JP4389799B2 - エンジンの過給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、過給によりエンジントルクの増大を図るエンジンの過給装置の技術分野に属する。
従来より、エンジントルクの増大を図る手段として吸気を過給するスーパーチャージャやターボチャージャが周知であるが、いずれも過給能力がエンジン回転数の影響を大きく受ける結果、低回転領域で過給圧が不足するという欠点がある。これに対し、電気的に駆動される電動過給機は、エンジン回転数の影響を受けることなく回転数を制御できるので、低回転領域でも十分な過給圧を発生し得る利点がある。
例えば特許文献1に記載のエンジンの過給装置は、吸気通路上に配置された電動過給機と、該過給機の上、下流側を連通するバイパス通路と、該バイパス通路上に設けられたバイパス弁とを有し、エンジンの運転状態が過給領域にあるときに、過給機を作動させると共にバイパス弁を閉じることにより、過給を行うようになっている。そして、このような構成のエンジンの過給装置において、急加速時等の応答性をさらに高める方法として予回転制御が提案されている。
この予回転制御としては、例えば、エンジンの運転状態が過給領域に移行する前に予めバイパス弁を開いた状態で電動過給機を作動させておき、予め電動過給機の回転数を高めておくことにより、過給領域に移行した際に速やかに所要の過給圧が得られるようにする回転制御がある。また、エンジンの運転状態が過給領域に移行する前にバイパス弁を閉じ気味にした状態で電動過給機を作動させて、予め電動過給機下流の圧力を高めておくことにより、過給領域に移行した際に速やかに所要の過給圧が得られるようにする予圧制御がある。
特開2003−227342号公報
ところで、上記予回転制御中に吸気温度が上昇し、高温の吸気が燃焼室に導入されてノッキングが発生し易くなるという問題がある。この予回転制御中に吸気温度を上昇させる原因は、例えば以下のようなものがある。
即ち、回転制御時においては、バイパス弁が開いた状態で電動過給機を作動させるので、バイパス通路を介して吸気が循環することになるが、この循環により吸気が電動過給機の作動による発熱を繰り返し受けて次第に昇温することになる。
また、予圧制御時においては、閉じ気味に設定されたバイパス弁前後の圧力差が吸気温度の上昇の原因となる。つまり、この圧力差によって、電動過給機下流の高い吸気の位置エネルギが、バイパス弁の隙間を通って過給機上流に流れる際に流速としての運動エネルギに変換されると共に、この運動エネルギが過給機上流で例えば新気との衝突によって流速を失うときに熱エネルギに変換され、この熱エネルギが吸気温度を上昇させることになる。
そこで、本発明は、エンジンの過給装置において、エンジンの運転状態が予回転領域にあるときに、吸気温度の上昇を抑制し、ノッキングの発生を防止することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、吸気通路に設けられた電動過給機と、吸気通路における該電動過給機の上、下流側を連通させるバイパス通路と、該バイパス通路を開閉するバイパス弁と、エンジンの運転状態が過給領域にあるときに所定の過給圧が得られるように電動過給機の回転数及びバイパス弁を制御する過給制御手段とが備えられたエンジンの過給装置であって、エンジンの運転状態が前記過給領域の低負荷側に設定された予回転領域にあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段によりエンジンの運転状態が予回転領域にあると判定されたときに、運転状態が過給領域にある場合より低い過給圧となるように電動過給機の回転数及びバイパス弁を制御する予回転制御手段と、該予回転制御手段による予回転制御中、特定気筒に対する燃料供給を停止させる減筒運転手段と、該減筒運転手段による減筒運転中、燃料供給が停止された気筒から排出された新気を電動過給機上流の吸気通路に還流させる還流手段とを有することを特徴とする。
なお、予回転制御のうち、予圧制御では、過給領域における過給圧よりも低い過給圧が得られるように電動過給機の回転数及びバイパス弁が制御されることになり、回転制御では、予圧は行われないが、電動過給機の直下流の過給圧が過給領域における過給圧よりも低くなるように電動過給機の回転数が制御される。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のエンジンの過給装置において、前記減筒運転手段による減筒運転時は、スロットル開度を増大補正するスロットル開度補正手段を有することを特徴とする。
