は/及び密着性が優れる微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材を提供することを第一の目的とする。
本発明は、さらに、微粒子積層膜の耐久性に優れる微粒子積層膜積層体、その製造方法及びそれを用いた光学部材を提供することを第二の目的とする。
本発明は、つぎのものに関する。
1. 表面に極性基を有する固体基材の表面に微粒子および電解質ポリマーを交互に吸着させてなる微粒子積層膜積層体。
2. 微粒子積層膜の表面硬度が6B以上3H以下の濃度記号の鉛筆硬度を有する項1記載の微粒子積層膜積層体。
3. 表面に極性基を有する固体基材が、基材表面に極性基を含む中間層が形成されたものである項1又は2記載の微粒子積層膜積層体。
4. 中間層がポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂をブロックとして含む共重合体を含むものである項3記載の微粒子積層膜積層体。
5. 中間層の厚みが、10nm以上500nmである項3又は4のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
6. 微粒子積層膜が可視光を散乱しないものである項1〜5のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
7. 極性基が、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、スルホニル基、イソシアネート基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基のうち少なくとも一種類以上の官能基である項1〜6のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
8. 微粒子が、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、シリコン、錫、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ビスマス、ニオブ、セリウム、コバルト、銅、鉄、ホルミウム、マンガンの酸化物の微粒子のうちいずれかの微粒子を含む項1〜7のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
9. 固体基材が表面処理された又は表面処理されないハードコート層を含む項1〜8のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
10. 微粒子の平均一次粒子径が1nm以上60nm以下である項1〜9のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
11. 微粒子積層膜中に、微粒子及びこの微粒子に対して0.1質量%以上40質量%以下の電解質ポリマーを含む項1〜10記載のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
12. 固体基材が透明である項1〜11のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
13. 微粒子積層膜における表面反射率の最小値が3%以下である項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
14. 微粒子積層膜における表面反射率の最小値が1%以下である項13記載の微粒子積層膜積層体。
15. 微粒子積層膜における反射率が15%以上50%以下および透過率が50%以上85%以下である項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
16. 微粒子積層膜における表面反射率の最大値が60%以上である項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
17. 表面に極性基を有する固体基材を微粒子分散溶液に浸漬する工程及び表面に微粒子が吸着している固体基材をその微粒子の表面電荷と反対符号の電荷を有する電解質ポリマー溶液に浸漬する工程を含むことを特徴とする微粒子積層膜積層体の製造方法。
18. 表面に極性基を有する固体基材をその表面の電荷と反対符号の電荷を有する微粒子の分散液または電解質ポリマー溶液に浸漬する工程と、その微粒子またはその電解質ポリマーと反対符号の電荷を有する微粒子の分散液または電解質ポリマー溶液に浸漬する工程を含むことを特徴とする項17記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
19. 表面に極性基を有する固体基材が、基材表面に極性基を含む中間層が形成されたものである項17又は18記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
20. 中間層がポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂をブロックとして含む共重合体を含むものである項19記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
21. 中間層の厚みが、10nm以上500nmである項19又は20のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
22. 項1〜16のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体を含む光学部材。
23. 項13又は14記載の微粒子積層膜積層体を含む反射防止機能を有する光学部材。
24. 項15記載の微粒子積層膜積層体を含む半透過半反射機能を有する光学部材。
25. 項16記載の微粒子積層膜積層体を含む反射機能を有する光学部材。
本発明に係る微粒子積層膜積層体において、その微粒子積層膜は、固体基材が表面に極性基を有することにより、優れた表面硬度と密着性を示し、実用性に優れている。
微粒子の種類を金属酸化物の微粒子とすると、微粒子積層膜の表面硬度をより確実に得ることができる。さらに、金属酸化物の微粒子を用いることで、微粒子積層膜の屈折率を低い値から高い値まで変化させることができる。
固体基材がハードコート層を含むことで、固体基材の硬度が向上し、微粒子積層膜の表面硬度をより確実に得ることができる。
6B以上3H以下の濃度記号の鉛筆硬度を有する微粒子積層膜を有する微粒子積層膜積層体が可能である。
本発明に係る微粒子積層膜積層体において、その微粒子積層膜は、可視光を散乱しないすなわち透明性の高いものとすることができる。特に、微粒子の平均一次粒子径のサイズを光の波長より小さなサイズに規定することで、可視光を散乱しない微粒子積層膜をより確実に得ることができる。それにより、微粒子積層膜積層体を透明度が要求される光学部材により有用に用いることができる。
微粒子積層膜に含まれる微粒子に対し、微粒子積層膜に含まれる電解質ポリマーの質量比を規定することで、屈折率が低い微粒子積層膜をより確実に得ることができる。それにより、微粒子積層膜を含む光学部材は光学特性を向上でき、また、多層膜構造の積層数を減らすことができる。
一次粒子同士が共有結合してなる数珠状粒子を用いることにより、微粒子が交互積層する際に立体障害が起き、屈折率の低い微粒子積層膜をより確実に得ることができる。それにより、微粒子積層膜を含む光学部材は光学特性を向上でき、また、多層膜構造の積層数を減らすことができる。
固体基材を透明な基材と規定することで、透過光を利用する用途に有用である。
微粒子積層膜の表面反射率の最小値を規定することで、高性能の反射防止機能を微粒子積層膜積層体に付与できる。また、微粒子積層膜の反射率の最大値を規定することで、高性能の反射膜機能を微粒子積層膜積層体に付与できる。また、微粒子積層膜の反射率と透過率を規定することで、高性能の半透過半反射膜機能を微粒子積層膜積層体に付与できる。
本発明における微粒子積層膜積層体の製造法によれば、優れた表面硬度と密着性を示す微粒子積層膜を有する微粒子積層膜積層体を製造できる。また、このとき、微粒子積層膜は、膜厚均一性が高く、その製造法として常温かつ湿式プロセスが可能である。
本発明における微粒子積層膜積層体は、適宜光学部材として有用に使用できる。
本発明では、交互積層法を用いて形成することができる微粒子積層膜が、表面に極性基を有する固体基材上に積層されていることにより、特に、その固体基材の表面が極性基を有する中間層で形成されていることにより、微粒子積層膜が実用的な表面硬度と密着性を得ることができる。その結果、微粒子積層膜が積層された固体基材を表面硬度が要求される光学部材にも用いることができる。
(1)固体基材
基材上に交互積層膜を形成するためには、基材がその表面に電荷を有することが必要である。交互積層法を用いて形成した微粒子積層膜と固体基材が密着するためには、基材表面の電荷を極性基が有することが望ましい。極性基は分子内に電荷の偏り(分子内分極)を有するため、もしくは、解離によりイオンになるため、局所的にプラスまたはマイナスの電荷を有する。この極性基の電荷と反対の電荷を有する物質を吸着させる。極性基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、リン酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基、水酸基、シラノール基等の官能基のうち一つまたは二つ以上であることが望ましい。
固体基材が表面に極性基を有する結果、ゼータ電位の絶対値が1〜100mVであることが好ましく、5〜90mVであることがより好ましく、20〜80mVであることがさらに好ましい。また、極性基の濃度が固体基材中で0.1〜30モル%であることが好ましく、0.2〜20モル%であることがより好ましく、0.5〜15モル%であることがさらに好ましい。微粒子積層膜と固体基材が実用的な密着性を得るために、これらの条件を満たす程度に固体基材が極性基を有することが好ましい。
固体基材の材質としては樹脂、シリコンなどの半導体、金属、無機化合物等が挙げられる。また、その形状はフィルム、シート、板、曲面を有する形状など任意である。固体基材の一部もしくは全体が筒状、糸状、繊維、発泡体など浸漬して溶液が入り込むことができるものであれば微粒子積層膜がその表面に形成されるので使用することができる。また、固体基材の断面が凹凸形状を有していても、表面の構造に追従して微粒子積層膜を形成することができる。また、固体基材表面がナノメートルスケールやサブミクロンスケールの構造を有していても、その構造に追従して微粒子積層膜は形成することができる。
上記金属としては、鉄、銅、白銅、ブリキ等があり、表面に電荷が存在するように酸化皮膜を形成させる等の処理を施したものである。上記無機化合物としてはガラス、セラミックス等があり、表面に極性基を有するものである。
上記の樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルであって水酸基又はカルボキシル基を有するもの、カルボキシル基又はアミノ基を有するポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体又は共重合体等がある。
これらの基材表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理等して極性基を導入してもよい。このような処理により極性基を導入した樹脂を使用してもよい。このような樹脂としては、前記に例示した樹脂以外にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することもできる。
本発明における固体基材としては、基材上に極性基を有する中間層を形成したものが好ましい。この場合、基材としては前記したように樹脂、シリコンなどの半導体、金属、無機化合物等を使用できるが、その表面に極性基を有する必要は必ずしもない。基材としての樹脂は、前記に例示したもの全てが利用できる。
中間層を形成するものとしては、シランカップリング剤、樹脂その他がある。ここで、樹脂としては、当然に極性基を有するものが選択使用される。
微粒子積層膜積層体を光学部材として利用する場合には、固体基材(又は基材)も透明であることが望ましい。それ自身透明性を有する固体基材(又は基材)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂や、ガラス基板などが用いられる。
また、微粒子積層膜積層体を反射率のみが重要になる光学部材として利用する場合には、固体基材に透明性は必ずしも必要ではなく、半導体や金属等を用いることができる。
微粒子積層膜の形成を望まない固体基材の表面部分には、粘着フィルム等を貼り付ける等の微粒子分散液と固体基材との接触防止を施すことで、微粒子積層膜の固体基材上への形成を防ぐことができる。
本発明の固体基材には、基材上に樹脂膜、無機膜や有機材料と無機材料のどちらも含む膜が積層されているものも包含される。それら樹脂膜層、無機膜層や有機−無機膜は固体基材のどこに位置しても良く、固体基材の最表面に位置しない場合は極性基を有する必要はない。それら樹脂膜層、無機膜層や有機−無機膜は固体基材に光学機能や機械的特性向上する等の機能を付与しても良いし、付与しなくても良い。固体基材の機械的特性を向上させる層の例としてはハードコート層が挙げられる。
光学機能を付与するための膜の例としては、反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射又は赤色反射膜、輝線カットフィルター、色調補正膜が1つ以上含まれる光学機能膜が挙げられる。これらの光学機能膜を有する固体基材上に微粒子積層膜を形成することで、さらに別の光学機能を付与することができる。
例えば、反射防止機能、輝線カットフィルター機能、近赤外カットフィルター機能、色調補正機能のうち一つ以上の機能を有する固体基材に、微粒子積層膜を形成すると、反射防止機能、輝線カットフィルター機能、近赤外カットフィルター機能、色調補正機能のうち、固体基材にない一つ以上の機能を付与することができ、プラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等のディスプレイための光学フィルタなどに好適な光学部材が得られる。また、導光板、拡散フィルム、プリズムフィルム、輝度向上フィルム、偏光板等の光学フィルムを固体基材として用いて、微粒子積層膜を含む反射防止膜を形成して得られる光学フィルタは、光学フィルム界面での反射が抑制される。このため、このような光学フィルタを組み込んだ液晶表示装置は輝度も向上する。また、光拡散性フィルムを固体基材として用いて、その固体基材に微粒子積層膜を含む半透過半反射膜層を形成して得られる光学フィルタを組み込んだ半透過型液晶表示装置は外光反射による輝度が向上する。このように、フラットパネルディスプレイ等のディスプレイのためのフィルタ部材に微粒子積層膜を形成させることでそれら部材の高機能化が達成することができる。
(2)ハードコート層
ハードコート膜が積層されている固体基材は、機械的特性に優れる。ハードコート膜となる材料には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂等の重合性不飽和二重結合含有化合物の架橋体や、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂または金属酸化物などが挙げられる。重合性不飽和二重結合含有化合物としては、熱硬化性樹脂、放射線硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いることができるが、特に多官能重合性不飽和二重結合含有化合物を用いることが好ましい。
多官能重合性不飽和二重結合含有化合物としては、多価アルコールとメタクリル酸又はアクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ−(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ−(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ−(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン化合物(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド化合物(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が上げられるが、これに限定されるものではない。上記において(メタ)アクリレートは「メタクリレート又はアクリレート」を意味する。
市販されている多官能重合性不飽和二重結合含有化合物の例としては、三菱レイヨン(株)製多官能アクリル系硬化塗料(ダイヤビームシリーズ等)、長瀬産業(株)製多官能アクリル系硬化塗料(デナコールシリーズ等)、新中村化学工業(株)製多官能アクリル系硬化塗料(NKエステルシリーズ等)、大日本インキ化学工業(株)製多官能アクリル系硬化塗料(UNIDICシリーズ等)、東亜合成化学工業(株)製多官能アクリル系硬化塗料(アロニックスシリーズ等)、日本油脂(株)製多官能アクリル系硬化塗料(ブレンマーシリーズ等)、日本化薬(株)製多官能アクリル系硬化塗料(KAYARADシリーズ等)、共栄社化学(株)製多官能アクリル系硬化塗料(ライトエステルシリーズ、ライトアクリレートシリーズ等)が挙げられる。
