JP2007186014A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の操作性を向上させること。
【解決手段】ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置は、一端がステアリングホイール21に連結され、他端が車両本体100に連結される操舵軸22と、操舵軸22に配設され、操舵軸22の操舵角を検出する操舵検出手段50と、を備えている。操舵軸22は、直列に連結された複数の剛性部材23及び摩擦部材24を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置に関する。
従来、ステアリングホイールに連結されたモータにより、操舵反力を付加するステアバイワイヤシステムを用いた車両用操舵装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−53364号公報
しかしながら、上記従来の車両用操舵装置においては、モータにより操舵反力を付与している。この為、運転者によるステアリングホイールの操舵操作に応じて、常時、モータを駆動させることから、電力消費量が増加する虞がある。また、ステアバイワイヤ式の当該装置は、操舵角センサにより検出された操舵角度に基づいて、モータにより操舵トルクを付与する。この為、操舵初期の立ち上がり特性において、操舵トルクに対して、操舵角が先行することとなる。一方、実際の操舵時においては、操舵トルクが操舵角に対して、先行する。さらに、実際の操舵時に生じるような機械的な摩擦特性を、モータによる操舵反力により、擬似的に作り込むことは困難である。このように、モータのみにより操舵反力を付加する場合、実際の操舵感と異なることから、運転者に対して違和感を与える虞がある。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両の操作性を向上させることを主たる目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
一端がステアリングホイールに連結され、他端が車両本体に連結される操舵軸と、
該操舵軸に配設され、該操舵軸の操舵角を検出する操舵検出手段と、を備える、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置であって、
前記操舵軸は、直列に連結された複数の剛性部材及び摩擦部材を有することを特徴とする車両用操舵装置である。
この一態様によれば、実際の操舵に近い、最適な操舵トルクと操舵角との特性を得ることができる為、車両の操作性を向上させることができる。
この一態様において、前記操舵検出手段は、前記複数の剛性部材及び摩擦部材間に配設されていてもよい。これにより、操舵初期の立ち上がり特性において、操舵トルクを操舵角に対して、より先行させることができる。
この一態様において、例えば、前記剛性部材は、前記操舵軸方向に延びるシャフト部材であり、前記摩擦部材は、前記シャフト部材を回転可能に支持する軸受部材であってもよい。
この一態様において、前記剛性部材は、外筒部と、該外筒部の内側に配置される内筒部と、該内筒部と前記外筒部とを連結するバネと、からなるバネ部材を更に有し、
前記シャフト部材の一端には開口部が形成され、他端には突状部が形成され、
前記開口部に前記外筒部が嵌合し、前記突状部に前記内筒部が嵌合していてもよい。これにより、操舵軸を短く構成することができる為、当該装置の小型化を図ることができる。
この一態様において、前記軸受部材は、前記シャフト部材の外周を回転可能に支持する第1軸受部材と、円筒状に形成され、一端が開口し、その内側において、前記第1軸受部材の外周を回転可能に支持する第2軸受部材と、を有していてもよい。これにより、操舵軸を短く構成することができる為、当該装置の小型化を図ることができる。
この一態様において、前記剛性部材のバネ係数を可変させるバネ定数可変手段を更に備えていてもよい。これにより、例えば、車両の挙動状態に応じて、最適な操舵感を得ることができる。
この一態様において、車両のタイヤから発生する反力を検出する反力検出手段を更に備え、
前記バネ係数可変手段は、前記反力検出手段により検出された前記反力に応じて、前記バネ係数を可変させてもよい。これにより、運転者は、ステアリングホイールを介して、車両の走行状態等のインフォメーションをタイヤから得ることができる。なお、タイヤの反力は、例えば、車両の横方向の加速度、上下方向の加速度、タイヤスリップ角度等に基づいて、検出される。
この一態様において、車速を検出する車速検出手段を更に備え、
前記バネ係数可変手段は、前記車速検出手段により検出された前記車速に応じて、前記バネ係数を可変させてもよい。これにより、車速に応じて、安定した操舵感を得ることができる。
この一態様において、ユーザ操作可能なモードスイッチを更に備え、
前記バネ係数可変手段は、モードスイッチの操作位置に応じて、前記バネ係数を可変させてもよい。これにより、運転者の好みに応じた操舵感を得ることができる。
この一態様において、車両の現在位置を検出する位置検出手段を更に備え、
前記バネ係数可変手段は、前記位置検出手段により検出された前記車両の現在位置に応じて、前記バネ係数を可変させてもよい。これにより、例えば、車両の走行する道路形態に応じて、最適な操舵感を設定することができる。
この一態様において、前記摩擦部材の摩擦係数を可変させる摩擦係数可変手段を更に備えていてもよい。これにより、例えば、車両の挙動状態に応じて、最適な操舵感を得ることができる。
本発明によれば、車両の操作性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施の形態を挙げて説明する。なお、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置の基本概念、主要なハードウェア構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については当業者には既知であるため、詳しい説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
