JP2007198642A - 空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷媒ボンベを用いて冷媒の充填を行う空気調和装置であって、冷媒回路と、チャージポートと、下流温度センサと、室外側制御部と、表示部とを備えている。冷媒回路は、圧縮機と室外側熱交換器と、室内側膨張弁と室内側熱交換器とが接続されることによって構成されている。チャージポートは、冷媒回路に対してボンベから冷媒を充填するためのポートである。下流温度センサは、冷媒回路のうちチャージポートの近傍に設けられている。室外側制御部は、下流温度センサによって検知される温度、もしくは、過熱度の少なくともいずれかの一方の変化に基づいてボンベが空になったか否かを判定する。表示部は、室外側制御部によってボンベが空になったと判定された場合に出力を行う。
【選択図】図3
Description
これに対して第1発明の空気調和装置では、冷媒回路に対する冷媒のチャージポートの近傍に第1温度センサが設けられているため、ボンベから冷媒の充填が開始されたことを、冷媒回路を流れる冷媒の温度変化として検出することができる。なお、ここでの温度センサは、温度変化を確実に検知するために、冷媒回路においてチャージポート近傍およびその下流側に設けられていることが好ましい。そして、充填判定部は、第1温度センサによって検知された温度、もしくは、過熱度の少なくとも一方の変化に基づいてボンベが空になったか否かを判定する。そして、出力部は、充填判定部によってボンベが空になったと判定された場合に、出力を行う。このため、冷媒回路にボンベを用いて冷媒を充填する作業員は、出力部からの出力結果によって、ボンベが空になったことを容易に把握することができる。
これにより、冷媒の充填を行う作業員は、充填作業においてボンベをはかり等で測定する必要がなく、特に意識することなく出力部から得られる情報によってボンベが空になったことを把握することが可能になる。
これにより、ボンベが空になっていることの判定をより確実に行うことが可能になる。
ここでは、第1温度センサは、利用側熱交換器と圧縮機との間に設けられていることにより、冷媒の過熱度を確実に把握することができる。また、第1温度センサは、チャージポートと圧縮機との間に配置されていることにより、ボンベから充填された後の下流側の冷媒の温度を確実に把握することができる。
これにより、ボンベが空になっていることの判定をよりいっそう確実に行うことが可能になる。
これにより、チャージポートの上流での状態量と、チャージポートの下流での状態量との値が等しくなった場合には、ボンベからの冷媒の充填が終了していると判断することができ、ボンベが空になったことをより正確に検知することが可能になる。
これにより、主冷媒回路以外のボンベからチャージポートまでの独立した構成のみによってボンベの空検知を行うことが可能になる。
第2発明に係る空気調和装置では、ボンベが空になったか否かの判定をより確実に行うことが可能になる。
第4発明に係る空気調和装置では、チャージポートの上流での状態量と、チャージポートの下流での状態量との値が等しくなった場合には、ボンベからの冷媒の充填が終了していると判断することができ、ボンベが空になったことをより正確に検知することが可能になる。
第6発明に係る空気調和装置では、作業員は、ボンベの空を把握して新しいボンベに交換するだけで、冷媒回路に対する必要量の冷媒充填作業を完了させることが可能になる。
本発明は、ボンベを用いて冷媒回路に対する冷媒の充填を行う空気調和装置を提供する。本発明の空気調和装置では、ボンベからチャージポートを介して冷媒回路に冷媒が充填されることで変動するチャージポート近傍の冷媒温度もしくは過熱度に基づいてボンベが空になるタイミングを特定する。本発明は、これにより、ボンベを用いて冷媒回路に冷媒の充填を行う作業員の負担を軽減させた点に特徴がある。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、膨張機構としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
室外ユニット2は、ビル等の屋上等に設置されており、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを備えている。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27と、上述した冷媒ボンベ90からの冷媒を冷媒回路10に充填するためのチャージポートPを有している。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量Woを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ28aによって駆動されるプロペラファン等である。
過冷却器25は、本実施形態において、2重管式の熱交換器であり、室外熱交換器23において凝縮された後に、室内膨張弁41、51に送られる冷媒を冷却するために設けられている。過冷却器25は、本実施形態において、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間に接続されている。
バイパス冷媒回路61は、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒回路61は、室外膨張弁38から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と過冷却器25との間の位置から分岐させるように接続された分岐回路61aと、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流回路61bとを有している。そして、分岐回路61aには、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス膨張弁62が設けられている。ここで、バイパス膨張弁62は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51に送られる冷媒は、過冷却器25において、バイパス膨張弁62によって減圧された後のバイパス冷媒回路61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器25は、バイパス膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。
チャージポートPは、上述したように、冷媒の封入された冷媒ボンベ90からの冷媒を冷媒回路10に対して充填するための接続ポートであり、冷媒ボンベ90と配管を介して接続されることで冷媒が充填される。