これらの多官能重合性不飽和二重結合含有化合物の重合を効率よく開始させる目的で重合開始剤を添加することが特に有効であり、その重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーズベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド及びチオキサントン類が好ましい。また重合を促進させる目的で重合開始剤に加えて増感剤を用いてもよい。さらに、レベリング剤、充填剤を添加しても良く、これら化合物中に必要に応じて添加剤を加えて塗工材料とする。
この塗工材料を例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、熱硬化型樹脂組成物を用いる場合には、加熱して該塗膜を硬化させることにより、また電離放射線硬化型樹脂組成物を用いる場合には、電離放射線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層を形成させても良い。電離放射線としては放射線、電子線、粒子線、ガンマー線、紫外線等が挙げられるが、特に紫外線が好ましく、その光源としては水銀灯による近紫外線からエキシマーレーザーによる真空紫外線までが使用できる。
ハードコート膜が形成した固体基材の市販品を用いても良く、そのような市販品としては、きもと製ハードコートPET(KBフィルム)、東レ製ハードコートPET(タフトップN−TOP)、東洋包材製ハードコートフィルム、日新化成製ハードコートポリカーボネート(Lexan Margard、Lexan CTG AF)などが例として挙げられる。
(3)中間層
固体基材に極性基を確実に導入するために、基材に中間層を積層して固体基材とすることができる。この場合、中間層は固体基材の表面層とされる。
中間層は固体基材と微粒子積層膜の間に設けられ、中間層が極性基を有することで固体基材と微粒子積層膜との密着性を向上させる。膜そのものの強度が実用上十分に高い微粒子積層膜が、中間層を介して固体基材と強固に接着するために、固体基材上の微粒子積層膜の表面硬度が向上すると考えられる。
また、微粒子積層膜そのものの強度と膜と固体基材(中間層)との密着性の両方を向上させる方法として、例えば微粒子積層膜への樹脂の塗布や、反応性モノマーの微粒子積層膜への充填と硬化や、微粒子積層膜のシラン溶液への浸漬などの処理を行わなくても上記のように、中間層を介することにより固体基材上の微粒子積層膜は実用的に十分優れた表面硬度を得ることができる。
中間層に含まれる極性基は、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、リン酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基、水酸基、シラノール基のうち一つまたは二つ以上の官能基であることが望ましい。
中間層の材料としては、これらの基を有する樹脂、シランカップリング剤などを使用することができる。
中間層の材料としての樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルであって水酸基又はカルボキシル基を有するもの、カルボキシル基又はアミノ基を有するポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体又は共重合体等がある。
樹脂基材へのこの中間層の積層は、例えば、樹脂基材に極性基を有する樹脂を溶剤に溶解して塗布し乾燥する方法、耐熱性の樹脂基材に対して極性基を有する樹脂を溶融流延する方法、中間層の樹脂の原料となるモノマーやオリゴマー(この中には、極性基を有するモノマーやオリゴマーが含まれる)を樹脂基材に塗布し、反応硬化させる方法、中間層としての樹脂の原料モノマーやオリゴマーにシランカップリング剤を混ぜて塗布し、反応硬化させる方法等により行うことができる。
極性基が付与されたポリエステル系樹脂の塗布液を次のように製造しても良い。
ジメチルテレフタレート117部、ジメチルイソフタレート117部、エチレングリコール103部、ジエチレングリコール58部、酢酸亜鉛0.08部、三酸化アンチモン0.08部を反応容器中で40〜220℃に昇温させて、3時間エステル交換反応させ、ポリエステル形成成分を得た。次いで5−ナトリウムスルホイソフタル酸9部を添加して220〜260℃1時間エステル化反応させ、更に減圧下(10〜0.2mmHg)で2時間重縮合反応を行ない、平均分子量18000、軟化点140℃のスルホン酸基を付与したポリエステル共重合体を得た。このスルホン酸基を付与したポリエステル共重合体300部とnブチルセロソルブ140部とを150〜170℃で3時間撹拌して均一な粘稠溶融液を得、この溶融液に水560部を徐々に添加してポリエステル系樹脂水分散液を得ることができる(特許2560754号公報参照)。
市販品であるスルホン酸が付与された水分散ポリエステル樹脂(例えば、東洋紡積(株)製バイロナールMD−1200や東洋紡積(株)製バイロナールMD−1245)を利用しても良い。付与されたスルホン酸基の含有量は、イオンクロマトグラフィー分析により評価することができる。MD−1200やMD−1245を乾燥して得た1gのポリエステル樹脂が含有する硫黄の量は、それぞれ2100μg、3600μgであったため、SO 含有量はそれぞれ0.5重量%、0.9重量%だと評価することができる。また、ガスクロマトグラフィー分析によって極性基の同定を行なうこともできる。
前記手順において、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体などの金属塩を用いても、スルホン酸基を付与したポリエステル共重合体を得ることができる。金属塩における金属の例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムなどが挙げられる。また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、5−アミノイソフタル酸などを用いることで、アミノ基を付与したポリエステル共重合体を得ることができる。
極性基が付与されたポリウレタン系樹脂を次のように製造しても良い。
アリルアルコールから出発したエチレンオキシドのポリエーテルをメタ重亜硫酸ナトリウムでスルホン化したスルホン酸ナトリウムを含むポリエーテル(SO3−含有量8.3重量%、ポリエチレンオキシド含有量83重量%)192部、ポリテトラメチレンアジペート1013部、ビスフェノールAで開始されたポリプロピレンオキシドポリエーテル248部を混合し、減圧下(10〜0.2mmHg)100℃で脱水してこの混合物を70℃としこれにイソホロンジイソシアネート178部とヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート244部との混合物を加え、次いで生成混合物をイソシアネート含有量が5.6重量%になるまで80℃から90℃の範囲で撹拌した。得られたプレポリマーを60℃に冷却し、ヘキサメチレジイソシアネート3モルと水1モルから得られるビウレットポリイソシアネート56部とイソホロンジアミンとアセトンから得られるビスケチミン173部とを順次加えた。次いでヒドラジン水和物の15部を溶解した50℃水溶液をこの混合物に激しく撹拌しながら加え、ポリウレタン系樹脂水分散液を得ることができる。
官能基が付与するように調製された樹脂としては、有機溶剤可溶型の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられ、その市販品としては東洋紡績(株)製バイロン(103、200、220、226、240、245、270、280、290、296、300、500、516、530、550、560、600、630、650、660、670、885、GK110、GK130、GK140、GK150、GK180、GK190、GK250、GK330、GK360、GK590、GK640、GK680、GK780、GK810、GK880、GK890、BX1001)が挙げられ、また、水分散ポリエステル樹脂が挙げられ、その市販品としては東洋紡積(株)製バイロナール(MD−1100、MD−1200、MD−1220、MD−1245、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500、MD−1930、MD−1985)が挙げられ、また、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられ、その市販品としては東洋紡績(株)製バイロン(UR−1350、UR−1400、UR−2300、UR−3200、UR−3210、UR−3500、UR−4125、UR−5537、UR−8200、UR−8300、UR−8700、UR−9500)が挙げられる。
本発明において、シランカップリング剤としては、次式(I)で表されるものがある。
Figure 2007199702
(ただし、式中、Rは非加水分解性基であって、ビニルアルキル基、エポキシアルキル基、スチリルアルキル基、メタクリロキシアルキル基、アクリロキシアルキル基、アミノアルキル基、ウレイドアルキル基、クロロプロピルアルキル基やスルフィドアルキル基等のハロゲンアルキル基、メルカプトアルキル基、イソシアネートアルキル基またはヒドロキシアルキル基である。Rは加水分解性基であって炭素数が1〜6のアルキル基、nは1〜3の整数を示し、Rが複数ある場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
基材のシランカップリング剤処理の例としては、まず、シランカップリング剤を水性媒体中で、酸の存在下又は不存在下、アルコキシ基を加水分解してシラノール基とし、得られたシラン溶液に基材を接触させることで、基材表面に存在する水酸基にシラノール基を水素結合的に吸着させ、その後、基材を乾燥処理することにより行うことができ、これにより脱水縮合反応がおこり、非加水分解性基を基材表面に付与することができる。非加水分解性基やガラス基材と反応しなかったシラノール基が本発明における極性基として機能し、微粒子積層膜と相互作用することで、基材と微粒子積層膜の密着が得られる。詳細は明らかではないが、相互作用には、共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれかが一つ以上寄与していると考えられる。上記において、水性媒体中に添加するシランカップリング剤の濃度は、0.1〜3重量%が好ましく、また、存在させる酸としては、酢酸が特に好ましく、その濃度は、0.1〜3重量%が好ましい。
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル基官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルキル基又はアリール基官能性シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリグリシドキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基官能性シラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(メタクリロキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ基官能性シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシ基官能性シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)−プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基官能性シラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基官能性シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル基官能性シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基官能性シラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基官能性シラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、エトキシシラントリイソシアネート等のイソシアネート基官能性シラン等がある。
これらのシランカップリング剤を用いて、微粒子の表面に官能基を付与しても良い。これにより、微粒子間や微粒子−基板間に共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれか一つ以上の引力を確実に与えることができる。
シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ビニル基を有するKA−1003、KBM−1003、KBE−1003、エポキシ基を有するKBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、スチリル基を有するKBM−1403、メタクリロキシ基を有するKBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、アクリロキシ基を有するKBM−5103、アミノ基を有するKBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−6123、ウレイド基を有するKBE−585、クロロプロピル基を有するKBM−703、メルカプト基を有するKBM−802、KBM−803、スルフィド基を有するKBE−846、イソシアネート基を有するKBE−9007(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。またはシランカップリング剤をすでに溶剤や水に希釈したプライマーを用いて中間層を形成しても良い。プライマーの市販品としては、例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を希釈したKBP−40、KBP−41、KBP−43、KBP−90、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を希釈したKBP−44、メルカプト基を有するシランカップリング剤を希釈したX−12−414(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
基材が樹脂である場合、中間層には極性基を有する樹脂を用いることが基材と中間層との密着を得るために好ましい。また、基材がガラスやアルミニウム等の無機材料基材である場合、中間層には、特に、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤や樹脂を中間層として基材上に形成する際に、採用できる塗布法としては、よく知られた方法により行うことができ、例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法およびカーテン・コート法、スピンコート法、ディップコート法、交互積層法などを採用することができる。これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
基材と中間層との密着をより確実にするために、中間層を形成する基材にコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理を施しても良い。
固体基材(中間層を含む)表面の電荷密度を均一にし、微粒子をムラなく吸着させることを目的として、強電解質ポリマー層を形成しても良い。強電解質ポリマーには、プラスの電荷を有するポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)やポリエチレンイミン(PEI)もしくはマイナスの電荷を有するポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)が好ましい。交互積層法を用いて、荷電の符号の異なる2種類の強電解質ポリマーの交互積層膜を固体基材(中間層を含む)に形成しても良い〔アドバンスト マテリアル(Advanced Material)13巻52−54頁(2001年発行)参照〕。交互積層回数が10回以下の強電解質ポリマーの交互積層膜は、固体基材表面の極性基と微粒子積層膜の相互作用を妨げないため、強電解質ポリマーの交互積層膜は固体基材(中間層を含む)と必ずしも強く密着しなくとも良い。固体基材(中間層を含む)と微粒子積層膜の相互作用を妨げないために交互積層回数は5回がより好ましく、2回がさらに好ましい。
これら強電解質ポリマー層を中間層として基材表面に形成する場合は、強電解質ポリマー層を基材と密着させることが望ましい。密着させる方法としては、基材や基材表面層がポリマーである場合、熱、光、電子線、γ線などの従来公知の方法によって、強電解質ポリマーなどを基材表面のポリマーに結合させる方法が挙げられる。また、この方法を用いて極性基を有するモノマーを基材にグラフトさせても良い。極性基を有するモノマーとしては、アクリル酸もしくはメタクリル酸又はそれらのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、イタコン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン酸塩、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルポロピオン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルスルホン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、2−スルホエチレンアクリレート、2−スルホエチレンメタクリレート、3−スルホプロピレンアクリレート、3−スルホプロピレンメタクリレート又はそれらのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのリン酸モノマー又はそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩が挙げられる。
