JP2007187771A - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP2007187771A
JP2007187771A JP2006004390A JP2006004390A JP2007187771A JP 2007187771 A JP2007187771 A JP 2007187771A JP 2006004390 A JP2006004390 A JP 2006004390A JP 2006004390 A JP2006004390 A JP 2006004390A JP 2007187771 A JP2007187771 A JP 2007187771A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
forming apparatus
image forming
image
carrier
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006004390A
Other languages
English (en)
Inventor
Mayumi Yoshihara
真由美 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006004390A priority Critical patent/JP2007187771A/ja
Publication of JP2007187771A publication Critical patent/JP2007187771A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】長期にわたり優れた環境安定性と電気特性を維持し、特に、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像方式や接触帯電方式において、キャリア付着等によるリーク防止効果が得られ、かつ小型化に対応し得る画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供する。また、長期にわたり、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れた画像品質が得られ、かつ、潜像担持体への負荷を低減できると同時に、傷発生に起因する画質への影響を抑制できる画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有する画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等に広く適用できる画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等に応用されている潜像担持体を用いた電子写真方式とは、例えばコロナ放電等によって潜像担持体(以後、感光体ともいう)表面を暗所で帯電させ、次いで画像露光して潜像担持体上に静電潜像を形成し、現像部において、その静電潜像を現像剤にて可視化させ、その可視像を転写材へ転写、定着して画像を形成する。そして、転写後に潜像担持体上に残存した現像剤は、種々のクリーニング工程を経て潜像担持体上から除去され、再び潜像担持体上に静電潜像が形成されるというプロセスよりなるものである。
従来、電子写真方式に用いられる感光体の光導電体として、種々の無機及び有機光導電体が知られているが、一般に、有機の光導電体を用いた有機感光体はセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を持つため、現在では有機感光体が主流となっている。
近年、感光体の高耐久化に対する期待が高まる中、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性を備えていることは勿論、耐久性に優れ、高品質な画像を長期にわたって維持することが重要な技術課題となっている。更には、低温低湿から高温高湿に至る、いかなる環境においてもその特性が充分に発揮され、画像の欠陥が発生しない環境特性を有していることもまた重要な要素である。
有機感光体は、導電性支持体とその上に形成された有機感光層から構成される。その導電性支持体の形状は、シート状や円筒状等、用いられる電子写真装置の構成により選ばれるが、寸法精度や形状安定性はもとより、その製造方法により製造コストは異なってくる。
例えば、円筒状支持体の例を挙げると、押出・引き抜き加工を施すED管や、押し出し後に外表面にしごき加工を施すEI管、しぼり・しごき加工を施すことにより製作されるDI管等、各種のものが用いられており、いずれも表面切削を要しないために量産性に優れ、コストダウンが図れる。
しかしながら、このような押出しや引き抜き加工を経て製造された支持体には、その加工方向に数〜10μm程度の筋状の欠陥が無数に存在する。このような支持体上には均一な感光層が形成されず、凹凸部が電気的なリークまたは絶縁部となり、画像上に黒点や白点等の欠陥がみられるという問題があった。このような課題に対して、支持体表面の微小な凹凸部を機械的に除去する種々の方法が考案されている。
ダイヤモンドバイトを用いた旋盤により切削加工して振れを抑え、かつ外径精度を出す切削加工は、支持体表面の微小突起を完全に取り去る方法として有効ではあるが、表面を平滑にするためにバイトの送り量を少なくしなければならず、加工時間が長くなり、また高価なダイヤモンドバイトが必要であるために生産性が低く、低コストという要求に応えられない。さらには、例えば薄肉の支持体のように形状の寸法精度を悪化させるような素材に対して、高精度化の要求に応えるのは困難である。
また、別の手段として特許文献1(特開昭51−58954号公報)、特許文献2(特開平3−64762号公報)、特許文献3(特開2003−202691号公報)等に乾式および湿式(液体)で行なう処理方法が示されている。
湿式(液体)ホーニング処理は、水等の液体に粉末状の粒状研磨材(砥粒)を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、砥粒の量、濃度、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、砥粒をエアーにより、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング処理に用いる砥粒としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ、プラスチックショット等の粒子が挙げられる。
このように砥粒を処理すべき支持体表面に衝突させることによって粗面を形成するため、粗さのコントロールが難しい。さらには砥粒が支持体表面へ突き刺さり、残存してしまうために、円筒状支持体外内面を洗浄してこれらを除去する工程を経てたとしても、支持体表面の研磨剤を完全に除去することは困難である。そのような支持体上に直接感光層を形成した場合、支持体表面の汚れ、形状の不均一性はそのまま感光層の成膜ムラとなって現れ、反転現像系における白画像上の黒ポチ、正転現像系における黒画像上の白抜けが発生してしまう。
したがって、感光体を形成する場合、導電性支持体上に直接感光層を形成するよりも、支持体上の欠点の被覆、支持体の保護、感光層の塗布性の向上に加えて、感光層の電気的破壊の保護、感光層への電荷注入性改良等のために下引き層を設けることが有効である。感光体の繰り返し安定性や環境安定性に関しては、感光層のみならず下引き層に依存する部分が極めて大きい。
そこで、従来、感光体においては、導電性支持体と感光層との間に、導電性支持体からの電荷の注入を防止し、帯電性を安定させ、且つ、残留電位を蓄積しないことを目的として、下引き層と称される樹脂層が積層されている。
下引き層を形成する材料としては、特許文献4(特開昭47−6341号公報)および特許文献5(特開昭48−3544号公報)にはセルロース系樹脂が、特許文献6(特開昭48−47344号公報)および特許文献7(特開昭52−25638号公報)にはナイロン系樹脂が、特許文献8(特開昭49−69332号公報)および特許文献9(特開昭52−10138号公報)にはマレイン酸系樹脂が、そして特許文献10(特開昭58−105155号公報)にはポリビニルアルコール樹脂が、特許文献11(特開昭52−25638号公報)および特許文献12(特開昭58−95351号公報)にはポリアミド樹脂から形成される下引き層がそれぞれ開示されている。
しかし、これらは、有機樹脂中のイオン性不純物に起因すると考えられている環境変動の影響を受けやすく、高温高湿下や低温低湿下で特性劣化を生じ、特に低温低湿下では下引き層の抵抗が高くなることにより、残留電位の上昇を引き起こしていた。そこで、特許文献13(特公平04−31577号公報)等に、架橋性の樹脂を下引き層に用いた例が開示されているが、繰り返し使用の際に残留電位が上昇してしまうといった問題があり、電気特性の耐久性に関しては十分なものではなかった。
これを解消するものとして、特許文献14(特開昭58−93062号公報)、特許文献15(特開2001−51438号公報)、特許文献16(特開2004−70142号公報)、特許文献17(特開2004−70144号公報)には有機金属化合物と有機樹脂、特許文献18(特開昭61−94057号公報)には有機ジルコニウム化合物を含有する中間層、また、特許文献19(特開平2−189559号公報)にはジルコニウム化合物とシランカップリングの硬化膜、さらに、特許文献20(特開平3−73962号公報)には、その好ましい硬化度等が開示されている。これらに開示されているように、下引き層が無機系の硬化膜により形成されているため、高温高湿、低温低湿などの環境においても電気特性が安定し、抵抗値も残留電位を大幅に上昇させるものではない。しかしながら、これらの中間層を支持体上に形成した場合、特に有機金属化合物を主成分とした場合には、粘弾性の低さから、塗布、乾燥後の膜にクラックが発生しやすい。また、これを改善するために有機樹脂を含有する技術も、特に有機樹脂に特有の環境変動による電気特性の不安定さの問題が再発することになり、更には塗工ムラや、ゲル化等を防止するための樹脂の選択やその含有量の調整が不可欠であることを含めると上記の問題点を完全に解決するに至っていない。加えて、これらの技術は厚膜化が困難であるために、支持体表面に存在する微小な凹凸部の影響を受けやすい。そのために、例えば切削加工やホーニング処理が不可欠となり、製造コストが高くなってしまう。
これに対して、下引き層の厚膜化により、導電性支持体の欠陥を隠蔽し、かつ安定した電気特性を得る種々の検討が行われている。
例えば、導電性粒子である金属酸化物粒子を結着樹脂中に分散させたものがあり、特許文献21(特開2004−233563号公報)、特許文献22(特開2004−287027号公報)、特許文献23(特開2004−198814号公報)等に提案されている。また、特許文献24(特開2004−226751号公報)、特許文献25(特開2004−233678号公報)等に分散性を向上させるための技術が開示されている。しかしながら、一般に金属酸化物粒子は樹脂溶液中において凝集傾向が強いために、例えば、一次粒径が100nm以下の超微粒子のみで均一かつ安定性の高い分散液を得ることは困難であり、残留電位の上昇等、電気特性上の問題を引き起こす要因となる。
一方、この厚膜化は、小径ドラムのみならず、ドラム状感光体よりもフレキシブルにレイアウトでき、装置の小型化および耐久性の向上が期待できるベルト状感光体においても、種々の問題を抱えている。すなわち、平滑な表面を有する支持体を用いた場合、繰り返し使用によって、支持体との接着性が低下することに加え、特にベルト状感光体は画像形成時において、ベルト駆動ローラ等と当接する際に発生するローラ部の曲率による応力や駆動時・停止時のテンションによる応力等、ドラム状感光体よりも受ける機械的負荷が大きく、クラックが発生しやすくなる。
更に、帯電電位の低下等によって地汚れが発生する場合がある。地汚れとは、本来、画像を印字しない白地領域に無数の黒点が発生する現象であり、導電性支持体からの電荷注入が主な原因である。この地汚れを抑制するためには、下引き層を構成する導電性粒子の含有量を少なくする必要があるが、電気抵抗が高くなるために繰り返し使用による影響は著しく、残留電位の増加が画像品質を低下させてしまう。
以上のように、電荷注入を制御する機能と、導電性粒子の含有による抵抗調整機能とを下引き層1層に両有する方法では残留電位の上昇を防止し、地汚れ効果が良好で、さらに環境安定性に優れた下引き層は得られない。
これに対して、下引き層を積層化する技術が提案されている。
例えば、特許文献26(特開昭60−111255号公報)および特許文献27(特開昭60−97363号公報)等に提案されているように、アルミニウム等の導電性支持体上に導電性粒子を含有させた層を形成し、さらにこの導電性粒子を含有させた層上に、電荷注入を防止する機能を有する樹脂層を形成した2層構造の下引き層を有する方法が提案されている。この方法によると、導電性微粉末を含有させた層に導電性支持体層の表面の凹凸や汚れ等の欠陥の隠蔽とともに電気抵抗の調整機能を持たせ、その上に形成する樹脂層に電荷注入制御機能を持たせている。
また別の方法としては、特許文献28(特開平1−312553号公報)に提案されているように、アルミニウム等の導電性支持体上に陽極酸化皮膜を形成し、更にこの陽極酸化皮膜上に、電荷注入を防止する機能を有する樹脂層を形成するものがある。
陽極酸化被膜は、一般に5〜6μmの膜厚に形成され、この膜厚では支持体表面の欠陥部分全体が絶縁体化されることにより有効であることが知られているが、この方法は、電源設備投資や電気エネルギーが多く必要となること、陽極酸化膜は多孔質の膜であるために封孔処理を必要とすること、処理時間が長いこと、したがって、面処理費用が多大であるという問題があった。
しかしながら、これらの方法はいずれも電荷注入制御の機能を有機樹脂層に持たせているために、環境の影響による電気特性の不安定さに起因する画像劣化の問題は避けられない。
更に別の方法としては、特許文献29(特開2000−181113号公報)に提案されているように、導電性支持体上に偏平形状を有する導電性粒子としてグラファイトを含有させた層を形成し、この導電層の上に有機樹脂あるいは有機金属化合物等、公知の材料からなる電荷注入を制御する中間層を形成するものである。しかしながら、その粒径および形状に起因する課題は多く、特に過剰な凹凸が形成されやすいために支持体との接着性の低下や、その上に形成される中間層による被覆効果が低い場合には、感光層の成膜性へ多大な影響を与えてしまう。このような問題を発生させないためには、粒径や樹脂の選択等の高度な塗布液のコントロールが不可欠である。
静電潜像を現像する工程は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を利用して潜像担持体の静電潜像上に画像形成を行なうものである。
一般に広く使用されている磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を用いる現像方式は、現像剤磁気ブラシが感光体表面を摺擦しながら現像を行なう接触二成分現像方法と、現像剤磁気ブラシが感光体と接触しない非接触二成分現像方法に分類される。非接触二成分現像は感光体にキャリアが付着するいわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという長所もあるが、特に高精細画像が要求されるフルカラー複写機等では、優れた細線再現性と十分な画像濃度が得られる接触二成分系現像が好適に用いられる。
磁気ブラシ現像方式の現像装置において、現像剤担持体は、通常円筒状に形成されたスリーブ(現像スリーブ)からなると共に、スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ)をスリーブ内部に備えている。従って、キャリアが磁石ローラから生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちするとともに、この穂立ちしたキャリアに対して帯電トナーが付着する。そして、前記磁石ローラは、複数の磁極を備え、それぞれの磁極を形成する磁石が棒状などに形成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。また、前記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっている。このように構成されているので、現像領域に搬送された現像剤は前記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、磁気ブラシは潜像担持体に接触し、接触した磁気ブラシが潜像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、現像が行なわれる。
