JP4826266B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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本発明は、空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する機能、特に、圧縮機と凝縮器と膨張機構と蒸発器とが接続されることによって構成される空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する機能に関する。
従来より、空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の過不足を判定するために、凝縮器の出口における冷媒の過冷却度等の値と冷媒回路の冷媒量との関係から冷媒回路内の冷媒量の過不足を判定する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、空気調和装置の冷媒回路内の冷媒量の過不足を判定するために、冷凍サイクル特性のシミュレーションを行い、この演算結果を用いて、冷媒量の過不足を判定する手法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−186170号公報 特開2000−304388号公報
前者の手法は、冷媒回路の冷媒量の変化を、実質的に凝縮器の冷媒量の変化として捉えて、冷媒回路内の冷媒量の過不足を判定する手法であり、この判定のために、凝縮器の出口における過冷却度等を使用している。しかし、凝縮器内の冷媒は、その内部において、過熱域、二相域及び過冷却域に分かれて分布しており、凝縮器の入口における冷媒の過熱度や凝縮器の出口における過冷却度が大きく変動する場合には、凝縮器内の各部(特に、過熱域と過冷却域)における伝熱特性が変化して、凝縮器内の各部が占める伝熱面積が変化することになる。そして、凝縮器内の各部における伝熱面積は、これらの温度変化に対して比例的には変化せず、非線形な特性をもって変化する。このため、凝縮器内の各部における冷媒量は、伝熱面積の非線形特性に応じて変化することになり、その結果、凝縮器内の冷媒量も非線形な特性をもって変化することになる。このような非線形の関係があるにもかかわらず、凝縮器の出口における過冷却度等によって冷媒回路内の冷媒量の適否を判定しようとすると、冷媒量の適否の判定誤差が大きくなってしまうという問題がある。
また、後者の手法は、冷凍サイクル特性のシミュレーションという莫大な量の演算が必要であり、従来の空気調和装置に搭載されるマイコン等の演算装置では演算時間が長くなったり、また、演算そのものが不可能になるおそれがある。
本発明の課題は、演算負荷を抑えつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようにすることにある。
第1の発明にかかる空気調和装置は、冷媒回路と、冷媒量演算手段と、冷媒量判定手段とを備えている。冷媒回路は、圧縮機と凝縮器と膨張機構と蒸発器とが接続されることによって構成されている。冷媒量演算手段は、凝縮器内を過熱域、二相域及び過冷却域に分けた場合における各部分の容積と、凝縮器の入口における冷媒の過熱度、凝縮器の出口における冷媒の過冷却度、及び、各部分における冷媒の代表温度と凝縮器において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の温度との温度差との第1関係式を用いて、冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の容積を演算し、凝縮器内の冷媒量と第1関係式を用いて演算される各部分の容積との第2関係式を用いて、凝縮器内の冷媒量を演算する。冷媒量判定手段は、冷媒量演算手段によって演算される凝縮器内の冷媒量を用いて、冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する。ここで、第2関係式は、凝縮器内の冷媒量と、第1関係式を用いて演算される各部分の容積に各部における冷媒の密度を乗算した値、及び、各部分における冷媒の代表温度と凝縮器において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の温度との温度差の値との関係式である。
この空気調和装置では、凝縮器内を過熱域、二相域及び過冷却域に分けて冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の容積を演算し、各部分の容積から凝縮器内の冷媒量を演算しているため、凝縮器の入口における冷媒の過熱度や凝縮器の出口における過冷却度が大きく変動するような場合であっても、冷凍サイクル特性のシミュレーションを行う場合に比べて演算負荷を抑えつつ、非線形な特性を有する凝縮器内の冷媒量を精度よく演算することができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。ここで、「冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量」とは、冷媒回路を流れる冷媒の温度や圧力等の状態量及び空気調和装置を構成する機器の状態量を意味している。
また、この空気調和装置では、凝縮器内の各部分の容積に各部における冷媒の密度を乗算した値を第2関係式の変数としているため、基本的には、第2関係式を凝縮器内の各部分の冷媒量を加算することで凝縮器内の冷媒量を演算する形にすることができる。これにより、第2関係式を簡単化することができるとともに、演算精度を向上させるための補正係数等の考慮も容易になる。
しかも、凝縮器内の各部分における冷媒の代表温度と冷却媒体の温度との温度差の値を第2関係式の変数としているため、冷却媒体の温度条件を考慮して凝縮器内の冷媒量を演算することができる。これにより、凝縮器内の冷媒量の演算精度をさらに向上させることができる。
の発明にかかる空気調和装置は、第1の発明にかかる空気調和装置において、第1関係式を用いて演算される二相域の部分に乗じる冷媒の密度には、凝縮器における冷媒の凝縮温度に対応する冷媒の飽和液密度に平均ボイド率を乗算した値が用いられる。
この空気調和装置では、二相域の部分の容積に乗じる冷媒の密度として、凝縮器における冷媒の凝縮温度に対応する冷媒の飽和液密度に平均ボイド率を乗算した値を使用しているため、演算負荷をさらに抑えることができる。
の発明にかかる空気調和装置は、第1又は第2の発明にかかる空気調和装置において、第1関係式には、冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量として、凝縮器において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の流量又は流量に等価な運転状態量が含まれている。
この空気調和装置では、凝縮器内の各部分の容積を演算する際に冷却媒体の流量を考慮することができるため、凝縮器内の冷媒量の演算精度をさらに向上させることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、凝縮器の入口における冷媒の過熱度や凝縮器の出口における過冷却度が大きく変動するような場合であっても、冷凍サイクル特性のシミュレーションを行う場合に比べて演算負荷を抑えつつ、非線形な特性を有する凝縮器内の冷媒量を精度よく演算することができるようになり、その結果、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。また、第2関係式を簡単化することができるとともに、凝縮器内の冷媒量の演算精度をさらに向上させることができる。
の発明では、演算負荷をさらに抑えることができる。
の発明では、凝縮器内の冷媒量の演算精度をさらに向上させることができる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット4、5と、室外ユニット2と室内ユニット4、5とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4、5と、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4、5は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4、5は、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室内ユニット4、5の構成について説明する。尚、室内ユニット4と室内ユニット5とは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット4の構成のみ説明し、室内ユニット5の構成については、それぞれ、室内ユニット4の各部を示す40番台の符号の代わりに50番台の符号を付して、各部の説明を省略する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット5では、室内側冷媒回路10b)を有している。この室内側冷媒回路10aは、主として、膨張機構としての室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
本実施形態において、室内膨張弁41は、室内側冷媒回路10a内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁である。
本実施形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量Wrを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ43aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の温度(すなわち、暖房運転時における凝縮温度Tc又は冷房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する液側温度センサ44が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒の温度Teoを検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度Tr)を検出する室内温度センサ46が設けられている。本実施形態において、液側温度センサ44、ガス側温度センサ45及び室内温度センサ46は、サーミスタからなる。また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部47を有している。そして、室内側制御部47は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4、5に接続されており、室内ユニット4、5の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。この室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁38と、アキュムレータ24と、温度調節機構としての過冷却器25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、本実施形態において、インバータにより回転数Rmが制御されるモータ21aによって駆動される容積式圧縮機である。本実施形態において、圧縮機21は、1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42、52を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器42、52を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42、52において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が液冷媒連絡配管6に接続されている。
本実施形態において、室外膨張弁38は、室外側冷媒回路10c内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、室外熱交換器23の液側に接続された電動膨張弁である。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量Woを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ28aによって駆動されるプロペラファン等である。
アキュムレータ24は、四路切換弁22と圧縮機21との間に接続されており、室内ユニット4、5の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
過冷却器25は、本実施形態において、2重管式の熱交換器であり、室外熱交換器23において凝縮された後に、室内膨張弁41、51に送られる冷媒を冷却するために設けられている。過冷却器25は、本実施形態において、室外膨張弁38と液側閉鎖弁26との間に接続されている。
本実施形態において、過冷却器25の冷却源としてのバイパス冷媒回路61が設けられている。尚、以下の説明では、冷媒回路10からバイパス冷媒回路61を除いた部分を、便宜上、主冷媒回路と呼ぶことにする。