極性基を有する中間層がすでに形成された固体基材を市販品として入手することもできる。例えば、東洋紡績(株)製の易接着層付きPETフィルム(A4100、A4300、A7300、A7810、A6340、K1531、K1564)、帝人デュポンフィルム(株)製の易接着層付きPET(545、746、540、709、705、707、399、330、534)、帝人デュポンフィルム(株)製の易接着層付きPEN(Q51DW)、東レ(株)製の易接着層付きPET(U10、U12、T11、U426、U34、T83、U94、E22、E63)、三井化学(株)製の接着性ポリオレフィン(アドマー)とポリオレフィンが多層化された固体基材などが挙げられる。
易接着層付きPETフィルムとしては、特許2560754号公報、特許3632044号公報、特開昭61−270153号公報、特開昭62−162540号公報、特開昭63−286346号公報、特開昭63−288750号公報、特開平1−139259号公報、特公平4−55215号公報、特公平5−54493号公報、特公平5−88190号公報、特開11−125926号公報、特開2005−97571号公報に開示のものが好ましい。
東洋紡績(株)製の易接着層付きPETフィルムであるA4300やA7300に付与されたスルホン酸基の含有量は、イオンクロマトグラフィー分析により評価することができる。1gのA4300やA7300が含有する硫黄の量はそれぞれ170μg、190μgであったため、SO3−含有量はそれぞれ0.04重量%、0.05重量%だと評価することができる。また、ガスクロマトグラフィー分析によって極性基の同定を行なうこともできる。
(4)微粒子積層膜の形成方法
固体基材を微粒子分散溶液に浸漬する工程と、を交互に繰り返す方法(交互積層法)により、固体基材上に微粒子積層膜を形成することができる。繰り返す回数に特に制限はないが、その回数により、薄膜の膜厚を制御することができる(Langmuir,Vol.13,pp.6195−6203,(1997))。上記の交互積層法において、交互に繰り返す回数は、1回乃至数十回とすることが透明性を確保する上で好ましい。また、上記の交互積層法において、電解質ポリマー溶液に浸漬する工程で終わるよりも、微粒子分散溶液に浸漬する工程で終わることが好ましい。
各工程において吸着が進行して表面電荷が反転すると、さらなる静電吸着は起こらなくなるために、一回の浸漬により形成される膜の厚さは制御できる。また、余分に物理吸着した材料は、浸漬後に吸着面をリンスすることで除去できる。さらに、表面電荷が反転する限り、膜の形成を継続することができる。そのため、通常のディップコート法よりも、交互積層法で形成した薄膜の膜厚均一性は高く、かつ膜厚制御性も高い。
高い膜厚制御性は微粒子積層膜が所望の光学機能を発現するために重要である。また、高い膜厚均一性は外観ムラを生じさせないためだけでなく、異なる屈折率の薄膜を多層化させた多層膜構造においては、薄膜同士の界面を乱れさせない、すなわち薄膜干渉による光学機能発現を損なわないためにも重要である。
微粒子積層膜の形成装置としては、固体基材を固定したアームが自動的に動き、プログラムに従って固体基材を微粒子分散液中に浸漬させるディッパーと呼ばれる装置(J.Appl.Phys.,Vol.79,pp.7501−7509,(1996)、特願2000−568599号)を用いても良い。また、ロール状に巻き取ってあるフィルムからフィルムを取り出し、そのまま微粒子分散液中に浸漬させ、乾燥させた後にロール状にフィルムを巻き取る連続膜形成プロセスを用いても良い。
(5)微粒子分散液
本発明で用いる微粒子分散液は、上述した微粒子が、水、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒である媒体(液)に分散されたものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどがあげられる。微粒子分散液中に占める微粒子の割合は、通常0.01〜30%(重量)程度が好ましく、微粒子の分散は公知の方法によって行うことができる。微粒子の分散性が低い場合は、分散性を改善するために、微粒子分散液を調製する際にいわゆる分散剤を用いることができる。このような分散剤としては、界面活性剤や電解質ポリマーあるいは非イオン性のポリマーなどを用いることができる。これらの分散剤の使用量は、用いる分散剤の種類によって異なるものであるが、一般に0.001〜0.1%(重量)程度であることが好ましく、多すぎるとゲル化・分離を起こしたり、分散液中で微粒子が電気的に中性となり、微粒子積層膜が得られなくなる。
また、微粒子分散液のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液または塩酸、硫酸などの酸性水溶液により1〜13の範囲で調整することができ、分散剤によってもpHの調整はできる。微粒子分散液のpHが等電位点からずれるほど、固体基材や電解質ポリマーとの静電的引力が強くなる傾向がある。なお、等電位点とは微粒子の表面電位が0となり、静電反発力がなくなるために粒子が凝集を起こすpH値であるが、等電位点は表面水酸基の数や結晶構造により異なるため、微粒子の材料によって異なる。
(6)微粒子材料
本発明に用いる微粒子分散水溶液に分散されている微粒子の平均一次粒子径は2〜100nmであることが微粒子積層膜の透明性を得るために好ましく、微粒子積層膜の光学機能の確保の観点から2〜40nmがより好ましく、2〜20nmが最も好ましい。平均一次粒子径が2nm未満の微粒子は形成が難しくなる。平均一次粒子径が100nmより大きくなると、可視光を散乱しやすくなり、微粒子積層膜の透明性を損ないやすくなる。
また、交互積層法で微粒子積層膜を形成する場合、交互積層回数1回あたりの微粒子積層膜の膜厚変化量は、通常は微粒子の平均一次粒子径と同程度である。そのため、平均一次粒子径が大きすぎると膜厚制御の精度が低くなり、光学機能発現に膜厚を精度良く得ることが困難になる。膜厚制御性を損なわなければ、微粒子は一次粒子であっても一次粒子が凝集したタイプの二次粒子であっても良い。
なお、微粒子積層膜の光学機能発現に必要な膜厚dは、次式(1)
Figure 2007199702
(但し、式中、λは光学的機能を発現したい波長、nは膜の屈折率、xは通常2〜8である)で求められる(光学薄膜技術、日本オプトメカトロニクス協会、岡本幹夫著、pp.7−45、2002年1月15日発行、参照)。
本発明において、微粒子の平均一次粒子径や平均二次粒子径の測定は、公知の方法を用いて行うことができる。一次粒子が凝集せずに微粒子分散液中に分散している場合、平均一次粒子径を動的散乱法により測定することができる。ただし、一次粒子が凝集した二次粒子等の場合、動的散乱法により測定されるのは平均一次粒子ではなく、平均二次粒子径である。二次粒子における平均一次粒子径はBET法や電子顕微鏡法によって測定できる。
BET法では、窒素ガスのように占有面積の分かった分子を粒子表面に吸着させ、その吸着量と圧力の関係から比表面積を求め、この比表面積を換算表から粒子径に変換をすることで平均一次粒子径を求めることができる。
また、電子顕微鏡法では、まず厚さ数十nmのアモルファスカーボン膜が形成された銅製メッシュ上で微粒子を微粒子分散液からすくい取る、もしくはアモルファスカーボン膜上に微粒子を吸着させる。その微粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、次いで、撮影画像中の全ての微粒子の長さを測定しその相加平均を平均一次粒子径として求める。なお、長さをはかる微粒子の数は100以上が望ましく、1つの撮影画像中の微粒子の数が100未満の場合は複数の撮影画像を用いて100以上となるようする。柱状粒子のように粒子の軸比が大きく異なる場合は、一般的に短軸の長さを測定し、その相加平均を平均一次粒子径とする。
また、前記の粒子径測定における微粒子は、微粒子積層膜を作製するための微粒子分散液から得るだけではなく、微粒子積層膜から得ても良い。微粒子積層膜から得る方法としては、スチールウール(日本スチールウール社製、#0000)やカッター等で固体基材上の微粒子積層膜を研磨することで粉末状の微粒子凝集体を剥離し、その微粒子凝集体を溶媒中で超音波をかける方法が挙げられる。これより、サイズの小さくなった微粒子凝集体や単分散の微粒子が得られる。前記溶媒には水、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒を用いることができる。
電子顕微鏡法では、微粒子の粒子径と同時に形状も観察できる。粒子が球状であるか、数珠状であるかが区別できる。数珠状粒子は図1に示すように一次粒子が数珠状につながっており、それぞれの一次粒子は共有結合している。数珠状粒子を用いた微粒子膜では、数珠状の形状がもたらす立体的な障害により、他の数珠状粒子や反対電荷を有する電解質ポリマーが空間を密に占めることができず、その結果、球状粒子を用いた微粒子膜よりも空隙率が高く低屈折率となる。
本発明における微粒子としては、無機微粒子があるが、具体的には、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、シリコン、錫、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ビスマス、ニオブ、セリウム、コバルト、銅、鉄、ホルミウム、マンガン等のハロゲン化物や酸化物などが使用されるが、さらに具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリカ(SiO)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(Nb)、セリア(CeO)、酸化コバルト(CoO)、銅(CuO)、鉄(Fe)、ホルミウム(Ho)、マンガン(Mn)等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。微粒子は不定型であっても良いし、取り得る結晶型に特に制限はない。例えば、TiOは、ルチル型でもアナターゼ型でも良い。このような無機微粒子の市販品としては、例えば、多木化学(株)製のチタニア微粒子水分散液(タイノックM−6)、住友大阪セメント(株)製の酸化亜鉛微粒子水分散液(ZnO−350)、多木化学(株)製のセリア微粒子水分散液(ニードラールP10)、多木化学(株)製の酸化錫微粒子水分散液(セラメースS−8)、多木化学(株)製の酸化二オブ微粒子水分散液(バイラールNB−X10)、日産化学工業(株)製のアルミナ微粒子水分散液(アルミナゾル−5)、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子水分散液(スノーテックス20)等が利用できる。
上記の無機微粒子の中でも反射防止膜に必要とされる低屈折率の薄膜が得られる点でシリカ(SiO)が好ましく、平均一次粒子径を1nmから23nmのように制御した水分散コロイダルシリカ(SiO)が最も好ましい。このような無機微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス(日産化学工業社製)等が挙げられる。より低い屈折率を得るためには、基本となる微粒子が、図1に示されるように数珠状に連なった粒子形状を含有するものがより好ましい。市販されているものとしては、スノーテックスUPないしスノーテックスOUPシリーズ(日産化学工業社製)や、ファインカタロイドF120(触媒化成工業社製)で、パールネックレス状シリカゾルがある。
本発明における微粒子として、ポリマー微粒子も用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、シリコンポリマー、フェノール樹脂、ポリアミド、天然高分子を挙げることができ、これらは単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。それらは液相から溶液噴霧法、脱溶媒法、水溶液反応法、エマルション法、懸濁重合法、分散重合法、アルコキシド加水分解法(ゾル−ゲル法)、水熱反応法、化学還元法、液中パルスレーザーアブレーション法などの製造方法で合成される。ポリマー微粒子の市販品としては、例えば、ミストパール(荒川化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、微粒子間や微粒子−基板間に共有結合、分子間力、ファンデアワールス力のいずれか一つ以上の引力を与える目的で、これらの微粒子の表面にイオン性の官能基を付加しても良い。微粒子表面への官能基の付与は、化学式(I)で表されるシランカップリング剤を微粒子の水酸基などと縮合反応させることで行うことができる。微粒子表面へ付与する官能基としては、例えば、前述したビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、スルフィド基、メルカプト基、イソシアネート基を挙げることができる。シランカップリングの市販品としては、信越化学製のKBMシリーズやKBEシリーズが挙げられる。また、カルボキシル基、カルボニル基、フェノール基等を微粒子表面に付与しても良く、このような官能基が表面に付与された微粒子の市販品としては、例えば、ミストパール(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
媒体中に分散している微粒子は、その表面極性基の解離やイオンの吸着によって拡散電気二重層が生じるために、電気的に負または正に帯電する。微粒子表面の拡散電気二重層の厚さ(1/κ)は、表面電荷と対イオン(電解質イオン)の間の引力と、熱運動による力がつりあう距離である。ここで、κはDebye−Huckelのパラメータと呼ばれ、次式のように表される(大島広行、「ナノ微粒子の分散安定性・凝集制御およびゼータ電位の測定評価」、技術情報協会)。
Figure 2007199702
(式中、kはBoltzmann定数、εは真空の誘電率、εは媒体(液)の比誘電率、Tは絶対温度、Zは価数、eは単位電荷、Nはアボガドロ数、Cは電解質濃度で単位はM(=mol/リットル)である。)
微粒子の表面電位(φ)は、表面電荷密度(σ)による電場(σ/εε)と電気二重層(1/κ)との積であり、次式のように表される。
Figure 2007199702
この式から、微粒子の表面電位(φ)は、表面電荷密度(σ)や電解質濃度(C)により制御できることが分かる。
電解質濃度を上げるために加える電解質としては、水または水、アルコール混合溶媒などに溶解するものであれば限定されるものではないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、四級アンモニウムイオンなどとハロゲン元素との塩、LiCl、KCl、NaCl、MgCl、CaClなどが用いられる。表面電荷密度(σ)は、pHによって制御できる。なぜなら、粒子表面にある解離基の解離(イオン化)度はpHによって影響を受けるからである。例えば微粒子表面にカルボキシル基(−COOH)や表面水酸基(−OH)がある場合は、pHを上げるとイオン化してカルボキシレート陰イオン(−COO)または水酸化物イオン(−O)となるため、電荷密度σは上がる。一方、アミノ基(−NH)がある場合はpHを下げるとアンモニウムイオン(−NH )となり電荷密度が上がる。すなわち、高いpH領域、及び低いpH領域で電荷密度の上昇がある。
溶液中に分散している微粒子は、その表面極性基の解離やイオンの吸着によって電気的に負または正に帯電する。この表面電位が同じ符号である微粒子は互いに反発し、凝集することなく安定に媒質中に分散する。ゼータ電位は微粒子の表面電荷を反映し、微粒子の分散安定性の指標として用いられている(北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995年1月発行)。ゼータ電位の絶対値が増加すれば微粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高くなり、逆にゼータ電位がゼロに近づくと微粒子は凝集しやすくなる。
このゼータ電位は、例えば、電気泳動光散乱測定法(別名レーザードップラー法)により測定することができる。外部電場(E)によって泳動する微粒子に波長(λ)のレーザー光を照射し、散乱角(θ)で散乱する光の周波数変化(ドップラーシフト量Δν)を測定し、次式によって微粒子の泳動速度(V)を求める。
Figure 2007199702
ただし、nは媒体(液)の屈折率である。ここで得られた泳動速度(V)と外部電場(E)から電気移動度(U)が次式より求められる。
Figure 2007199702
電気移動度(U)からゼータ電位(ζ)は、次式のSmoluchowskiの式を用いて求められる。
Figure 2007199702
ただし、ηは媒体(液)の粘度、εは媒体(液)の誘電率である(北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995年1月発行)。
無機酸化物の粒子では分散溶液のpHが変わるとゼータ電位が大きく変化する。例えば、チタニア粒子(日本アエロジル社製)が分散する溶液のpHを3、7.5、11と変化させると、ゼータ電位は+40mV、0mV、−20mVと変化し、粒子径は400nm、1600nm、900nmと変化する。すなわちゼータ電位が0mVになると粒子は凝集することがわかる(大塚電子(株)、アプリケーションノート、ゼータ電位「無機物のゼータ電位測定」、p.LS−N002−6、2002年9月1日発行)。このことから、溶液中の微粒子を安定に分散させるために、微粒子のゼータ電位の絶対値を数mV〜数十mVの範囲に制御することが望ましい。
