JP2007196465A - 不燃性蓄熱パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】一般建築物や住宅の壁や天井等に使用され、夏場は涼しく、冬場は暖かい室内環境を作り出す、不燃性及び結露による防食性能を付与した潜熱蓄熱材を含有する建築用ボートを提供する。
【解決手段】潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を直接積層する、または該樹脂コートが施されたアルミニウム箔を紙、不織布または織物シートを介して積層することにより得られる不燃性蓄熱パネル。
【選択図】なし
【解決手段】潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を直接積層する、または該樹脂コートが施されたアルミニウム箔を紙、不織布または織物シートを介して積層することにより得られる不燃性蓄熱パネル。
【選択図】なし
Description
本発明は一般建築物や住宅の壁や天井等に使用され、夏場は涼しく、冬場は暖かい室内環境を提供し得る蓄熱性を有する建材の不燃化技術に関する。
近年、太陽熱や空調の熱などを蓄え、必要なときにそれを取り出す蓄熱技術を住宅に応用することによって、快適性や省エネルギー性を向上させようとする試みが広く行われている。この場合の蓄熱材料として、一般的にはコンクリートや砂、煉瓦などを蓄熱材料として用いる方法、いわゆる躯体蓄熱法が提案されている。
他方で、物質の相変化等に伴う潜熱を利用した潜熱蓄熱材も注目されており、一般的に蓄熱密度が大きいという特徴を持っている。このため、蓄熱体容積を小さくすることが可能で、省スペース化に寄与する。
また、所望の狭い温度域での蓄放熱が可能なため、室温付近に相転移点を有する潜熱蓄熱材を住宅用の蓄熱体として利用することにより、室内温度の安定化、快適温度の維持に役立てることができる。
他方で、物質の相変化等に伴う潜熱を利用した潜熱蓄熱材も注目されており、一般的に蓄熱密度が大きいという特徴を持っている。このため、蓄熱体容積を小さくすることが可能で、省スペース化に寄与する。
また、所望の狭い温度域での蓄放熱が可能なため、室温付近に相転移点を有する潜熱蓄熱材を住宅用の蓄熱体として利用することにより、室内温度の安定化、快適温度の維持に役立てることができる。
潜熱蓄熱材は物質の相変化、とりわけ固液間の相変化に伴う潜熱を主として利用するもので、従来以下のものが知られている。結晶水を含む無機水和物、無機系共晶物、パラフィンやワックス等の炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂肪酸類、エステル化合物及びアルコール類等の化合物である。
これを実施するに際し、潜熱蓄熱材を建材と一体化させた複合化建材が必要となるが、上述ような複合建材を実現するためには、潜熱蓄熱材の相変化時、即ち融解時に、建材から流出を防止する必要がある。例えば、特開平2−298759号公報のように樹脂製容器に封入したり、特開平5−1281号公報のように樹脂材料に含浸一体化したりする方法が開示されている。
これを実施するに際し、潜熱蓄熱材を建材と一体化させた複合化建材が必要となるが、上述ような複合建材を実現するためには、潜熱蓄熱材の相変化時、即ち融解時に、建材から流出を防止する必要がある。例えば、特開平2−298759号公報のように樹脂製容器に封入したり、特開平5−1281号公報のように樹脂材料に含浸一体化したりする方法が開示されている。
また、蓄熱パネルを難燃化または不燃化するために、例えば、特開平8−219673号公報のように蓄熱体全体をアルミラミネートフィルムで被覆したものや特開2004−60350号公報のように蓄熱材を固着成型したボードに金属フィルムで被覆したものが提案されている。
特開平2−298759号公報
特開平5−1281号公報
特開平8−219673号公報
特開2004−60350号公報
潜熱蓄熱材として不燃性を有する結晶水を含む無機水和物、無機系共晶物を使用した場合であっても、上述のように有機材料容器に封入したり樹脂材料に含浸一体化したりした場合、建材としては可燃性を有するものとなってしまう。
一方、パラフィンやワックス等の炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂肪酸類、エステル化合物及びアルコール類等の化合物の有機化合物を蓄熱材として使用する場合は蓄熱材自体に可燃性がある。
蓄熱パネルを建材として使用する場合、その機能から断熱材の内側に施工することとなる。建築基準法によれば、火災発生時の延焼を防ぐため、建築物の用途、構造、規模に応じた一定範囲に燃えにくい内装材を使用しなくてはならない内装制限が設けられている。例えば、住宅では階数が2以上で最上階以外の階にある「火気使用室」が対象となり、天井・壁材は準不燃材料か不燃材料としなくてはならない。
一方、パラフィンやワックス等の炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂肪酸類、エステル化合物及びアルコール類等の化合物の有機化合物を蓄熱材として使用する場合は蓄熱材自体に可燃性がある。
