JP2004145074A - 有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、接触帯電方式の像形成方法に用いる有機感光体で、高精細のドット画像を形成し、画像むらや周期性の画像欠陥の発生を防止した有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いた鮮鋭性の良好な画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【解決手段】有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 図1
【解決手段】有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有することを特徴とする有機感光体。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる有機感光体、画像形成方法、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置たとえば普通紙複写機、レーザプリンタ、LEDプリンタなどに用いられる感光体への帯電装置は非接触のコロナ放電装置を使うのが一般的でこれまで広く使われてきている。しかしコロナ放電装置は、気中放電であるためオゾンやNOxの発生が避けられない。
【0003】
又、コロナ帯電方式は一般的にはワイアとその回りにシールドケースを配置し、これらの間に高電圧を印加することになるが、長時間使用すると放電による生成物がワイア及びケースに沈着し放電が不安定になる。特に負コロナ放電時にはこの生成物がワイアの汚れとなり著しく放電を不安定にし、更に、オゾンやNOxの発生が増加すると云うような問題がある。
【0004】
そこで、近年、環境問題のため人体に好ましくないオゾンやNOxの発生は極力避ける為、低圧電源でオゾンの発生の少ない帯電ローラや磁気ブラシを用いた接触帯電方式の開発が進められている(特許文献1)。
【0005】
しかし、この接触帯電方式では、弾性体或いは磁気ブラシ等の帯電部材が感光体とを接触させた状態で、静止状態に置かれることがあり(画像形成を一次中止している場合等)、その後、画像形成を再開すると、該帯電部材と感光体の接触部で、画像むらが発生するという問題が提起されている。
【0006】
一方、電子写真画像の高画質化のために、有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献2)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、高感度の有機感光体(以後、有機感光体を単に感光体とも云う)が要求される。これまで開発された高感度の有機感光体としては、例えば、粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型顔料ともいう)を用いた有機感光体が実用化されている(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、該Y型顔料を用いた高感度の有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に適用すると、しばしば感光体の一部で微細なドット画像が再現せず、画像むらが発生し、画質を著しく劣化させる。該画像むらは該有機感光体と接触帯電部材が画像形成の停止時に接触している部位で発生しやすい。これは、単に接触帯電部材が感光体を接触押圧することにより、押圧部の帯電電位が変化したためだけではなく、Y型顔料の有機感光体に感度等の何らかの変化が出現したことも重なっていると思われる。
【0008】
一方、2.3−ブタンジオ−ルとの付加体チタニルフタロシアニン顔料も用いた有機感光体が報告されている(特許文献3)。しかしながら、このような有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に用いることについては、何ら公知の報告はなされていない。
【0009】
又、接触帯電方式に高感度の有機感光体を併用し、精細なドット画像を形成しようとすると、高温高湿下(30℃80%RH)で、スポット露光に対応したドット画像がしばしば再現されず、鮮鋭性を著しく低下させる。これは、感光体上に形成されるドット潜像が何らかの理由で不安定になっている為と思われる。
【0010】
又、接触帯電方式で発生しやすい上記のような画像欠陥は、重合法で製造した重合トナーを用いた場合に、より顕著に現れる傾向にある。これは、重合トナーは粉砕法のトナーに比し、トナー表面の水分含有が高いため、有機感光体との付着力が増大し、せっしょくクリーニング性や転写性を低下させたり、或いは有機感光体の湿度成分を増大させて、感度変化を生じさせたりする為と考えられる。
【0011】
本発明者等は上記のような画像むら、黒ポチ及び白抜けを同時に解決するためには、従来の中間層を中心とした検討では不十分であることを見いだし、対象を中間層以外の電荷発生層、電荷輸送層まで含めて、総合的な検討を行った。
【0012】
更に、接触帯電方式の画像形成方法では、有機感光体に起因する周期性の画像欠陥(黒ポチや白抜け等)が増幅される傾向にあるので、このような周期性の画像欠陥をより少なくすることが求められている。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−235880号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平8−272197号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平5−273775号公報
【0016】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決して、接触帯電方式の像形成方法に用いる有機感光体で、高精細のドット画像を形成し、画像むらや周期性の画像欠陥の発生を防止した有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いた鮮鋭性の良好な画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明者等は接触帯電方式を用いた画像形成方法の上記課題は、帯電部材の接触部で発生しやすい画像むらをを防止し、且つ小径スポット露光の潜像形成を正確に行うためには、有機感光体の温湿度依存性を小さくすると共に、且つ有機感光体の表面特性を粘弾性構造とすることが有効であることを見いだし、本発明を完成した。
【0019】
更に、このような接触帯電方式の画像形成方法に用いる現像剤としては、重合法で製造された重合トナーを用いても、従来発生しやすかった画像むらや、白抜け等の画像欠陥の発生を防止でき、形状係数や粒度分布がそろった重合トナーを用いることにより、より鮮鋭性に優れた高画質の電子写真画像を得ることができる。
【0020】
本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
1.有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有することを特徴とする有機感光体。
【0021】
2.有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満であることを特徴とする有機感光体。
【0022】
3.前記ジオールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールであることを特徴とする前記1又は2に記載の有機感光体。
【0023】
4.前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする前記3に記載の有機感光体。
【0024】
5.前記有機感光体の表面層に個数平均粒径10nm以上、100nm未満の微粒子を含有していることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0025】
6.感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、感光体に静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有する有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
【0026】
7.感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
8.前記重合トナーの形状係数の変動係数が16%以下、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であることを特徴とする前記6又は7に記載の画像形成方法。
【0028】
9.前記重合トナーが、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする前記6〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0029】
10.前記重合トナーが、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする前記6〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0030】
11.前記重合トナーが、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有することを特徴とする前記6〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0031】
12.前記6〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0032】
本発明について更に詳細に説明する。
《帯電手段》
本発明の帯電部材としては磁気ブラシ方式、帯電ローラ方式、ブレード方式等各種帯電部材を用いることができるが、これらの中でも帯電部材として帯電ローラ方式、或いは磁気ブラシ方式が最も好ましく本発明に用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ、或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ方式、及び磁気ブラシ方式の帯電手段について記載する。
【0033】
本発明においては、導電性弾性部材により構成された帯電ローラを感光体(像担持体)に接触させ、該帯電ローラに電圧を印加して感光体(像担持体)を帯電することが出来る。
【0034】
このような帯電ローラ方式は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0035】
又誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラ及び像担持体部材の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと像担持体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0036】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層又H、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0037】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独でまたは2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0038】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラックまたはケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して約5〜約50質量部である。
【0039】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、または酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は103〜107Ωcmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0040】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層は又弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、ひとつの層でも、複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。また、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は105〜109Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0041】
本発明の帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明に用いられる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は単独でまたは2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に調整できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗度範囲が達成されやすい。粒子径が20μmを超すと、表面粗度Rzも10.0μmを超し、所期の目的を果さない。逆に、粒子径が1μm未満であると、表面粗度Rzが0.05μm未満となりやすくこれも所期の目的を果さない。
【0042】
表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に設定する理由は、10.0μmを超すとローラ表面に対するトナーのフィルミングが顕著になるからであり、0.05μm未満であると帯電ローラと感光体ドラムの密着性が高まり、すなわち接触面積が大きくなるので帯電音の抑制ができなくなるからである。
【0043】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して約5〜約20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0044】
本発明の帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。
【0045】
このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗度Rzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0046】
次に本発明に用いる現像剤トナー及び現像条件について説明する。
本発明の現像法においては一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれかを用いて像担持体上の静電潜像を現像することができる。一成分現像剤は、少なくとも磁性粉末及びバインダー樹脂よりなる磁性トナーからなり、これらには着色剤を含むこともできる。
【0047】
又、現像法は接触、非接触のどちらでも用いることができる。非接触の現像法を採用する場合には非接触での正規現像又は非接触での反転現像を行うことができる。そのときの直流現像電界は絶対値で1×103〜1×105V/cm、好ましくは5×103〜1×104V/cmとされ、103V/cm未満だと現像が不足し、十分な画像濃度が得られず、105V/cmを越えると画質が荒れ、かぶりが発生する。
【0048】
次に交流バイアスは0.5〜4kV(p−p)、好ましくは1〜3kV(p−p)とされ、又周波数は0.1〜10kHz、好ましくは2〜8kHzとされる。
【0049】
前記交流バイアスが0.5kV(p−p)未満の場合、キャリアに付着したトナーが離脱せず、非接触現像が不十分となり、画像濃度が不足する。又交流バイアスが4kV(p−p)を越えると現像剤中のキャリアが飛翔して感光体上にキャリア付着を生ずる。
【0050】
更に交流バイアスの周波数が0.1kHz未満では矢張りキャリアからのトナーの脱離が不十分となり現像不足、画像濃度低下を招く。又交流バイアスの周波数が10kHzを越えるとトナーが電界の変動に追随できず、矢張り現像不良となり、画像濃度が低下する。
【0051】
次に本発明の画像形成装置について述べる。
図1はローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。この画像形成装置は本発明を実施するためのものであり、静電潜像形成のための帯電極に帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電せしめ、又トナーの転写紙への転写のための転写極に転写ローラを用いて、この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものでいわゆる接触帯電方式を採用しており、そして非接触現像により静電潜像を現像するものである。
【0052】
図1(a)において帯電ローラ1によって帯電された感光体ドラム2上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、感光体ドラム2に近接して配置された現像装置3の現像剤担持体である現像スリーブ4によってトナー像に現像される。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム2の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写紙Pに、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写紙Pにトナーが転写される。トナー転写後の転写紙Pは、感光体ドラム2から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写紙Pに定着される。
【0053】
前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少い状態で感光体ドラム2への帯電及びトナー像の転写紙Pへの転写が行なわれる。前記バイアス電圧は通常±500〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500V(p−p)のACバイアスとからなる。
【0054】
前記帯電ローラ1及び転写ローラ6は感光体ドラム2への圧接下に従動又は強制回転される。
【0055】
前記感光体ドラム2への圧接は10〜100g/cmとされローラの回転は感光体ドラム2の周速の1〜8倍とされる。
【0056】
図1(b)に示すように前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0057】
転写後の感光体ドラム2はクリーニング器11のクリーニングブレード12の圧接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0058】
電子写真画像形成装置としては、感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0059】
尚、前記図1においては、帯電器、及び転写極ともローラ帯電器を用いているが、本発明においては、本発明の必須構成要件は帯電器に帯電ローラを用いることであり、転写極には転写ローラ以外の転写手段を用いても良い。
【0060】
次に、帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子について説明する。
図2は接触式の磁気ブラシ帯電装置図、図3は図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【0061】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、(イ)帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ初め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム50面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0062】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が200μm以下、20μm以上であり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが必要である。なお、磁化の強さは30〜100emu/gのものが好ましく用いられる。
【0063】
このような磁気粒子は、磁性体として前述した従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0064】