1重量%に調整した日産化学製のシリカ微粒子水分散液(スノーテックス20)はpHが10であり、シリカ微粒子のゼータ電位は−48mVであった。このシリカ微粒子分散液のpHを9に調整したところ、シリカ微粒子のゼータ電位は−45mVとなった。また、pHが10のシリカ微粒子水分散液に塩化ナトリウムを添加し、塩化ナトリウム濃度が0.25モル/リットルのシリカ微粒子水分散液を調整したところ、シリカ微粒子のゼータ電位は−40mVとなった。
シリカ微粒子水分散液と、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)の0.3重量%水溶液を用いて、交互積層法により作製したシリカ微粒子積層膜では、ゼータ電位が−48mVの時にシリカ微粒子積層膜の屈折率が1.31となるのに対して、ゼータ電位が−45mVと−40mVの時には屈折率が1.29となった。この1.31の屈折率から微粒子体積率を求めると60%、1.29の屈折率から微粒子体積率を求めると56%となる。このことから、屈折率の低下は、微粒子のゼータ電位低下により、空隙率が低下したためと考えられる。このように微粒子のゼータ電位の制御により、微粒子積層膜の屈折率を制御することができる。
微粒子積層膜に含まれる微粒子の種類は一種類に限らない。例えば、微粒子分散溶液の一回の浸漬において吸着される微粒子は二種類以上でも良く、また、微粒子分散溶液の浸漬毎に微粒子の種類が異なっていても良い。
なお、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ケイ素の微粒子が、微粒子積層膜の表面硬度を高める点で好ましい。
(7)電解質ポリマー溶液
電解質ポリマー溶液は、交互積層法を用いて微粒子積層膜を作製する際に必要となる。この電解質ポリマー溶液は、微粒子の表面電荷と反対または同じ符号の電荷の電解質ポリマーを、水、有機溶媒または水溶性の有機溶媒と水の混合溶媒に溶解したものである。使用できる水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどがあげられる。この電解質ポリマー溶液は微粒子積層膜の形成に用いられる。
電解質ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖または側鎖に持つ高分子を用いることができる。この場合、ポリアニオンとしては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸など負電荷を帯びることのできる官能基を有するものであり、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸およびそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体などを用いることができる。また、ポリカチオンとしては、一般に、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミドおよびそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体などを用いることができる。これらの電解質ポリマーは、いずれも水溶性あるいは水と有機溶媒との混合液に可溶なものであり、電解質ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した値)としては、用いる電解質ポリマーの種類により一概には定めることができないが、一般に、10,000〜300,000程度のものが好ましい。なお、溶液中の電解質ポリマーの濃度は、一般に、0.01〜30%(重量)程度が好ましい。また、電解質ポリマー溶液のpHは、特に限定されない。
ポリカチオンであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)と、ポリアニオンであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を用いて、交互積層法により(PDDA/PSS)多層膜を作製できる。シリコンウエハ上に交互積層回数45回で形成した(PDDA/PSS)45層構造膜の厚さは60nmであり、交互積層回数1回あたりのPDDA/PSS膜の厚さは約1.3nmと概算できる。このことから、PDDA層とPSS層は、分子オーダーの薄さで形成されることがわかる。なお、PDDAとPSSの単分子層はその分子構造から数Åと考えられる。
(8)微粒子積層膜
微粒子材料の選択により微粒子積層膜の屈折率が制御できる。微粒子積層膜の屈折率は、エリプソメトリーで測定した偏光特性からの解析、または分光光度計で測定した反射スペクトルや透過スペクトルからの解析により求めることができる。これらの手法の優れている点は微粒子積層膜の膜厚を同時に評価できることである。その他に微粒子積層膜の膜厚を求める方法には、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)などの膜を観察する方法もある。また、水晶振動子上に膜を形成し、周波数変化量と膜材料の密度から膜厚を求めることもできる。
微粒子と荷電の異なる電解質ポリマーとしてポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)を用いる場合、前述のように、PDDA層は1.3nm未満という分子オーダーの薄さである。従って、PDDA層は中間層表面や微粒子表面を、その平面形状や球面形状を追従しながら覆っていると考えられる。そして、その薄さで、中間層と微粒子、微粒子と微粒子の静電的な結合材として機能している。
微粒子積層膜の屈折率は微粒子材料のバルクより低く、それは微粒子積層膜中の微粒子の間に隙間ができるからである。本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間はほとんど空気であり、微粒子積層膜の屈折率nは次式から求めることができる。
Figure 2007199702
(ただし、式中、ρは微粒子積層膜中の微粒子の体積密度、nは微粒子を構成する物質の屈折率、nは空気の屈折率=1.0を示す。)(薄膜・光デバイス、吉田貞史、矢嶋弘義著、東京大学出版会、pp.34−37、1994年9月20日発行、参照)。例えば、バルクの屈折率nが2.3のチタニア微粒子を用いた微粒子積層膜の屈折率nは1.8となり、バルクの屈折率nが1.48のシリカ微粒子を用いた微粒子積層膜の屈折率nは1.3となる。このように、微粒子積層膜は微粒子材料のバルクより低い屈折率を示すため、光学的な設計において屈折率の選択範囲を広げる。
本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間はほとんど空気であるため、次式より微粒子積層膜の屈折率から微粒子の体積密度ρを求めることもできる。
Figure 2007199702
例えば、屈折率nが1.8のチタニア微粒子積層膜中のチタニア微粒子の体積密度ρは52%となり、屈折率nが1.3のシリカ微粒子積層膜中のシリカ微粒子の体積密度ρは58%となる。
一方、微粒子積層膜の空隙を完全に埋めるように屈折率nの樹脂を充填した場合の微粒子積層膜の屈折率n’は次式で表される。
Figure 2007199702
同じ微粒子の体積密度の場合、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜の屈折率n’よりも、空隙を有する微粒子積層膜の屈折率nのほうが屈折率は低くなる。そのため、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜よりも空隙を有する微粒子積層膜のほうがバルクより低い屈折率を示し、光学的な設計において屈折率の選択範囲を広げる。
微粒子積層膜は光学機能を発現するために微粒子積層膜の濁度が小さいことが望ましい。
固体基材がガラスのように透光性を有する場合は、微粒子積層膜が形成された透光性固体基材のヘイズ値(JIS K 7361−1−1997)から透光性を有する固体基材のヘイズを差し引いた値を微粒子積層膜の濁度とした。ここで、透光性を有する状態とは光を透過する状態をいい、光を散乱するか否かにはよらない。一方、固体基材がシリコンウェハのように透光性を有しない場合は、微粒子積層膜が形成された透光性を有しない固体基材の反射濁度から透光性を有しない固体基材の反射濁度を差し引いた値を微粒子積層膜の濁度とした。ここで、透光性を有しない状態とは吸収や反射により光を透過しない状態をいい、光を散乱するか否かにはよらない。なお、反射濁度とは拡散反射率を総反射率で除した値である。拡散反射率とは拡散反射率は、総反射率から鏡面反射した光を測定した鏡面反射率を差し引いた値である。総反射率は全方位に反射する光を測定した反射率である。
微粒子積層膜の濁度が小さいことが望ましいという観点から、微粒子積層膜の濁度は0.001%〜4%が好ましく、0.001%〜2%がより好ましく、0.001%〜1%が最も好ましい。可視光が散乱しないことを構造的にいえば、微粒子積層膜内部の空隙部分や微粒子が100nmを超えない大きさであることをいう。前述のヘイズ値増加や拡散反射率増加を4%以下にするためには、空隙部分や微粒子の大きさが100nm以内であることが望ましい。
本発明の微粒子積層膜では微粒子の粒子径を小さくすると屈折率が増加する傾向、すなわち微粒子積層膜中の微粒子体積率が増加する傾向にある。これは、粒子径減少により微粒子の凝集力が増したために、微粒子積層膜が緻密化したためである。微粒子積層膜の緻密化は、微粒子積層膜中において隣接する微粒子の数を増大させるために、微粒子間結合ができる微粒子の数を増加させる。そのため、この結合できる微粒子の数の増大が、微粒子積層膜の緻密化による微粒子積層膜の硬度向上の要因の一つといえる。
粒子形状を数珠状にすると立体障害により微粒子積層膜の屈折率が低下するが、これは緻密化が阻害されて微粒子積層膜中の微粒子の体積率が減少することを示す。一方、数珠状粒子は一次粒子が共有結合した状態であるため、数珠状粒子自身は強固である。そのため、数珠状粒子を用いて作製した微粒子積層膜は、球状粒子を用いて作製した微粒子積層膜よりも緻密化が阻害されながらも、膜の強度は同程度に高くなると考えられる。
この微粒子積層膜は可視光を散乱しないものであることが光学特性上好ましい。可視光が散乱しないことを特性的にいえば、入射光の透過光と散乱光の割合を示すヘイズ値が4%以下であることを意味する。さらに具体的には、固体基材(透明基材)のヘイズ値(JIS K 7105もしくはJIS K 7136のいずれかに準拠した)に比べて、微粒子積層膜が形成された透明基材のヘイズ値の増加が4%以下であることを意味する。固体基材が不透明の場合は、固体基材の拡散反射率に比べて、微粒子積層膜が形成された不透明基材の拡散反射率の増加が4%以下である時に、微粒子積層膜が可視光を散乱していないといえる。なお、拡散反射率は、全方位に反射する光を測定した総反射率から、鏡面反射した光を測定した鏡面反射率を引いた値に等しい。
可視光が散乱しないことを構造的にいえば、微粒子積層膜内部の空隙部分や微粒子が100nmを超えない大きさであることをいう。前述のヘイズ値増加や拡散反射率増加を4%以下にするためには、空隙部分や微粒子の大きさが100nm以内であることが望ましい。
本発明では、固体基材が表面に極性基を有することにより、その上に形成された微粒子積層膜が実用的な表面硬度と密着性を得ることができる。
固体基材上の膜の表面硬度を評価する方法としては鉛筆硬度試験が挙げられる。固体基材の硬度に依存せずに薄膜そのものの硬度を評価する装置にはナノインデンターが挙げられる。また、密着性を評価する方法には碁盤目テープ試験が挙げられる。本発明では、実際上の膜の表面硬度を評価する方法として鉛筆硬度試験を用いた。実用的な膜の表面硬度としては6B以上の濃度記号の鉛筆硬度が好ましく、HB以上の濃度記号の鉛筆硬度がより好ましく、H以上の濃度記号の鉛筆硬度がさらに好ましく、3H以上の濃度記号の鉛筆硬度が最も好ましい。
高い耐摩耗性や高い耐久性、高い密着力が要求されない微粒子積層膜積層体の用途の一例に反射防止膜付きの保護板等が挙げられる。液晶ディスプレイに用いる場合は、ディスプレイの内側に向いた反射防止膜は外部から触れられることがない。また、半導体イメージセンサ等の受光デバイスに用いる場合は、デバイス内部に反射防止膜付き保護板等が配置されるため、反射防止膜は外部から触れられることがない。そのため、このような用途では、加工・輸送・組立て・保管時に表面保護、汚染防止や固定をする粘着テープによって剥離や損傷をしない程度に膜の密着性があれば良い。
(9)光学部材
本発明における微粒子積層膜は、交互積層法により得られるために膜厚均一性が高く、それゆえ、その微粒子積層膜は光学部材に好適に用いることができる。微粒子積層膜は、例えば反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射膜、赤色反射膜、輝線カットフィルター膜、色調補正膜が二つ以上加わった構成の膜として機能させることができる。
そのため、微粒子積層膜を形成した固体基材は、例えば反射防止膜付き基材、反射膜付き基材(ミラー)、半透過半反射膜付き基材(ハーフミラー)、可視光反射赤外線透過膜付き基材(コールドミラー)、赤外線反射可視光透過膜付き基材(ホットミラー)、青色反射膜付き基材、緑色反射膜付き基材又は赤色反射膜付き基材(ダイクロックミラー)、輝線カットフィルター膜付き基材、色調補正膜付き基材として用いることができる。
上記の機能は、微粒子の選択により、また、微粒子積層膜の屈折率等の調整などにより、作り分けることが出来る。上記の機能は、多くの場合、固体基材の上に低屈折率膜と高屈折率膜を膜厚制御しながら積層して形成した多層構造膜からなる微粒子積層膜によって発現される。
光学的機能発現に必要な屈折率の範囲は、低屈折率膜としては1.3〜1.5、高屈折率膜としては1.6〜2.4が一般的であるが、多くの場合、低屈折率は低いほど良く、高屈折率は高いほど良い。なお、光学機能発現に必要な膜厚は、前記式(1)により求めることができる。屈折率の調整は、前記したように微粒子の選択により、行うことが出来る。
反射防止膜の多層構造の一例には、固体基材上に高屈折率膜と低屈折率膜を順に2層積層した構造があり、膜厚はそれぞれ次式で示す厚さdに近いことが望まれる。
Figure 2007199702
(ただし、式中、λは波長、nは膜の屈折率を示す。)
高屈折率膜の屈折率の二乗が、低屈折率膜の屈折率の二乗と固体基材の屈折率との積に等しければ、波長λでの表面反射率を0%にすることができる。そのため、高屈折率膜の屈折率を1.85まで高くできれば、低屈折率膜の屈折率が1.50でも表面反射率を0%に近づけることができる。なお、単層構造の反射防止膜の場合、単層膜の膜厚が(5)式を満たし、膜の屈折率は固体基材の屈折率の二乗根に等しければ、波長λでの表面反射率を0%にすることができる。
高屈折率膜の屈折率の二乗が、低屈折率膜の屈折率の二乗と固体基材の屈折率との積に等しければ、波長λでの表面反射率を0%にすることができる。そのため、高屈折率膜の屈折率を1.85まで高くできれば、低屈折率膜の屈折率が1.50でも表面反射率を0%に近づけることができる。なお、単層構造の反射防止膜の場合、単層膜の膜厚が(5)式を満たし、膜の屈折率は固体基材の屈折率の二乗根に等しければ、波長λでの表面反射率を0%にすることができる。実際上の反射防止膜に利用する観点から、可視光の波長領域で微粒子積層膜の表面反射率の最小値が3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。
半透過半反射膜の基本的な多層構造は、固体基材上に高屈折率膜と低屈折率膜の2層を順に積層し、2回繰り返した4層構造が一般的である。高屈折率膜と低屈折率膜の各層の厚さは厚さdに近づけることが基本であるが、反射スペクトルや透過スペクトルを目的とする波長領域で平坦にするため、すなわち、反射率や透過率の波長依存性を小さくするために、若干増減させても良い。なお、高屈折率膜の単層膜でも、膜厚をdに近づけることで、波長λを中心とした波長領域で半透過半反射機能を示す。実際上の半透過半反射膜に利用する観点から、微粒子積層膜の可視光の波長領域での反射率の平均値が15%以上50%以下および透過率の平均値が50%以上85%以下であることが好ましく、反射率の平均値が15%以上40%以下および透過率の平均値が60%以上85%以下であることがより好ましく、反射率の平均値が15%以上30%以下および透過率の平均値が70%以上85%以下であることが最も好ましい。
反射膜の基本的な多層構造は、固体基材上に高屈折率膜と低屈折率膜の2層を順に積層した二層構造を繰り返し積層したものであり、高屈折率膜と低屈折率膜の交互積層構造であるが、固体基材側最下層と最表面層は高屈折率膜である。膜厚は基本的にそれぞれ上記式(5)のdで決定される。高屈折率膜と低屈折率膜の二層構造の繰り返し数が多いほど高い反射率が得られる。また、低屈折率膜と高屈折率膜の屈折率差が大きいほど、二層構造の繰り返し数が同じでも反射率が高くなる。そのため、低屈折率膜と高屈折率膜の屈折率差を大きくすることで、高い反射率を得るために必要な二層構造の繰り返し数を少なくすることができる。
可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射膜、赤色反射膜、輝線カットフィルター膜、色調補正膜は、ある特定の波長で反射率が高いことが特徴であるため、基本的な膜構造は反射膜のような多層構造である。