蓄熱パネルを建材として使用する場合、その機能から断熱材の内側に施工することとなる。建築基準法によれば、火災発生時の延焼を防ぐため、建築物の用途、構造、規模に応じた一定範囲に燃えにくい内装材を使用しなくてはならない内装制限が設けられている。例えば、住宅では階数が2以上で最上階以外の階にある「火気使用室」が対象となり、天井・壁材は準不燃材料か不燃材料としなくてはならない。
特開平8−219673号公報においては、難燃性を確保するためにシール部を完全に密閉する必要がある。蓄熱パネルを施工する際、切断や穴明け加工はしばしば発生するため、密閉していないと難燃性が確保できない従来技術は、施工可能な著しく限定される欠点を持つ。特開2004−60350号公報では金属フィルムをそのまま使用するが、コスト上の要請からアルミフィルムを使用することが考えられる。しかしながら、アルミフィルムを単独で使用することは腐食のおそれがある。特に蓄熱ボードはその特性上、室温と蓄熱ボードとに温度差が生じ、結露を発生させる可能性がある。したがって、金属フィルムには防食対策が必須となる。
本発明に係る不燃性蓄熱パネルは、前述の従来の蓄熱パネルの多くの問題点に鑑み開発された技術であって、蓄熱パネルの片面或いは両面に樹脂コートされたアルミニウム箔を一体的に積層して構成された蓄熱パネルである。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
1.潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする不燃性蓄熱パネル。
2.潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、紙、不織布または織物シートを介し、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする1.記載の不燃性蓄熱パネル。
3.樹脂コートが、エポキシ系樹脂焼き付けコート、シリコーン系樹脂焼き付けコートから選ばれる1以上であることを特徴とする1.または2.記載の不燃性蓄熱パネル。
4.前記潜熱蓄熱材が炭化水素化合物、及び/または脂肪族炭化水素化合物、及び/またはエステル化合物、及び/またはアルコール化合物であることを特徴とする1.〜3.記載の不燃性蓄熱パネル。
5.前記不燃性パネルが水硬性材料により硬化せしめられたことを特徴とする1.〜4.の不燃性蓄熱パネル。
6.前記水硬性材料がセメントまたは石膏であることを特徴とする5.記載の不燃性蓄熱パネル。
7.前記潜熱蓄熱材の融点が5℃以上、且つ50℃以下であることを特徴とする1.〜6.記載の不燃性蓄熱パネル。
8.前記不燃性蓄熱パネルにおける前記潜熱蓄熱材含有量が50重量%以下であることを特徴とする1.〜7.記載の不燃性蓄熱パネル。
1.潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする不燃性蓄熱パネル。
2.潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、紙、不織布または織物シートを介し、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする1.記載の不燃性蓄熱パネル。
3.樹脂コートが、エポキシ系樹脂焼き付けコート、シリコーン系樹脂焼き付けコートから選ばれる1以上であることを特徴とする1.または2.記載の不燃性蓄熱パネル。
4.前記潜熱蓄熱材が炭化水素化合物、及び/または脂肪族炭化水素化合物、及び/またはエステル化合物、及び/またはアルコール化合物であることを特徴とする1.〜3.記載の不燃性蓄熱パネル。
5.前記不燃性パネルが水硬性材料により硬化せしめられたことを特徴とする1.〜4.の不燃性蓄熱パネル。
6.前記水硬性材料がセメントまたは石膏であることを特徴とする5.記載の不燃性蓄熱パネル。
7.前記潜熱蓄熱材の融点が5℃以上、且つ50℃以下であることを特徴とする1.〜6.記載の不燃性蓄熱パネル。
8.前記不燃性蓄熱パネルにおける前記潜熱蓄熱材含有量が50重量%以下であることを特徴とする1.〜7.記載の不燃性蓄熱パネル。
本発明の不燃性蓄熱パネルは蓄熱パネルに腐食のおそれなく、不燃性を付与する効果を有する。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で使用可能な潜熱蓄熱材は、塩化カルシウム6水和塩、硫酸ナトリウム10水和塩、リン酸水素ナトリウム12水和塩、チオ硫酸ナトリウム5水和塩、硝酸ニッケル6水和塩等の結晶水を含む無機水和物若しくは無機系共晶物及び/または炭素数14以上かつ30以下のノルマルパラフィンやワックス等の炭化水素化合物、カプリル酸、ミリスチレン酸若しくはステアリン酸等の脂肪酸類、ベンゼン、パラキシレン等の芳香族炭化水素化合物、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル化合物並びにポリエチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類等の化合物であり、好ましくは融解熱量が80kJ/kg以上の化合物である。建材として利用するため、化学的及び物理的に安定で、しかも安価なものが選択される。これらの蓄熱材には必要に応じて過冷却防止剤、比重調整材、劣化防止剤等を添加することができる。特に好ましい蓄熱材の選択例としては、それ自身が可燃性を有する上述のような炭化水素化合物、及び/または脂肪族炭化水素化合物、及び/またはエステル化合物、及び/またはアルコール化合物である。
