JP2007187771A - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有する画像形成装置。
【選択図】図1
Description
例えば、円筒状支持体の例を挙げると、押出・引き抜き加工を施すED管や、押し出し後に外表面にしごき加工を施すEI管、しぼり・しごき加工を施すことにより製作されるDI管等、各種のものが用いられており、いずれも表面切削を要しないために量産性に優れ、コストダウンが図れる。
湿式(液体)ホーニング処理は、水等の液体に粉末状の粒状研磨材(砥粒)を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、砥粒の量、濃度、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、砥粒をエアーにより、高速度で導電性支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング処理に用いる砥粒としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ、プラスチックショット等の粒子が挙げられる。
したがって、感光体を形成する場合、導電性支持体上に直接感光層を形成するよりも、支持体上の欠点の被覆、支持体の保護、感光層の塗布性の向上に加えて、感光層の電気的破壊の保護、感光層への電荷注入性改良等のために下引き層を設けることが有効である。感光体の繰り返し安定性や環境安定性に関しては、感光層のみならず下引き層に依存する部分が極めて大きい。
下引き層を形成する材料としては、特許文献4(特開昭47−6341号公報)および特許文献5(特開昭48−3544号公報)にはセルロース系樹脂が、特許文献6(特開昭48−47344号公報)および特許文献7(特開昭52−25638号公報)にはナイロン系樹脂が、特許文献8(特開昭49−69332号公報)および特許文献9(特開昭52−10138号公報)にはマレイン酸系樹脂が、そして特許文献10(特開昭58−105155号公報)にはポリビニルアルコール樹脂が、特許文献11(特開昭52−25638号公報)および特許文献12(特開昭58−95351号公報)にはポリアミド樹脂から形成される下引き層がそれぞれ開示されている。
例えば、導電性粒子である金属酸化物粒子を結着樹脂中に分散させたものがあり、特許文献21(特開2004−233563号公報)、特許文献22(特開2004−287027号公報)、特許文献23(特開2004−198814号公報)等に提案されている。また、特許文献24(特開2004−226751号公報)、特許文献25(特開2004−233678号公報)等に分散性を向上させるための技術が開示されている。しかしながら、一般に金属酸化物粒子は樹脂溶液中において凝集傾向が強いために、例えば、一次粒径が100nm以下の超微粒子のみで均一かつ安定性の高い分散液を得ることは困難であり、残留電位の上昇等、電気特性上の問題を引き起こす要因となる。
以上のように、電荷注入を制御する機能と、導電性粒子の含有による抵抗調整機能とを下引き層1層に両有する方法では残留電位の上昇を防止し、地汚れ効果が良好で、さらに環境安定性に優れた下引き層は得られない。
例えば、特許文献26(特開昭60−111255号公報)および特許文献27(特開昭60−97363号公報)等に提案されているように、アルミニウム等の導電性支持体上に導電性粒子を含有させた層を形成し、さらにこの導電性粒子を含有させた層上に、電荷注入を防止する機能を有する樹脂層を形成した2層構造の下引き層を有する方法が提案されている。この方法によると、導電性微粉末を含有させた層に導電性支持体層の表面の凹凸や汚れ等の欠陥の隠蔽とともに電気抵抗の調整機能を持たせ、その上に形成する樹脂層に電荷注入制御機能を持たせている。
陽極酸化被膜は、一般に5〜6μmの膜厚に形成され、この膜厚では支持体表面の欠陥部分全体が絶縁体化されることにより有効であることが知られているが、この方法は、電源設備投資や電気エネルギーが多く必要となること、陽極酸化膜は多孔質の膜であるために封孔処理を必要とすること、処理時間が長いこと、したがって、面処理費用が多大であるという問題があった。
しかしながら、これらの方法はいずれも電荷注入制御の機能を有機樹脂層に持たせているために、環境の影響による電気特性の不安定さに起因する画像劣化の問題は避けられない。
一般に広く使用されている磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を用いる現像方式は、現像剤磁気ブラシが感光体表面を摺擦しながら現像を行なう接触二成分現像方法と、現像剤磁気ブラシが感光体と接触しない非接触二成分現像方法に分類される。非接触二成分現像は感光体にキャリアが付着するいわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという長所もあるが、特に高精細画像が要求されるフルカラー複写機等では、優れた細線再現性と十分な画像濃度が得られる接触二成分系現像が好適に用いられる。
小粒径キャリアの使用は、単位体積当りの表面積が広いため、個々のトナーに充分な摩擦帯電を与えることができ、低帯電量トナー、逆帯電トナーの発生が少なく、更に現像スリーブと感光体との間隙(現像ニップ)において形成される磁気ブラシの穂が緻密になり、感光体と十分な接触確率を得ることができるために画質向上の効果が期待できる。
しかしながら、硬度の高いキャリアによって形成されている剛直化した磁気ブラシが感光体に対して、速度差をもって摺擦するために感光体への負荷が増大したり、感光体との接触ムラが生じるために画像にザラツキ感を与え、階調性や中間調の再現が低下する等の画質への影響が懸念される。
一方、従来、画像形成装置において、潜像担持体を所要の極性・電位に帯電させる帯電装置としては、コロナ帯電器が一般的であった。コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、例えば、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を潜像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより、生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面を晒すことで潜像担持体面を所定に帯電させるものである。
接触帯電装置は、潜像担持体に、ローラ型、ファーブラシ型、磁気ブラシ型又はブレード型等の導電性の帯電部材を接触させ、この帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して、潜像担持体を所定の極性・電位に帯電させるものであり、なかでもローラ帯電方式は帯電の安定性と言う点で好ましく、広く用いられている。
しかしながら、ローラが感光体表面に接触しているが故に、従来のコロナ放電による帯電プロセスを用いた装置では発生しなかった新たな画像欠陥という問題が発生するようになってきている。すなわち、感光体に局所的な劣化部が存在すると、接触帯電時に局所的な高電場が劣化部に加わって電気的なピンホールを生じ、これがリーク(絶縁破壊)を引き起こす。このピンホールリークは感光層の塗膜欠陥により発生する場合もあるが、それ以外にも上述したように感光体へのキャリア付着等、電子写真装置内から発生した導電性の異物が感光体中に接触又は感光体中に貫入して接触帯電装置と支持体との導電路を形成しやすくなっているために生じる場合もある。
したがって、残留電位の上昇を生じない安定した電気特性に加えてリーク防止性を有する下引き層が望まれている。
被膜キャリアには、トナーに適切かつ安定した帯電性(電荷量や電荷分布)を長期にわたって付与し、かつ耐衝撃性、耐摩擦性が高く、帯電性付与能等が長期にわたって変化しない等の緒特性が要求され、種々の検討が、特許文献30(特許第2872982号公報)、特許文献31(特開平08−262806号公報)等に提案されている。
また、現像剤中のキャリアは現像装置内でトナーとの摩擦、スリーブやブレードなどの摺擦部材、規制部材やスクリュー、パドルなどの攪拌搬送部材により機械的な摩擦や衝撃を繰り返し受けている。このような環境のもとでキャリアを長期的に使用すると、キャリア表面の被膜が摩耗により失われて、所望の帯電性が得られなくなると同時に、スペントの防止機能が働かなくなり、キャリアスペント防止と安定した帯電性付与能の維持を両立させることは困難であった。
したがって、現像剤の長寿命化のためには、スペントの影響を受けないキャリア構造、並びに耐衝撃性や耐摩耗性にも優れた、耐久性の高い材料が求められている。
本発明の第一の目的は、長期にわたり優れた環境安定性と電気特性を維持し、特に、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像方式や接触帯電方式において、キャリア付着等によるリーク防止効果が得られ、かつ小型化に対応し得る画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、長期にわたり、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れた画像品質が得られ、かつ、潜像担持体への負荷を低減できると同時に、傷発生に起因する画質への影響を抑制できる画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
(1)「潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置」
