JP2007255738A - 空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気調和装置1,1a,1bは、冷媒回路10,10a,10bと制御部7,7a,7bとを備えている。冷媒回路は、熱源ユニット2,2a,2bと、冷媒連絡配管5と、膨張機構V4,V8,V9と、利用ユニット3,4とを含む回路である。熱源ユニットは、冷媒ガスを圧縮する圧縮機21と熱源側熱交換器22,22a,22bとを有する。冷媒連絡配管は、熱源ユニットと接続される。利用ユニットは、利用側熱交換器31,41を有し、冷媒連絡配管に接続される。制御部は、冷媒回路内の冷媒量を判定する冷媒量判定運転の際に、液冷媒圧力が上がらない場合または液冷媒圧力が上がりにくい所定条件の場合に、熱源側熱交換器の凝縮能力を下げるように構成機器の運転制御を行う。
【選択図】図1
Description
本発明の課題は、冷媒量の過不足の判定を行う際に、凝縮器の出口における冷媒の圧力を高く維持することにある。
そこで本発明では、熱源側熱交換器の凝縮能力を下げるように構成機器の運転制御を行う。すなわち、熱源側熱交換器の凝縮能力を抑制することで、冷媒の凝縮圧力を容易に上げることができる。このため、液温一定制御を容易に行うことができる。これにより、検知誤差を低減することができ、高精度な冷媒量判定運転が可能となる。
この空気調和装置では、冷媒の凝縮圧力が上がりにくい所定条件は、外気温が低い場合である。これにより、制御部は、外気温が低い場合に、構成機器の運転制御を行い、十分な高圧を維持して検知精度を向上させることができる。
これにより、熱源側熱交換器全体の凝縮能力を低下させることができる。したがって、液冷媒の圧力が上がらないときまたは液冷媒の圧力が上がりにくい条件の時に、十分な圧力を維持することができる。このため、より高精度な冷媒量判定運転を行うことができる。
これにより、液冷媒圧力が上がらないまたは液冷媒圧力が上がりにくい所定条件の場合に、第1冷媒調整弁と第2冷媒調整弁との開度調整を行うことで熱源側熱交換器全体の凝縮能力を低下させることができる。例えば、第2冷媒調整弁を絞り、第1熱交換器(主熱交換器)のみに冷媒を通過させることで、室外空気との熱交換の効率を低減させ、熱源側熱交換器全体の凝縮能力を抑制することができる。したがって、液冷媒の圧力が上がらないときまたは液冷媒の圧力が上がりにくい条件の時に、十分な圧力を維持することができる。このため、より高精度な冷媒量判定運転を行うことができる。
これにより、冷媒の一部をバイパス回路に流すことが可能になり、熱源側熱交換器に流入する冷媒量を抑制することができる。したがって、熱源側熱交換器の凝縮能力を抑制することができる。このため、液冷媒圧力が上がらないまたは液冷媒圧力が上がりにくい所定条件の場合に十分な液冷媒圧力を維持して、検知精度を向上させることができる。このため、高精度な冷媒量判定運転が可能になる。
第2発明に係る空気調和装置では、制御部は、外気温が低い場合に、構成機器の運転制御を行い、十分な高圧を維持して検知精度を向上させることができる。
第4発明に係る空気調和装置では、液冷媒圧力が上がらないまたは液冷媒圧力が上がりにくい所定条件の場合に、第1冷媒調整弁と第2冷媒調整弁との開度調整を行うことで熱源側熱交換器全体の凝縮能力を低下させることができる。例えば、第2冷媒調整弁を絞り、第1熱交換器(主熱交換器)のみに冷媒を通過させることで、室外空気との熱交換の効率を低減させ、熱源側熱交換器全体の凝縮能力を抑制することができる。したがって、液冷媒の圧力が上がらないときまたは液冷媒の圧力が上がりにくい条件の時に、十分な圧力を維持することができる。このため、より高精度な冷媒量判定運転を行うことができる。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の熱源ユニットとしての室外ユニット2と、それに並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の利用ユニットとしての室内ユニット3,4と、室外ユニット2と室内ユニット3,4とを接続する冷媒連絡配管としての液冷媒連絡配管5およびガス冷媒連絡配管6とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット3,4と、液冷媒連絡配管5およびガス冷媒連絡配管6とが接続されることによって構成されている。
室内ユニット3,4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット3,4は、液冷媒連絡配管5およびガス冷媒連絡配管6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
室内ユニット3は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路30(室内ユニット4では、室内側冷媒回路40)を有している。この室内側冷媒回路30は、主として、膨張機構としての室内膨張弁V8と、利用側熱交換器としての室内熱交換器31とを有している。
本実施形態において、室内熱交換器31は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管5およびガス冷媒連絡配管6を介して室内ユニット3,4に接続されており、室内ユニット3,4の間で冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路20を有している。この室外側冷媒回路20は、主として、圧縮機21と、四路切換弁V1と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器22と、膨張機構としての室外膨張弁V4と、アキュムレータ25と、温度調節機構としての過冷却器26と、液側閉鎖弁V5と、ガス側閉鎖弁V6とを有している。