潜熱蓄熱材の相転移温度は特に限定されないが、快適な居住温度環境を維持することを目的としていることを考慮すれば、潜熱蓄熱材の融点は5℃以上かつ50℃以下が望ましい。しかしながら、日本のように夏と冬とで温度差が大きい気候風土では、潜熱蓄熱材の融点をある一定の温度に固定してしまうことは、何れかの季節には十分な性能が発揮できなくなるため、2種類以上の融点を有する潜熱蓄熱材を別々に内包したマイクロカプセルを組み合わせることが効果的である。
本発明で使用可能な潜熱蓄熱材は、塩化カルシウム6水和塩、硫酸ナトリウム10水和塩、リン酸水素ナトリウム12水和塩、チオ硫酸ナトリウム5水和塩、硝酸ニッケル6水和塩等の結晶水を含む無機水和物若しくは無機系共晶物及び/または炭素数14以上かつ30以下のノルマルパラフィンやワックス等の炭化水素化合物、カプリル酸、ミリスチレン酸若しくはステアリン酸等の脂肪酸類、ベンゼン、パラキシレン等の芳香族炭化水素化合物、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のエステル化合物並びにポリエチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類等の化合物であり、好ましくは融解熱量が80kJ/kg以上の化合物である。建材として利用するため、化学的及び物理的に安定で、しかも安価なものが選択される。これらの蓄熱材には必要に応じて過冷却防止剤、比重調整材、劣化防止剤等を添加することができる。特に好ましい蓄熱材の選択例としては、それ自身が可燃性を有する上述のような炭化水素化合物、及び/または脂肪族炭化水素化合物、及び/またはエステル化合物、及び/またはアルコール化合物である。
潜熱蓄熱材の相転移温度は特に限定されないが、快適な居住温度環境を維持することを目的としていることを考慮すれば、潜熱蓄熱材の融点は5℃以上かつ50℃以下が望ましい。しかしながら、日本のように夏と冬とで温度差が大きい気候風土では、潜熱蓄熱材の融点をある一定の温度に固定してしまうことは、何れかの季節には十分な性能が発揮できなくなるため、2種類以上の融点を有する潜熱蓄熱材を別々に内包したマイクロカプセルを組み合わせることが効果的である。
具体的には、夏場の室内の温度上昇を抑制するためには23℃以上かつ31℃以下の融点を有する潜熱蓄熱材を使用し、冬場の室温低下を防止するためには5℃以上かつ23℃以下の融点を有する潜熱蓄熱材を使用することが好ましく、これらを混合して使用することで年間を通じて、より快適な室内環境を得ることができる。
また、25℃以上かつ50℃以下の比較的高い融点を有する潜熱蓄熱材を使用することにより、床暖房システムの一部を構成させる。或いは、5℃以上かつ25℃以下の比較的低い融点を有する潜熱蓄熱材を使用することにより、冷房システムの一部を構成させることも可能である。
また、25℃以上かつ50℃以下の比較的高い融点を有する潜熱蓄熱材を使用することにより、床暖房システムの一部を構成させる。或いは、5℃以上かつ25℃以下の比較的低い融点を有する潜熱蓄熱材を使用することにより、冷房システムの一部を構成させることも可能である。
本発明の蓄熱材の一例としては、界面重合法、in-situ重合法等で界面活性剤を用いて懸濁液を生成させ、マイクロカプセル皮膜を生成する方法がある。in-situ法によりメラメンホルマリン樹脂被膜を有する潜熱蓄熱材含有マイクロカプセル分散液の製造する方法は、特許2988765号公報等に記載されている。原材料として添加させる界面活性剤であるスチレン無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩水溶液は乳化剤及びメラミンホルムアルデヒドプレポリマーとのアミド結合する効果があり、合成に欠くことができない。
界面重合法により得られる熱可塑性樹脂を主成分とマイクロカプセル被膜を有する蓄熱マイクロカプセルスラリーを得る方法としては特開2001−181611号公報等に記載されている。マイクロカプセル皮膜はラジカル重合性モノマーを水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマーをラジカル重合によって得るため、乳化懸濁のための分散剤が不可欠である。上記分散剤としてはアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等であり、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が好ましい。