具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサとしての下流温度センサ92と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ32とが設けられている。下流温度センサ92は、アキュムレータ24と圧縮機21との間の位置に設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc又は暖房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する熱交温度センサ33が設けられている。室外熱交換器23の液側には、冷媒の温度Tcoを検出する液側温度センサ34が設けられている。過冷却器25の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ35が設けられている。バイパス冷媒回路61の合流回路61bには、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度Ta)を検出する室外温度センサ36が設けられている。
また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部37を有している。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部37と室外側制御部37、47、57間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
冷媒連絡配管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、冷媒充填量を計算するために、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を正確に把握する必要があるが、その情報管理や冷媒量の計算自体が煩雑である。また、既設配管を利用して室内ユニットや室外ユニットを更新するような場合には、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報が失われていることがある。
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後(具体的には、最初の機器設置後に限られず、例えば、室内ユニット等の構成機器を追加や撤去する等の改造後や機器の故障を修理した後等も含まれる)に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、室内の冷房を行う冷房運転と、室内の暖房を行う暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、主として、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転と、冷媒連絡配管6、7の容積を検知する配管容積判定運転と、構成機器を設置した後又は冷媒回路内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転とが含まれている。
<通常運転モード>
(冷房運転)
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1及び図2を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、全開状態にされている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。各室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、室内熱交換器42、52のガス側)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出されるか、又は、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbが過熱度目標値SHbsになるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbは、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、バイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度値をバイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbを検出するようにしてもよい。
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrが過冷却度目標値SCrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrは、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、閉止されている。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51を通過する際に、室内膨張弁41、51の弁開度に応じて減圧される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転及び暖房運転を含む通常運転を行う通常運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
次に、試運転モードについて、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図3は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の冷媒自動充填運転が行われ、続いて、ステップS2の配管容積判定運転が行われ、さらに、ステップS3の初期冷媒量検知運転が行われる。
(ステップS1:冷媒自動充填運転)
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット4、5の室内膨張弁41、51及び室外膨張弁38が開状態となり、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53が起動されて、室内ユニット4、5の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
上述の各種制御によって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定して、冷媒回路10内における冷媒量の分布が一定となるため、続いて行われるボンベ90からの冷媒の追加充填によって冷媒回路10内に冷媒が充填され始めた際に、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、主として、室外熱交換器23内の冷媒量の変化となって現れる状態を作り出すことができる(以下、この運転を冷媒量判定運転とする)。
