JP4888423B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、過給機付きの内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば、特開平10−89106号公報に開示されるように、排気タービンに通じる第1排気通路を開閉する第1排気弁と、排気タービンを通らない第2排気通路を開閉する第2排気弁とを備えた装置(独立排気エンジン)が知られている。この装置によれば、運転状態に応じて、第1排気弁と第2排気弁とを独立して開閉することで、排気ガスを排気タービンに導くタイミングや排気ガス量を制御することができる。このため、排気ポンピングロスの低減や過給による出力向上等を有効に達成することができる。
特開平10−89106号公報 特開平5−263671号公報
ところで、上述したような独立排気エンジンにおいては、例えば、第1排気弁を開弁し第2排気弁を閉弁することにより、排気タービンをバイパスして排気ガスを流すこと(以下、「NA流し」と称する)ができる。内燃機関の冷間時においてNA流しを行うと、排気温度の低下を抑制することができるので、触媒暖機性能を効果的に高めることができる。
しかしながら、NA流しの実行中は、第1排気通路における第1排気弁側は密閉された状態になっている。このため、内燃機関の吸気通路に配置されたコンプレッサが吸入空気により回転すると、排気タービンが回転して第1排気通路内に負圧が発生してしまう。したがって、この負圧が大きくなる運転領域においては、排気タービン軸や第1排気弁のステム部からオイルが吸出されてしまうおそれがあった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、排気タービンに通じる排気通路に発生する負圧の上昇を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置されたタービンと前記内燃機関の吸気通路に配置されたコンプレッサとが連結された過給機と、
前記内燃機関から前記タービンへ通じる第1排気通路と、
前記第1排気通路を開閉する第1排気弁と、
前記内燃機関から前記タービンの下流へ通じる第2排気通路と、
前記第2排気通路を開閉する第2排気弁と、
前記第1排気弁を閉弁し、且つ前記第2排気弁を開弁することにより、排気ガスを前記タービンの下流に導くためのNA流し手段と、
前記NA流し手段の実行中に、前記第1排気通路内にガスを供給するガス供給手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記第1排気通路内にガスを供給することを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記判定手段は、前記内燃機関の回転数および負荷に基づいて、前記第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することを特徴とする。
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記第1排気通路から分岐し、前記タービンをバイパスするウェイストゲート通路と、
前記ウェイストゲート通路に配置されたウェイストゲートバルブと、を更に備え、
前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記ウェイストゲートバルブを開弁することを特徴とする。
第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、
前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記第1排気弁を開弁する開弁手段を含むことを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、
前記開弁手段は、前記第1排気弁を排気上死点付近で微量リフトさせることを特徴とする。
内燃機関に対する出力要求や触媒の暖機要求により、第1排気弁を閉弁した状態で内燃機関を駆動するNA流しが行われる場合がある。かかる場合においては、コンプレッサが吸入空気で回転することによりタービンが回転し、第1排気通路内に負圧が発生するおそれがある。第1の発明によれば、NA流しの実行中に、第1排気通路内にガスが供給される。このため、本発明によれば、第1排気通路内に発生する負圧の上昇が抑制されるので、タービン軸等からオイルが吸い出されてしまう事態を効果的に抑制することができる。
第2の発明によれば、NA流しの実行中に、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、第1排気通路内にガスが供給される。このため、本発明によれば、第1排気通路内に負圧が許容範囲以上に上昇してタービン軸等からオイルが吸い出されてしまう事態を効果的に抑制することができる。
第3の発明によれば、内燃機関の回転数および負荷に基づいて、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を越えるか否かが判定される。このため、本発明によれば、第1排気通路内に圧力センサ等を設けることなく、内燃機関の運転状態に基づいて、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することができる。
第4の発明によれば、NA流しの実行中に、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えると判定されると、ウェイストゲートバルブが開弁される。ウェイストゲートバルブが開弁されると、ウェイストゲート通路を介して排気ガスが第1排気通路内に流入する。このため、本発明によれば、第1排気通路内の負圧が許容範囲以上に上昇する事態を効果的に抑制することができる。
第5の発明によれば、NA流し要求時に、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えると判定されると、第1排気弁が開弁される。第1排気弁が開弁されると、排気ガスが第1排気通路内に排出される。このため、本発明によれば、第1排気通路内の負圧が許容範囲以上に上昇する事態を効果的に抑制することができる。
