JP2007186689A - 低分子量ヒアルロン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便且つ低コストで収率が高く、またヒアルロン酸の着色も生じず、工業的な大量生産にも好適な低分子量化ヒアルロン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒアルロン酸粉末を、塩析剤を含み且つヒアルロン酸粉末を溶解しない含水液媒体中に分散させた状態で、アルカリあるいは酸により加水分解して低分子量化する。前記含水液媒体は、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒と、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸とを含む一液相であることが好適であり、前記有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも一つであることが好適である。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒアルロン酸粉末を、塩析剤を含み且つヒアルロン酸粉末を溶解しない含水液媒体中に分散させた状態で、アルカリあるいは酸により加水分解して低分子量化する。前記含水液媒体は、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒と、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸とを含む一液相であることが好適であり、前記有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも一つであることが好適である。
【選択図】 なし
Description
本発明は低分子量ヒアルロン酸の製造方法、特に簡便で時間的、コスト的に有利であり、着色も生じない低分子量ヒアルロン酸の製造方法に関する。
ヒアルロン酸は、化粧料、医薬品、食品などの分野において用いられており、その低分子量化技術としてはアルカリあるいは酸を用いて加水分解することが知られている(特許文献1〜2)。従来の方法は、ヒアルロン酸水溶液をアルカリあるいは酸で処理して低分子量化するものである。
しかしながら、ヒアルロン酸は分子量が非常に大きく、水に溶解した場合には低濃度でも水溶液の粘弾性が非常に大きくなるため、工業的規模で水に溶解するには非常に時間と手間がかかり、また、ヒアルロン酸水溶液の濃度を高くできないという問題があった。また、ヒアルロン酸水溶液をアルカリや酸で処理して低分子量化した後は、CPCなどのカウンターイオンやアルコールを用いて水溶液から低分子量化ヒアルロン酸を沈殿させる必要があるため、工程が煩雑となり、収率も低く、コスト面でも不利であった。さらに、ヒアルロン酸水溶液をアルカリや酸で処理した場合にはヒアルロン酸が劣化して褐変することがあった。
特開昭63−57602号公報
特開平1−266102号公報
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、より簡便且つ低コストで収率が高く、またヒアルロン酸の着色も生じず、工業的な大量生産にも好適な低分子量化ヒアルロン酸の製造方法を提供することにある。
前記課題を達成するために本発明者ら鋭意検討を行った結果、塩析剤を用いてヒアルロン酸粉末を溶解させずに、含水液媒体中に粉末のまま分散させた状態でアルカリあるいは酸を用いて加水分解することにより、低分子量化することができ、しかも着色も生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる低分子量化ヒアルロン酸の製造方法は、ヒアルロン酸粉末を、塩析剤を含み且つヒアルロン酸粉末を溶解しない含水液媒体中に分散させた状態で、アルカリあるいは酸により加水分解して低分子量化することを特徴とする。
本発明の方法において、前記含水液媒体が、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒と、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸と、を含む一液相であることが好適である。
また、本発明の方法において、前記有機溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも一つであることが好適である。
本発明の方法において、前記含水液媒体が、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒と、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸と、を含む一液相であることが好適である。