式(2)よりわかるように、微粒子材料の変更や微粒子体積密度の制御により微粒子積層膜の屈折率を制御することができ、高屈折率や低屈折率の微粒子積層膜を得ることができる。例えば、バルクの屈折率が2.3の酸化チタン、2.2のセリア、1.9の酸化錫の微粒子を用いて、微粒子の体積密度を60%に制御すれば、屈折率1.89のチタニア微粒子積層膜、屈折率1.82のセリア微粒子積層膜や屈折率1.60の酸化錫微粒子積層膜等の高屈折率膜が得られる。一方、バルクの屈折率が1.6の酸化アルミニウム、1.48のシリカの微粒子を用いて、微粒子の体積密度を50%に制御すれば、屈折率1.33の酸化アルミニウム微粒子積層膜や屈折率1.26のシリカ微粒子積層膜等の低屈折率膜が得られる。微粒子体積密度は微粒子のゼータ電位により制御できると考えられる。
(10)乾燥処理
上記のようにして固体基材表面に形成した微粒子積層膜を加熱することで乾燥処理を行っても良い。乾燥処理により微粒子積層膜中に含有される水が除去されるとともに、微粒子間のファンデアワールス力、分子間力、クーロン引力及び共有結合がより多く生じ、膜硬度の向上が図られる。加熱温度は、基材の融点、ガラス転移温度、軟化温度等より低い温度が良く、プラスチック基材を固体基材に用いる場合は固体基材の透明性や無着色といった光学機能が保たれる温度が良い。なお、加熱温度は、微粒子積層膜中の電解質ポリマーの融点や沸点を越えても良い。本発明における微粒子積層膜中の電解質ポリマーは極微量であるため、加熱によって蒸発し、微粒子積層膜中から除去されても光学機能は保たれる。また、微粒子積層膜の形成のためには電解質ポリマーは静電的な結合材として必要であるが、微粒子積層膜の形成後では微粒子積層膜は微粒子間引力により保持されるために電解質ポリマーは存在しても良いし、存在しなくても良い。
加熱時間は1分〜1時間程度であることが好ましい。もちろん、加熱温度と加熱時間との関係は、相対的なものであり、処理温度を低くした場合には、その分長い時間にわたって処理を続けることで目的を達成できることはいうまでもない。また、加熱処理の雰囲気に制限はなく、空気中のような酸化性の雰囲気、窒素中のような不活性な雰囲気、あるいは水素などを含む還元性雰囲気であっても差し支えない。加熱方法にも制限はなく、オーブン、誘導加熱装置、赤外線ヒータのような加熱手段ないしは加熱装置を用いて行うことができる。
(11)封止材・オーバーコート材
本発明における微粒子積層膜積層体を含む光学部材がディスプレイ最表面に位置する場合、その防汚性や非常に高い表面硬度が要求されるが、防汚性の付与又は表面硬度の向上のために微粒子積層膜を封止、または、オーバーコートしても良い。
本発明で得られる微粒子積層膜の中には、微細な空隙が多数存在する。そのため、微粒子積層膜を樹脂に浸漬し、空隙を樹脂で埋め、その後硬化させることで、膜強度はさらに向上する。そのような樹脂材料は、例えば電離放射線硬化樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、反応性シリコーンオイルなどの樹脂組成物があげられる。また、金属アルコキシド溶液に浸漬したのち、乾燥して金属酸化物の硬化物で空隙を埋める方法やポリシラザンの溶液にディップして、転化させたシリカで空隙を埋めることもできる。また、これらの樹脂組成物や金属酸化物が微粒子積層膜上をコートしても良く、このオーバーコートは膜強度をさらに向上させる。なお、樹脂組成物や金属酸化物が微粒子積層膜中の空隙を埋めずに、オーバーコートされるだけでも良い。
微粒子積層膜の表面に、水や油脂成分などの汚れを防止するための防汚剤のコーティングを施してもよい。防汚剤としては、代表的には、シラン化合物、アルコキシ基を持ったパーフルオロシラン化合物(フッ素系シランカップリング剤)、フッ素化合物などの表面コーティング剤がある。シラン化合物はゾルゲル反応と同じく、加水分解により脱水や脱アルコールによる重縮合が起きてネットワーク化する。微粒子に金属酸化物を用いた場合は表面に水酸基が存在するので、シラン化合物を直接コートしても分子間結合をする。これらは最初にアルコキシ基が表面の水酸基と反応して脱アルコールして固定化され、さらにその後空気中の水分などによって加水分解が進み、縮合によって三次元的に結合したシロキサン結合ができて強固さが増し、表面の摩擦や磨耗等による機械的な消耗・劣化に対する耐久性に優れた特性を持つようになる。シラン化合物としてはペルヒドロポリシラザン等が挙げられる。このペルヒドロポリシラザンの有機溶媒溶液を塗布し、大気中で焼成することにより、水分や酸素と反応し、450℃程度で緻密な高純度シリカ(アモルファスSiO)膜が得られる。
また、フッ素含む上記表面コーティング剤は、表面にフッ素を主成分とする疎水基が存在するため高い撥水性を示すため好ましい。パーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂をメチルノナフルオロイソブチルエーテルやメチルノナフルオロブチルエーテル等のフッ素系溶媒で希釈した溶液を塗布し、50〜130℃程度で熱処理することで、フッ素樹脂層が得られる。このようなコーティング剤の代表的なものとして、オプツールDSX(ダイキン社製)、デュラサーフDS5000(ハーベス社製)、ノベックEGC−1720(住友スリーエム社製)などがある。
フッ素系シランカップリング剤により形成された単分子層や、厚さが20nm程度までのオーバーコートであれば、固体基材上に微粒子積層膜が形成されてなる微粒子積層膜積層体の光学的機能に影響はない。なお、フッ素系シランカップリング剤は、化学式(I)における非加水分解性基がフルオロアルキル基や、パーフルオロポリエーテル基であるシランカップリング剤である。しかし、20nmを超えるオーバーコートを施す場合は、微粒子積層膜を形成した固体基材が、光学用途の部材として光学的機能を発現するためには、このオーバーコートの膜厚は制御されなくてはならない。光学機能発現に必要な膜厚は前記dで決定される。このような範囲で膜厚制御ができるオーバーコート膜の形成方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、ロールコート法やスピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法、交互積層法などのウエットプロセスや、蒸着法、スパッタ法などのドライプロセス、またそれらを組み合わせた方法が挙げられる。
オーバーコートと微粒子積層膜の多層膜による光学部材の例としては、固体基材上に高屈折率nの微粒子積層膜を、光の波長λに対して、厚さ(d)が
Figure 2007199702
になるように形成し、その上に微粒子積層膜よりも低い屈折率nのオーバーコート膜を光の波長λに対して、厚さ(d)が
Figure 2007199702
になるように形成した反射防止膜付き基材が挙げられ、波長λで基材よりも反射率が低減する。
(12)水晶振動子を用いた質量測定
水晶振動子は極めて微量の質量変化を計測する質量センサーとして利用されている。水晶振動子の電極表面に物質が付着すると、水晶振動子全体の質量が増加するため、水晶振動子の共振周波数は減少する。(表面技術、瀬尾眞浩著、「水晶振動微量天秤法」、Vol.45、No.10、pp.1003−1008、1994年、参照)この水晶振動子の質量増加量(Δm)は付着物質の質量に等しく、水晶振動子の共振周波数の減少分(ΔF)と次式に示すSauerbreyの式で関係付けられる。
Figure 2007199702
ただし、Aは電極面積、μは水晶のせん断応力(2.947×1010kg・m・s)、pは水晶の比重(2648kg/m)、Fはセンサーの共振基本周波数である。(Z.Phys.,G.Sauerbrey著,Vol.155,p.206,1959年)
交互積層法による微粒子積層膜の形成において、この水晶振動子を微粒子分散液に浸漬し、水晶振動子上に微粒子を吸着させることで、基材上に吸着する微粒子の質量を評価することができる。また、同じ水晶振動子を電解質ポリマー溶液に浸漬し、水晶振動子上に電解質ポリマーを吸着させることで、基板上に吸着する電解質ポリマーの質量を評価することができる(特願2000−568599公報、参照)。
交互積層法により形成した微粒子積層膜は、ほとんど微粒子から構成されており、電解質ポリマーの構成比は少ない。水晶振動子を用いた質量評価により、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比を評価することができる。
微粒子と電解質ポリマーが同じ水晶振動子の電極面に吸着する場合、微粒子の質量(Δm)に対する電解質ポリマーの質量(Δm)の比(Δm/Δm)は、式(A)から次式のように導かれる。
Figure 2007199702
ただし、ΔFは電解質ポリマーの吸着による共振周波数の減少分であり、ΔFは微粒子の吸着による共振周波数の減少分である。すなわち、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(Δm/Δm)は、微粒子に対する電解質ポリマーの吸着による共振周波数の減少分の比(ΔF/ΔF)として求めることができる。
本発明における微粒子積層膜を形成するために、固体基材を電解質ポリマー溶液に浸漬し、次いでリンス用の超純水に浸漬する工程(A)と、微粒子分散液に浸漬し、次いでリンス用の超純水に浸漬する工程(B)をこの順に施す。この工程(A)1回と工程(B)1回を順に行う工程を微粒子積層膜製膜工程の1サイクルとし、微粒子積層膜が光学機能を発現する厚さとなるサイクル数(Nmax)まで繰り返す。基材とともに水晶振動子を電解質ポリマー溶液、超純水、微粒子分散液、超純水の順に浸漬すると、電解質ポリマーの吸着とリンス、微粒子の吸着とリンスに伴う共振周波数の変化が図1のように測定できる。ここでは、微粒子分散液としてシリカ微粒子の水分散液(スノーテックス20)を、電解質ポリマー溶液としてPDDAを用いた。
周波数減少分(ΔF)は電解質ポリマーの吸着とリンスを経て水晶振動子および固体基材の上に残る電解質ポリマーの質量による周波数減少分である。このΔFを微粒子積層膜製膜工程が1回目からNmax回目までの間に測定し、それらの平均値をΔF avとする。また、周波数減少分(ΔF)は微粒子の吸着とリンスを経て水晶振動子および基材の上に残る微粒子の質量による周波数減少分である。このΔFを微粒子積層膜製膜工程が1からNmaxの間に測定し、それらの平均値をΔF avとする。これらを用いて、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)を次式のように求めることができる。
Figure 2007199702
本発明で形成する微粒子積層膜では、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は、普通、0.1%〜40%と小さい。微粒子の体積率が同じ場合、空隙を樹脂で完全に充填した微粒子積層膜の屈折率n’(式(4)参照)よりも空隙を有する微粒子積層膜の屈折率n(式(3)参照)のほうが低い。このことから、微粒子積層膜に含まれる微粒子に対する電解質ポリマーの体積率が小さいほど、すなわち微粒子積層膜に含まれる微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)が小さいほど、微粒子積層膜の屈折率は低くなることがわかる。同じ微粒子の体積密度(充填率)において、樹脂中に微粒子が分散した膜に比べて、微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/P)が0.1%〜40%と小さい微粒子積層膜の屈折率は低くなる。すなわち、微粒子積層膜の屈折率を下げるためには、電解質ポリマーの質量比(me/P)が0.1%〜40%が好ましく、0.1%〜20%がより好ましく、0.1%〜5%が最も好ましい。
このようなバルクとは異なる屈折率は光学的な設計において屈折率の選択範囲を広げるため、微粒子積層膜は光学機能性を発現させる上で有用である。例えば、反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射膜、赤色反射膜、輝線カットフィルター膜、色調補正膜に微粒子積層膜を低屈折率膜として含む場合、微粒子積層膜の屈折率が低いほど、光学特性が向上させることや、多層構造膜の層数を減らすことが可能になる。
本発明における微粒子積層膜積層体は、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜のいずれかもしくは両方を有する光学部材、例えば、反射防止膜付き基材、反射膜付き基材(ミラー)、半透過半反射膜付き基材(ハーフミラー)、可視光反射赤外線透過膜付き基材(コールドミラー)、赤外線反射可視光透過膜付き基材(ホットミラー)、青色反射膜付き基材と緑色反射膜付き基材と赤色反射膜付き基材(ダイクロックミラー)等として有用であり、レンズやガラス基板等を基材(又は固体基材)に用いればレーザー用光学素子に、フィルム等を基材(又は固体基材)に用いればプラズマディスプレイパネル、液晶表示装置等のディスプレイ用の反射防止フィルムや近赤外線カットフィルムに、偏光板や拡散シート、レンズシート等を基材(又は固体基材)に用いれば液晶表示装置用光学部材に好適に用いることができる。
1.基材
基材としてBK−5ガラス基板(マツナミ社製、25mm×75mm×0.7mm厚)を用いた。
2.中間層の形成
上記ガラス基板を1規定の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、20分間超音波洗浄し、超純水でガラス基板をすすいだ。このガラス基板を2重量%の酢酸と2重量%のシランカップリング剤との混合水溶液に20分間浸漬し、超純水でガラス基板をすすいだ。このガラス基板を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で10分間の熱処理を行った。
(シランカップリング剤の種類)
上記のシランカップリング剤としては、
(1) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学製、官能基はエポキシ基)、
(2) p−スチリルトリメトキシシラン(KBM1403、信越化学製、官能基はスチリル基)、
(3) γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503、信越化学製、官能基はメタクリロキシ基)、
(4) γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103、信越化学製、官能基はアクリロキシ基)、
(5) γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM903、信越化学製、官能基はアミノ基)、
(6) γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(KBE585、信越化学製、官能基はウレイド基)
(7) γ−クロロプロピルトリメトキシシラン(KBM703、信越化学製、官能基はクロロプロピル基)、
(8) γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM803、信越化学製、官能基はメルカプト基)、
(9) ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(KBE846、信越化学製、官能基はスルフィド基)、
(10) γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE9007、信越化学製、官能基はイソシアネート基)
を別々に用いた。
3.微粒子積層膜の形成(微粒子積層膜の製膜工程)
微粒子分散液には、チタニア微粒子水分散液(タイノックM−6、多木化学(株)製、酸化チタンゾル、動的散乱法で測定した平均一次粒子径は6nm、アナターゼ型)を用い、電解質ポリマーにはPDDAを用いた。
溶液としては0.3重量%のPDDA水溶液と0.3重量%の微粒子分散液を調製した。微粒子分散液のpHは未調整であり、PDDA水溶液のpHは9に調製した。上記の固体基材と水晶振動子を、PDDA水溶液に1分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(ウ)、微粒子分散液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(エ)をこの順に施した。この工程(ウ)1回と工程(エ)1回を順に行うのを1サイクルとし、このサイクルを12回(微粒子交互積層回数)行い、固体基材表面及び水晶振動子上に微粒子積層膜を形成した。工程(ウ)における水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上および固体基材上に残る電解質ポリマーの質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。このΔFの評価をサイクル12回の間繰り返し、平均化することで、電解質ポリマーの質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。工程(エ)における水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上および固体基材上に残る微粒子の質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。このΔFの評価をサイクル12回の間繰り返し、平均化することで、微粒子の質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。ΔF avとΔF avの比として、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)を求めることができる(式(8)参照)。