また、多孔質の支持担体に蓄熱材を含浸させ、その表面に封止層を設けたものも好ましい例である。
界面重合法により得られる熱可塑性樹脂を主成分とマイクロカプセル被膜を有する蓄熱マイクロカプセルスラリーを得る方法としては特開2001−181611号公報等に記載されている。マイクロカプセル皮膜はラジカル重合性モノマーを水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマーをラジカル重合によって得るため、乳化懸濁のための分散剤が不可欠である。上記分散剤としてはアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等であり、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が好ましい。
また、多孔質の支持担体に蓄熱材を含浸させ、その表面に封止層を設けたものも好ましい例である。
本発明において用いられる樹脂コートは、耐熱性とコート層の透明性が必要である。100℃以上での焼付コートが可能で、基材のアルミニウム箔の輻射熱反射機能を阻害しない透明なコート層を形成する樹脂が使用できる。たとえば、エポキシ系樹脂焼付コート、シリコーン系樹脂焼付コートが好適に用いられる。その他にポリエチレンのコートまたはフィルム、ポリプロピレンのコートまたはフィルム、塩化ビニルシート、アクリルコート等が可能であるが、一般的に薄膜でのコートが難しい。また、樹脂コートのコート量は0.3〜5g/m2である。好ましくは0.4〜3g/m2である。コート量が0.3g/m2未満だと均一な表面コートが困難となり、十分な防食性が得られなくなる。逆に、コート量が5g/m2を超えると耐熱性および耐不燃性が不十分となり、パネルの難燃性を低下させるので適さない。
本発明において用いられるアルミニウム箔の成分に関しては特に制限はないが、JIS H 4160「アルミニウムおよびアルミニウム合金箔」で規定されたアルミニウム箔が好適である。アルミニウム箔の厚みに関しても同様であるが、取り扱い時の強度、経済性の点で、8〜50μmがより好ましい。
本発明において用いられるアルミニウム箔の成分に関しては特に制限はないが、JIS H 4160「アルミニウムおよびアルミニウム合金箔」で規定されたアルミニウム箔が好適である。アルミニウム箔の厚みに関しても同様であるが、取り扱い時の強度、経済性の点で、8〜50μmがより好ましい。
本発明において使用される水硬性材料としては、セメントまたは石膏である。
セメントとしては、普通、早強、中庸熱ポルトランドセメント、高炉、シリカ、フライアッシュセメントなどの混合セメント等、及びアルミナセメント等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、混合して用いても良い。セメントとの混練する際、定法で使用される分散材や補強繊維材料、硬化促進剤等の各種材料を添加することも可能である。また、混練機器は特に限定しないが、2軸強制ミキサー、アイリッヒミキサー、オムニミキサー等を用いることができる。成型方法としては、通常の建築用ボード製造に用いられる鋳造法、プレス法、押出法、抄造法等が用いられる。養生方法としては、定法の常温養生や蒸気養生等が適用可能である。
セメントとしては、普通、早強、中庸熱ポルトランドセメント、高炉、シリカ、フライアッシュセメントなどの混合セメント等、及びアルミナセメント等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、混合して用いても良い。セメントとの混練する際、定法で使用される分散材や補強繊維材料、硬化促進剤等の各種材料を添加することも可能である。また、混練機器は特に限定しないが、2軸強制ミキサー、アイリッヒミキサー、オムニミキサー等を用いることができる。成型方法としては、通常の建築用ボード製造に用いられる鋳造法、プレス法、押出法、抄造法等が用いられる。養生方法としては、定法の常温養生や蒸気養生等が適用可能である。
石膏原料は、石膏ボード原料として使用可能な純度を持つα型半水石膏またはβ型の半水石膏の何れか、或いはこれらの混合物であってもよく、任意の配合比率で使用可能である。また、充填材としては例えば炭酸カルシウム、珪石、マイカ、パーライト、シリカバルーン、タルク等の鉱物質の材料等があり、補強用繊維として、セルロース、有機合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維及びワラストナイトなどの鉱物繊維等があり、成形助材としては、メチルセルロース等の増粘剤、減水剤、消泡剤及び凝集剤等を成形法に応じて適宜選定使用可能である。石膏ボードの製造方法としては、慣用公知の成形法が実施可能である。
潜熱蓄熱パネルにおける潜熱蓄熱材の含有量は特に限定されるものではないが、可燃性蓄熱材を潜熱蓄熱材として使用する場合、その含有量が50重量%以下であることが好ましい。この含有量が50重量%を超える場合、耐燃焼性が不十分となるため好ましくない。
潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードとアルミニウム箔との接合方法としては、建築用ボードの片面あるいは両面にエポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂等の一般の接着剤を塗布して後加工して方法がある。その場合の建築用ボード単体でも適用可能であるが、建築用ボードとして、紙、各種不織布または織物シート等の面材が表面に積層されてなるものがより好ましい。なお、このような面材を剥がしてあるいは所定の厚みにスライスしたものであって潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードが露出したものも使用可能である。別の接合方法としては、建築用ボードを成型する段階で、片面あるいは両面の面材に予め樹脂コートしたアルミニウム箔を貼付した面材を使用することも好ましい方法である。石膏ボード等には特に有効である。
潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードとアルミニウム箔との接合方法としては、建築用ボードの片面あるいは両面にエポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂等の一般の接着剤を塗布して後加工して方法がある。その場合の建築用ボード単体でも適用可能であるが、建築用ボードとして、紙、各種不織布または織物シート等の面材が表面に積層されてなるものがより好ましい。なお、このような面材を剥がしてあるいは所定の厚みにスライスしたものであって潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードが露出したものも使用可能である。別の接合方法としては、建築用ボードを成型する段階で、片面あるいは両面の面材に予め樹脂コートしたアルミニウム箔を貼付した面材を使用することも好ましい方法である。石膏ボード等には特に有効である。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
メラミン粉末6.2gに37%ホルムアルデヒド水溶液12gと水40gを加え、pH8に調整した後、約70℃まで加熱してメラメンホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100g中に、潜熱蓄熱材としてn−オクタデカン(融点27℃)80gを激しく攪拌しながら添加し、平均粒子径が3.5μmになるまで乳化を行った。
この乳化液に上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間攪拌を施した後、pHを9に調整して固形分濃度45%の潜熱蓄熱材のマイクロカプセル分散液を得た。
[実施例1]
メラミン粉末6.2gに37%ホルムアルデヒド水溶液12gと水40gを加え、pH8に調整した後、約70℃まで加熱してメラメンホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100g中に、潜熱蓄熱材としてn−オクタデカン(融点27℃)80gを激しく攪拌しながら添加し、平均粒子径が3.5μmになるまで乳化を行った。
この乳化液に上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間攪拌を施した後、pHを9に調整して固形分濃度45%の潜熱蓄熱材のマイクロカプセル分散液を得た。
このマイクロカプセル分散液100重量部にアクリル−ウレタン樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業(株)製「ボンコートCG−5010」、固形分濃度45%)30重量部を添加し、よく混合した後スプレードライヤーで粉末化処理を行い平均粒径が60μmのマイクロカプセル粉体が得られた。この粉体100重量部に固形分濃度40%のポリアクリル酸ソーダ水溶液20重量部を添加しよく混合した後、押し出し式造粒装置を用いて短径1mm、長径2mmの桿状ペレットを作製した。
オムニミキサーを用いて、セメント25重量部、軽量骨材45重量部及び水65重量部を2分間混練した後、前記ペレット30重量部を添加し、更に2分間よく混練した。得られたモルタルを300mm角の金型を用いて脱水プレスを行い、厚み12mmの成型体を得た。この成型体を50℃、相対湿度90%以上のもとで8時間養生し、セメントボードを得た。
オムニミキサーを用いて、セメント25重量部、軽量骨材45重量部及び水65重量部を2分間混練した後、前記ペレット30重量部を添加し、更に2分間よく混練した。得られたモルタルを300mm角の金型を用いて脱水プレスを行い、厚み12mmの成型体を得た。この成型体を50℃、相対湿度90%以上のもとで8時間養生し、セメントボードを得た。
更にこのセメントボードの両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、シリコーン焼付コート(コート量1.2g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
