本発明の画像形成装置は、少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段を設け、該複数の現像手段毎に着色を変えたトナーを用いて有機感光体上に形成された各着色トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写してカラートナー像を形成し、該カラートナー像を記録材上に一括して再転写し、再転写されたカラートナー像を定着してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体のクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満であり、前記現像手段に用いられる各着色トナーの形状指数(SF)が140未満の球形状トナーであり且つ各着色トナーの少なくとも1つに数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有し、前記中間転写体上に残留した転写残トナーを複数のクリーニングブレードで除去する中間転写体用クリーニング手段を有することを特徴とする。
又、本発明の画像形成装置は、少なくとも有機感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有する画像形成ユニットを複数配列して設け、該複数の画像形成ユニット毎に着色を変えたトナーを用いて有機感光体上に形成された各着色トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて転写してカラートナー像を形成し、該カラートナー像を記録材上に一括して再転写し、再転写されたカラートナー像を定着してカラー画像を形成する画像形成装置において、前記有機感光体のクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満であり、前記現像手段に用いられる各着色トナーの形状指数(SF)が140未満の球形状トナーであり且つ各着色トナーの少なくとも1つに数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有し、前記中間転写体上に残留した転写残トナーを複数のクリーニングブレードで除去する中間転写体用クリーニング手段を有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は前記した構成を有することにより、安定して良好な中間転写体のクリーニングが行なわれ、2回の転写による転写抜け、文字チリを防止でき、且つ中間転写体上のトナーのクリーニング性等による画像むら等を著しく改善でき、鮮鋭性が良好で、色相が鮮やかなカラー画像を形成することができる。
以下、本発明に用いるトナー、感光体及び画像形成装置等について、順次詳細な記載を行なう。
本発明の現像手段に用いられる各着色トナーの形状指数(SF)が140未満の球形状トナーを用い且つ各着色トナーの少なくとも1つに数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有することを特徴とする。
本来、このような球形トナーを用いるとトナーの感光体との付着力が大きくなり前記した感光体から中間転写体への一次転写性が低下し、転写抜け等の転写不良を起こす傾向にあるが、本発明はこれらの球形状トナーを用いるに際し、前記した数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有するトナーを用い、有機感光体にクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未の有機感光体を用いることにより、形状指数(SF)が140未満の球形状トナーを用いても、感光体の表面を荒らすことなく、感光体上に形成されたトナー像の転写性を改善し、転写抜けや文字チリの発生が防止し、且つ複数のクリーニングブレードを有する中間転写体用のクリーニング手段と併用することにより、中間転写体上の残留トナーのクリーニング性を改善し、その結果、一次転写性、二次転写性が改善された良好なカラー画像を得ることができる。
本発明に用いられる球形状トナーの形状指数(SF)は下記式(1)によって定量的に表現され、この値が、100である場合は真球を意味し、100に近いほど、その形状が真球に近いことを意味する。本発明において、この形状指数(SF)は、135以下であることが好ましく、125以下がより好ましい。
式(1) SF=(2πL2/4A)×100
〔式(1)において、Lは、球形状トナー粒子投影像の最大長さ(μm)を表し、Aは、該球形状トナー粒子投影像の面積(μm2)を表す。〕
なお、形状指数(SF)は、画像解析装置(株式会社ネクサス製:NEXUS)を用いて、重合法等により得られた球形状トナー粒子100個の各々について、その投影像の最大長さL(μm)及び該球形状トナー粒子投影像の面積A(μm2)を計測し、これらの値を上記の式(1)に代入して得られた個々の値を平均して求めたものである。
又、トナーの形状指数(SF)が140以上では、トナーの帯電量分布が大きくなりやすく、現像時或いは転写時のトナー飛散による文字チリが発生しやすい。特に、中間転写体を用いて一次転写及び二次転写を行う画像形成方法では、2回の転写時に文字チリが発生しやく、その結果、鮮鋭性が低下した電子写真画像になりやすい。これはトナーの形状指数(SF)が140以上になると、トナーの表面形状が異なるトナー粒子が多くなり、トナー全体としての帯電量分布が大きくなるためと考えられる。
トナーの形状指数(SF)を変化させるには、重合トナーの製造条件を種々変化させて作製することも可能であるが、形状指数(SF)値が110未満の真球状のトナーを作製し、該真球状トナーを加熱条件下にサンドグラインダー等で撹拌することにより、種々の形状係数(SF)を有するトナーを作製することができる。
本発明に用いられる球形状トナーの体積平均粒径は、2μm〜9μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜8μmの範囲内であることがより好ましい。体積平均粒径が2μm未満の場合では、球形状トナーが現像器から飛散しやすくなるため画像形成装置内の汚染等を発生させたり、また、二成分現像剤では前記トナーがキャリアへ付着しやすくなるためトナーの帯電性を低下させてしまう場合がある。一方、体積平均粒径が9μmを超えた場合では、画質の低下を招きやすくなる等の不具合が発生する。
本発明において、トナーの体積平均粒径等は、コールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定することが出来る。
本発明の形状指数(SF)が140未満の球形状トナーは重合法によるトナー(以下、重合トナーとも云う)や粉砕法で得たトナーを高温で溶融し、球形化する溶融法(以下、溶融トナーとも云う)等種々の方法で作製することが出来るが、トナー製造の再現性、安定性の上から、重合トナーが最も好ましい。特に、懸濁重合或いは乳化重合で製造する重合トナーが好ましい。
ここで重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
尚、これら球形状トナーを製造できる懸濁重合トナーや乳化重合トナーの製造方法については、特開2000−214629、特開2003−84480等の公知特許で公開されている。
以下、重合トナーに用いる材料、製造法等について記載する。
重合法に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を構成成分として用い、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等が挙げられる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン酸基を有する重合性単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の重合性単量体が挙げられる。