微粒子積層膜が積層された固体基材(微粒子積層膜積層体)を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で1時間の熱処理を行い、チタニア微粒子積層膜を有する光学部材を得た。
(微粒子積層膜の鉛筆硬度の測定)
固体基材表面上の粒子積層膜の鉛筆硬度を、JIS K 5400−1990に準拠して次のように評価した。
電子天秤(研精工業(株)製)の上に光学用X軸可動ステージを固定し、このX軸可動ステージの上に厚さ3mmのステンレス板を置き、このステンレス板上に微粒子積層膜が形成された固体基材を固定した。この電子天秤をラボジャッキ上に固定した。5cm程度に切ったプラスチックホースに鉛筆を挿入し、この鉛筆が挿入されたプラスチックホースをランプクランプ等で挟み、このランプクランプ等をムッフ等によりスタンドに固定した。微粒子積層膜が形成された固体基材を、鉛筆に押し付けるようにラボジャッキを伸ばし、電子天秤の重さが1.00±0.05kg増加するようにラボジャッキを伸ばした。この時、鉛筆の芯の先端は平坦で角が鋭くなるように400番の研磨紙によって研がれており、鉛筆は微粒子積層膜が形成された固体基材面に対して45度の角度を保つように固定されている。鉛筆の芯の向きと反対に固体基材が移動するように、X軸可動ステージを動かした。この時、X軸可動ステージを動かす速度は約1cm/s、距離は約1cmである。引っかかれた後に微粒子積層膜表面に残った鉛筆の粉を、エアーブローで吹き飛ばした後、残った鉛筆の粉の塊にプラスチック消しゴム(トンボ鉛筆製、PE01)を擦らないように押し付けて鉛筆の粉をできるだけ取り除いた。鉛筆を1回引っかく毎に、鉛筆は400番の研磨紙で研いだ。
引っかいた方向に対して直角に、固体基材面に45度の角度から微粒子積層膜に光を照射し、45度の角度で反射する光(鏡面反射光)を目視によって観察し、膜表面にわずかに食い込むような傷が見えたときにすり傷が付いたと判別した。5回の試験で2回以上膜にすり傷が認められないときは、上位の濃度記号の鉛筆に取り替えて同様に試験を行い、膜のすり傷が2回以上になる鉛筆を見つけ、その鉛筆の濃度記号より一段階下位の濃度記号をすり傷評価による鉛筆硬度とした。表1はガラス基板表面に存在する官能基と、その上に形成されたチタニア微粒子積層膜の鉛筆硬度の関係を示す表であり、その鉛筆硬度は6B以上3B以下であった。
中間層の形成に用いられたシランカップリング剤の官能基と、その上に形成されたチタニア微粒子積層膜の鉛筆硬度を表1に示す。
(耐久性試験)
前記実施例1で得られたチタニア微粒子積層膜を有する光学部材の微粒子積層膜表面を乾いた布(BEMCOT、旭化成工業(株)製)を折りたたみ3cm×3cmの面積にした後に、100gの荷重をかけて10cmを1往復して擦った。この試験は、使用したシランカップリング剤毎に行った。試験後、目視で判定して、微粒子積層膜に傷がなかった場合をOK、傷があった場合をNGとして評価した。この結果を表1に示す。
Figure 2007199702
(ヘイズ値の測定)
前記で得たチタニア微粒子積層膜が両面に形成された固体基材のヘイズ値を、濁度計(日本電色工業社製)にてJIS K 7361−1−1997に準拠して測定した結果、0.5%であった。固体基材のみのヘイズ値を同様に測定した結果、0.2%であった。このことから、微粒子積層膜の透明性は非常に高いことがわかった。
実施例1において、固体基材としてBK−5ガラス基の代わりに両面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A7300、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)を固体基材として用いたこと以外は実施例1に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層が中間層として機能する。
この中間層を形成したPETフィルムが含むスルホン酸基(SO )の含有量をイオンクロマトグラフィーにより次のように評価した。中間層を形成したPETフィルム1gを試料燃焼装置(QF−02、三菱化学社製)にて燃焼し、燃焼ガスを1%過酸化水素水溶液に捕集した。この捕集液をイオンクロマトグラフ(DX−120、ダイオネクス製)にて分析した結果、190μgの硫黄を含有していた。そのため、この中間層を形成したPETフィルムのSO 含有量は0.05重量%だとわかった。なお、イオンクロマトグラフの分析は、検出器、カラム、溶離液にそれぞれ導電率検出器、AS12A(4mmφ×200mm)、2.7mMのNaCOと0.3mMのNaHCOの混合液を用い、流速は1.33mL/minにて行った。
この微粒子積層膜積層体(チタニア微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付PETフィルム)の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は76%、最大の透過率は81%であった。微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付PET基板の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最小の反射率は17%、最大の反射率は23%であった。上記の易接着層付PETフィルムの透過率は91%、反射率は9%であることから、易接着層付PETフィルム上に半透過半反射膜が形成されたことがわかった。
実施例1と同様にヘイズ値を測定した結果、チタニア微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付きPETフィルムのヘイズ値は1.2%であり、易接着層付きPET基板のヘイズ値は0.9%であった。このことから、微粒子積層膜の透明性は非常に高いことがわかった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はHであった。
実施例2において、微粒子交互積層回数が6回であることと、微粒子積層膜の製膜工程における110℃1時間の熱処理を行わなかった以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はFであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、微粒子交互積層回数が30回であること以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、チタニア微粒子水分散液の代わりにセリア微粒子水分散液(ニードラールP10、多木化学(株)製、酸化セリウムゾル、動的散乱法で測定した平均一次粒子径は8nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を20回としたこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はFであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、チタニア微粒子水分散液の代わりに酸化二オブ微粒子水分散液(バイラールNB−X10、多木化学(株)製、酸化二オブゾル、動的散乱法で測定した平均一次粒子径は5nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を40回としたこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はFであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、チタニア微粒子水分散液の代わりに酸化錫微粒子水分散液(セラメースS−8、多木化学(株)製、酸化錫ゾル、動的散乱法で測定した平均一次粒子径は2nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を15回としたこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はFであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、チタニア微粒子水分散液の代わりにアルミナ微粒子水分散液(アルミナゾル−520、日産化学工業(株)製、アルミナゾル、BET法で測定した平均一次粒子径は15nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を40回としたこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、チタニア微粒子水分散液の代わりにシリカ微粒子水分散液(スノーテックス−20、日産化学工業(株)製、シリカゾル、BET法で測定した平均一次粒子径は15nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を10回としたこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
この微粒子積層膜積層体(シリカ微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付きPETフィルム)の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。また、シリカ微粒子積層膜が形成された易接着層付きPETフィルムの片面を、アセトンを浸した綿棒で、PET面が露出するまでこすり、易接着層をシリカ微粒子積層膜ごと除去した。露出したPET面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−19)を気泡が残らないように貼り付け、微粒子積層膜が形成された面の表面反射率のスペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定した。シリカ微粒子積層膜が形成された易接着層付きPETフィルムの波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.5%であった。
A7300PET基板の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、優れた特性の反射防止膜が形成され、透過率向上にも寄与したことがわかった。
実施例1と同様にヘイズ値を測定した結果、シリカ微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付きPETフィルムのヘイズ値は1.2%であり、易接着層付きPETフィルムのヘイズ値が0.9%であることから、微粒子積層膜の透明性は非常に高いことがわかった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
水晶振動子の共振周波数変化から評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。これより、微粒子積層膜はほとんど微粒子のみから構成されていることがわかる。
基材として片面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)を用いた。
上記基材を、水分散ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245、東洋紡積製)を超純水で10倍に希釈したポリエステル樹脂水分散液に1分間浸漬し、その後室温で乾燥し、基材上にポリエステル樹脂層(厚さ200nm)を中間層として形成して固体基材(中間層付き基材)を調整した。この中間層付き基材を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で10分間の熱処理を行った。
この中間層が含むスルホン酸基(SO )の含有量をイオンクロマトグラフィーにより次のように評価した。MD−1245を乾燥して得た1gのポリエステル樹脂を試料燃焼装置(QF−02、三菱化学社製)にて燃焼し、燃焼ガスを1%過酸化水素水溶液に捕集した。この捕集液をイオンクロマトグラフ(DX−120、ダイオネクス製)にて分析した結果、3600μgの硫黄を含有していた。そのため、SO3−含有量は0.9重量%だとわかった。なお、イオンクロマトグラフの分析は、検出器、カラム、溶離液にそれぞれ導電率検出器、AS12A(4mmφ×200mm)、2.7mMのNaCOと0.3mMのNaHCOの混合液を用い、流速は1.33mL/minにて行った。
上記のこの中間層付き基材を用いて、実施例1に準じて微粒子積層膜の形成を行い、微粒子積層膜積層体を作製した。ただし、チタニア微粒子水分散液の代わりにシリカ微粒子水分散液(スノーテックス−20、日産化学工業社製、シリカゾル、BET法で測定した平均一次粒子径は15nm)を用いたこと、微粒子交互積層回数を10回とした。
実施例1と同様に微粒子積層膜の鉛筆硬度試験を行った結果、鉛筆硬度はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
基材として片面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)の代わりに表面が常温プラズマ処理されたハードコートPETフィルム(KBフィルムG01H、(株)きもと製、100mm×100mm×125μm厚、イー・スクエア社製ADMASTERを用いて投入電力2000W、窒素流量200L/min、搬送速度0.5m/minにてハードコート面を常圧プラズマ処理して使用)を用いたこと以外は、実施例10に準じて行微粒子積層膜積層体を作製した。実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度は3Hであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
比較例1
ガラス基板上に中間層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして微粒子積層膜積層体を作製した。
実施例1と同様に行なった鉛筆硬度試験の結果は6Bに未達(6Bで傷がつく)であり、実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はNGであった。
比較例2
比較例1において、固体基材としてBK−5ガラス基の代わりに易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層が片面にしかないPETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)を固体基材として用いたこと以外は比較例1に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。微粒子積層膜積層体の各種評価は、A4100の易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層を含まない面側にて行なった。
実施例1と同様に行なった鉛筆硬度試験の結果は6Bに未達(6Bで傷がつく)であり、実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はNGであった。
比較例3
比較例1において、固体基材としてBK−5ガラス基の代わりに鏡面研磨シリコンウェハー(SUMCO(株)製、屈折率4.08、6インチφ、625μm厚)を固体基材として用いたこと以外は比較例1に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
実施例1と同様に行なった鉛筆硬度試験の結果は6Bに未達(6Bで傷がつく)であり、実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はNGであった。
比較例4
実施例1において、固体基材としてBK−5ガラス基の代わりに表面が常温プラズマ処理されたハードコートPETフィルム(KBフィルムG01H、(株)きもと製、100mm×100mm×125μm厚、イー・スクエア社製ADMASTERを用いて投入電力2000W、窒素流量200L/min、搬送速度0.5m/minにてハードコート面を常圧プラズマ処理して使用)を用いたこと以外は、比較例1に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
実施例1と同様に行なった鉛筆硬度試験の結果は6Bに未達(6Bで傷がつく)であり、実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はNGであった。
実施例2〜15における基材、中間層、微粒子と微粒子積層膜の鉛筆硬度、耐久性試験結果、碁盤目テープ試験結果をまとめて表2示す。
Figure 2007199702
実施例2において、微粒子積層膜の製膜工程における110℃1時間の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体(チタニア微粒子積層膜を有する易接着層付きPETフィルム)を作製した。このようにして得られた微粒子積層膜積層体の微粒子積層膜の上に次に述べる方法で高分子交互積層膜を形成した。
電解質ポリマーには、ポリカチオンとしてポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量100,000、アルドリッチ社製)と、ポリアニオンとしてポリアリルアミン塩酸塩(PAH、重量平均分子量70,000、アルドリッチ社製)を用いた。溶液としては0.07重量%(10−2モル/リットル)のPAA水溶液と0.09重量%(10−2モル/リットル)のPAH水溶液を調製した。PAA水溶液のpHは3.5、PAHのpHは7.5に調製した。