近年、高画質化の要求に対して、トナーの粒径を小さくして高画質化を実現しようという要求が高まっており、それに伴ってキャリアの小粒径化も必然となってきている。
小粒径キャリアの使用は、単位体積当りの表面積が広いため、個々のトナーに充分な摩擦帯電を与えることができ、低帯電量トナー、逆帯電トナーの発生が少なく、更に現像スリーブと感光体との間隙(現像ニップ)において形成される磁気ブラシの穂が緻密になり、感光体と十分な接触確率を得ることができるために画質向上の効果が期待できる。
しかしながら、硬度の高いキャリアによって形成されている剛直化した磁気ブラシが感光体に対して、速度差をもって摺擦するために感光体への負荷が増大したり、感光体との接触ムラが生じるために画像にザラツキ感を与え、階調性や中間調の再現が低下する等の画質への影響が懸念される。
また、キャリア粒径を小さくすることにより現像ローラの中の磁石によって生じる磁場から受ける磁気的拘束力の弱まりを生じ、さらに、高画質を達成するために、現像剤担持体から静電潜像側に交流電圧を印加する場合には、キャリア粒子が動きやすくなって粒子間の磁力を上回り、粒子が飛散してキャリア付着の問題を引き起こす。
一方、従来、画像形成装置において、潜像担持体を所要の極性・電位に帯電させる帯電装置としては、コロナ帯電器が一般的であった。コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、例えば、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を潜像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより、生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面を晒すことで潜像担持体面を所定に帯電させるものである。
これに対し、近年はコロナ帯電器に比べて低オゾンや低電力等の利点があることから、潜像担持体に電圧を印加した帯電部材を当接させて潜像担持体を帯電する接触方式の帯電装置(接触帯電装置)が実用化されてきている。
接触帯電装置は、潜像担持体に、ローラ型、ファーブラシ型、磁気ブラシ型又はブレード型等の導電性の帯電部材を接触させ、この帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して、潜像担持体を所定の極性・電位に帯電させるものであり、なかでもローラ帯電方式は帯電の安定性と言う点で好ましく、広く用いられている。
しかしながら、ローラが感光体表面に接触しているが故に、従来のコロナ放電による帯電プロセスを用いた装置では発生しなかった新たな画像欠陥という問題が発生するようになってきている。すなわち、感光体に局所的な劣化部が存在すると、接触帯電時に局所的な高電場が劣化部に加わって電気的なピンホールを生じ、これがリーク(絶縁破壊)を引き起こす。このピンホールリークは感光層の塗膜欠陥により発生する場合もあるが、それ以外にも上述したように感光体へのキャリア付着等、電子写真装置内から発生した導電性の異物が感光体中に接触又は感光体中に貫入して接触帯電装置と支持体との導電路を形成しやすくなっているために生じる場合もある。
したがって、残留電位の上昇を生じない安定した電気特性に加えてリーク防止性を有する下引き層が望まれている。
また、二成分現像方式で用いられるキャリアは、一般に芯材表面に被覆層を有する被膜キャリアと、芯材表面に被覆層を有しない非被膜キャリアとに大別されるが、耐久性等を考慮した場合には、被膜キャリアの方が優れていることから、種々の被膜キャリアが開発され、かつ実用化されている。
被膜キャリアには、トナーに適切かつ安定した帯電性(電荷量や電荷分布)を長期にわたって付与し、かつ耐衝撃性、耐摩擦性が高く、帯電性付与能等が長期にわたって変化しない等の緒特性が要求され、種々の検討が、特許文献30(特許第2872982号公報)、特許文献31(特開平08−262806号公報)等に提案されている。
近年、高画質化への要求が高まるにつれ、トナーが小粒径化する傾向にあり、キャリア表面にトナー組成物が固着するキャリア汚染(スペント)が生じ易くなっている。特に、トナーにワックスを含有させてメンテナンスを容易にした現像剤を使用する場合には、キャリアスペントの進行は著しく、所望の帯電性が得られなくなる。
また、現像剤中のキャリアは現像装置内でトナーとの摩擦、スリーブやブレードなどの摺擦部材、規制部材やスクリュー、パドルなどの攪拌搬送部材により機械的な摩擦や衝撃を繰り返し受けている。このような環境のもとでキャリアを長期的に使用すると、キャリア表面の被膜が摩耗により失われて、所望の帯電性が得られなくなると同時に、スペントの防止機能が働かなくなり、キャリアスペント防止と安定した帯電性付与能の維持を両立させることは困難であった。
したがって、現像剤の長寿命化のためには、スペントの影響を受けないキャリア構造、並びに耐衝撃性や耐摩耗性にも優れた、耐久性の高い材料が求められている。
特開昭51−58954号公報 特開平3−64762号公報 特開2003−202691号公報 特開昭47−6341号公報 特開昭48−3544号公報 特開昭48−47344号公報 特開昭52−25638号公報 特開昭49−69332号公報 特開昭52−10138号公報 特開昭58−105155号公報 特開昭52−25638号公報 特開昭58−95351号公報 特公平04−31577号公報 特開昭58−93062号公報 特開2001−51438号公報 特開2004−70142号公報 特開2004−70144号公報 特開昭61−94057号公報 特開平2−189559号公報 特開平3−73962号公報 特開2004−233563号公報 特開2004−287027号公報 特開2004−198814号公報 特開2004−226751号公報 特開2004−233678号公報 特開昭60−111255号公報 特開昭60−97363号公報 特開平1−312553号公報 特開2000−181113号公報 特許第2872982号公報 特開平08−262806号公報
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものである。
本発明の第一の目的は、長期にわたり優れた環境安定性と電気特性を維持し、特に、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像方式や接触帯電方式において、キャリア付着等によるリーク防止効果が得られ、かつ小型化に対応し得る画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、長期にわたり、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れた画像品質が得られ、かつ、潜像担持体への負荷を低減できると同時に、傷発生に起因する画質への影響を抑制できる画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するべく検討を重ねた結果、以下の構成をもって、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)「潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置」
(2)「前記金属酸化物が酸化チタンであり、かつ一方の酸化チタン(T)の平均粒径を(D)、他方の酸化チタン(T)の平均粒径を(D)とした場合、0.2<D/D≦0.5の関係を満たすことを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置」
(3)「前記酸化チタン(T)の平均粒径(D)が0.05μm<D<0.20μmであり、かつ(T)と(T)との重量混合比率が、0.2≦T/(T+T)≦0.8であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の画像形成装置」
(4)「前記中間層が下記一般式(1)で示される有機金属化合物から生成される重合物を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の画像形成装置;
Figure 2007187771
(式中、XはZr、Tiを表わし、Rはアルキル基(炭素数1〜100)を表わし、R’は、有機基を表わし、mおよびnは、それぞれ0以上であり、m+n=4である。)」
(5)「前記中間層が有機金属化合物とシランカップリング剤とを含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の画像形成装置」
(6)「前記中間層の膜厚が0.05〜0.5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の画像形成装置」
(7)「前記下引き層の膜厚が3〜15μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の画像形成装置」
(8)「前記導電性支持体の表面粗さが十点平均粗さRzにおいて0.05〜1.0μmであり、かつ最大高さRyにおいて0.5〜1.5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の画像形成装置」
(9)「前記導電性支持体がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる無切削管であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の画像形成装置」
(10)「前記導電性支持体が直径30mm以下の導電性円筒状支持体であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の画像形成装置」
(11)「前記導電性支持体がエンドレスベルトであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の画像形成装置」
(12)「前記弾性を有する表面を備えた磁性キャリアが、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とからなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の画像形成装置」
(13)「前記樹脂層がユニバーサル硬さ試験における弾性変形率ηHUが30%以上、70%以下であることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(14)「前記樹脂層がユニバーサル硬さHUが150N/mm以上、400N/mm以下であることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(15)「前記キャリアの重量平均粒径Dwが20〜80μmであることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(16)「前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なうことを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れかに記載の画像形成装置」
(17)「少なくとも前記第(1)項乃至第(16)項の何れかに記載の画像形成装置本体に対して着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、少なくとも潜像担持体、帯電手段、現像手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ」
(18)「前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする前記第(17)項に記載のプロセスカートリッジ」
本発明によれば、特定の潜像担持体と、特定の二成分現像剤とを選択・組み合わせることにより、耐久性に優れ、環境安定性に優れ、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れ、小型化に対応し得る画像形成装置を低コストで提供できる。
つまり、本発明によれば、主に特定の下引き層および中間層を有する潜像担持体を使用することにより、成膜性、密着性が良好で、環境安定性に優れた小型化に対応し得る画像形成装置を低コストで提供でき、また、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像方式や接触帯電方式において、キャリア付着等によるリーク防止効果が得られる画像形成装置を提供でき、更に、主に弾性を有する表面を備えた小粒径キャリアを用いることにより、耐衝撃性、耐摩耗性に優れ、トナー組成物のスペントによる帯電変動がなく、長期に渡り安定した帯電付与能力を維持し、かつ、潜像担持体への負荷を低減でき、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れた画像形成装置を得ることができたものと思われる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
説明の都合上、本発明における最良の形態の例を、主に積層型感光体について説明するが、本発明は積層型感光体に限定されるものではない。
本発明の画像形成装置に用いられる潜像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等)を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とするものである。
以下、本発明に用いられる潜像担持体を図面に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明において用いられる電子写真感光体の一例を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層(26)が順次形成されているものである。
図2は、別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(24)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(25)が順次形成されているものである。
図3は、更に別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(24)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(25)が順次形成されているおり、更にその上に保護層(27)が形成されているものである。
本発明に用いられる潜像担持体の構成は、導電性支持体上に、少なくとも平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層、有機金属化合物を主成分として含有する中間層、および感光層が順次形成されていれば、上記に示す層等が任意に組み合わされていても構わない。
<導電性支持体>
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。アルミ素管についてはJIS3003系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金を、EI法、ED法、DI法、II法など一般的な方法により管状に成形を行なったもの、さらにはダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等を行なったものを用いることができる。
また、フレキシブルにレイアウトできることから装置の小型化が図れるエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等を導電性支持体(21)として有効に用いることができる。