第6の発明によれば、NA流し要求時に、第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えると判定されると、第1排気弁が排気上死点付近で微量にリフトされる。このため、本発明によれば、微量の排気ガスが第1排気通路内に排出されるので、第1排気通路内における負圧上昇の抑制とNA流し手段の実行との両立を図ることができる。
以下、図面に基づいてこの発明の幾つかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかるシステムの構造を説明するための図である。本実施の形態のシステムは、過給機(ターボチャージャ)を有する独立排気エンジンシステムとして構成されている。
図1に示すとおり、本実施の形態のシステムは内燃機関(エンジン)10を備えている。エンジン10は複数の気筒12を有する多気筒エンジンとして構成されている。各気筒12の吸気ポートには吸気弁14が設けられている。吸気ポートは吸気マニホールドを介して吸気通路16に接続されている。吸気通路16の最上流には、エアクリーナ18が設けられている。吸気通路16におけるエアクリーナ18の下流には、過給機20のコンプレッサ201が設けられている。コンプレッサ201は、連結軸203を介してタービン202と連結されている。タービン202は、後述する第1排気通路32に設けられている。このタービン202が排気動圧(排気エネルギ)により回転駆動されることにより、コンプレッサ201が駆動され、吸気が過給される仕組みになっている。吸気通路16におけるコンプレッサ201の下流には、過給された吸気を冷却するためのインタークーラ22が配置されている。
各気筒12の排気ポートには、第1排気弁301と第2排気弁302とが配置されている。第1排気弁301および第2排気弁302には、これらの排気弁の開弁特性(開閉時期およびリフト量)を独立して変更可能な可変動弁機構30が配置されている。可変動弁機構30としては、公知の電磁駆動弁機構や、機械式或いは油圧式の可変動弁機構を用いることができる。
第1排気弁301の排気ポートは、過給機20におけるタービン202に通じる第1排気通路32に連通している。また、第2排気弁302の排気ポートは、タービン202を通らない第2排気通路34に連通している。第2排気通路34は、第1排気通路32における過給機20の下流側と合流している。合流点の下流の排気通路36には、始動時触媒(以下、「S/C触媒」とも称する)38が配置されている。S/C触媒38は三元触媒であって、排気ガス中の有害成分であるCO、HC(炭化水素)、およびNOを、理論空燃比近傍で同時に除去するものである。
第1排気通路32におけるタービン202の上流側と、第2排気通路34における第1排気通路32との合流点の上流側との間には、これらの通路を連通させるためのウェイストゲート通路(以下、「W/G通路」と称する)40が接続されている。また、W/G通路40の途中には、当該W/G通路40の開度を調整するためのウェイストゲートバルブ(以下、「W/Gバルブ」と称する)42が配置されている。
本実施の形態のエンジン10には、その制御装置として、ECU(Electronic Control Unit)50が備えられている。ECU50の出力部には、上述したW/Gバルブ42や可変動弁機構30等の種々の機器が接続されている。また、ECU50の入力部には、エンジン10の運転状態を検知するための種々のセンサ類が接続されている。ECU50は、各センサの出力に基づいて、所定の制御プログラムに従って各機器を駆動する。
[実施の形態1の動作]
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態の動作について説明する。図1に示すとおり、本実施の形態のエンジン10は、独立排気エンジンとしての構成を有している。そこで、本実施の形態のエンジン10によれば、例えば、冷間始動時に第1排気弁301を閉弁(停止)するとともに、第2排気弁302を開弁することにより、タービン202をバイパスして排気ガスを触媒38に流すNA流しを実行することができる。これにより、排気熱容量を自然吸気エンジンと同等のレベルにすることができるので、触媒38の暖機性能を向上させることができる。尚、NA流しの実行は、エンジン10の冷間時に限らず、例えば、過給を必要としない低負荷・低回転の運転領域においても行われる。これにより、かかる運転領域における排気抵抗を効果的に低減させることができる。
一方、S/C触媒38の暖機完了後や、過給を必要とする高負荷・高回転の運転領域では、第1排気弁301を開弁するとともに、第2排気弁302を閉弁(停止)することにより、排気ガスの全量をタービン202に導くことができる。これにより、過給圧を高めることができるため、ターボレスポンスを効果的に向上させることができる。以下、このバルブ開弁特性を「ターボ流し」と称する。
ここで、上述したとおり、過給機20は、コンプレッサ201とタービン202とが連結軸203により連結されることにより構成されている。このため、NA流し時においては、第1排気弁301が閉弁されているにもかかわらず、コンプレッサ201が吸気を受けて回転することにより、タービン202が回転駆動し、第1排気通路32内に負圧が発生してしまう。エンジン10の運転状態によっては、この負圧が許容範囲を超えて上昇してしまう場合があり、かかる場合には、タービン202の連結軸203からのオイルの吸出しや、第1排気弁のステム部からのオイルの吸出しを引き起こすおそれがある。
そこで、本実施の形態1においては、NA流し時に第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えると判断される場合には、W/Gバルブ42を開弁することとする。W/Gバルブ42を開弁すると、第2排気通路34からW/G通路40を介して第1排気通路32へ排気ガスが流入する。これにより、第1排気通路内に発生する負圧の上昇が抑制されるので、オイルの吸出し等を効果的に抑制することができる。
第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうか否かの判断は、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内であるか否かで判断することができる。図2は、NG領域を特定するためにECU50が記憶しているマップである。図2のマップは、エンジン負荷とエンジン回転数を軸とする多次元マップであり、エンジン10の運転領域のうち低負荷・低回転領側の領域は、NA流しが行われる領域(以下、「NA流し領域」と称する)に設定され、高負荷・高回転側の領域は、ターボ流しが行われる領域(以下、「ターボ流し領域」と称する)に設定されている。尚、図2のマップにおいて、NA流し領域とターボ流し領域との境界は、NA流し運転がターボ流し運転よりも効率がよい限界負荷を意味している。