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基を有する重合性単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
〔連鎖移動剤〕
分子量を調製することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
〔着色剤〕
着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
本発明に係るトナーは離型剤を併用してもよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等を離型剤として使用することが出来る。また、本発明においては、下記一般式(1)で示されるエステルワックスを好ましく用いることが出来る。
一般式(1)
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数を表すが、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
R1、R2は置換基を有しても良い炭化水素基を示す。
R1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5
R2:炭素数=1〜40、好ましくは13〜29、更に好ましくは12〜25
以下に、本発明に係るエステル基を有する結晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
これらエステルワックスは、樹脂粒子中に含有され、樹脂粒子を融着させて得られるトナーに良好な定着性(画像支持体に対する接着性)を付与する機能を有する。
本発明に用いられる離型剤の添加量は、トナー全体に1質量%〜30質量%が好ましく、更に好ましくは2質量%〜20質量%であり、更に好ましくは3〜15質量%である。また、本発明のトナーは、上記の重合性単量体中に前記離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に離型剤として上記のようなエステル系化合物を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子ととも塩析/融着する工程を経て作製されたトナーが好ましい。
本発明に係るトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
本発明のトナーに用いられる無機外添剤について説明する。
本発明の画像形成装置は複数の画像形成ユニットを有し、該複数の画像形成ユニット毎の現像手段に用いられる各着色トナーに形状指数(SF)が140未満の球形状トナを用い且つ各着色トナーの少なくとも1つが、数平均一次粒径0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有することを特徴とする。
本発明で外添剤とは、トナー粒子本体の作製後に添加される添加剤を意味する。前記数平均一次粒子径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を用いることにより、中間転写体上に発生しやすいトナーフィルミングを初期の段階で除去することができる。この中間転写体上のトナーフィルミングの発生の防止と初期段階での除去は前記した複数のクリーニングブレードと数平均一次粒子径が0.1〜1.0μmの無機外添剤添加のトナーを併用することによって、効果が顕著となる。数平均一次粒子径が0.1μm未満の無機外添剤だけでは、中間転写体上のトナーフィルミングの除去は効果が小さい。又数平均一次粒子径が1.0μmより大きい無機外添剤の添加は、本発明のクリープ特性を有する感光体表面に付着し、転写抜けを発生したり、感光体表面を荒らして文字チリを発生しやすい。無機外添剤添加は数平均一次粒子径が0.2〜0.9μmの範囲がより好ましい。
この0.1〜1.0μmの無機外添剤の材料として好ましく用いられるものは種々の無機粒子、有機微粒子等が挙げられるが、中間転写体上のトナーフィルミングを削り落とすと云う観点から無機粒子が好ましい。例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム等を好ましく使用することができる。又これらの無機粒子は、表面が疎水化されているものでもよい。
なお、添加量としてはトナー中に好ましくは0.1〜3.0質量%(ここで、トナーの総質量は微粒子も含めた総質量を指す)、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。この範囲を越えると中間転写体上のトナーフィルミングの除去効果は増加するものの、複数のクリーニングブレードとの併用で、擦過力が強くなり過ぎ、中間転写体を傷つけて白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。また、過小の場合には、中間転写体上のトナーフィルミングの除去効果が小さい。
更に、各画像形成ユニットの現像手段のトナーの全てに、数平均粒径5〜49nmの無機外添剤を含有することが好ましい。例えば黒色系トナー、黄色系トナー、マゼンタ色系トナー及びシアン色系トナーが数平均粒径5〜49nmの無機外添剤を含有することにより、各画像形成ユニットの有機感光体上に良好なトナー画像を形成でき、前記一次転写性及び二次転写性を向上させ、鮮鋭性、色再現性が良好なカラー画像を形成することができる。
5〜49nmの無機外添剤の材料として好ましく用いられるものはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等である。これらの無機粒子は、表面が疎水化されているもが好ましい。
この5〜49nm(より好ましくは、5〜40nm)の微粒子もトナー中に0.1〜3.0質量%添加することが好ましく、0.3〜2.5質量%の添加量がより好ましい。この範囲を越えて添加すると、微粒子自体が遊離してしまう問題があり、飛散した粒子により帯電極の汚染や転写極の汚染が引き起こされ、白スジ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。
上記粒径は、数平均一次粒子径であり、透過型電子顕微鏡観察によって2000倍に拡大し、100個の粒子を観察し、画像解析によって測定されたものを示す。
又、上記無機微粒子に疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤やシリコーンオイル等によって疎水化処理することが好ましく、さらに、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。
上記無機外添剤の他に本発明のトナーには滑剤を添加することもできる。例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これら滑剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度が好ましい。
外添剤のトナーへの添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
本発明のトナーは外添剤を添加する前にトナーの原型(着色粒子とも云う)を形成できていることを前提としている。該着色粒子は着色剤(顔料や染料等)、離型剤、バインダー等から形成されており、粉砕法或いは重合法等で作製できるが、本発明のトナーとしては重合法で作製される重合トナーの方が鮮鋭性や色再現性が良好なカラー画像を形成する為には好ましい。
《現像剤》