四路切換弁V1は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器22を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器31,41を室外熱交換器22において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器22のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ25)とガス冷媒連絡配管6側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁V1の実線を参照)。また、四路切換弁V1は、暖房運転時には、室内熱交換器31,41を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器22を室内熱交換器31,41において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管6側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器22のガス側とを接続することが可能である(図1の四路切換弁V1の破線を参照)。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器22において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン27を有している。この室外ファン27は、室外熱交換器22に供給する空気の風量Woを可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータからなるモータ27aによって駆動されるプロペラファン等である。
過冷却器26は、本実施形態において、2重管式の熱交換器であり、室外熱交換器22において凝縮された後に、室内膨張弁V8,V9に送られる冷媒を冷却するために設けられている。過冷却器26は、本実施形態において、室外膨張弁V4と液側閉鎖弁V5との間に接続されている。
バイパス冷媒回路50は、室外熱交換器22から室内膨張弁V8,V9へ送られる冷媒の一部を主冷媒回路から分岐させて圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。具体的には、バイパス冷媒回路50は、室外膨張弁V4から室内膨張弁V8,V9に送られる冷媒の一部を室外熱交換器22と過冷却器26との間の位置から分岐させるように接続された分岐回路50aと、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続された合流回路50bとを有している。そして、分岐回路50aには、バイパス冷媒回路50を流れる冷媒の流量を調節するためのバイパス膨張弁V7が設けられている。ここで、バイパス膨張弁V7は、電動膨張弁からなる。これにより、室外熱交換器22から室内膨張弁V8,V9に送られる冷媒は、過冷却器26において、バイパス膨張弁V7によって減圧された後のバイパス冷媒回路50を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、過冷却器26は、バイパス膨張弁V7の開度調節によって能力制御が行われることになる。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21の吸入圧力Psを検出する吸入圧力センサP1と、圧縮機21の吐出圧力Pdを検出する吐出圧力センサP2と、圧縮機21の吸入温度Tsを検出する吸入温度センサT1と、圧縮機21の吐出温度Tdを検出する吐出温度センサT2とが設けられている。吸入温度センサT1は、アキュムレータ25と圧縮機21との間の位置に設けられている。室外熱交換器22には、主熱交換器23内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc1または暖房運転時における蒸発温度Te1に対応する冷媒温度)を検出する主熱交温度センサT3と、補助熱交換器24内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度Tc2または暖房運転時における蒸発温度Te2に対応する冷媒温度)を検出する補助熱交温度センサT5とが設けられている。また、主熱交換器23の液側には、冷媒の温度Tco1を検出する主液側温度センサT4が設けられており、補助熱交換器24の液側には、冷媒の温度Tco2を検出する補助液側温度センサT6が設けられている。さらに、主熱交換器23と補助熱交換器24との冷媒液管が合流した液管には冷媒の温度Tcoを検出する液側温度センサT8が設けられている。過冷却器26の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度Tlp)を検出する液管温度センサT9が設けられている。バイパス冷媒回路50の合流回路50bには、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサT10が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度Ta)を検出する室外温度センサT7が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサT1、吐出温度センサT2、主熱交温度センサT3、主液側温度センサT4、補助熱交温度センサT5、補助液側温度センサT6、室外温度センサT7、液側温度センサT8、液管温度センサT9、およびバイパス温度センサT10は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部28を有している。そして、室外側制御部28は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット3,4の室内側制御部33,43との間で伝送線71を介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部33,43と室外側制御部28と各制御部28,33,43間を接続する伝送線71とによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部7が構成されている。
冷媒連絡配管5,6は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管であり、設置場所や室外ユニットと室内ユニットとの組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。このため、例えば、新規に空気調和装置を設置する場合には、冷媒充填量を計算するために、冷媒連絡配管5,6の長さや管径等の情報を正確に把握する必要があるが、その情報管理や冷媒量の計算自体が煩雑である。また、既設配管を利用して室内ユニットや室外ユニットを更新するような場合には、冷媒連絡配管5,6の長さや管径等の情報が失われていることがある。