また、本発明の方法において、前記有機溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも一つであることが好適である。
本発明の方法によれば、塩析剤を添加した含水液媒体中にヒアルロン酸粉末を溶解させずに粉末のまま分散させた状態で低分子量化するため、従来のヒアルロン酸水溶液を用いた低分子量化方法におけるヒアルロン酸溶解工程及び沈殿工程を省略することができ、収率も高く、時間的、コスト的に非常に有利である。特に、塩析剤の使用により、水を多量に使用しても分散状態を維持でき、環境適合性や製造コストの点でも優れる。また、本発明の方法によれば低分子量ヒアルロン酸の着色も生じない。
本発明の方法は、ヒアルロン酸粉末を塩析剤を添加した含水液媒体中に溶解させずに粉末のまま分散させた状態でアルカリあるいは酸により加水分解して低分子量化するものである。加水分解後は、固液分離して得られた粉末を洗浄、乾燥すれば低分子量化されたヒアルロン酸粉末が得られる。
ヒアルロン酸は、鶏冠のトサカなどの生体組織からの抽出、あるいは微生物を用いた培養などにより工業的に生産されており、その塩(ナトリウム塩など)も市販されている。本発明においては、含水液媒体中で溶解せずに粉末状態で分散し得る限りにおいてヒアルロン酸あるいはその塩を用いることができる。本発明においては、これをヒアルロン酸粉末という。
ヒアルロン酸粉末を分散させて低分子量化処理を行う含水液媒体としては、ヒアルロン酸粉末を溶解せず、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸と、を含む一液相からなる液媒体を用いる。具体的には、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒を主体とし、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸と、を含む液媒体を用いることができる。
なお、本発明においてヒアルロン酸粉末を溶解しないとは、ヒアルロン酸粉末の溶解度が0.1g/L(25℃)以下であることを意味するものとする。
なお、本発明においてヒアルロン酸粉末を溶解しないとは、ヒアルロン酸粉末の溶解度が0.1g/L(25℃)以下であることを意味するものとする。
ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられるが、コストや使用性、安全性等を考慮すれば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが好適である。
液媒体には、ヒアルロン酸粉末を加水分解して低分子量化するための水を含む。また、水は、後述するアルカリや酸を液媒体中に均一に溶解する役割も果たす。ただし、水の量が多すぎると液媒体中にヒアルロン酸粉末が溶解し、系が増粘したり処理中にヒアルロン酸が劣化することがあるので好ましくない。また、水が有機溶媒に溶解せずに分離して2液相となった場合には効率が悪く、また、水相にヒアルロン酸粉末が溶解してしまい、系が増粘したりヒアルロン酸の劣化を招くこともある。
よって、含水液媒体中の水の含有量の上限は、ヒアルロン酸粉末が溶解せず、且つ含水液媒体が一液相となる量とすることができる。有機溶媒としてメタノールやエタノール、プロパノール、イソプロパノールなどヒアルロン酸粉末が溶解しないものを用いることが重要である。
本発明においては、塩析剤を用いることにより、含水液媒体中の水含有量を多くしても、ヒアルロン酸粉末の含水液媒体への溶解を防ぎ、ヒアルロン酸の劣化を抑制することができる。このような塩析剤としては、含水液媒体に溶解することによってヒアルロン酸粉末あるいはその低分子量化物の水への溶解を抑制できるものであれば特に制限されない。例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの電解質が挙げられる。
本発明においては、塩析剤を用いることにより、含水液媒体中の水含有量を多くしても、ヒアルロン酸粉末の含水液媒体への溶解を防ぎ、ヒアルロン酸の劣化を抑制することができる。このような塩析剤としては、含水液媒体に溶解することによってヒアルロン酸粉末あるいはその低分子量化物の水への溶解を抑制できるものであれば特に制限されない。例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの電解質が挙げられる。
例えば、エタノールを用いても、含水液媒体中における水の含有量が多いとヒアルロン酸粉末が溶解・膨潤し、液媒体中において粉末状態で攪拌することが困難となるなど操作性が著しく低下する場合がある。加熱や低分子量化による溶解度上昇も考慮すれば、塩析剤を用いなければ、含水液媒体中における水の含有量を10容量%以下とすることが好適であるが、酢酸ナトリウム等の塩析剤を含水液媒体中1.0w/v%以上含有する場合には、水の含有量は30容量%程度まで増量しても問題ない。同様に、メタノールを用いても、25℃においては塩析剤を用いなければ、含水液媒体中における水の含有量を20容量%以上とすることは困難であるが、酢酸ナトリウム等の塩析剤を含水液媒体中10w/v%以上含有する場合には、水の含有量は50容量%程度まで増量しても問題ない。