前述したように導電性支持体のコストダウンのために無切削アルミニウム管が用いられることがある。このための無切削アルミニウム管としては、特開平3−192265号公報に記載されているように、アルミニウム円板を深絞り加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたDI管、アルミニウム円板をインパクト加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたII管、アルミニウム押出管の外表面をしごき加工によって仕上げたEI管、押出加工後冷間引抜き加工したED管が知られている。その表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が0.05〜1.0μm、かつ最大高さ(Ry)が0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましい。これらの無切削アルミニウム管は、モアレ等の異常画像が発生しやすいものであるが、本発明に用いられる感光体構成によれば、後記する実施例からも明らかなように、無切削アルミニウム管を使用してもモアレ等の異常画像が発生せず、低コストでかつ長期にわたって高品位の画像を維持できる。
この他、さらに近年ではプラスチックを加工した支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(21)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、2−ブタノン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(21)として良好に用いることができる。
<下引き層>
本発明に用いられる感光体おいて、下引き層(22)は、導電性支持体(21)と中間層(22)との間に設けられる、少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する層である。
本発明の下引き層(23)に含有される金属酸化物としては、可視光および近赤外光に殆ど吸収のない、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルムニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化インジウム等が望ましく、支持体表面の欠陥部の被覆、モアレ画像の防止、感光層のキャリア注入性の改良等を目的としている。中でも、酸化チタンは、適当な導電性を有しており、導電性キャリアを電子とするN型半導性粒子であるため、支持体からの正孔注入を効率的にブロックする。更に、他の金属酸化物に比べて屈折率が高く、下引き層に用いた際に光の透過率が低くなるため、画質低下への影響が少ない。
本発明で用いられる酸化チタンは、通常工業生産に使用されているような製法に準じて得られるものを用いることができる。鉱石を硫酸と反応させ硫酸塩溶液を作り、溶液の清澄、加水分解による含水酸化チタンの沈殿、含水酸化チタンの洗浄、焼成、粉砕・表面処理する工程よりなる硫酸法をはじめとして、塩素法、弗酸法、塩化チタンカリウム法、四塩化チタン水溶液法等の製法に準じて得られるが、中でも高純度の酸化チタンを得るには塩素法の方が好ましい。塩素法は原料のチタンスラグを塩素により塩素化し四塩化チタンとし、これを分離・凝縮・精製後酸化し、生成した酸化チタンを粉砕・分級、必要に応じ表面処理し、濾過・洗浄・乾燥後、粉砕することで酸化チタンを製造する製造法である。
酸化チタンは、結晶構造の違いによりルチル形とアナタース形とを有し、この結晶形により比重、屈折率、硬度等の物性が異なる。本実施形態においてはルチル形を用いているが、アナタース形を用いてもよいし、両者を併用してもよい。
一般に、金属酸化物には、NaO、KO等の吸湿性物質およびイオン性物質等の不純物が含有されており、この純度低下が電子写真特性に影響する場合があることから、本発明に用いられる金属酸化物としては、純度95%以上のものが望ましい。
さらに、酸化チタン粒子としては、分散性向上等の諸特性を改善するために、含水アルミナ処理や、含水二酸化ケイ素系処理または酸化亜鉛処理等による表面被覆処理を施したもの等を適宜用いることができ、また均一な表面処理を行なうために、酸化チタン粒子の表面に複数回の表面処理を施すことも有効である。
また、適切な比抵抗を得るために、必要に応じて酸化錫等を用いて導電性被覆層を設けたものを用いることも有効である。
本発明において、下引き層(22)を形成する特定の粒径を有する2種の酸化チタンの粒径比および/またはその混合比が非常に重要な因子となる理由について次のように考えている。
本発明のように、特定範囲の粒径を有する酸化チタンを特定の比率で含有することにより、塗布液の分散安定性が良好で、かつ塗布液の粘度調整を容易に行なえるために、均一な塗膜形成が可能となり、耐リークを向上させ、繰り返し使用による残留電位上昇が引き起こす画像劣化を抑制できる。
この2種の酸化チタンの粒径比(D/D)が、1/5<D/D≦1/2の範囲を超えた場合、及び/又は、チタン(T)の平均粒径(D)が0.05μm<D<0.20μm、かつ重量混合比率が、0.2≦T/(T+T)≦0.8の範囲を超えた場合、すなわち、微粒子から構成される下引き層では、モアレ画像防止の効果は低く、また、塗工液中での大粒径の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすくなるために、分散性が悪化する。
なお、本発明における平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)を用いて測定し、粒度分布を得るとともに、装置保有の解析モードにより得た。
粒度分布測定用の測定液は、水100ミリリットル中に酸化チタン10g、分散剤を添加し、pHを10.5に調整後、ジルコニアビーズ(φ0.5mm)を200g投入し、ペイントシェーカーにて2時間分散を行い、得られた酸化チタン分散液数滴をpH10.5に調整した水300ミリリットル中に滴下後、さらに超音波分散を1分行なって調整した。
一方、下引き層(22)に要求される機能の一つとして接着性が挙げられる。一般に、支持体(21)と感光層(26)、あるいは支持体(21)と中間層(23)との接着機能を、主に結着樹脂に持たせている。このために、支持体(21)として小径ドラムやエンドレスベルトを用いた場合の下引き層(22)は、接着性向上を目的とする樹脂含有量の増大による残留電位の上昇を引き起こさない電気特性と機械的負荷に対する耐久性を両立することが不可欠である。特に、本発明の下引き層は、ドラム状感光体よりもフレキシブルにレイアウトできるベルト状感光体において、極めて有効である。画像形成時に受ける転写、クリーニング手段等の負荷に加え、ベルト駆動ローラ等と当接する際に発生するローラ部の曲率による応力や駆動時・停止時のテンションによる応力等の機械的負荷に対しても、剥離やクラックの発生を抑制できる。
このように、本発明の下引き層(22)の構成により、従来の技術では成し得なかった接着性の低下、あるいはクラック等発生の課題解決に至った理由については、結着樹脂と特定の粒径を有し、特定の重量混合比率で含有されている小粒径の酸化チタン粒子(T)が結着樹脂とともにその機能を担うために、残留電位の上昇を引き起こす結着樹脂の含有量を増加させることなく、支持体表面の微小な凹凸部の間隙を埋めて、密着性を著しく向上させているものと考えられる。
また、本発明のように、特定の粒径を有する2種の酸化チタンを特定の比率で含有することにより、従来の下引き層中に形成されていた空間が、酸化チタンと結着樹脂によって充填され、緻密な膜形成が可能となると同時に、結着樹脂との接触面積が増大するために、局所的に高電場が印加された場合に発生するピンホールリークを防止できる。
この下引き層(22)を構成する結着樹脂としては、硬化性樹脂が有効に用いられ、熱硬化性樹脂が特に有効に用いられる。前述したように樹脂の電気特性は、温湿度の影響を著しく受けるものであるため、黒点欠陥等の画像欠陥の発生を抑制するための手段が必要である。本発明では、硬化性樹脂を用いることによって三次元網目構造が形成され、この構造が塗膜内部への水分子等の取り込みを防止し、かつ成膜性が改善された状態の下引き層を得ることができるために、高温高湿下における抵抗の急激な低下がなくなる。
この効果は、前述した特定の粒径および混合比で含有されている金属酸化物と組み合わせることによってさらに向上し、構造的に緻密でかつ吸湿性の低い下引き層を得ることができる。
硬化性樹脂のうち熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基を有するため、適当な硬化剤を含有させることによって、架橋、硬化させることができる。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノール樹脂等、公知の硬化剤を用いることができる。
また、紫外線硬化樹脂または電子線硬化樹脂としては、紫外線照射または電子線照射によって重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーであれば、その種類は特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリアクリレート樹脂、ポリエステルポリメタクリレート樹脂、エポキシポリアクリレート樹脂、エポキシポリメタクリレート樹脂、ウレタンポリアクリレート樹脂、ウレタンポリメタクリレート樹脂、アクリルポリアクリレート樹脂、アクリルポリメタクリレート樹脂等、公知の種々のものが使用できる。
また、紫外線硬化させる場合、一般に光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、例えば、紫外線硬化樹脂用として通常用いられる公知の光重合開始剤を用いることができる。また、光重合開始剤を配合しない場合は、一般に電子線の照射により架橋させることができるので、電子線硬化樹脂として用いることができる。
本発明には、電気抵抗や金属酸化物の分散性の面から、アルキッド−メラミン樹脂またはフェノール樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂の市販品であっても特に制限なく使用することができ、単独、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルキッド樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「ベッコゾール」シリーズ、「スーパーベッコゾール」シリーズなどが挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のブチル化メラミン樹脂である「スーパーベッカミン」シリーズ、三井サイテック社製の「サイメル」シリーズ、住友化学社製の「スミマール」シリーズ、三和ケミカル社製の「ニカラック」シリーズなどが挙げられる。
フェノール樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「プライオーフェン」シリーズが挙げられる。
また、下引き層(22)は、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物を含有するものであるが、電気特性上、適当な抵抗値を有していることが必要である。金属酸化物の抵抗が適切でないと、支持体(21)からの電荷注入が促進され、画像欠陥を引き起こすため、10〜1011Ω・cmの範囲の比抵抗を有するものを好適に用いることができる。
本発明の下引き層(22)を構成する金属酸化物と結着樹脂との重量比(金属酸化物/結着樹脂)は、3/1〜8/1であることが好ましい。3/1未満であると、下引き層中のキャリア輸送性能が低下するために残留電位の蓄積が生じたり、光応答性が低下するようになる。一方、8/1を超えると、下引き層中の空隙が増大し、下引き層上に中間層を形成した場合に気泡が生じるようになる。
下引き層(22)の形成の際には、本発明の金属酸化物および結着樹脂と、必要に応じてその他の添加剤を適当な溶剤に混合・分散させた下引き層用塗工液が用いられる。溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、エチルセロソルブ、メチルセルソルブ等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
下引き層用塗工液中に、金属酸化物を分散させる方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、超音波分散機等による方法が挙げられる。また、浸漬塗工法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法等が挙げられる。
下引き層の塗膜の熱硬化は、下引き層塗布後直ちに行ってもよいが、下引き層上の中間層(23)を形成する際の過熱によって行ってもよい。
乾燥温度は、10℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で5分〜5時間、好ましくは10分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。
下引き層の膜厚は、1μm以上が好ましく、更に好ましくは、3〜10μm程度が適当である。
下引き層の膜厚は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて行なった。
<中間層>
本発明に用いられる感光体おいて、中間層(23)は、下引き層(22)と感光層(26)との間に設けられる、有機金属化合物を主成分として含有する層である。
一般的な有機感光体に用いられる感光層(26)は、その多くが低分子化合物として開発されており、低分子化合物は単独で成膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。例えば、機能分離型積層感光体の場合、このような低分子電荷輸送物質と不活性高分子から構成される電荷輸送層は、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合に、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な感光体表面への負荷による摩耗のために、膜厚減少を引き起こす。また、帯電部材を感光体に接触させて感光体表面を帯電させる接触帯電装置は、電源の低圧化が図れ、オゾン発生量が少ない等の長所を有する反面、従来用いられてきたコロナ帯電器よりも、摩耗を促進させる。この膜厚減少は、電界強度の上昇を招き、下引き層が導電性支持体からの電荷注入を十分にブロックすることができないために、本来、画像を印字しない白地領域に無数の黒点が発生する現象、すなわち地汚れの発生を誘発させ、画像品質は著しくする。
したがって、支持体(21)からの電荷注入によって発生する地汚れを抑制し、さらに環境変動による影響のない、安定した電子写真特性を長期わたって維持するためには、下引き層(22)と感光層(26)との間に中間層(23)を設けることが極めて有効な手段である。さらに、この技術によって、適当な導電性を下引き層(22)に持たせることができるために厚膜化が可能となり、特に接触帯電手段を有する画像形成装置に用いた場合に発生しやすい感光体表面へのキャリア付着等に起因するリーク防止効果が向上する。
本発明に用いられる感光体は、特定の粒径および混合比で含有されている粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂から構成される下引き層(22)上に、有機金属化合物を主成分とする中間層(23)が形成されるものであり、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)の形成にあたり、特に下引き層(22)の構成が非常に重要な因子となる。
一般に、有機金属化合物からなる中間層(23)は、その粘弾性の低さ故にクラック等が発生してしまい、その成膜性に致命的な欠点を有するものであったが、本発明の下引き層(22)との組み合わせにより、成膜不良による画像欠陥の課題を解決でき、更にはこの無機系の硬化膜特有の優れた環境安定性を十分に発揮し得るものである。
このように、従来、有機金属化合物を含有する中間層(23)が抱えていた成膜性の課題を解決するために、本発明の構成が極めて有効である理由について次のように考えている。
一般に、有機金属化合物を主成分とした場合、成膜時の体積収縮が大きいため、クラック発生の問題が懸念されていた。これは、モアレ画像の防止や支持体表面の欠陥部の被覆を目的として施される切削加工やホーニング処理等の表面処理により、または中間層との接着性やモアレ画像防止を目的に含有された下引き層中の導電性粒子等により、凹凸部が存在することは不可避であるが、これがクラック等の発生を誘発する過剰な表面物性を有することに起因するものと考えられる。これに対し、本発明の下引き層(22)の構成は、特定の粒径および混合比でもって含有されている金属酸化物と硬化性樹脂が、下引き層(22)の適切な充填化を実現し、かつその表面特性が中間層(23)の成膜時における体積収縮の局所的な応力集中を緩和している。すなわち、本発明の下引き層自身が、有機金属化合物を主成分とする中間層(23)との間に生じる歪みを吸収する緩衝層としての機能をも担っているために、クラックや細孔の発生を抑制できるものと考えられる。したがって、本発明の中間層(23)の成膜性を飛躍的に高めることができる。
