JP4665748B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、セパレート型の空気調和装置の運転前に冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようにすることにある。
この空気調和装置では、温度調節機構として熱源側熱交換器と液冷媒連絡配管との間に過冷却器が接続されており、熱源側熱交換器から膨張機構に送られる冷媒が液冷媒連絡配管に流入する前に冷却することができるため、確実に第1状態又は第2状態を作り出すことができる。
この空気調和装置では、配管容積判定運転において、ガス冷媒連絡配管内を流れる冷媒の圧力又は圧力に等価な運転状態量が一定になるように構成機器の制御を行うことで、ガス冷媒連絡配管内における冷媒量変化がなくなるため、配管容積演算手段において、冷媒の増減量を演算する際に、ガス冷媒連絡配管における冷媒量変化を考慮する必要がなくなる。これにより、液冷媒連絡配管の容積を正確に演算することができるようになり、また、例えば、構成機器を設置した後においてガス冷媒連絡配管の容積が未知の場合であっても、液冷媒連絡配管の容積を検知することができる。
この空気調和装置では、ガス冷媒連絡配管の容積と配管容積演算手段によって演算された液冷媒連絡配管の容積とを用いて、配管容積判定運転及び配管容積演算の結果の妥当性を判定することができるため、正確な液冷媒連絡配管の容積を得ることができる。
この空気調和装置では、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器から圧縮機に送られる冷媒を、圧縮機の容量制御によって、ガス冷媒連絡配管内を流れる冷媒の圧力又は圧力に等価な運転状態量を調節することができるため、確実に第1状態又は第2状態を作り出すことができる。
この空気調和装置では、液冷媒連絡配管の容積と配管容積演算手段によって演算されたガス冷媒連絡配管の容積とを用いて、配管容積判定運転及び配管容積演算の結果の妥当性を判定することができるため、正確なガス冷媒連絡配管の容積を得ることができる。
この空気調和装置では、配管容積演算手段によって冷媒連絡配管の容積を演算することができるため、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管の容積が未知の場合であっても、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第1の発明では、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒連絡配管の容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第2の発明では、液冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、液冷媒連絡配管の配管容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第4の発明では、確実に第1状態又は第2状態を作り出すことができる。
第5の発明では、液冷媒連絡配管の容積を正確に演算することができるようになり、また、例えば、構成機器を設置した後においてガス冷媒連絡配管の容積が未知の場合であっても、液冷媒連絡配管の容積を検知することができる。
第7の発明では、ガス冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、ガス冷媒連絡配管の配管容積を得ることができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第8の発明では、確実に第1状態又は第2状態を作り出すことができる。
第10の発明では、正確なガス冷媒連絡配管の容積を得ることができる。
第11の発明では、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
第13の発明では、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を高精度に判定することができる。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、膨張機構としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、温度調節機構としての過冷却器25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量Woを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ28aによって駆動されるプロペラファン等である。
過冷却器25は、本実施形態において、2重管式の熱交換器であり、室外熱交換器23において凝縮された後に、室内膨張弁41、51に送られる冷媒を冷却するために設けられている。過冷却器25は、本実施形態において、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間に接続されている。
バイパス冷媒回路61は、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒回路61は、室外膨張弁38から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と過冷却器25との間の位置から分岐させるように接続された分岐回路61aと、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流回路61bとを有している。そして、分岐回路61aには、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス膨張弁62が設けられている。ここで、バイパス膨張弁62は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51に送られる冷媒は、過冷却器25において、バイパス膨張弁62によって減圧された後のバイパス冷媒回路61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器25は、バイパス膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ32とが設けられている。吸入温度センサ31は、アキュムレータ24と圧縮機21との間の位置に設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc又は暖房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する熱交温度センサ33が設けられている。室外熱交換器23の液側には、冷媒の温度Tcoを検出する液側温度センサ34が設けられている。過冷却器25の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ35が設けられている。バイパス冷媒回路61の合流回路61bには、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度Ta)を検出する室外温度センサ36が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、熱交温度センサ33、液側温度センサ34、液管温度センサ35、室外温度センサ36及びバイパス温度センサ63は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部37を有している。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