尚、本実施形態と異なり、室外ユニット2に予め冷媒が充填されていない場合には、このステップS11の処理に先だって、上述の冷媒量判定運転を行う際に、構成機器が異常停止してしまうことがない程度の冷媒量になるまで冷媒充填を行う必要がある。
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒を追加充填する。
そのため、図1及び図11に示すように、冷媒ボンベ90がチャージポートPに接続される。この際、冷媒量演算手段として機能する制御部8は、ステップS12の冷媒の追加充填時における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から、冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
より具体的には、分割された各部分ごとに、各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式が設定されており、これらの関係式を用いて、各部分の冷媒量を演算することができるようになっている。そして、本実施形態においては、冷媒回路10は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52の出口に接続された状態において、以下に示すA〜Iの各部分に分割されている。
本実施形態において、高圧ガス管部Eにおける冷媒量Mog1と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mog1=Vog1×ρd
という、室外ユニット2の高圧ガス管部Eの容積Vog1に高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdを乗じた関数式として表される。尚、高圧ガス管部Eの容積Vog1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdは、吐出温度Td及び吐出圧力Pdを換算することによって得られる。
Mc=kc1×Ta+kc2×Tc+kc3×SHm+kc4×Wc
+kc5×ρc+kc6×ρco+kc7
という、室外温度Ta、凝縮温度Tc、圧縮機吐出過熱度SHm、冷媒循環量Wc、室外熱交換器23における冷媒の飽和液密度ρc及び室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkc1〜kc7は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、圧縮機吐出過熱度SHmは、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度であり、吐出圧力Pdを冷媒の飽和温度値に換算し、吐出温度Tdからこの冷媒の飽和温度値を差し引くことにより得られる。冷媒循環量Wcは、蒸発温度Teと凝縮温度Tcとの関数(すなわち、Wc=f(Te、Tc))として表される。冷媒の飽和液密度ρcは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる凝縮圧力Pc及び冷媒の温度Tcoを換算することによって得られる。
Mol1=Vol1×ρco
という、室外ユニット2の高温液管部B1の容積Vol1に高温液管部B1における冷媒の密度ρco(すなわち、上述の室外熱交換器23の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、高圧液管部B1の容積Vol1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
Mol2=Vol2×ρlp
という、室外ユニット2の低温液管部B2の容積Vol2に低温液管部B2における冷媒の密度ρlpを乗じた関数式として表される。尚、低温液管部B2の容積Vol2は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、低温液管部B2における冷媒の密度ρlpは、過冷却器25の出口における冷媒の密度であり、凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpを換算することによって得られる。
Mlp=Vlp×ρlp
という、液冷媒連絡配管6の容積Vlpに液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlp(すなわち、過冷却器25の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、液冷媒連絡配管6の容積Vlpは、液冷媒連絡配管6が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力された液冷媒連絡配管6の情報から制御部8で演算したり、又は、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。
Mr=kr1×Tlp+kr2×ΔT+kr3×SHr+kr4×Wr+kr5
という、過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlp、室内温度Trから蒸発温度Teを差し引いた温度差ΔT、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHr及び室内ファン43、53の風量Wrの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkr1〜kr5は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。尚、ここでは、2台の室内ユニット4、5のそれぞれに対応して冷媒量Mrの関係式が設定されており、室内ユニット4の冷媒量Mrと室内ユニット5の冷媒量Mrとを加算することにより、室内ユニット部Fの全冷媒量が演算されるようになっている。尚、室内ユニット4と室内ユニット5の機種や容量が異なる場合には、パラメータkr1〜kr5の値が異なる関係式が使用されることになる。
Mgp=Vgp×ρgp