そして、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載のエンジンの過給装置において、電動過給機下流の吸気温度を検出する吸気温度検出手段を有し、該吸気温度検出手段により検出された吸気温度が所定値以上のときのみ前記減筒運転手段及び還流手段を作動させることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、予回転制御中に、特定気筒への燃料供給が停止されるので、該特定気筒からは、新気が排出されることになる。そして、この新気が電動過給機上流の吸気通路に還流される。
その場合に、前記特定気筒に吸入された空気は、圧縮工程で昇温した際に、燃焼室回りの冷却水に熱が吸収されると共に、その後の膨張行程でさらに温度が低下するので、吸入したときの温度(大気温度)よりも低くなる。そして、この低温の空気が電動過給機上流の吸気通路に還流されるので、予回転制御中に、吸気系全体として吸気温度が低下され、或いは上昇が抑制されることになり、これによりノッキングの発生が防止される。
また、請求項2に記載の発明によれば、減筒運転時は、スロットル開度を増大させるので、各気筒への導入空気量が増大し、燃焼気筒の出力が増大する。その結果、減筒したにも拘らず、エンジン全体としての出力の低下が回避される。
なお、このとき、スロットル開度を増大させたことによって、ポンピングロスが低減して燃費が改善される。例えば、排気量2リッターのガソリンエンジンで、予回転を2500回転以下で行い、かつ電動過給機の定格電力を2kW、オルタネータの定格電力を2kWとした場合の予回転制御中、電動過給機による消費電力をオルタネータの発電により回収するために8%前後の燃費の低下を免れないが、これが前記ポンピングロスの低減による7〜11%の燃費改善効果により相殺され、予回転制御を行うことによる燃費の悪化が防止されることになる。
そして、請求項3に記載の発明によれば、吸気温度が所定値未満のときは、ノッキングが起こりにくい状態であるから、減筒運転が行われずにエンジン出力の低下が回避されると共に、吸気温度が所定値以上のときは、ノッキングが起こりやすい状態であるから、前記減筒運転が行われて吸気温度の上昇が抑制され、ノッキングの発生が防止される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態について説明すると、図1は、本実施の形態に係るエンジンの吸気系1及び排気系2を表している。
吸気系1において、吸気通路10には、上流側からエアクリーナ11、電動過給機12、スロットルバルブ13、サージタンク14が設けられ、該サージタンク14から各気筒#1〜#4内にそれぞれ通じる複数の独立吸気通路15…15が分岐されている。
また、該吸気通路10における電動過給機12の上、下流側を直接連通させるバイパス通路16が設けられており、該バイパス通路16に、該通路16を通過する空気の流量を制御するバイパス弁17が設けられている。
そして、前記電動過給機12は、コンプレッサ12aとモータ12bとを備え、モータ12bの駆動によりコンプレッサ12aが空気を吸入して各気筒#1〜#4に圧送することにより、空気充填量ないしエンジントルクを増大させる。
一方、上記排気系2は、各気筒#1〜#4からそれぞれ延びる複数の独立排気通路21a…21dと、第1、第4気筒#1,#4から延びる独立排気通路21a,21dを下流側で合流してなる第1合流排気通路22aと、第2、第3気筒#2,#3から延びる独立排気通路21b,21c下流側で合流してなる第2合流排気通路22bと、第1、第2合流通路22a,22bを下流側で合流してなる集合排気通路23とを有している。
そして、前記第1合流排気通路22aから分岐して電動過給機12の上流側の排気通路10に連通する連通路30が設けられ、該連通路30上には、該通路30内を通る空気の流量を制御する循環バルブ31が配設されている。
また、このエンジンを制御するエンジン制御装置100は、運転者によるアクセルペダル40aの踏込量(エンジン負荷)を検出するアクセル開度センサ40からの信号、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ41からの信号、吸気温度を検出する吸気温度センサ42からの信号等が入力されるようになっている。