冷媒連絡配管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、冷媒充填量を計算するために、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を正確に把握する必要があるが、その情報管理や冷媒量の計算自体が煩雑である。また、既設配管を利用して室内ユニットや室外ユニットを更新するような場合には、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報が失われていることがある。
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後(具体的には、最初の機器設置後に限られず、例えば、室内ユニット等の構成機器を追加や撤去する等の改造後や機器の故障を修理した後等も含まれる)に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、室内の冷房を行う冷房運転と、室内の暖房を行う暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、主として、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転と、冷媒連絡配管6、7の容積を検知する配管容積判定運転と、構成機器を設置した後又は冷媒回路内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転とが含まれている。
<通常運転モード>
(冷房運転)
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1及び図2を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、全開状態にされている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。各室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、室内熱交換器42、52のガス側)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出されるか、又は、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbが過熱度目標値SHbsになるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbは、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、バイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度値をバイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbを検出するようにしてもよい。
(暖房運転)
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51を通過する際に、室内膨張弁41、51の弁開度に応じて減圧される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転及び暖房運転を含む通常運転を行う通常運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
次に、試運転モードについて、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図3は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の冷媒自動充填運転が行われ、続いて、ステップS2の配管容積判定運転が行われ、さらに、ステップS3の初期冷媒量検知運転が行われる。
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
次に、試運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路10のサービスポート(図示せず)に接続し、制御部8に対して直接に又はリモコン(図示せず)等を通じて遠隔から試運転を開始する指令を出すと、制御部8によって、図4に示されるステップS11〜ステップS13の処理が行われる。ここで、図4は、冷媒自動充填運転のフローチャートである。
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット4、5の室内膨張弁41、51及び室外膨張弁38が開状態となり、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53が起動されて、室内ユニット4、5の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
上述の各種制御によって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定して、冷媒回路10内における冷媒量の分布が一定となるため、続いて行われる冷媒の追加充填によって冷媒回路10内に冷媒が充填され始めた際に、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、主として、室外熱交換器23内の冷媒量の変化となって現れる状態を作り出すことができる(以下、この運転を冷媒量判定運転とする)。
尚、本実施形態と異なり、室外ユニット2に予め冷媒が充填されていない場合には、このステップS11の処理に先だって、上述の冷媒量判定運転を行う際に、構成機器が異常停止してしまうことがない程度の冷媒量になるまで冷媒充填を行う必要がある。
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を実施するが、この際、冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS12における冷媒の追加充填時における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
Mog1=Vog1×ρd
という、室外ユニット2の高圧ガス管部Eの容積Vog1に高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdを乗じた関数式として表される。尚、高圧ガス管部Eの容積Vog1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdは、吐出温度Td及び吐出圧力Pdを換算することによって得られる。
Mc=kc1×Ta+kc2×Tc+kc3×SHm+kc4×Wc
+kc5×ρc+kc6×ρco+kc7