なお、磁気粒子を球状に形成することは、搬送担体に形成される粒子層が均一となり、また搬送担体に高いバイアス電圧を均一に印加することが可能となると云う効果も与える。即ち、磁気粒子が球形化されていることは、(1)一般に、磁気粒子は長軸方向に磁化吸着され易いが、球形化によってその方向性がなくなり、従って、磁気粒子層が均一に形成され、局所的に抵抗の低い領域や層厚のムラの発生を防止する、(2)磁気粒子の高抵抗化と共に、従来の粒子に見られるようなエッジ部が無くなって、エッジ部への電界の集中が起こらなくなり、その結果、帯電用磁気粒子の搬送担体に高いバイアス電圧を印加しても、感光体ドラム50面に均一に放電して帯電ムラが起こらない、という効果を与える。
【0065】
以上のような効果を奏する球形粒子には磁気粒子の抵抗率が105〜1010Ωcmであるように導電性の磁気粒子を形成したものが好ましい。この抵抗率は、粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値であり、この抵抗率が低いと、搬送担体にバイアス電圧を印加した場合に、磁気粒子に電荷が注入されて、感光体ドラム50面に磁気粒子が付着し易くなったり、あるいはバイアス電圧による感光体ドラム50の絶縁破壊が起こり易くなったりする。また、抵抗率が高いと電荷注入が行われず帯電が行われない。
【0066】
さらに、接触式の磁気ブラシ帯電装置120に用いられる磁気粒子は、それにより構成される磁気ブラシが振動電界により軽快に動き、しかも外部飛散が起きないように、比重が小さく、且つ適度の最大磁化を有するものが望ましい。具体的には真比重が6以下で最大磁化が30〜100emu/gのもの、特に40〜80emu/gを用いると好結果が得られることが判明した。
【0067】
以上を総合して、磁気粒子は、少なくとも長軸と短軸の比が3倍以下であるように球形化されており、針状部やエッジ部等の突起が無く、抵抗率は好ましくは105〜1010Ωcmの範囲にあることが望まれる。そして、このような球状の磁気粒子は、磁性体粒子にできるだけ球形のものを選ぶこと、磁性体微粒子分散系の粒子では、できるだけ磁性体の微粒子を用いて、分散樹脂粒子形成後に球形化処理を施すこと、あるいはスプレードライの方法によって分散樹脂粒子を形成すること等によって製造される。
【0068】
図2又は図3によれば、帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120は回転する感光体ドラム50と対向し、感光体ドラム50との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム50を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ帯電装置120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム50との対向位置で感光体ドラム50の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム50に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム50の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0069】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム50への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム50上への付着や帯電ムラを起こすことになる。実験を重ねた結果、帯電領域における磁気粒子の好ましい付着量は100〜400mg/cm2であり、特に好ましくは200〜300mg/cm2であることが判明している。なお、この付着量は、磁気ブラシの帯電領域における平均値である。
【0070】
帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500VP−Pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム50の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム50が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム50との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体層10a上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0071】
感光体ドラム50を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0072】
図3に示すように、帯電バイアスの交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)と帯電電位との関係は、ピーク・ピーク電圧VP−Pが大きくなるに従い帯電電位が大きくなり、帯電電位はピーク・ピーク電圧が一定のV1で帯電バイアスの直流バイアスE3の値VSとほぼ等しい値で飽和し、それ以上ピーク・ピーク電圧VP−Pを大きくしても帯電電位は殆ど変化しないという特性がある。磁気粒子の電気抵抗は環境条件によっても変化するが、また使用するに従い磁気粒子の表面にトナーが融着するなどして電気抵抗は高くなる。このため、特性曲線は使用初期の新しい磁気粒子の場合は実線で示す(a)のように左側に、長期間使用した磁気粒子の場合は前記特性曲線は点線で示す(b)のように右側に位置することになる。
【0073】
本発明の画像形成装置の接触方式による帯電装置では、装着電源のon時或いはプリント開始前に帯電電位に相当する直流バイアスE3の電圧値を所定値とし、交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)を低い値から次第に大きくした帯電バイアスを印加してその時変化する感光体ドラム50の帯電電位を電位計ESによって検出する。検出される帯電電位はA/D変換器によってディジタル値に変換されたのち制御部(CPU)に入力される。制御部ではこの帯電電位が所定値VSの飽和点に達した時のVP−Pの値を適正バイアス値V1と規定してプリント動作とする。
【0074】
即ち、プリントが行われる時交流バイアスAC3を低い値から次第に大きくして(スイープして)交流バイアスAC3のVP−Pの値V1を求め、制御部からバイアス信号が出力される。この制御信号はD/A変換器によってアナログ値に変換された後交流バイアスAC3に送出され、交流バイアスAC3は決定されたピーク・ピーク電圧V1を出力する。その際のピーク・ピーク電圧V1の値とメモリに格納された磁気粒子の劣化により交換すべき規定値V2を読み出しこれと比較する。磁気粒子はトナーの混入により抵抗が増加するので、プリントの使用に従い適正バイアス値V1が増加する。これに伴い印加するVP−Pが増加し帯電不能な状態が生じることになる。測定した電圧値が帯電不能を示す規定値V2より小さい間は画像形成を続けるが、規定値V2より大きくなると、制御部より画像形成動作停止信号が送出され画像形成動作を停止し、不図示の操作部の表示部に帯電装置異常の表示を行う。この表示に基づき、帯電用の磁気粒子の供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120に落下、供給する。上記において感光体ドラム50の電位の測定に電位計ESを用いたが、バイアス電源に直流電流計を繋いで用いて交流バイアスVP−Pを変化させ、この電流値が飽和点に達した時のVP−Pを適正バイアス値V1と設定し、規定値V2との比較を行いV1を越えた時磁気粒子の供給を行うようにしてもよい。
【0075】
またメンテナンス時或いは例えば5万プリント等の定期時に、帯電用の磁気粒子の交換が行われる。メモリに記憶されたメンテナンスプリント毎や例えば5万プリント毎の定期時に、制御部を通して交換信号が出され、不図示の駆動モータの駆動により予めセットされた帯電用の磁気粒子の供給ボトル220の供給ローラー221が回転され、供給ボトル220内の磁気粒子が磁気ブラシ帯電装置120内に全量が1回で落下される。供給後空の供給ボトル220を外し、新たな供給ボトル220をセットすることにより画像形成装置が作動状態となるように制御することも可能である。また、定期時に制御部より不図示の操作部に例えばランプの点滅等による供給信号を表示し、供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を供給するようにしてもよい。
【0076】
落下された磁気粒子は回転される帯電スリーブ120aにより搬送され、スクレーパ123により帯電スリーブ120a表面より掻落とされて磁気ブラシ帯電装置120の底部に補給される。これに伴い、反時計方向に回転される撹拌スクリュウ124により磁気ブラシ帯電装置120内部に収納されている使用済みの磁気粒子が排出口125より溢れ出され、ダクトDBを通して共通の磁気粒子回収容器300に回収される。この際、供給ボトル220より磁気ブラシ帯電装置120内に供給される1回の磁気粒子供給量は磁気ブラシ帯電装置120内に収納される全磁気粒子に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%未満では新規に供給される磁気粒子量が少な過ぎ交換効果がなく良好な帯電が行われず、50質量%を越えると新規の磁気粒子が溢れ出てしまう。
【0077】
上記により、帯電装置内の磁気粒子が劣化されることなく良好な帯電性能が長期に維持される。
【0078】
図4は本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。図4において50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52は磁気ブラシ帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0079】
感光体への一様帯電ののち像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0080】
その静電潜像は次いで現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0081】
転写材(記録紙とも云う)Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0082】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写ローラー(転写器)58が圧接され、給紙された転写材Pを挟着して転写される。
【0083】
次いで転写材Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラー58及び分離ブラシ59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0084】
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のクリーニングブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0085】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0086】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0087】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0088】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0089】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0090】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことを特徴とする。このような小スポットの露光ビームを用いても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜800μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0091】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0092】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0093】
本発明の有機感光体に使用する電荷発生物質としてはチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有することを特徴とする。本発明中、チタニルフタロシアニン化合物とは、一般式(1)で示すフタロシアニン残基中心にチタニル(O=Ti)基を持つものである。
【0094】
【化1】
【0095】
一般式(1)中、X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0096】
本発明の2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオール(以下、単に隣接ジオールとも云う)とは、脂肪族炭化水素の隣り合う炭素原子に一つずつ水酸基があるもので、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリンなどを挙げることができる。好ましくは一般式(2)、(3)で示されるような2つの隣接する各炭素原子が不斉炭素で構成される光学活性を有するジオールを挙げることができる。
【0097】
【化2】
【0098】
(一般式(2)及び一般式(3)中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立にアルキル基を表す。)
上記R3、R4、R5、R6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が好ましい。即ち、R3〜R6のアルキル基が比較的炭素数が少ないアルキル基である方がチタニルフタロシアニンとの付加体を形成しやすい。中でも、(2R,3R)−2,3ブタンジオール及び(2S,3S)−2,3ブタンジオールの少なくとも1つを用いたチタニルフタロシアニン付加体が最も好ましい。チタニルフタロシアニン付加体の構造は、例えば(2R,3R)−2,3ブタンジオールとの付加体で表すと、下記で示されるようなチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3ブタンジオールの脱水縮合により生成する付加体化合物と推定される。
【0099】
【化3】
【0100】
本発明のチタニルフタロシアニン付加体は上記隣接ジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒中で室温あるいは加熱下に反応することで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンはフタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してから隣接ジオールと反応させるものが好ましい。本発明のチタニルフタロシアニン付加体を得るには、隣接ジオールをチタニルフタロシアニンに対して0.5〜2.0モル当量を加え、反応させることが好ましく、必ずしもチタニルフタロシアニン化合物1.0モル当量に対して1.0モル当量以上の隣接ジオールを必要としない。これは本発明のチタニルフタロシアニン付加体が隣接ジオール付加チタニルフタロシアニンと隣接ジオール付加のないチタニルフタロシアニンとの混晶状態でも電荷発生物質として高感度で高性能な状態を保つことができるからと考えられる。
【0101】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0102】
反応溶剤としては各種有機溶媒中を使用することができ、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤、トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤、ブタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール系有機溶剤等を挙げることができる。
【0103】
結晶形
また本発明のチタニルフタロシアニン付加体としては、Cu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピーク(バックグランドと明確に区別できるピーク)を有する結晶構造を有することが好ましい。その他にも9.5°、24.7°、25.1°、26.5°等に明確なピークを有してもよい。ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピークを有する結晶構造を有する本発明のチタニルフタロシアニン付加体は良好な感度特性と環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥の少ない特性を併せて有する。
【0104】
又、本発明の有機感光体は、感光体の表面層が、表面から加重される一定加重の圧子(荷重20mN)に対し、一定の塑性変形(1%以上、3.5%未満)特性を有機感光体に持つことを特徴とする。
【0105】
本発明の有機感光体のクリープ率は1%以上、3.5%未満であるが、2.0%以上、3.2%以下がより好ましい。有機感光体の表面がこのようなクリープ率を有していると、感光体表面が常に均一な表面形状を維持しやすく、感光体から記録材へのトナーの転写率が、常に良好に維持されやすい。クリープ率が1%未満では感光体表面が脆くなり、キャリア付着やブレード等の擦過に対し、クラック傷が生じやすく、感光体表面のクラック傷は周期的な黒ポチや白ヌケ等の画像欠陥を発生しやすく、トナーの転写性も低下しやすい。一方、クリープ率が3.5%以上ではキャリア付着やブレード等の擦過に対し、周辺が盛り上がったクレータ状の傷が発生し、この傷がクリーニングブレードを損傷させ、その結果クリーニング不良を引き起こし、ドット再現性を低下させ、鮮鋭性が劣化しやすい。
【0106】
本発明の画像形成方法はこのような粘弾性特性を備えた表面層を備えた有機感光体を用いることにより、感光体表面に発生しやすい傷を防止し、且つクリーニングブレードの損傷を防止して、周期性の画像欠陥の発生を防止すると同時にトナーの転写性を改善し、現像工程や転写工程でのトナー画像の乱れを防止して、階調性、鮮鋭性等に優れた電子写真画像を形成することができる。
【0107】
前記のような粘弾性特性を有する表面層は、高弾性のポリカーボネートをバインダー樹脂として用いると同時に、比較的高分子量の電荷輸送物質を用いて、バインダーの高弾性を維持した電荷輸送層を表面層とすることにより、実現する事が出来る。又、このような電荷輸送層は、電荷輸送層を2層以上とし、最上層の電荷輸送層を前記した構成にすることが好ましい。
【0108】
本発明に好ましく用いられる高弾性のポリカーボネートとしては、下記に示すようなポリカーボネートが挙げられる。
【0109】
【化4】
【0110】
上記において、Mvは粘度平均分子量を示す。
又、本発明に用いる電荷輸送物質としては、分子量が500〜1500が好ましく、更に600〜1000がより好ましい。本発明に好ましく用いられる電荷輸送物質としては下記のような化学構造を有する電荷輸送物質が挙げられる。
【0111】
【化5】
【0112】
上記中、Mwは分子量を示す。
前記した高分子量の電荷輸送物質とポリカーボネートの混合比は質量比で電荷輸送層1に対し、ポリカーボネート0.5〜3.0の比率が好ましく、更に0.8〜2.0の比率が好ましいが、この比率は電荷輸送物質或いはポリカーボネートの種類によって、或いはその他の添加剤の存在により変化し、絶対的なものではない。
【0113】
又、数平均一次粒径が10nm以上、100nm未満の疎水性無機粒子を混在させることがより好ましい。疎水性無機粒子のより好ましい数平均粒径は10nm以上、90nm以下、最も好ましくは10nm以上、50nm未満である。表面層に含有される無機粒子の数平均一次粒子径が10nm未満でも、100nm以上でも、前記粘弾性特性が得られにくく、上記のような改善効果が得られにくい。
【0114】
本発明に用いられる10nm以上、100nm未満の無機粒子としては、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を好ましく用いることができるが、これらの中でもコスト、粒径の調整や表面処理の容易さ等からシリカ、特に表面を疎水化した疎水性シリカが好ましい。
【0115】
本発明の無機粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出する。
【0116】
上記疎水性シリカの疎水化度は、メタノールに対する濡れ性の尺度(メタノールウェッタビリティ)で示される疎水化度で50%以上のものが好ましい。疎水化度が50%未満であると前記吸熱エネルギー変化量ΔHが、10J/gより大きくなりやすく、その結果、温湿度変化時に画像むらが発生しやすくなり、又ブレードを傷つけクリーニング不良も発生しやすくなる。より好ましい疎水化度は65%以上、最も好ましくは70%以上である。
