JP2007187080A - エンジンの過給装置 - Google Patents

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直之 山形
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Abstract

【課題】 高流量機能と低流量機能とを備えた電動過給機を有するエンジンの過給装置において、予回転制御又は予圧制御の性能を確保しつつ、吸気温度の上昇を抑制する。
【解決手段】 過給領域及び過給領域よりも低負荷側の所定領域で過給機を作動させるエンジンの過給装置であって、電動過給機は、回転数N1以上の領域でエンジン出力トルクを増大させる高流量機能と、回転数N1よりも高い回転数N2以下の領域でトルクを増大させる低流量機能とを有すると共に、回転数N3で高流量、低流量機能によるトルクが略同一となる構成を有し、過給領域又は所定領域で、回転数N3未満の領域では低流量機能を使用し、回転数N2以上の領域では高流量機能を使用し、回転数N3以上回転数N2未満の領域では吸気温度がβ未満のときは高流量機能、β以上のときは低流量機能を使用する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、電動過給機を有するエンジンの過給装置に関し、エンジンの吸気システムの技術分野に属する。
従来より、エンジン出力トルクの増大を図る手段として吸気を過給するスーパーチャージャやターボチャージャが周知であるが、いずれも過給能力がエンジン回転数の影響を大きく受ける結果、低回転領域で過給圧が不足するという欠点がある。これに対し、電気的に駆動される電動過給機は、エンジン回転数の影響を受けることなく回転数を制御できるので、低回転領域でも十分な過給圧を発生し得る利点がある。
そして、このような電動過給機を備えたエンジンの過給装置として、特許文献1に開示されたものは、電動過給機が配設された過給通路と、該過給通路における過給機の上、下流側をバイパスすると共にバイパス制御弁が配設されたバイパス通路とを有している。そして、エンジンの運転状態が所定の過給領域にあるときに、過給機を作動させると共にバイパス制御弁が閉作動されるので、過給機の作動により新気が過給通路の上流側から吸入されて下流側に圧送され、この結果、充填効率が高められる。
さらに、この特許文献1に開示された過給装置は、エンジンの運転状態が過給領域に移行する前に予めバイパス制御弁を開いた状態で電動過給機を作動させる予回転制御を行うようになっている。予回転制御では、過給機により過給通路の下流側に吐出された空気の一部又は全部がバイパス通路を逆流し、再度過給通路における過給機の上流側に吸入されて下流側に圧送される。このように、予回転制御においては空気が過給通路及びバイパス通路を循環することになる。そして、この予回転制御により、予め過給機の回転数が高められるので、過給領域に移行した際の過給圧の応答性が向上する。
また、さらに過給圧の応答性を高めるために、運転状態が過給領域に移行する前に予めバイパス制御弁を略閉じた状態で電動過給機を作動させる予圧制御を行うことが提案されている。この予圧制御は、予め過給通路における過給機の下流側の圧力が高められるので、過給領域に移行した際の過給圧の応答性が向上するのである。
特開2003−227342号公報
ところで、低回転領域だけでなく、高回転領域においても過給により充填効率を高めたいという要求がある。これに対して、電動過給機に、空気流量を大きくして高回転側の領域においてエンジン出力トルクを増大可能な高流量機能と、空気流量を小さくして低回転側の領域においてエンジン出力トルクを増大可能な低流量機能とを備え、これらの高流量、低流量機能では圧力が略同一になるように構成し、回転数に応じていずれの機能を使用するかを切換えることが考えられる。
しかしながら、このように電動過給機が構成されている場合に、高流量機能を使用することによる吸気温度の上昇が問題になる。これは、電動過給機のモータが発熱する一方、前記高流量機能の使用時は、低流量機能の使用時に比べて単位時間あたりに吐出する空気流量が大きくなるので、過給機の下流側に発生する発熱量の総量が大きくなり、吸気温度の上昇を促進させるのである。このように吸気温度が上昇すると、充填効率の低下を招くことになる。
しかも、前述のように予回転制御或いは予圧制御が高流量機能を使用して行われる場合には、これらの制御中に吸気温度が上昇することになる。そして、このように吸気温度が上昇した状態で、運転状態が過給領域に移行したときに充填効率を低下させることになる。
これに対して、予回転制御又は予圧制御における過給機の回転数を低下させてモータの発熱を抑制することが考えられるが、このように回転数を低下させると、前記予回転制御又は予圧制御の性能を低下させ、過給圧の応答性を向上させる本来の効果が低減される。