という、室外温度Ta、凝縮温度Tc、圧縮機吐出過熱度SHm、冷媒循環量Wc、室外熱交換器23における冷媒の飽和液密度ρc及び室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkc1〜kc7は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、圧縮機吐出過熱度SHmは、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度であり、吐出圧力Pdを冷媒の飽和温度値に換算し、吐出温度Tdからこの冷媒の飽和温度値を差し引くことにより得られる。冷媒循環量Wcは、蒸発温度Teと凝縮温度Tcとの関数(すなわち、Wc=f(Te、Tc))として表される。冷媒の飽和液密度ρcは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρcoは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる凝縮圧力Pc及び冷媒の温度Tcoを換算することによって得られる。
Mol1=Vol1×ρco
という、室外ユニット2の高温液管部B1の容積Vol1に高温液管部B1における冷媒の密度ρco(すなわち、上述の室外熱交換器23の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、高圧液管部B1の容積Vol1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
Mol2=Vol2×ρlp
という、室外ユニット2の低温液管部B2の容積Vol2に低温液管部B2における冷媒の密度ρlpを乗じた関数式として表される。尚、低温液管部B2の容積Vol2は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、低温液管部B2における冷媒の密度ρlpは、過冷却器25の出口における冷媒の密度であり、凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpを換算することによって得られる。
Mlp=Vlp×ρlp
という、液冷媒連絡配管6の容積Vlpに液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlp(すなわち、過冷却器25の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。
Mr=kr1×Tlp+kr2×ΔT+kr3×SHr+kr4×Wr+kr5
という、過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlp、室内温度Trから蒸発温度Teを差し引いた温度差ΔT、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHr及び室内ファン43、53の風量Wrの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkr1〜kr5は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。尚、ここでは、2台の室内ユニット4、5のそれぞれに対応して冷媒量Mrの関係式が設定されており、室内ユニット4の冷媒量Mrと室内ユニット5の冷媒量Mrとを加算することにより、室内ユニット部Fの全冷媒量が演算されるようになっている。尚、室内ユニット4と室内ユニット5の機種や容量が異なる場合には、パラメータkr1〜kr5の値が異なる関係式が使用されることになる。
Mgp=Vgp×ρgp
という、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpにガス冷媒連絡配管部Hにおける冷媒の密度ρgpを乗じた関数式として表される。また、ガス冷媒配管連絡部Gにおける冷媒の密度ρgpは、圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、ガス冷媒連絡配管7の入口)における冷媒の密度ρeoとの平均値である。冷媒の密度ρsは、吸入圧力Ps及び吸入温度Tsを換算することによって得られ、冷媒の密度ρeoは、蒸発温度Teの換算値である蒸発圧力Pe及び室内熱交換器42、52の出口温度Teoを換算することによって得られる。
Mog2=Vog2×ρs
という、室外ユニット2内の低圧ガス管部Hの容積Vog2に低圧ガス管部Hにおける冷媒の密度ρsを乗じた関数式として表される。尚、低圧ガス管部Hの容積Vog2は、設置場所に出荷される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
Mob=kob1×ρco+kob2×ρs+kob3×Pe+kob4
という、室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρco、過冷却器25のバイパス回路側の出口における冷媒の密度ρs及び蒸発圧力Peの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkob1〜kob3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、バイパス回路部Iの容積Mobは、他の部分に比べて冷媒量が少ないこともあり、さらに簡易的な関係式によって演算されてもよい。例えば、
Mob=Vob×ρe×kob5
という、バイパス回路部Iの容積Vobに過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρe及び補正係数kobを乗じた関数式として表される。尚、バイパス回路部Iの容積Vobは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρeは、吸入圧力Ps又は蒸発温度Teを換算することによって得られる。
そして、このステップS12は、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定の条件が満たされるまで繰り返されるため、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒充填時における運転状態量から各部分の冷媒量が演算される。より具体的には、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定に必要な室外ユニット2内の冷媒量Mo及び各室内ユニット4、5内の冷媒量Mr(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10の各部分の冷媒量)が演算される。ここで、室外ユニット2内の冷媒量Moは、上述の室外ユニット2内の各部分の冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobを加算することによって演算される。
(ステップS13:冷媒量の適否の判定)