【0117】
疎水化度を表すメタノールウェッタビリティとは、メタノールに対するシリカ微粉末の濡れ性を評価するものである。濡れ性の測定は以下の方法で行う。内容量250mlのビーカーに入れた蒸留水50mlに、測定対象のシリカ微粉末を0.2g添加して撹拌する。次にメタノールを先端が液体中に浸漬されているビュレットからゆっくり撹拌した状態でシリカ微粉末の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。このシリカ微粉末を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした時、下記式より疎水化度を算出する。
【0118】
疎水化度=a/(a+50)×100
上記疎水性シリカは、公知の湿式法もしくは乾式法で生成されたシリカ粉末をを疎水化することにより得られる。特に乾式法(ケイ素化ハロゲン化合物の蒸気相酸化)により生成されたいわゆるヒュームドシリカと称されるものを疎水化剤で処理したものが、水分吸着サイトが少なく好ましい。これは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
【0119】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
又、この製造工程において例えば、塩化アルミニウム又は、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。
【0120】
シリカ粉末の疎水化処理は、シリカ微粉末を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した疎水化処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した疎水化処理剤を接触させて付着させる乾式処理、又は、シリカ粉末を溶液中に分散させ、その中に疎水化処理剤を滴下して付着させる湿式処理等の従来公知の方法で行うことが出来る。
【0121】
疎水化処理剤としては、公知の化合物を用いることが出来、具体例を下記に挙げる。又、これらの化合物は組み合わせて使用しても良い。
【0122】
チタンカップリング剤としてはテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
【0123】
シランカップリング剤としてはγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−ビニルベンジルアミノエチル−N−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0124】
シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0125】
これらの疎水化処理剤は、シリカ粉末に対して1〜40質量%添加して被覆することが好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
【0126】
又、上記表面疎水化剤としてハイドロジェンポリシロキサン化合物を用いてもよい。該ハイドロジェンポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0127】
本発明では上記疎水化処理された疎水性シリカを有機感光体の表面層にバインダーと共に含有させるが表面層のシリカ粒子の割合はバインダーに対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、最も好ましくは2〜10質量%で使用されるのがよい。20質量%以上だと、感光体の吸熱エネルギー変化量ΔHを10J/g以下にするのが難しくなり、環境メモリやトナーの転写性を低下させやすい。一方、1質量%未満だとクリーニング不良や、耐摩耗性の低下を起こしやすい。
【0128】
又、表面層となる電荷輸送層には、上記共重合ポリカーボネートのバインダー樹脂と疎水性無機粒子以外に、電荷輸送物質が含有される。該電荷輸送物質はバインダー樹脂に対して50〜150質量%が好ましい。又該電荷輸送層には酸化防止剤をバインダー樹脂に対して1〜10質量%存在させることが好ましい。
【0129】
以上のような構成を選択採用することにより、前記した表面層の膜物性と表面粗さを実現させることができ、このような表面層を有する有機感光体は残留トナークリーニング性を改善すると同時に、耐傷性、耐摩耗性を改善し、長期に亘り鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【0130】
以下、表面層以外の本発明に適用される有機感光体の構成について記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0131】
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
【0132】
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。最も好ましい構成としては、感光層を電荷発生層と複数の電荷輸送層で構成し、最上層を電荷輸送物質を含有し、且つビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率が1%以上3.5%未満の特性を有する電荷輸送層の構成にすることである。
【0133】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0134】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0135】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0136】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0137】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設けることが好ましい。
【0138】
本発明の中間層には前記した吸水率が小さいバインダー樹脂中に酸化チタンを含有させることが好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0139】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0140】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0141】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0142】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0143】
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(4)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0144】
一般式(4)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(4)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0145】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0146】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0147】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0148】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0149】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0150】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のチタニルフタロシアニン付加体を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0151】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0152】
電荷輸送層
電荷輸送層は複数の電荷輸送層の構成にし、最上層の電荷輸送層を表面層とした構成を採用することが好ましい。
【0153】
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0154】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0155】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0156】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0157】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0158】
又、複数の電荷輸送層の膜厚の合計は10〜50μmが好ましい。膜厚が10μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、50μmを超えると、鮮鋭性が劣化しやすい。
【0159】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0160】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
《現像剤》
本発明に用いられる現像剤は、少なくともトナーとキャリアを混合して用いる二成分現像剤である。
【0161】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0162】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0163】
一方、本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、重合法で製造される重合トナーを用いることを特徴とする。重合トナーは粉砕法のトナーに比し、トナー表面の水分含有が高いため、有機感光体との付着力が増大し、クリーニング性や転写性を低下させたり、或いは有機感光体の湿度成分を増大させて、感度変化を生じさせ、画像むらを発生させやすいが、前記した本発明の有機感光体と併用することにより、クリーニング性や転写性が良好で、且つ鮮鋭性に優れた電子写真画像を形成することができる。
【0164】
尚、重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0165】
又、重合トナーとしては、以下のような形状係数、粒度分布が均一なトナーであることが好ましい。即ち、本発明に用いる重合トナーとしては、以下に記すような均一な形状係数やシャープな粒度分布を有する重合トナーを併用した画像形成方法を採用することにより、階調性の高い且つ鮮鋭な電子写真画像を形成することが出来る。
【0166】
(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナー
形状係数が1.2より小さいとトナーの形状が真球に近くなり、トナーの感光体との接着強度が増大し、クリーニング不良が発生しやすい。一方、1.6より大きくなるとトナーが破砕され、微粉化されやすく、このこともクリーニング不良の原因となる。即ち、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上、さらに好ましくは70個数%以上含有するトナーはクリーニング性が良好で、且つ微粉化されにくいトナーを多量に含んだトナーであり、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0167】
(2)角がないトナー粒子を50個数%以上含有するトナー
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより破砕しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、更に好ましくは70個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、微細なトナーの発生によるクリーニング不良を防止でき、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。そのためには角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることが好ましく、更に、好ましくは70個数%以上である。
【0168】
(3)トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有するトナー
相対度数(m1)と、相対度数(m2)の和(M)が70%以上のトナーであることにより、該トナーを構成するトナー粒子の粒度分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0169】
(4)トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下且つトナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下であるトナー
トナーの形状係数の変動係数が16%以下であり、且つトナーの個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0170】
トナーの個数変動係数は27%以下であるが、好ましくは25%以下である。
トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下、より好ましくは14%以下である。このことにより、トナーを構成するトナー粒子の形状分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0171】
又、トナーは形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することが好ましい。このようなトナーは感光体との付着力が小さく、クリーニング性が良好である。
【0172】
また、角がないトナー粒子を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御することによっても、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0173】
トナーの粒径は、個数平均一次粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0174】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性の過度なトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、現像性を長期に亘って安定化することができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0175】
トナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0176】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0177】
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0178】
本発明に用いるトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上、好ましくは70個数%以上である。
【0179】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等があるが、本発明では重合法により作製した重合トナーを用いて形状係数等を本発明の範囲内に作製することが好ましい。
【0180】
トナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
この形状係数の変動係数は16%以下が好ましく、更に好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0181】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、重合トナーの製造過程、即ち樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0182】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0183】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0184】
トナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0185】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0186】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0187】
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、すなわち、図5(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図5(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0188】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0189】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。しかしながら、製造コストやエネルギーコストを考慮すると、重合法による重合トナーが好ましい。
【0190】
例えば、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0191】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0192】
本発明に好ましく用いられる重合トナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0193】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0194】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
【0195】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0196】
形状係数を制御する方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0197】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0198】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0199】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0200】
なお、本発明で用いられる形状係数等の均一なトナーを作製するための材料や製造方法、重合トナーの反応装置等については特開2000−214629号に詳細に記載されている。
【0201】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0202】
実施例1
合成例1
チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱する。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得る。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5Lに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得る。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥してチタニルフタロシアニン−アモルファス品24.8gを得た。(収率86%)
合成例2
チタニルフタロシアニン付加体CG−1の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.8g(0.6モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−1)19.8gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図6に示す。
【0203】
合成例3