以上のように、本発明の下引き層(22)の構成は、環境条件によって変動する特性が画質に悪影響を与え、更にはゲル化等の問題を引き起こすために塗工液のコントロールを困難にしていた有機樹脂を含有することなく、従来の技術では成し得なかった良好な成膜性および電気特性の両立を可能にする。
また、適当な導電性を有する厚膜の下引き層(22)が、支持体欠陥部の被覆、モアレ防止およびピンホール防止機能を有し、下引き層(22)とその上に形成される薄膜の中間層(23)がともに、残留電位の蓄積を引き起こすことなく、地汚れの原因となる支持体(21)からの電荷注入を防止する機能を有する。したがって、像露光によって感光層で発生した電荷のうち、支持体側へ流出されるべき電荷が下引き層(22)および中間層(23)にトラップされることなく、電荷の流れが円滑に行なわれるために、露光部と非露光部との電気特性の差により発生するゴースト画像の発生を抑制することができる。
本発明に用いられる中間層(23)としては、下記一般式(1)で示される有機金属化合物が挙げられる。
Figure 2007187771

(式中、XはZr、Tiを表わし、Rはアルキル基(炭素数1〜100)を表わし、R’は、有機基を表わし、mおよびnは、それぞれ0以上であり、m+n=4である。)
一般式(1)中のR’で表わされる有機基としては、アセチルアセトン、2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、酢酸、サリチル酸、リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸類、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸エチルなどのヒドロキシカルボン酸エステル類、ジエチレングリコール、オクタンジオール、ヘキサンジオールなどのグリコール類、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトアルコール類から水素や水酸基が一部抜け、ジルコニウムと結合したものが好ましい特性を与える。
本発明に用いられる有機金属化合物としては、以下のような公知の材料が使用できる。
ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムトリn−ブトキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、ジルコニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、ジルコニウムラクテート、メタクリレートジルコニウムブトキサイド、ステアリレートジルコニウムブトキサイド、イソステアレートジルコニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものでなく、これらを単独もしくは2種以上組み合わせて用いてもよい。
チタニウム化合物の例としては、チタニウムトリn−ブトキサイドペンタンジオネート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、チタニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−ヘプタンジオネート)、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、チタニウムラクテート、メタクリレートチタニウムブトキサイド、ステアリレートチタニウムブトキサイド、イソステアレートチタニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものでなく、これらを単独もしくは2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、中間層(23)の形成には、上記金属有機化合物の外にも、シランカップリング剤を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、シランカップリング剤を使用する場合、有機金属化合物とシランカップリング剤との混合割合は、必要に応じて適宜設定することができるが、電子写真特性上、塗膜形成後の体積抵抗率が1010〜1013Ω・cmになるように混合比を設定するのが好ましい。中間層(23)のバルク抵抗は、通常の方法で測定される。例えば、電極上に中間層を形成し後、対向電極を蒸着法などにより形成し、サンドイッチセルのようなサンプルを形成する。これを用い、暗状態において、電圧−電流特性を評価することにより、バルク抵抗が測定できる。この際、対向電極として、導電性ゴムや金属箔を圧着して測定することも可能である。
中間層(23)は、有機金属化合物を主成分とする、例えばジルコニウム化合物とシランカップリング剤を含有する中間層用塗工液を下引き層上に塗布することによって、ジルコニウム化合物とシランカップリング剤とが反応し、環境変動による影響を受けない電気特性的に安定した無機の硬化膜を形成する。
また、中間層(23)は、所望により、他に少量(通常、有機金属化合物100重量部当り0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部)の結合剤樹脂を含んでいても良いが、本発明の環境安定性に優れ、さらに高画質化および小型化を実現し得る画像形成装置においては、環境安定性、塗膜均一性、相溶性、液保存性の観点から添加しない方が好ましい。本発明において有機金属化合物を主成分とするとはこのような意味である。
中間層(23)の形成の際には、本発明の有機金属化合物を適当な溶剤に混合した中間層用塗工液が用いられる。この中間層用塗工液に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶剤が上げられ、これらは単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
中間層(23)を形成する塗工法としては、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工等が挙げられ、乾燥温度は10℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で5分〜6時間、好ましくは10分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。なお、中間層(23)の塗膜の熱硬化は、中間層塗布後直ちに行なってもよいが、下引き層(22)あるいは中間層上の感光層(26)(積層構成の場合には、電荷発生層(24))を形成する際の過熱によって行ってもよい。
中間層(23)の膜厚は、残留電位の上昇や感度低下を引き起こすことなく、電気的なブロッッキング機能を有する3μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05〜0.5μm程度が適当である。
本発明において、有機金属化合物を主成分とする中間層(23)が、膜中にクラックや細孔等を発生させることなく形成できるのは、下引き層(22)に異なる粒径の酸化チタンと硬化性樹脂から構成される下引き層(23)が応力の局部集中を緩和する緩衝層としての機能を有するためと考えられる。したがって、本発明の中間層(23)は、薄膜であっても、電子写真特性上の問題を生じることなく、従来の有機樹脂成分を含有する中間層が有していた塗布液のゲル化や感度低下、更に繰り返し使用において残留電位の上昇を引き起こすといった課題を解決できる。
<感光層>
次に、感光層(26)について説明する。本発明における感光層(26)は積層構成でも単層構成でもよいが、ここでは、説明の都合上、まず、積層構成について述べる。
はじめに電荷発生層(24)について説明する。
電荷発生層(24)は、画像露光により潜像電荷を発生分離させることを目的とし、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファスセレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコン等が挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系染料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(24)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
また、電荷発生層(24)のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いることができる。
高分子電荷輸送物質として、以下のような公知の材料が使用できる。
たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開平8−269183号公報、特開平9−151248号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号、特開平9−328539号公報、特開平9−272735号公報、特開平9−241369号公報、特開平11−29634号公報、特開平11−5836号公報、特開平11−71453号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開2000−38442号公報に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、電荷発生層(24)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
電荷発生層(24)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
電荷発生層(24)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とに大別できる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂とともに、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶剤を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層(24)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層(25)について説明する。
電荷輸送層(25)は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層(24)で発生した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的と達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(24)上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(24)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質を用いることができる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、単独でも2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。
また、電荷輸送層(25)には、結着樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(24)で記載したような公知の材料を用いることができるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
電荷輸送層(25)には必要に応じて、レベリング剤や可塑剤等を添加することが可能である。
併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
また、併用できる可塑剤としては、例えばハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等やポリエステル等の重合体および共重合体などが挙げられ、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶剤の使用は望ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、およびそれらの誘導体が良好に用いられる。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。塗工の際に、塗工液が下層の感光層を溶解してしまうような場合は、下層と塗工液の接触時間、下層と塗工液中の溶媒との接触量を制御し易い、スプレー塗工法、リングコート法などを用いるのが良い。
電荷輸送層(25)の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
更に、電荷輸送層(25)が感光体の最表層となる場合、無機および/または有機粒子を含有させることも有効である。
一般に、有機感光体は、耐久性が低いことが大きな欠点となっている。
感光体表面の摩耗や傷などの機械的負荷に対する耐久性と繰り返し使用による残留電位の蓄積や帯電性低下などの静電特性上の耐久性に大別されるが、機械的耐久性に劣ることも感光体の寿命を決定する要因となっている。また、これらの耐久性以外に、感光体表層は、コロナ帯電時に生ずるオゾンによって生成する低抵抗物質の付着、あるいはトナーのクリーニング不良によるフィルミング、融着といった画像劣化を引き起こす要因を持っている。そのため、機械的耐久性とともに感光体寿命を左右する感光体表面への各種付着物に対する離型性も求められる。
これらの要求を満たすために、感光体の最表層への無機および/または有機粒子の含有はきわめて有効である。無機粒子材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられ、有機粒子材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。また、これらの材料の他に、公知の材料の使用も可能であり、上述した無機および/または有機粒子は単独もしくは2種類以上を混合して用いることも可能である。
更にこれらの粒子は、分散性向上、表面性改質等の理由から少なくとも1種の無機物、有機物で表面処理させることが好ましい。
粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、上述した粒子の絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理が粒子分散性において好ましい。シランカップリング剤による処理は、やや抵抗が下がるものの、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いる粒子の平均一次粒径によって異なるが、3〜30重量%が適しており、5〜20重量%がより好ましい。
分散溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用される。分散手段としてはボールミル、サンドミル、振動ミルなど公知の分散手段が使用可能である。
電荷輸送層(25)が最表層の場合、無機および/または有機粒子の含有量は全固形分に対して0.1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜30重量%である。含有量が0.1重量%未満であると、耐摩耗性の点で好ましくない。また、40重量%を超えると膜の不透明化による解像度の低下、感度低下による画像濃度低下など画像劣化が発生する。また、粒子の体積平均粒径は0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmに粉砕、分散するのが好ましい。粒径が0.05μmより小さいと均一な分散が行ないにくく、粒径が1.0μmより大きいと粒子が感光体表面に頭出し、クリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生する場合がある。