上述のように、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を開始すると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加する。ここで、冷媒連絡配管6、7の容積が未知である場合には、冷媒の追加充填後に冷媒回路10内に充填されるべき冷媒量を、冷媒回路10全体の冷媒量として規定することができない。しかし、室外ユニット2及び室内ユニット4、5だけに着目すれば(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10)、試験や詳細なシミュレーションにより通常運転モードにおける最適な室外ユニット2の冷媒量を予め知ることができるため、この冷媒量を充填目標値Msとして予め制御部8のメモリに記憶しておき、上述の関係式を用いて冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算される室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が、この充填目標値Msに到達するまで、冷媒の追加充填を行えばよいことになる。すなわち、ステップS13は、冷媒自動充填運転における室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msに到達したかどうかを判定することで、冷媒の追加充填により冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定する処理である。
このように、冷媒自動充填運転の冷媒量判定運転における冷媒回路10内の冷媒量の適否(すなわち、充填目標値Msに到達したかどうか)を判定する冷媒量判定手段として機能する制御部8により、ステップS13の処理が行われる。
上述のステップS1の冷媒自動充填運転が完了したら、ステップS2の配管容積判定運転に移行する。配管容積判定運転では、制御部8によって、図6に示されるステップS21〜ステップS25の処理が行われる。ここで、図6は、配管容積判定運転のフローチャートである。
ステップS21では、上述の冷媒自動充填運転におけるステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転を行う。ここで、液管温度制御における過冷却器25の主冷媒回路側の出口の冷媒の温度Tlpの液管温度目標値Tlpsを第1目標値Tlps1とし、この第1目標値Tlps1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図7の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図7は、液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS22では、第1状態から第2状態への変更により、液冷媒連絡配管部B3から冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算する。
ΔMlp=−(ΔMc+ΔMol1+ΔMol2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMlpの値を液冷媒連絡配管6内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρlpで除算することにより、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMlpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1及び冷媒量Mog2が含まれていてもよい。
尚、ΔMc、ΔMol1、ΔMol2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρlpは、第1状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度と第2状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度を演算し、さらに第2状態における冷媒の密度から第1状態における冷媒の密度を減算することによって得られる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも高い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B2の冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算しているが、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも低い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B3に他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算してもよい。
このように、液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算する液冷媒連絡配管用の配管容積演算手段として機能する制御部8により、ステップS22の処理が行われる。
上述のステップS21及びステップS22が完了した後、ステップS23において、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含むガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転を行う。ここで、蒸発圧力制御における圧縮機21の吸入圧力Psの低圧目標値Pesを第1目標値Pes1とし、この第1目標値Pes1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図8の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図8は、ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS24では、第1状態から第2状態への変更により、ガス冷媒連絡配管部Gから冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算する。
ΔMgp=−(ΔMc+ΔMog2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMgpの値をガス冷媒連絡配管7内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρgpで除算することにより、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMgpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1、冷媒量Mol1及び冷媒量Mol2が含まれていてもよい。