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、各室内ユニット3,4の運転負荷に応じて室外ユニット2および室内ユニット3,4の構成機器の制御を行う通常運転モードと、空気調和装置1の構成機器の設置後(具体的には、最初の機器設置後に限られず、例えば、室内ユニット等の構成機器を追加や撤去する等の改造後や機器の故障を修理した後等も含まれる)に行われる試運転を行うための試運転モードと、試運転を終了して通常運転を開始した後において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判定する冷媒漏洩検知運転モードとがある。そして、通常運転モードには、主として、室内の冷房を行う冷房運転と、室内の暖房を行う暖房運転とが含まれている。また、試運転モードには、主として、冷媒回路10内に冷媒を充填する冷媒自動充填運転と、冷媒連絡配管5,6の容積を検知する配管容積判定運転と、構成機器を設置した後または冷媒回路内に冷媒を充填した後の初期冷媒量を検知する初期冷媒量検知運転とが含まれている。
<通常運転モード>
(冷房運転)
まず、通常運転モードにおける冷房運転について、図1および図2を用いて説明する。
冷房運転時は、四路切換弁V1が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器22のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁V6およびガス冷媒連絡配管6を介して室内熱交換器31,41のガス側に接続された状態となっている。主冷媒調整弁V2、補助冷媒調整弁V3、および室外膨張弁V4は、全開状態にされている。液側閉鎖弁V5およびガス側閉鎖弁V6は、開状態にされている。各室内膨張弁V8,V9は、室内熱交換器31,41の出口(すなわち、室内熱交換器31,41のガス側)における冷媒の過熱度SHrが過熱度目標値SHrsで一定になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、各室内熱交換器31,41の出口における冷媒の過熱度SHrは、ガス側温度センサT12,T15により検出される冷媒温度値から液側温度センサT11,T14により検出される冷媒温度値(蒸発温度Teに対応)を差し引くことによって検出されるか、または、吸入圧力センサP1により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、ガス側温度センサT12,T15により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。なお、本実施形態では採用していないが、各室内熱交換器31,41内を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを設けて、この温度センサにより検出される蒸発温度Teに対応する冷媒温度値を、ガス側温度センサT12,T15により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、各室内熱交換器31,41の出口における冷媒の過熱度SHrを検出するようにしてもよい。また、バイパス膨張弁V7は、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbが過熱度目標値SHbsになるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbは、吸入圧力センサP1により検出される圧縮機21の吸入圧力Psを蒸発温度Teに対応する飽和温度値に換算し、バイパス温度センサT10により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。なお、本実施形態では採用していないが、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度値をバイパス温度センサT10により検出される冷媒温度値から差し引くことによって、過冷却器26のバイパス冷媒回路側の出口における冷媒の過熱度SHbを検出するようにしてもよい。
(暖房運転)
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
そして、室内ユニット3,4に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器31,41において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁V8,V9を通過する際に、室内膨張弁V8,V9の弁開度に応じて減圧される。
以上のような通常運転モードにおける運転制御は、冷房運転および暖房運転を含む通常運転を行う通常運転制御手段として機能する制御部7(より具体的には、室内側制御部33,43と室外側制御部28と各制御部28,33,43間を接続する伝送線71)によって行われる。
次に、試運転モードについて、図1〜図3を用いて説明する。ここで、図3は、試運転モードのフローチャートである。本実施形態において、試運転モードでは、まず、ステップS1の冷媒自動充填運転が行われ、続いて、ステップS2の配管容積判定運転が行われ、さらに、ステップS3の初期冷媒量検知運転が行われる。
(ステップS1:冷媒自動充填運転)
まず、室外ユニット2の液側閉鎖弁V5およびガス側閉鎖弁V6を開けて、室外ユニット2に予め充填されている冷媒を冷媒回路10内に充満させる。
冷媒自動充填運転の開始指令がなされると、制御部7は、室外温度Taが所定温度Ta1より低いかどうかの判断を行う。室外温度Taが所定温度Ta1より低い場合には、ステップS12の凝縮能力抑制制御に移行し、室外温度Taが所定温度Ta1より高い場合には、ステップS11の冷媒量判定運転に移行する。
ステップS11では、補助冷媒調整弁V3を絞り、補助熱交換器24に流れる冷媒量を抑制することで、補助熱交換器24により熱交換される冷媒量を減少させる。これにより、補助熱交換器24における凝縮能力を抑えることができ、室外熱交換器22全体としての凝縮能力を抑えることができる。このため、室外熱交換器22の出口における冷媒の凝縮圧力Pcを高く維持することができる。
ステップS13では、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁V1が図1の実線で示される状態で、かつ、室内ユニット3,4の室内膨張弁V8,V9および室外膨張弁V4が開状態となり、圧縮機21、室外ファン27、および室内ファン32,42が起動されて、室内ユニット3,4の全てについて強制的に冷房運転(以下、室内ユニット全数運転とする)が行われる。
なお、本実施形態の室外ファン27による凝縮圧力Pcの制御においては、室外熱交換器22における冷媒の凝縮圧力Pcに等価な運転状態量である、吐出圧力センサP2によって検出される圧縮機21の吐出圧力Pd、または、主熱交温度センサT3によって検出される室外熱交換器22内を流れる冷媒の温度(すなわち、凝縮温度Tc)が用いられる。
