以下、本願発明について、詳細に説明する。
本願発明の画像形成方法は、有機感光体上に帯電工程で均一帯電を付与し、像露光工程で静電潜像を形成し、現像工程で静電潜像をトナー像に顕像化し、該トナー像を転写媒体に転写する工程及び転写後の残留トナーを除去するクリーニング工程を有する画像形成方法であり、前記有機感光体が、少なくとも、含フッ素樹脂微粒子及びトリアリールアミン基を有し、且つ前記トリアリールアミン基のN原子と間接的に連結し、しかも、最も遠くに存在する炭素環基上に、AM1パラメーターを用いた半経験的分子軌道計算により求められたHOMO電子密度分布の値が0.009以上の炭素原子を少なくとも1つ以上有し、且つ前記半経験的分子軌道計算により求められた双極子モーメントが0.7デバイ以下、且つ前記一般式(1)の化合物のトランス−トランス立体異性体構造の電荷輸送物質を含有する表面層を有し、前記現像工程で用いる現像剤が100〜1000nmの外添剤を含有し、且つ前記有機感光体が少なくとも2つの異方向に摺動作用をうけることを特徴とする。
本願発明の画像形成方法は、上記のような構成を持つことにより、表面層に含フッ素樹脂微粒子含有する感光体と一次粒径が100nmより大きいような大粒径外添剤を含有するトナーを用いた現像剤とを併用しても、保護層の離型効果を維持でき、筋やフィルミングの発生や活性ガスの付着を防止し、筋画像の発生や、転写率の低下による中抜けの発生を防止した良好な電子写真画像を作製できる。
まず、本願発明に係わる有機感光体について説明する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能のいずれか一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
本発明の有機感光体の層構成は、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該電荷輸送層は複数層から形成されることが好ましい。又、導電性支持体と電荷発生層の間には、該支持体からのフリーキャリアの進入をブロックできる中間層を設置することが好ましい。以下、本発明の有機感光体の好ましい構成を示す。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、支持体からのフリーキャリアの進入をブロックできる中間層を設置することが好ましい。
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
又、本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
又、本発明に好ましく用いられる中間層は無機粒子をバインダー樹脂中に分散した中間層が挙げられる。無機粒子の平均粒径は0.01〜1μmが好ましい。特に、表面処理をしたN型半導性微粒子をバインダー中に分散した中間層が好ましい。例えばシリカ・アルミナ処理及びシラン化合物で表面処理した平均粒径が0.01〜1μmの酸化チタンをポリアミド樹脂中に分散した中間層が挙げられる。このような中間層の膜厚は、1〜20μmが好ましい。
N型半導性微粒子とは、導電性キャリアを電子とする性質をもつ微粒子を示す。すなわち、導電性キャリアを電子とする性質とは、該N型半導性微粒子を絶縁性バインダーに含有させることにより、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性を示さない性質を有するものをいう。
前記N型半導性微粒子は、具体的には酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、等の微粒子が挙げられるが、本発明では、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
本発明に用いられるN型半導性微粒子の平均粒径は、数平均一次粒径において10nm以上500nm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは10nm〜200nm、特に好ましくは、15nm〜50nmである。
数平均一次粒径の値が前記範囲内にあるN型半導性微粒子を用いた中間層は層内での分散を緻密なものとすることができ、十分な電位安定性、及び黒ポチ発生防止機能を有する。
前記N型半導性微粒子の数平均一次粒径は、例えば酸化チタンの場合、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定される。
本発明に用いられるN型半導性微粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状のN型半導性微粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型のものが最も良い。
N型半導性微粒子に行われる表面処理は、N型半導性や分散性の調整を目的として行われ、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理、反応性有機ケイ素化合物処理等を挙げることが出来る。処理回数は単数でも複数でも良いが、例えばその1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理であり、最後に反応性有機ケイ素化合物の表面処理を行うことが好ましい。
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはN型半導性微粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
この様に、酸化チタン粒子の様なN型半導性微粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、N型半導性微粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理されたN型半導性微粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等のN型半導性微粒子の分散性が良好で、高感度かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