そして、エンジン制御装置100は、それらの入力信号に基いて、各気筒#1〜#4に備えられた点火プラグ43…43、燃料噴射弁44a…44d、及び吸気システムコントローラ101などに各種の制御信号を出力する。該吸気システムコントローラ101は、スロットルバルブ13を開閉駆動するスロットルアクチュエータ45、バイパス弁17を開閉駆動するバイパスアクチュエータ46、循環バルブ31、及び電動過給機12のモータ12bの回転数を制御する電動過給機コントローラ102などに制御信号を出力する。
また、このエンジンには、該エンジンの駆動により発電を行うオルタネータ50と、該オルタネータ50で発電された電力を蓄えるバッテリ51とが備えられ、該バッテリ51から前記電動過給機コントローラ102に電力が供給されるようになっている。
なお、前記吸気通路10、電動過給機12、バイパス通路16、及びバイパス弁17は、請求項1に記載の過給装置の前提となる構成要素に相当する。また、前記エンジン制御装置100は請求項1に記載の過給装置における判定手段及び減筒運転手段に相当し、吸気システムコントローラ101は請求項1に記載の過給装置における過給制御装置及び予回転制御手段に相当し、前記連通路30、循環バルブ31、吸気システムコントローラ101は請求項1に記載の過給装置における還流手段に相当する。また、前記吸気システムコントローラ101は請求項2に記載の過給装置におけるスロットル開度補正手段に相当し、前記吸気温度センサ42は請求項3に記載の過給装置における吸気温度検出手段に相当する。
一方、前記エンジン制御装置100には、図2に示すエンジンの運転領域を設定したマップが記憶されている。このマップには、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとした4つの領域が設定されている。即ち、全エンジン運転領域の高回転側(エンジン回転数がN1以上)には自然吸気領域、低負荷低回転側(エンジン回転数がN1以下、エンジン負荷がα1以下)には予回転領域(予圧領域)、高負荷低回転側(エンジン回転数がN1以下、エンジン負荷がα1以上)には過給領域が設定されていると共に、該過給領域内の低回転側にはサージング領域が設定されている。
前記自然吸気領域では、バイパス弁17が開いた状態で電動過給機12を作動させないように制御される。そして、吸気通路10に導入された空気は、図1の矢印Aに示すようにバイパス通路16を順方向に流れて、各気筒#1〜#4に供給されることになる。なお、この領域では、通常の4気筒運転が行われると共に、循環バルブ31は閉じられ、第1、第4気筒#1,#4から排出された新気を吸気通路10へ還流させないように制御される。
前記予回転領域では、本実施の形態においては予圧制御を行う。予圧制御では、バイパス弁17が閉じ気味にされた状態で電動過給機12を作動させるように制御される。その結果、吸気通路10における電動過給機12の下流側の圧力が予め高められることになって、エンジンの運転状態が過給領域に移行した際に過給圧の応答性向上が実現される。このとき、同時にスロットルバルブ13の絞り制御を行うことにより各気筒#1〜#4内に導入する吸気量が必要以上に多くならないようにし、吸入空気量を正確に実現させる。
なお、この領域では、吸気温度が所定値以上のときは、第1、第4気筒#1,#4に燃料を供給する燃料噴射弁44a,44dの燃料供給を停止させる減筒気筒制御が行われると共に、スロットルバルブ13の開度を増大補正するように制御される。このとき、循環バルブ31を開くように制御され、図1の矢印Dに示すように、第1、第4気筒#1,#4から排出された新気を連通路30を介して電動過給機12の上流側の吸気通路10に還流させる。
また、吸気温度が所定値以下のときは、通常の4気筒運転が実行されると共に、循環バルブ31を閉じるように制御されて、新気の還流は行われない。
前記過給領域では、バイパス弁17を閉じた状態で電動過給機12を作動させるように制御される。このとき、エアクリーナ11から吸気通路10に導入された空気は図1の矢印Bに示すように吸気通路10を流れる。なお、この領域では、通常の4気筒運転が行われると共に、循環バルブ31を閉じるように制御され、新気の還流は行われない。
前記サージング領域では、バイパス弁17を半開とした状態で電動過給機12を作動させる。このサージング領域は、電動過給機12の下流側の圧力が高く、吸気の流量が少なくなり、吸気が電動過給機12を逆流する可能性のある領域であって、ここでは、バイパス弁17を半開に制御することにより、図1の矢印Cに示すように吸気の一部をバイパス通路16を逆流させて循環させるようにしている。なお、この領域では、通常の4気筒運転が行われると共に、循環バルブ31を閉じるように制御され、新気の還流は行われない。