バイパス冷媒回路61は、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒回路61は、室外膨張弁38から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と過冷却器25との間の位置から分岐させるように接続された分岐回路61aと、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流回路61bとを有している。そして、分岐回路61aには、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス膨張弁62が設けられている。ここで、バイパス膨張弁62は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51に送られる冷媒は、過冷却器25において、バイパス膨張弁62によって減圧された後のバイパス冷媒回路61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器25は、バイパス膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、室外熱交換器23に接続されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサ30と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサ32とが設けられている。吸入温度センサ31は、アキュムレータ24と圧縮機21との間の位置に設けられている。室外熱交換器23には、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc又は暖房運転時における蒸発温度Teに対応する冷媒温度)を検出する熱交温度センサ33が設けられている。室外熱交換器23の液側には、冷媒の温度Tcoを検出する液側温度センサ34が設けられている。過冷却器25の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ35が設けられている。バイパス冷媒回路61の合流回路61bには、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度Ta)を検出する室外温度センサ36が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ31、吐出温度センサ32、熱交温度センサ33、液側温度センサ34、液管温度センサ35、室外温度センサ36及びバイパス温度センサ63は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部37を有している。そして、室外側制御部37は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4、5の室内側制御部47、57との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
制御部8は、図2に示されるように、各種センサ29〜36、44〜46、54〜56、63の検出信号を受けることができるように接続されるとともに、これらの検出信号等に基づいて各種機器及び弁21、22、24、28a、38、41、43a、51、53a、62を制御することができるように接続されている。また、制御部8には、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒漏洩を検知したことを知らせるためのLED等からなる警告表示部9が接続されている。ここで、図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
<冷媒連絡配管>
冷媒連絡配管6、7は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、冷媒充填量を計算するために、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を正確に把握する必要があるが、その情報管理や冷媒量の計算自体が煩雑である。また、既設配管を利用して室内ユニットや室外ユニットを更新するような場合には、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報が失われていることがある。
以上のように、室内側冷媒回路10a、10bと、室外側冷媒回路10cと、冷媒連絡配管6、7とが接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。また、この冷媒回路10は、バイパス冷媒回路61と、バイパス冷媒回路61を除く主冷媒回路とから構成されていると言い換えることもできる。そして、本実施形態の空気調和装置1は、室内側制御部47、57と室外側制御部37とから構成される制御部8によって、四路切換弁22により冷房運転及び暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて、室外ユニット2及び室内ユニット4、5の各機器の制御を行うようになっている。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット4、5の運転負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4、5の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後(具体的には、最初の機器設置後に限られず、例えば、室内ユニット等の構成機器を追加や撤去する等の改造後や機器の故障を修理した後等も含まれる)に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、室内の冷房を行う冷房運転と、室内の暖房を行う暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、主として、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転と、冷媒連絡配管6、7の容積を検知する配管容積判定運転と、構成機器を設置した後又は冷媒回路内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転とが含まれている。
以下、空気調和装置1の各運転モードにおける動作について説明する。
<通常運転モード>
(冷房運転)
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1及び図2を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、全開状態にされている。液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。各室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、室内熱交換器42、52のガス側)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出されるか、又は、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサ45、55により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、各室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbが過熱度目標値SHbsになるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbは、吸入圧力センサ29により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、バイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度値をバイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、過冷却器25のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbを検出するようにしてもよい。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、室外膨張弁38を通過して、過冷却器25に流入し、バイパス冷媒回路61を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態になる。このとき、室外熱交換器23において凝縮した高圧の液冷媒の一部は、バイパス冷媒回路61に分岐され、バイパス膨張弁62によって減圧された後に、圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、バイパス膨張弁62を通過する冷媒は、圧縮機21の吸入圧力Ps近くまで減圧されることで、その一部が蒸発する。そして、バイパス冷媒回路61のバイパス膨張弁62の出口から圧縮機21の吸入側に向かって流れる冷媒は、過冷却器25を通過して、主冷媒回路側の室外熱交換器23から室内ユニット4、5へ送られる高圧の液冷媒と熱交換を行う。
そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁26及び液冷媒連絡配管6を経由して、室内ユニット4、5に送られる。この室内ユニット4、5に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41、51によって圧縮機21の吸入圧力Ps近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42、52に送られ、室内熱交換器42、52において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
(暖房運転)
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁38は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力Pe)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、開状態にされている。室内膨張弁41、51は、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrが過冷却度目標値SCrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrは、吐出圧力センサ30により検出される圧縮機21の吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに対応する飽和温度値に換算し、この冷媒の飽和温度値から液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される。尚、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器42、52内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される凝縮温度Tcに対応する冷媒温度値を、液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値から差し引くことによって室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過冷却度SCrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁62は、閉止されている。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を経由して、室内ユニット4、5に送られる。
そして、室内ユニット4、5に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器42、52において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41、51を通過する際に、室内膨張弁41、51の弁開度に応じて減圧される。
この室内膨張弁41、51を通過した冷媒は、液冷媒連絡配管6を経由して室外ユニット2に送られ、液側閉鎖弁26、過冷却器25及び室外膨張弁38を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転及び暖房運転を含む通常運転を行う通常運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)によって行われる。
<試運転モード>
次に、試運転モードについて、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図3は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の冷媒自動充填運転が行われ、続いて、ステップS2の配管容積判定運転が行われ、さらに、ステップS3の初期冷媒量検知運転が行われる。
本実施形態では、冷媒が予め充填された室外ユニット2と、室内ユニット4、5とをビル等の設置場所に設置し、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して接続して冷媒回路10を構成した後に、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の容積に応じて不足する冷媒を冷媒回路10内に追加充填する場合を例にして説明する。
(ステップS1:冷媒自動充填運転)
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