(2)「前記金属酸化物が酸化チタンであり、かつ一方の酸化チタン(T1)の平均粒径を(D1)、他方の酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<D2/D1≦0.5の関係を満たすことを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置」
(3)「前記酸化チタン(T2)の平均粒径(D2)が0.05μm<D2<0.20μmであり、かつ(T1)と(T2)との重量混合比率が、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の画像形成装置」
(4)「前記中間層が下記一般式(1)で示される有機金属化合物から生成される重合物を含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の画像形成装置;
(5)「前記中間層が有機金属化合物とシランカップリング剤とを含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の画像形成装置」
(6)「前記中間層の膜厚が0.05〜0.5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れかに記載の画像形成装置」
(7)「前記下引き層の膜厚が3〜15μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項の何れかに記載の画像形成装置」
(8)「前記導電性支持体の表面粗さが十点平均粗さRzにおいて0.05〜1.0μmであり、かつ最大高さRyにおいて0.5〜1.5μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の画像形成装置」
(9)「前記導電性支持体がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる無切削管であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の画像形成装置」
(10)「前記導電性支持体が直径30mm以下の導電性円筒状支持体であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項の何れかに記載の画像形成装置」
(11)「前記導電性支持体がエンドレスベルトであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の画像形成装置」
(12)「前記弾性を有する表面を備えた磁性キャリアが、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とからなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項の何れかに記載の画像形成装置」
(13)「前記樹脂層がユニバーサル硬さ試験における弾性変形率ηHUが30%以上、70%以下であることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(14)「前記樹脂層がユニバーサル硬さHUが150N/mm2以上、400N/mm2以下であることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(15)「前記キャリアの重量平均粒径Dwが20〜80μmであることを特徴とする前記第(12)項に記載の画像形成装置」
(16)「前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なうことを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れかに記載の画像形成装置」
(17)「少なくとも前記第(1)項乃至第(16)項の何れかに記載の画像形成装置本体に対して着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、少なくとも潜像担持体、帯電手段、現像手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ」
(18)「前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする前記第(17)項に記載のプロセスカートリッジ」
つまり、本発明によれば、主に特定の下引き層および中間層を有する潜像担持体を使用することにより、成膜性、密着性が良好で、環境安定性に優れた小型化に対応し得る画像形成装置を低コストで提供でき、また、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像方式や接触帯電方式において、キャリア付着等によるリーク防止効果が得られる画像形成装置を提供でき、更に、主に弾性を有する表面を備えた小粒径キャリアを用いることにより、耐衝撃性、耐摩耗性に優れ、トナー組成物のスペントによる帯電変動がなく、長期に渡り安定した帯電付与能力を維持し、かつ、潜像担持体への負荷を低減でき、細線再現性、画像濃度安定性、階調性に優れた画像形成装置を得ることができたものと思われる。
説明の都合上、本発明における最良の形態の例を、主に積層型感光体について説明するが、本発明は積層型感光体に限定されるものではない。
本発明の画像形成装置に用いられる潜像担持体は、導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等)を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とするものである。
図1は、本発明において用いられる電子写真感光体の一例を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層(26)が順次形成されているものである。
図2は、別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(24)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(25)が順次形成されているものである。
図3は、更に別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層(22)と、有機金属化合物を主成分として含有する中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(24)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(25)が順次形成されているおり、更にその上に保護層(27)が形成されているものである。
本発明に用いられる潜像担持体の構成は、導電性支持体上に、少なくとも平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する下引き層、有機金属化合物を主成分として含有する中間層、および感光層が順次形成されていれば、上記に示す層等が任意に組み合わされていても構わない。
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。アルミ素管についてはJIS3003系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金を、EI法、ED法、DI法、II法など一般的な方法により管状に成形を行なったもの、さらにはダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等を行なったものを用いることができる。
また、フレキシブルにレイアウトできることから装置の小型化が図れるエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等を導電性支持体(21)として有効に用いることができる。
前述したように導電性支持体のコストダウンのために無切削アルミニウム管が用いられることがある。このための無切削アルミニウム管としては、特開平3−192265号公報に記載されているように、アルミニウム円板を深絞り加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたDI管、アルミニウム円板をインパクト加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたII管、アルミニウム押出管の外表面をしごき加工によって仕上げたEI管、押出加工後冷間引抜き加工したED管が知られている。その表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が0.05〜1.0μm、かつ最大高さ(Ry)が0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましい。これらの無切削アルミニウム管は、モアレ等の異常画像が発生しやすいものであるが、本発明に用いられる感光体構成によれば、後記する実施例からも明らかなように、無切削アルミニウム管を使用してもモアレ等の異常画像が発生せず、低コストでかつ長期にわたって高品位の画像を維持できる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(21)として良好に用いることができる。
本発明に用いられる感光体おいて、下引き層(22)は、導電性支持体(21)と中間層(22)との間に設けられる、少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有する層である。