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤でもよいが、好ましくは二成分現像剤である。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤として前記トナーをそのまま用いる方法もあるが、通常はトナー粒子中に0.1〜5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤として用いる。その含有方法としては、着色剤と同様にして非球形粒子中に含有させるのが普通である。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
次に、本発明に用いられる有機感光体について詳細に説明する。
ここで、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
又、本発明の有機感光体は、感光体の表面層が、表面から加重される一定加重の圧子(荷重20mN)に対し、一定の塑性変形(1%以上、3.5%未満)特性を有機感光体に持つことを特徴とする。
本発明の有機感光体のクリープ率は1%以上、3.5%未満であるが、2.0%以上、3.2%以下がより好ましい。クリープ率が1%未満では感光体表面が脆くなり、キャリア付着やブレード等の擦過に対し、クラック傷が生じやすく、感光体表面のクラック傷は文字チリや転写抜けの原因となったり、周期的な画像欠陥を発生させやすい。一方、クリープ率が3.5以上では感光体は、表面物性が粘性的になり、無機外添剤が付着しやすくなり、その結果、転写抜けや感光体の周期と一致した画像欠陥等を発生しやすく、その結果、鮮鋭性を劣化させやすい。又、クリープ率が3.5以上では感光体は、形状指数(SF)で140未満の球形状トナーの付着力も高くなり、感光体表面にトナーフィルミングを発生しやすい。
本発明の画像形成方法はこのような粘弾性特性を備えた表面層を備えた有機感光体を用いることにより、前記の0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有した球形状トナーを用いて、前記したような文字チリや転写抜けを発生させない一次転写を達成し、その後、中間転写体上に転写された一次転写トナー像を前記の0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有した球形状トナーの存在と複数クリーニングブレードの中間転写体用クリーニング手段との併用により、二次転写後の中間転写体上に残留したトナー像を除去することにより、中間転写体にトナーフィルミングを発生させることなく除去でき、繰り返し長期間作製されるカラー画像として、画像濃度が十分に高く、且つ鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することが出来る。
前記のような粘弾性特性を有する表面層は、高弾性のポリカーボネートをバインダー樹脂として用いると同時に、比較的高分子量の電荷輸送物質を用いて、バインダーの高弾性を維持した電荷輸送層を表面層とすることにより、実現する事が出来る。又、このような電荷輸送層は、電荷輸送層を2層以上とし、最上層の電荷輸送層を前記した構成にすることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる高弾性のポリカーボネートとしては、下記に示すようなポリカーボネートが挙げられる。
上記において、Mvは粘度平均分子量を示す。
又、本発明に用いる電荷輸送物質としては、分子量が500〜1500が好ましく、更に600〜1000がより好ましい。本発明に好ましく用いられる電荷輸送物質としては下記のような化学構造を有する電荷輸送物質が挙げられる。
上記中、Mwは分子量を示す。
前記した高分子量の電荷輸送物質とポリカーボネートの混合比は質量比で電荷輸送層1に対し、ポリカーボネート0.5〜3.0の比率が好ましく、更に0.8〜2.0の比率が好ましいが、この比率は電荷輸送物質或いはポリカーボネートの種類によって、或いはその他の添加剤の存在により変化し、絶対的なものではない。
又、数平均一次粒径が10nm以上、100nm未満の疎水性無機粒子を混在させることがより好ましい。疎水性無機粒子のより好ましい数平均粒径は10nm以上、90nm以下、最も好ましくは10nm以上、50nm未満である。表面層に含有される無機粒子の数平均一次粒子径が10nm未満でも、100nm以上でも、前記粘弾性特性が得られにくく、上記のような改善効果が得られにくい。
本発明に用いられる10nm以上、100nm未満の無機粒子としては、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を好ましく用いることができるが、これらの中でもコスト、粒径の調整や表面処理の容易さ等からシリカ、特に表面を疎水化した疎水性シリカが好ましい。
本発明の無機粒子の数平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに300個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によりフェレ径の数平均径として測定値を算出する。
上記疎水性シリカの疎水化度は、メタノールに対する濡れ性の尺度(メタノールウェッタビリティ)で示される疎水化度で50%以上のものが好ましい。疎水化度が50%未満であると前記吸熱エネルギー変化量ΔHが、10J/gより大きくなりやすく、その結果、環境メモリを発生しやすくなり、又ブレードを傷つけクリーニング不良も発生しやすくなる。より好ましい疎水化度は65%以上、最も好ましくは70%以上である。
疎水化度を表すメタノールウェッタビリティとは、メタノールに対するシリカ微粉末の濡れ性を評価するものである。濡れ性の測定は以下の方法で行う。内容量250mlのビーカーに入れた蒸留水50mlに、測定対象のシリカ微粉末を0.2g添加して撹拌する。次にメタノールを先端が液体中に浸漬されているビュレットからゆっくり撹拌した状態でシリカ微粉末の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。このシリカ微粉末を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした時、下記式(1)により疎水化度を算出する。
式(1) 疎水化度=a/(a+50)×100
上記疎水性シリカは、公知の湿式法もしくは乾式法で生成されたシリカ粉末を疎水化することにより得られる。特に乾式法(ケイ素化ハロゲン化合物の蒸気相酸化)により生成されたいわゆるヒュームドシリカと称されるものを疎水化剤で処理したものが、水分吸着サイトが少なく好ましい。これは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
又、この製造工程において例えば、塩化アルミニウム又は、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能である。
シリカ粉末の疎水化処理は、シリカ微粉末を撹拌等によりクラウド状に分散させたものに、アルコール等で溶解した疎水化処理剤溶液を噴霧するか或いは気化した疎水化処理剤を接触させて付着させる乾式処理、又は、シリカ粉末を溶液中に分散させ、その中に疎水化処理剤を滴下して付着させる湿式処理等の従来公知の方法で行うことが出来る。
疎水化処理剤としては、公知の化合物を用いることが出来、具体例を下記に挙げる。又、これらの化合物は組み合わせて使用しても良い。
チタンカップリング剤としてはテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート及びビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