という、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpにガス冷媒連絡配管部Hにおける冷媒の密度ρgpを乗じた関数式として表される。尚、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpは、液冷媒連絡配管6と同様に、ガス冷媒連絡配管7が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力されたガス冷媒連絡配管7の情報から制御部8で演算したり、又は、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。また、ガス冷媒配管連絡部Gにおける冷媒の密度ρgpは、圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、ガス冷媒連絡配管7の入口)における冷媒の密度ρeoとの平均値である。冷媒の密度ρsは、吸入圧力Ps及び吸入温度Tsを換算することによって得られ、冷媒の密度ρeoは、蒸発温度Teの換算値である蒸発圧力Pe及び室内熱交換器42、52の出口温度Teoを換算することによって得られる。
Mog2=Vog2×ρs
という、室外ユニット2内の低圧ガス管部Hの容積Vog2に低圧ガス管部Hにおける冷媒の密度ρsを乗じた関数式として表される。尚、低圧ガス管部Hの容積Vog2は、設置場所に出荷される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
Mob=kob1×ρco+kob2×ρs+kob3×Pe+kob4
という、室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρco、過冷却器25のバイパス回路側の出口における冷媒の密度ρs及び蒸発圧力Peの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkob1〜kob3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、バイパス回路部Iの容積Mobは、他の部分に比べて冷媒量が少ないこともあり、さらに簡易的な関係式によって演算されてもよい。例えば、
Mob=Vob×ρe×kob5
という、バイパス回路部Iの容積Vobに過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρe及び補正係数kobを乗じた関数式として表される。尚、バイパス回路部Iの容積Vobは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρeは、吸入圧力Ps又は蒸発温度Teを換算することによって得られる。
そして、このステップS12は、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定の条件が満たされるまで繰り返されるため、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒充填時における運転状態量から各部分の冷媒量が演算される。より具体的には、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定に必要な室外ユニット2内の冷媒量Mo及び各室内ユニット4、5内の冷媒量Mr(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10の各部分の冷媒量)が演算される。ここで、室外ユニット2内の冷媒量Moは、上述の室外ユニット2内の各部分の冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobを加算することによって演算される。
(ステップS13:冷媒量の適否の判定)
上述のように、冷媒回路10内に冷媒ボンベ90からの冷媒の追加充填が開始されると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加する。ここで、冷媒連絡配管6、7の容積が未知である場合には、冷媒の追加充填後に冷媒回路10内に充填されるべき冷媒量を、冷媒回路10全体の冷媒量として規定することができない。しかし、室外ユニット2及び室内ユニット4、5だけに着目すれば(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10)、試験や詳細なシミュレーションにより通常運転モードにおける最適な室外ユニット2の冷媒量を予め知ることができる。
そして、ステップS13において、室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msよりも小さく、冷媒の追加充填が完了していない場合には、充填目標値Msに到達するまで、ステップS13の処理が繰り返される。また、室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msに到達した場合には、冷媒の追加充填が完了し、冷媒自動充填運転処理としてのステップS1が完了する。
(冷媒自動充填運転中における冷媒ボンベ空検知判定と冷媒ボンベの交換)
なお、上述した冷媒回路10に対して行われる充填目標値Msまで冷媒の充填は、冷媒回路10のチャージポートPに接続された冷媒ボンベ90を用いて、具体的には以下のようにして行われる。
ステップS13では、ステップS12で求めた冷媒量の現在値が、充填目標値Msに到達したか否かについて、制御部8が逐次判定を行っている。このステップS13では、制御部8が、冷媒量の現在値が充填目標値Msに到達したか否か判断している。そして、制御部8は、充填目標値Msに到達したと判断した場合には、表示部9に、充填目標値Msに到達した旨を知らせるサインを表示させ、冷媒自動充填運転を停止する。このように、表示部9に表示されることで、作業員は、冷媒回路10の冷媒量が充填目標値Msに到達するまで充填されたことを把握し、ボンベ開閉弁95を閉状態にして、冷媒充填作業を完了させる。
ステップS51では、作業員が冷媒ボンベ90を冷媒回路10に接続し、ボンベ開閉弁95を開くことで冷媒の充填が開始される。この時、作業員が、室外制御部37に接続されて設けられているボタン(図示せず)を押すことにより、冷媒自動充填運転の開始指令が制御部8に入力され、冷媒ボンベ空検知判定が開始される。
ステップS56では、作業員がチャージポートPに接続されている空の冷媒ボンベ90を新しい冷媒ボンベ90に交換して、冷媒充填を再開させる。
否かを判断し、所定の閾値ΔT1以下になっていると判断した場合には、空でない新たな冷媒ボンベ90からの供給が介しされていると判定して、ステップ58に移行する。
このようにして、冷媒回路10に対して冷媒ボンベ90を交換しながら、冷媒量が充填目標値Msに到達するまで、冷媒の追加充填を続ける。
なお、上述の作業中における表示部9は、LEDが点灯表示によって各種状態を作業員に伝達しているが、特にLEDの点灯に限定されるものではなく、ディスプレイへの表示出力や、ブザー音等の出力によって作業員に知らせるようにしてもよい。