次に、試運転を行う作業者が、追加充填用の冷媒ボンベを冷媒回路10のサービスポート(図示せず)に接続し、制御部8に対して直接に又はリモコン(図示せず)等を通じて遠隔から試運転を開始する指令を出すと、制御部8によって、図4に示されるステップS11〜ステップS13の処理が行われる。ここで、図4は、冷媒自動充填運転のフローチャートである。
(ステップS11:冷媒量判定運転)
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット4、5の室内膨張弁41、51及び室外膨張弁38が開状態となり、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン43、53が起動されて、室内ユニット4、5の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
すると、図5に示されるように、冷媒回路10において、圧縮機21から凝縮器として機能する室外熱交換器23までの流路には圧縮機21において圧縮されて吐出された高圧のガス冷媒が流れ(図5の斜線のハッチング部分のうち圧縮機21から室外熱交換器23までの部分を参照)、凝縮器として機能する室外熱交換器23には室外空気との熱交換によってガス状態から液状態に相変化する高圧の冷媒が流れ(図5の斜線のハッチング及び黒塗りのハッチングの部分のうち室外熱交換器23に対応する部分を参照)、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51までの室外膨張弁38、過冷却器25の主冷媒回路側の部分及び液冷媒連絡配管6を含む流路と室外熱交換器23からバイパス膨張弁62までの流路には高圧の液冷媒が流れ(図5の黒塗りのハッチング部分のうち室外熱交換器23から室内膨張弁41、51及びバイパス膨張弁62までの部分を参照)、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52の部分と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分とには室内空気との熱交換によって気液二相状態からガス状態に相変化する低圧の冷媒が流れ(図5の格子状のハッチング及び斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52の部分と過冷却器25の部分を参照)、室内熱交換器42、52から圧縮機21までのガス冷媒連絡配管7及びアキュムレータ24を含む流路と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分から圧縮機21までの流路とには低圧のガス冷媒が流れるようになる(図5の斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52から圧縮機21までの部分と過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分から圧縮機21までの部分とを参照)。図5は、冷媒量判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図(四路切換弁22等の図示を省略)である。
次に、以下のような機器制御を行って、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態を安定させる運転に移行する。具体的には、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52の過熱度SHrが一定になるように室内膨張弁41、51を制御(以下、過熱度制御とする)し、蒸発圧力Peが一定になるように圧縮機21の運転容量を制御(以下、蒸発圧力制御とする)し、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcが一定になるように、室外ファン28によって室外熱交換器23に供給される室外空気の風量Woを制御(以下、凝縮圧力制御とする)し、過冷却器25から室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度が一定になるように過冷却器25の能力を制御(以下、液管温度制御とする)し、上述の蒸発圧力制御によって冷媒の蒸発圧力Peが安定的に制御されるように、室内ファン43、53によって室内熱交換器42、52に供給される室内空気の風量Wrを一定にしている。
ここで、蒸発圧力制御を行うのは、蒸発器として機能する室内熱交換器42、52内には室内空気との熱交換によって気液二相状態からガス状態に相変化しながら低圧の冷媒が流れる室内熱交換器42、52内(図5の格子状のハッチング及び斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52に対応する部分を参照、以下、蒸発器部Cとする)における冷媒量が、冷媒の蒸発圧力Peに大きく影響するからである。そして、ここでは、インバータにより回転数Rmが制御されるモータ21aによって圧縮機21の運転容量を制御することによって、室内熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力Peを一定にして、蒸発器部C内を流れる冷媒の状態を安定させて、主として、蒸発圧力Peによって蒸発器C内における冷媒量が変化する状態を作り出している。尚、本実施形態の圧縮機21による蒸発圧力Peの制御においては、室内熱交換器42、52の液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を飽和圧力値に換算して、この圧力値が低圧目標値Pesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御して(すなわち、モータ21aの回転数Rmを変化させる制御を行って)、冷媒回路10内を流れる冷媒循環量Wcを増減することによって実現されている。尚、本実施形態では採用していないが、室内熱交換器42、52における冷媒の蒸発圧力Peにおける冷媒の圧力に等価な運転状態量である、吸入圧力センサ29によって検出される圧縮機21の吸入圧力Psが、低圧目標値Pesで一定になるように、又は、吸入圧力Psに対応する飽和温度値(蒸発温度Teに対応)が、低圧目標値Tesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御してもよいし、室内熱交換器42、52の液側温度センサ44、54により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)が、低圧目標値Tesで一定になるように、圧縮機21の運転容量を制御してもよい。
そして、このような蒸発圧力制御を行うことによって、室内熱交換器42、52から圧縮機21までのガス冷媒連絡配管7及びアキュムレータ24を含む冷媒配管内(図5の斜線のハッチングの部分のうち室内熱交換器42、52から圧縮機21までの部分を参照、以下、ガス冷媒流通部Dとする)を流れる冷媒の状態も安定して、主として、ガス冷媒流通部Dにおける冷媒の圧力に等価な運転状態量である、蒸発圧力Pe(すなわち、吸入圧力Ps)によってガス冷媒流通部D内における冷媒量が変化する状態を作り出している。
また、凝縮圧力制御を行うのは、室外空気との熱交換によってガス状態から液状態に相変化しながら高圧の冷媒が流れる室外熱交換器23内(図5の斜線のハッチング及び黒塗りのハッチングの部分のうち室外熱交換器23に対応する部分を参照、以下、凝縮器部Aとする)における冷媒量が、冷媒の凝縮圧力Pcに大きく影響するからである。そして、この凝縮器部Aにおける冷媒の凝縮圧力Pcは、室外温度Taの影響より大きく変化するため、モータ28aにより室外ファン28から室外熱交換器23に供給する室内空気の風量Woを制御することによって、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcを一定にして、凝縮器部A内を流れる冷媒の状態を安定させて、主として、室外熱交換器23の液側(以下、冷媒量判定運転に関する説明では、室外熱交換器23の出口とする)における過冷却度SCoによって凝縮器A内における冷媒量が変化する状態を作り出している。尚、本実施形態の室外ファン28による凝縮圧力Pcの制御においては、室外熱交換器23における冷媒の凝縮圧力Pcに等価な運転状態量である、吐出圧力センサ30によって検出される圧縮機21の吐出圧力Pd、又は、熱交温度センサ33によって検出される室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、凝縮温度Tc)が用いられる。
そして、このような凝縮圧力制御を行うことによって、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51までの室外膨張弁38、過冷却器25の主冷媒回路側の部分及び液冷媒連絡配管6を含む流路と室外熱交換器23からバイパス冷媒回路61のバイパス膨張弁62までの流路とには高圧の液冷媒が流れて、室外熱交換器23から室内膨張弁41、51及びバイパス膨張弁62までの部分(図5の黒塗りのハッチング部分を参照、以下、液冷媒流通部Bとする)における冷媒の圧力も安定し、液冷媒流通部Bが液冷媒でシールされて安定した状態となる。
また、液管温度制御を行うのは、過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒配管内(図5に示される液冷媒流通部Bのうち過冷却器25から室内膨張弁41、51までの部分を参照)の冷媒の密度が変化しないようにするためである。そして、過冷却器25の能力制御は、過冷却器25の主冷媒回路側の出口に設けられた液管温度センサ35によって検出される冷媒の温度Tlpが液管温度目標値Tlpsで一定になるようにバイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量を増減して、過冷却器25の主冷媒回路側を流れる冷媒とバイパス冷媒回路側を流れる冷媒との間の交換熱量を調節することによって実現されている。尚、このバイパス冷媒回路61を流れる冷媒の流量の増減は、バイパス膨張弁62の開度調節によって行われる。このようにして、過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る液冷媒連絡配管6を含む冷媒配管内における冷媒の温度が一定となる液管温度制御が実現されている。
そして、このような液管温度一定制御を行うことによって、冷媒回路10に冷媒を充填することによって冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加するのに伴って、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tco(すなわち、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度SCo)が変化する場合であっても、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoの変化の影響が、室外熱交換器23の出口から過冷却器25に至る冷媒配管のみに収まり、液冷媒流通部Bのうち過冷却器25から液冷媒連絡配管6を含む室内膨張弁41、51までの冷媒配管には影響しない状態となる。
さらに、過熱度制御を行うのは、蒸発器部Cにおける冷媒量が、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の乾き度に大きく影響するからである。この室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHrは、室内膨張弁41、51の開度を制御することによって、室内熱交換器42、52のガス側(以下、冷媒量判定運転に関する説明では、室内熱交換器42、52の出口とする)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように(すなわち、室内熱交換器42、52の出口のガス冷媒を過熱状態)にして、蒸発器部C内を流れる冷媒の状態を安定させている。
そして、このような過熱度制御を行うことによって、ガス冷媒連絡部Dにガス冷媒が確実に流れる状態を作り出している。
上述の各種制御によって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定して、冷媒回路10内における冷媒量の分布が一定となるため、続いて行われる冷媒の追加充填によって冷媒回路10内に冷媒が充填され始めた際に、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、主として、室外熱交換器23内の冷媒量の変化となって現れる状態を作り出すことができる(以下、この運転を冷媒量判定運転とする)。
以上のような制御は、冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)により、ステップS11の処理として行われる。
尚、本実施形態と異なり、室外ユニット2に予め冷媒が充填されていない場合には、このステップS11の処理に先だって、上述の冷媒量判定運転を行う際に、構成機器が異常停止してしまうことがない程度の冷媒量になるまで冷媒充填を行う必要がある。
(ステップS12:冷媒量の演算)
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を実施するが、この際、冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS12における冷媒の追加充填時における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