本発明の下引き層(23)に含有される金属酸化物としては、可視光および近赤外光に殆ど吸収のない、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルムニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化インジウム等が望ましく、支持体表面の欠陥部の被覆、モアレ画像の防止、感光層のキャリア注入性の改良等を目的としている。中でも、酸化チタンは、適当な導電性を有しており、導電性キャリアを電子とするN型半導性粒子であるため、支持体からの正孔注入を効率的にブロックする。更に、他の金属酸化物に比べて屈折率が高く、下引き層に用いた際に光の透過率が低くなるため、画質低下への影響が少ない。
酸化チタンは、結晶構造の違いによりルチル形とアナタース形とを有し、この結晶形により比重、屈折率、硬度等の物性が異なる。本実施形態においてはルチル形を用いているが、アナタース形を用いてもよいし、両者を併用してもよい。
さらに、酸化チタン粒子としては、分散性向上等の諸特性を改善するために、含水アルミナ処理や、含水二酸化ケイ素系処理または酸化亜鉛処理等による表面被覆処理を施したもの等を適宜用いることができ、また均一な表面処理を行なうために、酸化チタン粒子の表面に複数回の表面処理を施すことも有効である。
また、適切な比抵抗を得るために、必要に応じて酸化錫等を用いて導電性被覆層を設けたものを用いることも有効である。
本発明のように、特定範囲の粒径を有する酸化チタンを特定の比率で含有することにより、塗布液の分散安定性が良好で、かつ塗布液の粘度調整を容易に行なえるために、均一な塗膜形成が可能となり、耐リークを向上させ、繰り返し使用による残留電位上昇が引き起こす画像劣化を抑制できる。
この2種の酸化チタンの粒径比(D2/D1)が、1/5<D2/D1≦1/2の範囲を超えた場合、及び/又は、チタン(T2)の平均粒径(D2)が0.05μm<D2<0.20μm、かつ重量混合比率が、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の範囲を超えた場合、すなわち、微粒子から構成される下引き層では、モアレ画像防止の効果は低く、また、塗工液中での大粒径の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすくなるために、分散性が悪化する。
なお、本発明における平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)を用いて測定し、粒度分布を得るとともに、装置保有の解析モードにより得た。
粒度分布測定用の測定液は、水100ミリリットル中に酸化チタン10g、分散剤を添加し、pHを10.5に調整後、ジルコニアビーズ(φ0.5mm)を200g投入し、ペイントシェーカーにて2時間分散を行い、得られた酸化チタン分散液数滴をpH10.5に調整した水300ミリリットル中に滴下後、さらに超音波分散を1分行なって調整した。
硬化性樹脂のうち熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基を有するため、適当な硬化剤を含有させることによって、架橋、硬化させることができる。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノール樹脂等、公知の硬化剤を用いることができる。
また、紫外線硬化樹脂または電子線硬化樹脂としては、紫外線照射または電子線照射によって重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーであれば、その種類は特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリアクリレート樹脂、ポリエステルポリメタクリレート樹脂、エポキシポリアクリレート樹脂、エポキシポリメタクリレート樹脂、ウレタンポリアクリレート樹脂、ウレタンポリメタクリレート樹脂、アクリルポリアクリレート樹脂、アクリルポリメタクリレート樹脂等、公知の種々のものが使用できる。
また、紫外線硬化させる場合、一般に光重合開始剤が配合される。光重合開始剤としては、例えば、紫外線硬化樹脂用として通常用いられる公知の光重合開始剤を用いることができる。また、光重合開始剤を配合しない場合は、一般に電子線の照射により架橋させることができるので、電子線硬化樹脂として用いることができる。
アルキッド樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「ベッコゾール」シリーズ、「スーパーベッコゾール」シリーズなどが挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のブチル化メラミン樹脂である「スーパーベッカミン」シリーズ、三井サイテック社製の「サイメル」シリーズ、住友化学社製の「スミマール」シリーズ、三和ケミカル社製の「ニカラック」シリーズなどが挙げられる。
フェノール樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「プライオーフェン」シリーズが挙げられる。
下引き層の塗膜の熱硬化は、下引き層塗布後直ちに行ってもよいが、下引き層上の中間層(23)を形成する際の過熱によって行ってもよい。
乾燥温度は、10℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で5分〜5時間、好ましくは10分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。
下引き層の膜厚は、1μm以上が好ましく、更に好ましくは、3〜10μm程度が適当である。
下引き層の膜厚は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて行なった。
本発明に用いられる感光体おいて、中間層(23)は、下引き層(22)と感光層(26)との間に設けられる、有機金属化合物を主成分として含有する層である。
一般的な有機感光体に用いられる感光層(26)は、その多くが低分子化合物として開発されており、低分子化合物は単独で成膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。例えば、機能分離型積層感光体の場合、このような低分子電荷輸送物質と不活性高分子から構成される電荷輸送層は、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合に、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な感光体表面への負荷による摩耗のために、膜厚減少を引き起こす。また、帯電部材を感光体に接触させて感光体表面を帯電させる接触帯電装置は、電源の低圧化が図れ、オゾン発生量が少ない等の長所を有する反面、従来用いられてきたコロナ帯電器よりも、摩耗を促進させる。この膜厚減少は、電界強度の上昇を招き、下引き層が導電性支持体からの電荷注入を十分にブロックすることができないために、本来、画像を印字しない白地領域に無数の黒点が発生する現象、すなわち地汚れの発生を誘発させ、画像品質は著しくする。
したがって、支持体(21)からの電荷注入によって発生する地汚れを抑制し、さらに環境変動による影響のない、安定した電子写真特性を長期わたって維持するためには、下引き層(22)と感光層(26)との間に中間層(23)を設けることが極めて有効な手段である。さらに、この技術によって、適当な導電性を下引き層(22)に持たせることができるために厚膜化が可能となり、特に接触帯電手段を有する画像形成装置に用いた場合に発生しやすい感光体表面へのキャリア付着等に起因するリーク防止効果が向上する。
一般に、有機金属化合物からなる中間層(23)は、その粘弾性の低さ故にクラック等が発生してしまい、その成膜性に致命的な欠点を有するものであったが、本発明の下引き層(22)との組み合わせにより、成膜不良による画像欠陥の課題を解決でき、更にはこの無機系の硬化膜特有の優れた環境安定性を十分に発揮し得るものである。
一般に、有機金属化合物を主成分とした場合、成膜時の体積収縮が大きいため、クラック発生の問題が懸念されていた。これは、モアレ画像の防止や支持体表面の欠陥部の被覆を目的として施される切削加工やホーニング処理等の表面処理により、または中間層との接着性やモアレ画像防止を目的に含有された下引き層中の導電性粒子等により、凹凸部が存在することは不可避であるが、これがクラック等の発生を誘発する過剰な表面物性を有することに起因するものと考えられる。これに対し、本発明の下引き層(22)の構成は、特定の粒径および混合比でもって含有されている金属酸化物と硬化性樹脂が、下引き層(22)の適切な充填化を実現し、かつその表面特性が中間層(23)の成膜時における体積収縮の局所的な応力集中を緩和している。すなわち、本発明の下引き層自身が、有機金属化合物を主成分とする中間層(23)との間に生じる歪みを吸収する緩衝層としての機能をも担っているために、クラックや細孔の発生を抑制できるものと考えられる。したがって、本発明の中間層(23)の成膜性を飛躍的に高めることができる。
また、適当な導電性を有する厚膜の下引き層(22)が、支持体欠陥部の被覆、モアレ防止およびピンホール防止機能を有し、下引き層(22)とその上に形成される薄膜の中間層(23)がともに、残留電位の蓄積を引き起こすことなく、地汚れの原因となる支持体(21)からの電荷注入を防止する機能を有する。したがって、像露光によって感光層で発生した電荷のうち、支持体側へ流出されるべき電荷が下引き層(22)および中間層(23)にトラップされることなく、電荷の流れが円滑に行なわれるために、露光部と非露光部との電気特性の差により発生するゴースト画像の発生を抑制することができる。
ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムトリn−ブトキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、ジルコニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、ジルコニウムラクテート、メタクリレートジルコニウムブトキサイド、ステアリレートジルコニウムブトキサイド、イソステアレートジルコニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものでなく、これらを単独もしくは2種以上組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、中間層(23)は、所望により、他に少量(通常、有機金属化合物100重量部当り0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部)の結合剤樹脂を含んでいても良いが、本発明の環境安定性に優れ、さらに高画質化および小型化を実現し得る画像形成装置においては、環境安定性、塗膜均一性、相溶性、液保存性の観点から添加しない方が好ましい。本発明において有機金属化合物を主成分とするとはこのような意味である。
中間層(23)の膜厚は、残留電位の上昇や感度低下を引き起こすことなく、電気的なブロッッキング機能を有する3μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05〜0.5μm程度が適当である。
次に、感光層(26)について説明する。本発明における感光層(26)は積層構成でも単層構成でもよいが、ここでは、説明の都合上、まず、積層構成について述べる。
はじめに電荷発生層(24)について説明する。
電荷発生層(24)は、画像露光により潜像電荷を発生分離させることを目的とし、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系染料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
高分子電荷輸送物質として、以下のような公知の材料が使用できる。
たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開平8−269183号公報、特開平9−151248号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号、特開平9−328539号公報、特開平9−272735号公報、特開平9−241369号公報、特開平11−29634号公報、特開平11−5836号公報、特開平11−71453号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開2000−38442号公報に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(24)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂とともに、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶剤を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層(24)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層(25)は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層(24)で発生した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的と達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(24)上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(24)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質を用いることができる。
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。
併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
また、併用できる可塑剤としては、例えばハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等やポリエステル等の重合体および共重合体などが挙げられ、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶剤の使用は望ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、およびそれらの誘導体が良好に用いられる。
電荷輸送層(25)の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
更に、電荷輸送層(25)が感光体の最表層となる場合、無機および/または有機粒子を含有させることも有効である。
感光体表面の摩耗や傷などの機械的負荷に対する耐久性と繰り返し使用による残留電位の蓄積や帯電性低下などの静電特性上の耐久性に大別されるが、機械的耐久性に劣ることも感光体の寿命を決定する要因となっている。また、これらの耐久性以外に、感光体表層は、コロナ帯電時に生ずるオゾンによって生成する低抵抗物質の付着、あるいはトナーのクリーニング不良によるフィルミング、融着といった画像劣化を引き起こす要因を持っている。そのため、機械的耐久性とともに感光体寿命を左右する感光体表面への各種付着物に対する離型性も求められる。
更にこれらの粒子は、分散性向上、表面性改質等の理由から少なくとも1種の無機物、有機物で表面処理させることが好ましい。
これまで、感光層が積層の場合について述べたが、本発明においては、感光層(26)が単層構成でも構わない。単層構成の感光層(26)は、前述した電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを中間層(23)上に塗布、乾燥することにより形成できる。結着樹脂としては、電荷発生層(24)や電荷輸送層(25)の説明で挙げた材料を用いることができる。さらに、前述した高分子電荷輸送物質も結着樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、良好に使用される。
また、先の電荷輸送層(25)の説明に記載した無機、有機粒子も良好に使用できる。
また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。
感光層(26)の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
これに使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン/ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、2種以上の酸化防止剤を混合して添加することにより効果が顕著に高まることがあり、有効である。本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0〜10重量%である。
本発明は、潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと弾性を有する表面を備えた磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該弾性を有する表面を備えた磁性キャリアは、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とから構成される。
この二成分現像方式では、トナーとキャリアとを混合して、両者を相互に摩擦帯電させ、トナーに適当量の正または負の電荷を付与している。
トナー粒子に十分な電荷量を付与するため、トナー粒子とキャリア粒子は、攪拌・摩擦時に、その接触部分で局所的に大きな圧力がかかり、このことがトナー組成物をキャリア表面に固着させ、また、キャリア被覆層を摩耗、剥離させる大きな要因であった。これまでのキャリア粒子は、より硬く、変形しにくい構造および組成ものを採用することにより、機械的耐久性を向上させようとする傾向にあったが、本発明では、耐衝撃性、耐摩耗性に加え、更に適正な柔軟性、硬度を有するキャリア粒子を用いるものである。本発明のキャリア粒子は、摩擦時にトナー粒子との接触部分に加わる局所的な圧力を変形により吸収し、また、トナーとの接触面積を増加させることによって、接触圧力を周辺部分に均等に分散・緩和できる。
における磁気ブラシの硬さも重要である。
従来のキャリアは、導電性の芯材表面を絶縁性樹脂等により被覆して用いており、現像器内で繰り返し受ける機械的負荷を回避できるような材料設計がなされているが、このようなキャリア粒子は依然として、磁気ブラシを硬くする傾向にある。したがって、小粒径キャリアを用いた場合、微小ドットの潜像が忠実に現像されるため、高画質化に有効であるが、階調性や中間調の再現が低下する傾向にあった。
しかしながら、本発明のキャリア粒子は、弾性を有する表面を備えているために、従来の課題を解消するものであり、硬度の高いキャリアから形成される磁気ブラシが剛直化することなく、感光体への接触ムラをなくし、優れた階調性や中間調の再現を可能にする。
また、本発明の被覆層を有するキャリア自身がもつ弾性力により、キャリア粒子の流動性を高く保つことができるために、キャリア粒子間の摩擦が少なく、耐摩耗性が向上する。
更に、柔軟な磁気ブラシは、速度差をもって接触しても、感光体に与える負荷を低減し、摺擦により発生する傷を抑制できるという優れた効果を奏する。
更にまた、小粒径のキャリアを用いた場合、現像ニップにおいて磁気ブラシが硬くなりすぎることがないために、適当な進入量を確保でき、感光体への必要十分な濃度のトナー供給が可能となる。