但し、表面処理を重ねるとN型半導性は一般に低下する為、高いN型半導性を必要とする場合は、N型半導性の高いアナタース型やブルッカイト型酸化チタン、或いは単数回の処理を採用すると良い。
感光層
本発明の有機感光体の感光層構成は導電性基体上に少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層を有する。該感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在する感光層で構成されてもよいが、より好ましくは、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層(CGL)及び電荷輸送層を含有する電荷輸送層(CTL)の積層構成が好ましい。以下、該積層構成の層構成を中心に本発明の有機感光体を説明する。
電荷発生層
電荷発生層:電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加を小さくすることができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
電荷輸送層
本発明に係わる電荷輸送層は、本願発明に係わる電荷輸送物質、即ち、トリアリールアミン基を有し且つ前記トリアリールアミン基のN原子と間接的に連結し、しかも、最も遠くに存在する炭素環基上に、AM1パラメーターを用いた半経験的分子軌道計算により求められたHOMO電子密度分布の値が0.009以上の炭素原子を少なくとも1つ以上有し、前記計算により求められた双極子モーメントが0.7デバイ以下の化合物の電荷輸送物質を含有することが好ましい。即ち、本発明の電荷輸送物質は上記HOMO電子密度分布の値が前記トリアリールアミン基のN原子と間接的に連結し且つ最も遠くに存在する炭素環基上に0.009以上の炭素原子が少なくとも1つ以上有する。更に、上記HOMO電子密度分布の値は0.009〜0.03の範囲が化学的に最も安定し(NOx等の攻撃サイトになりにくい化学的に安定した構造であり)且つ電荷キャリアの高速輸送特性を同時に満足した化学構造を獲得できる。
ここで、トリアリールアミン基を有する化合物とは、分子構造中に少なくともトリアリールアミン基を有する化合物であり、例えば、下記一般式(1)で示されるような化合物が好ましく用いられる。
〔一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5は各々水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基である。Ar1は水素原子又は置換、無置換の芳香族基、Ar2は置換、無置換の芳香族基を示す。〕
尚、一般式(1)中、トリアリールアミン基の構造は、N原子に連結している3個のフェニール基で構成されている。
上記、一般式(1)で示される化合物はシス−シス、シス−トランス、トランス−トランスの立体異性構造を取る化合物が多いが、この中で、前記HOMO電子密度及び双極子モーメントの条件を満足する化合物はトランス−トランスの立体異性構造を取る化合物の多く、本発明の電荷輸送物質として上記一般式(1)の化合物を用いる場合は、トランス−トランスの立体異性構造を有する化合物を用いることが好ましい。
これらの立体構造を有する化合物は、これらの立体構造を一旦分離した後、HOMO及び双極子モーメントの前記条件を満たす立体構造を有する化合物を全体として50質量%以上含有させることが好ましい。
又、一般式(1)の化合物の合成例とその分離方法(シス−シス、シス−トランス、トランス−トランスの立体異性構造の分離方法)については、特開2003−280221号公報に記載の下記の液体クロマトグラフィの測定条件(分離条件)で、分離することができ、これから分離して、前記トリアリールアミン基のN原子と間接的に連結し且つ最も遠くに存在する炭素環基上に0.009以上の炭素原子が少なくとも1つ以上存在し、前記計算により求められた双極子モーメントが0.7デバイ以下である化合物である化合物を選択することが好ましい。
測定機:島津LC6A(島津製作所製)
カラム:CLC−SIL(島津製作所製)
検出波長:290nm
移動相:n−ヘキサン/ジオキサン=10〜500/1
移動相の流速:約1ml/min
サンプル溶媒:n−ヘキサン/ジオキサン=10/1
サンプル:3mg/溶媒10ml
又、N原子と間接的に連結し且つ最も遠くに存在する炭素環基とは、トリアリールアミン基のN原子に他の基を挟んで間接的に接続している炭素環基であり、且つN原子を中心として、N原子から分子内の距離が最も遠くに存在する炭素環基を示し、下記化合物(CTM−2)では、P1、P2の円で囲まれたフェニル基に相当する。
又、前記炭素環基としては、単環炭素環基(飽和炭素環基及び芳香族炭素環基)、縮合多環炭素環基等が挙げられるが、本発明にはフェニル基等の炭素環基が好ましく用いられる。
AM1パラメーターを用いた半経験的分子軌道計算により求められたHOMO電子密度分布及び双極子モーメントは、以下のようにして、半経験的分子軌道計算により求めた。
即ち、分子軌道法ではシュレディンガー方程式で用いる波動関数を、原子軌道の線形結合で表される分子軌道からなるスレーター行列式で近似し、その波動関数を構成する分子軌道をつじつまの合った場(self−consistent field、略してSCF)の近似を用いて求めることにより全エネルギー、波動関数および波動関数の期待値として種々の物理量を計算できる。つじつまの合った場の近似により分子軌道を求める際、計算時間のかかる積分計算を種々の実験値を使って近似することにより計算時間を短縮するのが半経験的分子軌道法である。本発明では半経験的パラメーターとしてAM1パラメーターセットを用い半経験的分子軌道計算プログラムMOPACのバージョンMOPAC93を用いて計算した(PM3及びMOPACに関してはJ.J.P Stewart,Journal of Computer−Aided Molecular Design,4,1(1990)ならびにその中の引用文献を参照)。