シランカップリング剤としてはγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−ビニルベンジルアミノエチル−N−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
これらの疎水化処理剤は、シリカ粉末に対して1〜40質量%添加して被覆することが好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
又、上記表面疎水化剤としてハイドロジェンポリシロキサン化合物を用いてもよい。該ハイドロジェンポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
本発明では上記疎水化処理された疎水性シリカを有機感光体の表面層にバインダーと共に含有させるが表面層のシリカ粒子の割合はバインダーに対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、最も好ましくは2〜10質量%で使用されるのがよい。20質量%以上だと、感光体の吸熱エネルギー変化量ΔHを10J/g以下にするのが難しくなり、環境メモリやトナーの転写性を低下させやすい。一方、1質量%未満だとクリーニング不良や、耐摩耗性の低下を起こしやすい。
又、表面層となる電荷輸送層には、上記共重合ポリカーボネートのバインダー樹脂と疎水性無機粒子以外に、電荷輸送物質が含有される。該電荷輸送物質はバインダー樹脂に対して50〜150質量%が好ましい。又該電荷輸送層には酸化防水剤をバインダー樹脂に対して1〜10質量%存在させることが好ましい。
以上のような構成を選択採用することにより、前記した表面層の膜物性と表面粗さを実現させることができ、このような表面層を有する有機感光体は残留トナークリーニング性を改善すると同時に、耐傷性、耐摩耗性を改善し、長期に亘り鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
以下、表面層以外の本発明に適用される有機感光体の構成について記載する。
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。最も好ましい構成としては、感光層を電荷発生層と複数の電荷輸送層で構成し、最上層を電荷輸送物質を含有し、且つビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率が1%以上3.5%未満の特性を有する電荷輸送層の構成にすることである。
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた前記した中間層を設けることが好ましい。
本発明の中間層には前記した吸水率が小さいバインダー樹脂中に酸化チタンを含有させることが好ましい。該酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液の酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中の酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲の酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
本発明に用いられる酸化チタン粒子の形状は、樹枝状、針状および粒状等の形状があり、このような形状の酸化チタン粒子は、例えば酸化チタン粒子では、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型及びアモルファス型等があるが、いずれの結晶型のものを用いてもよく、また2種以上の結晶型を混合して用いてもよい。その中でもルチル型で且つ粒状のものが最も良い。
本発明の酸化チタン粒子は表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
この様に、酸化チタン粒子の様な酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(2)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
一般式(2)
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(2)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
また、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
また、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
本発明の有機感光体には、電荷発生物質として、例えば、他のフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを単独で或いは併用して用いることができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
電荷輸送層
電荷輸送層は複数の電荷輸送層の構成にし、最上層の電荷輸送層を表面層とした構成を採用することが好ましい。
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.30(eV)以下である。
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
又、複数の電荷輸送層の膜厚の合計は10〜50μmが好ましい。膜厚が10μm未満だと帯電電位が不十分になりやすく、50μmを超えると、鮮鋭性が劣化しやすい。
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
図1は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としてのベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkより形成された各着色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動するベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての用紙Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、用紙P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離したベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、ベルト状中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方にはベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、75を巻回して回動可能なベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6Aとから成る。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
筐体8の図示左側の支持レール82Lは、ベルト状中間転写体70の左方で、定着手段24の上方空間部に配置されている。筐体8の図示右側の支持レール82Rは、最下部の現像手段4Bkの下方付近に配置されている。支持レール82Rは、現像手段4Y、4M、4C、4Bkを筐体8に着脱する動作に支障を来さない位置に配置されている。