弾性変形率ηHUが400N/mm2より大きい場合、および/又はユニバーサル硬さHUが70%より大きい場合、スリーブやブレード等の摺擦部材やスクリュー、パドル等の攪拌搬送部材などから受ける機械的な摩擦力の増大により、被覆樹脂の密着性が損なわれ、不均一な剥離を生ずる不具合が発生しやすくなり、キャリアの帯電挙動が変化する。
また、磁気ブラシが剛直化し、これを構成するキャリア粒子の流動性が悪くなり、現像時に感光体との接触ムラを生じ、画像へざらつき感を与えてしまう。
弾性変形率ηHUが30%より小さい場合、トナー粒子とキャリア粒子との攪拌、摩擦時において、局所的な圧力がトナーの外添材をキャリアに押し付けてしまい、この状態で感光体と接触すると、その接触部を起点に傷を生じる。また、トナー粒子との接触圧力の均等化が図れないために、キャリア表面へのトナー組成物の固着が著しく、使用初期からトナー帯電量が不安定な状態となる。
また、ユニバーサル硬さHUが150N/mm2より小さい場合、摺擦部材や攪拌搬送部材などによる機械的な摩擦により被覆樹脂層が摩耗する不具合が発生しやすくなり、やはりキャリア帯電挙動が変化する。
したがって、本発明のキャリア粒子を用いることにより、耐摩耗性、耐衝撃性に優れ、更に、キャリア粒子間に挟まれたトナー粒子に対して、局所的な衝撃力がかかることにより発生するキャリア汚染(スペント)を抑制できるため、長期にわたり、所望の帯電付与能を維持できる。
また、柔軟な磁気ブラシの形成は、キャリア粒子の流動性を高く保つことができるために、キャリア粒子間の摩擦が少なく、現像ニップにおける適当な磁気ブラシの進入量を確保は、高濃度のトナー画像、および優れた階調性や中間調の再現を可能にする。
弾性変形率ηHUは次の式で求めることができる。
HU=F/26.43h2
ここで、F:試験荷重(N)、h:試験荷重下でのくぼみ深さ(mm)である。
逆に重量平均粒径DWが20μm未満のキャリアでは、キャリア自身の流動性が悪くなり、1個当たりの磁力が小さくなるので、現像スリーブ上での動きが悪くなる。
更に、高画質化を達成するために現像剤担持体から静電潜像側に交流電圧を印加する場合には、キャリア粒子間の磁力を上回り、飛散してキャリア付着の原因となり、特にカラー画像において、静電潜像の画像部へ付着した場合には、十分な色調が得られないのみならず、画像表面にざらつき感を与える。
また、導電性のキャリアが感光体表面に付着または突き刺さった状態で、装置が作動すると、そこを起点とした傷が発生するばかりでなく、接触帯電装置を用いた場合には、該帯電装置と感光体を構成する導電性支持体との間に導電路を形成してしまうことになり、画像品質は著しく低下する。
この場合の重量平均粒径Dwは次式で表わされる。
Dw={1/Σ(nD3)}×{Σ(nD4)}
上式中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示す。
なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの長さを採用した。
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
計(モデルHRA 9320−X100:Honewell社製)を用いた。その測定条件は以下の通りである。
(1)粒径範囲:100〜8μm
(2)チャネル長さ(チャネル幅):2μm
(3)チャネル数:46
(4)屈折率:2.42
MO・Fe2O3 ・・・(1)
M・Fe2O4 ・・・(2)
(式中、Mは3価、2価又は1価の金属イオンを示す。)
上記の磁性を有する金属化合物粒子の具体的化合物としては、例えば、マグネタイト、Zn−Fe系フェライト、Mn−Zn−Fe系フェライト、Ni−Zn−Feフェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Mn−Fe系フェライト、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト及びCu−Zn−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。
金属化合物粒子としては、上記の磁性を有する金属化合物と下記の非磁性の金属化合物とを混合して用いても良い。
非磁性の金属化合物としては、例えば、Al2O3、SiO2、CaO、TiO2、V2O5、CrO、MnO2、α−Fe2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y2O3及びZrO2が挙げられる。この場合、1種類の金属化合物を用いることもできるが、2種以上の金属化合物を混合しても良い。
組み合わせの具体例としては、例えば、マグネタイトとヘマタイト、マグネタイトとr−Fe2O3、マグネタイトとSiO2、マグネタイトとAl2O3、マグネタイトとTiO2、マグネタイトとCa−Mn−Fe系フェライト、マグネタイトとCa−MgFe系フェライトが挙げられる。
これらのモノマーは単独または混合して使用することができ、好ましい特性が得られるような好適な重合体組成を選択することができる。
その他の結着樹脂のモノマーとして、エポキシ樹脂の出発原料としてなるビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂の尿素とアルデヒド類;メラミンとアルデヒド類が挙げられる。
キャリア被覆層に使用される樹脂としては、弾性を有するものであれば、公知の材料を何ら限定されることなく使用できるが、表面部分での環境安定性、トナー粒子との摩擦帯電性等から、被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。中でも、よりトナー成分の固着を防止する点で被覆層用の材料として好ましいのはシリコーン樹脂またはその変成品、弗素樹脂、特にはシリコーン樹脂またはその変成品である。
上記式中R1は水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基またはフェニル基、R2およびR3は水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記式で示される基である。
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂など。
特に、流動層型コーティング装置を用いる方法は、均一な被覆層を形成するのに有効である。
キャリア芯材粒子表面上に被覆層の厚みは、通常0.02〜1μm、好ましくは0.03〜0.8μmである。被覆層の厚みはきわめて小さいことから、芯材粒子表面上に被覆層を形成したキャリアとキャリア芯材粒子の粒径は実質的に同じである。
本発明で用いるアミノシランカップリング剤としては以下のようなものが挙げられる。含有量は、0.001〜30重量%が好ましい。
このような微粒子としては、従来公知の材料を単独、または混合して用いることが可能であり、代表的にはSi酸化物、Ti酸化物、Al酸化物などがある。
被覆層中に含有させる硬質微粒子の含有量として2〜70重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%の範囲である。含有量は用いる微粒子の粒子径、比表面積によって、適切に選ばれるが、2重量%未満では被覆層の耐摩耗効果が発現しにくく、70重量%を超えると、微粒子の脱離が生じやすくなる。
使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の電子写真用トナーとして使用されるものを特に制限なく用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形または球形のトナーである。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
アルコール成分としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。
離型材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
特に好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子が挙げられる。シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上クラリアントジャパン)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上日本アエロジル)がある。また、チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル)やSTT−30、STT−65C−S(以上チタン工業)、TAF−140(富士チタン工業)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−15
0A(以上テイカ)などがある。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル)やSTT−30A、STT−65S−S(以上チタン工業)、TAF−500T、TAF−1500T(以上富士チタン工業)、MT−100S、MT−100T(以上テイカ)、IT−S(石原産業)などがある。
るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。トナー粒径は、その重量平均粒径Dtは9.0〜3.0μm、好ましくは7.5〜3.5μmである。キャリアに対するトナーの割合は、キャリア100重量部当り、トナー2〜25重量部、好ましくは3〜20重量部の割合である。
なお、トナー粒径はコールターカウンター(コールターカウンター社製)を用いて測定した。