トリアリールアミン基を有する化合物であり且つAM1パラメーターを用いた半経験的分子軌道計算により求められたHOMO電子密度分布で、前記トリアリールアミン基のN原子と間接的に連結し且つ最も遠くに存在する炭素環基上に0.009以上の炭素原子が少なくとも1つ以上存在し、前記計算により求められた双極子モーメントが0.7デバイ以下である化合物の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。
上記、具体例で示した化合物は、前記一般式(1)で示される化合物から、選択することができるが、これら一般式(1)の化合物が全て、上記電子密度分布及び双極子モーメントの条件を満たすものではなく、これら一般式(1)の化合物から、上記条件を満たす化合物を選択することが必要である。
前記一般式(1)で示される化合物の内、R1〜R5の少なくとも1つの基に炭素原子数1〜4のアルキル基を有する化合物が上記電子密度分布及び双極子モーメントの条件を満たす上で好ましく、特に、R2に炭素原子数1〜4のアルキル基を有する化合物が上記条件を満たす上で好ましい。
本発明に係わる電荷輸送物質としては、上記の化合物を用いることが好ましいが、これらの化合物と共に、上記条件を満たさない電荷輸送物質(例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物など)と併用することもできる。しかし、併用する場合にも上記条件を満たした電荷輸送物質を主たる電荷輸送物質(全電荷輸送物質の質量比で50%以上)として用いることが好ましい。
本発明に係わる前記電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(前記AM1パラメーターを用いた半経験的分子軌道計算により求められたイオン化ポテンシャル)が7.6〜7.9eVであることが好ましい。
特に、電荷発生物質にCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料を用いた場合に、上記範囲のイオン化ポテンシャルを有する化合物を電荷輸送物質として適用するとにより、光露光−現像間時間が100msecを下回る要高速応答プロセスにおいても、残留電位の増加が小さく抑えられ、画像ボケを防止し、高濃度で、良好な電子写真画像を作製することができる。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、10〜30μmが好ましい。
表面層
本発明に係わる表面層は含フッ素樹脂微粒子と前記した本発明に係わる電荷輸送物質を併用して含有させる。これら電荷輸送物質と含フッ素樹脂微粒子を併用した層を感光体の表面層として形成することにより、高速で且つ画像ボケや中抜けを防止した高耐刷の有機感光体を形成することができる。
表面層中の含フッ素樹脂微粒子の含有率は体積分率で、5〜18vol%が好ましい。又、表面層中の電荷輸送物質の含有率は体積分率で、20〜40vol%が好ましい。このような含フッ素樹脂微粒子と電荷輸送物質の含有率の表面層は、トナーや紙粉の離型効果に優れ、しかも画像ボケが発生せず、転写性も良好な電子写真画像を得ることができる。
本発明の含フッ素樹脂微粒子は、平均一次粒径が0.02μm以上、0.20μm未満が好ましい。平均一次粒径が0.02μm未満では分散液の安定性が劣化し、含フッ素樹脂微粒子同士の凝集が発生し、均一に分散することができにくく、前記した感光体上或いは転写媒体上のトナー画像の再現性の劣化や画像ボケが発生しやすい。また、平均一次粒径が0.20μmより大きいと、沈降による凝集粒子ができやすく、表面の接触角のバラツキも大きくなり、感光体上或いは転写媒体(中間転写体や転写紙(紙等))上のトナー画像の再現性の劣化や画像ボケが発生しやすいと同時にレーザ光等の像露光を散乱させ、鮮鋭性を劣化させる。含フッ素樹脂微粒子の平均一次粒径は0.02μm以上、0.18μm以下がより好ましい。
上記平均一次粒径は動的光散乱法を利用したDLS−6000(大塚電子社製)によって測定された値を用いている。しかし、上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、上記装置と同様の原理あるいはレーザ回折法、遠心沈降法によって測定可能であればいかなる装置によって測定されてもよい。又、前記装置と同様の測定が可能であれば、感光層の断面観察より測定してもよい。
また、本願発明に係わる有機感光体の表面層の水に対する接触角は、90°以上が好ましい。90°未満では、トナー中のシリカ等の無機外添剤の付着が多くなり、画像ボケが発生しやすい。又、クリーニングブレード等の感光体の接触部材との摩擦抵抗も大きく、擦過による摩耗が大きくなり、筋状の画像ムラが発生し、ハーフトーン画像の鮮鋭性を劣化させやすい。より好ましい接触角は95°以上120°以下である。120°より接触角を大きくしようとすると、表面層中に含フッ素樹脂微粒子の含有量が高く成りすぎ、表面層が柔らくなり、擦り傷が発生しやすく、画像ボケも発生しやすい。
接触角の測定
本発明の接触角とは感光体表面への純水に対する接触角を云う。感光体の接触角は純水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。
含フッ素樹脂微粒子の構成材料は含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体、または含フッ素重合性モノマーとフッ素フリー重合性モノマーとの共重合体である。含フッ素重合性モノマーは一般式;
(式中、R4〜R7のうち少なくとも1つの基はフッ素原子であり、残りの基はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、メチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはトリフルオロメチル基である)で表されるモノマーである。好ましい含フッ素重合性モノマーとして、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレン等が挙げられる。含フッ素重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
フッ素フリー重合性モノマーとして、例えば、塩化ビニル等が挙げられる。フッ素フリー重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