チタニルフタロシアニン付加体CG−2の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール3.7g(1.2モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−2)20.7gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図7に示す。
【0204】
合成例4
チタニルフタロシアニン付加体CG−3の作製((2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体)
オルトジクロロベンゼン200mlと(2S,3S)−2,3−ブタンジオール2.1g(0.7モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いで6時間加熱還流させ反応を進行させる。放冷後、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−3)20.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図8に示す。
【0205】
感光体1の作製
直径80mmφの円筒状アルミニウム基体上に、下記の組成の中間層塗布液を浸漬塗布して、膜厚4.0μmの中間層を形成した。
【0206】
〈中間層塗布液〉
下記組成を循環式湿式分散機を用いて分散した。
【0207】
ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10部
酸化チタン(数平均一次粒径35nm、一次表面処理;シリカ・アルミナ処理、二次表面処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 30部
メタノール 100部
その上に下記の電荷発生層塗布液を、浸漬塗布して、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0208】
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合しサンドグラインダーにて分散した。
【0209】
電荷発生物質:合成例2のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
〈第一電荷輸送層〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で乾燥膜厚15μmの第一電荷輸送層を形成した。
【0210】
〈第二電荷輸送層:表面層〉
電荷輸送物質(T−1) 20部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 30部
疎水性シリカ(平均一次粒径:40nm、ヘキシルメチルジシラザン、疎水化度:76%) 3.0部
酸化防止剤(LS2626:三共社製) 0.6部
1,3−ジオキソラン 600部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 0.1部
を混合し、超音波を照射できる循環分散装置にて循環分散を行い、表面層塗布液を調製した。この塗布液を前記第一電荷輸送層の上に円型量規制型塗布法により乾燥膜厚5μmになるように第二電荷輸送層を塗布し、110℃で70分間の乾燥を行い、感光体1を作製した。
【0211】
尚、上記電荷発生層を透明ペットベース上に塗布乾燥した試料を用いて、X線回折スペクトルを測定したデータを図9に示す。図9のX線回折スペクトルは電荷発生層のバインダー(ポリビニルブチラール樹脂)の影響を受け、図6のCG−1の顔料のX線回折スペクトルに比し、0.2°〜0.3°低角度側にシフトしている。
【0212】
感光体2〜7の作製
感光体1の作製において、電荷発生物質のチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体CG−1、第二電荷輸送層の電荷輸送物質の種類と量、及びポリカーボネートを表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜7を作製した。
【0213】
感光体8の作製
感光体1の作製において、第一電荷輸送層の乾燥膜厚を20μmとし、第二電荷輸送層を除いた他は感光体1と同様にして感光体8を作製した。
【0214】
感光体9の作製
感光体1の作製において、電荷発生物質のチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体CG−1を、下記に示す合成法で得たX線回折スペクトルで、27.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(表1ではY−TiOPc)に変更した以外は同様にして感光体9を作製した。
【0215】
Y型チタニルフタロシアニン顔料の合成例
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(Y−TiOPc:X線回折スペクトルは図10)を得た。
【0216】
【表1】
【0217】
表1に記載したクリープ率は下記のようにして測定した。
クリープ率の測定
使用機器:フィッシャースコープH100V(微小硬さ測定装置)(株)フィッシャー・インストルメンツ社製
使用圧子:ダイアモンド ビッカース圧子
負荷条件:4mN/secの速度で有機感光体の表面からビッカース圧子を押し込む
負荷時間:5sec
保持時間:5sec
除荷条件:負荷と同じ速度で負荷を除く
測定試料
アルミ平板上に前記した感光体と同様に中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層、第二電荷輸送層を設け、同じ条件で乾燥させた試料をH100V機に固定し、試料に対して垂直にビッカース圧子を押し込み測定。
【0218】
測定は圧子負荷(5sec)、荷重保持(5sec:この間の変形量の割合がクリープ率)、除荷の手順で行う。
【0219】
クリープ率の求め方
CHU(クリープ率)={(h2−h1)/h1}×100(%)
h1:負荷荷重(20mN)に達した時(負荷開始から5秒後)の押し込み深さ
h2:保持(5sec)後の押し込み深さ
又、表1中の電荷輸送物質T−4及びポリカーボネートPC−4の化学構造を下記に示す(Mvは粘度平均分子量、Mwは分子量)。
【0220】
【化6】
【0221】
本発明に用いるトナー及び該トナーを用いた現像剤を作製した。
(トナー1〜14の製造例:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0222】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0223】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0224】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0225】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0226】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0227】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0228】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0229】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0230】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0231】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0232】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0233】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0234】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0235】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0236】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した(塩析/融着段階工程)。
【0237】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0238】
前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1〜14を得た。これらのトナーの形状特性および粒度分布特性を表2に示す。
(トナー15の製造例:粉砕法の例)
スチレン:ブチルアクリレート:ブチルメタクリレート:アクリル酸=75:18:5:2の質量比からなるスチレン−アクリル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)4部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、分級して個数平均粒径が6.3μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これをトナー15とする。トナー15の形状特性および粒度分布特性を表2に示す。
【0239】
【表2】
【0240】
〔現像剤の製造〕
表2の各トナー毎に、トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1〜15を作製した。
【0241】
〈評価〉
図1に示した帯電ローラを有する画像形成装置を基本構成としたデジタルカラープリンターに各感光体、各トナー、露光スポット面積を表3のように組み合わせ、高温高湿下(30℃80%RH)で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在した画像を連続してA4紙2万枚プリントを行い評価した。
【0242】
評価項目、評価基準を下記に示す。又評価結果を表3に示す。
評価項目と評価基準
「ドットの再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。
【0243】
◎:画像ドットが露光スポット面積の±30%未満でそれぞれ独立に再現されている(良好)
○:画像ドットが露光スポット面積の±30〜±60%でそれぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:画像ドットが露光スポット面積の±60%より大きく、部分的に画像ドットが消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「周期性の画像欠陥」
感光体の周期と一致した画像欠陥(黒ポチや白ヌケ又は線状の画像欠陥として発生する)が発生する。
【0244】
評価基準は
◎:明瞭な周期性の画像欠陥の発生がほとんど見られない(黒ポチ又は白ヌケの場合は3個/A4以下、線状の場合は濃度差が0.02以内:良好)
○:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が実用性の範囲内(黒ポチ又は白ヌケの場合は4〜10個/A4以下、線状の場合は濃度が0.03〜0.04:実用性があるレベル)
△:周期性の画像欠陥の発生があり、実用性の再検討を要する範囲(黒ポチ又は白ヌケの場合は11〜20個/A4以下、線状の場合は濃度が0.05〜0.06:実用性再検討要のレベル)
×:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が多発(黒ポチ又は白ヌケの場合は21個/A4以上、線状の場合は濃度が0.07以上:実用上問題のレベル)
「画像むら」
画像むら:前記デジタルカラープリンターを高温高湿下(HH:30℃80%RH)に24hr放置後、低湿低温下(LL:10℃20%RH)に置き、30分後、コピーした。文字画像とハーフトーン画像のオリジナル画像をコピーし、発生した残像や黒帯状の画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.02以下(良好)
○:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.02〜0.0.04(実用上問題なし)
△:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05〜0.0.06(実用性再検討要のレベル)
×:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.07以上(実用上問題あり)
「トナーの転写性」
トナー画像を、独立に前記デジタルカラープリンターで作製し、クリーニングユニットから回収されたトナーは現像器に戻さず、袋に取り、前記高温高湿環境(HH)下で、2万枚のコピーを行い、下記により転写率を求め、評価した。
【0245】
転写率
下記式(6)により転写率(%)を求めた。
【0246】
式(6)転写率(%)={1−(回収トナーの質量/消費トナーの質量)}×100
◎:各トナーの転写性が良好で、各色とも転写率が80%より大(良好)
○:トナーの転写性が良好で、各色とも転写率が65〜80%(実用性があるレベル)
△:トナーの転写率が55〜64%(実用性再検討要のレベル)
×:トナーの転写率が54%以下(実用上問題のレベル)
「階調性」
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、階調性を評価した。評価は階調段差の画像を十分な昼光条件下で目視評価し、有意性のある階調段差の合計段差数で評価した。
【0247】
◎:階調性が41段差以上(良好)
○:階調性が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調性が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調性が10段差以下(実用上問題あり)
「鮮鋭性」
画像の鮮鋭性は、線画像の解像性で評価した。下記の判断基準で評価した。
【0248】
◎:線画像の解像性が16本/mm以上を達成している(良好)
○:線画像の解像性が10〜15本/mmを達成している(実用上問題なし)
△:線画像の解像性が5〜9本/mm以下(高解像性の画像としては不適)
×:線画像の解像性が4/mm以下(実用上問題あり)
評価結果を表3に示す。
【0249】
その他の評価条件
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、その制御可能範囲は−500V〜−900Vである。
【0250】
像露光光:半導体レーザ(波長:780nm)
露光条件
露光部電位を−50V〜−150Vにする露光量に設定。
【0251】
露光スポット面積:表3に記載のように変化させた。
現像条件:現像剤は前記した非磁性一成分トナーを用いた。又、現像方式は反転現像で行った。
【0252】
【表3】
【0253】
表3より、チタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である有機感光体に、露光光のスポット面積が2000μm2以下の露光光を用いて静電潜像を形成し、該静電潜像を重合トナーを用いた本発明内の接触帯電方式を用いた画像形成方法(組み合わせNo.1〜14、16〜19、21〜23、26、27)は、上記粉砕法のトナーを用いた本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.15)に比し、ドットの再現性、トナーの転写性等が良好であり、階調性、鮮鋭性が改良されている。又、有機感光体が本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.28)は、画像むらが発生しており、鮮鋭性が低下している。又、有機感光体が本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.24、25)は、周期性の画像欠陥や画像むらが発生しており、鮮鋭性が低下している。又、露光光のスポット面積が2000μm2以下の条件を満たさない本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.20)は階調性、鮮鋭性が低下している。
【0254】
又、本発明内の有機感光体間の比較では、クリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満を満たした有機感光体を用いた画像形成方法(組み合わせNo.1、21〜23、26、27)は、クリープ率が上記範囲外の有機感光体を用いた画像形成方法(組み合わせNo.24、25)に比し、改善効果が顕著である。
【0255】
【発明の効果】
本発明の有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に適用することにより、高画質のドット画像を形成でき、画像不良を伴わない良好な電子写真画像を提供することが出来る。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図。
【図2】接触式の磁気ブラシ帯電装置図。
【図3】図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図。
【図4】本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図。
【図5】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図6】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図7】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図8】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図9】感光体1の電荷発生層のX線回折スペクトルを示す図である。
【図10】Y型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
3 現像装置
4 現像スリーブ
5 除電ランプ
6 転写ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ローラ
9、10 電源
11 クリーニング器
12 クリーニングブレード
20 芯金
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 露光部
52 磁気ブラシ帯電器
53 像露光器
54 現像器
57 給紙ローラー
58 転写ローラー(転写器)
59 分離ブラシ(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
120 磁気ブラシ帯電装置
120a 帯電スリーブ
220 供給ボトル
300 磁気粒子回収容器
ES 電位計
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる有機感光体、画像形成方法、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置たとえば普通紙複写機、レーザプリンタ、LEDプリンタなどに用いられる感光体への帯電装置は非接触のコロナ放電装置を使うのが一般的でこれまで広く使われてきている。しかしコロナ放電装置は、気中放電であるためオゾンやNOxの発生が避けられない。
【0003】
又、コロナ帯電方式は一般的にはワイアとその回りにシールドケースを配置し、これらの間に高電圧を印加することになるが、長時間使用すると放電による生成物がワイア及びケースに沈着し放電が不安定になる。特に負コロナ放電時にはこの生成物がワイアの汚れとなり著しく放電を不安定にし、更に、オゾンやNOxの発生が増加すると云うような問題がある。
【0004】
そこで、近年、環境問題のため人体に好ましくないオゾンやNOxの発生は極力避ける為、低圧電源でオゾンの発生の少ない帯電ローラや磁気ブラシを用いた接触帯電方式の開発が進められている(特許文献1)。
【0005】
しかし、この接触帯電方式では、弾性体或いは磁気ブラシ等の帯電部材が感光体とを接触させた状態で、静止状態に置かれることがあり(画像形成を一次中止している場合等)、その後、画像形成を再開すると、該帯電部材と感光体の接触部で、画像むらが発生するという問題が提起されている。
【0006】