筐体8の感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示右方は、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより囲まれ、図示下方は、帯電手段2Y、2M、2C、2Bk、及びクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bk等により囲まれ、図示左方は、ベルト状中間転写体70により囲まれている。
その中で感光体、クリーニング手段及び帯電手段等は一つの感光体ユニットを形成し、現像手段及びトナー補給装置等は一つの現像ユニットを形成している。
本発明の画像形成装置は中間転写体上の残留トナーのクリーニング手段として、複数のクリーニングブレードを用いることを特徴とする。この複数のクリーニングブレードで中間転写体上の残留トナーを除去することにより、球形状トナーが中間転写体上に付着していても、それら付着トナーをより効果的に除去することができる。
図2は中間転写体のクリーニング手段の一例である。
本発明の中間転写体のクリーニング手段は複数のクリーニングブレードを有する。本発明の一形態において、ベルト状中間転写体のクリーニング手段6Aは、特に図1及び図2(a)に示すように、ベルト状中間転写体70のトナー像担持面に対向して開口するクリーナケース61Cを有し、このクリーナケース61Cの開口に面してベルト状中間転写体70の移動方向上流側から順に2つのクリーニングブレード、即ち、ウレタンゴムブレード等の弾性ブレード61A及びSUS等の金属製スクレーパ61Bを備えている。本実施の形態において、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの取付構造は、クリーナケース61C内に揺動アーム61Dを一端側を揺動支点61Eとして揺動自在に設け、この揺動アーム61Dの一部をホルダ61Fとして、このホルダ61Fに前記弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの一端部を固定保持し、更に、揺動アーム61Dの自由端とクリーナケース61Cとの間には復帰スプリング61Gを介在させ、図示外の駆動機構にて前記揺動アーム61Dをクリーニング位置とリトラクト位置との間で揺動させるようにしたものである。尚、図2(a)中、符号61Hのブラシロールはクリーナケース61Cの開口下縁に設けられて、弾性ブレード及び金属スクレーパで除去されたトナーを回収する。61Iはブラシロール61Hに付着したトナーを吸着するフリッカーであり、該フリッカーに付着したトナーは61Jのスクレーパで除去し、搬送スクリュー61Kで回収する。
特に、本実施の形態では、弾性ブレード61Aの各種条件(自由長、接触圧、厚み、セットアングルなど)については、ベルト状中間転写体70の駆動源に不必要な負荷がかかることなく、清掃性が確保されるという観点から適宜選定される。一方、金属製スクレーパ61Bの各種条件についても主として清掃性を確保するという観点から適宜選定されるが、金属製スクレーパ61Bの先端部での清掃性をより向上させるという観点からすれば、例えばベルト状中間転写体70面に当接する先端エッジについてエッチング処理を施すことが好ましい。更に、弾性ブレード61Aと金属製スクレーパ61Bとの間隔dについては、クリーナケース61Cの形状や設定位置等の関係で適宜選定して差し支えない。但し、両者2枚の間隔dがあまりに近いと経時的にトナーが両者間の隙間に溜まり、清掃性能が低下することがあるため、好ましくは2mm程度以上離間配置することが好ましい。
更にまた、本実施の形態では、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bは、ローラ75(バックアップローラ)に対応したベルト状中間転写体70部分からベルト状中間転写体70の移動方向上流側に外れた近傍位置に配設されており、ローラ75とベルト状中間転写体70との間に浮遊トナーや塵埃が付着し、ローラ75に対応したベルト状中間転写体70表面部分に微小凸部が形成されたとしても、弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの清掃性に影響しないようになっている。但し、弾性ブレード61Aについては、ローラ75に対応したベルト状中間転写体70部分に弾性ブレード61Aを接触させても差し支えない。また、本実施の形態では、ローラ75とローラ77(ブラシローラ61Hに対応したバックアップローラ)間に位置するベルト状中間転写体70の部位に対応してクリーニング手段6Aが配設されており、このベルト状中間転写体70の部位に弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bを接触させている。
そして、このクリーニング手段6Aは、クリーニングサイクル時には、図示外の駆動機構により前記揺動アーム61Dをクリーニング位置(リトラクト位置よりもベルト状中間転写体70寄りの位置)に移動させ、ベルト状中間転写体70表面に弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの先端部を所定の接触圧で接触配置する一方、クリーニングサイクル以外、例えば作像サイクル時には、図示外の駆動機構により前記揺動アーム61Dを復帰スプリング61Gに抗してリトラクト位置に移動させ、ベルト状中間転写体70表面から弾性ブレード61A及び金属製スクレーパ61Bの先端部を離間配置するようにしたものである。
前記のように、弾性ブレード61Aと金属製スクレーパ61Bとの組合せた態様を用いることで、ベルト状中間転写体70の駆動源に高い回転トルクを必要とせず、球形状の重合トナーの清掃性を向上させると共に、ベルト状中間転写体70上の微小凸部に対しても安定した清掃性を維持することができる。これらの作用については後述する実施例にて確認した。
前記弾性ブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらの内、ウレタンゴムブレードは他のゴムブレードに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。
本発明の中間転写体のクリーニング手段に用いられる複数のクリーニングブレードの内少なくとも1つが非変形部材であることが好ましい。非変形部材とは、中間転写体との当接により弾性変形を生じない部材を意味する。該非変形部材としては金属スクレーパが好ましく用いられる。
又、前記金属スクレーパとは厚さが0.01〜2mm、特に好ましくは0.02〜0.5mmの金属薄板であり、金属薄板の材料としては柔軟性が有り且つ剛性の金属薄板であれば、どのような金属材料でも用いることができるが、好ましくはSUS300系、SUS400系のステンレス板、アルミニウム板、リン青銅板等が用いられる。
弾性ブレードの中間転写体への当接角θ1と金属スクレーパの中間転写体への当接角θ2の好ましい値としては、どちらも5〜35°である。また、弾性ブレード及び金属スクレーパの自由長(ホルダ61Fに固定されていない先頭部の長さ)は6〜15mmが好ましい。
弾性ブレード及び金属スクレーパの中間転写体に対する食い込み量は0.4〜2.0mmに設定されるのが好ましく、0.5〜1.5mmがより好ましい。この食い込み量は、中間転写体と弾性ブレード又は金属スクレーパの相対運動によって発生する弾性ブレードの先頭部又は金属スクレーパの先頭部にかかる負荷を意味する。この負荷は、中間転写体から見れば、弾性ブレード又は金属スクレーパから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、中間転写体が適度な力で擦過されることが必要であることを意味する。又、この食い込み量とは弾性ブレード又は金属スクレーパを中間転写体に当接したとき、弾性ブレードの先頭部又は金属スクレーパの先頭部が中間転写体表面で曲がらずに、直線的に内部に進入したと仮定した時の内部への食い込み長さを云う。