含フッ素樹脂微粒子はいずれも、上記構成材料の中で、含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体からなることが好ましく、より好ましくはポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、特にポリ四フッ化エチレンである。
含フッ素樹脂微粒子を構成する重合体の平均分子量は本発明の目的を達成できる限り特に制限されないが、通常はいずれも1万から100万の範囲が好適である。
上記含フッ素樹脂微粒子の平均一次粒径(D1)は透過型電子顕微鏡観察によって2000倍に拡大し、一次粒子100個をランダムに取り出し(一次粒子にするために、含フッ素樹脂微粒子を分散媒中に分散して、凝集粒子を解砕した後観察してもよい)、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。尚、フェレ径(Feret)とは、粒子をはさむ2本の平行線間の距離で定義される定方向接線径として定義されている。
電荷輸送物質としては、上記の化合物を用いることが必要条件であるが、これらの化合物と共に、上記条件を満たさない公知の電荷輸送物質(例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物など)と併用することもできる。しかし、併用する場合にも上記条件を満たした電荷輸送物質を主たる電荷輸送物質(全電荷輸送物質の質量比で50%以上)として用いることが好ましい。
表面層に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
又、本発明の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層は感光体の帯電時の活性ガス、例えばNOxやオゾン等で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすいが、酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止することが出来る。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。表面層の膜厚は1.0〜10μmが好ましい。
又、本発明の含フッ素樹脂微粒子を含有する表面層には、含フッ素樹脂微粒子の分散助剤を含有させることが好ましい。分散助剤としては、フッ素変性アクリル樹脂やフッ素変性界面活性剤等を挙げることができる。
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
現像剤
本発明の現像工程に用いられる現像剤には数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有することを特徴とする。該無機外添剤は、一般にトナー成分として含有させるので、以下では、トナー成分中の外添剤として説明する。
本発明で外添剤とは、トナー粒子本体の作製後に添加される添加剤を意味する。前記数平均一次粒子径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を用いると、含フッ素樹脂微粒子を含有する有機感光体の表面層を傷つけやすく、かえって、感光体表面にトナーフィルミング等を増加させ、且つ画像ボケを発生させやすくなるが、前記したように、このような感光体に、少なくとも2つの異方向の摺動作用を与えることにより、表面層が本来の離型効果を発揮でき、画像ボケの発生も防止できる。
無機外添剤添加は数平均一次粒子径が0.2〜0.9μmの範囲がより好ましい。この0.1〜1.0μmの無機外添剤の材料として好ましく用いられるものは種々の無機粒子。例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム等を好ましく使用することができる。又これらの無機粒子は、表面が疎水化されているものでもよい。
なお、添加量としてはトナー中に好ましくは0.1〜3.0質量%(ここで、トナーの総質量は微粒子も含めた総質量を指す)、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。この範囲を越えると感光体や中間転写体上のトナーフィルミングの除去効果は増加するものの、擦過力が強くなり過ぎ、感光体や中間転写体を傷つけて白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。また、過小の場合には、トナーの耐久性や流動性の不足が生じたり、中間転写体上のトナーフィルミングの除去効果が小さい。
更に、現像工程のトナーの全てに、数平均粒径5〜49nmの無機外添剤を含有することが好ましい。例えば黒色系トナー、黄色系トナー、マゼンタ色系トナー及びシアン色系トナーが数平均粒径5〜49nmの無機外添剤を含有することにより、各画像形成ユニットの有機感光体上に良好なトナー画像を形成でき、前記一次転写性及び二次転写性を向上させ、鮮鋭性、色再現性が良好なカラー画像を形成することができる。
5〜49nmの無機外添剤の材料として好ましく用いられるものはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等である。これらの無機粒子は、表面が疎水化されているものが好ましい。
この5〜49nm(より好ましくは、5〜40nm)の微粒子もトナー中に0.1〜3.0質量%添加することが好ましく、0.3〜2.5質量%の添加量がより好ましい。この範囲を越えて添加すると、微粒子自体が遊離してしまう問題があり、飛散した粒子により帯電極の汚染や転写極の汚染が引き起こされ、白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。
上記粒径は、数平均一次粒子径であり、透過型電子顕微鏡観察によって2000倍に拡大し、100個の粒子を観察し、画像解析によってフェレ径として測定されたものを示す。
又、上記無機微粒子への疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤やシリコーンオイル等による疎水化処理が好ましく、さらに、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく使用される。