一方、電子写真画像の高画質化のために、有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献2)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、高感度の有機感光体(以後、有機感光体を単に感光体とも云う)が要求される。これまで開発された高感度の有機感光体としては、例えば、粉末X線回折スペクトルにてブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(以後、単にY型顔料ともいう)を用いた有機感光体が実用化されている(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、該Y型顔料を用いた高感度の有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に適用すると、しばしば感光体の一部で微細なドット画像が再現せず、画像むらが発生し、画質を著しく劣化させる。該画像むらは該有機感光体と接触帯電部材が画像形成の停止時に接触している部位で発生しやすい。これは、単に接触帯電部材が感光体を接触押圧することにより、押圧部の帯電電位が変化したためだけではなく、Y型顔料の有機感光体に感度等の何らかの変化が出現したことも重なっていると思われる。
【0008】
一方、2.3−ブタンジオ−ルとの付加体チタニルフタロシアニン顔料も用いた有機感光体が報告されている(特許文献3)。しかしながら、このような有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に用いることについては、何ら公知の報告はなされていない。
【0009】
又、接触帯電方式に高感度の有機感光体を併用し、精細なドット画像を形成しようとすると、高温高湿下(30℃80%RH)で、スポット露光に対応したドット画像がしばしば再現されず、鮮鋭性を著しく低下させる。これは、感光体上に形成されるドット潜像が何らかの理由で不安定になっている為と思われる。
【0010】
又、接触帯電方式で発生しやすい上記のような画像欠陥は、重合法で製造した重合トナーを用いた場合に、より顕著に現れる傾向にある。これは、重合トナーは粉砕法のトナーに比し、トナー表面の水分含有が高いため、有機感光体との付着力が増大し、せっしょくクリーニング性や転写性を低下させたり、或いは有機感光体の湿度成分を増大させて、感度変化を生じさせたりする為と考えられる。
【0011】
本発明者等は上記のような画像むら、黒ポチ及び白抜けを同時に解決するためには、従来の中間層を中心とした検討では不十分であることを見いだし、対象を中間層以外の電荷発生層、電荷輸送層まで含めて、総合的な検討を行った。
【0012】
更に、接触帯電方式の画像形成方法では、有機感光体に起因する周期性の画像欠陥(黒ポチや白抜け等)が増幅される傾向にあるので、このような周期性の画像欠陥をより少なくすることが求められている。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−235880号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平8−272197号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平5−273775号公報
【0016】
【非特許文献1】
電子写真学会誌,29(3),250(1990)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決して、接触帯電方式の像形成方法に用いる有機感光体で、高精細のドット画像を形成し、画像むらや周期性の画像欠陥の発生を防止した有機感光体を提供することであり、該有機感光体を用いた鮮鋭性の良好な画像形成方法、画像形成装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明者等は接触帯電方式を用いた画像形成方法の上記課題は、帯電部材の接触部で発生しやすい画像むらをを防止し、且つ小径スポット露光の潜像形成を正確に行うためには、有機感光体の温湿度依存性を小さくすると共に、且つ有機感光体の表面特性を粘弾性構造とすることが有効であることを見いだし、本発明を完成した。
【0019】
更に、このような接触帯電方式の画像形成方法に用いる現像剤としては、重合法で製造された重合トナーを用いても、従来発生しやすかった画像むらや、白抜け等の画像欠陥の発生を防止でき、形状係数や粒度分布がそろった重合トナーを用いることにより、より鮮鋭性に優れた高画質の電子写真画像を得ることができる。
【0020】
本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
1.有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有することを特徴とする有機感光体。
【0021】
2.有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満であることを特徴とする有機感光体。
【0022】
3.前記ジオールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールであることを特徴とする前記1又は2に記載の有機感光体。
【0023】
4.前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする前記3に記載の有機感光体。
【0024】
5.前記有機感光体の表面層に個数平均粒径10nm以上、100nm未満の微粒子を含有していることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
【0025】
6.感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、感光体に静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有する有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
【0026】
7.感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
8.前記重合トナーの形状係数の変動係数が16%以下、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であることを特徴とする前記6又は7に記載の画像形成方法。
【0028】
9.前記重合トナーが、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする前記6〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0029】
10.前記重合トナーが、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする前記6〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0030】
11.前記重合トナーが、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有することを特徴とする前記6〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0031】
12.前記6〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0032】
本発明について更に詳細に説明する。
《帯電手段》
本発明の帯電部材としては磁気ブラシ方式、帯電ローラ方式、ブレード方式等各種帯電部材を用いることができるが、これらの中でも帯電部材として帯電ローラ方式、或いは磁気ブラシ方式が最も好ましく本発明に用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ、或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ方式、及び磁気ブラシ方式の帯電手段について記載する。
【0033】
本発明においては、導電性弾性部材により構成された帯電ローラを感光体(像担持体)に接触させ、該帯電ローラに電圧を印加して感光体(像担持体)を帯電することが出来る。
【0034】
このような帯電ローラ方式は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0035】
又誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラ及び像担持体部材の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと像担持体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0036】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層又H、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0037】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独でまたは2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0038】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラックまたはケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して約5〜約50質量部である。
【0039】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、または酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は103〜107Ωcmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0040】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層は又弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、ひとつの層でも、複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。また、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は105〜109Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0041】
本発明の帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明に用いられる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は単独でまたは2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に調整できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗度範囲が達成されやすい。粒子径が20μmを超すと、表面粗度Rzも10.0μmを超し、所期の目的を果さない。逆に、粒子径が1μm未満であると、表面粗度Rzが0.05μm未満となりやすくこれも所期の目的を果さない。
【0042】
表面粗度Rzを0.05〜10.0μmの範囲に設定する理由は、10.0μmを超すとローラ表面に対するトナーのフィルミングが顕著になるからであり、0.05μm未満であると帯電ローラと感光体ドラムの密着性が高まり、すなわち接触面積が大きくなるので帯電音の抑制ができなくなるからである。
【0043】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して約5〜約20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0044】
本発明の帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。
【0045】
このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗度Rzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0046】
次に本発明に用いる現像剤トナー及び現像条件について説明する。
本発明の現像法においては一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれかを用いて像担持体上の静電潜像を現像することができる。一成分現像剤は、少なくとも磁性粉末及びバインダー樹脂よりなる磁性トナーからなり、これらには着色剤を含むこともできる。
【0047】
又、現像法は接触、非接触のどちらでも用いることができる。非接触の現像法を採用する場合には非接触での正規現像又は非接触での反転現像を行うことができる。そのときの直流現像電界は絶対値で1×103〜1×105V/cm、好ましくは5×103〜1×104V/cmとされ、103V/cm未満だと現像が不足し、十分な画像濃度が得られず、105V/cmを越えると画質が荒れ、かぶりが発生する。
【0048】
次に交流バイアスは0.5〜4kV(p−p)、好ましくは1〜3kV(p−p)とされ、又周波数は0.1〜10kHz、好ましくは2〜8kHzとされる。
【0049】
前記交流バイアスが0.5kV(p−p)未満の場合、キャリアに付着したトナーが離脱せず、非接触現像が不十分となり、画像濃度が不足する。又交流バイアスが4kV(p−p)を越えると現像剤中のキャリアが飛翔して感光体上にキャリア付着を生ずる。
【0050】
更に交流バイアスの周波数が0.1kHz未満では矢張りキャリアからのトナーの脱離が不十分となり現像不足、画像濃度低下を招く。又交流バイアスの周波数が10kHzを越えるとトナーが電界の変動に追随できず、矢張り現像不良となり、画像濃度が低下する。
【0051】
次に本発明の画像形成装置について述べる。
図1はローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図である。この画像形成装置は本発明を実施するためのものであり、静電潜像形成のための帯電極に帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電せしめ、又トナーの転写紙への転写のための転写極に転写ローラを用いて、この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものでいわゆる接触帯電方式を採用しており、そして非接触現像により静電潜像を現像するものである。
【0052】
図1(a)において帯電ローラ1によって帯電された感光体ドラム2上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、感光体ドラム2に近接して配置された現像装置3の現像剤担持体である現像スリーブ4によってトナー像に現像される。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム2の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写紙Pに、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写紙Pにトナーが転写される。トナー転写後の転写紙Pは、感光体ドラム2から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写紙Pに定着される。
【0053】
前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少い状態で感光体ドラム2への帯電及びトナー像の転写紙Pへの転写が行なわれる。前記バイアス電圧は通常±500〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500V(p−p)のACバイアスとからなる。
【0054】
前記帯電ローラ1及び転写ローラ6は感光体ドラム2への圧接下に従動又は強制回転される。
【0055】
前記感光体ドラム2への圧接は10〜100g/cmとされローラの回転は感光体ドラム2の周速の1〜8倍とされる。
【0056】
図1(b)に示すように前記帯電ローラ1(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0057】
転写後の感光体ドラム2はクリーニング器11のクリーニングブレード12の圧接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0058】
電子写真画像形成装置としては、感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0059】
尚、前記図1においては、帯電器、及び転写極ともローラ帯電器を用いているが、本発明においては、本発明の必須構成要件は帯電器に帯電ローラを用いることであり、転写極には転写ローラ以外の転写手段を用いても良い。
【0060】
次に、帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子について説明する。
図2は接触式の磁気ブラシ帯電装置図、図3は図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図である。
【0061】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、(イ)帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ初め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム50面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0062】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が200μm以下、20μm以上であり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが必要である。なお、磁化の強さは30〜100emu/gのものが好ましく用いられる。
【0063】
このような磁気粒子は、磁性体として前述した従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0064】
なお、磁気粒子を球状に形成することは、搬送担体に形成される粒子層が均一となり、また搬送担体に高いバイアス電圧を均一に印加することが可能となると云う効果も与える。即ち、磁気粒子が球形化されていることは、(1)一般に、磁気粒子は長軸方向に磁化吸着され易いが、球形化によってその方向性がなくなり、従って、磁気粒子層が均一に形成され、局所的に抵抗の低い領域や層厚のムラの発生を防止する、(2)磁気粒子の高抵抗化と共に、従来の粒子に見られるようなエッジ部が無くなって、エッジ部への電界の集中が起こらなくなり、その結果、帯電用磁気粒子の搬送担体に高いバイアス電圧を印加しても、感光体ドラム50面に均一に放電して帯電ムラが起こらない、という効果を与える。
【0065】
以上のような効果を奏する球形粒子には磁気粒子の抵抗率が105〜1010Ωcmであるように導電性の磁気粒子を形成したものが好ましい。この抵抗率は、粒子を0.50cm2の断面積を有する容器に入れてタッピングした後、詰められた粒子上に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることで得られる値であり、この抵抗率が低いと、搬送担体にバイアス電圧を印加した場合に、磁気粒子に電荷が注入されて、感光体ドラム50面に磁気粒子が付着し易くなったり、あるいはバイアス電圧による感光体ドラム50の絶縁破壊が起こり易くなったりする。また、抵抗率が高いと電荷注入が行われず帯電が行われない。
【0066】
さらに、接触式の磁気ブラシ帯電装置120に用いられる磁気粒子は、それにより構成される磁気ブラシが振動電界により軽快に動き、しかも外部飛散が起きないように、比重が小さく、且つ適度の最大磁化を有するものが望ましい。具体的には真比重が6以下で最大磁化が30〜100emu/gのもの、特に40〜80emu/gを用いると好結果が得られることが判明した。
【0067】
以上を総合して、磁気粒子は、少なくとも長軸と短軸の比が3倍以下であるように球形化されており、針状部やエッジ部等の突起が無く、抵抗率は好ましくは105〜1010Ωcmの範囲にあることが望まれる。そして、このような球状の磁気粒子は、磁性体粒子にできるだけ球形のものを選ぶこと、磁性体微粒子分散系の粒子では、できるだけ磁性体の微粒子を用いて、分散樹脂粒子形成後に球形化処理を施すこと、あるいはスプレードライの方法によって分散樹脂粒子を形成すること等によって製造される。
【0068】