上述したとおり、NA流しを実行すると、第1排気通路32内に負圧が発生する。この負圧は、エンジン回転数が高いほど大きくなり、また、エンジン負荷が高いほど大きくなる。このため、NA流し領域には、図2に示すマップに鎖線で示すように、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲の限界となる境界が存在する。したがって、エンジン10の運転ポイントが、当該鎖線の外側(高負荷・高回転側)のNA流し領域(以下、「NG領域」と称する)内となった場合に、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えると判断することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
次に、図3を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図3は、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図3に示すルーチンでは、先ず、NA流し要求があるか否かが判定される(ステップ100)。ここでは、具体的には、エンジン10の冷間始動時か否か、或いはエンジン10の運転領域が所定のNA流し領域か否かが判定される。その結果、NA流し要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要がないと判断されて、本ルーチンは速やかに終了される。
一方、上記ステップ100において、NA流し要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要があると判断されて、次のステップに移行し、S/C触媒38の暖機要求があるか否かが判定される(ステップ102)。ここでは、具体的には、S/C触媒38に配置された温度センサの検出信号に基づいて、S/C触媒38の活性発現のための暖機要否が判定される。尚、S/C触媒38の温度は、温度センサで検出する方法に限らず、吸入空気量、排気ガスの積算空気量、空燃比等のエンジン10の運転状態を示す制御信号に基づいて推定することとしてもよい。
上記ステップ102において、S/C触媒38の暖機要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行してもS/C触媒38が失活するおそれがないと判断されて、次のステップに移行し、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内か否かが判定される(ステップ104)。ここでは、具体的には、先ず、エンジン10のエンジン回転数とエンジン負荷とが各種センサの出力信号に基づいて算出される。次に、これらのエンジン回転数とエンジン負荷とから規定される運転ポイントが、図2に示すマップのNG領域内となるか否かが判定される。
上記ステップ104において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内であると判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断されて、次のステップに移行し、W/Gバルブ42が開弁される(ステップ106)。これにより、排気ガスが第2排気通路34からW/G通路40を介して第1排気通路32へ流入する。
一方、上記ステップ102において、S/C触媒38の暖機要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行するとS/C触媒38の暖機の妨げになると判断されて、次のステップに移行し、W/Gバルブ42が閉弁される(ステップ108)。これにより、第2排気通路34から第1排気通路32への排気ガスの流入が制限されるので、タービン202に排気熱が奪われてS/C触媒38の暖機の妨げになる事態が回避される。
また、上記ステップ104において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内でないと判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲内であると判断されて、上記ステップ108に移行し、W/Gバルブ42が閉弁される。
以上説明したとおり、本実施の形態によれば、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、W/Gバルブ42が開弁されるので、当該負圧が許容範囲を超えて上昇する事態を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、S/C触媒38の暖機要求がある場合には、W/Gバルブ42が閉弁されるので、タービン202に排気熱が奪われてS/C触媒38の暖機が長期化する事態を効果的に回避することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、エンジン10の運転ポイントが所定のNG領域内か否かを判定することにより、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することとしている。しかしながら、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かの判定はこれに限らず、例えば、第1排気通路内の圧力を直接検出、或いは運転状態から推定し、当該圧力と所定の負圧値とを比較することにより判定することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、第1排気通路32と第2排気通路34との間を連通させるようにW/G通路40が接続されているが、当該W/G通路40の配置はこれに限られない。すなわち、第1排気通路34とタービン202の下流側の排気通路とが連通するように接続されているのであれば、例えば、第1排気通路34と排気通路36とを連通させるように接続されていてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定し、許容範囲を超えると判定された場合にW/Gバルブ42を開弁して排気ガスを当該第1排気通路32内へ導入することとしているが、排気ガスを当該第1排気通路32内へ導入する構成はこれに限らない。