まず、本実施形態における冷媒量演算手段について説明する。冷媒量演算手段は、冷媒回路10を複数の部分に分割して、分割された各部分ごとに冷媒量を演算することで、冷媒回路10内の冷媒量を演算するものである。より具体的には、分割された各部分ごとに、各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式が設定されており、これらの関係式を用いて、各部分の冷媒量を演算することができるようになっている。そして、本実施形態においては、冷媒回路10は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁27及びガス冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器42、52の出口に接続された状態において、圧縮機21の部分及び圧縮機21から四路切換弁22(図5では図示せず)を含む室外熱交換器23までの部分(以下、高圧ガス管部Eとする)と、室外熱交換器23の部分(すなわち、凝縮器部A)と、液冷媒流通部Bのうち室外熱交換器23から過冷却器25までの部分及び過冷却器25の主冷媒回路側の部分の入口側半分(以下、高温側液管部B1とする)と、液冷媒流通部Bのうち過冷却器25の主冷媒回路側の部分の出口側半分及び過冷却器25から液側閉鎖弁26(図5では図示せず)までの部分(以下、低温側液管部B2とする)と、液冷媒流通部Bのうち液冷媒連絡配管6の部分(以下、液冷媒連絡配管部B3とする)と、液冷媒流通部Bのうち液冷媒連絡配管6から室内膨張弁41、51及び室内熱交換器42、52の部分(すなわち、蒸発器部C)を含むガス冷媒流通部Dのうちガス冷媒連絡配管7までの部分(以下、室内ユニット部Fとする)と、ガス冷媒流通部Dのうちガス冷媒連絡配管7の部分(以下、ガス冷媒連絡配管部Gとする)と、ガス冷媒流通部Dのうちガス側閉鎖弁27(図5では図示せず)から四路切換弁22及びアキュムレータ24を含む圧縮機21までの部分(以下、低圧ガス管部Hとする)と、液冷媒流通部Bのうち高温側液管部B1からバイパス膨張弁62及び過冷却器25のバイパス冷媒回路側の部分を含む低圧ガス管部Hまでの部分(以下、バイパス回路部Iとする)とに分割されて、各部分ごとに関係式が設定されている。次に、上述の各部分ごとに設定された関係式について、説明する。
本実施形態において、高圧ガス管部Eにおける冷媒量Mog1と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mog1=Vog1×ρd
という、室外ユニット2の高圧ガス管部Eの容積Vog1に高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdを乗じた関数式として表される。尚、高圧ガス管部Eの容積Vog1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdは、吐出温度Td及び吐出圧力Pdを換算することによって得られる。
次に、凝縮器部Aにおける冷媒量Mcと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式について説明する。
まず、凝縮器部A(すなわち、凝縮器として機能する室外熱交換器23)の入口から出口に至るまでの冷媒の温度及び状態変化について、図6を用いて説明する。凝縮器部A(すなわち、凝縮器として機能する室外熱交換器23)の入口から出口に至るまでの冷媒は、凝縮器部Aにおける冷媒の凝縮温度Tcよりも過熱度SHmだけ高い温度(圧縮機21の吐出温度Tdに相当)の過熱ガス状態で入口から流入して、室外熱交換器23の冷却媒体である室外空気と熱交換を行って凝縮温度Tcの飽和ガス状態まで冷却され(以下、この領域を過熱域とする)、次に、室外熱交換器23の冷却媒体である室外空気とさらに熱交換を行って凝縮温度Tcの飽和ガス状態から凝縮温度Tcの飽和液状態まで凝縮され(以下、この領域を二相域とする)、次に、室外熱交換器23の冷却媒体である室外空気とさらに熱交換を行って凝縮温度Tcの飽和液状態から凝縮温度Tcよりも過冷却度SCoだけ低い温度(室外熱交換器23の出口の冷媒温度Tcoに相当)の過冷却液状態まで冷却されて出口から流出する(以下、この領域を過冷却域とする)。
そして、上述の過熱域、二相域及び過冷却域における容積(以下、それぞれVsh、Vsat及びVscとする)は、過熱度SHmや過冷却度SCoの変化に対して、非線形な特性をもって変化するため、従来のように、例えば、単に過冷却度SCoと凝縮部Aにおける冷媒量との関係式Mcを設定しても、凝縮部Aにおける冷媒量Mcを精度よく演算することができない。
そこで、本実施形態においては、過熱域の容積Vsh、二相域の容積Vsat及び過冷却域の容積Vscの値を、試験や詳細なシミュレーションの結果等に基づいて設定された関係式(以下、第1関係式とする)を用いて、冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算できるようにしておき、第1関係式を用いて演算された各部分の容積Vsh、Vsat及びVscと凝縮器部Aにおける冷媒量Mcとの関係式(以下、第2関係式とする)を用いて、凝縮器部Aにおける冷媒量Mcを演算するようにしている。
具体的には、まず、容積Vsh、Vsat及びVscと凝縮器部Aにおける冷媒量Mcとの第2関係式は、
Mc=kc1×ΔTsh+kc2×ΔTc+kc3×ΔTsc
+kc4×Vsh×ρsh+kc5×Vsat×ρsat
+kc6×Vsc×ρsc+kc7
という、過熱域温度差ΔTsh、二相域温度差ΔTc、過冷却域温度差ΔTsc、過熱域の容積Vsh、過熱域平均冷媒密度ρsh、二相域の容積Vsat、二相域平均冷媒密度ρsat、過冷却域の容積Vsc及び過冷却域平均冷媒密度ρscの関数式として表される。ここで、各部分の容積Vsh、Vsat及びVscは、それぞれ、各部分の平均密度ρsh、ρsat及びρscを乗じた形で使用されているため、第2関係式は、過熱域温度差ΔTsh、二相域温度差ΔTc、過冷却域温度差ΔTsc、過熱域の容積Vshに過熱域平均冷媒密度ρshを乗じた値、二相域の容積Vsatに二相域平均冷媒密度ρsatを乗じた値、過冷却域の容積Vscに過冷却域平均冷媒密度ρscを乗じた値の関数式として表されているとも言える。また、本実施形態においては、過熱域温度差ΔTsh、二相域温度差ΔTc、過冷却域温度差ΔTscが1次項として第2関係式に含まれているが、2次項や対数項等の形で含まれるようにしてもよい。
尚、上述の関係式におけるパラメータkc1〜kc7は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過熱域温度差ΔTshは、凝縮器として機能する室外熱交換器23の入口温度(圧縮機21の吐出温度Tdに相当)と凝縮温度Tcとの平均値(以下、過熱域における冷媒の代表温度としての過熱域平均温度Tshaとする)から室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行う冷却媒体としての室外空気の温度に相当する室外温度Taを差し引くことにより得られる。二相域温度差ΔTcは、二相域における冷媒の代表温度としての凝縮温度Tcから室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行う冷却媒体としての室外空気の温度に相当する室外温度Taを差し引くことにより得られる。過冷却域温度差ΔTscは、凝縮温度Tcと室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoとの平均値(以下、過冷却域における冷媒の代表温度としての過冷却域平均温度Tscaとする)から室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行う冷却媒体としての室外空気の温度に相当する室外温度Taを差し引くことにより得られる。ここで、過熱域平均温度Tshaと過冷却域平均温度Tscaの求め方については、上述に限定されず、対数平均温度としたり、室外熱交換器23における伝熱管のパス取りや熱源としての室外空気の流れ等のいわゆる形状因子を考慮して、室外熱交換器23の各部分を代表する位置に温度センサを設けて、冷媒の温度を検出して求めるようにしてもよい。また、各部分を代表する位置に温度センサを設ける代わりに、例えば、過熱域であれば、過熱域平均温度Tshaを圧縮機21の吐出温度Tdや凝縮温度Tc(さらに、他の変数も含まれていてもよい)の関数として、過冷却域であれば、過冷却域平均温度Tscaを凝縮温度Tcや室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tco(さらに、他の変数も含まれていてもよい)の関数(例えば、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析等することによって求める)として表すことで求めるようにしてもよい。
次に、第1関係式の1つとしての過熱域の容積Vshと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、
Vsh=kcs1×SHm+kcs2×ΔTsh+kcs3×Wo
という、圧縮機吐出過熱度SHm、過熱域温度差ΔTsh及び室外ファン28の風量Woの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkcs1〜kcs3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、圧縮機吐出過熱度SHmは、圧縮機の吐出側、すなわち、室外熱交換器23の入口における冷媒の過熱度であり、吐出温度Tdから凝縮温度Tcを差し引くことにより得られる。
また、第1関係式の1つとしての過冷却域の容積Vscと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、
Vsc=kcc1×SCo+kcc2×ΔTsc+kcc3×Wo
という、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCo、過冷却域温度差ΔTsc及び室外ファン28の風量Woの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkcc1〜kcc3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過冷却度SCoは、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoから凝縮温度Tcを差し引くことにより得られる。
また、第1関係式の1つとしての二相域の容積Vsatと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、
Vsat=Vc−Vsh−Vsc
という、室外熱交換器23の全容積Vc、過熱域の容積Vsh及び過冷却域の容積Vscによって表される。すなわち、二相域の容積Vsatは、上述の関係式を用いて過熱域の容積Vsh及び過冷却域の容積Vscを演算した後、室外熱交換器23の全容積Vcから過熱域の容積Vsh及び過冷却域の容積Vscを差し引くことによって演算される。尚、室外熱交換器23の全容積Vcは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
また、過熱域平均冷媒密度ρshは、
ρsh=ρci+(ρcg−ρci)×lnΔTsh
という、室外熱交換器23の入口における冷媒の密度ρci、室外熱交換器23における冷媒の飽和ガス密度ρcg及び過熱域温度差ΔTshの関数式として表される。ここで、「ln」は自然対数を表している。また、室外熱交換器23の入口における冷媒の密度ρciは、上述の高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdと同様、吐出温度Td及び吐出圧力Pdを換算することによって得られる。冷媒の飽和ガス密度ρcgは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。尚、過熱域平均冷媒密度ρshを求める際には、上述の過熱域平均温度Tshaを求める際と同様に、室外熱交換器23の形状因子を考慮するようにしてもよい。
また、過冷却域平均冷媒密度ρscは、
ρsc=ρcl+(ρco−ρcl)×lnΔTsc
という、室外熱交換器23における冷媒の飽和液密度ρcl、室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρco、及び過冷却域温度差ΔTscの関数式として表される。ここで、「ln」は自然対数を表している。また、冷媒の飽和液密度ρclは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρclは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる凝縮圧力Pc及び冷媒の温度Tcoを換算することによって得られる。尚、過冷却域平均冷媒密度ρscを求める際にも、上述の過冷却域平均温度Tscaを求める際と同様に、室外熱交換器23の形状因子を考慮するようにしてもよい。
また、二相域平均冷媒密度ρsatは、
ρsat=ρcl×η
という、室外熱交換器23における冷媒の飽和液密度ρcl及び二相域における冷媒の平均ボイド率の関数として表される。ここで、平均ボイド率とは、二相域をさらに複数の部分に分割した際における各部の局所ボイド率の積分した値を示すものである。この平均ボイド率については、冷媒の乾き度等を変数とする既知の関数式を用いて演算することも考えられるし、さらに簡単に演算できるように、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析等することによって、凝縮温度Tc等の関数として表すことで求めるようにしてもよい。