そこで、本発明は、高流量機能と低流量機能とを備えた電動過給機を有するエンジンの過給装置において、予回転制御又は予圧制御の性能を確保しつつ、吸気温度の上昇を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、電動過給機が配設された過給通路と、該過給通路における過給機の上、下流側をバイパスすると共にバイパス制御弁が配設されたバイパス通路とを有し、エンジンの運転状態が所定の過給領域にあるときに過給機を作動させると共にバイパス制御弁を閉作動させ、かつ前記過給領域よりも低負荷側に設定された所定領域で過給機を作動させる過給機制御手段が備えられたエンジンの過給装置であって、前記電動過給機の下流側の吸気温度を検出する吸気温度検出手段が備えられ、前記電動過給機は、第1所定回転数以上の領域においてエンジン出力トルクを増大させる高流量機能と、前記第1所定回転数よりも高い第2所定回転数以下の領域においてエンジン出力トルクを増大させる低流量機能とを有すると共に、前記第1所定回転数と第2所定回転数との間の第3所定回転数で高流量機能によるエンジン出力トルクと低流量機能によるエンジン出力トルクとが略同一となる構成を有し、かつ、前記過給機制御手段は、エンジンの運転領域が前記過給領域又は前記所定領域にあるときに、前記第3所定回転数未満の領域においては低流量機能を使用し、前記第2所定回転数以上の領域においては高流量機能を使用すると共に、前記第3所定回転数以上第2所定回転数未満の領域においては前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度が所定温度未満のときは高流量機能を使用し、所定温度以上のときは低流量機能を使用することを特徴とする。
なお、前記所定領域とは、バイパス制御弁が開作動されて予回転制御が行われる予回転領域、及びバイパス制御弁が略閉作動されて予圧制御が行われる予圧領域を含む。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のエンジンの過給装置において、前記過給通路は、第1過給通路と該第1過給通路に並設された第2過給通路とを有し、前記過給機制御手段により制御されて前記第1、第2過給通路の開放を切換える過給通路切換弁が配設されていると共に、前記電動過給機は、前記第1過給通路に配設された高流量型電動過給機と前記第2過給通路に配設された低流量型電動過給機とで構成され、かつ、前記高流量機能使用時は、前記過給機制御手段により前記高流量型電動過給機が作動されると共に前記第1過給通路が開放されるように過給通路切換弁が切換えられ、前記低流量機能使用時は、前記過給機制御手段により前記低流量型電動過給機が作動されると共に前記第2過給通路が開放されるように過給通路制御弁が切換えられることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、電動過給機は、第1所定回転数以上の高回転側の領域においてエンジン出力トルクを増大させる高流量機能と、前記第1所定回転数よりも高い第2所定回転数以下の低回転側の領域においてエンジン出力トルクを増大させる低流量機能とを有している。そして、前記高流量機能が使用される領域の低回転側と前記低流量機能が使用される領域の高回転側がオーバーラップしており、このオーバーラップする領域において、高流量機能及び低流量機能使用時に第3所定回転数において略同一のエンジン出力トルクが得られるようになっている。
そして、過給機制御手段は、エンジンの運転領域が前記過給領域或いは所定領域にあるときに、前記第3所定回転数未満の領域においては低流量機能を使用する。このとき、低流量機能を使用することにより予回転制御、予圧制御、及び過給が行われることになるので、応答性を確保しつつ、エンジン出力トルクを増大させる。
また、前記第1所定回転数以上の領域においては高流量機能を使用するようになっている。このとき、高流量機能を使用することにより予回転制御、予圧制御、及び過給が行われることになるので、応答性を確保しつつ、エンジン出力トルクを増大させる。
さらに、前記第3所定回転数以上第2所定回転数未満の領域においては前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度が所定温度未満のときは高流量機能を使用し、所定温度以上のときは低流量機能を使用するようになっている。前述のようにこの第3所定回転数以上第2所定回転数未満の領域では、高流量機能と低流量機能とのいずれを使用してもエンジン出力トルクと増大可能であるから、吸気温度が低いときは高流量機能を使用することにより予回転制御、予圧制御、及び過給が行われて、応答性を確保しつつ、エンジン出力トルクを増大させる。また、吸気温度が高いときは、低流量機能を使用することにより、吸気温度の上昇が抑制されつつ、予回転制御、予圧制御、及び過給が行われて、応答性を確保しつつ、エンジン出力トルクを増大させる。このように、吸気温度が高いときは、低流量機能が使用されることにより吸気温度の上昇が抑制されて、充填効率の低下が抑制される。