尚、ΔMc、ΔMog2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρgpは、第1状態における圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと室内熱交換器42、52の出口における冷媒の密度ρeoとの平均密度を演算し、第2状態における平均密度から第1状態における平均密度を減算することによって得られる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも低い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gの冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算しているが、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも高い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gに他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算してもよい。
このように、ガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量からガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算するガス冷媒連絡配管用の配管容積演算手段として機能する制御部8により、ステップS24の処理が行われる。
上述のステップS21〜ステップS24が完了した後、ステップS25において、配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する。
ε1 < Vlp/Vgp < ε2
ここで、ε1及びε2は、熱源ユニットと利用ユニットとの実現可能な組み合わせにおける配管容積比の最小値及び最大値に基づいて可変される値である。
このように、上述の配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する妥当性判定手段として機能する制御部8により、ステップS25の処理が行われる。
(ステップS3:初期冷媒量検知運転)
上述のステップS2の配管容積判定運転が完了したら、ステップS3の初期冷媒量判定運転に移行する。初期冷媒量検知運転では、制御部8によって、図9に示されるステップS31及びステップS32の処理が行われる。ここで、図9は、初期冷媒量検知運転のフローチャートである。
ステップS31では、上述の冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転が行われる。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転における目標値と同じ値が使用される。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS31の処理が行われる。
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS32における初期冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の初期冷媒量を検知することができる。この初期冷媒量は、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒回路10からの漏洩の有無を判定する基準となる冷媒回路10全体の基準冷媒量Miとして使用されるため、運転状態量の1つとして、状態量蓄積手段としての制御部8のメモリに記憶される。
<冷媒漏洩検知運転モード>
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて、図1、図2、図5及び図10を用いて説明する。ここで、図10は、冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
(ステップS41:冷媒量判定運転)
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(例えば、半年〜1年ごと等)経過した場合に、自動又は手動で通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行なう。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転のステップS31における目標値と同じ値が使用される。
(ステップS42:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS42における冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、初期冷媒量判定運転と同様に、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の冷媒量Mを演算することができる。
このように、冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS42の処理が行われる。
冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少する。そして、冷媒回路10内の冷媒量が減少すると、主として、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCoが小さくなる傾向が現れ、これに伴い、室外熱交換器23における冷媒量Mcが減少し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になる。このため、上述のステップS42において演算された冷媒回路10全体の冷媒量Mは、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じている場合には、初期冷媒量検知運転において検知された基準冷媒量Miよりも小さくなり、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じていない場合には、基準冷媒量Miとほぼ同じ値になる。
一方、ステップS43において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていると判定される場合には、ステップS44の処理に移行して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告を警告表示部9に表示した後、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、制御部8が、冷媒量判定運転手段、冷媒量演算手段、冷媒量判定手段、配管容積判定運転手段、配管容積演算手段、妥当性判定手段及び状態量蓄積手段として機能することにより、冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定するための冷媒量判定システムを構成している。
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒連絡配管6、7内を流れる冷媒の密度が異なる2つの状態を作り出す配管容積判定運転を行い、これら2つの状態間の冷媒の増減量を冷媒連絡配管6、7以外の部分の冷媒量から演算し、冷媒の増減量を、第1及び第2状態間における冷媒連絡配管6、7内の冷媒の密度変化量で除算することにより、冷媒連絡配管6、7の容積を演算するようにしているため、例えば、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、冷媒連絡配管6、7の容積を検知することができる。これにより、冷媒連絡配管6、7の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒連絡配管6、7の容積を得ることができるようになる。