一方、図3のマップは、電動過給機12の特性を示すもので、このマップには、吸入空気量を横軸にして、電動過給機12の上、下流側の圧力比が縦軸に示されている。そして、この電動過給機12の使用領域として、図に示す領域Xが設定されている。なお、領域Xの低吸入空気量高圧力比側の領域Yは、電動過給機12の下流側の圧力が高く、空気の流量は少ないので、前述のサージングが起き易い領域となる。
さらに、前記領域Xには、電動過給機12の消費電力に応じた領域a〜pが設定されている。これらの領域a〜pは、吸入空気量の増加に対して圧力比が減少するような複数の曲線で分割されてなる略短冊状の領域であり、低吸入空気量低圧力比側の領域aから順に消費電力は増加する。
また、領域Xには、電動過給機12の回転数の特性が示されている。この特性は、領域Xの低吸入空気量低圧力比側に回転数40000rpmの曲線が設定され、高吸入空気量高圧力比側に移るに従って回転数は増加することが示されている。
ところで、本実施の形態で使用する電動過給機12の定格電力は2kWであり、電動過給機12の消費電力が定格電力の半分の1kWを超えると、これに応じた吐出圧の上昇により、ノッキングが発生し易くなることがわかっている。図4に示すように、このノッキングを抑制するために点火時期のリタード制御を行うので、実際に得られるエンジントルクは穏やかな増加となる。また、電動過給機12の消費電力に応じてオルタネータ50による消費トルクが増加するので、実際に得られるエンジントルクはさらに抑制され、その結果、過給機12の消費電力が1kW以上の領域では過給機12の消費電力をこれ以上増加させても、正味の実トルクはほとんど増加しない。なお、ここではノッキングが起き易くなるときの電動過給機12の消費電力は1kWであるが、この値は電動過給機12の定格や特性等に応じて変更される。
そして、吸気系1、排気系2、及び循環バルブ31は、エンジン制御装置100、吸気システムコントローラ101、及び電動過給機コントローラ102により、図5に示すフローチャートに従って制御される。
まず、ステップS1で、エンジン制御装置100により、各種信号を各センサから読み込むと共に、ステップS2で、これらの信号に基いて吸入空気量を求める。具体的には、アクセル開度センサ40により検出されたエンジン負荷とエンジン回転数センサ41により検出されたエンジン回転数とに基いて吸入空気量を演算する。このとき、センサ等で吸入空気量を検出するようにしてもよい。
そして、ステップS3で、エンジン回転数がN1より大きいか否かを判定し、N1より大きいときは、運転状態は図2のマップに示す自然吸気領域に属するから、ステップS4でバイパス弁17を全開にし、ステップS5で電動過給機12の作動を停止させる。さらに、ステップS6で4気筒運転を実行し、ステップS7で循環バルブ31を閉じるように制御する。これによって、連通路30からの空気の還流が停止されると共に、エアクリーナ11から導入された空気がバイパス通路16を介して各気筒#1〜#4に供給される自然吸気が実行される。
一方、ステップS3で、エンジン回転数がN1以下のときは、ステップS8に進んでエンジン負荷がα1より大きいか否かを判定する。エンジン負荷がα1より大きいときはエンジンの運転状態が過給領域に属することになるが、このとき、さらにステップS9で、運転状態がサージング領域に属するか否かを判定する。
ステップS9でエンジンの運転状態がサージング領域に属さないときは、ステップS10に進んでバイパス弁17を閉じ、ステップS11で1kW運転制御を行う。この1kW運転制御では、図3に示した電動過給機12の消費電力に応じた領域a〜pのうち、1kWに相当する領域h上で、ステップS2で求めた吸入空気量が得られる電動過給機12の回転数を読み出し、過給機12の回転数をこの回転数に制御する。
例えばステップS2で求められた吸入空気量が2m/minのときの1kW運転制御では、図3のマップにおいて領域h上の点Zにおける電動過給機12の回転数を読み出す。点Zは、回転数が60000rpmから少し70000rpm寄りの位置にあり、補間によって62000rpmが求められる。そして、エンジン制御装置100が吸気システムコントローラ101に信号を送り、電動過給機コントローラ102を介して、過給機12がこの回転数になるように制御し、これによって消費電力が1kWで回転数が62000rpmの運転が実現される。