従って、塩析剤の使用により水使用量を増大でき、有機溶媒の使用量の低減が可能であるので、製造コストの点で非常に有利である。また、近年はグリーンケミストリーの観点から有機溶媒使用量の低減が強く望まれているところであり、この点においても優れている。
従って、塩析剤の使用により水使用量を増大でき、有機溶媒の使用量の低減が可能であるので、製造コストの点で非常に有利である。また、近年はグリーンケミストリーの観点から有機溶媒使用量の低減が強く望まれているところであり、この点においても優れている。
このように、本発明においては、含水液媒体や塩析剤などにもよるが、含水液媒体中における水の含有量を10容量%以上、さらには20容量%以上とすることができる。
塩析剤は、含水液媒体中0.5w/v%以上、さらには1.0w/v%以上配合することが好適である。少なすぎると塩析剤の効果が充分に発揮されない。塩析剤は含水液媒体に対する飽和溶解度以下の濃度で使用可能であるが、多量に用いた場合には低分子量化ヒアルロン酸からの除去に時間がかかる場合がある。よって、塩析剤は含水液媒体中において20w/v%以下、さらには10w/v%以下とすることが好適である。
塩析剤は、含水液媒体中0.5w/v%以上、さらには1.0w/v%以上配合することが好適である。少なすぎると塩析剤の効果が充分に発揮されない。塩析剤は含水液媒体に対する飽和溶解度以下の濃度で使用可能であるが、多量に用いた場合には低分子量化ヒアルロン酸からの除去に時間がかかる場合がある。よって、塩析剤は含水液媒体中において20w/v%以下、さらには10w/v%以下とすることが好適である。
含水液媒体には、ヒアルロン酸の加水分解を速やかに進行させる触媒としてアルカリあるいは酸を溶解させる。アルカリや酸としては特に限定されず、従来からヒアルロン酸の低分子量化に使用されているものを用いることができる。例えば、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等が挙げられる。
含水液媒体中におけるアルカリあるいは酸の濃度は、0.01〜2N、好ましくは0.03〜0.5Nである。濃度が小さすぎると加水分解がほとんど進行せず時間がかかりすぎる。一方、濃度を過剰に高くしてもそれに見合った効果は期待できず、かえって好ましくない反応を引き起こす懸念がある。
これらのアルカリや酸は含水液媒体に均一に溶解していることが好ましい。分離している場合には効果が十分に発揮されないことがある。また、加水分解後のアルカリや酸の除去が煩雑になる。
これらのアルカリや酸は含水液媒体に均一に溶解していることが好ましい。分離している場合には効果が十分に発揮されないことがある。また、加水分解後のアルカリや酸の除去が煩雑になる。
本発明においては、ヒアルロン酸粉末が含水液媒体中で溶解せずに分散状態を維持する限りにおいて、ヒアルロン酸粉末、水、塩析剤、有機溶媒、アルカリあるいは酸の配合順序は制限されない。例えば、塩析剤、水及び有機溶媒を含む含水液媒体にヒアルロン酸粉末を分散してからアルカリあるいは酸(水溶液でもよい)を添加して、加水分解を行うことができる。あるいは含水液媒体中にアルカリあるいは酸を予め配合しておき、これにヒアルロン酸粉末を添加、分散して加水分解を行うこともできるが、これらに限定されるものではない。また、ヒアルロン酸粉末は予め有機溶媒に分散させて添加することもできる。
本発明においては、加水分解反応を速やかに進行させて反応時間を短縮するために加熱してもよい。反応温度としては、20〜100℃とすることができるが、好ましくは20〜85℃、さらには25〜50℃である。なお、加熱によりヒアルロン酸粉末ならびに低分子量化したヒアルロン酸粉末が含水液媒体中に溶解しないように留意する。
加水分解後は、遠心分離や濾過など公知の方法により固液分離し、得られた粉末を常法により洗浄、乾燥することにより、低分子量化されたヒアルロン酸粉末を得ることができる。
加水分解後は、遠心分離や濾過など公知の方法により固液分離し、得られた粉末を常法により洗浄、乾燥することにより、低分子量化されたヒアルロン酸粉末を得ることができる。
従来のヒアルロン酸水溶液を加水分解する方法では、ヒアルロン酸が低濃度でも非常に高粘度となるため、水溶液の調製が非常に困難である。このため、処理に使用されるヒアルロン酸水溶液の濃度は通常1w/v%以下である。