そして、請求項2に記載の発明によれば、前記過給通路が並列配置の第1過給通路と第2過給通路とで構成され、第1、第2過給通路の開放を切換える過給通路切換弁が設けられた構成において、第1過給通路に高流量型電動過給機、第2過給通路に低流量型電動過給機がそれぞれ配設されている。そして、前記過給機制御手段により前記高流量型電動過給機が作動されると共に前記第1過給通路が開放されるように過給通路切換弁が切換えられることにより、所定圧力が維持されつつ流量が確保され、高流量機能が実現される。また、前記過給機制御手段により前記低流量型電動過給機が作動されると共に前記第2過給通路が開放されるように過給通路制御弁が切換えられることにより、前記所定圧力と同様の圧力が維持されつつ流量が低減し、低流量機能が実現される。このように、特別な仕様の電動過給機を用いることなく、通常用いられる2つの電動過給機を並列に配置することによって、高流量機能と低流量機能とが容易に切換可能となる。
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るエンジンの吸気システム1を示している。この吸気システム1において、前記吸気通路2は、上流側にエアクリーナ3が配設されていると共に、高流量型電動過給機4が配設された第1過給通路21と、該第1過給通路における高流量型電動過給機4の上、下流側に亘って設けられて低流量型電動過給機5が配設された第2過給通路22と、前記第1過給通路21における高流量型電動過給機4の上、下流側をバイパスすると共にバイパス制御弁6が配設されたバイパス通路23と、該過給通路21の下流側とバイパス通路23の下流側とを合流して形成されると共にスロットル弁7が配設された合流通路24とを有している。また、該合流通路24の下流側にはサージタンク25が設けられ、該サージタンク25から各気筒#1〜#4に通じる複数の独立吸気通路26…26が分岐されている。
前記第1過給通路21における第2過給通路22の分岐部21aには、過給通路切換弁8が配設され、該切換弁8により第1、第2過給通路21,22の一方を開放し、他方を閉塞するようになっている。また、前記バイパス制御弁6は、開閉することによりバイパス通路23を通過する空気流量を制限可能となっている。
また、前記高流量型電動過給機4は、インペラ4aと該インペラ4aを回転させるモータ4bとを有している。図2に示すように、前記インペラ4aは、回転軸40から放射状に羽根41…41が設けられた構造である。
前記低流量型電動過給機5は、同様にインペラ5aと該インペラ5aを回転させるモータ5bとを有している。図3(a)に示すように、この過給機5におけるインペラ5aは、前記高流量型電動過給機4のインペラ4aに対して、全体的にサイズが縮小されたものとなっている。また、この低流量型電動過給機5は、図3(b)に示すように、インペラ5a′の回転軸50から放射状に設けられた羽根51…51がトリミングされたものであってもよい。このトリミングは、羽根51…51における図中上部と側部とに亘って設けられた曲線部51a…51aを削るようになっている。
そして、図4に前記高流量型、低流量型電動過給機4,5の空気流量と過給機4,5の上、下流側の圧力比とに応じた過給効率の特性を示す。それぞれの特性は、等効率ラインとしての複数の円周が描かれており、これらの円周のうち中心側のもの程過給効率が高くなっている。それぞれの円周の低空気流量側にはサージングラインがあり、このラインよりも低流量側或いは高圧力比側においては、吸気が電動過給機4を逆流するサージングが起こる可能性が高くなっている。
そして、実線で示すのが高流量型電動過給機4の特性であり、この特性における高効率の等効率ラインの円周は、破線で示す低流量型電動過給機5の高効率の等効率ラインの円周よりも高空気流量側に形成されている。そして、破線で示す低流量型電動過給機5の特性は、効率的に運転したときに、高流量型電動過給機4に対して空気流量を抑制しつつ同様の圧力が得られるようになっている。
一方、この吸気システム1を制御する吸気システムコントローラ100が備えられている。この吸気システムコントローラ100は、エンジン全体の制御を行うエンジン制御装置101から各種信号を入力すると共に、前記高流量型、低流量型電動過給機4,5のモータ4a,5aへの通電量をそれぞれ制御する電動過給機コントローラ102に信号を出力するようになっている。
前記エンジン制御装置101は、エンジン負荷を検出するものとしてアクセルペダル30aの踏込み量を検出するアクセル開度センサ30からの信号や、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ31からの信号等を入力する。そして、吸気システムコントローラ100は、エンジン制御装置101から信号を入力すると共に、第1過給通路21における第2過給通路22との合流部21bに配設されて吸気温度を検出する吸気温度センサ32からの信号を入力し、これらの信号に基づいて、バイパス制御弁6を作動させるバイパス制御弁アクチュエータ33、スロットル弁7を作動させるスロットルアクチュエータ34、過給通路制御弁8を作動させる過給通路制御弁アクチュエータ35、及び電動過給機コントローラ102に各種の制御信号を出力する。
また、前記電動過給機コントローラ102に電力供給を行うバッテリ110と、エンジン駆動により発電して該バッテリ110を充電するオルタネータ111とが備えられている。