図3は感光体とベルト状中間転写体と一次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを中間転写体としてのベルト状中間転写体70の背面から各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧するが、図3の配置図にも示すように、押圧しない時の中間転写体としてのベルト状中間転写体70と各感光体1Y、1M、1C、1Bkとの接触点よりも感光体回転方向下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkを配置し各感光体1Y、1M、1C、1Bkへ押圧する。このとき中間転写体としてのベルト状中間転写体70は各感光体1Y、1M、1C、1Bkの外周に沿うように曲げられ、感光体とベルト状中間転写体70の接触領域の最も下流側に一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkが配置される構成となる。
図4はバックアップローラとベルト状中間転写体と二次転写ローラとの位置関係を示す配置図である。二次転写ローラ5Aは図4の配置図にも示すように、該二次転写ローラ5Aで押圧しない時の中間転写体としてのベルト状中間転写体70とバックアップローラ74との接触中央部よりもバックアップローラ74の回転方向上流側に配置されていることが望ましい。
中間転写体は、ポリイミド、ポリカーボネート、PVdF等の高分子フィルムや、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムにカーボンブラック等の導電性フィラーを添加して導電化したもの等が用いられ、ドラム状、ベルト状どちらでもよいが、装置設計の自由度の観点からベルト状が好ましい。
又、中間転写体の表面は、適当に粗面化されていることが好ましい。中間転写体の十点表面粗さRzを0.5〜2μmにすることにより、感光体に供給された表面エネルギー低下剤を中間転写体表面に取り込み、中間転写体上のトナー付着力を低下させ、中間転写体から記録材へのトナーの二次転写の転写率を向上させることが容易になる。この場合、中間転写体の十点表面粗さRzが感光体の十点表面粗さRzより、大きい方が効果が大きい傾向にある。
一方感光体のクリーニング手段は基本的に図2に示した中間転写体のクリーニング手段から金属スクレーパを除いた構成のものを取り付ける。該クリーニング手段を図1の6Y、6M、6C、6Bk等のクリーニング手段として用いる。
次に図5は本発明の他のカラー画像形成装置(少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する複写機あるいはレーザービームプリンタ)の構成断面図である。ベルト状の中間転写体10は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢示の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
感光体1は回転過程で、帯電手段2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段3により画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームによる走査露光光等による画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像に対応した静電潜像が形成される。
次いで、その静電潜像がイエロー(Y)の現像手段(イエロー色現像器)4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像器、シアン色現像器、ブラック色現像器)4M、4C、4Bkの各現像器は作動オフになっていて感光体1には作用せず、上記第1色目のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラから中間転写体70に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6により清掃される。
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合わせカラートナー画像が形成される。
2次転写ローラ5Aで、2次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ5A及び中間転写体クリーニング手段6Aは中間転写体70から離間することも可能である。
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、2次転写ローラ5Aが中間転写体70のベルトに当接されると共に、給紙レジストローラ23から転写紙ガイドを通って、中間転写体70のベルトに2次転写ローラ5Aとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラ5に印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写材Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
前述の中間転写体を用いたカラー電子写真画像形成装置は、従来の技術である転写材を張り付けたまま吸着せしめ、そこへ感光体ドラムから画像を転写する画像形成装置を有したカラー電子写真装置、例えば特開昭63−301960号公報中で述べられたごとくの転写装置と比較すると、第2の画像担持体である転写材になんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率をもたせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を転写することができるため、封筒、ハガキやラベル紙等、薄い紙(40g/m2紙)から厚い紙(200g/m2紙)まで、幅の広狭、長さの長短、あるいは厚さの厚薄によらず、第2の画像担持体を多種多様に選択することができるという利点を有している。
次に、本発明の態様を具体的に説明するが、本発明の構成はこれに限られるものではない。尚、文中の部は質量部を示す。
《現像剤》
《トナー1Bk、1Y、1M、1Cの製造》
顕濁重合法により、表1に示したトナー体積平均粒径が7.0〜7.2μm、形状指数(SF)=107〜109の球形状トナー(外添剤処理前トナー):トナー1Bk(黒)、1Y(イエロー)、1M(マゼンタ)、1C(シアン)の4色のトナーを製造した。該トナー1Bk、1Y、1M、1Cの各々に、外添剤として、シリカB(数平均一次粒子径=20nm)を1質量%及びチタニアB(数平均一次粒子径=230nm)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー1Bk、トナー1Y、トナー1M、トナー1Cを得た。該ヘンシェルミキサー処理によっては、トナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)は変化しない。
《トナー2Bk、2Y、2M、2Cの製造》
又、他の顕濁重合法により、表1に示したトナー体積平均粒径が4.1〜4.3μm、形状指数(SF)=105〜106の球形状トナー(外添剤処理前トナー):トナー2Bk(黒)、2Y(イエロー)、2M(マゼンタ)、2C(シアン)の4色のトナーを製造した。該トナー2Bk、2Y、2M、2Cの各々に、外添剤として、シリカA(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%及びチタニアA(数平均一次粒子径=155nm)を0.5質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー2Bk、トナー2Y、トナー2M、トナー2Cを得た。該ヘンシェルミキサー処理によっては、トナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)は変化しない。