まず、液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転について説明すると、液冷媒連絡配管6内を流れる冷媒の温度が一定となるように構成機器の制御を行うことで冷媒の密度が異なる2つの状態を作り出す配管容積判定運転を行い、これら2つの状態間の冷媒の増減量ΔMlpを液冷媒連絡配管6以外の部分の冷媒量から演算し、冷媒の増減量ΔMlpを、第1及び第2状態間における液冷媒連絡配管6内の冷媒の密度変化量Δρlpで除算することにより、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算するようにしている。
具体的には、妥当性判定手段は、演算により得られた液冷媒連絡配管6の容積Vlpを個々にチェックするのではなく、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとが所定の関係を満たすかどうかによって判定するものであり、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとの相対関係も考慮した適切な判定することができる。
次に、ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転について説明すると、ガス冷媒連絡配管7内を流れる冷媒の圧力(例えば、吸入圧力Psや蒸発圧力Pe等)又は圧力に等価な運転状態量(例えば、蒸発温度Te等)が一定となるように構成機器の制御を行うことで冷媒の密度が異なる2つの状態を作り出す配管容積判定運転を行い、これら2つの状態間の冷媒の増減量ΔMgpをガス冷媒連絡配管7以外の部分の冷媒量から演算し、冷媒の増減量ΔMgpを、第1及び第2状態間におけるガス冷媒連絡配管7内の冷媒の密度変化量Δρgpで除算することにより、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算するようにしている。
具体的には、妥当性判定手段は、演算により得られたガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを個々にチェックするのではなく、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとが所定の関係を満たすかどうかによって判定するものであり、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとの相対関係も考慮した適切な判定することができる。
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10を複数の部分に分割して、各部分の冷媒量と運転状態量との関係式を設定しているため、従来のような冷凍サイクル特性のシミュレーションを行う場合に比べて、演算負荷を抑えることができるとともに、各部分の冷媒量を演算する上で重要な運転状態量を関係式の変数として選択的に取り込むことができるため、各部分の冷媒量の演算精度も向上し、その結果、冷媒回路10内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
本実施形態の空気調和装置1では、凝縮器としての室外熱交換器23から膨張機構としての室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度を調節することが可能な温度調節機構としての過冷却器25が設けられており、冷媒量判定運転の際に過冷却器25から膨張機構としての室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度Tlpが一定になるように過冷却器25の能力制御を行うことで過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る冷媒配管内の冷媒の密度ρlpが変化しないようにしているため、凝縮器としての室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoが冷媒量判定運転を行うごとに異なる場合であっても、このような冷媒の温度の相違の影響が室外熱交換器23の出口から過冷却器25に至る冷媒配管のみに収まることとなり、冷媒量判定の際に、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoの相違(すなわち、冷媒の密度の相違)による判定誤差を小さくすることができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、冷房専用の空気調和装置等の他の空気調和装置に本発明を適用してもよい。また、上述の実施形態では、1台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、複数台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用してもよい。
2 室外ユニット(熱源ユニット)
4、5 室内ユニット(利用ユニット)
6 液冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
7 ガス冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
10 冷媒回路
21 圧縮機
23 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
25 過冷却器(温度調節機構)
41、51 室内膨張弁(膨張機構)
42、52 室内熱交換器(利用側熱交換器)
Claims (13)
- 熱源ユニット(2)と利用ユニット(4、5)とが冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されることによって構成される冷媒回路(10)と、
前記冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度が一定となる第1状態になるように構成機器の制御を行い、そして、前記第1状態から前記冷媒連絡配管内を流れる冷媒の密度が前記第1状態における冷媒の密度と異なる密度値で一定となる第2状態になるように構成機器の制御を行う配管容積判定運転を行うことが可能な運転制御手段と、
前記第1及び第2状態における前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から、前記第1及び第2状態間における前記冷媒回路の前記冷媒連絡配管以外の部分の冷媒の増減量を演算し、前記冷媒の増減量を、前記第1及び第2状態間における前記冷媒連絡配管内の冷媒の密度変化量で除算することにより、前記冷媒連絡配管の容積を演算する配管容積演算手段と、
を備えた空気調和装置(1)。 - 前記冷媒連絡配管(6、7)は、液冷媒連絡配管(6)及びガス冷媒連絡配管(7)を有しており、
前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記液冷媒連絡配管内を流れる冷媒の温度が一定となるように構成機器の制御を行って前記第1状態を作り出し、そして、前記第1状態から前記液冷媒連絡配管内を流れる冷媒の温度が前記第1状態における冷媒の温度と異なる温度で一定となるように構成機器の制御を行って前記第2状態を作り出しており、