上述のステップS1の冷媒自動充填運転が完了したら、ステップS2の配管容積判定運転に移行する。配管容積判定運転では、制御部8によって、図6に示されるステップS21〜ステップS25の処理が行われる。ここで、図6は、配管容積判定運転のフローチャートである。
ステップS21では、上述の冷媒自動充填運転におけるステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転を行う。ここで、液管温度制御における過冷却器25の主冷媒回路側の出口の冷媒の温度Tlpの液管温度目標値Tlpsを第1目標値Tlps1とし、この第1目標値Tlps1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図7の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図7は、液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS22では、第1状態から第2状態への変更により、液冷媒連絡配管部B3から冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算する。
ΔMlp=−(ΔMc+ΔMol1+ΔMol2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMlpの値を液冷媒連絡配管6内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρlpで除算することにより、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMlpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1及び冷媒量Mog2が含まれていてもよい。
尚、ΔMc、ΔMol1、ΔMol2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρlpは、第1状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度と第2状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度を演算し、さらに第2状態における冷媒の密度から第1状態における冷媒の密度を減算することによって得られる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも高い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B2の冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算している。しかし、これに限らず、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも低い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B3に他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算してもよい。
(ステップS23、S24:ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転及び容積の演算)
上述のステップS21及びステップS22が完了した後、ステップS23において、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含むガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転を行う。ここで、蒸発圧力制御における圧縮機21の吸入圧力Psの低圧目標値Pesを第1目標値Pes1とし、この第1目標値Pes1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図8の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図8は、ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS24では、第1状態から第2状態への変更により、ガス冷媒連絡配管部Gから冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算する。
ΔMgp=−(ΔMc+ΔMog2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMgpの値をガス冷媒連絡配管7内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρgpで除算することにより、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMgpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1、冷媒量Mol1及び冷媒量Mol2が含まれていてもよい。
尚、ΔMc、ΔMog2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρgpは、第1状態における圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと室内熱交換器42、52の出口における冷媒の密度ρeoとの平均密度を演算し、第2状態における平均密度から第1状態における平均密度を減算することによって得られる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも低い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gの冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算している。しかし、これに限らず、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも高い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gに他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算してもよい。
(ステップS25:配管容積判定運転の結果の妥当性の判定)
上述のステップS21〜ステップS24が完了した後、ステップS25において、配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する。
ε1 < Vlp/Vgp < ε2