上述の各種制御によって、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態が安定して、冷媒回路10内における冷媒量の分布が一定となるため、続いて行われる冷媒の追加充填によって冷媒回路10内に冷媒が充填され始めた際に、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、主として、室外熱交換器22内の冷媒量の変化となって現れる状態を作り出すことができる(以下、この運転を冷媒量判定運転とする)。
なお、本実施形態と異なり、室外ユニット2に予め冷媒が充填されていない場合には、このステップS13の処理に先だって、上述の冷媒量判定運転を行う際に、構成機器が異常停止してしまうことがない程度の冷媒量になるまで冷媒充填を行う必要がある。
次に、上記の冷媒量判定運転を行いつつ、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を実施するが、この際、冷媒量演算手段として機能する制御部7によって、ステップS14における冷媒の追加充填時における冷媒回路10を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
Mog1=Vog1×ρd
という、室外ユニット2の高圧ガス管部Eの容積Vog1に高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdを乗じた関数式として表される。なお、高圧ガス管部Eの容積Vog1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部7のメモリに記憶されている。また、高圧ガス管部Eにおける冷媒の密度ρdは、吐出温度Tdおよび吐出圧力Pdを換算することによって得られる。
Mc=kc1×Ta+kc2×Tc+kc3×SHm+kc4×Wc
+kc5×ρc+kc6×ρco+kc7
という、室外温度Ta、凝縮温度Tc、圧縮機吐出過熱度SHm、冷媒循環量Wc、室外熱交換器22における冷媒の飽和液密度ρcおよび室外熱交換器22の出口における冷媒の密度ρcoの関数式として表される。なお、上述の関係式におけるパラメータkc1〜kc7は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部7のメモリに記憶されている。また、圧縮機吐出過熱度SHmは、圧縮機の吐出側における冷媒の過熱度であり、吐出圧力Pdを冷媒の飽和温度値に換算し、吐出温度Tdからこの冷媒の飽和温度値を差し引くことにより得られる。冷媒循環量Wcは、蒸発温度Teと凝縮温度Tcとの関数(すなわち、Wc=f(Te、Tc))として表される。冷媒の飽和液密度ρcは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる。室外熱交換器22の出口における冷媒の密度ρcoは、凝縮温度Tcを換算することによって得られる凝縮圧力Pcおよび冷媒の温度Tcoを換算することによって得られる。
Mol1=Vol1×ρco
という、室外ユニット2の高温液管部B1の容積Vol1に高温液管部B1における冷媒の密度ρco(すなわち、上述の室外熱交換器22の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。なお、高圧液管部B1の容積Vol1は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部7のメモリに記憶されている。
Mol2=Vol2×ρlp
という、室外ユニット2の低温側液管部B2の容積Vol2に低温側液管部B2における冷媒の密度ρlpを乗じた関数式として表される。なお、低温側液管部B2の容積Vol2は、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部7のメモリに記憶されている。また、低温側液管部B2における冷媒の密度ρlpは、過冷却器26の出口における冷媒の密度であり、凝縮圧力Pcおよび過冷却器26の出口における冷媒の温度Tlpを換算することによって得られる。
Mlp=Vlp×ρlp
という、液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpに液冷媒連絡配管部B3における冷媒の密度ρlp(すなわち、過冷却器26の出口における冷媒の密度)を乗じた関数式として表される。なお、液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpは、液冷媒連絡配管5が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力された液冷媒連絡配管5の情報から制御部7で演算したり、または、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。
Mr=kr1×Tlp+kr2×ΔT+kr3×SHr+kr4×Wr+kr5
という、過冷却器26の出口における冷媒の温度Tlp、室内温度Trから蒸発温度Teを差し引いた温度差ΔT、室内熱交換器31,41の出口における冷媒の過熱度SHrおよび室内ファン32,42の風量Wrの関数式として表される。なお、上述の関係式におけるパラメータkr1〜kr5は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部7のメモリに記憶されている。なお、ここでは、2台の室内ユニット3,4のそれぞれに対応して冷媒量Mrの関係式が設定されており、室内ユニット3の冷媒量Mrと室内ユニット4の冷媒量Mrとを加算することにより、室内ユニット部Fの全冷媒量が演算されるようになっている。なお、室内ユニット3と室内ユニット4の機種や容量が異なる場合には、パラメータkr1〜kr5の値が異なる関係式が使用されることになる。
Mgp=Vgp×ρgp
という、ガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpにガス冷媒連絡配管部Gにおける冷媒の密度ρgpを乗じた関数式として表される。なお、ガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpは、液冷媒連絡配管5と同様に、ガス冷媒連絡配管6が空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に現地にて施工される冷媒配管であるため、長さや管径等の情報から現地において演算した値を入力したり、長さや管径等の情報を現地において入力し、これらの入力されたガス冷媒連絡配管6の情報から制御部7で演算したり、または、後述のように、配管容積判定運転の運転結果を用いて演算される。また、ガス冷媒配管連絡部Gにおける冷媒の密度ρgpは、圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと、室内熱交換器31,41の出口(すなわち、ガス冷媒連絡配管6の入口)における冷媒の密度ρeoとの平均値である。冷媒の密度ρsは、吸入圧力Psおよび吸入温度Tsを換算することによって得られ、冷媒の密度ρeoは、蒸発温度Teの換算値である蒸発圧力Peおよび室内熱交換器31,41の出口温度Teoを換算することによって得られる。