図2又は図3によれば、帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120は回転する感光体ドラム50と対向し、感光体ドラム50との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム50を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ帯電装置120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム50との対向位置で感光体ドラム50の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム50に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム50の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0069】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム50への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム50上への付着や帯電ムラを起こすことになる。実験を重ねた結果、帯電領域における磁気粒子の好ましい付着量は100〜400mg/cm2であり、特に好ましくは200〜300mg/cm2であることが判明している。なお、この付着量は、磁気ブラシの帯電領域における平均値である。
【0070】
帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500VP−Pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム50の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム50が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム50との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体層10a上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0071】
感光体ドラム50を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0072】
図3に示すように、帯電バイアスの交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)と帯電電位との関係は、ピーク・ピーク電圧VP−Pが大きくなるに従い帯電電位が大きくなり、帯電電位はピーク・ピーク電圧が一定のV1で帯電バイアスの直流バイアスE3の値VSとほぼ等しい値で飽和し、それ以上ピーク・ピーク電圧VP−Pを大きくしても帯電電位は殆ど変化しないという特性がある。磁気粒子の電気抵抗は環境条件によっても変化するが、また使用するに従い磁気粒子の表面にトナーが融着するなどして電気抵抗は高くなる。このため、特性曲線は使用初期の新しい磁気粒子の場合は実線で示す(a)のように左側に、長期間使用した磁気粒子の場合は前記特性曲線は点線で示す(b)のように右側に位置することになる。
【0073】
本発明の画像形成装置の接触方式による帯電装置では、装着電源のon時或いはプリント開始前に帯電電位に相当する直流バイアスE3の電圧値を所定値とし、交流バイアスAC3のピーク・ピーク電圧(VP−P)を低い値から次第に大きくした帯電バイアスを印加してその時変化する感光体ドラム50の帯電電位を電位計ESによって検出する。検出される帯電電位はA/D変換器によってディジタル値に変換されたのち制御部(CPU)に入力される。制御部ではこの帯電電位が所定値VSの飽和点に達した時のVP−Pの値を適正バイアス値V1と規定してプリント動作とする。
【0074】
即ち、プリントが行われる時交流バイアスAC3を低い値から次第に大きくして(スイープして)交流バイアスAC3のVP−Pの値V1を求め、制御部からバイアス信号が出力される。この制御信号はD/A変換器によってアナログ値に変換された後交流バイアスAC3に送出され、交流バイアスAC3は決定されたピーク・ピーク電圧V1を出力する。その際のピーク・ピーク電圧V1の値とメモリに格納された磁気粒子の劣化により交換すべき規定値V2を読み出しこれと比較する。磁気粒子はトナーの混入により抵抗が増加するので、プリントの使用に従い適正バイアス値V1が増加する。これに伴い印加するVP−Pが増加し帯電不能な状態が生じることになる。測定した電圧値が帯電不能を示す規定値V2より小さい間は画像形成を続けるが、規定値V2より大きくなると、制御部より画像形成動作停止信号が送出され画像形成動作を停止し、不図示の操作部の表示部に帯電装置異常の表示を行う。この表示に基づき、帯電用の磁気粒子の供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を磁気ブラシ帯電装置120に落下、供給する。上記において感光体ドラム50の電位の測定に電位計ESを用いたが、バイアス電源に直流電流計を繋いで用いて交流バイアスVP−Pを変化させ、この電流値が飽和点に達した時のVP−Pを適正バイアス値V1と設定し、規定値V2との比較を行いV1を越えた時磁気粒子の供給を行うようにしてもよい。
【0075】
またメンテナンス時或いは例えば5万プリント等の定期時に、帯電用の磁気粒子の交換が行われる。メモリに記憶されたメンテナンスプリント毎や例えば5万プリント毎の定期時に、制御部を通して交換信号が出され、不図示の駆動モータの駆動により予めセットされた帯電用の磁気粒子の供給ボトル220の供給ローラー221が回転され、供給ボトル220内の磁気粒子が磁気ブラシ帯電装置120内に全量が1回で落下される。供給後空の供給ボトル220を外し、新たな供給ボトル220をセットすることにより画像形成装置が作動状態となるように制御することも可能である。また、定期時に制御部より不図示の操作部に例えばランプの点滅等による供給信号を表示し、供給ボトル220を磁気ブラシ帯電装置120にセットし、供給ボトル220底面の不図示の開閉蓋を開口して磁気粒子を供給するようにしてもよい。
【0076】
落下された磁気粒子は回転される帯電スリーブ120aにより搬送され、スクレーパ123により帯電スリーブ120a表面より掻落とされて磁気ブラシ帯電装置120の底部に補給される。これに伴い、反時計方向に回転される撹拌スクリュウ124により磁気ブラシ帯電装置120内部に収納されている使用済みの磁気粒子が排出口125より溢れ出され、ダクトDBを通して共通の磁気粒子回収容器300に回収される。この際、供給ボトル220より磁気ブラシ帯電装置120内に供給される1回の磁気粒子供給量は磁気ブラシ帯電装置120内に収納される全磁気粒子に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%未満では新規に供給される磁気粒子量が少な過ぎ交換効果がなく良好な帯電が行われず、50質量%を越えると新規の磁気粒子が溢れ出てしまう。
【0077】
上記により、帯電装置内の磁気粒子が劣化されることなく良好な帯電性能が長期に維持される。
【0078】
図4は本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。図4において50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52は磁気ブラシ帯電器で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電を与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0079】
感光体への一様帯電ののち像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0080】
その静電潜像は次いで現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ541上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0081】
転写材(記録紙とも云う)Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0082】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写ローラー(転写器)58が圧接され、給紙された転写材Pを挟着して転写される。
【0083】
次いで転写材Pは転写ローラーとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラー58及び分離ブラシ59は転写材Pの通過後感光体ドラム50の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0084】
一方転写材Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器62のクリーニングブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0085】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0086】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0087】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0088】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0089】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0090】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことを特徴とする。このような小スポットの露光ビームを用いても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜800μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0091】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0092】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0093】
本発明の有機感光体に使用する電荷発生物質としてはチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有することを特徴とする。本発明中、チタニルフタロシアニン化合物とは、一般式(1)で示すフタロシアニン残基中心にチタニル(O=Ti)基を持つものである。
【0094】
【化1】
【0095】
一般式(1)中、X1〜X4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0096】
本発明の2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオール(以下、単に隣接ジオールとも云う)とは、脂肪族炭化水素の隣り合う炭素原子に一つずつ水酸基があるもので、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリンなどを挙げることができる。好ましくは一般式(2)、(3)で示されるような2つの隣接する各炭素原子が不斉炭素で構成される光学活性を有するジオールを挙げることができる。
【0097】
【化2】
【0098】
(一般式(2)及び一般式(3)中、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立にアルキル基を表す。)
上記R3、R4、R5、R6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が好ましい。即ち、R3〜R6のアルキル基が比較的炭素数が少ないアルキル基である方がチタニルフタロシアニンとの付加体を形成しやすい。中でも、(2R,3R)−2,3ブタンジオール及び(2S,3S)−2,3ブタンジオールの少なくとも1つを用いたチタニルフタロシアニン付加体が最も好ましい。チタニルフタロシアニン付加体の構造は、例えば(2R,3R)−2,3ブタンジオールとの付加体で表すと、下記で示されるようなチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3ブタンジオールの脱水縮合により生成する付加体化合物と推定される。
【0099】
【化3】
【0100】
本発明のチタニルフタロシアニン付加体は上記隣接ジオールとチタニルフタロシアニンを各種溶媒中で室温あるいは加熱下に反応することで合成することができる。原料であるチタニルフタロシアニンはフタロニトリルと四塩化チタンから得る合成法、ジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得る合成法、フタロニトリルと尿素とアルコキシチタンから得る合成法等通常知られている何れの合成法も用いることが出来るが、特にはジイミノイソインドリンとアルコキシチタンから得られる塩素含有量の少ない高純度なチタニルフタロシアニンが好ましい。またチタニルフタロシアニンはアシッドペースト処理等の方法により無定形化してから隣接ジオールと反応させるものが好ましい。本発明のチタニルフタロシアニン付加体を得るには、隣接ジオールをチタニルフタロシアニンに対して0.5〜2.0モル当量を加え、反応させることが好ましく、必ずしもチタニルフタロシアニン化合物1.0モル当量に対して1.0モル当量以上の隣接ジオールを必要としない。これは本発明のチタニルフタロシアニン付加体が隣接ジオール付加チタニルフタロシアニンと隣接ジオール付加のないチタニルフタロシアニンとの混晶状態でも電荷発生物質として高感度で高性能な状態を保つことができるからと考えられる。
【0101】
チタニルフタロシアニンとジオールとの反応は、広範囲な温度条件下で行うことができ、反応温度は25〜300℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲であることがより好ましい。
【0102】
反応溶剤としては各種有機溶媒中を使用することができ、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤、トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤、ブタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール系有機溶剤等を挙げることができる。
【0103】
結晶形
また本発明のチタニルフタロシアニン付加体としては、Cu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピーク(バックグランドと明確に区別できるピーク)を有する結晶構造を有することが好ましい。その他にも9.5°、24.7°、25.1°、26.5°等に明確なピークを有してもよい。ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に明確な回折ピークを有する結晶構造を有する本発明のチタニルフタロシアニン付加体は良好な感度特性と環境メモリによる画像むらや黒ポチ等の画像欠陥の少ない特性を併せて有する。
【0104】
又、本発明の有機感光体は、感光体の表面層が、表面から加重される一定加重の圧子(荷重20mN)に対し、一定の塑性変形(1%以上、3.5%未満)特性を有機感光体に持つことを特徴とする。
【0105】
本発明の有機感光体のクリープ率は1%以上、3.5%未満であるが、2.0%以上、3.2%以下がより好ましい。有機感光体の表面がこのようなクリープ率を有していると、感光体表面が常に均一な表面形状を維持しやすく、感光体から記録材へのトナーの転写率が、常に良好に維持されやすい。クリープ率が1%未満では感光体表面が脆くなり、キャリア付着やブレード等の擦過に対し、クラック傷が生じやすく、感光体表面のクラック傷は周期的な黒ポチや白ヌケ等の画像欠陥を発生しやすく、トナーの転写性も低下しやすい。一方、クリープ率が3.5%以上ではキャリア付着やブレード等の擦過に対し、周辺が盛り上がったクレータ状の傷が発生し、この傷がクリーニングブレードを損傷させ、その結果クリーニング不良を引き起こし、ドット再現性を低下させ、鮮鋭性が劣化しやすい。
【0106】
本発明の画像形成方法はこのような粘弾性特性を備えた表面層を備えた有機感光体を用いることにより、感光体表面に発生しやすい傷を防止し、且つクリーニングブレードの損傷を防止して、周期性の画像欠陥の発生を防止すると同時にトナーの転写性を改善し、現像工程や転写工程でのトナー画像の乱れを防止して、階調性、鮮鋭性等に優れた電子写真画像を形成することができる。
【0107】
前記のような粘弾性特性を有する表面層は、高弾性のポリカーボネートをバインダー樹脂として用いると同時に、比較的高分子量の電荷輸送物質を用いて、バインダーの高弾性を維持した電荷輸送層を表面層とすることにより、実現する事が出来る。又、このような電荷輸送層は、電荷輸送層を2層以上とし、最上層の電荷輸送層を前記した構成にすることが好ましい。
【0108】
本発明に好ましく用いられる高弾性のポリカーボネートとしては、下記に示すようなポリカーボネートが挙げられる。
【0109】
【化4】
【0110】
上記において、Mvは粘度平均分子量を示す。
又、本発明に用いる電荷輸送物質としては、分子量が500〜1500が好ましく、更に600〜1000がより好ましい。本発明に好ましく用いられる電荷輸送物質としては下記のような化学構造を有する電荷輸送物質が挙げられる。
【0111】
【化5】
【0112】
上記中、Mwは分子量を示す。
前記した高分子量の電荷輸送物質とポリカーボネートの混合比は質量比で電荷輸送層1に対し、ポリカーボネート0.5〜3.0の比率が好ましく、更に0.8〜2.0の比率が好ましいが、この比率は電荷輸送物質或いはポリカーボネートの種類によって、或いはその他の添加剤の存在により変化し、絶対的なものではない。
【0113】
又、数平均一次粒径が10nm以上、100nm未満の疎水性無機粒子を混在させることがより好ましい。疎水性無機粒子のより好ましい数平均粒径は10nm以上、90nm以下、最も好ましくは10nm以上、50nm未満である。表面層に含有される無機粒子の数平均一次粒子径が10nm未満でも、100nm以上でも、前記粘弾性特性が得られにくく、上記のような改善効果が得られにくい。
【0114】
本発明に用いられる10nm以上、100nm未満の無機粒子としては、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を好ましく用いることができるが、これらの中でもコスト、粒径の調整や表面処理の容易さ等からシリカ、特に表面を疎水化した疎水性シリカが好ましい。
【0115】
本発明の無機粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出する。
【0116】
上記疎水性シリカの疎水化度は、メタノールに対する濡れ性の尺度(メタノールウェッタビリティ)で示される疎水化度で50%以上のものが好ましい。疎水化度が50%未満であると前記吸熱エネルギー変化量ΔHが、10J/gより大きくなりやすく、その結果、温湿度変化時に画像むらが発生しやすくなり、又ブレードを傷つけクリーニング不良も発生しやすくなる。より好ましい疎水化度は65%以上、最も好ましくは70%以上である。
【0117】
疎水化度を表すメタノールウェッタビリティとは、メタノールに対するシリカ微粉末の濡れ性を評価するものである。濡れ性の測定は以下の方法で行う。内容量250mlのビーカーに入れた蒸留水50mlに、測定対象のシリカ微粉末を0.2g添加して撹拌する。次にメタノールを先端が液体中に浸漬されているビュレットからゆっくり撹拌した状態でシリカ微粉末の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。このシリカ微粉末を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした時、下記式より疎水化度を算出する。
【0118】
疎水化度=a/(a+50)×100
上記疎水性シリカは、公知の湿式法もしくは乾式法で生成されたシリカ粉末をを疎水化することにより得られる。特に乾式法(ケイ素化ハロゲン化合物の蒸気相酸化)により生成されたいわゆるヒュームドシリカと称されるものを疎水化剤で処理したものが、水分吸着サイトが少なく好ましい。これは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
【0119】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
又、この製造工程において例えば、塩化アルミニウム又は、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。
【0120】
シリカ粉末の疎水化処理は、シリカ微粉末を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した疎水化処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した疎水化処理剤を接触させて付着させる乾式処理、又は、シリカ粉末を溶液中に分散させ、その中に疎水化処理剤を滴下して付着させる湿式処理等の従来公知の方法で行うことが出来る。
【0121】
疎水化処理剤としては、公知の化合物を用いることが出来、具体例を下記に挙げる。又、これらの化合物は組み合わせて使用しても良い。