《トナー3Bk、3Y、3M、3C〜6Bk、6Y、6M、6Cの製造》
トナー1Bk、1Y、1M、1Cの製造において、外添剤処理前のトナー(トナー1Bk、1Y、1M、1C)を各着色トナー毎に、1kgと平均粒径0.6mmのガラスビーズ1kgとをそれぞれサンドグラインダー(媒体型分散機;内径200mm、撹拌ディスク径180mm)に入れて、85±2℃、500rpmにて0.5〜8時間連続撹拌し、非球形化処理を行った。所定時間の処理を行った後、40℃以下に冷却し、撹拌停止後、目開き200メッシュの篩を通してガラスビーズを取り除いた後、表1に記した形状係数(SF)を有するトナー3Bk、3Y、3M、3C〜6Bk、6Y、6M、6C(外添剤処理前トナー)を製造した。これたの各トナーに、表1に示したシリカ等の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー3Bk、3Y、3M、3C〜6Bk、6Y、6M、6Cを製造した。これらのトナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)を表1に示す。
《トナー7Bk、7Y、7M、7C〜9Bk、9Y、9M、9Cの製造》
トナー1Bk、1Y、1M、1Cの製造において、外添剤を表1に記したように変更した以外は同様にしてトナー7Bk、7Y、7M、7C〜9Bk、9Y、9M、9Cを製造した。これらのトナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)を表1に示す。
《トナー10Bk、10Y、10M、10Cの製造》
トナー2Bk、2Y、2M、2Cの製造において、外添剤処理前のトナー(トナー2Bk、2Y、2M、2C)を各着色トナー毎に、1kgと平均粒径0.6mmのガラスビーズ1kgとをそれぞれサンドグラインダー(媒体型分散機;内径200mm、撹拌ディスク径180mm)に入れて、85±2℃、500rpmにて1.5時間連続撹拌し、非球形化処理を行った。所定時間の処理を行った後、40℃以下に冷却し、撹拌停止後、目開き200メッシュの篩を通してガラスビーズを取り除いた後、表1に記した形状係数(SF)を有するトナー10Bk、10Y、10M、10C(外添剤処理前トナー)を製造した。これたの各トナーに、表1に示した疎水性シリカ等の外添剤を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナー10Bk、10Y、10M、10Cを製造した。これらのトナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)を表1に示す。
《トナー11Bk、11Y、11M、11Cの製造》
トナー10Bk、10Y、10M、10Cの製造において、外添剤を表1に記したように変更した以外は同様にしてトナー11Bk、11Y、11M、11Cを製造した。これらのトナーの体積平均粒径及び形状指数(SF)を表1に示す。
《現像剤1Bk、1Y、1M、1C〜11Bk、11Y、11M、11Cの製造》
上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1Bk、1Y、1M、1C(現像剤1群)〜11Bk、11Y、11M、11C(現像剤11群)を各々製造した。
尚、表1中のシリカ、チタニア等の種類を下記表2に示す。
〔感光体の作製〕
下記のごとくして、実施例に用いる感光体を作製した(下記各感光体1〜8は各画像ユニットに同じ種類の感光体を用いる為、それぞれ計4本以上を作製した)。
感光体1の作製
下記の様に感光体1を作製した。
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター)し、中間層塗布液を作製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3部
メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるよう塗布した。
〈電荷発生層〉
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、ブラッグ角2θ(±0.2)の27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
〈第一電荷輸送層〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で乾燥膜厚15μmの第一電荷輸送層を形成した。
〈第二電荷輸送層:表面層〉
電荷輸送物質(T−1) 20部
ポリカーボネート(PC−1:三菱ガス化学社製) 30部
疎水性シリカ(平均一次粒径:40nm、ヘキシルメチルジシラザン、疎水化度:76%) 3.0部
酸化防止剤(LS2626:三共社製) 0.6部
1,3−ジオキソラン 600部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 0.1部
を混合し、超音波を照射できる循環分散装置にて循環分散を行い、表面層塗布液を調製した。この塗布液を前記第一電荷輸送層の上に円型量規制型塗布法により乾燥膜厚5μmになるように第二電荷輸送層を塗布し、110℃で70分間の乾燥を行い、感光体1を作製した。
感光体2〜7の作製
感光体1の作製において、第二電荷輸送層の電荷輸送物質の種類と量、及びポリカーボネートを表3のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜7を作製した。
感光体8の作製
感光体1の作製において、第一電荷輸送層の乾燥膜厚を20μmとし、第二電荷輸送層を除いた他は感光体1と同様にして感光体8を作製した。
表3に記載したクリープ率は下記のようにして測定した。
クリープ率の測定
使用機器:フィッシャースコープH100V(微小硬さ測定装置)(株)フィッシャー・インストルメンツ社製
使用圧子:ダイアモンド ビッカース圧子
負荷条件:4mN/secの速度で有機感光体の表面からビッカース圧子を押し込む
負荷時間:5sec
保持時間:5sec
除荷条件:負荷と同じ速度で負荷を除く
測定試料
アルミ平板上に前記した感光体と同様に中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層、第二電荷輸送層を設け、同じ条件で乾燥させた試料を作製した試料をH100V機に固定し、試料に対して垂直にビッカース圧子を押し込み測定。
測定は圧子負荷(5sec)、荷重保持(5sec:この間の変形量の割合がクリープ率)、除荷の手順で行う。
クリープ率の求め方
CHU(クリープ率)={(h2−h1)/h1}×100(%)
h1:負荷荷重(20mN)に達した時(負荷開始から5秒後)の押し込み深さ
h2:保持(5sec)後の押し込み深さ
又、表3中の電荷輸送物質T−4及びポリカーボネートPC−4の化学構造を下記に示す(Mvは粘度平均分子量、Mwは分子量)。
〈評価〉
各画像形成ユニットの感光体及び現像手段に、表1に示す現像剤群(トナー群)毎のY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の現像剤(トナー)を含有する各現像手段4組及び表2に示す感光体各4本を表4のように組み合わせ、これらの現像手段及び感光体を図1〜4記載の中間転写体を有するデジタル複写機に搭載し、オリジナル画像に白地部、Bk及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部、文字画像部、ハーフトーン画像を有するA4画像を常温常湿(20℃、50%RH)下、1万枚印刷し評価した。評価項目、評価方法、評価基準を下記に記載する。
文字チリ
文字画像を形成し、目視及び20倍ルーペにて文字周辺のトナーチリを観察し、以下の基準で評価した。