ここで、ε1及びε2は、熱源ユニットと利用ユニットとの実現可能な組み合わせにおける配管容積比の最小値及び最大値に基づいて可変される値である。
このように、上述の配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する妥当性判定手段として機能する制御部8により、ステップS25の処理が行われる。
また、上述のステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと複数回判定されるような場合や、より簡易的に冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpの判定を行いたい場合には、図6には図示しないが、例えば、ステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと判定された後に、冷媒連絡配管6、7における圧力損失から冷媒連絡配管6、7の配管長さを推定し、この推定された配管長さと平均容積比から冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する処理に移行して、冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを得るようにしてもよい。
上述のステップS2の配管容積判定運転が完了したら、ステップS3の初期冷媒量判定運転に移行する。初期冷媒量検知運転では、制御部8によって、図9に示されるステップS31及びステップS32の処理が行われる。ここで、図9は、初期冷媒量検知運転のフローチャートである。
ステップS31では、上述の冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転が行われる。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転における目標値と同じ値が使用される。
(ステップS32:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS32における初期冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の初期冷媒量を検知することができる。この初期冷媒量は、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒回路10からの漏洩の有無を判定する基準となる冷媒回路10全体の基準冷媒量Miとして使用されるため、運転状態量の1つとして、状態量蓄積手段としての制御部8のメモリに記憶される。
<冷媒漏洩検知運転モード>
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて、図1、図2、図5及び図10を用いて説明する。ここで、図10は、冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
(ステップS41:冷媒量判定運転)
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(例えば、半年〜1年ごと等)経過した場合に、自動又は手動で通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行なう。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転のステップS31における目標値と同じ値が使用される。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS41の処理が行われる。
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS42における冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算される。この際、初期冷媒量判定運転と同様に、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっている。このため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の冷媒量Mを演算することができる。
このように、冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS42の処理が行われる。
冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少する。そして、冷媒回路10内の冷媒量が減少すると、主として、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCoが小さくなる傾向が現れ、これに伴い、室外熱交換器23における冷媒量Mcが減少し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になる。このため、上述のステップS42において演算された冷媒回路10全体の冷媒量Mは、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じている場合には、初期冷媒量検知運転において検知された基準冷媒量Miよりも小さくなり、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じていない場合には、基準冷媒量Miとほぼ同じ値になる。
一方、ステップS43において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていると判定される場合には、ステップS44の処理に移行して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告を表示部9に表示した後、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
なお、ここで、冷媒の漏洩を検知した場合には、漏洩箇所を修理した後、冷媒充填運転を実施する。ここでの冷媒充填運転は、上述した施工時における運転手順と同様であり、冷媒量が充填目標値Msに達するまで冷媒回路10に冷媒を充填する。また、冷媒ボンベ90が空になる毎に新しい冷媒ボンベ90に交換して充填目標値Msに達するまで充填を続ける点も同様である。この他にも、冷媒漏洩以外の理由で冷媒回路10に関する修理のため冷媒回路10の冷媒を回収し、冷媒量が充填目標値Msに満たない状態となっている場合の再冷媒充填についても同様の手順によって実施可能である。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、制御部8が、冷媒量判定運転手段、冷媒量演算手段、冷媒量判定手段、配管容積判定運転手段、配管容積演算手段、妥当性判定手段及び状態量蓄積手段として機能することにより、冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定するための冷媒量判定システムを構成している。