すなわち、例えば、上述した判定を行わずに、定期的にW/Gバルブ42を開弁することにより、第1排気通路32内に発生する負圧の上昇を抑制してもよいし、W/Gバルブ42に替えて所定圧力で開弁される機械式の開閉弁を使用し、第1排気通路32内の負圧に応じて自動的に開弁される構成としてもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ100の処理を実行することにより、前記第1の発明における「NA流し手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより、前記第1の発明における「ガス供給手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ104の処理を実行することにより、前記第2の発明における「判定手段」が実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の構成]
図4は、本発明の実施の形態2にかかるシステムの構造を説明するための図である。本実施の形態のシステムは、エンジン10の吸気通路16に、コンプレッサ201をバイパス可能な通路を設けたことに特徴がある。より具体的には、エンジン10の吸気通路16には、コンプレッサ201の上流側と下流側とを連通させるようにバイパス通路60が接続されている。またバイパス通路60の上流側における吸気通路16との接続部には、吸気の流れをコンプレッサ201に通じる吸気通路16側と、コンプレッサ201をバイパスするバイパス通路60側との間で切り替える切替弁62が配置されている。
[実施の形態2の特徴]
次に、本実施の形態の特徴的動作について説明する。上述した実施の形態1においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、W/Gバルブ42を開弁することとしている。つまり、実施の形態1においては、タービン202が回転駆動していても、第2排気通路34からW/G通路40を介して第1排気通路32へ排気ガスを流通させることで、当該第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を抑制することとしている。
一方、第1排気通路32が密閉されていても、すなわち、W/Gバルブ42が閉弁されていても、NA流し時のタービン202の回転を抑制することができれば、当該第1排気通路32内の負圧が増大する事態を抑制することができる。そこで、本実施の形態2においては、吸気がコンプレッサ201をバイパスして流通するように制御することで、タービン202の回転を抑制することとする。より具体的には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合、若しくは、エンジン10の運転領域がNA流し領域である場合に、切替弁62をバイパス通路60側が開弁されるように切り替えることとする。切替弁62をバイパス通路60側に切り替えると、コンプレッサ201の上流側の吸気通路16からバイパス通路60を介してコンプレッサ201の下流側の吸気通路16へ吸気が流れる。これにより、吸気がコンプレッサ201をバイパスして流通するので、コンプレッサ201の回転が抑制される。このため、タービン202が駆動されて第1排気通路内に負圧が発生する事態を効果的に抑制することができる。
[実施の形態2における具体的処理]
次に、図5を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図5は、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図5に示すルーチンでは、先ず、NA流し要求があるか否かが判定される(ステップ200)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ100と同様の処理が実行される。その結果、NA流し要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要がないと判断されて、本ルーチンは速やかに終了される。
一方、上記ステップ200において、NA流し要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要があると判断されて、次のステップに移行し、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内か否かが判定される(ステップ202)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ104と同様の処理が実行される。
上記ステップ202において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内であると判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断されて、次のステップに移行し、切替弁62が制御されて、バイパス通路60側が連通するように切り替えられる(ステップ204)。これにより、吸気が吸気通路16におけるコンプレッサ201の上流側からバイパス通路60を介して吸気通路16におけるコンプレッサ201の下流側へ流通する。
一方、上記ステップ202において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内でないと判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲内であると判断されて、次のステップに移行し、切替弁62が制御されて、吸気通路16側が連通するように切り替えられる(ステップ206)。これにより、吸気が吸気通路16におけるコンプレッサ201へ流通する。
以上説明したとおり、本実施の形態によれば、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、吸気がコンプレッサ201をバイパスして流通される。これにより、コンプレッサ201が回転することによりタービン202が駆動されて、第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を効果的に抑制することができる。