Mog2=Vog2×ρs
という、室外ユニット2内の低圧ガス管部Hの容積Vog2に低圧ガス管部Hにおける冷媒の密度ρsを乗じた関数式として表される。なお、低圧ガス管部Hの容積Vog2は、設置場所に出荷される前から既知の値であり、予め制御部7のメモリに記憶されている。
Mob=kob1×ρco+kob2×ρs+kob3×Pe+kob4
という、室外熱交換器22の出口における冷媒の密度ρco、過冷却器26のバイパス回路50側の出口における冷媒の密度ρsおよび蒸発圧力Peの関数式として表される。なお、上述の関係式におけるパラメータkob1〜kob3は、試験や詳細なシミュレーションの結果を回帰分析することによって求められたものであり、予め制御部7のメモリに記憶されている。また、バイパス回路部Iの容積Mobは、他の部分に比べて冷媒量が少ないこともあり、さらに簡易的な関係式によって演算されてもよい。例えば、
Mob=Vob×ρe×kob5
という、バイパス回路部Iの容積Vobに過冷却器26のバイパス回路50側の部分における飽和液密度ρeおよび補正係数kobを乗じた関数式として表される。なお、バイパス回路部Iの容積Vobは、室外ユニット2が設置場所に設置される前から既知の値であり、予め制御部7のメモリに記憶されている。また、過冷却器26のバイパス回路50側の部分における飽和液密度ρeは、吸入圧力Psまたは蒸発温度Teを換算することによって得られる。
そして、このステップS14は、後述のステップS15における冷媒量の適否の判定の条件が満たされるまで繰り返されるため、冷媒の追加充填が開始してから完了するまでの間、冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、冷媒充填時における運転状態量から各部分の冷媒量が演算される。より具体的には、後述のステップS15における冷媒量の適否の判定に必要な室外ユニット2内の冷媒量Moおよび各室内ユニット3,4内の冷媒量Mr(すなわち、冷媒連絡配管5,6を除く冷媒回路10の各部分の冷媒量)が演算される。ここで、室外ユニット2内の冷媒量Moは、上述の室外ユニット2内の各部分の冷媒量Mog1、Mc、Mol1、Mol2、Mog2、およびMobを加算することによって演算される。
(ステップS15:冷媒量の適否の判定)
上述のように、冷媒回路10内に冷媒の追加充填を開始すると、冷媒回路10内の冷媒量が徐々に増加する。ここで、冷媒連絡配管5,6の容積が未知である場合には、冷媒の追加充填後に冷媒回路10内に充填されるべき冷媒量を、冷媒回路10全体の冷媒量として規定することができない。しかし、室外ユニット2および室内ユニット3,4だけに着目すれば(すなわち、冷媒連絡配管5,6を除く冷媒回路10)、試験や詳細なシミュレーションにより通常運転モードにおける最適な室外ユニット2の冷媒量を予め知ることができるため、この冷媒量を充填目標値Msとして予め制御部7のメモリに記憶しておき、上述の関係式を用いて冷媒自動充填運転における冷媒回路10内を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から演算される室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット3,4の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が、この充填目標値Msに到達するまで、冷媒の追加充填を行えばよいことになる。すなわち、ステップS15は、冷媒自動充填運転における室外ユニット2の冷媒量Moと室内ユニット3,4の冷媒量Mrとを加算した冷媒量の値が充填目標値Msに到達したかどうかを判定することで、冷媒の追加充填により冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定する処理である。
(ステップS2:配管容積判定運転)
上述のステップS1の冷媒自動充填運転が完了したら、ステップS2の配管容積判定運転に移行する。配管容積判定運転では、制御部7によって、図6に示されるステップS21〜ステップS25の処理が行われる。ここで、図6は、配管容積判定運転のフローチャートである。
ステップS21では、上述の冷媒自動充填運転におけるステップS13の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御、および蒸発圧力制御を含む液冷媒連絡配管5用の配管容積判定運転を行う。ここで、液管温度制御における過冷却器26の主冷媒回路側の出口の冷媒の温度Tlpの液管温度目標値Tlpsを第1目標値Tlps1とし、この第1目標値Tlps1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図7の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。なお、図7は、液冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS22では、第1状態から第2状態への変更により、液冷媒連絡配管部B3から冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpを演算する。
ΔMlp=−(ΔMc+ΔMol1+ΔMol2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMlpの値を液冷媒連絡配管部B3内における第1および第2状態間の冷媒の密度変化量Δρlpで除算することにより、液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpを演算することができる。なお、冷媒増減量ΔMlpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1および冷媒量Mog2が含まれていてもよい。
なお、ΔMc、ΔMol1、ΔMol2、ΔMr、およびΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρlpは、第1状態における過冷却器26の出口における冷媒の密度と第2状態における過冷却器26の出口における冷媒の密度を演算し、さらに第2状態における冷媒の密度から第1状態における冷媒の密度を減算することによって得られる。