一方、エンジン制御装置101には、図5に示すようなエンジン回転数とアクセル開度とに応じた制御マップが記憶されている。この制御マップは、高回転側(エンジン回転数N以上)に自然吸気領域が設定され、低回転低負荷側(エンジン回転数N未満アクセル開度α未満)に予回転領域が設定され、低回転高負荷側(エンジン回転数N未満アクセル開度α以上)に過給領域が設定されている。また、前記高流量型電動過給機4は、回転数N1以上回転数N未満の領域のエンジン出力トルクを増大可能であり、前記低流量型電動過給機5は、前記回転数N1より高い回転数N2未満の領域のエンジン出力トルクを増大可能となっている。そして、高流量型電動過給機4によりトルク増大可能な領域の低回転側と低流量型電動過給機5によりトルク増大可能な領域の高回転側とがオーバーラップしている。このため、回転数N1以上回転数N2未満の領域は、高流量型、低流量型電動過給機4,5共にトルク増大可能な領域となっており、この領域内の回転数N3において両過給機4,5の過給により同一のエンジン出力トルクが得られる。
なお、前記吸気温度センサ32は請求項1に記載のエンジンの過給装置における吸気温度検出手段に相当し、前記吸気システムコントローラ100は過給機制御手段に相当する。また、前記回転数N1が第1所定回転数、前記回転数N2が第2所定回転数、前記回転数N3が第3所定回転数に相当する。
次に、前記吸気システム1の制御を図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1で、各種信号の読み込みを行う。ここで読み込まれる信号は、アクセル開度センサ30によるアクセル開度の信号、エンジン回転数センサ31によるエンジン回転数の信号、吸気温度センサ32による吸気温度の信号等である。
次に、ステップS2で、これらの信号に基づいて吸入空気量を演算する。そして、ステップS3で、前記ステップS1で読み込んだエンジン回転数が図5に示したマップの回転数N未満であるか否かについて判定を行う。ここで、エンジン回転数が回転数N以上である(NO)と判定されたときは、エンジンの運転状態が自然吸気領域にあるから、ステップS4に進み、バイパス制御弁アクチュエータ33に信号を出力してバイパス制御弁6を全開に制御すると共に、ステップS5で、高流量型、低流量型電動過給機4,5を共に停止させる。
この自然吸気領域の制御においては、外気から吸気通路2に吸入された新気は、図1に矢印Aで示すように、バイパス通路23を通過して合流通路24に導入され、エンジンの燃焼室に吸入される。
一方、前記ステップS3でエンジン回転数が回転数N未満である(YES)と判定されたときは、ステップS6に進み、前記ステップS1で読み込んだアクセル開度が図5に示したマップの所定値α未満であるか否かについて判定する。そして、アクセル開度が所定値α未満である(YES)と判定されたときは、エンジンの運転状態が予回転領域にあるから、ステップS7でバイパス制御弁アクチュエータ33に信号を出力してバイパス制御弁6を全開に制御し、ステップS8でエンジン回転数が図5に示したマップの回転数N3未満であるか否かについて判定を行う。
ここで、エンジン回転数が回転数N3未満である(YES)と判定されたときは、ステップS9で高流量型電動過給機4を停止させると共に低流量型電動過給機5を作動させ、ステップS10で過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路制御弁8を低流量側である第2過給通路22が開放されるように制御する。
このように制御される結果、運転状態が予回転領域における回転数N3未満の領域にあるときは、外気から吸気通路2に吸入された空気は、第1過給通路21において分岐部21aから第2過給通路22に導入される。そして、この空気が低流量型電動過給機5の作動により該過給機5の下流側に吐出され、第1過給通路21の合流部21bを通過し、バイパス通路23との合流部21cに至る。そして、バイパス制御弁6が全開にされているので、合流部21cの空気の一部又は全部が図1の矢印Bに示すようにバイパス通路23を逆流し、再び第1過給通路21に導入され、第2過給通路22を通って低流量型電動過給機5に吸入される。つまり、この回転数N3未満の領域における予回転制御では、第1過給通路21における分岐部21aの上流側、第2過給通路22、第1過給通路21における合流部21bの下流側、バイパス通路23を空気が循環することになる。
一方、前記ステップS8で、エンジン回転数が回転数N3以上である(NO)と判定されたときは、ステップS11に進み、エンジン回転数が図5のマップに示した回転数N2未満であるか否かについて判定を行う。
ここで、エンジン回転数が回転数N2以上である(NO)と判定されたときは、ステップS12に進み、高流量型電動過給機4を作動させると共に低流量型電動過給機を停止させ、ステップS13で過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路制御弁8を高流量型である第1過給通路21が開放されるように制御する。