ところで、上述した実施の形態2においては、エンジン10の運転ポイントが所定のNG領域内か否かを判定することにより、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することとしている。しかしながら、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かの判定はこれに限らず、例えば、第1排気通路内の圧力を直接検出、或いは運転状態から推定し、当該圧力と所定の負圧値とを比較することにより判定することとしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、吸気通路16とバイパス通路60の上流側との接続部に切替弁62を配置し、当該切替弁62を制御することにより、吸気経路からコンプレッサ201をバイパスさせることとしているが、コンプレッサ201をバイパスさせるための構成はこれに限られない。すなわち、吸気がコンプレッサ201をバイパスできるのであれば、例えば、バイパス通路に開閉弁等の開閉手段を備える構成でもよい。
また、上述した実施の形態2においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定し、許容範囲を超えると判定された場合に切替弁62を制御することとしているが、当該切替弁62の制御はこれに限らない。すなわち、例えば、上述した判定を行わずに、定期的に切替弁62を切り替えることにより、タービン202の回転を抑制することとしてもよい。また、エンジン10の運転領域がNA流し領域である場合に、常にバイパス通路60側が開弁されるように切替弁62を制御し、タービン202の回転を抑制することとしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、実施の形態1におけるNA流し時の制御と組み合わせて実行することとしてもよい。
実施の形態3.
[実施の形態3の構成]
図6は、本発明の実施の形態3にかかるシステムの構造を説明するための図である。本実施の形態のシステムは、図1に示す過給機20に替えて、電動機付き過給機(モータアシストターボチャージャ,以下、「MAT」と称する)70を設けたことに特徴がある。より具体的には、吸気通路16には、MAT70のコンプレッサ701が設けられている。MAT70は、コンプレッサ701、タービン702、そして、コンプレッサ701とタービン702との間に配置される電動機704から構成されている。タービン702は、第1排気通路32の途中に設けられている。コンプレッサ701とタービン702とは連結軸703によって一体に連結され、コンプレッサ701はタービン702が排気ガスから受ける排気エネルギによって回転駆動される。
また、連結軸703は電動機704のロータにもなっており、電動機704を作動させることで、コンプレッサ701を強制駆動することもできる。以下、このようなMAT70の駆動モードを「アシストモード」と称する。また、電動機704は、コンプレッサ701の回転を受けて発電を行うこともできる。以下、このようなMAT70の駆動モードを「発電モード」と称する。ECU50は、エンジン10の運転状態に基づいて、アシストモードと発電モードとの間で切り替えを行う。
[実施の形態3の特徴]
次に、本実施の形態の特徴的動作について説明する。上述した実施の形態2においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、吸気がコンプレッサ201をバイパスして流通される。これにより、タービン202の回転が抑制されるので、第1排気通路32内の負圧が上昇する事態が効果的に抑制される。
本実施の形態3では、NA流し時のタービンの回転を抑制するために、MAT70を備えたエンジン10において、MAT70の電動機704で発電を行うこととする。より具体的には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、MAT70の駆動モードを発電モードに切り替えることとする。発電モードでは、タービン702の回転エネルギが電動機704で電気エネルギに変換される。これにより、該タービン702の回転を抑制し、第1排気通路32における負圧の上昇を効果的に抑制するとともに、タービン702の回転エネルギを回収して燃費の向上を図ることができる。
[実施の形態3における具体的処理]
次に、図7を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図7は、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンでは、先ず、NA流し要求があるか否かが判定される(ステップ300)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ100と同様の処理が実行される。その結果、NA流し要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要がないと判断されて、本ルーチンは速やかに終了される。
一方、上記ステップ300において、NA流し要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要があると判断されて、次のステップに移行し、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内か否かが判定される(ステップ302)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ104と同様の処理が実行される。
上記ステップ302において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内であると判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断されて、次のステップに移行し、MAT70の駆動モードが発電モードに切り替えられる(ステップ304)。ここでは、具体的には、電動機704がタービン702により回転駆動されて発電が行われる。
一方、上記ステップ302において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内でないと判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲内であると判断されて、次のステップに移行し、MATの駆動モードがアシストモードに切り替えられる(ステップ306)。
