JP2007195517A - 中通し竿及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】 竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成する。凸面部を、釣り糸受具10とその釣り糸受具10を竿素材に連結支持する支持部11とで構成する。支持部を、竿素材7の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグヤーン11Aにより形成するとともに、釣り糸受具10をプリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材10Aで構成してある。
【選択図】 図6
Description
このような事態は、高負荷を受けて釣り竿が大きな曲がりを生じた場合に、釣り糸が凸面部に強い擦れを生ずることとなる中間竿に形成された凸面部において起こり易い傾向がみられた。
本発明の目的は、上記した傾向を抑制し、凸面部の損傷と釣り糸の損傷を回避できる釣り竿を提供する点にある。
請求項1に係る発明の特徴構成は、前記竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成するとともに、前記凸面部を、釣り糸受具とその釣り糸受具を前記竿素材に連結支持する支持部とで構成し、前記支持部を、前記竿素材の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグにより形成するとともに、前記釣り糸受具を前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
凸面部として、前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある釣り糸受具を形成することによって、釣り糸がこの釣り糸受具に強く擦れを生ずることとなっても、大きな摩擦熱等の発生はなく、強化繊維が表出することもない。
しかも、釣り糸受具を支持する支持部がプリプレグ製であるところから、竿素材との密着性が良好であり、この支持部が凸面部の基端部に形成されているので、釣り糸が強く擦り付けられたとしても、凸面部が竿素材の内周面から剥がれることも少ない。
更に、凸面部が強化繊維を周方向に配置したプリプレグにより形成されているので、強化繊維が凸面部を横切ることは少なく、凸面部の保形性を強固なものにできる。
凸面部に、硬質でかつ滑動性に富む線材でなる釣り糸受具を形成したので、釣り竿が大きく曲がりを生じて、釣り糸が釣り糸受具に強く接触する状態が現出されても釣り糸受具が損傷を受け難く、釣り糸にも損傷を与えない。
しかも、釣り糸受具を単独で凸面部に形成するのではなく、この受具をプリプレグ製である支持部で支持する構成を採っているので、凸面部自体が竿素材から剥がれ難い効果がある。
つまり、撥水処理により、釣り糸が支持部や釣り糸受具と接触しても、水分が排除されているので、接着し難く釣り糸の摺動抵抗が大きくはならない。
つまり、凹凸形成用のテープを芯金の軸芯方向に所定間隔を置いて巻き付けることによって、その所定間隔部分に凸面部を形成するスペースを確保できる。そして、この所定間隔部分に釣り糸受具とプリプレグ製の支持部とを設けることができ、焼成後にこの凹凸形成用のテープを剥がすと、その剥がした部分が凹面部として残ると同時に釣り糸受具とプリプレグ製の支持部の部分が凸面部として残り、竿素材の内面に凹凸面部が形成される。
したがって、凹凸形成用のテープを間隔を置いて巻き付け、その間隔部分に釣り糸受具と支持部とを巻き付けるだけの簡単な製造方法を採っているので、コスト低減に寄与する。
しかも、凹凸形成用のテープ間に形成された前記所定間隔部分に釣り糸受具と支持部とを巻回する構成を採っているので、凹凸形成用のテープと支持部との表面が面一又はそれに近い状態にあることとなり、そのテープと支持部とに亘って竿素材を構成する第1層としてのプリプレグを巻回しても、そのプリプレグが前記所定間隔内に入り込むことが少ない。このことによって、第1層における引き揃え強化繊維が曲折することが少ない。