高温液管部B1における冷媒量Mol1と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mol1=Vol1×ρco
という、室外ユニット2の高温液管部B1の容積Vol1に高温液管部B1における冷媒の密度ρco(すなわち、上述の室外熱交換器23の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、高圧液管部B1の容積Vol1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
低温液管部B2における冷媒量Mol2と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mol2=Vol2×ρlp
という、室外ユニット2の低温液管部B2の容積Vol2に低温液管部B2における冷媒の密度ρlpを乗じた関数式として表される。尚、低温液管部B2の容積Vol2は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、低温液管部B2における冷媒の密度ρlpは、過冷却器25の出口における冷媒の密度であり、凝縮圧力Pc及び過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlpを換算することによって得られる。
液冷媒連絡配管部B3における冷媒量Mlpと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mlp=Vlp×ρlp
という、液冷媒連絡配管6の容積Vlpに液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlp(すなわち、過冷却器25の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。尚、液冷媒連絡配管6の容積Vlpは、液冷媒連絡配管6が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力された液冷媒連絡配管6の情報から制御部8で演算したり、又は、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。
室内ユニット部Fにおける冷媒量Mrと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mr=kr1×Tlp+kr2×ΔTr+kr3×SHr+kr4×Wr+kr5
という、過冷却器25の出口における冷媒の温度Tlp、室内温度Trから蒸発温度Teを差し引いた温度差ΔTr、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の過熱度SHr及び室内ファン43、53の風量Wrの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkr1〜kr5は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。尚、ここでは、2台の室内ユニット4、5のそれぞれに対応して冷媒量Mrの関係式が設定されており、室内ユニット4の冷媒量Mrと室内ユニット5の冷媒量Mrとを加算することにより、室内ユニット部Fの全冷媒量が演算されるようになっている。尚、室内ユニット4と室内ユニット5の機種や容量が異なる場合には、パラメータkr1〜kr5の値が異なる関係式が使用されることになる。
ガス冷媒連絡配管部Gにおける冷媒量Mgpと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mgp=Vgp×ρgp
という、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpにガス冷媒連絡配管部Hにおける冷媒の密度ρgpを乗じた関数式として表される。尚、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpは、液冷媒連絡配管6と同様に、ガス冷媒連絡配管7が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力されたガス冷媒連絡配管7の情報から制御部8で演算したり、又は、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。また、ガス冷媒配管連絡部Gにおける冷媒の密度ρgpは、圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと、室内熱交換器42、52の出口(すなわち、ガス冷媒連絡配管7の入口)における冷媒の密度ρeoとの平均値である。冷媒の密度ρsは、吸入圧力Ps及び吸入温度Tsを換算することによって得られ、冷媒の密度ρeoは、蒸発温度Teの換算値である蒸発圧力Pe及び室内熱交換器42、52の出口温度Teoを換算することによって得られる。
低圧ガス管部Hにおける冷媒量Mog2と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mog2=Vog2×ρs
という、室外ユニット2内の低圧ガス管部Hの容積Vog2に低圧ガス管部Hにおける冷媒の密度ρsを乗じた関数式として表される。尚、低圧ガス管部Hの容積Vog2は、設置場所に出荷される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。
バイパス回路部Iにおける冷媒量Mobと冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式は、例えば、
Mob=kob1×ρco+kob2×ρs+kob3×Pe+kob4
という、室外熱交換器23の出口における冷媒の密度ρco、過冷却器25のバイパス回路側の出口における冷媒の密度ρs及び蒸発圧力Peの関数式として表される。尚、上述の関係式におけるパラメータkob1〜kob3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、バイパス回路部Iの容積Mobは、他の部分に比べて冷媒量が少ないこともあり、さらに簡易的な関係式によって演算されてもよい。例えば、
Mob=Vob×ρe×kob5
という、バイパス回路部Iの容積Vobに過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρe及び補正係数kobを乗じた関数式として表される。尚、バイパス回路部Iの容積Vobは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部8のメモリに記憶されている。また、過冷却器25のバイパス回路側の部分における飽和液密度ρeは、吸入圧力Ps又は蒸発温度Teを換算することによって得られる。
尚、本実施形態において、室外ユニット2は1台であるが、室外ユニットが複数台接続される場合には、室外ユニットに関する冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobは、複数の室外ユニットのそれぞれに対応して各部分の冷媒量の関係式が設定され、複数の室外ユニットの各部分の冷媒量を加算することにより、室外ユニットの全冷媒量が演算されるようになっている。尚、機種や容量が異なる複数の室外ユニットが接続される場合には、パラメータの値が異なる各部分の冷媒量の関係式が使用されることになる。
以上のように、本実施形態では、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の冷媒量を演算することで、冷媒回路10の冷媒量を演算することができるようになっている。
そして、このステップS12は、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定の条件が満たされるまで繰り返されるため、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒充填時における運転状態量から各部分の冷媒量が演算される。より具体的には、後述のステップS13における冷媒量の適否の判定に必要な室外ユニット2内の冷媒量Mo及び各室内ユニット4、5内の冷媒量Mr(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10の各部分の冷媒量)が演算される。ここで、室外ユニット2内の冷媒量Moは、上述の室外ユニット2内の各部分の冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2及びMobを加算することによって演算される。
このように、冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS12の処理が行われる。
(ステップS13:冷媒量の適否の判定)
上述のように、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を開始すると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加する。ここで、冷媒連絡配管6、7の容積が未知である場合には、冷媒の追加充填後に冷媒回路10内に充填されるべき冷媒量を、冷媒回路10全体の冷媒量として規定することができない。しかし、室外ユニット2及び室内ユニット4、5だけに着目すれば(すなわち、冷媒連絡配管6、7を除く冷媒回路10)、試験や詳細なシミュレーションにより通常運転モードにおける最適な室外ユニット2の冷媒量を予め知ることができるため、この冷媒量を充填目標値Msとして予め制御部8のメモリに記憶しておき、上述の関係式を用いて冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から演算される室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が、この充填目標値Msに到達するまで、冷媒の追加充填を行えばよいことになる。すなわち、ステップS13は、冷媒自動充填運転における室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msに到達したかどうかを判定することで、冷媒の追加充填により冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定する処理である。
そして、ステップS13において、室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msよりも小さく、冷媒の追加充填が完了していない場合には、充填目標値Msに到達するまで、ステップS13の処理が繰り返される。また、室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット4、5の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msに到達した場合には、冷媒の追加充填が完了し、冷媒自動充填運転処理としてのステップS1が完了する。
尚、上述の冷媒量判定運転においては、冷媒回路10内への冷媒の追加充填が進むにつれて、主として、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCoが大きくなる傾向が現れて室外熱交換器23における冷媒量Mcが増加し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になるため、充填目標値Msを、室外ユニット2及び室内ユニット4、5ではなく、室外ユニット2の冷媒量Moのみに対応する値として設定したり、又は、室外熱交換器23の冷媒量Mcに対応する値として設定して、充填目標値Msに到達するまで冷媒の追加充填を行うようにしてもよい。
このように、冷媒自動充填運転の冷媒量判定運転における冷媒回路10内の冷媒量の適否(すなわち、充填目標値Msに到達したかどうか)を判定する冷媒量判定手段として機能する制御部8により、ステップS13の処理が行われる。
(ステップS2:配管容積判定運転)
上述のステップS1の冷媒自動充填運転が完了したら、ステップS2の配管容積判定運転に移行する。配管容積判定運転では、制御部8によって、図7に示されるステップS21〜ステップS25の処理が行われる。ここで、図7は、配管容積判定運転のフローチャートである。
(ステップS21、S22:液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転及び容積の演算)
ステップS21では、上述の冷媒自動充填運転におけるステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転を行う。ここで、液管温度制御における過冷却器25の主冷媒回路側の出口の冷媒の温度Tlpの液管温度目標値Tlpsを第1目標値Tlps1とし、この第1目標値Tlps1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図8の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図8は、液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、液管温度制御における過冷却器25の主冷媒回路側の出口の冷媒の温度Tlpが第1目標値Tlps1で安定した第1状態から、他の機器制御、すなわち、凝縮圧力制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御の条件については変更することなく(すなわち、過熱度目標値SHrsや低圧目標値Tesを変更することなく)、液管温度目標値Tlpsを第1目標値Tlps1と異なる第2目標値Tlps2に変更して安定させた第2状態とする(図8の実線で示された冷凍サイクルを参照)。本実施形態において、第2目標値Tlps2は、第1目標値Tlps1よりも高い温度である。