上記無機外添剤の他に本発明のトナーには滑剤を添加することもできる。例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これら滑剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
外添剤のトナーへの添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
本発明のトナーは外添剤を添加する前にトナーの原型(着色粒子とも云う)を形成できていることを前提としている。該着色粒子は着色剤(顔料や染料等)、離型剤、バインダー等から形成されており、粉砕法或いは重合法等で作製できるが、本発明のトナーとしては重合法で作製される重合トナーの方が鮮鋭性や色再現性が良好なカラー画像を形成する為には好ましい。
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤でもよいが、好ましくは二成分現像剤である。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
本発明に用いられるトナーの体積平均粒径は、2μm〜9μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜8μmの範囲内であることがより好ましい。体積平均粒径が2μm未満の場合では、トナーが現像器から飛散しやすくなるため画像形成装置内の汚染等を発生させたり、また、二成分現像剤では前記トナーがキャリアへ付着しやすくなるためトナーの帯電性を低下させてしまう場合がある。一方、体積平均粒径が9μmを超えた場合では、画質の低下を招きやすくなる等の不具合が発生する。
本発明において、トナーの体積平均粒径等は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定することが出来る。
本発明のトナーは重合法によるトナー(以下、重合トナーとも云う)や粉砕法で得たトナーを高温で溶融し、球形化する溶融法(以下、溶融トナーとも云う)等種々の方法で作製することが出来るが、トナー製造の再現性、安定性の上から、重合トナーが最も好ましい。特に、懸濁重合或いは乳化重合で製造する重合トナーが好ましい。
ここで重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
本願発明の画像形成方法は、前記有機感光体が少なくとも2つの異方向に摺動作用をうけることを特徴とする。この2つの異方向に摺動作用としては、例えば、感光体の移動方向に沿った摺動作用と逆方向の摺動作用といった摺動作用が挙げられる。即ち、感光体の移動方向に沿った摺動作用とは、感光体と接触して(転写手段の転写ローラや転写搬送ベルトのように、転写紙を介して接触してもよい)、接触面で同方向に移動する場合で、且つ感光体の移動速度よりも早い速度で摺動作用を与える接触部材による摺動作用であげられる。この場合、接触部材の移動速度が感光体の速度と同じ場合は、摺動作用は働かない。また、接触部材の移動速度が感光体の速度より小さい場合は、逆方向の摺動作用となる。このような感光体の移動方向に沿った摺動作用としては、上記転写ローラや転写搬送ベルトの他に、接触帯電器による摺動作用や現像スリーブ(現像剤搬送部材)等による摺動作用等が挙げられる。一方、逆方向の摺動作用としては、感光体の回転方向に対し、逆方向の摺動作用を与えるクリーニングブレードや、感光体との接触面で、感光体の進行方向とは逆方向に摺動作用を働かせる接触帯電器や現像スリーブ等が挙げられる。
代表的な例としては、後述の実施例で記載する中間転写体の摺動作用とクリーニング部材の摺動作用が挙げられる。即ち、クリーニングブレードによる感光体表面の摺動作用とその逆方向に作用する摺動作用を中間転写体等の転写手段で与える。この場合、中間転写体等の表面速度を感光体の表面速度より大きくする(接触面の移動方向は同方向)。中間転写体等の表面速度を好ましくは0.1〜0.8%、より好ましくは、0.2〜0.6%大きくする。
このように、本願発明は有機感光体に少なくとも2つの異方向に摺動作用を与えることにより、含フッ素樹脂微粒子を含有する有機感光体が、外添剤等の摩擦により発生した表面キズを修復し、これらの表面キズにより発生する筋状の画像欠陥やトナーフィルミングの発生等による画像ボケ等を防止することができる。
次に、本発明の有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサーである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルター処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光徐電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係わる有機感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、半導体レーザ又は発光ダイオードを像露光光源として用いることができる。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜80μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、400dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像をうることができる。
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e2以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明の画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係わる有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体21面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