また、芯金に塗布したワックス等の離型材が凸面部に付着するので、脱芯後もワックスが残り、このワックスが撥水性を発揮すると同時に、凸面部とその凸面部に接触する釣り糸との間に位置して滑り剤としての役目を果し、釣り糸の摺動抵抗を一層低減する効果を発揮する。
つまり、焼成後に凹凸形成用テープを剥がす際により容易に行うことができ、凹凸面部が所期通りにでき、糸の摺動抵抗の増加を来たすことはないものである。
つまり、凹凸形成用のテープを芯金の軸芯方向に所定間隔を置いて巻付けるとともに、凸面部としての釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部を凹凸形成用テープの間隔内に配置することによって、焼成後に凹凸形成用テープを剥がすと、先端表面に凸面部としての釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部が残ることとなり、釣り糸を受ける機能を発揮させることができる。
そして、凹凸形成用テープの間に形成された所定間隔内に、釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部とでその所定間隔部分を埋めることとなる。このことによって、凹凸形成用テープと釣り糸受具とプリプレグヤーンでなる支持部との外面の段差が少なくなり、第1層及び第2層を巻回しても凹凸面部のない状態で巻付けることができる。したがって、軸芯方向に配置された強化繊維を配置すべき位置より蛇行させることがなく、強化繊維の機能を所期通り発揮させることができる。
また、凹凸形成用テープを巻回した状態でその外周面に施された第2離型テープに対して、更に、その上から離型材が施されているので、その離型材が凸面部に付着し、成形後もワックスが残り、このワックスが撥水性を発揮すると同時に、凸面部とその凸面部に接触する釣り糸との間に位置して滑り剤の役目を果し、釣り糸の摺動抵抗を一層低減する効果を発揮する。
中通し竿を製造工程に従って離型用テープ3,5を使用する場合について説明する。
図1(イ)に示すように、芯金1に離型材としてのワックス2を塗布するとともに、図1(ロ)に示すように、この上から第1離型テープとしてのポリエステルテープ3をそのテープ3の側面同士が接触する状態に密巻きにし、この状態から図1(ハ)に示すように、凹凸形成用のテープ4を芯金軸芯方向に所定間隔を持って螺旋状に巻回する。
図2(イ)に示すように、凹凸形成用テープ4の所定間隔が形成されている位置で、離型用のポリエステルテープ5の上から、釣り糸受具10を施す。
凹凸形成用テープ4は第2離型テープ5より厚みの厚いものであるので、図2(ハ)に示すように、凹凸形成用テープ4同士の間に形成された溝形状に沿って被覆されている第2離型テープ5の上からその溝部分に釣り糸受け具10を巻回していく。
釣り糸受具10は、プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む超合金線材10Aで構成する。ここに、超合金線材10Aとしては、INCONEL625等のNi―Cr合金を使用する。その他、使用可能であれば、チタニュウム、Ni基合金、Cr基合金等を使用できる。又は、タングステンボロン繊維、セラミック繊維などの硬質のものであればよい。
ドラム10Bから引き出した超合金線材10Aを、凹凸形成用テープ4、4の間に位置するように巻回していく。
ここに、プリプレグヤーン11Aとは、多数の強化繊維を引き揃えずに束状に纏めたものに、樹脂を含浸させて形成したものであり、強化繊維等としては、炭素繊維、ガラス繊維等を採用できる。
超合金線材10Aにプリプレグヤーン11Aを巻き付けたものを、釣り糸受具10を後記する竿素材7に連結支持する支持部11と称し、釣り糸受具10と支持部11によって後記する凸面部9Bを形成する。
次に、竿素材9を形成する方法として、第1実施例とは異なる点について説明する。図1及び図7に示すように、芯金1に対してワックス2を塗布した後、直接その上から凹凸形成用テープ4と超合金線材10A、及び、プリプレグヤーン11Aを芯金軸芯方向に所定間隔を持って巻回するとともに、その上から第1層7Aとしてのプリプレグテープをその側面同士が接触する状態に密巻きする。前記した場合の竿素材7の断面構造は図7に示すようになる。
これによって、第1実施形態において使用した離型用のポリエステルテープ3,5を必要とせず、製造工程等を簡素化できる。