このように、第1状態で安定した状態から第2状態に変更することによって、液冷媒連絡配管6内の冷媒の密度が小さくなるため、第2状態における液冷媒連絡配管部B3の冷媒量Mlpは、第1状態における冷媒量に比べて減少することになる。そして、この液冷媒連絡配管部B3から減少した冷媒は、冷媒回路10の他の部分に移動することになる。より具体的には、上述のように、液管温度制御以外の他の機器制御の条件については変更していないことから、高圧ガス管部Eにおける冷媒量Mog1、低圧ガス管部Hにおける冷媒量Mog2及びガス冷媒連絡配管部Gにおける冷媒量Mgpがほぼ一定に保たれて、液冷媒連絡配管部B3から減少した冷媒は、凝縮器部A、高温液管部B1、低温液管部B2、室内ユニット部F及びバイパス回路部Iに移動することになる。すなわち、液冷媒連絡配管部B3から冷媒が減少した分だけ、凝縮器部Aにおける冷媒量Mc、高温液管部B1における冷媒量Mol1、低温液管部B2における冷媒量Mol2、室内ユニット部Fにおける冷媒量Mr及びバイパス回路部Iにおける冷媒量Mobが増加することになる。
以上のような制御は、液冷媒連絡配管部6の容積Mlpを演算するための配管容積判定運転を行う配管容積判定運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)により、ステップS21の処理として行われる。
次に、ステップS22では、第1状態から第2状態への変更により、液冷媒連絡配管部B3から冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算する。
まず、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算するために使用される演算式について、説明する。上述の配管容積判定運転によって、この液冷媒連絡配管部B3から減少して冷媒回路10の他の部分に移動した冷媒量を冷媒増減量ΔMlpとし、第1及び第2状態間における各部分の冷媒の増減量をΔMc、ΔMol1、ΔMol2、ΔMr及びΔMob(ここでは、冷媒量Mog1、冷媒量Mog2及び冷媒量Mgpがほぼ一定に保たれるため省略する)とすると、冷媒増減量ΔMlpは、例えば、
ΔMlp=−(ΔMc+ΔMol1+ΔMol2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMlpの値を液冷媒連絡配管6内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρlpで除算することにより、液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMlpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1及び冷媒量Mog2が含まれていてもよい。
Vlp=ΔMlp/Δρlp
尚、ΔMc、ΔMol1、ΔMol2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρlpは、第1状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度と第2状態における過冷却器25の出口における冷媒の密度を演算し、さらに第2状態における冷媒の密度から第1状態における冷媒の密度を減算することによって得られる。
以上のような演算式を用いて、第1及び第2状態における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算することができる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも高い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B2の冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算しているが、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも低い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B3に他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算してもよい。
このように、液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から液冷媒連絡配管6の容積Vlpを演算する液冷媒連絡配管用の配管容積演算手段として機能する制御部8により、ステップS22の処理が行われる。
(ステップS23、S24:ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転及び容積の演算)
上述のステップS21及びステップS22が完了した後、ステップS23において、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含むガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転を行う。ここで、蒸発圧力制御における圧縮機21の吸入圧力Psの低圧目標値Pesを第1目標値Pes1とし、この第1目標値Pes1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図9の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。尚、図9は、ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、蒸発圧力制御における圧縮機21の吸入圧力Psの低圧目標値Pesが第1目標値Pes1で安定した第1状態から、他の機器制御、すなわち、液管温度制御、凝縮圧力制御及び過熱度制御の条件については変更することなく(すなわち、液管温度目標値Tlpsや過熱度目標値SHrsを変更することなく)、低圧目標値Pesを第1目標値Pes1と異なる第2目標値Pes2に変更して安定させた第2状態とする(図9の実線のみで示された冷凍サイクルを参照)。本実施形態において、第2目標値Pes2は、第1目標値Pes1よりも低い圧力である。
このように、第1状態で安定した状態から第2状態に変更することによって、ガス冷媒連絡配管7内の冷媒の密度が小さくなるため、第2状態におけるガス冷媒連絡配管部Gの冷媒量Mgpは、第1状態における冷媒量に比べて減少することになる。そして、このガス冷媒連絡配管部Gから減少した冷媒は、冷媒回路10の他の部分に移動することになる。より具体的には、上述のように、蒸発圧力制御以外の他の機器制御の条件については変更していないことから、高圧ガス管部Eにおける冷媒量Mog1、高温液管部B1における冷媒量Mol1、低温液管部B2における冷媒量Mol2及び液冷媒連絡配管部B3における冷媒量Mlpがほぼ一定に保たれて、ガス冷媒連絡配管部Gから減少した冷媒は、低圧ガス管部H、凝縮器部A、室内ユニット部F及びバイパス回路部Iに移動することになる。すなわち、ガス冷媒連絡配管部Gから冷媒が減少した分だけ、低圧ガス管部Hにおける冷媒量Mog2、凝縮器部Aにおける冷媒量Mc、室内ユニット部Fにおける冷媒量Mr及びバイパス回路部Iにおける冷媒量Mobが増加することになる。
以上のような制御は、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算するための配管容積判定運転を行う配管容積判定運転制御手段として機能する制御部8(より具体的には、室内側制御部47、57と室外側制御部37と制御部37、47、57間を接続する伝送線8a)により、ステップS23の処理として行われる。
次に、ステップS24では、第1状態から第2状態への変更により、ガス冷媒連絡配管部Gから冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算する。
まず、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算するために使用される演算式について、説明する。上述の配管容積判定運転によって、このガス冷媒連絡配管部Gから減少して冷媒回路10の他の部分に移動した冷媒量を冷媒増減量ΔMgpとし、第1及び第2状態間における各部分の冷媒の増減量をΔMc、ΔMog2、ΔMr及びΔMob(ここでは、冷媒量Mog1、冷媒量Mol1、冷媒量Mol2及び冷媒量Mlpがほぼ一定に保たれるため省略する)とすると、冷媒増減量ΔMgpは、例えば、
ΔMgp=−(ΔMc+ΔMog2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMgpの値をガス冷媒連絡配管7内における第1及び第2状態間の冷媒の密度変化量Δρgpで除算することにより、ガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算することができる。尚、冷媒増減量ΔMgpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1、冷媒量Mol1及び冷媒量Mol2が含まれていてもよい。
Vgp=ΔMgp/Δρgp
尚、ΔMc、ΔMog2、ΔMr及びΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρgpは、第1状態における圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと室内熱交換器42、52の出口における冷媒の密度ρeoとの平均密度を演算し、第2状態における平均密度から第1状態における平均密度を減算することによって得られる。
以上のような演算式を用いて、第1及び第2状態における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量からガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算することができる。
尚、本実施形態では、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも低い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gの冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算しているが、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも高い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gに他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量からガス冷媒連絡配管7の容積Vlpを演算してもよい。
このように、ガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量からガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算するガス冷媒連絡配管用の配管容積演算手段として機能する制御部8により、ステップS24の処理が行われる。
(ステップS25:配管容積判定運転の結果の妥当性の判定)
上述のステップS21〜ステップS24が完了した後、ステップS25において、配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する。
具体的には、以下の不等式のように、演算により得られたガス冷媒連絡配管7の容積Vgpに対する液冷媒連絡配管6の容積Vlpの比が所定の数値範囲内にあるかどうかにより判定する。
ε1 < Vlp/Vgp < ε2
ここで、ε1及びε2は、熱源ユニットと利用ユニットとの実現可能な組み合わせにおける配管容積比の最小値及び最大値に基づいて可変される値である。
そして、容積比Vlp/Vgpが上述の数値範囲を満たす場合には、配管容積判定運転にかかるステップS2の処理が完了となり、容積比Vlp/Vgpが上述の数値範囲を満たさない場合には、再度、ステップS21〜ステップS24の配管容積判定運転及び容積の演算の処理が行われる。
このように、上述の配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが妥当なものであるかどうかを判定する妥当性判定手段として機能する制御部8により、ステップS25の処理が行われる。
尚、本実施形態においては、液冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転(ステップS21、S22)を先に行い、その後に、ガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転(ステップS23、S24)を行っているが、ガス冷媒連絡配管7用の配管容積判定運転を先に行ってもよい。