図2は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
次に図3は本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置(少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する複写機あるいはレーザビームプリンター)の構成断面図である。ベルト状の中間転写体70は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢示の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
感光体1は回転過程で、帯電手段(帯電工程)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段(像露光工程)3により画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームによる走査露光光等による画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像(色情報)に対応した静電潜像が形成される。
次いで、その静電潜像がイエロー(Y)の現像手段:現像工程(イエロー色現像器)4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像器、シアン色現像器、ブラック色現像器)4M、4C、4Bkの各現像器は作動オフになっていて感光体1には作用せず、上記第1色目のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラ5aから中間転写体70に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(一次転写)されていく。
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6aにより清掃される。
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合わせカラートナー画像が形成される。
二次転写ローラ5bで、二次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラ5b及び中間転写体クリーニング手段6bは中間転写体70から離間することも可能である。
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、二次転写ローラ5bが中間転写体70のベルトに当接されると共に、対の給紙レジストローラ23から転写紙ガイドを通って、中間転写体70のベルトに二次転写ローラ5bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。二次転写バイアスがバイアス電源から二次転写ローラ5bに印加される。この二次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写材Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(二次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
感光体1の作製
下記の様に感光体1を作製した。
中間層
洗浄済みの直径30mmの円筒状アルミニウム基体(切削加工により十点表面粗さRz:0.81μmに加工した)上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、120℃30分で乾燥し、乾燥膜厚5μmの中間層を形成した。
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
(中間層分散液の作製)
バインダー樹脂:(ポリアミド) 1部
ルチル形酸化チタン(一次粒径35nm;末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサンで表面処理を行い、疎水化度を33に調製した酸化チタン顔料) 5.6部
エタノール/n−プロピルアルコール/THF(=45/20/30質量比)10部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
電荷発生層:CGL
電荷発生物質(CGM):オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシン顔料) 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送層1(CTL1)
電荷輸送物質(CTM−1) 225部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液1を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚18.0μmの電荷輸送層1を形成した。
〈含フッ素樹脂微粒子分散液1の調製〉
PTFE粒子を用い、下記のPTFE粒子分散液を調製した。
PTFE粒子(PT1:平均一次粒径0.12μm、比重:2.2)
120部(11vol%)
トルエン/テトラヒドロフラン(2/8) 600部
フッ素系クシ型グラフトポリマー(東亜合成化学(株)製GF300のMeOH再沈及び乾燥品、比重1.4) 6部(1vol%)
上記成分を混合し、超音波分散で予備混合を行い、120μmのナイロンメッシュフィルターで濾過した後、高圧下の液衝突分散工程と濾過工程(20μmのナイロンメッシュフィルターを用いた)を有する分散装置を用い、上記分散液を連続して循環し(分散機には「ナノマイザー」吉田機械興業(株)製を用いた)分散し、含フッ素樹脂微粒子分散液1を調製した。分散液衝突時の吐出圧は50MPaの一定圧、分散液の平均循環回数30回の条件で行ったが、吐出圧の変動も50M±10MPaの範囲に安定しており、途中目づまりもなく、分散できた。分散後の含フッ素樹脂微粒子の平均粒径は0.13μmであった。
〈電荷輸送層2(CTL2)=保護層〉
含フッ素樹脂微粒子分散液1 726部
電荷輸送物質(CTM−1、比重:1.2) 210部(35vol%)