(1) 第1実施形態においては、図4(ハ)に示すように、凹凸面部9A,9Bを螺旋状に形成したが、凸面部9Bがリング状になるように構成してもよい。この場合には、凹凸形成用テープ4を巻回していく場合には、テープ4を凹面部9A毎にリング状に巻付けて行くことが必要である。
このように周方向にリング状に凸面部9Bを形成することによって、凸面部9Bと周方向に配された炭素繊維とが同方向になるので、炭素繊維が凹凸面部の切り換わり点と交差することがないので曲げられることがなく、竿の曲げに対する強度を高く維持できる。
(2) 竿を形成するプリプレグに使用される樹脂としては、エポキシ等の熱硬化性樹脂以外に熱可塑性樹脂を使用できる。
(3) 保形用テープ8としては、熱収縮テープを使用してもよい。
(4) 離型材としては、ワックス以外にシリコン等を利用してもよい。
(5) 上記した竿素材7においては、糸を挿通する内部経路より水を外部に排出する為に、竿素材7に貫通孔を形成してもよい。
2 離型材
3,5 離型用テープ
4 凹凸形成用テープ
7 竿素材
7A 第1層
7B 第2層
7C 第3層
8 保形用テープ
9A,9B 凹凸面部
10 釣り糸受具
10A 超合金線材
11 支持部
11A プリプレグヤーン
Claims (5)
- 樹脂と強化繊維とからなる竿素材により構成される中通し竿であって、前記竿素材の内周面に、軸芯方向に所定間隔を持って周方向又は略周方向に沿った形状の凸面部を形成するとともに、前記凸面部を、釣り糸受具とその釣り糸受具を前記竿素材に連結支持する支持部とで構成し、前記支持部を、前記竿素材の内周表面と同様に、周方向に配置した強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグにより形成するとともに、前記釣り糸受具を前記プリプレグより硬質でかつ滑動性に富む線材で構成してある中通し竿。
- 前記支持部と前記釣り糸受具との表面に亘って、撥水処理を施してある請求項1記載の中通し竿。
- 芯金に撥水性を有する離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に、前記凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付け、更に、前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔部分に釣り糸受具を巻回するとともに、前記釣り糸受具の外面に、強化繊維を周方向に配置したプリプレグヤーンを巻回して支持部とするとともに、前記凹凸形成用テープと前記プリプレグヤーンとの上に樹脂と強化繊維とからなるプリプレグを巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面に前記釣り糸受具を表出形成する中通し竿の製造方法。
- 前記離型材と前記凹凸形成用テープとの間、及び、前記凹凸形成用テープと竿素材との間の少なくともいずれか一方に、離型用テープを巻回する請求項3記載の中通し竿の製造方法。
- 芯金に離型材を塗布するとともに、その離型材の外周面に第1離型テープを巻回し、竿素材の内周面に凹凸面部を形成する凹凸形成用テープを、前記芯金軸芯方向に所定間隔をおいて巻付けるとともに、前記巻回した凹凸形成用テープの上から第2離型テープを巻回し、前記第2離型テープの上から離型材を塗布するとともに前記凹凸形成用テープ同士における前記芯金軸芯方向所定間隔相当部分に釣り糸受具形成用の超合金線材を巻回し、前記釣り糸受具形成用の超合金線材の外周面に、周方向に配した強化繊維と樹脂とからなる前記釣り糸受具連結支持部用のプリプレグヤーンを巻回し、前記凹凸形成用テープと前記プリプレグヤーンとの上に、周方向に引き揃え配置した強化繊維と樹脂とからなるプリプレグテープを第1層として巻回し、その上に軸芯方向に強化繊維を配したプリプレグを第2層として巻回して竿素材を形成し、その竿素材の外周面に保形用テープを巻回し、その後焼成し脱芯した後に、前記保形用テープを剥離するとともに前記凹凸形成用テープを前記竿素材より剥離し、前記竿素材の内周面を凹凸面部に形成する中通し竿の製造方法。
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