次に、感光層(26)が単層構成の場合について述べる。
これまで、感光層が積層の場合について述べたが、本発明においては、感光層(26)が単層構成でも構わない。単層構成の感光層(26)は、前述した電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを中間層(23)上に塗布、乾燥することにより形成できる。結着樹脂としては、電荷発生層(24)や電荷輸送層(25)の説明で挙げた材料を用いることができる。さらに、前述した高分子電荷輸送物質も結着樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、良好に使用される。
また、先の電荷輸送層(25)の説明に記載した無機、有機粒子も良好に使用できる。
感光層(26)は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。
また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。
感光層(26)の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
本発明の感光体には、感光層保護の目的で、保護層(27)が感光層(26)(積層構成の場合には、電荷輸送層(25))の上に設けられることもある。
これに使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン/ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層(27)にはその他、耐摩耗性を向上する目的で、電荷輸送層(25)の説明に記載した無機および/または有機粒子を添加することもできる。保護層(27)の形成法としては、通常の塗布法が採用される。なお、保護層(27)の厚さは、0.5〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作製法にて形成したi−C、a−SiCなど公知の材料も保護層として用いることができる。また、必要により、前述の電荷輸送物質、酸化防止剤、可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよく、公知の酸化防止剤をすべて使用することが可能である。
また、2種以上の酸化防止剤を混合して添加することにより効果が顕著に高まることがあり、有効である。本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0〜10重量%である。
次に、本発明に用いられる現像剤について説明する。
本発明は、潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと弾性を有する表面を備えた磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該弾性を有する表面を備えた磁性キャリアは、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とから構成される。
この二成分現像方式では、トナーとキャリアとを混合して、両者を相互に摩擦帯電させ、トナーに適当量の正または負の電荷を付与している。
二成分現像剤方式の現像装置では、通常、感光体に相対するように配設された現像ローラを備える。現像ローラは、表面に磁極が形成された磁性ローラであり、感光体との間に一定の間隙(現像ニップ)が形成されるように配設され、この現像ローラの表面には、二成分現像剤中の磁性キャリア粒子が磁力線に沿って穂立ちして磁気ブラシを形成する。そして現像ローラが回転すると、表面の磁気ブラシが感光体の表面を摺擦し、磁気ブラシに付着していたトナーが感光体に付着して潜像が現像される。
本発明のキャリアは、芯材粒子表面を被覆する樹脂層がユニバーサル硬さ試験における弾性変形率ηHUが30%以上であることが好ましく、本発明において「キャリアが弾性を有する」は、このような意味である。弾性変形率ηHUが30%以上、70%以下であることがより好ましい。また、芯材粒子表面を被覆する樹脂層のユニバーサル硬さHUが150N/mm以上であり、更にHUが170N/mm以上、300N/mm以下であることが好ましい。
トナー粒子に十分な電荷量を付与するため、トナー粒子とキャリア粒子は、攪拌・摩擦時に、その接触部分で局所的に大きな圧力がかかり、このことがトナー組成物をキャリア表面に固着させ、また、キャリア被覆層を摩耗、剥離させる大きな要因であった。これまでのキャリア粒子は、より硬く、変形しにくい構造および組成ものを採用することにより、機械的耐久性を向上させようとする傾向にあったが、本発明では、耐衝撃性、耐摩耗性に加え、更に適正な柔軟性、硬度を有するキャリア粒子を用いるものである。本発明のキャリア粒子は、摩擦時にトナー粒子との接触部分に加わる局所的な圧力を変形により吸収し、また、トナーとの接触面積を増加させることによって、接触圧力を周辺部分に均等に分散・緩和できる。
一方、本発明の二成分現像方式においては、現像ローラと感光体との間隙(現像ニップ)
における磁気ブラシの硬さも重要である。
従来のキャリアは、導電性の芯材表面を絶縁性樹脂等により被覆して用いており、現像器内で繰り返し受ける機械的負荷を回避できるような材料設計がなされているが、このようなキャリア粒子は依然として、磁気ブラシを硬くする傾向にある。したがって、小粒径キャリアを用いた場合、微小ドットの潜像が忠実に現像されるため、高画質化に有効であるが、階調性や中間調の再現が低下する傾向にあった。
しかしながら、本発明のキャリア粒子は、弾性を有する表面を備えているために、従来の課題を解消するものであり、硬度の高いキャリアから形成される磁気ブラシが剛直化することなく、感光体への接触ムラをなくし、優れた階調性や中間調の再現を可能にする。
また、本発明の被覆層を有するキャリア自身がもつ弾性力により、キャリア粒子の流動性を高く保つことができるために、キャリア粒子間の摩擦が少なく、耐摩耗性が向上する。
更に、柔軟な磁気ブラシは、速度差をもって接触しても、感光体に与える負荷を低減し、摺擦により発生する傷を抑制できるという優れた効果を奏する。
更にまた、小粒径のキャリアを用いた場合、現像ニップにおいて磁気ブラシが硬くなりすぎることがないために、適当な進入量を確保でき、感光体への必要十分な濃度のトナー供給が可能となる。
すなわち、本発明の弾性を有する樹脂被覆層の効果は、感光体への負荷低減、および磁気ブラシが感光体と十分な接触確率を得る上で著しく向上する。
弾性変形率ηHUが400N/mmより大きい場合、および/又はユニバーサル硬さHUが70%より大きい場合、スリーブやブレード等の摺擦部材やスクリュー、パドル等の攪拌搬送部材などから受ける機械的な摩擦力の増大により、被覆樹脂の密着性が損なわれ、不均一な剥離を生ずる不具合が発生しやすくなり、キャリアの帯電挙動が変化する。
また、磁気ブラシが剛直化し、これを構成するキャリア粒子の流動性が悪くなり、現像時に感光体との接触ムラを生じ、画像へざらつき感を与えてしまう。
弾性変形率ηHUが30%より小さい場合、トナー粒子とキャリア粒子との攪拌、摩擦時において、局所的な圧力がトナーの外添材をキャリアに押し付けてしまい、この状態で感光体と接触すると、その接触部を起点に傷を生じる。また、トナー粒子との接触圧力の均等化が図れないために、キャリア表面へのトナー組成物の固着が著しく、使用初期からトナー帯電量が不安定な状態となる。
また、ユニバーサル硬さHUが150N/mmより小さい場合、摺擦部材や攪拌搬送部材などによる機械的な摩擦により被覆樹脂層が摩耗する不具合が発生しやすくなり、やはりキャリア帯電挙動が変化する。
したがって、本発明のキャリア粒子を用いることにより、耐摩耗性、耐衝撃性に優れ、更に、キャリア粒子間に挟まれたトナー粒子に対して、局所的な衝撃力がかかることにより発生するキャリア汚染(スペント)を抑制できるため、長期にわたり、所望の帯電付与能を維持できる。
また、柔軟な磁気ブラシの形成は、キャリア粒子の流動性を高く保つことができるために、キャリア粒子間の摩擦が少なく、現像ニップにおける適当な磁気ブラシの進入量を確保は、高濃度のトナー画像、および優れた階調性や中間調の再現を可能にする。
本発明に用いられるキャリア粒子について、その表面を被覆する樹脂をスライドガラス上に測定可能な厚さで均一になるように作成し、弾性変形率ηHUおよびユニバーサル硬さHUの測定を、フィッシャースコープH100Cを使用し、ビッカース圧子を用いて、最大荷重9.8mNの条件下で行なった。
弾性変形率ηHUは次の式で求めることができる。
Figure 2007187771
ここで、Welastic:弾性変形エネルギー、Wtotal:全変形エネルギー、F1(h):除荷時の変形曲線、F2(h):加負荷時の変形曲線、hmax:最大負荷時下でのくぼみ深さ(mm)、hmin:除荷終了時の残留くぼみ深さ、である。
また、ユニバーサル硬さHUは次の式で求めることができる。
HU=F/26.43h
ここで、F:試験荷重(N)、h:試験荷重下でのくぼみ深さ(mm)である。
本発明のキャリアにおいて、その重量平均粒径Dwが20〜80μmであり、好ましくは22〜70μm、更に好ましくは22〜40μmの範囲である。重量平均粒径Dwが上記範囲よりも大きいと、最密状態に配置されていても曲率半径が大きく、感光体と接していない面積が増えるためにトナー像の欠けや抜けが発生する。更には、潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなって、ドット径のバラツキが大きくなり粒状性が低下し、高い画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合には、地汚れが発生しやすくなる。
逆に重量平均粒径Dが20μm未満のキャリアでは、キャリア自身の流動性が悪くなり、1個当たりの磁力が小さくなるので、現像スリーブ上での動きが悪くなる。
更に、高画質化を達成するために現像剤担持体から静電潜像側に交流電圧を印加する場合には、キャリア粒子間の磁力を上回り、飛散してキャリア付着の原因となり、特にカラー画像において、静電潜像の画像部へ付着した場合には、十分な色調が得られないのみならず、画像表面にざらつき感を与える。
また、導電性のキャリアが感光体表面に付着または突き刺さった状態で、装置が作動すると、そこを起点とした傷が発生するばかりでなく、接触帯電装置を用いた場合には、該帯電装置と感光体を構成する導電性支持体との間に導電路を形成してしまうことになり、画像品質は著しく低下する。
本発明において、キャリア、キャリア芯材に関して言う重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。
この場合の重量平均粒径Dwは次式で表わされる。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)}
上式中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示す。
なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの長さを採用した。
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
キャリアの粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析
計(モデルHRA 9320−X100:Honewell社製)を用いた。その測定条件は以下の通りである。
(1)粒径範囲:100〜8μm
(2)チャネル長さ(チャネル幅):2μm
(3)チャネル数:46
(4)屈折率:2.42
また、結着樹脂中に金属化合物を分散させた磁性体分散型の芯材粒子を用いることもできる。用いられる金属化合物粒子としては、下記式(1)又は(2)で表わされる磁性を有するマグネタイト又はフェライトが挙げられる。
MO・Fe ・・・(1)
M・Fe ・・・(2)
(式中、Mは3価、2価又は1価の金属イオンを示す。)
Mとしては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb及びLiが挙げられ、これらは、単独あるいは複数で用いることができる。
上記の磁性を有する金属化合物粒子の具体的化合物としては、例えば、マグネタイト、Zn−Fe系フェライト、Mn−Zn−Fe系フェライト、Ni−Zn−Feフェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Mn−Fe系フェライト、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト及びCu−Zn−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。
金属化合物粒子としては、上記の磁性を有する金属化合物と下記の非磁性の金属化合物とを混合して用いても良い。
非磁性の金属化合物としては、例えば、Al、SiO、CaO、TiO、V、CrO、MnO、α−Fe、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y及びZrOが挙げられる。この場合、1種類の金属化合物を用いることもできるが、2種以上の金属化合物を混合しても良い。
組み合わせの具体例としては、例えば、マグネタイトとヘマタイト、マグネタイトとr−Fe、マグネタイトとSiO、マグネタイトとAl、マグネタイトとTiO、マグネタイトとCa−Mn−Fe系フェライト、マグネタイトとCa−MgFe系フェライトが挙げられる。
結着樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン系樹脂等を例示することができる。また、バインダー樹脂は、樹脂化合物を溶融して用いても良いし、モノマーと溶媒が均一に分散又は溶解されているような溶液中から、モノマーを重合させることにより粒子を生成する重合法の製造方法を用いることも可能である。
磁性体分散型の芯材粒子の結着樹脂に使用されるモノマーとしては、ラジカルの重合性モノマーを用いることができる。例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジルの如きメタクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、β−クロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエーテル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテルの如きビニルエーテル;ブタジエンの如きジエン化合物を挙げることができる。
これらのモノマーは単独または混合して使用することができ、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成を選択することができる。
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド及びジビニルスルフォンが挙げられる。これらは、2種類以上を適宜混合して使用しても良い。架橋剤は、重合性混合物にあらかじめ混合しておくこともできるし、必要に応じて適宜重合の途中で添加することもできる。
その他の結着樹脂のモノマーとして、エポキシ樹脂の出発原料としてなるビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂の尿素とアルデヒド類;メラミンとアルデヒド類が挙げられる。
芯材粒子を分級する方法としては、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などの従来公知の分級方法を使用することができるが、生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機といった風力分級機を使用することが好ましい。
本発明のキャリアは、前記芯材粒子の表面に樹脂層を形成することによって製造される。
キャリア被覆層に使用される樹脂としては、弾性を有するものであれば、公知の材料を何ら限定されることなく使用できるが、表面部分での環境安定性、トナー粒子との摩擦帯電性等から、被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。中でも、よりトナー成分の固着を防止する点で被覆層用の材料として好ましいのはシリコーン樹脂またはその変成品、弗素樹脂、特にはシリコーン樹脂またはその変成品である。
シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂のうち、本発明の特定範囲の弾性変形率及びユニバーサル硬さを有するものであれば良く、下記式で示されるオルガノシロキサンを含む線状/非線状シリコーン樹脂をアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂等が挙げられる。
Figure 2007187771

上記式中Rは水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基またはフェニル基、RおよびRは水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記式で示される基である。
Figure 2007187771
上記式中R、Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。)
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
更に、本発明では、以下に示すものを単独または上記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂など。
キャリア芯材粒子表面に被覆層を形成するための方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法など公知の方法が使用できる。
特に、流動層型コーティング装置を用いる方法は、均一な被覆層を形成するのに有効である。
キャリア芯材粒子表面上に被覆層の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.8μmである。被覆層の厚みはきわめて小さいことから、芯材粒子表面上に被覆層を形成したキャリアとキャリア芯材粒子の粒径は実質的に同じである。
前述のシリコーン樹脂からなる被覆層にアミノシランカップリング剤を含有させることにより、耐久性の良好な本発明のキャリアを得ることができる。
本発明で用いるアミノシランカップリング剤としては以下のようなものが挙げられる。含有量は、0.001〜30重量%が好ましい。
Figure 2007187771
また、被覆層の補強の目的で被覆層中に他の硬質な微粒子成分を含有させることができる。なかでも金属酸化物粒子、無機酸化物粒子は均一な粒子径で、かつ被覆層の成分と高い親和性が得られ、著しい被覆層の補強効果を示すため、好ましく用いられる。
このような微粒子としては、従来公知の材料を単独、または混合して用いることが可能であり、代表的にはSi酸化物、Ti酸化物、Al酸化物などがある。
被覆層中に含有させる硬質微粒子の含有量として2〜70重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%の範囲である。含有量は用いる微粒子の粒子径、比表面積によって、適切に選ばれるが、2重量%未満では被覆層の耐摩耗効果が発現しにくく、70重量%を超えると、微粒子の脱離が生じやすくなる。
本発明のキャリアは、トナーと混合して二成分現像剤として用いられる。
使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の電子写真用トナーとして使用されるものを特に制限なく用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形または球形のトナーである。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
トナーのバインダー樹脂としては以下のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
アルコール成分としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017、(以上、東都化成(株)製)エポコ−ト1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販のものが挙げられる。
トナーに用いる着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得る。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
また、トナーに磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的で、いわゆる帯電制御剤、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などを必要に応じて含有させることもできる。帯電制御剤の使用量は、主帯電制御剤量、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.3〜5重量部の範囲がよい。
さらに、トナーには必要に応じて離型剤を添加してもよい。
離型材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
トナーには、添加剤を添加することができる。良好な画像を得るためには、トナーに十分な流動性を付与することが肝要である。それらは、条件を満たせば公知のものが使用可能である。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマー等を含有してもよい。
特に好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子が挙げられる。シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上クラリアントジャパン)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上日本アエロジル)がある。また、チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル)やSTT−30、STT−65C−S(以上チタン工業)、TAF−140(富士チタン工業)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−15
0A(以上テイカ)などがある。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル)やSTT−30A、STT−65S−S(以上チタン工業)、TAF−500T、TAF−1500T(以上富士チタン工業)、MT−100S、MT−100T(以上テイカ)、IT−S(石原産業)などがある。
疎水化処理された無機微粒子、シリカ微粒子及びチタニア微粒子、アルミナ微粒子を得
るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。トナー粒径は、その重量平均粒径Dtは9.0〜3.0μm、好ましくは7.5〜3.5μmである。キャリアに対するトナーの割合は、キャリア100重量部当り、トナー2〜25重量部、好ましくは3〜20重量部の割合である。
なお、トナー粒径はコールターカウンター(コールターカウンター社製)を用いて測定した。
次に、図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
本発明は、潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと弾性を有する表面を備えた磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
図4は、本発明の画像形成方法及び画像形成装置を示す概略図である。
ドラム状の潜像担持体(11)の周囲に、帯電手段(12)、露光手段(13)、現像手段(14)、転写手段(16)、クリーニング手段(17)、除電手段(1A)が配置されており、以下の動作で画像形成を行なう。
潜像担持体(11)および現像手段(14)には、上記本発明の潜像担持体、およびキャリアが用いられている。
画像形成の一連のプロセスは、ネガ−ポジプロセスで説明を行なう。潜像担持体(11)は除電手段(1A)で除電され、帯電手段(12)で均一にマイナスに帯電され、露光手段(13)より照射されるレーザー光で潜像形成が行なわれる。
帯電手段(12)は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段(12)は、オゾン発生の低減や消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用される。
本発明の効果は前述したように接触配置した帯電手段を用いた場合に顕著となる。本発明の転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
また、露光手段(13)、除電手段(1A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
このようにして形成された潜像が、現像手段(14)にある現像剤担持体である現像スリーブ(41)上に供給されたトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる二成分現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ(41)に、潜像担持体(11)の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
一方、転写手段(16)により、受像媒体(例えば紙)(18)にトナー像が転写される。このとき転写手段(16)には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後受像媒体(18)は潜像担持体(11)より分離された後、定着手段(19)を経て出力画像として排出される。
また、潜像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング手段(17)にて回収される。回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
クリーニング手段(17)は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。また、転写効率およびクリーニング効率を向上するため、感光体の表面エネルギーを低減させるべく潤滑剤、例えば脂肪酸金属塩を感光体表面へ供給し、画像形成を行なう方法も有効である。感光体表面への低表面エネルギー化剤の供給手段については、現像剤中に脂肪酸金属塩を含有させる方法、またはステアリン酸亜鉛等の固形素材を、クリーニング手段を兼ねたブラシロールを介して供給する方法、およびその他公知の方法が用いられる。
図4においては、潜像担持体(11)は、ドラム状の形状を示しているが、シート状であってもよく、図5に示すようにエンドレスベルト状のものであってもよい。
潜像担持体(11)には、本発明の感光体が用いられている。潜像担持体(11)は、駆動手段(1C)により駆動され、帯電手段(12)による帯電、露光手段(13)による像露光、現像(図示せず)、転写手段(16)による転写、クリーニング前露光手段(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング手段(17)によるクリーニング、除電手段(1A)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
図6は、画像形成装置の現像装置主要部の概略構成図である。
潜像担持体(11)の側方に配設された現像手段(14)は、現像剤担持体としての現像スリーブ(41)、現像剤収容部材(42)、規制部材としてのドクターブレード(43)、支持ケース(44)等から主に構成されている。
潜像担持体(11)側に開口を有する支持ケース(44)には、内部にトナー(15)を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー(45)が接合されている。トナーホッパー(45)に隣接した、トナー(15)とキャリア粒子とからなる現像剤(20)を収容する現像剤収容部(46)には、トナー粒子(15)とキャリア粒子を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構(47)が設けられている。
トナーホッパー(45)の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)が配設されている。トナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)は、トナーホッパー(45)内のトナー(15)を現像剤収容部(46)に向けて撹拌しながら送り出す。
潜像担持体(11)とトナーホッパー(45)との間の空間には、現像スリーブ(41)が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ(41)は、キャリア粒子による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像手段(14)に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材(42)の、支持ケース(44)に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)(43)が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)(43)は、その先端と現像スリーブ(41)の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
上記構成により、トナーホッパー(45)の内部からトナーアジテータ(48)、トナー補給機構(49)によって送り出されたトナー(15)は、現像剤収容部(46)へ運ばれ、現像剤撹拌機構(47)で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア粒子と共に現像剤(20)として、現像スリーブ(41)に担持されて潜像担持体(11)の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー(15)のみが潜像担持体(11)上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、潜像担持体(11)上にトナー像が形成される。
これまでに説明した画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でこれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、転写手段、およびクリーニング手段のうち、少なくとも一つの手段を含んだ一つの装置(部品)である。
図7は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。潜像担持体(11)および現像手段(14)には、上記本発明の感光体およびキャリアが用いられている。プロセスカートリッジの形態等には、多数のものが挙げられるが、図7に示すものは、接触帯電手段を用いた一般的な形態のプロセスカートリッジの例である。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わす。
本発明で使用される導電性支持体(21)は、サーフコム1400D(東京精密製)を用い、表面粗さRz(JIS B0601−1994規格)を評価長さ(Ln):4mm、基準長さ(L):0.8mm、最大高さRy(JIS B0601−1994規格)を評価長さ(L):4mm、基準長さ(L):0.8mmにて測定した。
十点平均粗さ(Rz)とは、図8に1例が示されるように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(L)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの標高(Yv)の絶対値の平均値との和である。
最大高さ(Ry)とは、図9に1例が示されるように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(L)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の長さから最も高い山頂までの高さ(Yp)と、最も低い谷底までの深さ(Yv)との和である。
まず、感光体の製造例を以下に示す。
(感光体製造例1)