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製、比重:1.2)
300部(50vol%)
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製、比重:1.2)
16部(3vol%)
トルエン/テトラヒドロフラン(2/8) 2800部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製、比重:1.1) 4部(1vol%)
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液2を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層1の上に円形スライドホッパ型塗布機で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚2.0μmの電荷輸送層2を形成し、感光体1を作製した。尚、上記含フッ素樹脂微粒子分散液1の調製及び電荷輸送層2中のvol%は、乾燥した電荷輸送層2中の各物質のvol%(容積%)を表す(本願発明では、溶媒は乾燥後に蒸発して、残存しないとする)。
感光体2〜8の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層1及び2の電荷輸送物質、電荷輸送層2(CTL2)の含フッ素樹脂微粒子の種類を表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜8を作製した。
表1中のCTMR−1及びCTMR−2は下記構造の電荷輸送物質を表す。
表1中の含フッ素樹脂微粒子処方No.の内容は下記表2に示す。
表2中、PTFE、Hは下記のフッ素系樹脂微粒子を示す。
PTFE:ポリエチレンテレフタレート樹脂粒子
H:三フッ化エチレン−四フッ化エチレンの共重合樹脂粒子
以下に本発明に用いるトナーを作製した。
トナーT1の製造(乳化重合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0Lを入れ攪拌溶解する。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0Lからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0Lからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0Lに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100LのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを加える。
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入する。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過し、これを「ラテックス1−A」とする。
なお、ラテックス1−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0Lに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0Lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0Lに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100LのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを投入する。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加する。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下する。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス1−B」とした。
なお、ラテックス1−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0Lに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00Lに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100LのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス1−A=20.0kgとラテックス1−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌する。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させる。次に純水2.1Lを添加して粒径成長を停止する。
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5Lの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止する。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液1とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液1よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部およびステアリン酸亜鉛0.1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して下表の如き、乳化重合会合法によるトナーを得た。前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御し、さらに液中分級により、体積平均粒径が6.7μmのトナーT1を得た。