この1kW運転制御の後、ステップS12に進んで4気筒運転を実行し、ステップS13で循環バルブ31を閉じるように制御する。
一方、ステップS9で、エンジンの運転状態がサージング領域に属するときは、ステップS14に進んでバイパス弁17を半開に制御し、ステップS15で前述の1kW運転制御を行い、ステップS12に進む。これによって、電動過給機12から吐出された空気の一部がバイパス通路16を逆流することになり、その結果、過給機12の下流の圧力が下がってサージングの発生が未然に回避される。
また、このように空気の一部をバイパス通路16を介して循環させるので、実際に吸入される空気量が要求されたものより少なくなる。これに対して、バイパス通路16を循環する空気量をβとすると、1kW運転制御の際には空気量βを補うために、β相当分増大された吸入空気量が要求されたものとして図3のマップを適用することになる。例えばステップS1で演算された吸入空気量が2m/minのときは、循環させる空気量βを加えた2+βm/minを吸入空気量の値として、この吸入空気量に対応する領域h上の点Z′の回転数(約58000rpm)を読み出すことになる。
ところで、前記ステップS8でエンジン負荷がα1以下であると判定されたときは、運転状態が予回転領域(予圧領域)に属するから、ステップS16〜S22で予圧制御を行う。まず、ステップS16でバイパス弁17をほぼ閉じるように制御し、ステップS17で電動過給機12の回転数を予め設定された予圧制御用の回転数に制御する。なお、予圧制御用の電動過給機12の回転数は、例えば過給領域における回転数よりも低くなるように設定され、得られる過給圧も低くなる。
次に、ステップS18で、吸気温度センサ42により検出された吸気温度がT1より大きいか否かを判定する。ここで吸気温度がT1より大きいときは、ステップS19で減筒運転を実行する。この減筒運転では、第1、第4気筒#1,#4への燃料供給を停止させるように、燃料噴射弁44a,44dが制御される。このとき、減筒により出力に寄与する気筒数が減少するため、エンジンの出力が低下することになるが、スロットルバルブ13の開度を増大するようにして、各気筒#1〜#4への導入空気量を増大させ、これにより燃焼気筒#2,#3の出力を増大させて、エンジン全体としての出力の低下を回避している。さらに、ステップS20で、循環バルブ31を開くように制御する。
このような減筒運転によって、第1、第4気筒#1,#4から排出された新気は、独立排気通路21a,21d介して第1合流通路22aに至り、さらに連通路を通って電動過給機12上流の吸気通路10に還流されることになる。
一方、ステップS18で、吸気温度がT1以下のときは、ステップS21に進んで4気筒運転を実行し、ステップS22で循環バルブ31を開くように制御する。
なお、上記ステップS19、20が請求項1、2に記載の発明の主旨に相当し、ステップS18〜S21が請求項3に記載の発明の主旨に相当する。
次に、本発明の第2の実施の形態として、図6のマップに示すように各運転領域が設定されている場合について説明する。このマップは、図2のマップの低負荷低回転領域に設定された予回転領域を予圧領域から回転領域に変更したものである。
この予回転領域で行われる回転制御は、バイパス弁17を開いた状態で電動過給機12を作動させ、空気をバイパス通路16を介して循環させて、運転状態が過給領域に移行したときの過給圧の応答性を向上させる。なお、この回転領域では、バイパス弁17が開いた状態とされるため、予圧は行われない状態となるが、電動過給機12の直下流における過給圧は、過給領域における過給圧よりも小さくなるように設定されている。
そして、この実施の形態では、図7に示すフローチャートに従って制御されることになる。なお、このフローチャートにおいて、ステップS31〜S45は前記第1の実施の形態における図5に示したフローチャートのステップS1〜S15、ステップS48〜S52は同じくステップS18〜S22と同様の制御であるので、これらの説明は省略し、ここでは回転制御に係るステップS46、S47についてのみ説明する。
即ち、エンジンの運転状態が予回転領域に属すると判定された後、ステップS46で、バイパス弁を全開に制御し、ステップS47で、電動過給機12の回転数を回転制御用の回転数に制御する。
以上のように、予回転制御中に、第1、第4気筒#1,#4への燃料供給が停止されるので、該気筒#1,#4からは、新気が排出されることになる。そして、この新気が電動過給機12の上流の吸気通路10に還流される。