【0122】
チタンカップリング剤としてはテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
【0123】
シランカップリング剤としてはγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−ビニルベンジルアミノエチル−N−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0124】
シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0125】
これらの疎水化処理剤は、シリカ粉末に対して1〜40質量%添加して被覆することが好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
【0126】
又、上記表面疎水化剤としてハイドロジェンポリシロキサン化合物を用いてもよい。該ハイドロジェンポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0127】
本発明では上記疎水化処理された疎水性シリカを有機感光体の表面層にバインダーと共に含有させるが表面層のシリカ粒子の割合はバインダーに対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、最も好ましくは2〜10質量%で使用されるのがよい。20質量%以上だと、感光体の吸熱エネルギー変化量ΔHを10J/g以下にするのが難しくなり、環境メモリやトナーの転写性を低下させやすい。一方、1質量%未満だとクリーニング不良や、耐摩耗性の低下を起こしやすい。
【0128】
又、表面層となる電荷輸送層には、上記共重合ポリカーボネートのバインダー樹脂と疎水性無機粒子以外に、電荷輸送物質が含有される。該電荷輸送物質はバインダー樹脂に対して50〜150質量%が好ましい。又該電荷輸送層には酸化防止剤をバインダー樹脂に対して1〜10質量%存在させることが好ましい。
【0129】
以上のような構成を選択採用することにより、前記した表面層の膜物性と表面粗さを実現させることができ、このような表面層を有する有機感光体は残留トナークリーニング性を改善すると同時に、耐傷性、耐摩耗性を改善し、長期に亘り鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【0130】
以下、表面層以外の本発明に適用される有機感光体の構成について記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0131】
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
【0132】
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。最も好ましい構成としては、感光層を電荷発生層と複数の電荷輸送層で構成し、最上層を電荷輸送物質を含有し、且つビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率が1%以上3.5%未満の特性を有する電荷輸送層の構成にすることである。
【0133】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0134】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0135】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0136】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0137】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設けることが好ましい。
【0138】
本発明の中間層には前記した吸水率が小さいバインダー樹脂中に酸化チタンを含有させることが好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0139】
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
【0140】
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0141】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0142】
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0143】
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(4)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0144】
一般式(4)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(4)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0145】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0146】
また、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(4)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0147】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0148】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0149】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0150】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として前述のチタニルフタロシアニン付加体を使用するが、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを併用して用いることができる。
【0151】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0152】
電荷輸送層
電荷輸送層は複数の電荷輸送層の構成にし、最上層の電荷輸送層を表面層とした構成を採用することが好ましい。
【0153】
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0154】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
【0155】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0156】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0157】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0158】
又、複数の電荷輸送層の膜厚の合計は10〜50μmが好ましい。膜厚が10μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、50μmを超えると、鮮鋭性が劣化しやすい。
【0159】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0160】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
《現像剤》
本発明に用いられる現像剤は、少なくともトナーとキャリアを混合して用いる二成分現像剤である。
【0161】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0162】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0163】
一方、本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、重合法で製造される重合トナーを用いることを特徴とする。重合トナーは粉砕法のトナーに比し、トナー表面の水分含有が高いため、有機感光体との付着力が増大し、クリーニング性や転写性を低下させたり、或いは有機感光体の湿度成分を増大させて、感度変化を生じさせ、画像むらを発生させやすいが、前記した本発明の有機感光体と併用することにより、クリーニング性や転写性が良好で、且つ鮮鋭性に優れた電子写真画像を形成することができる。
【0164】
尚、重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0165】
又、重合トナーとしては、以下のような形状係数、粒度分布が均一なトナーであることが好ましい。即ち、本発明に用いる重合トナーとしては、以下に記すような均一な形状係数やシャープな粒度分布を有する重合トナーを併用した画像形成方法を採用することにより、階調性の高い且つ鮮鋭な電子写真画像を形成することが出来る。
【0166】
(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナー
形状係数が1.2より小さいとトナーの形状が真球に近くなり、トナーの感光体との接着強度が増大し、クリーニング不良が発生しやすい。一方、1.6より大きくなるとトナーが破砕され、微粉化されやすく、このこともクリーニング不良の原因となる。即ち、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上、さらに好ましくは70個数%以上含有するトナーはクリーニング性が良好で、且つ微粉化されにくいトナーを多量に含んだトナーであり、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0167】
(2)角がないトナー粒子を50個数%以上含有するトナー
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより破砕しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、更に好ましくは70個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、微細なトナーの発生によるクリーニング不良を防止でき、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。そのためには角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることが好ましく、更に、好ましくは70個数%以上である。
【0168】
(3)トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有するトナー
相対度数(m1)と、相対度数(m2)の和(M)が70%以上のトナーであることにより、該トナーを構成するトナー粒子の粒度分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0169】
(4)トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下且つトナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下であるトナー
トナーの形状係数の変動係数が16%以下であり、且つトナーの個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0170】
トナーの個数変動係数は27%以下であるが、好ましくは25%以下である。
トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下、より好ましくは14%以下である。このことにより、トナーを構成するトナー粒子の形状分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0171】
又、トナーは形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することが好ましい。このようなトナーは感光体との付着力が小さく、クリーニング性が良好である。
【0172】
また、角がないトナー粒子を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御することによっても、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0173】
トナーの粒径は、個数平均一次粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0174】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性の過度なトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、現像性を長期に亘って安定化することができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0175】
トナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0176】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0177】
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0178】
本発明に用いるトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上、好ましくは70個数%以上である。
【0179】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等があるが、本発明では重合法により作製した重合トナーを用いて形状係数等を本発明の範囲内に作製することが好ましい。
【0180】
トナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
この形状係数の変動係数は16%以下が好ましく、更に好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0181】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、重合トナーの製造過程、即ち樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0182】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0183】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0184】
トナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0185】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0186】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0187】
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、すなわち、図5(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図5(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0188】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0189】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。しかしながら、製造コストやエネルギーコストを考慮すると、重合法による重合トナーが好ましい。
【0190】
例えば、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0191】
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0192】
本発明に好ましく用いられる重合トナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0193】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0194】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
【0195】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0196】
形状係数を制御する方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0197】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0198】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0199】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0200】
なお、本発明で用いられる形状係数等の均一なトナーを作製するための材料や製造方法、重合トナーの反応装置等については特開2000−214629号に詳細に記載されている。
【0201】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0202】
実施例1
合成例1
チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベンゼン200mlに分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱する。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥後、26.2g(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得る。ついで粗チタニルフタロシアニンを5℃以下で濃硫酸250ml中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5Lに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、充分に水洗してウエットペースト品225gを得る。ついでウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、濾過、乾燥してチタニルフタロシアニン−アモルファス品24.8gを得た。(収率86%)
合成例2
チタニルフタロシアニン付加体CG−1の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール1.8g(0.6モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−1)19.8gを得た。CG−1のX線回折スペクトルを図6に示す。
【0203】
合成例3
チタニルフタロシアニン付加体CG−2の作製((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体)
トルエン200mlと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール3.7g(1.2モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いでエステル管を備えて加熱還流し、生成する水をトルエンとの共沸によって除去しながら3時間反応させる。放冷後、(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−2)20.7gを得た。CG−2のX線回折スペクトルを図7に示す。
【0204】
合成例4
チタニルフタロシアニン付加体CG−3の作製((2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体)
オルトジクロロベンゼン200mlと(2S,3S)−2,3−ブタンジオール2.1g(0.7モル当量)を溶解し、これにチタニルフタロシアニン−アモルファス品19.6gを加える。次いで6時間加熱還流させ反応を進行させる。放冷後、(2S,3S)−2,3−ブタンジオール付加体を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする付加体(CG−3)20.0gを得た。CG−3のX線回折スペクトルを図8に示す。
【0205】
感光体1の作製
直径80mmφの円筒状アルミニウム基体上に、下記の組成の中間層塗布液を浸漬塗布して、膜厚4.0μmの中間層を形成した。
【0206】
〈中間層塗布液〉