本発明は、潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと弾性を有する表面を備えた磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
ドラム状の潜像担持体(11)の周囲に、帯電手段(12)、露光手段(13)、現像手段(14)、転写手段(16)、クリーニング手段(17)、除電手段(1A)が配置されており、以下の動作で画像形成を行なう。
潜像担持体(11)および現像手段(14)には、上記本発明の潜像担持体、およびキャリアが用いられている。
画像形成の一連のプロセスは、ネガ−ポジプロセスで説明を行なう。潜像担持体(11)は除電手段(1A)で除電され、帯電手段(12)で均一にマイナスに帯電され、露光手段(13)より照射されるレーザー光で潜像形成が行なわれる。
帯電手段(12)は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段(12)は、オゾン発生の低減や消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用される。
本発明の効果は前述したように接触配置した帯電手段を用いた場合に顕著となる。本発明の転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
また、露光手段(13)、除電手段(1A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
一方、転写手段(16)により、受像媒体(例えば紙)(18)にトナー像が転写される。このとき転写手段(16)には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後受像媒体(18)は潜像担持体(11)より分離された後、定着手段(19)を経て出力画像として排出される。
また、潜像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング手段(17)にて回収される。回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
クリーニング手段(17)は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。また、転写効率およびクリーニング効率を向上するため、感光体の表面エネルギーを低減させるべく潤滑剤、例えば脂肪酸金属塩を感光体表面へ供給し、画像形成を行なう方法も有効である。感光体表面への低表面エネルギー化剤の供給手段については、現像剤中に脂肪酸金属塩を含有させる方法、またはステアリン酸亜鉛等の固形素材を、クリーニング手段を兼ねたブラシロールを介して供給する方法、およびその他公知の方法が用いられる。
潜像担持体(11)には、本発明の感光体が用いられている。潜像担持体(11)は、駆動手段(1C)により駆動され、帯電手段(12)による帯電、露光手段(13)による像露光、現像(図示せず)、転写手段(16)による転写、クリーニング前露光手段(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング手段(17)によるクリーニング、除電手段(1A)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
潜像担持体(11)の側方に配設された現像手段(14)は、現像剤担持体としての現像スリーブ(41)、現像剤収容部材(42)、規制部材としてのドクターブレード(43)、支持ケース(44)等から主に構成されている。
潜像担持体(11)側に開口を有する支持ケース(44)には、内部にトナー(15)を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー(45)が接合されている。トナーホッパー(45)に隣接した、トナー(15)とキャリア粒子とからなる現像剤(20)を収容する現像剤収容部(46)には、トナー粒子(15)とキャリア粒子を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構(47)が設けられている。
トナーホッパー(45)の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)が配設されている。トナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)は、トナーホッパー(45)内のトナー(15)を現像剤収容部(46)に向けて撹拌しながら送り出す。
潜像担持体(11)とトナーホッパー(45)との間の空間には、現像スリーブ(41)が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ(41)は、キャリア粒子による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像手段(14)に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材(42)の、支持ケース(44)に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)(43)が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)(43)は、その先端と現像スリーブ(41)の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
上記構成により、トナーホッパー(45)の内部からトナーアジテータ(48)、トナー補給機構(49)によって送り出されたトナー(15)は、現像剤収容部(46)へ運ばれ、現像剤撹拌機構(47)で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア粒子と共に現像剤(20)として、現像スリーブ(41)に担持されて潜像担持体(11)の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー(15)のみが潜像担持体(11)上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、潜像担持体(11)上にトナー像が形成される。
図7は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。潜像担持体(11)および現像手段(14)には、上記本発明の感光体およびキャリアが用いられている。プロセスカートリッジの形態等には、多数のものが挙げられるが、図7に示すものは、接触帯電手段を用いた一般的な形態のプロセスカートリッジの例である。
なお、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わす。
本発明で使用される導電性支持体(21)は、サーフコム1400D(東京精密製)を用い、表面粗さRz(JIS B0601−1994規格)を評価長さ(Ln):4mm、基準長さ(L):0.8mm、最大高さRy(JIS B0601−1994規格)を評価長さ(L):4mm、基準長さ(L):0.8mmにて測定した。
十点平均粗さ(Rz)とは、図8に1例が示されるように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(L)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの標高(Yv)の絶対値の平均値との和である。
最大高さ(Ry)とは、図9に1例が示されるように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(L)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の長さから最も高い山頂までの高さ(Yp)と、最も低い谷底までの深さ(Yv)との和である。
(感光体製造例1)
導電性円筒状支持体として、直径30mm、長さ340mmの3003系アルミニウム合金からなるED管(十点平均粗さ(Rz):0.55μm、最大高さ(Ry):0.7μm)を用意した。このED管上に、下記組成の下引き層用塗工液、中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、本発明の感光体1を得た。
〔下引き層用塗工液〕
下記組成からなる混合物をボールミルで72時間分散し、下引き層用塗工液を作成した。この下引き層用塗工液を、上記ED管上に浸漬塗布した後、120℃で25分間乾燥し、約4.0μmの下引き層を形成した。
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
アルキッド樹脂 20部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミン G−821−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メチルエチルケトン 100部
下記組成からなる中間層用塗工液を前記下引き層上に、リング塗工機により塗布し、140℃で10分間加熱し、約0.15μm中間層を形成した。
トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 10部
(オルガチックスZC540、松本製薬(株)製)
エチルアルコール 75部
n−ブチルアルコール 25部
下記構造式で表わされるビスアゾ顔料 2.5部
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で20分間加熱乾燥して、25μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質(D−1) 10部