なお、本実施形態では、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも高い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B3の冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量から液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpを演算しているが、第2状態における第2目標値Tlps2が第1状態における第1目標値Tlps1よりも低い温度になるように状態変更を行い、液冷媒連絡配管部B3に他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量から液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpを演算してもよい。
(ステップS23、S24:ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転および容積の演算)
上述のステップS21およびステップS22が完了した後、ステップS23において、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御、および蒸発圧力制御を含むガス冷媒連絡配管6用の配管容積判定運転を行う。ここで、蒸発圧力制御における圧縮機21の吸入圧力Psの低圧目標値Pesを第1目標値Pes1とし、この第1目標値Pes1で冷媒量判定運転が安定した状態を第1状態とする(図8の破線を含む線で示された冷凍サイクルを参照)。なお、図8は、ガス冷媒連絡配管用の配管容積判定運転における空気調和装置1の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。
次に、ステップS24では、第1状態から第2状態への変更により、ガス冷媒連絡配管部Gから冷媒が減少して冷媒回路10の他の部分に移動する現象を利用して、ガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpを演算する。
ΔMgp=−(ΔMc+ΔMog2+ΔMr+ΔMob)
という関数式から演算することができる。そして、このΔMgpの値をガス冷媒連絡配管部G内における第1および第2状態間の冷媒の密度変化量Δρgpで除算することにより、ガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpを演算することができる。なお、冷媒増減量ΔMgpの演算結果にはほとんど影響しないが、上述の関数式において、冷媒量Mog1、冷媒量Mol1、および冷媒量Mol2が含まれていてもよい。
なお、ΔMc、ΔMog2、ΔMr、およびΔMobは、上述の冷媒回路10の各部分についての関係式を用いて、第1状態における冷媒量と第2状態における冷媒量とを演算し、さらに第2状態における冷媒量から第1状態の冷媒量を減算することによって得られ、また、密度変化量Δρgpは、第1状態における圧縮機21の吸入側における冷媒の密度ρsと室内熱交換器31,41の出口における冷媒の密度ρeoとの平均密度を演算し、第2状態における平均密度から第1状態における平均密度を減算することによって得られる。
なお、本実施形態では、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも低い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gの冷媒を他の部分に移動させることで他の部分における冷媒量を増加させて、この増加量からガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpを演算しているが、第2状態における第2目標値Pes2が第1状態における第1目標値Pes1よりも高い圧力になるように状態変更を行い、ガス冷媒連絡配管部Gに他の部分から冷媒を移動させることで他の部分における冷媒量を減少させて、この減少量からガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpを演算してもよい。
(ステップS25:配管容積判定運転の結果の妥当性の判定)
上述のステップS21〜ステップS24が完了した後、ステップS25において、配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとが妥当なものであるかどうかを判定する。
ε1 < Vlp/Vgp < ε2
ここで、ε1およびε2は、熱源ユニットと利用ユニットとの実現可能な組み合わせにおける配管容積比の最小値および最大値に基づいて可変される値である。
このように、上述の配管容積判定運転の結果が妥当なものであるかどうか、すなわち、配管容積演算手段によって演算された液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとが妥当なものであるかどうかを判定する妥当性判定手段として機能する制御部7により、ステップS25の処理が行われる。
また、上述のステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと複数回判定されるような場合や、より簡易的に液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとの判定を行いたい場合には、図6には図示しないが、例えば、ステップS25において、ステップS21〜S24の配管容積判定運転の結果が妥当でないものと判定された後に、冷媒連絡配管5,6における圧力損失から冷媒連絡配管5,6の配管長さを推定し、この推定された配管長さと平均容積比から液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとを演算する処理に移行して、液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとを得るようにしてもよい。
上述のステップS2の配管容積判定運転が完了したら、ステップS3の初期冷媒量判定運転に移行する。初期冷媒量検知運転では、制御部7によって、図9に示されるステップS31ステップS32の処理が行われる。ここで、図9は、初期冷媒量検知運転のフローチャートである。