このトナーT1に、表3に示した疎水性シリカ等の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー1〜11を製造した。
《現像剤1〜11の製造》
上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1〜11を各々製造した。
尚、表3中のシリカ、チタニア等の種類を下記表4に示す。
評価1
評価機としてコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製デジタル複合機bizhub C450改造機(中間転写体を用いたカラー機:中間転写体の表面速度を下記のように変更した)を用い、該デジタル複合機中の黒用の画像形成ユニットに感光体1〜8及び現像剤の組み合わせ(表5)をそれぞれ搭載し、評価した。評価項目と評価基準を下記に示す。
《画像評価》
上記デジタル複合機bizhub C450改造機中の黒用の画像形成ユニットに各感光体及び現像剤を取り付け、常温常湿(20℃、50%RH)環境でA4紙、1万枚の文字画像(印字率5%)を有するオリジナルモノクロ画像データの複写を1枚間欠にて行い、スタート時及び1千枚出力毎に各種出力画像を採取し、下記の画像評価を行った。
評価条件
プロセススピード(感光体の表面速度):215mm/sec
中間転写体の表面速度:接触面で感光体と同方向、中間転写体の速度は表5に感光体の表面速度を1.0として、感光体の表面速度との比率で表示した。
感光体のクリーニング装置:ゴム弾性のクリーニングブレードを感光体の回転方向に対し、カウンター方向で、(線荷重:18(N/m))の当接条件で用いた。
「ハーフトーン画像評価」
前記1万枚の複写後に感光体表面を目視にて観察し、同時に、出力したハーフトーン画像の画像欠陥との相関性を評価した。
評価基準は
◎:感光体の表面に、筋やトナーや外添剤等のフィルミングの発生が殆ど或いは全く見られず、相関する画像欠陥の発生もない。
○:感光体の表面に、筋やフィルミングの発生が見られるが、相関する画像欠陥の発生はない。
×:感光体の表面に、筋やフィルミングの発生が多数見られ、相関する画像欠陥も発生している。
「中抜け性の評価」
前記1万枚の出力後に内蔵の格子パターン画像にて評価した。
評価基準は
◎:中抜けが全く見られない。
○:中抜けの発生は軽微であり、肉眼では僅かに視認できる。
×:中抜けが発生し、肉眼で明確に視認できる。
「画像濃度の評価」
前記1万枚の出力前後(スタート時と1万枚目)の黒ベタ画像の濃度差にて評価した。
画像濃度は黒ベタ黒画像の濃度をマクベス社製RD−918を使用し、紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定し、スタート時と1万枚目の濃度差で評価した。
評価基準は
◎:濃度差が0.1未満(画像濃度の変動が小さく良好)。
○:濃度差が0.1〜0.15(実用性有り)。
×:濃度差が0.15以上(画像濃度の変動が大きく問題有り)。
表5の結果より、本発明に係わる電荷輸送物質及び含フッ素樹脂微粒子を含有する感光体を用い、100〜1000nmの外添剤を含有したトナーを用い、転写ローラの表面速度を感光体の表面速度より大きくし、クリーニングブレードによる感光体の摺動作用と共に2つの異方向に摺動作用を感光体に与えた、組み合わせNo.(No.1〜9、12〜15、19、20)は、いずれの組み合わせも、各評価で、良好な評価結果を得ているのに対し、組み合わせNo.10は、現像剤が、1000nmより大きい外添剤を含むので、感光体に傷がつきやく、ハーフトーン画像の評価が劣化している。又、組み合わせNo.11は、現像剤が、100〜1000nmの外添剤を含まないので、感光体のフィルミングが増加し、またトナーに外添剤が埋没して転写性等が低下して中抜けの発生も増大している。又、組み合わせNo.16は、感光体の電荷輸送物質が、双極子モーメント過大のため、電位安定性が低く、画像濃度の評価も劣化している。又、組み合わせNo.17は、感光体の電荷輸送物質の炭素原子の電子密度が過小のため、電荷の移動性が低下し、電位安定性が低く、画像濃度の評価も劣化している。又、組み合わせNo.18は、感光体が、含フッ素樹脂微粒子を含まないため、フィルミングが増加し、転写率も低下して、ハーフトーン画像や中抜けの評価が低下している。
感光体9〜13の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層2の含フッ素樹脂微粒子の添加量を表6のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体9〜13を作製した。
評価2
前記評価1の組み合わせNo.1の感光体1に変えて感光体9〜13を用いた組み合わせNo.21〜25を作製し、評価1と同様にして、評価した。評価結果を表7に示す。
感光体14〜18の作製
感光体1の作製において、電荷輸送層2の電荷輸送物質の添加量を表8のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体14〜18を作製した。
評価2
前記評価1の組み合わせNo.1の感光体1に変えて感光体14〜18を用いた組み合わせNo.31〜35を作製し、評価1と同様にして、評価した。評価結果を表9に示す。
《現像剤1〜11の製造》
前記現像剤1(=現像剤1Bk)中のトナーの顔料(黒色:リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック))を市販の黄色の顔料に変更した以外は同様にして現像剤1Yを作製した。又、同様に、市販のマゼンタ色の顔料に変更した以外は同様にして現像剤1Mを作製し、市販のシアン色の顔料に変更した以外は同様にして現像剤1Cを作製した。
評価3
前記評価1の組み合わせで、デジタル複合機bizhub C450改造機中に、感光体1と現像剤1Bkを黒用の画像形成ユニット、感光体1と現像剤1Yを黄色用の画像形成ユニット、感光体1と現像剤1Mをマゼンタ色用の画像形成ユニット、感光体1と現像剤1Cをシアン色用の画像形成ユニットに搭載して、その他の条件は組み合わせNo.1と同様にして、カラー画像の評価を行った。
評価結果は、ハーフトーン画像、中抜け性、画像濃度の各評価項目で、いずれも良好な結果が得られ、良好なカラー画像を得ることができた。