このように制御される結果、運転状態が予回転領域における回転数N2以上の領域にあるときは、外気から過給通路2に導入された空気は、第1過給通路21を通って高流量型電動過給機4に吸入され、該過給機4の作動により下流型に吐出される。そして、第1過給通路21のバイパス通路23との合流部21cに到達した空気の一部又は全部が図1の矢印Bに示すようにバイパス通路23を逆流し、再び第1過給通路21に導入され、該過給通路21を通って高流量型電動過給機4に吸入される。つまり、この回転数N2以上回転数N未満の領域では、第1過給通路21及びバイパス通路23を空気が循環することになる。
一方、前記ステップS11で、エンジン回転数が回転数N2未満である(YES)と判定されたときは、ステップS14に進み、前記ステップS1で読み込んだ吸気温度が所定温度β未満であるか否かについて判定を行う。そして、吸気温度が所定温度β未満である(YES)と判定されたときはステップS12に進み、高流量型電動過給機4を使用した予回転制御を行う。また、所定温度β以上である(NO)と判定されたときはステップS9に進み、低流量型電動過給機5を使用した予回転制御を行う。
また、前記ステップS6で、アクセル開度が所定値α以上である(NO)と判定されたときは、エンジンの運転状態が過給領域にあるから、ステップS15に進み、バイパス制御弁アクチュエータ33に信号を出力してバイパス制御弁6を全閉に制御すると共に、ステップS8に進み、エンジン回転数がN3未満であるか否かを判定する。
ステップS8で、エンジン回転数が回転数N3未満である(YES)と判定されたときは、ステップS9で高流量型電動過給機4を停止させると共に低流量型電動過給機5を作動させ、ステップS10で過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路制御弁8を低流量側である第2過給通路22が開放されるように制御する。
このように制御される結果、運転状態が過給領域における回転数N3未満の領域にあるときは、外気から吸気通路2に吸入された空気は、第1過給通路21において分岐部21aから第2過給通路22に導入される。そして、この空気が低流量型電動過給機5の作動により該過給機5の下流側に吐出され、第1過給通路21の合流部21bを通過し、バイパス通路23との合流部21bに至る。そして、バイパス制御弁6が全閉にされているので、図1の矢印Cで示すように、合流部21bの空気が合流通路24に導入され、エンジンの燃焼室に導入される。
一方、前記ステップS8で、エンジン回転数が回転数N3以上である(NO)と判定されたときは、ステップS11に進み、エンジン回転数が回転数N2未満であるか否かについて判定を行う。
ここで、エンジン回転数が回転数N2以上である(NO)と判定されたときは、ステップS12に進み、高流量型電動過給機4を作動させると共に低流量型電動過給機5を停止させ、ステップS13で過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路制御弁8を高流量型である第1過給通路21が開放されるように制御する。
このように制御される結果、運転状態が過給領域における回転数N2以上の領域にあるときは、外気から過給通路2に導入された空気は、第1過給通路21を通って高流量型電動過給機4に吸入され、該過給機4の作動により下流型に吐出される。そして、第1過給通路21の下流側に到達した空気が図1の矢印Cで示すように、合流通路24に導入され、エンジンの燃焼室に導入される。
一方、前記ステップS11で、エンジン回転数が回転数N2未満である(YES)と判定されたときは、ステップS14に進み、前記ステップS1で読み込んだ吸気温度が所定温度β未満であるか否かについて判定を行う。
そして、吸気温度が所定温度β未満である(YES)と判定されたときはステップS12に進み、高流量型電動過給機4を使用した過給が行われる。
このように、吸気温度が低いときは、図7の特性図に示すように、エンジン回転数が回転数N3未満では低流量型電動過給機5の作動により自然吸気のみ、或いは予回転制御時のエンジントルク以上のトルクが得られ、エンジン回転数が回転数N3以上では高流量型電動過給機4の作動により同様にエンジン出力トルクを増大させることになる。
また、前記ステップS14で、所定温度β以上である(NO)と判定されたときはステップS9に進み、低流量型電動過給機5を使用した過給が行われる。
このように、吸気温度が高いときは、図8の特性図に示すように、エンジン回転数が回転数N3以上回転数N2未満では低流量型電動過給機5の作動によりエンジン出力トルクを増大させることになる。
以上のように、前記の吸気システム1の制御によれば、吸気温度が低いときは、回転数N3未満の領域では低流量型電動過給機5を使用し、回転数N3以上回転数N未満の領域では高流量型電動過給機4を使用すると共に、吸気温度が高いときは、回転数N2未満の領域では低流量型電動過給機5を使用し、回転数N2以上の領域では高流量型電動過給機4を使用するようになっている。