導電性円筒状支持体として、直径30mm、長さ340mmの3003系アルミニウム合金からなるED管(十点平均粗さ(Rz):0.55μm、最大高さ(Ry):0.7μm)を用意した。このED管上に、下記組成の下引き層用塗工液、中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、本発明の感光体1を得た。
〔下引き層用塗工液〕
下記組成からなる混合物をボールミルで72時間分散し、下引き層用塗工液を作成した。この下引き層用塗工液を、上記ED管上に浸漬塗布した後、120℃で25分間乾燥し、約4.0μmの下引き層を形成した。
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
アルキッド樹脂 20部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミン G−821−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メチルエチルケトン 100部
〔中間層用塗工液〕
下記組成からなる中間層用塗工液を前記下引き層上に、リング塗工機により塗布し、140℃で10分間加熱し、約0.15μm中間層を形成した。
トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 10部
(オルガチックスZC540、松本製薬(株)製)
エチルアルコール 75部
n−ブチルアルコール 25部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記構造式で表わされるビスアゾ顔料 2.5部
Figure 2007187771

ポリビニルブチラール 2.0部
(エスレックBM−1:積水化学工業(株)製)
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で20分間加熱乾燥して、25μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質(D−1) 10部
Figure 2007187771
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050:帝人化成社製)
シリコーンオイル 0.002部
(KF−50、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン 100部
(感光体製造例2)
感光体製造例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体2を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱可塑性ポリアミド樹脂 25部
(アミランCM8000、東レ(株)社製)
メチルアルコール 64部
n−ブチルアルコール 16部
(感光体製造例3)
感光体製造例1において、中間層を設けない以外は感光体製造例1と同様に感光体3を作製した。
(感光体製造例4)
感光体製造例1における導電性支持体を、厚さ30μmのニッケルシームレスベルト(十点平均粗さ(Rz):0.70μm、最大高さ(Ry):1.1μm)に変更し、下引き層用塗工液および中間層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体4を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(TA−3000 平均粒径:0.30μm、富士チタン工業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱硬化性フェノール樹脂 23部
(ブライオーフェン J−325、固形分:70%、大日本インキ化学工業(株)社製)
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
〔中間層用塗工液〕
トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 20部
(オルガチックスZC540、松本製薬工業(株)製)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 2部
(A1110、日本ユニカー(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−S、積水化学(株)製)
n−ブチルアルコール 70部
(感光体製造例5)
感光体製造例4における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例4と同様に感光体5を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱可塑性ポリアミド樹脂 25部
(アミランCM8000、東レ(株)社製)
メチルアルコール 64部
n−ブチルアルコール 16部
(感光体製造例6)
感光体製造例4における中間層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体6を作製した。
〔中間層用塗工液〕
ジプロピルオキシチタンアセチルアセトネート 10部
(オルガチックスTC100、松本製薬工業(株)社製)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
(A1110、日本ユニカー(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−1、積水化学(株)製)
イソプロピルアルコール 70部
(感光体製造例7)
感光体製造例4における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例4と同様に感光体7を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 100部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
熱硬化性アルキッド樹脂 20部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミン G−821−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メチルエチルケトン 100部
次にキャリアの製造例を以下に示す。
(芯材粒子製造例1〜5)
マンガン及び鉄の酸化物を混合し、ボールミルを用い、水中で48時間湿式粉砕・分散した後乾燥して、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で850℃、1時間の仮焼を行なった。
湿式粉砕は、粉砕メディアとしては10mmφのジルコニアボールをボールミルポット容積の30vol%充填し、固形分を25%となるように調整した酸化物スラリーをボールミルポット容積の20vol%充填して行なった。
続いて、得られた仮焼物を、再度同様の条件で、ボールミルを用い水中で24時間湿式粉砕・分散し、マンガン鉄複合酸化物のスラリーを得た。
このスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール及び分散剤を加え、スプレードライヤーを用いて造粒・乾燥し、超音波振動篩を用いて分級し、造粒粒子を作成した。
得られた造粒粒子を、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で1200℃、4時間の本焼成して、マンガンフェライト粒子を得た。
更に、得られたマンガンフェライト粒子を、超音波振動篩を用いて分級し、芯材粒子1〜5を得た。
(芯材粒子製造例6)
フェノール(ヒドロキシルベンゼン)50質量部、37質量%のホルマリン水溶液80質量部、水50質量部、チタンカップリング剤で表面処理されたマグネタイト微粒子280質量部、チタンカップリング剤で表面処理されたアルミナ微粒子120質量部、および28質量%のアンモニア水15質量部を四つ口フラスコに入れ、攪拌混合しながら40分間で85℃まで昇温保持し、180分間反応、硬化させる。その後30℃まで冷却し500質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾して、芯材粒子6を得た。
(キャリア製造例1)
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)100部、アクリル樹脂50部の割合で含むトルエン希釈混合物(固形分:20wt%)に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を2.0部添加し、さらにトルエンを150部添加してキャリア被覆層塗布液1を得た。
次に、芯材粒子1に対して、上記塗布液1を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:35.5μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア1を得た。
キャリア被覆層の膜厚の調整はコート液量により行い、膜厚の測定は、キャリアを破砕し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することで求めた。
(キャリア製造例2)
ポリエチレンイミン/シリコーン樹脂(=50/50)グラフト重合体溶液(固形分:10wt%)500部に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を5.0部添加し、さらにエチルアルコールを475部添加してキャリア被覆層塗布液2を得た。
次に、芯材粒子2に対して、上記塗布液2を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:33.1μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア2を得た。
(キャリア製造例3)
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)20部、アクリル樹脂(ヒタロイド3001 日立化成工業(株)製)80部を含むトルエン希釈混合物(固形分:20wt%)に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を2.0部添加し、キャリア被覆層塗布液3を得た。
次に、芯材粒子3に対して、上記塗布液3を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:50.2μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア3を得た。
(キャリア製造例4)
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)450部にγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を9部添加し、さらにトルエンを450部添加してキャリア被覆層塗布液4を得た。
次に、芯材粒子4に対して、上記塗布液2を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:34.6μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア4を得た。
(キャリア製造例5)
シリコーン樹脂(SR2410 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)450部にγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を9部添加し、さらにトルエンを450部添加してキャリア被覆層塗布液5を得た。
次に、芯材粒子1に対して、上記塗布液5を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:30.0μm、キャリア被覆層膜厚:0.3μmのキャリア5を得た。
(キャリア製造例6)
キャリア製造例1における芯材粒子1を芯材粒子6に変更した以外は、キャリア製造例1と同様に重量平均粒径:35.5μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア6を得た。
以上のように製造したキャリアを表1に示す。
Figure 2007187771
次にトナー製造例を示す。
部分架橋ポリエステル樹脂 79.5部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アルコール、
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加アルコール、
テレフタル酸、トリメリット酸の縮合重合物、
Mw=15000、ガラス転移点=61℃)
カーボンブラック 15部
ジ−tert―ブチルサリチル酸のジルコニウム塩 1部
カルナウバワックス;野田ワックス社製 5部
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整し、トナー母体を得た。
更に、トナー母体100部に対して、疎水性シリカ微粒子1部および疎水性酸化チタン微粒子1部を加えて、ヘンシェルミキサーでトータル2分間混合し、重量平均粒径6.8μmのトナーを得た。
以上の感光体製造例1〜3、キャリア製造例1〜6で得たキャリアおよびトナーを用いて現像剤を調整し、反転現像方式のリコー製複写機imagio MF−6550の改造機(帯電手段:接触帯電ローラ、画像露光光源:655nmの半導体レーザー書込み密度:1200dpi)に搭載し、常温常湿(23℃、55%RH)の環境下で、A4版、画像面積率6%原稿を用いて1to2モードを用いて5万枚の通紙試験を行ない、画質評価を行なった。
評価の手順としては、最初の画像を出力して階調性の評価を行ない、5万枚の通紙試験後に再度、画像を出力してキャリア付着、地肌汚れ、絶縁破壊の有無、細線再現性、画像濃度、階調性の画質評価を行なった。
評価結果を表2に示す。
現像条件は次のとおりである。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.4mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.7mm
・感光体線速度:245mm/sec
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.5
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−750V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC−500V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
[キャリア付着の評価]
常温常湿(23℃、55%RH)環境下で5万枚の複写終了後、ハーフトーン画像を複写し、キャリア付着による画像への影響を以下の基準で3段階に分けて判定した。
◎:キャリア付着は確認されず、画像品質が優れていた
○:キャリア傷による異常画像が見られるが、実用上問題ないレベルであった
×:感光体へのキャリア付着が発生し、傷による異常画像が発生した
[画像濃度の評価]
複写画像の黒べた部の濃度をRD−914(マクベス社製)を使用して非画像部の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。5箇所の平均値を出し、以下の4段階に分けて判定した。
◎:黒ベタ部濃度が1.35以上
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.35未満
△:黒ベタ部濃度が0.8〜1.0未満
×:0.8未満
[階調性の評価]
初期画像および常温常湿(23℃、55%RH)環境下で、5万枚の通紙試験後の評価を実施した。
階調性とは、濃度(又は色)の連続性とダイナミックレンジの広さをあらわすものであり、以下のように評価する。
線数を変えて中間調処理を施したパッチ(17段)を出力し、このパッチの明度(L*)を測定した。中間調処理としては、いわゆる線数を200lpiの水準で画像を出力した。明度(L*)の測定には、分光反射濃度計「X−rite938」(X−rite社製)を使用した。
階調性の数値化は、入力(データ上の面積率)に対する、17段のパッチを測色して求めた明度値の直線性から、いわゆるR(一次式近似での自己相関係数の2乗)を計算するという方法を用いた。
これらは、階調性の評価方法に関するものであり、出力した階調画像が入力した階調画像に対してどの程度ずれているかを評価するものである。Rは相関係数を意味するものであり、入力と出力が一致していれば相関係数は1になり、出力が乱れれば相関は低下するので相関係数は低下する。