ステップS31では、上述の冷媒自動充填運転のステップS13の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御、および蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転が行われる。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs、および蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、冷媒自動充填運転のステップS13の冷媒量判定運転における目標値と同じ値が使用される。
このように、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御、および蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行う冷媒量判定運転制御手段として機能する制御部7により、ステップS31の処理が行われる。
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部7によって、ステップS32における初期冷媒量判定運転における冷媒回路10を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒または構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとが演算されて既知となっているため、これらの液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管5,6内の冷媒量Mlp,Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の初期冷媒量を検知することができる。この初期冷媒量は、後述の冷媒漏洩検知運転において、冷媒回路10からの漏洩の有無を判定する基準となる冷媒回路10全体の基準冷媒量Miとして使用されるため、運転状態量の1つとして、状態量蓄積手段としての制御部7のメモリに記憶される。
このように、初期冷媒量検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部7により、ステップS32の処理が行われる。
次に、冷媒漏洩検知運転モードについて、図1、図2、図5、および図10を用いて説明する。ここで、図10は、冷媒漏洩検知運転モードのフローチャートである。
(ステップS41:冷媒量判定運転)
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間(例えば、半年〜1年ごと等)経過した場合に、自動または手動で通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転と同様に、室内ユニット全数運転、凝縮圧力制御、液管温度制御、過熱度制御、および蒸発圧力制御を含む冷媒量判定運転を行なう。ここで、液管温度制御における液管温度目標値Tlps、過熱度制御における過熱度目標値SHrs、および蒸発圧力制御における低圧目標値Pesは、原則として、初期冷媒量検知運転の冷媒量判定運転のステップS31における目標値と同じ値が使用される。
(ステップS42:冷媒量の演算)
次に、上述の冷媒量判定運転を行いつつ冷媒量演算手段として機能する制御部7によって、ステップS42における冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から冷媒回路10内の冷媒量を演算する。冷媒回路10内の冷媒量の演算は、上述の冷媒回路10の各部分の冷媒量と冷媒回路10を流れる冷媒または構成機器の運転状態量との関係式を用いて演算されるが、この際、初期冷媒量判定運転と同様に、上述の配管容積判定運転によって、空気調和装置1の構成機器の設置後において未知であった液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとが演算されて既知となっているため、これらの液冷媒連絡配管部B3の容積Vlpとガス冷媒連絡配管部Gの容積Vgpとに冷媒の密度を乗算することによって、冷媒連絡配管5,6内の冷媒量Mlp、Mgpを演算し、さらに他の各部分の冷媒量を加算することにより、冷媒回路10全体の冷媒量Mを演算することができる。
このように、冷媒漏洩検知運転における冷媒回路10内を流れる冷媒または構成機器の運転状態量から冷媒回路10の各部分の冷媒量を演算する冷媒量演算手段として機能する制御部7により、ステップS42の処理が行われる。
冷媒回路10から冷媒が外部に漏洩すると、冷媒回路10内の冷媒量が減少する。そして、冷媒回路10内の冷媒量が減少すると、主として、室外熱交換器22の出口における過冷却度SCoが小さくなる傾向が現れ、これに伴い、室外熱交換器22における冷媒量Mcが減少し、他の部分における冷媒量がほぼ一定に保たれる傾向になる。このため、上述のステップS42において演算された冷媒回路10全体の冷媒量Mは、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じている場合には、初期冷媒量検知運転において検知された基準冷媒量Miよりも小さくなり、冷媒回路10からの冷媒漏洩が生じていない場合には、基準冷媒量Miとほぼ同じ値になる。
一方、ステップS43において、冷媒回路10からの冷媒の漏洩が生じていると判定される場合には、ステップS44の処理に移行して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告を警告表示部9に表示した後、冷媒漏洩検知運転モードを終了する。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、制御部7が、冷媒量判定運転手段、冷媒量演算手段、冷媒量判定手段、配管容積判定運転手段、配管容積演算手段、妥当性判定手段、および状態量蓄積手段として機能することにより、冷媒回路10内に充填された冷媒量の適否を判定するための冷媒量判定システムを構成している。
(A)
この空気調和装置1では、冷媒量判定運転を行う際に、液冷媒の圧力が上がらない場合または液冷媒の圧力が上がりにくい所定条件の場合に、室外熱交換器22の凝縮能力を下げるように構成機器の運転制御を行う。例えば、過冷却器26出口の液冷媒温度の一定制御(液温一定制御)を行う冷媒量判定運転において、低外気温の場合に、室外熱交換器22の凝縮能力が大きくなりすぎてしまう。このため、冷媒の凝縮圧力が低下し液温一定制御が困難になる。また、冷媒の凝縮圧力が低くなることで室外熱交換器22内の冷媒分布が大きく変化し、検知誤差が大きくなる。
(B)