これに対して、本発明の方法では、ヒアルロン酸粉末を溶解させずに粉末状態のまま液媒体中に分散させるので、水を多量に用いたとしても液相の増粘が起こらない。分散液は、マグネティックスターラーや攪拌棒、振盪機などによる攪拌も非常に容易である。また、反応中においても液相の増粘は生じない。従って、高濃度のヒアルロン酸分散液を処理可能である。本発明においては、分散液中のヒアルロン酸粉末濃度は特に反応に支障のない限り制限されず、50w/v%の高濃度でも処理可能であるが、通常0.1〜30w/v%、好ましくは1〜25w/v%、さらに好ましくは2〜20w/v%である。
これに対して、本発明の方法では、ヒアルロン酸粉末を溶解させずに粉末状態のまま液媒体中に分散させるので、水を多量に用いたとしても液相の増粘が起こらない。分散液は、マグネティックスターラーや攪拌棒、振盪機などによる攪拌も非常に容易である。また、反応中においても液相の増粘は生じない。従って、高濃度のヒアルロン酸分散液を処理可能である。本発明においては、分散液中のヒアルロン酸粉末濃度は特に反応に支障のない限り制限されず、50w/v%の高濃度でも処理可能であるが、通常0.1〜30w/v%、好ましくは1〜25w/v%、さらに好ましくは2〜20w/v%である。
また、本発明の方法によれば、従来非常に時間のかかっていたヒアルロン酸の溶解工程が不要である。また、加水分解処理後も低分子量化ヒアルロン酸が溶解せずに粉末のままであるので、従来のヒアルロン酸水溶液を用いた方法のようにCPCなどのカウンターイオンやアルコールで低分子量化ヒアルロン酸を沈殿させる必要がない。また、収率も95%以上と非常に高く、着色も生じない。従って、本発明の方法によれば、従来法に比べて非常に効率がよく、製造時間やコストを大幅に低減できる。
本発明の方法においては、反応温度、反応時間、用いる原料の種類や濃度等により種々の分子量の低分子量ヒアルロン酸を得ることができる。よって、所望の分子量に応じてこれらを適宜決定すればよい。
以下、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1 アルカリ処理
粉末状のヒアルロン酸(平均分子量158万)を、メタノール:水=4:1(容量比)混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを1.5w/v%含む)に0.1w/v%になるように分散した。この分散液に水酸化ナトリウムを最終濃度が0.2Nまたは0.5Nとなるように溶解した。
このヒアルロン酸粉末分散液を45℃または25℃で、4時間あるいは24時間攪拌してアルカリ処理を行った。処理後、粉末を濾取し、メタノールで洗浄して洗浄液のpHが中性となったのを確認後、真空乾燥を行った。
粉末状のヒアルロン酸(平均分子量158万)を、メタノール:水=4:1(容量比)混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを1.5w/v%含む)に0.1w/v%になるように分散した。この分散液に水酸化ナトリウムを最終濃度が0.2Nまたは0.5Nとなるように溶解した。
このヒアルロン酸粉末分散液を45℃または25℃で、4時間あるいは24時間攪拌してアルカリ処理を行った。処理後、粉末を濾取し、メタノールで洗浄して洗浄液のpHが中性となったのを確認後、真空乾燥を行った。
乾燥後、内因性粘度を測定し、Laurentらの定数(A Biochem.Biophys. Acta42, 476−485,1960)を用いて平均分子量に換算した。
なお、対照として、水酸化ナトリウムを添加しなかった場合についても同様に処理し、評価した。
結果を表1に示す。
なお、対照として、水酸化ナトリウムを添加しなかった場合についても同様に処理し、評価した。
結果を表1に示す。
表1からわかるように、粉末状態のままでアルカリ処理することによりヒアルロン酸を低分子量化することが可能であった。また、処理中の分散液や得られた低分子量ヒアルロン酸粉末に着色は認められなかった。
処理に用いた分散液はヒアルロン酸が溶解していないために増粘しておらず、アルカリ処理中も増粘することはなかった。また、低分子量化ヒアルロン酸の収率は、原料のヒアルロン酸粉末に対して約100%であった。
処理に用いた分散液はヒアルロン酸が溶解していないために増粘しておらず、アルカリ処理中も増粘することはなかった。また、低分子量化ヒアルロン酸の収率は、原料のヒアルロン酸粉末に対して約100%であった。
試験例2 酸処理
水酸化ナトリウムを塩酸に変えた以外は試験例1と同様にして、ヒアルロン酸粉末を処理した(処理時間は24時間のみ)。結果を表2に示す。
水酸化ナトリウムを塩酸に変えた以外は試験例1と同様にして、ヒアルロン酸粉末を処理した(処理時間は24時間のみ)。結果を表2に示す。
表2からわかるように、粉末状態のままで酸処理した場合にもヒアルロン酸を低分子量化することが可能であった。また、処理中の分散液や得られた低分子量ヒアルロン酸粉末に着色は認められなかった。