その場合に、前記第1、第4気筒に#1,#4吸入された空気は、圧縮工程で昇温した際に、燃焼室回りの冷却水に熱が吸収されると共に、その後の膨張行程でさらに温度が低下するので、吸入したときの温度(大気温度)よりも低くなる。そして、この低温の空気が電動過給機12の上流の吸気通路10に還流されるので、予回転制御中に、吸気系1全体として吸気温度が低下され、或いは上昇が抑制されることになり、これによりノッキングの発生が防止される。
また、減筒運転時は、スロットルバルブ13の開度を増大させるので、各気筒#1〜#4への導入空気量が増大し、第2、第3気筒#2,#3(燃焼気筒)の出力が増大する。その結果、減筒したにも拘らず、エンジン全体としての出力の低下が回避される。
なお、このとき、スロットルバルブ13の開度を増大させたことによって、ポンピングロスが低減して燃費が改善される。例えば、排気量2リッターのガソリンエンジンで、予回転を2500回転以下で行い、かつ電動過給機12の定格電力を2kW、オルタネータ50の定格電力を2kWとした場合の予回転制御中、電動過給機12による消費電力をオルタネータ50の発電により回収するために8%前後の燃費の低下を免れないが、これが前記ポンピングロスの低減による7〜11%の燃費改善効果により相殺され、予回転制御を行うことによる燃費の悪化が防止されることになる。
そして、吸気温度が所定値未満のときは、ノッキングが起こりにくい状態であるから、減筒運転が行われずにエンジン出力の低下が回避されると共に、吸気温度が所定値以上のときは、ノッキングが起こりやすい状態であるから、前記減筒運転が行われて吸気温度の上昇が抑制され、ノッキングの発生が防止される。
本発明は、エンジンの過給装置において、エンジンの運転状態が予回転領域にあるときに、吸気温度の上昇を抑制し、ノッキングの発生を防止することを目的とする。本発明は、過給によりエンジントルクの増大を図るエンジンの過給装置の技術分野に広く好適である。
本発明の実施の形態に係るエンジンのシステム図である。 エンジンの運転領域を示すマップである。 電動過給機の特性を示すマップである。 電動過給機の消費電力に応じたエンジントルク特性を示すグラフである。 エンジンの制御に係るフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係るエンジンの運転領域を示すマップである。 同エンジンの制御に係るフローチャートである。
符号の説明
10 吸気通路
12 電動過給機
16 バイパス通路
17 バイパス弁
30 連通路
31 循環バルブ
42 吸気温度センサ
100 エンジン制御装置
101 吸気システムコントローラ
#1〜#4 気筒

Claims (3)

  1. 吸気通路に設けられた電動過給機と、吸気通路における該電動過給機の上、下流側を連通させるバイパス通路と、該バイパス通路を開閉するバイパス弁と、エンジンの運転状態が過給領域にあるときに所定の過給圧が得られるように電動過給機の回転数及びバイパス弁を制御する過給制御手段とが備えられたエンジンの過給装置であって、
    エンジンの運転状態が前記過給領域の低負荷側に設定された予回転領域にあるか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段によりエンジンの運転状態が予回転領域にあると判定されたときに、運転状態が過給領域にある場合より低い過給圧となるように電動過給機の回転数及びバイパス弁を制御する予回転制御手段と、
    該予回転制御手段による予回転制御中、特定気筒に対する燃料供給を停止させる減筒運転手段と、
    該減筒運転手段による減筒運転中、燃料供給が停止された気筒から排出された新気を電動過給機上流の吸気通路に還流させる還流手段とを有することを特徴とするエンジンの過給装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの過給装置において、
    前記減筒運転手段による減筒運転時は、スロットル開度を増大補正するスロットル開度補正手段を有することを特徴とするエンジンの過給装置。
  3. 請求項1に記載のエンジンの過給装置において、
    電動過給機下流の吸気温度を検出する吸気温度検出手段を有し、
    該吸気温度検出手段により検出された吸気温度が所定値以上のときのみ前記減筒運転手段及び還流手段を作動させることを特徴とするエンジンの過給装置。
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