この空気調和装置1では、室外熱交換器22は、主熱交換器23と補助熱交換器24とに分割され、並列に接続されている。また、主熱交換器23に流入する冷媒量を調整可能な主冷媒調整弁V2と、補助熱交換器24に流入する冷媒量を調整可能な補助冷媒調整弁V3とをそれぞれの熱交換器の圧縮機21側に備えている。そして、運転制御は、制御部7が補助熱交換器24の凝縮能力を抑制するように、補助冷媒調整弁V3を絞ることである。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上述の実施形態では、室外熱交換器22は、主熱交換器23と補助熱交換器24とが並列に接続されており、それぞれの圧縮機21の吐出側に主冷媒調整弁V2と補助冷媒調整弁V3とが設けられ、低外気温時に冷媒量判定運転を行う際に、制御部7が主冷媒調整弁V2と補助冷媒調整弁V3との開度調節をすることで室外熱交換器22全体の凝縮能力を抑制しているが、これに限定されず、室外熱交換器22aの圧縮機21の吐出側と液冷媒連絡配管5側とをバイパスするバイパス回路60aを設け、制御部7aがバイパス回路60a上のバイパス調整弁V10を開度調節することで室外熱交換器22a全体の凝縮能力を抑制しても良い(第2実施形態とする、図11、図12参照)。また、室外熱交換器22bを主熱交換器23bと補助熱交換器24bとに分割し、これらを直列に接続し、補助熱交換器24bの圧縮機21の吐出側と液冷媒連絡配管5側とをバイパスするバイパス回路60bを設け、制御部7bがバイパス回路60b上のバイパス調整弁V12を開度調節することで補助熱交換器24bに流入する冷媒量を調整し室外熱交換器22b全体の凝縮能力を抑制しても良い(第3実施形態とする、図13、図14参照)。
これにより、冷媒の一部をバイパス回路60a,60bに流すことが可能になり、室外熱交換器22に流入する冷媒量を抑制することができる。したがって、室外熱交換器22の凝縮能力を抑制することができる。このため、液冷媒の圧力が上がらない時または液冷媒の圧力が上がりにくい条件の時に十分な圧力を維持して、検知精度を向上させることができる。このため、高精度な冷媒量判定運転が可能になる。
上述の実施形態では、補助冷媒調整弁V3を絞ることにより、補助熱交換器24の凝縮能力を低下させ、室外熱交換器22全体としての凝縮能力を低下させたが、これに限らず、主冷媒調整弁V2を絞ることにより、主熱交換器23の凝縮能力を低下させ、室外熱交換器22全体としての凝縮能力を低下させても良いし、これら2つを組み合わせて、室外熱交換器22全体の凝縮能力を低下させても良い。
上述の実施形態では、1台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、複数台の室外ユニットを備えた空気調和装置に本発明を適用しても良い。また、空気調和装置1の室外ユニットとして外気を熱源とした空冷式の室外ユニット2を使用しているが、水冷式や氷蓄熱式の室外ユニットを使用しても良い。また、上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、冷房専用の空気調和装置等の他の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
上述の実施形態では、室外側制御部28と、室内側制御部33,43とを伝送線71を介して制御信号をやりとりし空気調和装置1全体として制御部7を構成していたが、これに限定されず、空気調和装置1全体の制御を行う制御部を、室外ユニット内に設けても良いし、室内ユニット内に設けても良いし、制御ユニットとして単独のユニットを設けても良い。
2,2a,2b 室外ユニット(熱源ユニット)
3,4 室内ユニット(利用ユニット)
5 液冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
6 ガス冷媒連絡配管(冷媒連絡配管)
7,7a,7b 制御部
10,10a,10b 冷媒回路
21 圧縮機
22,22a,22b 室外熱交換器(熱交換器)
23,23b 主熱交換器(第1熱交換器)
24,24b 補助熱交換器(第2熱交換器)
31,41 室内熱交換器(利用側熱交換器)
60a,60b バイパス回路
V2 主冷媒調整弁(第1冷媒調整弁)
V3 補助冷媒調整弁(第2冷媒調整弁)
V4 室外膨張弁(膨張機構)
V8,V9 室内膨張弁(膨張機構)
V10,V12 バイパス調整弁
Claims (5)
- 冷媒ガスを圧縮する圧縮機(21)と熱源側熱交換器(22,22a,22b)とを有する熱源ユニット(2,2a,2b)と、前記熱源ユニットと接続され液冷媒連絡配管(5)およびガス冷媒連絡配管(6)で構成される冷媒連絡配管と、膨張機構(V4,V8,V9)と、利用側熱交換器(31,41)を有し前記冷媒連絡配管に接続される利用ユニット(3,4)と、を含む冷媒回路(10,10a,10b)と、
前記冷媒回路内の冷媒量を判定する冷媒量判定運転の際に、液冷媒圧力が上がらない場合または前記液冷媒圧力が上がりにくい所定条件の場合に、前記熱源側熱交換器の凝縮能力を下げるように構成機器の運転制御を行う制御部(28,28a,28b)と、
を備える空気調和装置(1,1a,1b)。 - 前記所定条件は、外気温が低い場合である、
請求項1に記載の空気調和装置(1,1a,1b)。 - 前記熱源側熱交換器(22,22b)は、第1熱交換器(23,23b)と、第2熱交換器(24,24b)とに分割されており、
前記運転制御は、前記制御部(28,28b)が前記第2熱交換器の凝縮能力を抑制するような制御を行うことである、
請求項1または2に記載の空気調和装置(1,1b)。 - 前記第1熱交換器(23)と前記第2熱交換器(24)とは並列に接続されており、
前記第1熱交換器の前記圧縮機側に設けられ、前記第1熱交換器へ流入する冷媒の流量を調整可能な第1冷媒調整弁(V2)と、
前記第2熱交換器の前記圧縮機側に設けられ、前記第2熱交換器へ流入する冷媒の流量を調整可能な第2冷媒調整弁(V3)と、
をさらに備え、
前記運転制御は、前記制御部(28)が前記第1冷媒調整弁と前記第2冷媒調整弁との開度調整を行うことにより、第1熱交換器と第2熱交換器とに流入する冷媒の流量を変化させることである、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。 - 少なくとも前記熱源側熱交換器(22a,22b)の一部における前記圧縮機(21)側と前記液冷媒連絡配管(5)側とを、バイパスするバイパス回路(60a,60b)と、
前記バイパス回路上に設けられ、冷媒の流量を調整可能なバイパス調整弁(V10,V12)と、
をさらに備え、
前記運転制御は、前記制御部(28a,28b)が、前記バイパス調整弁の開度調整を行うことにより、前記熱源側熱交換器に流入する冷媒の流量を変化させることである、
請求項1から4のいずれかに記載の空気調和装置(1a,1b)。
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