また、上述のステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと複数回判定されるような場合や、より簡易的に冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpの判定を行いたい場合には、図7には図示しないが、例えば、ステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと判定された後に、冷媒連絡配管6、7における圧力損失から冷媒連絡配管6、7の配管長さを推定し、この推定された配管長さと平均容積比から冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する処理に移行して、冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを得るようにしてもよい。
また、本実施形態においては、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報がなく、冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが未知であることを前提として、配管容積判定運転を行って冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する場合について説明したが、配管容積演算手段が、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を入力することで冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する機能を有している場合には、この機能を併用してもよい。
さらに、上述の配管容積判定運転及びその運転結果を用いて冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する機能を使用せず、冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報を入力することで冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpを演算する機能のみを使用する場合には、上述の妥当性判定手段(ステップS25)を用いて、入力された冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報が妥当であるかどうかについての判定を行うようにしてもよい。
(ステップS3:初期冷媒量検知運転)
上述のステップS2の配管容積判定運転が完了したら、ステップS3の初期冷媒量判定運転に移行する。初期冷媒量検知運転では、制御部8によって、図10に示されるステップS31及びステップS32の処理が行われる。ここで、図10は、初期冷媒量検知運転のフローチャートである。
(ステップS31:冷媒量判定運転)
ステップS31では、上述の冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転が行われる。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、冷媒自動充填運転のステップS11の冷媒量判定運転における目標値と同じ値が使用される。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS31の処理が行われる。
(ステップS32:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS32における初期冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の初期冷媒量を検知することができる。この初期冷媒量は、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒回路10からの漏洩の有無を判定する基準となる冷媒回路10全体の基準冷媒量Miとして使用されるため、運転状態量の1つとして、状態量蓄積手段としての制御部8のメモリに記憶される。
このように、初期冷媒量検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS32の処理が行われる。
<冷媒漏洩検知運転モード>
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて、図1、図2、図5及び図11を用いて説明する。ここで、図11は、冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
本実施形態において、定期的(例えば、休日や深夜等で空調を行う必要がない時間帯等)に、不測の原因により冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩していないかどうかを検知する場合を例にして説明する。
(ステップS41:冷媒量判定運転)
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(例えば、半年〜1年ごと等)経過した場合に、自動又は手動で通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行なう。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs及び蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転のステップS31における目標値と同じ値が使用される。
尚、この冷媒量判定運転は、冷媒漏洩検知運転ごとに行われることになるが、例えば、凝縮圧力Pcが異なる場合や冷媒漏洩が生じている場合のような運転条件の違いによって室外熱交換器23出口における冷媒の温度Tcoが変動する場合においても、液管温度制御によって、液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度Tlpが同じ液管温度目標値Tlpsで一定に保たれることになる。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御及び蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部8により、ステップS41の処理が行われる。
(ステップS42:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部8によって、ステップS42における冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、初期冷媒量判定運転と同様に、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpが演算されて既知となっているため、これらの冷媒連絡配管6、7の容積Vlp、Vgpに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管6、7内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の冷媒量Mを演算することができる。
ここで、上述のように、液管温度制御によって液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度Tlpが同じ液管温度目標値Tlpsで一定に保たれているため、液冷媒連絡配管部B3における冷媒量Mlpは、冷媒漏洩検知運転の運転条件の違いによらず、室外熱交換器23出口における冷媒の温度Tcoが変動する場合においても、一定に保たれることになる。
このように、冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部8により、ステップS42の処理が行われる。
(ステップS43、S44:冷媒量の適否の判定、警告表示)
冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少する。そして、冷媒回路10内の冷媒量が減少すると、主として、室外熱交換器23の出口における過冷却度SCが小さくなる傾向が現れ、これに伴い、室外熱交換器23における冷媒量Mcが減少し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になる。このため、上述のステップS42において演算された冷媒回路10全体の冷媒量Mは、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じている場合には、初期冷媒量検知運転において検知された基準冷媒量Miよりも小さくなり、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じていない場合には、基準冷媒量Miとほぼ同じ値になる。
このことを利用して、ステップS43では、冷媒の漏洩の有無を判定している。そして、ステップS43において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていないと判定される場合には、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
一方、ステップS43において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていると判定される場合には、ステップS44の処理に移行して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告を警告表示部9に表示した後、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
このように、冷媒漏洩検知運転モードにおいて冷媒量判定運転を行いつつ冷媒回路10内の冷媒量の適否を判定して冷媒漏洩の有無を検知する、冷媒量判定手段の一つである冷媒漏洩検知手段として機能する制御部8により、ステップS42〜S44の処理が行われる。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、制御部8が、冷媒量判定運転手段、冷媒量演算手段、冷媒量判定手段、配管容積判定運転手段、配管容積演算手段、妥当性判定手段及び状態量蓄積手段として機能することにより、冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定するための冷媒量判定システムを構成している。
(3)空気調和装置の特徴
本実施形態の空気調和装置1には、以下のような特徴がある。
(A)
本実施形態の空気調和装置1では、凝縮器として機能する室外熱交換器23内を過熱域、二相域及び過冷却域に分けて上述のような第1関係式を設定し、これらの第1関係式を用いて冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の容積(具体的には、過熱域の容積Vsh、二相域の容積Vsat及び過冷却域の容積Vsc)を演算し、上述のような第2関係式を用いて演算により得られた各部分の容積Vsh、Vsat及びVscから凝縮器として機能する室外熱交換器23内の冷媒量Mcを演算しているため、凝縮器として機能する室外熱交換器23の入口における冷媒の過熱度SHmや室外熱交換器23の出口における過冷却度SCoが大きく変動するような場合であっても、冷凍サイクル特性のシミュレーションを行う場合に比べて演算負荷を抑えつつ、非線形な特性を有する室外熱交換器23内の冷媒量Mcを精度よく演算することができるようになり、その結果、冷媒回路10内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
(B)
本実施形態の空気調和装置1では、第1関係式を用いて演算された過熱域の容積Vsh、二相域の容積Vsat及び過冷却域の容積Vscのそれぞれに各部分における冷媒の密度(具体的には、過熱域平均冷媒密度ρsh、二相域平均冷媒密度ρsat及び過冷却域平均冷媒密度ρsc)を乗じた値を第2関係式の変数としているため、基本的には、第2関係式を凝縮器として機能する室外熱交換器23内の過熱域、二相域及び過冷却域の冷媒量を加算することで室外熱交換器23内の冷媒量Mcを演算する形にすることができる。これにより、第2関係式を簡単化することができる。
しかも、過熱域平均冷媒密度ρsh、二相域平均冷媒密度ρsat及び過冷却域平均冷媒密度ρscは、各部分における平均値を用いているため、演算負荷をさらに抑えることができる。特に、二相域の部分の容積Vsatに乗じる冷媒の密度として、冷媒の凝縮温度Tcに対応する冷媒の飽和液密度ρclに平均ボイド率ηを乗算した値を使用しているため、演算負荷を抑える効果が高くなっている。
(C)
本実施形態の空気調和装置1では、凝縮器として機能する室外熱交換器23の各部分における冷媒の代表温度としての過熱域平均温度Tsha、凝縮温度Tc、過冷却域平均温度Tscaと冷却媒体としての室外空気の温度Taとの温度差ΔTsh、ΔTc、ΔTscの値を第2関係式の変数としているため、室外空気の温度条件を考慮して室外熱交換器23内の冷媒量Mcを演算することができる。これにより、室外熱交換器23内の冷媒量Mcの演算精度をさらに向上させることができる。
また、過熱域の容積Vsh、二相域の容積Vsat及び過冷却域の容積Vscを演算する第1関係式に使用される運転状態量として、凝縮器として機能する室外熱交換器23において冷媒と熱交換を行う冷却媒体としての室外空気の流量Wo(又は、ファンタップ等の室外空気の流量に等価な運転状態量)が含まれており、室外熱交換器23内の容積Vsh、二相域の容積Vsat及び過冷却域の容積Vscを演算する際に、室外空気の流量Woを考慮することができるため、室外熱交換器23内の冷媒量Mcの演算精度をさらに向上させることができる。
(D)