上記の微粒子積層膜積層体に、(オ)PAH水溶液に5分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(オ)、PAA水溶液に5分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(カ)をこの順に施した。工程(オ)と工程(カ)を1サイクルとし、このサイクルを7回行って、(PAH/PAA)交互積層膜をチタニア微粒子積層膜上に形成した。
この高分子薄膜が形成された光学部材(高分子薄膜/チタニア微粒子積層膜を形成した固体基材)を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により140℃で1時間の熱処理を行った。
この高分子薄膜が形成された微粒子積層膜積層体(高分子薄膜/チタニア微粒子積層膜の2積層膜が両面に形成された易接着層付きPET基板)の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。この高分子薄膜が形成された微粒子積層膜積層体の表面反射スペクトルを実施例9と同様に測定したところ、最小の表面反射率は0.2%であった。A7300PET基板の透過率は91%であり、表面反射率は4.5%であることから、A7300PET基板上に優れた特性の反射防止膜が形成され、透過率向上にも寄与したことになる。
実施例1と同様に高分子薄膜が形成された微粒子積層膜積層体の鉛筆硬度試験を行った結果、鉛筆硬度はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
実施例2において、微粒子積層膜の製膜工程における110℃1時間の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2に準じて微粒子積層膜積層体(チタニア微粒子積層膜を易接着層付きPETフィルム)を作製した。
また、実施例9における易接着層付きPETフィルムの代わりに、上記の微粒子積層膜積層体(チタニア微粒子積層膜が形成した易接着層付きPETフィルム)を用い、微粒子積層膜の製膜工程における110℃1時間の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例9に準じて行った。これにより、シリカ微粒子積層膜/チタニア微粒子積層膜の2積層膜を易接着層付きPETフィルム上に形成してなる微粒子積層膜積層体を作製した。
チタニア微粒子積層膜を形成する工程1回とシリカ微粒子積層膜を形成する工程1回をこの順に行うことを1サイクルとして、このサイクルを合計で5回繰返した後に、さらにチタニア微粒子積層膜を形成する工程を行った。
このあと、微粒子積層膜を形成した固体基材を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で1時間の熱処理を行った。
この5回積層の(チタニア微粒子積層膜及びシリカ微粒子積層膜)並びにチタニア微粒子積層膜が形成された光学部材の表面反射スペクトルを実施例9と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は60%であった。A7300PET基板の表面反射率は4.5%であることから、A7300PET基板上に優れた特性の反射膜が形成されたことになる。実施例1と同様に上記の光学部材の鉛筆硬度試験を行った結果、鉛筆硬度はHであった。
実施例1と同様に行なった微粒子積層膜の耐久性試験の結果はOKであった。
1.基材
基材として両面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A7300、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)を用いた。
2.微粒子積層膜の形成(微粒子積層膜の製膜工程)
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)20、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用い、PDDAを電解質ポリマーとして用いた。
溶液としては0.3重量%のPDDA水溶液と1.0重量%の微粒子分散液を調製した。微粒子分散液のpHは未調整で9.5であり、PDDA水溶液のpHは9に調製した。
上記の固体基材と水晶振動子を、PDDA水溶液に1分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(ア)、微粒子分散液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(イ)をこの順に施した。この工程(ア)1回と工程(イ)1回を順に行うのを1サイクルとし、このサイクルを11回(微粒子交互積層回数)行い、固体基材表面及び水晶振動子上に微粒子積層膜を形成した。工程(ア)における水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上および固体基材上に残る電解質ポリマーの質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。このΔFの評価をサイクル11回の間繰り返し、平均化することで、電解質ポリマーの質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。工程(イ)における水晶振動子の共振周波数をモニタすることで、水晶振動子上および固体基材上に残る微粒子の質量による周波数減少分(ΔF)を評価することができる。このΔFの評価をサイクル11回の間繰り返し、平均化することで、微粒子の質量による周波数減少分の平均値(ΔF av)を求めることができる。ΔF avとΔF avの比として、微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)を求めることができる(式(8)参照)。
微粒子積層膜が積層された固体基材(微粒子積層膜積層体)を、厚さ0.5mmのステンレスからなるスライド立て(150mm×82mm×22mm)に立て、乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で1時間の熱処理を行い、シリカ微粒子積層膜を有する光学部材を得た。
(ヘイズ値の測定)
前記で得た微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付きPETフィルムのヘイズ値を、濁度計(日本電色工業社製)にてJIS K 7361−1−1997に準拠して測定した結果、1.4%であった。これより、微粒子積層膜積層体の透明性が高いことがわかった。易接着層付きPETフィルムのみのヘイズ値を同様に測定した結果、1.0%であった。微粒子積層膜が両面に形成された固体基材のヘイズ値から、固体基材のみのヘイズ値を差し引くことで微粒子積層膜の濁度を求めた。その結果、微粒子積層膜の濁度は0.3%であり、微粒子積層膜の透明性が非常に高いことがわかった。また、微粒子積層膜が非常に透明であるために、透明基材を用いた場合の微粒子積層膜積層体も透明だとわかった。
(透過率と表面反射率の測定)
このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された易接着層付きPETフィルムの透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。シリカ微粒子積層膜が形成された易接着層付きPETフィルムの片面を、アセトンを浸した綿棒で、PET面が露出するまでこすり、易接着層をシリカ微粒子積層膜ごと除去した。露出したPET面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−19)を気泡が残らないように貼り付け、微粒子積層膜が形成された面の表面反射率のスペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定した。シリカ微粒子積層膜が形成された易接着層付きPETフィルムの波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.5%であった。
A4300PET基板の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、優れた特性の反射防止膜が形成され、透過率向上にも寄与したことがわかった。
水晶振動子の共振周波数変化から評価した微粒子積層膜中の微粒子に対する電解質ポリマーの質量比(me/p)は3%であった。これより、微粒子積層膜はほとんど微粒子のみから構成されていることがわかる。微粒子積層膜に含まれる電解質ポリマーの質量比が低いために、屈折率が低い微粒子積層膜をより確実に得ることができる。そのため、この屈折率が低い微粒子積層膜を含む光学部材は例えば反射防止機能のような光学特性を向上でき、また、多層膜構造に利用すれば多層膜の積層数を減らすことができる。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)O、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を3回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.5%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が15nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)N、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を12回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.8%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が10nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)S、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を18回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は97%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は1.1%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が10nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)OS、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を3回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.7%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が10nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)NS、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を16回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は97%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は1.2%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
シアーズ法で測定した平均一次粒子径が5nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)XS、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を22回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は97%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は1.3%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
シアーズ法で測定した平均一次粒子径が5nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)OXS、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を5回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は98%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.9%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
シアーズ法で測定した平均一次粒子径が5nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)NXS、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を18回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は96%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は1.9%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)UP、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を11回としたこと、微粒子積層膜積層体の130℃で2時間の熱処理を行なったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は99%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.3%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)OUP、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を3回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は99%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.05%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が25nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)50、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を7回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は99%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.05%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が45nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)20L、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を7回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は99%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.05%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.5%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
BET法で測定した平均一次粒子径が50nmのシリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(スノーテックス(ST)XL、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子交互積層回数を6回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は99%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.05%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.7%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
実施例14〜27におけるシリカ微粒子の粒子径、形状と微粒子膜の特性をまとめて表1示す。
Figure 2007199702