処理に用いた分散液はヒアルロン酸が溶解していないために増粘しておらず、酸処理中も増粘することはなかった。また、低分子量化ヒアルロン酸の収率は、原料のヒアルロン酸粉末に対して約100%であった。
なお、酸を用いた場合にはアルカリを用いた場合に比べて低分子量化効果が弱い傾向が認められた。
処理に用いた分散液はヒアルロン酸が溶解していないために増粘しておらず、酸処理中も増粘することはなかった。また、低分子量化ヒアルロン酸の収率は、原料のヒアルロン酸粉末に対して約100%であった。
なお、酸を用いた場合にはアルカリを用いた場合に比べて低分子量化効果が弱い傾向が認められた。
試験例3 水溶液法との比較
試験例1と同様にして、ヒアルロン酸粉末をメタノール:水=4:1混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを1.5w/v%含む)に2.0w/v%になるように分散した。この分散液に水酸化ナトリウムを最終濃度が0.1Nまたは0.5Nとなるように溶解して、ヒアルロン酸粉末分散液を調製した。
一方、比較例として、ヒアルロン酸粉末を2w/v%となるように水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度0.1Nまたは0.5N)に溶解し、ヒアルロン酸水溶液を調製した。
これらヒアルロン酸粉末分散液及びヒアルロン酸水溶液を、70℃3時間、あるいは45℃24時間処理し、水溶液の外観を観察した。結果を表3に示す。
試験例1と同様にして、ヒアルロン酸粉末をメタノール:水=4:1混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを1.5w/v%含む)に2.0w/v%になるように分散した。この分散液に水酸化ナトリウムを最終濃度が0.1Nまたは0.5Nとなるように溶解して、ヒアルロン酸粉末分散液を調製した。
一方、比較例として、ヒアルロン酸粉末を2w/v%となるように水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度0.1Nまたは0.5N)に溶解し、ヒアルロン酸水溶液を調製した。
これらヒアルロン酸粉末分散液及びヒアルロン酸水溶液を、70℃3時間、あるいは45℃24時間処理し、水溶液の外観を観察した。結果を表3に示す。
表3からわかるように、ヒアルロン酸粉末を溶解した状態で処理した場合には着色が認められたが、ヒアルロン酸粉末を溶解せずに分散状態で処理した場合には着色は認められなかった。
このように、本発明の方法によれば、ヒアルロン酸の分解・変質などの劣化による品質低下を引き起こすことなく低分子量化することができる。
このように、本発明の方法によれば、ヒアルロン酸の分解・変質などの劣化による品質低下を引き起こすことなく低分子量化することができる。
試験例4 塩析剤の影響
粉末状のヒアルロン酸(平均分子量158万)を、0.2Nの水酸化ナトリウムを含むメタノール:水=3:2(容量比)混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを10w/v%含む)に2w/v%になるように分散し、45℃で4時間攪拌して加水分解した。この場合には、液相の増粘は認められなかった。
これに対し、塩析剤を使用せずに同様に加水分解を試みた。この場合には、ヒアルロン酸粉末をメタノール:水混合液に分散させるとヒアルロン酸粉末が一部溶解し、液相の増粘が認められた。
粉末状のヒアルロン酸(平均分子量158万)を、0.2Nの水酸化ナトリウムを含むメタノール:水=3:2(容量比)混合液(塩析剤として酢酸ナトリウムを10w/v%含む)に2w/v%になるように分散し、45℃で4時間攪拌して加水分解した。この場合には、液相の増粘は認められなかった。
これに対し、塩析剤を使用せずに同様に加水分解を試みた。この場合には、ヒアルロン酸粉末をメタノール:水混合液に分散させるとヒアルロン酸粉末が一部溶解し、液相の増粘が認められた。
Claims (3)
- ヒアルロン酸粉末を、塩析剤を含み且つヒアルロン酸粉末を溶解しない含水液媒体中に分散させた状態で、アルカリあるいは酸により加水分解して低分子量化することを特徴とする低分子量ヒアルロン酸の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、前記含水液媒体が、ヒアルロン酸粉末を溶解せず且つ水を溶解する有機溶媒と、水と、塩析剤と、アルカリあるいは酸と、を含む一液相であることを特徴とする低分子量ヒアルロン酸の製造方法。
- 請求項1又は2記載の方法において、前記有機溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする低分子量ヒアルロン酸の製造方法。
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