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10を複数の部分に分割して、各部分の冷媒量と運転状態量との関係式を設定しているため、従来のような冷凍サイクル特性のシミュレーションを行う場合に比べて、演算負荷を抑えることができるとともに、各部分の冷媒量を演算する上で重要な運転状態量を関係式の変数として選択的に取り込むことができるため、各部分の冷媒量の演算精度も向上し、その結果、冷媒回路10内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
例えば、冷媒量演算手段としての制御部8は、関係式を用いて、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の冷媒量を素早く演算することができる。しかも、冷媒量判定手段としての制御部8は、演算された各部分の冷媒量を用いて、冷媒回路10内の冷媒量(具体的には、室外ユニット2における冷媒量Moと室内ユニット4、5における冷媒量Mrとを加算した値)が充填目標値Msに到達したかどうかを高精度に判定することができる。
また、制御部8は、関係式を用いて、構成機器を設置した後又は冷媒回路10内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の冷媒量を演算することで、基準冷媒量Miとしての初期冷媒量を素早く演算することができる。しかも、初期冷媒量を高精度に検知することができる。
さらに、制御部8は、関係式を用いて、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から各部分の冷媒量を素早く演算することができる。しかも、制御部8は、演算された各部分の冷媒量と、漏洩の有無を判定する基準となる基準冷媒量Miとを比較することで、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を高精度に判定することができる。
(E)
本実施形態の空気調和装置1では、凝縮器としての室外熱交換器23から膨張機構としての室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度を調節することが可能な温度調節機構としての過冷却器25が設けられており、冷媒量判定運転の際に過冷却器25から膨張機構としての室内膨張弁41、51に送られる冷媒の温度Tlpが一定になるように過冷却器25の能力制御を行うことで過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る冷媒配管内の冷媒の密度ρlpが変化しないようにしているため、凝縮器としての室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoが冷媒量判定運転を行うごとに異なる場合であっても、このような冷媒の温度の相違の影響が室外熱交換器23の出口から過冷却器25に至る冷媒配管のみに収まることとなり、冷媒量判定の際に、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoの相違(すなわち、冷媒の密度の相違)による判定誤差を小さくすることができる。
特に、本実施形態のように、熱源ユニットとしての室外ユニット2と利用ユニットとしての室内ユニット4、5とが液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を介して接続されている場合には、室外ユニット2と室内ユニット4、5との間を接続する冷媒連絡配管6、7の長さや管径等が設置場所等の条件により異なるため、冷媒連絡配管6、7の容積が大きくなる場合には、室外熱交換器23の出口における冷媒の温度Tcoの相違が、室外熱交換器23の出口から室内膨張弁41、51に至る冷媒配管の大部分を構成する液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度の相違となってしまい、判定誤差が大きくなる傾向にあるが、上述のように、過冷却器25を設けるとともに、冷媒量判定運転の際に液冷媒連絡配管6内の冷媒の温度Tlpが一定になるように過冷却器25の能力制御を行っており、過冷却器25から室内膨張弁41、51に至る冷媒配管内の冷媒の密度ρlpが変化しないようにしているため、冷媒量判定の際に、室外熱交換器23の出口Tcoにおける冷媒の温度の相違(すなわち、冷媒の密度の相違)による判定誤差を小さくすることができる。
例えば、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転の際には、冷媒回路10内の冷媒量が充填目標値Miに到達したかどうかを高精度に判定することができる。また、構成機器を設置した後又は冷媒回路10内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転の際には、初期冷媒量を高精度に検知することができる。また、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転の際には、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を高精度に判定することができる。
また、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒量判定運転の際に蒸発器としての室内熱交換器42、52から圧縮機21に送られる冷媒の圧力(例えば、吸入圧力Psや蒸発圧力Pe)又は圧力に等価な運転状態量(例えば、蒸発温度Te等)が一定になるように構成機器の制御を行うことで室内熱交換器42、52から圧縮機21に送られる冷媒の密度ρgpが変化しないようにしているため、冷媒量判定の際に、室内熱交換器42、52の出口における冷媒の圧力又は圧力に等価な運転状態量の相違(すなわち、冷媒の密度の相違)による判定誤差を小さくすることができる。
(F)
本実施形態の空気調和装置1では、冷媒連絡配管6、7内を流れる冷媒の密度が異なる2つの状態を作り出す配管容積判定運転を行い、これら2つの状態間の冷媒の増減量を冷媒連絡配管6、7以外の部分の冷媒量から演算し、冷媒の増減量を、第1及び第2状態間における冷媒連絡配管6、7内の冷媒の密度変化量で除算することにより、冷媒連絡配管6、7の容積を演算するようにしているため、例えば、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、冷媒連絡配管6、7の容積を検知することができる。これにより、冷媒連絡配管6、7の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒連絡配管6、7の容積を得ることができるようになる。
そして、この空気調和装置1では、配管容積演算手段によって演算される冷媒連絡配管6、7の容積と、冷媒回路10を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量とを用いて、冷媒回路10内の冷媒量の適否を判定することができるため、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、冷媒回路10内の冷媒量の適否を高精度に判定することができる。
例えば、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積を用いて初期冷媒量判定運転における冷媒回路10内の冷媒量を演算することができる。また、構成機器を設置した後において冷媒連絡配管6、7の容積が未知の場合であっても、配管容積演算手段によって演算された冷媒連絡配管6、7の容積を用いて冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内の冷媒量を演算することができる。これにより、冷媒連絡配管の情報を入力する手間を減らしつつ、冷媒回路10からの冷媒の漏洩を検知するために必要な初期冷媒量を検知したり、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を高精度に判定することができる。
(G)
本実施形態の空気調和装置1では、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の情報(例えば、配管容積判定運転の運転結果や作業者等が入力する冷媒連絡配管6、7の長さや管径等の情報)から液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを演算し、演算によって得られた液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管7の容積Vgpの演算結果から、演算に使用された液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の情報が妥当であるかどうかを判定しているため、妥当であると判断される場合には、正確な液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを得ることができ、妥当でないと判断される場合には、適切な液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の情報を入力し直したり、配管容積判定運転を再度行う等の対応を行うことができる。しかも、その判定方法が、演算により得られた液冷媒連絡配管6の容積Vlp及びガス冷媒連絡配管7の容積Vgpを個々にチェックするのではなく、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとが所定の関係を満たすかどうかによって判定するものであるため、液冷媒連絡配管6の容積Vlpとガス冷媒連絡配管7の容積Vgpとの相対関係も考慮した適切な判定することができる。
(4)他の実施形態
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、冷房専用の空気調和装置等の他の空気調和装置に本発明を適用してもよい。また、上述の実施形態では、1台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、複数台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用してもよい。
本発明を利用すれば、演算負荷を抑えつつ、冷媒回路内の冷媒量の適否を高精度に判定できるようになる。
本発明の一実施形態にかかる空気調和装置の概略構成図である。 空気調和装置の制御ブロック図である。 試運転モードのフローチャートである。 冷媒自動充填運転のフローチャートである。 冷媒量判定運転における冷媒回路内を流れる冷媒の状態を示す模式図(四路切換弁等の図示を省略)である。 凝縮器部の入口から出口に至るまでの冷媒の温度及び状態変化を示す図である。 配管容積判定運転のフローチャートである。 液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。 ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。 初期冷媒量判定運転のフローチャートである。 冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
1 空気調和装置
10 冷媒回路
21 圧縮機
23 室外熱交換器(凝縮器)
41、51 室内膨張弁(膨張機構)
42、52 室内熱交換器(蒸発器)

Claims (3)

  1. 圧縮機(21)と凝縮器(23)と膨張機構(41、51)と蒸発器(42、52)とが接続されることによって構成される冷媒回路(10)と、
    前記凝縮器内を過熱域、二相域及び過冷却域に分けた場合における各部分の容積と、前記凝縮器の入口における冷媒の過熱度、前記凝縮器の出口における冷媒の過冷却度、及び、前記各部分における冷媒の代表温度と前記凝縮器において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の温度との温度差との第1関係式を用いて、前記冷媒回路を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量から前記各部分の容積を演算し、前記凝縮器内の冷媒量と前記第1関係式を用いて演算される前記各部分の容積との第2関係式を用いて、前記凝縮器内の冷媒量を演算する冷媒量演算手段と、
    前記冷媒量演算手段によって演算される前記凝縮器内の冷媒量を用いて、前記冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する冷媒量判定手段とを備え、
    前記第2関係式は、前記凝縮器内の冷媒量と、前記第1関係式を用いて演算される前記各部分の容積に前記各部における冷媒の密度を乗算した値、及び、前記各部分における冷媒の代表温度と前記凝縮器において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の温度との温度差の値との関係式である、
    空気調和装置(1)。
  2. 前記第1関係式を用いて演算される前記二相域の部分に乗じる冷媒の密度には、前記凝縮器(23)における冷媒の凝縮温度に対応する冷媒の飽和液密度に平均ボイド率を乗算した値が用いられる、請求項に記載の空気調和装置(1)。
  3. 前記第1関係式には、前記冷媒回路(10)を流れる冷媒又は構成機器の運転状態量として、前記凝縮器(23)において冷媒と熱交換を行う冷却媒体の流量又は前記流量に等価な運転状態量が含まれている、請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)。
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