の値が0.98以上であれば、階調性に優れた画像が得られる。
[細線再現性の評価]
画像の細線部を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら以下の基準で4段階に分けて判定した。
◎:ラインが連続して再現されており、画像品質が特に優れていた
○:ライン幅のバラツキが小さい
△:ライン画像の欠損が見られるが、実用上問題ないレベルであった
×:ライン画像の欠損が目立ち、画像品質上の問題があった
[地肌汚れの評価]
段階見本との比較によって以下の基準で3段階に分けて判定した。
◎:地肌汚れが全く観察されず、画像品質が優れていた
○:地肌汚れが僅かに観察されるが、実用上問題ないレベルであった
×:地肌汚れが観察され、実用上問題となる
[絶縁破壊の評価]
○;電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生しなかった
×;電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生した
Figure 2007187771
次に、以上の感光体製造例4〜7、キャリア製造例2、4、5で得たキャリアおよびトナー製造例で得たトナーを用いて現像剤を調整し、反転現像方式の画像精製装置IPSiO Colorの改造機(画像露光光源:655nmの半導体レーザー、書込み密度:1200dpi)に搭載し、低温低湿(15℃25%RH)および高温高湿(30℃80%RH)の環境下でA4版、画像面積率6%原稿を用いて1to2モードを用いて5万枚の通紙試験を行ない、画質評価を行なった。
評価の手順としては、5万枚の通紙試験後に再度、画像を出力してキャリア付着、地肌汚れ、絶縁破壊の有無、細線再現性、画像濃度、階調性、剥離・クラックの発生等を総合的に評価した。
評価結果を表3に示す。
Figure 2007187771
本発明に係る潜像担持体の1例を示す模式断面図である。 本発明に係る潜像担持体の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る潜像担持体の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の1例を示す概略図である。 本発明に係る画像形成装置の別の例を示す概略図である。 本発明に係る画像形成装置の現像装置主要部の概略構成図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す。 本発明に係る導電性支持体の表面状態に関する十点平均粗さ(Rz)を示す模式図である。 本発明に係る導電性支持体の表面状態に関する最大高さ(Ry)を示す模式図である。
符号の説明
11 潜像担持体
12 帯電手段
13 露光手段
14 現像手段
15 トナー
16 転写手段
17 クリーニング手段
18 受像媒体
19 定着手段
20 現像剤
21 導電性支持体
22 下引き層
23 中間層
24 電荷発生層
25 電荷輸送層
26 感光層
27 保護層
1A 除電手段
1B クリーニング前露光手段
1C 駆動手段
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤攪拌機構
48 トナーアジテータ
49 トナー補給機構

Claims (18)

  1. 潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記金属酸化物が酸化チタンであり、かつ一方の酸化チタン(T)の平均粒径を(D)、他方の酸化チタン(T)の平均粒径を(D)とした場合、0.2<D/D≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記酸化チタン(T)の平均粒径(D)が0.05μm<D<0.20μmであり、かつ(T)と(T)との重量混合比率が、0.2≦T/(T+T)≦0.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記中間層が下記一般式(1)で示される有機金属化合物から生成される重合物を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
    Figure 2007187771
    (式中、XはZr、Tiを表わし、Rはアルキル基(炭素数1〜100)を表わし、R’は、有機基を表わし、mおよびnは、それぞれ0以上であり、m+n=4である。)
  5. 前記中間層が有機金属化合物とシランカップリング剤とを含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
  6. 前記中間層の膜厚が0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
  7. 前記下引き層の膜厚が3〜15μmであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
  8. 前記導電性支持体の表面粗さが十点平均粗さRzにおいて0.05〜1.0μmであり、かつ最大高さRyにおいて0.5〜1.5μmであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
  9. 前記導電性支持体がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる無切削管であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
  10. 前記導電性支持体が直径30mm以下の導電性円筒状支持体であることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の画像形成装置。
  11. 前記導電性支持体がエンドレスベルトであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
  12. 前記弾性を有する表面を備えた磁性キャリアが、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とからなることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の画像形成装置。
  13. 前記樹脂層がユニバーサル硬さ試験における弾性変形率ηHUが30%以上、70%以下であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記樹脂層がユニバーサル硬さHUが150N/mm以上、400N/mm以下であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  15. 前記キャリアの重量平均粒径Dwが20〜80μmであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  16. 前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なうことを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の画像形成装置。
  17. 少なくとも請求項1乃至16の何れかに記載の画像形成装置本体に対して着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、少なくとも潜像担持体、帯電手段、現像手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18. 前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
JP2006004390A 2006-01-12 2006-01-12 画像形成装置及びプロセスカートリッジ Pending JP2007187771A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006004390A JP2007187771A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006004390A JP2007187771A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007187771A true JP2007187771A (ja) 2007-07-26

Family

ID=38342998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006004390A Pending JP2007187771A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007187771A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010013274A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Sumco Corp ウェーハケース
DE102015120618A1 (de) 2014-11-28 2016-06-02 Canon Kabushiki Kaisha Elektrophotographisches photoempfindliches Element, Verfahren zur Herstellung desselben, Prozesskartusche und elektrophotographischer Apparat
US9372419B2 (en) 2012-08-30 2016-06-21 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
US9470989B2 (en) 2014-02-24 2016-10-18 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
US9529284B2 (en) 2014-11-28 2016-12-27 Canon Kabushiki Kaisha Process cartridge, image forming method, and electrophotographic apparatus

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010013274A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Sumco Corp ウェーハケース
US9372419B2 (en) 2012-08-30 2016-06-21 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
US9470989B2 (en) 2014-02-24 2016-10-18 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
DE102015120618A1 (de) 2014-11-28 2016-06-02 Canon Kabushiki Kaisha Elektrophotographisches photoempfindliches Element, Verfahren zur Herstellung desselben, Prozesskartusche und elektrophotographischer Apparat
CN105652614A (zh) * 2014-11-28 2016-06-08 佳能株式会社 电子照相感光构件及其生产方法,处理盒和电子照相设备
JP2016110127A (ja) * 2014-11-28 2016-06-20 キヤノン株式会社 電子写真感光体、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US9529284B2 (en) 2014-11-28 2016-12-27 Canon Kabushiki Kaisha Process cartridge, image forming method, and electrophotographic apparatus
US9568846B2 (en) 2014-11-28 2017-02-14 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, method for producing the same, process cartridge, and electrophotographic apparatus
CN105652614B (zh) * 2014-11-28 2020-01-10 佳能株式会社 电子照相感光构件及其生产方法,处理盒和电子照相设备
DE102015120618B4 (de) 2014-11-28 2020-06-04 Canon Kabushiki Kaisha Elektrophotographisches photoempfindliches Element, Verfahren zur Herstellung desselben, Prozesskartusche und elektrophotographischer Apparat

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5593940B2 (ja) 画像形成装置
JP5241098B2 (ja) 画像形成方法
JP5115615B2 (ja) 画像形成方法、及び画像形成装置
JP5444732B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2007033485A (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
US20010028987A1 (en) Method and device for developing electrostatic latent images
JP5521630B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2007187771A (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
US20040185361A1 (en) Dry toner for electrostatic latent image developer, developer and image forming method
JP4898313B2 (ja) 画像形成方法
JP4990679B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ
JP2010014854A (ja) 磁性キャリア、及び該磁性キャリアを用いた画像形成方法
JP2003149856A (ja) 現像剤及び画像形成方法
JP2007139845A (ja) 画像形成方法
JP2001272809A (ja) 画像形成方法、及び画像形成装置
JP2001235898A (ja) 磁性トナー及び画像形成方法
JP2010151894A (ja) 画像形成装置
JP2001305756A (ja) 画像形成方法、画像形成装置、及び電子写真感光体
JP4287174B2 (ja) 画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP2005300743A (ja) 画像形成装置
JP2007272204A (ja) トナーおよび画像形成装置
JP2007233112A (ja) 磁性キャリア及び二成分系現像剤
JP2004038089A (ja) 有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP2004145074A (ja) 有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP2003280257A (ja) トナー及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100701

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100901

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101020