防食性の評価は以下の手順による。まず、前記潜熱蓄熱セメント積層ボードより、100mm角の試験体を切り出す。続いて、試験体に素手を1分間押し当てた後、70℃95%RHの雰囲気下で6週間保管し、その外観を観察する。判定基準は、以下の通りである。合格;変化が見られないもの。不合格;白錆が発生したもの。
難燃性の評価は、建築基準法施工令第1条第5号の規定の発熱性試験に準拠して、試験体を輻射強度50kW/m2、試験距離25mm、試験時間20分間の諸条件で実施した。判定基準は、(1)最大発熱速度;10秒以上継続して200kW/m2を超えることがないこと、(2)総発熱量;8MJ/m2以下であることおよび(3)その他;防災上有害となる裏面まで貫通する亀裂と穴とが全くないことの3点である。
防食性の評価は以下の手順による。まず、前記潜熱蓄熱セメント積層ボードより、100mm角の試験体を切り出す。続いて、試験体に素手を1分間押し当てた後、70℃95%RHの雰囲気下で6週間保管し、その外観を観察する。判定基準は、以下の通りである。合格;変化が見られないもの。不合格;白錆が発生したもの。
難燃性の評価は、建築基準法施工令第1条第5号の規定の発熱性試験に準拠して、試験体を輻射強度50kW/m2、試験距離25mm、試験時間20分間の諸条件で実施した。判定基準は、(1)最大発熱速度;10秒以上継続して200kW/m2を超えることがないこと、(2)総発熱量;8MJ/m2以下であることおよび(3)その他;防災上有害となる裏面まで貫通する亀裂と穴とが全くないことの3点である。
[実施例2]
実施例1と同様にして、セメントボードを得た。
更にこのセメントボードの両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、エポキシ焼付コート(コート量0.7g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
実施例1と同様にして、セメントボードを得た。
更にこのセメントボードの両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、エポキシ焼付コート(コート量0.7g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[実施例3]
実施例1と同様にして、桿状ペレットを作製した。
α型半水石膏1000重量部と、上記桿状ペレット550重量部、水750重量部、更に硬化促進剤として硫酸カリウム2重量部を混合し、攪拌機を用いて2分間攪拌することによって石膏とマイクロカプセルとが均一に分散されたスラリーを得た。得られたスラリーを、石膏ボード用原紙を両側の面材として、厚み12.5mmに成型した。
更にこの石膏ボードの両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、エポキシ焼付コート(コート量1.0g/m2)したアルミニウム箔(30μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱石膏ボード積層板を得た。
実施例1と同様にして、桿状ペレットを作製した。
α型半水石膏1000重量部と、上記桿状ペレット550重量部、水750重量部、更に硬化促進剤として硫酸カリウム2重量部を混合し、攪拌機を用いて2分間攪拌することによって石膏とマイクロカプセルとが均一に分散されたスラリーを得た。得られたスラリーを、石膏ボード用原紙を両側の面材として、厚み12.5mmに成型した。
更にこの石膏ボードの両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、エポキシ焼付コート(コート量1.0g/m2)したアルミニウム箔(30μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱石膏ボード積層板を得た。
[実施例4]
湿式シリカ((株)トクヤマ製「トクシール」、平均粒径:20μm)100重量部にミリスチン酸メチル(融点18℃)200重量部を含浸させた後、その表面をエポキシ樹脂で封止し、蓄熱材を得た。
β型半水石膏1000重量部と前記蓄熱材400重量部、更に水400重量部を添加し、攪拌機を用いて1分間攪拌することによって石膏とマイクロカプセルとが均一に分散されたスラリーを得た。得られたスラリーを、石膏ボード用原紙にエポキシ焼付コート(コート量2.0g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付して一体化した面材を両側の面材として、厚み12.5mmに成型した。
湿式シリカ((株)トクヤマ製「トクシール」、平均粒径:20μm)100重量部にミリスチン酸メチル(融点18℃)200重量部を含浸させた後、その表面をエポキシ樹脂で封止し、蓄熱材を得た。