一方、高流量型電動過給機4が使用されたときは、単位時間当りの空気の流量が大きいので、低流量型電動過給機5が使用されたときに比べて、モータの発熱により昇温された空気がより多く下流側に吐出されることになり、吸気の昇温が促される。このため、前述のように吸気温度が高いときは、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては低流量型電動過給機5が使用されるので、吸気温度の上昇が抑制される。この結果、充填効率の低下が抑制されることになる。なお、回転数N3以上回転数N2未満の領域では、高流量型、低流量型電動過給機5,5のいずれを使用してもエンジン出力トルクを増大させることができ、高流量型電動過給機4を使用したときに比べて得られるエンジン出力トルクは小さくなるのであるが、低流量型電動過給機5を使用してもエンジン出力トルクを増大させる効果が得られる。
また、予回転領域においても、前記過給領域と同様に、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては、低流量型電動過給機5を作動させることにより、予回転制御中の吸気温度の上昇が抑制されるようになっている。そして、運転状態が予回転領域から過給領域に移行したときに、過給圧の応答性が確保されると共に、充填効率の低下が回避されることになる。
なお、この実施の形態では、2つの電動過給機4,5を配置することにより、空気流量が大きく所定圧力が得られる高流量機能と、空気流量が小さく前記所定圧力が得られる低流量機能とを備えるようになっているが、これに限らず、1つの電動過給機にこのような高流量機能と低流量機能とを備えるようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
この実施の形態は、前記第1の実施の形態に対して装置構成は同様で、図9に示すように、制御マップの予回転領域が予圧領域に変更されたものである。そして、吸気システム1は、このマップを用いると共に、図10に示すフローチャートに従って制御される。なお、このフローチャートは、図6に示したフローチャートに対して、ステップS7がステップS27に変更されたものであり、ステップS1〜S6、S8〜S15はそれぞれステップS21〜S26、S28〜S35に対応する。以下に、本実施の形態の特徴的な部分についてのみ説明する。
即ち、ステップS23でエンジン回転数が回転数N未満と判定され、かつステップS26でアクセル開度が所定値α未満であると判定されたときは、エンジンの運転状態が予圧領域にあるから、ステップS27でバイパス制御弁アクチュエータ33に信号を出力して、バイパス制御弁6を略閉じるように制御する。
そして、ステップS28の判定において、エンジン回転数が回転数N3未満である(YES)と判定されたときは、ステップS29で、高流量型電動過給機4を停止させると共に低流量型電動過給機5を作動させ、ステップS30で過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路切換弁8を第2過給通路22が開放するように制御する。
このように制御される結果、運転状態が予圧領域における回転数N3未満の領域にあるときは、外気から吸気通路2に吸入された空気は、第1過給通路21において分岐部21aから第2過給通路22に導入される。そして、この空気が低流量型電動過給機5の作動により該過給機5の下流側に吐出されるが、バイパス制御弁6が略閉じられているので、バイパス通路23を逆流する空気は少量であり、吐出された空気は専ら過給機5の下流側の圧力を高めることに寄与することになる。
一方、ステップS28の判定において、エンジン回転数が回転数N3以上である(NO)と判定されたときは、ステップS31で、エンジン回転数が回転数N2未満であるか否かについて判定を行う。ここで回転数N2以上である(NO)と判定されたときは、ステップS32で、高流量型電動過給機4を作動させると共に低流量型電動過給機5を停止させ、ステップS33で、過給通路切換弁アクチュエータ35に信号を出力して過給通路切換弁8を第1過給通路21が開放するように制御する。
このように制御される結果、運転状態が予圧領域における回転数N2以上の領域にあるときは、外気から吸気通路2に吸入された空気は、第1過給通路21を通って高流量型電動過給機4に吸入される。そして、この空気が過給機4から下流側に吐出され、過給機4の下流側の圧力を高めることになる。
一方、前記ステップS31で、エンジン回転数が回転数N2未満である(YES)と判定されたときは、ステップS34に進み、前記ステップS21で読み込んだ吸気温度が所定温度β未満であるか否かについて判定を行う。そして、吸気温度が所定温度β未満である(YES)と判定されたときはステップS32に進み、高流量型電動過給機4を使用した予圧制御を行い、吸気温度が所定温度β以上である(NO)と判定されたときはステップS29に進み、低流量型電動過給機5を使用した予圧制御を行う。
また、前記ステップS26で、アクセル開度が所定値α以上である(NO)と判定されたときは、エンジンの運転状態が過給領域にあるから、バイパス制御弁6が全閉とされ、前記第1の実施の形態と同様の過給の制御が行われるようになっている。