◎:ルーペ観察でも、文字周辺のトナーチリが観察されない(良好)
○:目視では判別できないが、ルーペでは文字周辺のトナーチリが観察される (実用上問題ない)
×:目視で文字周辺のトナーチリが観察され、文字の鮮鋭性が劣る(実用上 問題あり)
転写抜け
濃度0.4のハーフトーン画像を転写紙(坪量200g/m2)の両面に形成し、転写抜けによるホワイトスポットの発生を目視にて評価した。
◎◎:まったく転写抜けない(非常に良好)
◎:画像100枚あたり裏面のみ1〜2個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(良好)
○:画像50枚あたり1〜4個の転写抜けが存在するものの凝視しなければ判別できない(実用上問題ない)
×:画像50枚あたり、表裏関係なく、5個以上の明瞭な転写抜けが存在する(実用上問題あり)
中間転写体のクリーニング性
◎:中間転写体上にトナー等の凝集の発生もなく、クリーニングが良好で、画像むらの発生もなし(良好)
○:中間転写体上にトナー等の凝集の発生がわずかにあるが、クリーニングは良好で、画像むらの発生もなし(実用上問題なし)
×:中間転写体上にトナー等の凝集の発生があり、トナーのすり抜けが発生し、画像むらが発生している。(実用上問題有り)
画像濃度
画像濃度の測定は、各色のべた部を濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、記録紙をゼロとした相対反射濃度で測定した。
◎:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が1.2以上
(良好)
○:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8以上
(実用上問題なし)
×:Bk、及びY、M、Cのソリッド(べた)画像部の各濃度が0.8未満
(実用上問題あり)
(鮮鋭性)
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
中間転写体を有するデジタル複写機のプロセス条件
画像形成のライン速度L/S:180mm/s
感光体(40mmφ)の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、その制御可能範囲は−500V〜−900Vであり、全露光した場合の感光体の表面電位は−50〜0Vの範囲にした。
像露光光:半導体レーザ(波長:780nm)
中間転写体:シームレスのベルト状中間転写体70を用い、半導電樹脂製のベルトで体積抵抗率が1×108Ω・cm、Rzが0.9μmのものを用いた。
一次転写条件
一次転写ローラ(図1の5Y、5M、5C、5Bk(各6.05mmφ)):芯金に弾性ゴムを付した構成:表面比抵抗1×106Ω、転写電圧印加
二次転写条件
中間転写体としてのベルト状中間転写体70とそれを挟み込むようにバックアップローラ74と二次転写ローラ5Aが配置され、バックアップローラ74の抵抗値が1×106Ωであり、二次転写手段としての二次転写ローラの抵抗値が1×106Ωであり定電流制御(約80μA)をするようにしてある。
定着はローラ内部にヒータを配置した定着ローラによる熱定着方式である。
中間転写体と感光体との最初の接触点から次の感光体との最初の接触点までの中間転写体上での距離Yは95mmにした。
駆動ローラ71、ガイドローラ72、73及び二次転写のためのバックアップローラ74の外周長さ(円周長さ)を31.67mm(=95mm/3)にし、テンションローラ76の外周長さを23.75mm(=95mm/4)にした。
そして、一次転写ローラの外周長さを19mm(=95mm/5)にした。
感光体のクリーニング条件
クリーニングブレード:JISA硬度65度、反発弾性60のウレタンゴムブレード(自由長8mm)を、当接加重18N/mで、感光体回転方向にカウンター方式で当接した。
中間転写体のクリーニング条件
クリーニング手段6Aには図2記載のクリーニング手段を用いた。
弾性ブレード61A:ゴム硬度75°、23°Cにおける反発弾性35のウレタンゴムを用いた。弾性ブレード61Aの厚さは2mm、自由長10mmで支持部材(揺動アーム61D+ホルダ61F)に支持され、ベルト状中間転写体70とのなす角度を中間転写体移動方向にカウンター方式で当接した(角度16.5°)。弾性ブレード61A先端のベルト状中間転写体70への食い込み量は1.25mmとした。
金属製スクレーパ61B:先端をエッチング処理したSUS304を使用した。金属製スクレーパ561Bの厚みは0.15mm、自由長は10mmで、支持部材(揺動アーム61D+ホルダ61f)に支持され、ベルト状中間転写体70とのなす角度を中間転写体移動方向にカウンター方式で当接した(角度16.5°)。金属スクレーパ61B先端のベルト状中間転写体70への食い込み量は1.00mmとした。また、上流側の弾性ブレード61Aと下流側の金属製スクレーパ61Bとの間隔dは2mmに設定した。
結果を表4に示す。
上記表4より、本発明の要件を満足する感光体及び現像剤群の組み合わせ、即ち、各画像形成ユニットの感光体にクリープ率(ビッカース圧子を荷重20mNで押し込んだ時のクリープ率)が1%以上3.5%未満である感光体を用い、現像手段に用いられる各着色トナーの形状係数SFが140未満の球形状トナー粒子であり且つ各着色トナーの少なくとも1つに数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有する現像剤群の組み合わせ(No.1〜5、7〜9、12〜14、17、18)は文字チリ、転写抜け、中間転写体のクリーニング性、画像濃度、鮮鋭性とも実用範囲以上の良好な評価を達成しているのに対し、感光体は本発明の要件を満たしていても、各着色トナーの形状係数SFが140以上のトナー粒子を用いた本発明外の現像剤群の組み合わせ(No.6)では、文字チリが発生し、鮮鋭性が低下している。又、現像剤群に数平均一次粒径が1.0μmより大きい無機外添剤を含有した組み合わせ(No.10)では感光体への無機外添剤の付着のため、転写抜けが発生している。又、現像剤群に数平均一次粒径が0.1〜1.0μmの無機外添剤を含有していない組み合わせ(No.11)では中間転写体のクリーニング性が劣化し、鮮鋭性が低下している。又、現像剤群が本発明の要件を満たしていても、クリープ率が4.2%の本発明外の感光体の組み合わせ、即ち、組み合わせNo.15では、転写抜けが発生し、中間転写体のクリーニング性も低下し、鮮鋭性が劣化している。又、クリープ率が0.9%の本発明外の感光体の組み合わせ、組み合わせNo.16では、文字チリ、転写抜けが発生している。
実施例2(中間転写体のクリーニング手段の変更)
上記実施例1の組み合わせNo.2、9、14の評価を中間転写体のクリーニング手段の金属スクレーパを取り外した条件で評価した。評価項目、評価方法、評価基準も実施例1と同様にした。評価結果を表5に示す。
表5の結果より、実施例1に比し、評価結果がいずれも低下していることが見出される。特に、中間転写体のクリーニング性の低下及びこれに伴う鮮鋭性の劣化が大きい。即ち、中間転写体のクリーニング手段から金属スクレーパを取り外した条件では、本発明の範囲内の現像剤群を用いても中間転写体のクリーニング性が著しく低下し、十分な画像性能が得られないことが見出される。
実施例3
実施例1の現像剤群及び感光体を用いて、図5に示した画像形成装置に現像剤群と感光体の組み合わせを同じにして実施例1と同じ評価を行った。但し、図5の画像形成装置では感光体は1本でよい。この実施例では中間転写体のクリーニング手段も実施例1と同じ複数のクリーニングブレードを用いた。その結果、各評価項目の評価結果は各組み合わせにおいて、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。