β型半水石膏1000重量部と前記蓄熱材400重量部、更に水400重量部を添加し、攪拌機を用いて1分間攪拌することによって石膏とマイクロカプセルとが均一に分散されたスラリーを得た。得られたスラリーを、石膏ボード用原紙にエポキシ焼付コート(コート量2.0g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付して一体化した面材を両側の面材として、厚み12.5mmに成型した。
[比較例1]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例2]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、シリコーン焼付コート(コート量10g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、ポリエチレンコート(コート量10g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例2]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、シリコーン焼付コート(コート量10g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にエポキシ樹脂を100g/m2塗布し、ポリエチレンコート(コート量10g/m2)したアルミニウム箔(25μm厚)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例4]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミラミネートフィルム(PET(50g/m2相当)/アルミニウム(30μm厚)/低密度ポリエチレン)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例5]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミラミネートフィルム(アクリル(14g/m2相当)/アルミニウム(30μm厚)/低密度ポリエチレン)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
上記実施例1〜4及び比較例1〜5についての試験体の構成を表1に、また、その評価結果を表2に示した。比較例4及び比較例5においては発熱量が規定値を大きく超えたため、途中で試験を打ち切った。
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミラミネートフィルム(PET(50g/m2相当)/アルミニウム(30μm厚)/低密度ポリエチレン)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
[比較例5]
実施例1と同様にして、セメントボードを成型し、その両面にアルミラミネートフィルム(アクリル(14g/m2相当)/アルミニウム(30μm厚)/低密度ポリエチレン)を貼付し、潜熱蓄熱セメント積層ボードを得た。
上記実施例1〜4及び比較例1〜5についての試験体の構成を表1に、また、その評価結果を表2に示した。比較例4及び比較例5においては発熱量が規定値を大きく超えたため、途中で試験を打ち切った。
Claims (8)
- 潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする不燃性蓄熱パネル。
- 潜熱蓄熱材を含有する建築用ボードの片面或いは両面に、紙、不織布または織物シートを介し、コート量0.3〜5g/m2の樹脂コートが施されたアルミニウム箔を積層して構成したことを特徴とする請求項1記載の不燃性蓄熱パネル。
- 樹脂コートが、エポキシ系樹脂焼き付けコート、シリコーン系樹脂焼き付けコートから選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の不燃性蓄熱パネル。
- 前記潜熱蓄熱材が炭化水素化合物、及び/または脂肪族炭化水素化合物、及びまたはエステル化合物、及びまたはアルコール化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の不燃性蓄熱パネル。
- 前記不燃性パネルが水硬性材料により硬化せしめられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の不燃性蓄熱パネル。
- 前記水硬性材料がセメントまたは石膏であることを特徴とする請求項5記載の不燃性蓄熱パネル。
- 前記潜熱蓄熱材の融点が5℃以上、且つ50℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の不燃性蓄熱パネル。
- 前記不燃性蓄熱パネルにおける前記潜熱蓄熱材含有量が50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の不燃性蓄熱パネル。
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