即ち、過給領域においては、図11に示すように、吸気温度が低いときは、回転数N3未満の領域では低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N3以上の領域では高流量電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されるようになっている。また、図12に示すように、吸気温度が高いときは、回転数N2未満の領域では低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N2以上の領域では高流量電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されるようになっている。
以上のように、この実施の形態においても、吸気温度が高いときは、回転数N3以上回転数N2未満の領域では、過給時、予圧制御時共に、低流量型電動過給機5が使用されるので、吸気温度の上昇による充填効率の低下が抑制される。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この実施の形態は、前記第1の実施の形態に対して装置構成は同様で、制御マップが異なるものである。即ち、この実施の形態に係る制御マップは、図13に示すように、全回転数領域に亘って低負荷側(アクセル開度α未満)に予回転領域、高負荷側(アクセル開度α以上)に過給領域が設定されている。過給領域においては、回転数N1以上の領域を高流量型電動過給機4により過給し、前記回転数N1よりも大きい値の回転数N2未満の領域を低流量型電動過給機5により過給するようになっており、前記回転数N1以上回転数N2未満の領域において、高流量、低流量型電動過給機4,5の両方において過給可能であり、回転数N3において同一のエンジン出力トルクが得られることがわかっている。
そして、この実施の形態における吸気システム1の制御を図14のフローチャートに示す。このフローチャートは、図6のフローチャートにおいてステップS3〜S5を取り除いたものとなっており、ステップS1〜S2、ステップS6〜S15がそれぞれステップS41〜S52に対応する。
このとき、自然吸気領域の制御は存在せず、運転領域はステップS43の判定において、必ず予回転領域若しくは過給領域に判定されることになる。このときの制御においても、前記第1の実施の形態と同様に、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては、吸気温度が高いときは低流量型電動過給機5が使用され、吸気温度が低いときは高流量型電動過給機4が使用される。
そして、過給領域に移行したときに、吸気温度が低いときは、図15に示すように、回転数N3未満の領域においては低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N3以上の領域においては高流量型電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されると共に、吸気温度が高いときは、図16に示すように、回転数N2未満の領域においては低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N2以上の領域においては高流量型電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されることになる。
この実施の形態によれば、高流量型電動過給機4と低流量型電動過給機5の切換により低回転から高回転に亘る広い領域においてエンジン出力トルクを増大させることが可能となっており、このように構成されたものに対して、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては、低流量型電動過給機5を使用することにより過給、或いは予回転制御が行われるので、吸気温度の上昇による充填効率の低下が抑制される。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
この実施の形態は、前記第3の実施の形態に対して装置構成は同様で、図17に示すように、制御マップにおける予回転領域が予圧領域に変更されたものとなっている。そして、この実施の形態における吸気システム1の制御を図18のフローチャートに示すが、このフローチャートは、前記第3の実施の形態の図14に示したフローチャートにおけるステップS44を、ステップS64に変更したものとなっており、ステップS41〜S43、S45〜S52がそれぞれステップS61〜S63、S65〜S72に対応する。
即ち、運転領域は、ステップS63の判定において、必ず予圧領域若しくは過給領域に判定されることになる。そして、このときの制御においても、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては、吸気温度が高いときは低流量型電動過給機5が使用され、吸気温度が低いときは高流量型電動過給機4が使用される。