下記組成を循環式湿式分散機を用いて分散した。
【0207】
ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10部
酸化チタン(数平均一次粒径35nm、一次表面処理;シリカ・アルミナ処理、二次表面処理;メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 30部
メタノール 100部
その上に下記の電荷発生層塗布液を、浸漬塗布して、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0208】
〈電荷発生層塗布液〉
下記組成を混合しサンドグラインダーにて分散した。
【0209】
電荷発生物質:合成例2のCG−1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
〈第一電荷輸送層〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で乾燥膜厚15μmの第一電荷輸送層を形成した。
【0210】
〈第二電荷輸送層:表面層〉
電荷輸送物質(T−1) 20部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 30部
疎水性シリカ(平均一次粒径:40nm、ヘキシルメチルジシラザン、疎水化度:76%) 3.0部
酸化防止剤(LS2626:三共社製) 0.6部
1,3−ジオキソラン 600部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 0.1部
を混合し、超音波を照射できる循環分散装置にて循環分散を行い、表面層塗布液を調製した。この塗布液を前記第一電荷輸送層の上に円型量規制型塗布法により乾燥膜厚5μmになるように第二電荷輸送層を塗布し、110℃で70分間の乾燥を行い、感光体1を作製した。
【0211】
尚、上記電荷発生層を透明ペットベース上に塗布乾燥した試料を用いて、X線回折スペクトルを測定したデータを図9に示す。図9のX線回折スペクトルは電荷発生層のバインダー(ポリビニルブチラール樹脂)の影響を受け、図6のCG−1の顔料のX線回折スペクトルに比し、0.2°〜0.3°低角度側にシフトしている。
【0212】
感光体2〜7の作製
感光体1の作製において、電荷発生物質のチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体CG−1、第二電荷輸送層の電荷輸送物質の種類と量、及びポリカーボネートを表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜7を作製した。
【0213】
感光体8の作製
感光体1の作製において、第一電荷輸送層の乾燥膜厚を20μmとし、第二電荷輸送層を除いた他は感光体1と同様にして感光体8を作製した。
【0214】
感光体9の作製
感光体1の作製において、電荷発生物質のチタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールとの付加体CG−1を、下記に示す合成法で得たX線回折スペクトルで、27.2°に最大ピークを有するY型チタニルフタロシアニン顔料(表1ではY−TiOPc)に変更した以外は同様にして感光体9を作製した。
【0215】
Y型チタニルフタロシアニン顔料の合成例
ジイミノイソインドリンとチタニウムテトラブトキシドからチタニルフタロシアニン粗品を作り、これを硫酸に溶かし水に注いで生じた沈殿を濾過し水で十分に洗って無定型チタニルフタロシアニン顔料含水ペーストを得る。この顔料含水ペースト(固形分換算約10g)をオルトジクロルベンゼン100mlと水100mlの混合液(水層は分離している)に分散し、70℃で6時間加熱後、メタノールに注いで生じた結晶を濾過し、乾燥してY型チタニルフタロシアニン顔料(Y−TiOPc:X線回折スペクトルは図10)を得た。
【0216】
【表1】
【0217】
表1に記載したクリープ率は下記のようにして測定した。
クリープ率の測定
使用機器:フィッシャースコープH100V(微小硬さ測定装置)(株)フィッシャー・インストルメンツ社製
使用圧子:ダイアモンド ビッカース圧子
負荷条件:4mN/secの速度で有機感光体の表面からビッカース圧子を押し込む
負荷時間:5sec
保持時間:5sec
除荷条件:負荷と同じ速度で負荷を除く
測定試料
アルミ平板上に前記した感光体と同様に中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層、第二電荷輸送層を設け、同じ条件で乾燥させた試料をH100V機に固定し、試料に対して垂直にビッカース圧子を押し込み測定。
【0218】
測定は圧子負荷(5sec)、荷重保持(5sec:この間の変形量の割合がクリープ率)、除荷の手順で行う。
【0219】
クリープ率の求め方
CHU(クリープ率)={(h2−h1)/h1}×100(%)
h1:負荷荷重(20mN)に達した時(負荷開始から5秒後)の押し込み深さ
h2:保持(5sec)後の押し込み深さ
又、表1中の電荷輸送物質T−4及びポリカーボネートPC−4の化学構造を下記に示す(Mvは粘度平均分子量、Mwは分子量)。
【0220】
【化6】
【0221】
本発明に用いるトナー及び該トナーを用いた現像剤を作製した。
(トナー1〜14の製造例:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0222】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0223】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0224】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0225】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0226】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0227】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0228】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0229】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0230】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0231】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0232】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0233】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0234】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0235】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0236】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した(塩析/融着段階工程)。
【0237】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した(形状制御工程)。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0238】
前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1〜14を得た。これらのトナーの形状特性および粒度分布特性を表2に示す。
(トナー15の製造例:粉砕法の例)
スチレン:ブチルアクリレート:ブチルメタクリレート:アクリル酸=75:18:5:2の質量比からなるスチレン−アクリル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)4部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、分級して個数平均粒径が6.3μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これをトナー15とする。トナー15の形状特性および粒度分布特性を表2に示す。
【0239】
【表2】
【0240】
〔現像剤の製造〕
表2の各トナー毎に、トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1〜15を作製した。
【0241】
〈評価〉
図1に示した帯電ローラを有する画像形成装置を基本構成としたデジタルカラープリンターに各感光体、各トナー、露光スポット面積を表3のように組み合わせ、高温高湿下(30℃80%RH)で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在した画像を連続してA4紙2万枚プリントを行い評価した。
【0242】
評価項目、評価基準を下記に示す。又評価結果を表3に示す。
評価項目と評価基準
「ドットの再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。
【0243】
◎:画像ドットが露光スポット面積の±30%未満でそれぞれ独立に再現されている(良好)
○:画像ドットが露光スポット面積の±30〜±60%でそれぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:画像ドットが露光スポット面積の±60%より大きく、部分的に画像ドットが消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「周期性の画像欠陥」
感光体の周期と一致した画像欠陥(黒ポチや白ヌケ又は線状の画像欠陥として発生する)が発生する。
【0244】
評価基準は
◎:明瞭な周期性の画像欠陥の発生がほとんど見られない(黒ポチ又は白ヌケの場合は3個/A4以下、線状の場合は濃度差が0.02以内:良好)
○:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が実用性の範囲内(黒ポチ又は白ヌケの場合は4〜10個/A4以下、線状の場合は濃度が0.03〜0.04:実用性があるレベル)
△:周期性の画像欠陥の発生があり、実用性の再検討を要する範囲(黒ポチ又は白ヌケの場合は11〜20個/A4以下、線状の場合は濃度が0.05〜0.06:実用性再検討要のレベル)
×:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が多発(黒ポチ又は白ヌケの場合は21個/A4以上、線状の場合は濃度が0.07以上:実用上問題のレベル)
「画像むら」
画像むら:前記デジタルカラープリンターを高温高湿下(HH:30℃80%RH)に24hr放置後、低湿低温下(LL:10℃20%RH)に置き、30分後、コピーした。文字画像とハーフトーン画像のオリジナル画像をコピーし、発生した残像や黒帯状の画像の濃度差(ΔHD=最大濃度−最小濃度)で判定
◎:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.02以下(良好)
○:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.02〜0.0.04(実用上問題なし)
△:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.05〜0.0.06(実用性再検討要のレベル)
×:残像や黒帯状の画像の濃度差ΔHDが0.07以上(実用上問題あり)
「トナーの転写性」
トナー画像を、独立に前記デジタルカラープリンターで作製し、クリーニングユニットから回収されたトナーは現像器に戻さず、袋に取り、前記高温高湿環境(HH)下で、2万枚のコピーを行い、下記により転写率を求め、評価した。
【0245】
転写率
下記式(6)により転写率(%)を求めた。
【0246】
式(6)転写率(%)={1−(回収トナーの質量/消費トナーの質量)}×100
◎:各トナーの転写性が良好で、各色とも転写率が80%より大(良好)
○:トナーの転写性が良好で、各色とも転写率が65〜80%(実用性があるレベル)
△:トナーの転写率が55〜64%(実用性再検討要のレベル)
×:トナーの転写率が54%以下(実用上問題のレベル)
「階調性」
上記評価条件を常温常湿(20℃、60%RH)環境に変更し、白画像から黒ベタ画像まで60の階調段差を持つオリジナル画像を複写し、階調性を評価した。評価は階調段差の画像を十分な昼光条件下で目視評価し、有意性のある階調段差の合計段差数で評価した。
【0247】
◎:階調性が41段差以上(良好)
○:階調性が21〜40段差(実用上問題なし)
△:階調性が11〜20段差(実用性の再検討要:階調性が重視されない画質では実用性あり)
×:階調性が10段差以下(実用上問題あり)
「鮮鋭性」
画像の鮮鋭性は、線画像の解像性で評価した。下記の判断基準で評価した。
【0248】
◎:線画像の解像性が16本/mm以上を達成している(良好)
○:線画像の解像性が10〜15本/mmを達成している(実用上問題なし)
△:線画像の解像性が5〜9本/mm以下(高解像性の画像としては不適)
×:線画像の解像性が4/mm以下(実用上問題あり)
評価結果を表3に示す。
【0249】
その他の評価条件
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、その制御可能範囲は−500V〜−900Vである。
【0250】
像露光光:半導体レーザ(波長:780nm)
露光条件
露光部電位を−50V〜−150Vにする露光量に設定。
【0251】
露光スポット面積:表3に記載のように変化させた。
現像条件:現像剤は前記した非磁性一成分トナーを用いた。又、現像方式は反転現像で行った。
【0252】
【表3】
【0253】
表3より、チタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である有機感光体に、露光光のスポット面積が2000μm2以下の露光光を用いて静電潜像を形成し、該静電潜像を重合トナーを用いた本発明内の接触帯電方式を用いた画像形成方法(組み合わせNo.1〜14、16〜19、21〜23、26、27)は、上記粉砕法のトナーを用いた本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.15)に比し、ドットの再現性、トナーの転写性等が良好であり、階調性、鮮鋭性が改良されている。又、有機感光体が本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.28)は、画像むらが発生しており、鮮鋭性が低下している。又、有機感光体が本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.24、25)は、周期性の画像欠陥や画像むらが発生しており、鮮鋭性が低下している。又、露光光のスポット面積が2000μm2以下の条件を満たさない本発明外の画像形成方法(組み合わせNo.20)は階調性、鮮鋭性が低下している。
【0254】
又、本発明内の有機感光体間の比較では、クリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満を満たした有機感光体を用いた画像形成方法(組み合わせNo.1、21〜23、26、27)は、クリープ率が上記範囲外の有機感光体を用いた画像形成方法(組み合わせNo.24、25)に比し、改善効果が顕著である。
【0255】
【発明の効果】
本発明の有機感光体を接触帯電方式の画像形成方法に適用することにより、高画質のドット画像を形成でき、画像不良を伴わない良好な電子写真画像を提供することが出来る。又、該画像形成方法を用いた画像性能の良好な画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ帯電を行う画像形成装置の1例を示す図。
【図2】接触式の磁気ブラシ帯電装置図。
【図3】図2の帯電装置による交流バイアス電圧と帯電電位との関係を示す図。
【図4】本発明の磁気ブラシ帯電器を有する画像形成装置の1例を示す断面図。
【図5】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図6】CG−1のX線回折スペクトルの図である。
【図7】CG−2のX線回折スペクトルの図である。
【図8】CG−3のX線回折スペクトルの図である。
【図9】感光体1の電荷発生層のX線回折スペクトルを示す図である。
【図10】Y型チタニルフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルの図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
3 現像装置
4 現像スリーブ
5 除電ランプ
6 転写ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ローラ
9、10 電源
11 クリーニング器
12 クリーニングブレード
20 芯金
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 露光部
52 磁気ブラシ帯電器
53 像露光器
54 現像器
57 給紙ローラー
58 転写ローラー(転写器)
59 分離ブラシ(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
120 磁気ブラシ帯電装置
120a 帯電スリーブ
220 供給ボトル
300 磁気粒子回収容器
ES 電位計
Claims (12)
- 有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有することを特徴とする有機感光体。
- 有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させる帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法に用いられる有機感光体において、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満であることを特徴とする有機感光体。
- 前記ジオールが(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオール又は(2S,3S)−2,3−ブタンジオールとの付加体がCu−Kα特性X線の回折スペクトルで、ブラッグ角(2θ)の8.0〜8.8に回折ピークを示す結晶構造を有することを特徴とする請求項3に記載の有機感光体。
- 前記有機感光体の表面層に個数平均粒径10nm以上、100nm未満の微粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機感光体。
- 感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、感光体に静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有する有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
- 感光体、該感光体に帯電させるための帯電工程、静電潜像を形成させるための露光工程、及び静電潜像を可視化するための現像工程とを有する画像形成方法において、該感光体が、導電性基体上にチタニルフタロシアニンと2つの隣接する各炭素原子に水酸基を有するジオールとの付加体を含有する電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、且つクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である有機感光体であり、該有機感光体に接触帯電部材を用いて帯電させた後、スポット面積が2000μm2以下の露光光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を重合法で製造された重合トナーを用いて現像することを特徴とする画像形成方法。
- 前記重合トナーの形状係数の変動係数が16%以下、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成方法。
- 前記重合トナーが、形状係数1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記重合トナーが、角がないトナー粒子を50個数%以上含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記重合トナーが、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 請求項6〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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