感光体製造例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体2を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱可塑性ポリアミド樹脂 25部
(アミランCM8000、東レ(株)社製)
メチルアルコール 64部
n−ブチルアルコール 16部
感光体製造例1において、中間層を設けない以外は感光体製造例1と同様に感光体3を作製した。
感光体製造例1における導電性支持体を、厚さ30μmのニッケルシームレスベルト(十点平均粗さ(Rz):0.70μm、最大高さ(Ry):1.1μm)に変更し、下引き層用塗工液および中間層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体4を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(TA−3000 平均粒径:0.30μm、富士チタン工業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱硬化性フェノール樹脂 23部
(ブライオーフェン J−325、固形分:70%、大日本インキ化学工業(株)社製)
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 20部
(オルガチックスZC540、松本製薬工業(株)製)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 2部
(A1110、日本ユニカー(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−S、積水化学(株)製)
n−ブチルアルコール 70部
感光体製造例4における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例4と同様に感光体5を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 40部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
酸化チタンT2 60部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業(株)社製)
熱可塑性ポリアミド樹脂 25部
(アミランCM8000、東レ(株)社製)
メチルアルコール 64部
n−ブチルアルコール 16部
感光体製造例4における中間層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様に感光体6を作製した。
〔中間層用塗工液〕
ジプロピルオキシチタンアセチルアセトネート 10部
(オルガチックスTC100、松本製薬工業(株)社製)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
(A1110、日本ユニカー(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−1、積水化学(株)製)
イソプロピルアルコール 70部
感光体製造例4における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体製造例4と同様に感光体7を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
酸化チタンT1 100部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業(株)社製)
熱硬化性アルキッド樹脂 20部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミン G−821−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)社製)
メチルエチルケトン 100部
(芯材粒子製造例1〜5)
マンガン及び鉄の酸化物を混合し、ボールミルを用い、水中で48時間湿式粉砕・分散した後乾燥して、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で850℃、1時間の仮焼を行なった。
湿式粉砕は、粉砕メディアとしては10mmφのジルコニアボールをボールミルポット容積の30vol%充填し、固形分を25%となるように調整した酸化物スラリーをボールミルポット容積の20vol%充填して行なった。
続いて、得られた仮焼物を、再度同様の条件で、ボールミルを用い水中で24時間湿式粉砕・分散し、マンガン鉄複合酸化物のスラリーを得た。
このスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール及び分散剤を加え、スプレードライヤーを用いて造粒・乾燥し、超音波振動篩を用いて分級し、造粒粒子を作成した。
得られた造粒粒子を、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で1200℃、4時間の本焼成して、マンガンフェライト粒子を得た。
更に、得られたマンガンフェライト粒子を、超音波振動篩を用いて分級し、芯材粒子1〜5を得た。
フェノール(ヒドロキシルベンゼン)50質量部、37質量%のホルマリン水溶液80質量部、水50質量部、チタンカップリング剤で表面処理されたマグネタイト微粒子280質量部、チタンカップリング剤で表面処理されたアルミナ微粒子120質量部、および28質量%のアンモニア水15質量部を四つ口フラスコに入れ、攪拌混合しながら40分間で85℃まで昇温保持し、180分間反応、硬化させる。その後30℃まで冷却し500質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾して、芯材粒子6を得た。
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)100部、アクリル樹脂50部の割合で含むトルエン希釈混合物(固形分:20wt%)に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を2.0部添加し、さらにトルエンを150部添加してキャリア被覆層塗布液1を得た。
キャリア被覆層の膜厚の調整はコート液量により行い、膜厚の測定は、キャリアを破砕し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することで求めた。
ポリエチレンイミン/シリコーン樹脂(=50/50)グラフト重合体溶液(固形分:10wt%)500部に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を5.0部添加し、さらにエチルアルコールを475部添加してキャリア被覆層塗布液2を得た。
次に、芯材粒子2に対して、上記塗布液2を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:33.1μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア2を得た。
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)20部、アクリル樹脂(ヒタロイド3001 日立化成工業(株)製)80部を含むトルエン希釈混合物(固形分:20wt%)に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を2.0部添加し、キャリア被覆層塗布液3を得た。
次に、芯材粒子3に対して、上記塗布液3を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:50.2μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア3を得た。
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)450部にγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を9部添加し、さらにトルエンを450部添加してキャリア被覆層塗布液4を得た。
次に、芯材粒子4に対して、上記塗布液2を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:34.6μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア4を得た。
シリコーン樹脂(SR2410 東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)450部にγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン(株)製)を9部添加し、さらにトルエンを450部添加してキャリア被覆層塗布液5を得た。
次に、芯材粒子1に対して、上記塗布液5を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:30.0μm、キャリア被覆層膜厚:0.3μmのキャリア5を得た。
キャリア製造例1における芯材粒子1を芯材粒子6に変更した以外は、キャリア製造例1と同様に重量平均粒径:35.5μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリア6を得た。
以上のように製造したキャリアを表1に示す。
部分架橋ポリエステル樹脂 79.5部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アルコール、