前記配管容積演算手段は、前記第1及び第2状態間における前記冷媒回路(10)の前記液冷媒連絡配管以外の部分の冷媒の増減量を、前記第1及び第2状態間における前記液冷媒連絡配管内の冷媒の密度変化量で除算することにより、前記液冷媒連絡配管の容積を演算する、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。 - 前記熱源ユニット(2)は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)と前記液冷媒連絡配管(6)内を流れる冷媒の温度を調節することが可能な温度調節機構とを有しており、
前記利用ユニット(4、5)は、膨張機構(41、51)と利用側熱交換器(42、52)とを有しており、
前記冷媒回路(10)は、前記圧縮機と前記熱源側熱交換器と前記液冷媒連絡配管と前記膨張機構と前記利用側熱交換器と前記ガス冷媒連絡配管(7)とが接続されることによって構成されており、
前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記熱源側熱交換器を冷媒の凝縮器として機能させるとともに、前記液冷媒連絡配管内を流れる冷媒の温度が前記第1又は第2状態における温度で一定になるように前記温度調節機構の能力制御を行う、
請求項2に記載の空気調和装置(1)。 - 前記温度調節機構は、前記熱源側熱交換器(23)と前記液冷媒連絡配管(6)との間に接続された過冷却器(25)である、請求項3に記載の空気調和装置(1)。
- 前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記ガス冷媒連絡配管(7)内を流れる冷媒の圧力又は前記圧力に等価な運転状態量が一定になるように構成機器の制御を行う、請求項2〜4のいずれかに記載の空気調和装置(1)。
- 前記ガス冷媒連絡配管(7)の容積と前記配管容積演算手段によって演算された前記液冷媒連絡配管(6)の容積とが所定の関係を満たすかどうかによって、前記配管容積判定運転及び前記配管容積演算の結果の妥当性を判定する妥当性判定手段をさらに備えている、請求項2〜5のいずれかに記載の空気調和装置(1)。
- 前記冷媒連絡配管(6、7)は、液冷媒連絡配管(6)及びガス冷媒連絡配管(7)を有しており、
前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記ガス冷媒連絡配管内を流れる冷媒の圧力又は前記圧力に等価な運転状態量が一定となるように構成機器の制御を行って第1状態を作り出し、そして、前記第1状態から前記ガス冷媒連絡配管内を流れる冷媒の圧力又は前記圧力に等価な運転状態量が前記第1状態における冷媒の圧力と異なる圧力又は前記圧力に等価な運転状態量で一定となるように構成機器の制御を行って前記第2状態を作り出しており、
前記配管容積演算手段は、前記第1及び第2状態間における前記冷媒回路(10)の前記ガス冷媒連絡配管以外の部分の冷媒の増減量を、前記第1及び第2状態間における前記ガス冷媒連絡配管内の冷媒の密度変化量で除算することにより、前記ガス冷媒連絡配管の容積を演算する、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。 - 前記熱源ユニット(2)は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)とを有しており、
前記利用ユニット(4、5)は、膨張機構(41、51)と利用側熱交換器(42、52)とを有しており、
前記冷媒回路(10)は、前記圧縮機(21)と前記熱源側熱交換器(23)と前記液冷媒連絡配管(6)と前記膨張機構と前記利用側熱交換器と前記ガス冷媒連絡配管(7)とが接続されることによって構成されており、
前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記利用側熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させるとともに、前記ガス冷媒連絡配管内を流れる冷媒の圧力又は前記圧力に等価な運転状態量が前記第1又は第2状態における圧力又は前記圧力に等価な運転状態量で一定になるように前記圧縮機の容量制御を行う、
請求項7に記載の空気調和装置(1)。 - 前記運転制御手段は、前記配管容積判定運転において、前記熱源側熱交換器(23)を冷媒の凝縮器として機能させるとともに、前記液冷媒連絡配管(6)内を流れる冷媒の温度が一定となるように構成機器の制御を行う、請求項8に記載の空気調和装置(1)。
- 前記液冷媒連絡配管(6)の容積と前記配管容積演算手段によって演算された前記ガス冷媒連絡配管(7)の容積とが所定の関係を満たすかどうかによって、前記配管容積判定運転及び前記配管容積演算の結果の妥当性を判定する妥当性判定手段をさらに備えている、請求項7〜9のいずれかに記載の空気調和装置(1)。
- 前記配管容積演算手段によって演算される前記冷媒連絡配管の容積と、前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とを用いて、前記冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段をさらに備えた、請求項1〜10のいずれかに記載の空気調和装置(1)。
- 前記配管容積演算手段によって演算された前記冷媒連絡配管(6、7)の容積と前記冷媒回路(10)を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とから前記冷媒回路内の冷媒量を演算する冷媒量演算手段をさらに備えており、
前記冷媒量演算手段は、構成機器を設置した後又は前記冷媒回路内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転における前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から前記冷媒回路内の冷媒量を演算することで、前記初期冷媒量を検知する、
請求項11に記載の空気調和装置(1)。 - 前記配管容積演算手段によって演算された前記冷媒連絡配管(6、7)の容積と前記冷媒回路(10)を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とから前記冷媒回路内の冷媒量を演算する冷媒量演算手段をさらに備えており、
前記冷媒量演算手段は、前記配管容積演算手段によって演算された前記冷媒連絡配管の容積と前記冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転における前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とから前記冷媒回路内の冷媒量を演算し、
前記冷媒量判定手段は、前記冷媒漏洩検知運転において前記冷媒量演算手段によって演算される前記冷媒回路内の冷媒量と、漏洩の有無を判定する基準となる基準冷媒量とを比較することで、前記冷媒回路からの冷媒の漏洩の有無を判定する、
請求項11に記載の空気調和装置(1)。
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