基材として両面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A4300、東洋紡績(株)製、屈折率1.58、100mm×100mm×125μm厚)を用いたこと、BET法で測定した平均一次粒子径が15nmのアルミナ微粒子が分散したアルミナ水分散液(アルミナゾル−520、日産化学工業(株)製、酸化アルミニウムナゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を1重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を40回としたこと、微粒子積層膜積層体の110℃で1時間の熱処理を行なわなかったこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は91%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は8%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は4.0%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
動的散乱法で測定した平均一次粒子径が6nmのチタニア微粒子が分散したチタニア水分散液(タイノックM−6、多木化学(株)製、酸化チタンゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を0.3重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を12回としたこと以外は実施例32に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は71%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は28%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は14.3%であった。基材の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、半透過半反射膜が形成され、ハーフミラー機能を付与したことがわかった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
動的散乱法で測定した平均一次粒子径が20nmのチタニア微粒子が分散したチタニア水分散液(タイノックAM−15、多木化学(株)製、酸化チタンゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を0.3重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を10回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。
この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は70%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は29%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は14.6%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
動的散乱法で測定した平均一次粒子径が8nmのセリア微粒子が分散したセリア水分散液(ニードラールP10、多木化学(株)製、酸化セリウムゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を0.2重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を20回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は73%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は26%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は13.0%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
動的散乱法で測定した平均一次粒子径が5nmの酸化ニオブ微粒子が分散した酸化ニオブ水分散液(バイラールNB−X10、多木化学(株)製、酸化二オブゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を0.2重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を40回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は81%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は18%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は8.8%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
動的散乱法で測定した平均一次粒子径が2nmの酸化錫微粒子が分散した酸化錫水分散液(セラメースS−8、多木化学(株)製、酸化錫ゾル)を微粒子分散液として用いたこと、微粒子分散液の微粒子濃度を0.2重量%に調整したこと、微粒子交互積層回数を15回としたこと以外は実施例14に準じて微粒子積層膜積層体を作製した。この微粒子積層膜積層体の透過スペクトルを実施例14と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は86%であった。このシリカ微粒子積層膜が両面に形成された基材の反射スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の反射率は13%であった。実施例14と同様に微粒子膜が形成された片面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は6.6%であった。
実施例14と同様に評価した微粒子積層膜の濁度は0.3%であった。
実施例1と同様に行った微粒子積層膜の鉛筆硬度試験の結果、鉛筆硬度はHであった。
実施例28〜33における金属酸化物微粒子の粒子径、形状と微粒子膜の特性をまとめて表2示す。
Figure 2007199702
微粒子積層膜の屈折率、微粒子体積率や膜厚は、基材にガラスを用いた微粒子積層膜積層体の光学特性から下記のように算出できる。
(ガラス基板の表面反射率の測定と屈折率の評価)
BK−5ガラス基板(マツナミ社製、25mm×75mm×0.7mm厚)からの反射を無視できるように裏面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製)を気泡が残らないように貼り付け、可視紫外分光光度計(日本分光製、V−570)にて5°入射に対する表面の反射スペクトルを測定した。ただし、標準ミラーとしてはシリコンウエハを用いた。測定した波長λにおけるガラス(サンプル)の表面反射スペクトルRobs(λ)に、波長λにおけるシリコンウエハの表面反射率RSiを掛けることで、波長λにおけるガラス(サンプル)の表面反射率Rsub(λ)を求めた。RSiは波長400〜800nmでは55〜37%であり、波長λにおけるRSi(λ)は次式から求めた。
Figure 2007199702
(ただし、式中、nSi(λ)は波長λにおけるシリコンウエハの屈折率、k(λ)は波長λにおけるシリコンウエハの消衰係数を示す。)(薄膜・光デバイス、吉田貞史、矢嶋弘義著、東京大学出版会、pp.8−14、1994年9月20日発行、参照)
なお、上記の計算において、nSi(λ)及びkSi(λ)は文献値(D.E.Aspnes and J.B.Theeten, J.Electrochem.Soc. Vol.127, p1359 (1980))を用いた。
ガラス基板の表面反射率Rsubからガラス基板の屈折率nsubを次式から求めた。
Figure 2007199702
(ただし、式中、nsub(λ)は、波長λにおけるガラス基板の屈折率を示す。)(薄膜・光デバイス、吉田貞史、矢嶋弘義著、東京大学出版会、pp.8−14、1994年9月20日発行、参照)
BK−5ガラス基板の屈折率(nsub)は波長400〜800nmでは1.55〜1.52であった。
(微粒子積層膜付きガラス基板の表面反射率の測定)
実施例14に記述したように、得られた微粒子積層膜を有する光学部材(固体基材はBK−5ガラス基板)の片面をスチールウール(日本スチールウール社製、#0000)でガラス面が露出するまで研磨して積層された膜を除去した。露出したガラス面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、微粒子積層膜が形成された面の表面反射率のスペクトルを上記と同様に測定した。波長400〜800nmでの表面反射率の最小値は実施例27記載のシリカ微粒子積層膜が0.9%、実施例24記載のシリカ微粒子積層膜が0.7%、実施例30記載のシリカ微粒子積層膜が0.05%であった。波長400〜800nmでの表面反射率の最大値は、前記チタニア微粒子積層膜が14.3%、前記セリア微粒子積層膜が13.0%、前記酸化ニオブ微粒子積層膜が8.8%、前記酸化錫微粒子積層膜が6.6%であった。
(微粒子積層膜の屈折率の決定)
反射率が固体基材(ガラス基板)よりも低い場合、波長400〜800nmでの表面反射率の極小値をRminとし、Rminの波長λminでの微粒子積層膜の屈折率nを次式から求めた。
Figure 2007199702
また、反射率が固体基材(ガラス基板)よりも高い場合、波長400〜800nmでの表面反射率の極大値をRmaxとし、Rmaxの波長λmaxでの微粒子積層膜の屈折率nを次式から求める。
Figure 2007199702
以上より、屈折率は実施例27記載のシリカ微粒子積層膜が1.36、実施例24記載のシリカ微粒子積層膜が1.34、実施例30記載のシリカ微粒子積層膜が1.26、前記チタニア微粒子積層膜が1.85、前記セリア微粒子積層膜が1.81、前記酸化ニオブ微粒子積層膜が1.68、前記酸化錫微粒子積層膜が1.61であることがわかった。
(微粒子積層膜の微粒子体積率の決定)
本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間はほとんど空気であるため、次式より微粒子積層膜の屈折率から微粒子の体積密度ρを求めることもできる。
Figure 2007199702
これより、シリカ微粒子の体積密度ρは実施例27記載のシリカ微粒子積層膜が72%、実施例24記載のシリカ微粒子積層膜が67%、実施例30記載のシリカ微粒子積層膜が49%であることがわかった。
(微粒子積層膜の膜厚)
反射率が固体基材よりも低い場合、微粒子積層膜の膜厚dは次式から求めた。
Figure 2007199702
ただし、波長400〜800nmで表面反射率の極小値が1つのみで、極大値が長波長側にない場合は上式のmを0としてdを求めた。
また、反射率が固体基材よりも高い場合、微粒子積層膜の膜厚dは次式から求めた。
Figure 2007199702
ただし、波長400〜800nmで表面反射率の極大値が1つのみで、極小値が長波長側にない場合は上式のmを0としてdを求めた。また、波長400〜800nmで表面反射率の極大値が1つのみで、極小値が長波長側にある場合は上式のmを1としてdを求めた。これより、膜厚は実施例27記載のシリカ微粒子積層膜が100nm、実施例24記載のシリカ微粒子積層膜が100nm、実施例30記載のシリカ微粒子積層膜が110nm、前記チタニア微粒子積層膜が72nm、前記セリア微粒子積層膜が79nm、前記酸化ニオブ微粒子積層膜が101nm、前記酸化錫微粒子積層膜が90nmであることがわかった。
数珠状に連なった微粒子の状態と、一次粒子の粒子径を示す模式図である。 水晶振動子上に電解質ポリマーが吸着し、リンスされ、次いで微粒子が吸着し、リンスされる時の水晶振動子の共振周波数の変化を示すグラフである。

Claims (25)

  1. 表面に極性基を有する固体基材の表面に微粒子および電解質ポリマーを交互に吸着させてなる微粒子積層膜積層体。
  2. 微粒子積層膜の表面硬度が6B以上3H以下の濃度記号の鉛筆硬度を有する請求項1記載の微粒子積層膜積層体。
  3. 表面に極性基を有する固体基材が、基材表面に極性基を含む中間層が形成されたものである請求項1又は2記載の微粒子積層膜積層体。
  4. 中間層がポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂をブロックとして含む共重合体を含むものである請求項3記載の微粒子積層膜積層体。
  5. 中間層の厚みが、10nm以上500nmである請求項3又は4のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  6. 微粒子積層膜が可視光を散乱しないものである請求項1〜5のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  7. 極性基が、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、スルフィド基、スルホン酸基、スルホニル基、イソシアネート基、カルボキシル基、シラノール基、水酸基のうち少なくとも一種類以上の官能基である請求項1〜6のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  8. 微粒子が、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、シリコン、錫、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ビスマス、ニオブ、セリウム、コバルト、銅、鉄、ホルミウム、マンガンの酸化物の微粒子のうちいずれかの微粒子を含む請求項1〜7のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  9. 固体基材が表面処理された又は表面処理されないハードコート層を含む請求項1〜8のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  10. 微粒子の平均一次粒子径が1nm以上60nm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  11. 微粒子積層膜中に、微粒子及びこの微粒子に対して0.1質量%以上40質量%以下の電解質ポリマーを含む請求項1〜10記載のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  12. 固体基材が透明である請求項1〜11のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  13. 微粒子積層膜における表面反射率の最小値が3%以下である請求項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  14. 微粒子積層膜における表面反射率の最小値が1%以下である請求項13記載の微粒子積層膜積層体。
  15. 微粒子積層膜における反射率が15%以上50%以下および透過率が50%以上85%以下である請求項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  16. 微粒子積層膜における表面反射率の最大値が60%以上である請求項1〜12のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体。
  17. 表面に極性基を有する固体基材を微粒子分散溶液に浸漬する工程及び表面に微粒子が吸着している固体基材をその微粒子の表面電荷と反対符号の電荷を有する電解質ポリマー溶液に浸漬する工程を含むことを特徴とする微粒子積層膜積層体の製造方法。
  18. 表面に極性基を有する固体基材をその表面の電荷と反対符号の電荷を有する微粒子の分散液または電解質ポリマー溶液に浸漬する工程と、その微粒子またはその電解質ポリマーと反対符号の電荷を有する微粒子の分散液または電解質ポリマー溶液に浸漬する工程を含むことを特徴とする請求項17記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
  19. 表面に極性基を有する固体基材が、基材表面に極性基を含む中間層が形成されたものである項17又は18記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
  20. 中間層がポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂をブロックとして含む共重合体を含むものである請求項19記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
  21. 中間層の厚みが、10nm以上500nmである項19又は20のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体の製造方法。
  22. 請求項1〜16のいずれかに記載の微粒子積層膜積層体を含む光学部材。
  23. 請求項13又は14記載の微粒子積層膜積層体を含む反射防止機能を有する光学部材。
  24. 請求項15記載の微粒子積層膜積層体を含む半透過半反射機能を有する光学部材。
  25. 請求項16記載の微粒子積層膜積層体を含む反射機能を有する光学部材。
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