(1)
従来の空気調和装置では、冷媒充填作業の途中でボンベが空になり、新たなボンベに交換して充填を続ける必要が生じることがある。この場合、ボンベが空になったか否かを判断するために、作業員は、はかり等を用いてボンベの重量変化を随時確認する作業を行う必要がある。
また、単に、はかり等によって冷媒ボンベ90の空を検知する作業が不要となって冷媒ボンベ90の空状態を自動的に検知できるだけでなく、冷媒回路10に対して冷媒目標値Msの冷媒が充填されたことについても自動的に検知できる。これにより、作業員は、冷媒ボンベ90の空を把握して新しい冷媒ボンベ90に交換する作業を数回行うだけで、冷媒回路10に冷媒目標値Msの冷媒量を充填させることができる。
本実施形態の空気調和装置1は、室外側制御部37が、下流温度センサ92による検知温度から得られる過熱度が閾値ΔT1を下回った場合に冷媒ボンベ90からの冷媒の充填が開始されたと自動的に判断する。さらに、下流温度センサ92によって検知される冷媒の過熱度が冷媒充填を開始した当初の温度と同様の温度であり、冷媒の過熱度が所定の閾値以上の状態で所定時間TW持続した場合に、冷媒ボンベ90が空になったと自動的に判定し、表示部9から出力している。これにより、作業員は、表示部9の表示によって冷媒ボンベ90が空になっていることを自動的に把握できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上述の空気調和装置1においては、チャージポートPに対して下流にのみ下流温度センサ92が設けられて温度が検知される冷媒ボンベ90の空検知を例に挙げて説明した。
これのような2つの温度センサ91、92が設けられた構成により、上流温度センサ91と下流温度センサ92との検知温度の差、もしくは、上流温度センサ91と下流温度センサ92とのそれぞれから得られる過熱度の差、もしくは、これらの変動を基準として、冷媒ボンベ90の空を検知するようにしてもよい。
上述の空気調和装置1においては、下流温度センサ92が主冷媒回路において設けられて温度検知をする場合について例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、図16に示すように、チャージポートPと冷媒ボンベ90とを接続する配管の途中にボンベ温度センサ93を設けた構成としてもよい。このボンベ温度センサ93は、下流温度センサ92と同様に、図17に示すように、室外側制御部37に対して接続されることになる。
ここでは、冷媒ボンベ90から主冷媒回路に対する冷媒の充填処理において、充填開始時と、冷媒ボンベ90が空になった充填終了時とで、検知温度を比較することができる。しかも、ボンベ温度センサ93が主冷媒回路の途中ではなく、冷媒ボンベ90からチャージポートPに供給される冷媒の温度を検知しているため、主冷媒回路における冷媒の流量や温度による影響を受けにくい値を検知している。これにより、チャージポートPと冷媒ボンベ90との間の冷媒の温度等の状態量の値について変動が少なくなった場合に冷媒ボンベ90からの冷媒の充填が終了していると判断することができ、冷媒ボンベ90が空になったことをより正確に検知することができる。
2 室外ユニット
4、5 室内ユニット
6、7 冷媒連絡配管
9 出力部
10 冷媒回路
21 圧縮機
23 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
37 制御部(充填判定部)
41、51 利用側膨張弁
42、52 室内熱交換器(利用側熱交換器)
90 冷媒ボンベ(ボンベ)
91 上流温度センサ(第2温度センサ)
92 下流温度センサ(吸入温度センサ・第1温度センサ)
P チャージポート
Claims (6)
- 冷媒の封入されているボンベ(90)を用いて冷媒の充填を行う空気調和装置(1)であって、
圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)と、利用側膨張弁(41、51)と利用側熱交換器(42、52)とが接続されることによって構成される冷媒回路(10)と、
前記冷媒回路(10)に対して前記ボンベ(90)から冷媒を充填するためのチャージポート(P)と、
前記冷媒回路(10)のうち前記チャージポート(P)の近傍に設けられた第1温度センサ(92)と、
前記第1温度センサ(92)によって検知される温度、もしくは、過熱度の少なくともいずれかの一方の変化に基づいて前記ボンベ(90)が空になったか否かを判定する充填判定部(37)と、
前記充填判定部(37)によって前記ボンベ(90)が空になったと判定された場合に出力を行う出力部(9)と、
を備えた空気調和装置(1)。 - 前記充填判定部(37)は、前記第1温度センサ(92)によって検知される温度、もしくは、過熱度との少なくともいずれか一方に関する値が所定判定値以上となった場合に、前記ボンベ(90)が空になったと判定する、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。 - 前記チャージポート(P)は、前記冷媒回路(10)における前記利用側熱交換器(42、52)と、前記圧縮機(21)と、の間に設けられており、
前記第1温度センサ(92)は、前記チャージポート(P)と前記圧縮機(21)との間に設けられている、
請求項1または2に記載の空気調和装置(1)。 - 前記第1温度センサ(92)は、前記チャージポート(P)と前記圧縮機(23)との間の下流側に設けられ、
前記チャージポート(P)に対して上流側に設けられた第2温度センサ(91)をさらに備え、
前記充填判定部(37)は、前記第1温度センサ(92)と前記第2温度センサ(91)とによって得られる検知される温度の差、もしくは、過熱度の差、または、前記温度の差もしくは過熱度の差の変化に基づいて前記判定を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。 - 前記第1温度センサ(93)は、前記ボンベ(90)と、前記チャージポート(P)との間の通過点に設けられている、
請求項1または2に記載の空気調和装置(1)。 - 前記冷媒回路(10)における冷媒の状態量を検知する状態量検知センサと、
前記状態量検知センサによって検知される状態量の変化に基づいて前記冷媒回路(10)に所定量の冷媒が充填されたか否かを判定する冷媒量判定手段(8)と、
をさらに備えた請求項1から5のいずれか1項に記載の空気調和装置(1)。
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