そして、前記第3の実施の形態と同様に、過給領域に移行したときに、吸気温度が低いときは、図19に示すように、回転数N3未満の領域においては低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N3以上の領域においては高流量型電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されると共に、吸気温度が高いときは、図20に示すように、回転数N2未満の領域においては低流量型電動過給機5の使用によりエンジン出力トルクが増大され、回転数N2以上の領域においては高流量型電動過給機4の使用によりエンジン出力トルクが増大されることになる。
この実施の形態によれば、高流量型電動過給機4と低流量型電動過給機5の切換により低回転から高回転に亘る広い領域においてエンジン出力トルクを増大させることが可能となっており、このように構成されたものに対して、回転数N3以上回転数N2未満の領域においては、低流量型電動過給機5を使用することにより過給、或いは予圧制御が行われるので、吸気温度の上昇による充填効率の低下が抑制される。
本発明は、電動過給機を備えたエンジンの過給装置に関し、吸気温度が高いときは低回転機能を使用して予回転制御、予圧制御、過給が行われることにより、吸気温度の上昇が抑制される効果が得られるので、自動車産業に広く好適に利用可能である。
本発明の各実施の形態に係る吸気システムの全体図である。 高流量型電動過給機のインペラ形状の説明図である。 低流量型電動過給機のインペラ形状の説明図である。 高流量型、低流量型電動過給機の空気流量と圧力比とに応じた効率特性図である。 第1の実施の形態に係る制御マップである。 同吸気システムの制御のフローチャートである。 同吸気温度が低い時のエンジン出力トルクの特性図である。 同吸気温度が高い時のエンジン出力トルクの特性図である。 第2の実施の形態に係る制御マップである。 同吸気システムの制御のフローチャートである。 同吸気温度が低い時のエンジン出力トルクの特性図である。 同吸気温度が高い時のエンジン出力トルクの特性図である。 第3の実施の形態に係る制御マップである。 同吸気システムの制御のフローチャートである。 同吸気温度が低い時のエンジン出力トルクの特性図である。 同吸気温度が高い時のエンジン出力トルクの特性図である。 第4の実施の形態に係る制御マップである。 同吸気システムの制御のフローチャートである。 同吸気温度が低い時のエンジン出力トルクの特性図である。 同吸気温度が高い時のエンジン出力トルクの特性図である。
符号の説明
1 吸気システム
4 高流量型電動過給機
5 低流量型電動過給機
6 バイパス制御弁
8 過給通路切換弁
21 第1過給通路
22 第2過給通路
23 バイパス通路
32 吸気温度センサ
100 吸気システムコントローラ

Claims (2)

  1. 電動過給機が配設された過給通路と、該過給通路における過給機の上、下流側をバイパスすると共にバイパス制御弁が配設されたバイパス通路とを有し、エンジンの運転状態が所定の過給領域にあるときに過給機を作動させると共にバイパス制御弁を閉作動させ、かつ前記過給領域よりも低負荷側に設定された所定領域で過給機を作動させる過給機制御手段が備えられたエンジンの過給装置であって、
    前記電動過給機の下流側の吸気温度を検出する吸気温度検出手段が備えられ、
    前記電動過給機は、第1所定回転数以上の領域においてエンジン出力トルクを増大させる高流量機能と、前記第1所定回転数よりも高い第2所定回転数以下の領域においてエンジン出力トルクを増大させる低流量機能とを有すると共に、前記第1所定回転数と第2所定回転数との間の第3所定回転数で高流量機能によるエンジン出力トルクと低流量機能によるエンジン出力トルクとが略同一となる構成を有し、かつ、
    前記過給機制御手段は、エンジンの運転領域が前記過給領域又は前記所定領域にあるときに、前記第3所定回転数未満の領域においては低流量機能を使用し、前記第2所定回転数以上の領域においては高流量機能を使用すると共に、前記第3所定回転数以上第2所定回転数未満の領域においては前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度が所定温度未満のときは高流量機能を使用し、所定温度以上のときは低流量機能を使用することを特徴とするエンジンの過給装置。
  2. 前記請求項1に記載のエンジンの過給装置において、
    前記過給通路は、第1過給通路と該第1過給通路に並設された第2過給通路とを有し、前記過給機制御手段により制御されて前記第1、第2過給通路の開放を切換える過給通路切換弁が配設されていると共に、
    前記電動過給機は、前記第1過給通路に配設された高流量型電動過給機と前記第2過給通路に配設された低流量型電動過給機とで構成され、かつ、
    前記高流量機能使用時は、前記過給機制御手段により前記高流量型電動過給機が作動されると共に前記第1過給通路が開放されるように過給通路切換弁が切換えられ、
    前記低流量機能使用時は、前記過給機制御手段により前記低流量型電動過給機が作動されると共に前記第2過給通路が開放されるように過給通路制御弁が切換えられることを特徴とするエンジンの過給装置。
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