以上説明したとおり、本実施の形態によれば、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、MAT70の駆動モードが発電モードに切り替えられて、電動機704における発電動作が行われる。これにより、タービン702の回転が抑制されるので、第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を効果的に抑制することができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、エンジン10の運転ポイントが所定のNG領域内か否かを判定することにより、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することとしている。しかしながら、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かの判定はこれに限らず、例えば、第1排気通路内の圧力を直接検出、或いは運転状態から推定し、当該圧力と所定の負圧値とを比較することにより判定することとしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定し、許容範囲を超えると判定された場合にMAT70の駆動モードが発電モードに切り替えることとしているが、当該MAT70の切替タイミングはこれに限らない。すなわち、例えば、上述した判定を行わずに、定期的にMAT70の駆動モードが発電モードに切り替えることにより、タービン202の回転を抑制することとしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、実施の形態1〜2におけるNA流し時の制御と適宜組み合わせて実行することとしてもよい。
実施の形態4.
[実施の形態4の特徴]
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に後述する図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、W/Gバルブ42を開弁することとしている。つまり、実施の形態1においては、タービン202が回転駆動していても、第2排気通路34からW/G通路40を介して第1排気通路32へ排気ガスを流通させることで、当該第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を抑制することとしている。
ここで、W/Gバルブ42が閉弁されていても、他の部位から排気ガスが当該第1排気通路32内に少量でも流入することができれば、当該第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を抑制することができる。そこで、本実施の形態4においては、第1排気弁301を微小リフトさせることで、当該第1排気通路32内に少量の排気ガスを流入させることとする。より具体的には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、第1排気弁301を排気上死点付近で少しリフトさせる。これにより、第1排気通路32内に少量の排気ガスを流入させることができるので、当該第1排気通路32内における負圧の上昇を効果的に抑制することができる。
[実施の形態4における具体的処理]
次に、図8を参照して、本実施の形態において実行する処理の具体的内容について説明する。図8は、ECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンでは、先ず、NA流し要求があるか否かが判定される(ステップ400)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ100と同様の処理が実行される。その結果、NA流し要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要がないと判断されて、本ルーチンは速やかに終了される。
一方、上記ステップ400において、NA流し要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行する必要があると判断されて、次のステップに移行し、S/C触媒38の暖機要求があるか否かが判定される(ステップ402)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ100と同様の処理が実行される。
上記ステップ402において、S/C触媒38の暖機要求がないと判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行してもS/C触媒38が失活するおそれがないと判断されて、次のステップに移行し、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内か否かが判定される(ステップ404)。ここでは、具体的には、図3に示すステップ104と同様の処理が実行される。
上記ステップ404において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内であると判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断されて、次のステップに移行し、第1排気弁301の開弁動作が実行される(ステップ406)。ここでは、具体的には、第1排気弁301が排気上死点付近で微小リフトされる。これにより、少量の排気ガスが第1排気通路32内に流入する。
一方、上記ステップ402において、S/C触媒38の暖機要求があると判定された場合には、当該NA流し時の制御を実行するとS/C触媒38の暖機が長期化すると判断されて、次のステップに移行し、第1排気弁301の閉弁状態が維持される(ステップ408)。また、上記ステップ302において、エンジン10の運転領域が所定のNG領域内でないと判定された場合には、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲内であると判断されて、上記ステップ408に移行し、第1排気弁301の閉弁状態が維持される。
以上説明したとおり、本実施の形態によれば、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えてしまうと判断された場合に、第1排気弁301が少しリフトされるので、MAT70の駆動モードが発電モードに切り替えられて、電動機704における発電動作少量の排気ガスが第1排気通路32内に流入する。これにより、第1排気通路32内の負圧が上昇する事態を効果的に抑制することができる。