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加アルコール、
テレフタル酸、トリメリット酸の縮合重合物、
Mw=15000、ガラス転移点=61℃)
カーボンブラック 15部
ジ−tert―ブチルサリチル酸のジルコニウム塩 1部
カルナウバワックス;野田ワックス社製 5部
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整し、トナー母体を得た。
更に、トナー母体100部に対して、疎水性シリカ微粒子1部および疎水性酸化チタン微粒子1部を加えて、ヘンシェルミキサーでトータル2分間混合し、重量平均粒径6.8μmのトナーを得た。
評価の手順としては、最初の画像を出力して階調性の評価を行ない、5万枚の通紙試験後に再度、画像を出力してキャリア付着、地肌汚れ、絶縁破壊の有無、細線再現性、画像濃度、階調性の画質評価を行なった。
評価結果を表2に示す。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.4mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.7mm
・感光体線速度:245mm/sec
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.5
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−750V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC−500V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
常温常湿(23℃、55%RH)環境下で5万枚の複写終了後、ハーフトーン画像を複写し、キャリア付着による画像への影響を以下の基準で3段階に分けて判定した。
◎:キャリア付着は確認されず、画像品質が優れていた
○:キャリア傷による異常画像が見られるが、実用上問題ないレベルであった
×:感光体へのキャリア付着が発生し、傷による異常画像が発生した
複写画像の黒べた部の濃度をRD−914(マクベス社製)を使用して非画像部の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。5箇所の平均値を出し、以下の4段階に分けて判定した。
◎:黒ベタ部濃度が1.35以上
○:黒ベタ部濃度が1.0〜1.35未満
△:黒ベタ部濃度が0.8〜1.0未満
×:0.8未満
初期画像および常温常湿(23℃、55%RH)環境下で、5万枚の通紙試験後の評価を実施した。
階調性とは、濃度(又は色)の連続性とダイナミックレンジの広さをあらわすものであり、以下のように評価する。
線数を変えて中間調処理を施したパッチ(17段)を出力し、このパッチの明度(L*)を測定した。中間調処理としては、いわゆる線数を200lpiの水準で画像を出力した。明度(L*)の測定には、分光反射濃度計「X−rite938」(X−rite社製)を使用した。
階調性の数値化は、入力(データ上の面積率)に対する、17段のパッチを測色して求めた明度値の直線性から、いわゆるR2(一次式近似での自己相関係数の2乗)を計算するという方法を用いた。
これらは、階調性の評価方法に関するものであり、出力した階調画像が入力した階調画像に対してどの程度ずれているかを評価するものである。R2は相関係数を意味するものであり、入力と出力が一致していれば相関係数は1になり、出力が乱れれば相関は低下するので相関係数は低下する。
R2の値が0.98以上であれば、階調性に優れた画像が得られる。
画像の細線部を光学顕微鏡で100倍に拡大して観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら以下の基準で4段階に分けて判定した。
◎:ラインが連続して再現されており、画像品質が特に優れていた
○:ライン幅のバラツキが小さい
△:ライン画像の欠損が見られるが、実用上問題ないレベルであった
×:ライン画像の欠損が目立ち、画像品質上の問題があった
段階見本との比較によって以下の基準で3段階に分けて判定した。
◎:地肌汚れが全く観察されず、画像品質が優れていた
○:地肌汚れが僅かに観察されるが、実用上問題ないレベルであった
×:地肌汚れが観察され、実用上問題となる
○;電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生しなかった
×;電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生した
評価の手順としては、5万枚の通紙試験後に再度、画像を出力してキャリア付着、地肌汚れ、絶縁破壊の有無、細線再現性、画像濃度、階調性、剥離・クラックの発生等を総合的に評価した。
評価結果を表3に示す。
12 帯電手段
13 露光手段
14 現像手段
15 トナー
16 転写手段
17 クリーニング手段
18 受像媒体
19 定着手段
20 現像剤
21 導電性支持体
22 下引き層
23 中間層
24 電荷発生層
25 電荷輸送層
26 感光層
27 保護層
1A 除電手段
1B クリーニング前露光手段
1C 駆動手段
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤攪拌機構
48 トナーアジテータ
49 トナー補給機構
Claims (18)
- 潜像担持体に帯電手段を用いて均一帯電を行なった後、画像露光により静電潜像を形成して、トナーと磁性キャリアから成る二成分現像剤で顕像化し、顕像後のトナー像を転写装置で被転写体に転写し、被転写体上のトナー像を定着する画像形成装置において、該磁性キャリアが弾性を有する表面を備え、該潜像担持体が導電性支持体上に、少なくとも下引き層、中間層および感光層を順次積層し、該下引き層が少なくとも、平均粒径の異なる2種の金属酸化物と硬化性樹脂を含有し、かつ該中間層が有機金属化合物を主成分として含有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記金属酸化物が酸化チタンであり、かつ一方の酸化チタン(T1)の平均粒径を(D1)、他方の酸化チタン(T2)の平均粒径を(D2)とした場合、0.2<D2/D1≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記酸化チタン(T2)の平均粒径(D2)が0.05μm<D2<0.20μmであり、かつ(T1)と(T2)との重量混合比率が、0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記中間層が有機金属化合物とシランカップリング剤とを含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記中間層の膜厚が0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記下引き層の膜厚が3〜15μmであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記導電性支持体の表面粗さが十点平均粗さRzにおいて0.05〜1.0μmであり、かつ最大高さRyにおいて0.5〜1.5μmであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記導電性支持体がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる無切削管であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記導電性支持体が直径30mm以下の導電性円筒状支持体であることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記導電性支持体がエンドレスベルトであることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記弾性を有する表面を備えた磁性キャリアが、磁性を有する芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とからなることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の画像形成装置。
- 前記樹脂層がユニバーサル硬さ試験における弾性変形率ηHUが30%以上、70%以下であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 前記樹脂層がユニバーサル硬さHUが150N/mm2以上、400N/mm2以下であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 前記キャリアの重量平均粒径Dwが20〜80μmであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なうことを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の画像形成装置。
- 少なくとも請求項1乃至16の何れかに記載の画像形成装置本体に対して着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、少なくとも潜像担持体、帯電手段、現像手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 前記帯電手段が、接触配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
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