ところで、上述した実施の形態4においては、エンジン10の運転ポイントが所定のNG領域内か否かを判定することにより、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することとしている。しかしながら、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かの判定はこれに限らず、例えば、第1排気通路内の圧力を直接検出、或いは運転状態から推定し、当該圧力と所定の負圧値とを比較することにより判定することとしてもよい。
また、上述した実施の形態4においては、第1排気弁301の開弁動作として、排気上死点付近で微小リフトさせることとしているが、開弁動作はこれに限られない。すなわち、少量の排気ガスを第1排気通路32内に排出することができるのであれば、第1排気弁301常に微小リフトさせる方法に限らず、例えば、特定の気筒の第1排気弁301のみをリフトさせることとしてもよいし、また、サイクル毎に第1排気弁301をリフトさせることとしてもよい。
また、上述した実施の形態4においては、第1排気通路32内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定し、許容範囲を超えると判定された場合に第1排気弁301の開弁動作を実行することとしているが、当該MAT70の第1排気弁301の開弁タイミングはこれに限らない。すなわち、例えば、上述した判定を行わずに、定期的に第1排気弁301を微小リフトさせることにより、第1排気通路32内に発生する負圧の上昇を抑制することとしてもよい。
また、上述した実施の形態4においては、実施の形態1〜3におけるNA流し時の制御と適宜組み合わせて実行することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU50が、上記ステップ400の処理を実行することにより、前記第1の発明における「NA流し手段」が、上記ステップ406の処理を実行することにより、前記第1の発明における「ガス供給手段」が、それぞれ実現されている。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU50が、上記ステップ404の処理を実行することにより、前記第2の発明における「判定手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態4においては、ECU50が、上記ステップ406の処理を実行することにより、前記第5の発明における「開弁手段」が実現されている。
本発明の実施形態1のシステムの概略構成を説明するための図である。 NG領域を特定するためにECU50が記憶しているマップを示す。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施形態2のシステムの概略構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施形態3のシステムの概略構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関(エンジン)
12 気筒
14 吸気弁
16 吸気通路
18 エアクリーナ
20 過給機
201 コンプレッサ
202 タービン
203 連結軸
22 インタークーラ
30 可変動弁機構
301 第1排気弁
302 第2排気弁
32 第1排気通路
34 第2排気通路
36 排気通路
38 S/C触媒
40 ウェイストゲート(W/G)通路
42 ウェイストゲート(W/G)バルブ
50 ECU(Electronic Control Unit)
60 バイパス通路
62 切替弁
70 電動機付き過給機(MAT)
701 コンプレッサ
702 タービン
703 連結軸
704 電動機

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路に配置されたタービンと前記内燃機関の吸気通路に配置されたコンプレッサとが連結された過給機と、
    前記内燃機関から前記タービンへ通じる第1排気通路と、
    前記第1排気通路を開閉する第1排気弁と、
    前記内燃機関から前記タービンの下流へ通じる第2排気通路と、
    前記第2排気通路を開閉する第2排気弁と、
    前記第1排気弁を閉弁し、且つ前記第2排気弁を開弁することにより、排気ガスを前記タービンの下流に導くためのNA流し手段と、
    前記NA流し手段の実行中に、前記第1排気通路内にガスを供給するガス供給手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定する判定手段を更に備え、
    前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記第1排気通路内にガスを供給することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記判定手段は、前記内燃機関の回転数および負荷に基づいて、前記第1排気通路内に発生する負圧が許容範囲を超えるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1排気通路から分岐し、前記タービンをバイパスするウェイストゲート通路と、
    前記ウェイストゲート通路に配置されたウェイストゲートバルブと、を更に備え、
    前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記ウェイストゲートバルブを開弁することを特徴とする請求項2または3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記ガス供給手段は、前記判定手段により前記負圧が許容範囲を超えると判定された場合に、前記第1排気弁を開弁する開弁手段を含むことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記開弁手段は、前記第1排気弁を排気上死点付近で微量リフトさせることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の制御装置。
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