本実施の形態に係る車両用操舵装置1において、運転者によって操作される操舵操作装置20と、左右前輪31を運転者の操作により転舵させる転舵装置30と、を機械的に分離したステアバイワイヤ式が採用されている。
操舵操作装置20は、運転者によって回転操作される操作部としてのステアリングホイール21と、一端がステアリングホイール21に連結され、他端が車両本体100に回転可能に取付られる操舵軸22と、を有している。
ところで、ステアバイワイヤ式を用いた車両用操舵装置1において、上述の如く、運転者によって操作される操舵操作装置20と、左右前輪31を運転者の操作により転舵させる転舵装置30と、が機械的に分離している。したがって、操舵時に、擬似的ではあるが適度な操舵反力が操舵軸22に付与されることで、恰も操舵操作装置20と転舵装置30とが機械的に結合しているような(実際の操舵時のような)、操舵感を与えている。これにより、運転者は適度な操舵の手応えを得ることができる。
一方で、従来のステアバイワイヤ式による操舵装置において、ステアリングホイールの操舵操作(操舵入力)に応じて、反力モータのみにより、操舵軸に操舵反力が付加されている。
この場合、操舵初期の立ち上がり特性において、操舵トルクに対して、操舵角が先行することとなる。一方、実際の操舵時においては、操舵トルクが操舵角に対して、先行する。さらに、実際の操舵時に生じるような機械的な摩擦特性を、反力モータによる操舵反力により、擬似的に作り込むことは困難である。このように、反力モータのみにより操舵反力を付加する場合、実際の操舵感と異なることから、運転者に対して違和感を与える虞がある。
そこで、本実施の形態に係る車両用操舵装置1において、操舵軸22は、複数の剛性部材23及び摩擦部材24を有している。これにより、操舵トルクと操舵角度との関係、操舵トルクとヨー角速度との関係等の操舵特性において、適度なヒステリシスをもたせることができる。
また、操舵角と操舵トルクとが略比例するような関数となる、操舵トルクに対する操舵角の特性を作ることができる。さらに、実際の操舵時に生じるような機械的な摩擦特性をつくることができる。なお、複数の剛性部材23及び摩擦部材24間に、操舵軸22の操舵角度を検出する操舵角センサ50が取り付けられている。これにより、操舵角センサ50は、ステアリングホイール21から入力される操舵トルクに対して、適度に遅れた回転角を検出する為、実際の舵角を操舵トルクに対して、適度に遅らせることができる。したがって、操舵初期の立ち上がり特性において、実際の操舵時のように、操舵トルクを操舵角に対して、先行させる特性を作ることができる。すなわち、実際の操舵時のような、操舵感を与えることができ、操作性を向上させることができる。
次に、上記操舵特性を実現する具体的な方法について説明する。
操舵軸22は、直列に連結された複数の剛性部材23及び摩擦部材24を有している。例えば、操舵軸22は、3組の剛性部材23及び摩擦部材24により構成されている(図2)。ここで、各剛性部材23のバネ係数を、夫々、k、k、kとし、各摩擦部材24の摩擦係数を、夫々、f、f、fとする。なお、これら剛性部材23及び摩擦部材24は、交互に連結されているが、連結される順は任意でよい。また、接続される剛性部材23及び摩擦部材24の数は任意でよく、各々のバネ係数k及び摩擦係数fも任意の値に設定することができる。
剛性部材23には、例えば、鉄合金等の金属からなるシャフトが用いられている(図3)。シャフト23の一端には縮径部23aが形成され、他端には他のシャフト23の縮径部23aが嵌合する凹部23bが形成されている。一方のシャフト23の縮径部23aと他方のシャフト23の凹部23bが嵌合し、3つのシャフト23が相互に連結される。なお、剛性部材23における捻り方向(シャフトの回転方向)のバネ係数kは、シャフト23の径、材質、形状等により、設定される。
また、摩擦部材24は、例えば、筒状のハウジング24aと、ハウジング24a内に固定される一対のベアリング(例えば、ボールベアリング、ローラーベアリング等)24bと、から構成されている。1組の剛性部材23及び摩擦部材24は、剛性部材23であるシャフト23が摩擦部材24のベアリング24bにより回転可能に支持されて、構成されている。また、摩擦部材24の摩擦係数fは、ベアリング24bの与圧により設定される。すなわち、シャフト23が回転する際に生じるベアリング24b内に発生する摩擦力は、ベアリング24bの与圧を調整することで設定される。これにより、摩擦部材24の摩擦係数fが設定される。
上述したように、3つのシャフト23は車両上下方向に相互に嵌合されて、3組の剛性部材23及び摩擦部材24が連結されている。
3組の剛性部材23及び摩擦部材24間には、操舵角センサ50が取り付けられている。操舵角センサ50は、剛性部材23及び摩擦部材24間において、例えば、ステアリングホイール21が取り付けられる反対側(車両本体側)の剛性部材23に取り付けられている。したがって、操舵軸22に操舵トルクが掛かり、操舵軸22が捩れることで、操舵角センサ50は、ステアリングホイール21から入力される操舵トルクに対して、適度に遅れた回転角を検出する。これにより、操舵トルクを操舵角に対して、先行させる特性を作ることができる。なお、操舵角センサ50の取り付け位置を、ステアリングホイール21側から車両本体側にするにしたがって、操舵角センサ50は、入力される操舵トルクに対して、より遅れた回転角を検出する為、操舵トルクを操舵角に対して、より先行させることができる。
以上、述べたように、剛性部材23のバネ係数k、摩擦部材24の摩擦係数f、連結される剛性部材23及び摩擦部材24の数、操舵角センサ50の取り付け位置を調整することにより、例えば、図4(a)に示す如く、操舵トルクと操舵角度との操舵特性において、適度なヒステリシスをもたせることができる。また、図4(b)に示す如く、操舵角と操舵トルクとが略比例するような関数となるような、操舵初期における最適な立ち上がり特性を作ることができる。
転舵装置30は、車両幅方向に延びて配置された転舵軸32を有している(図1)。この転舵軸32の両端部には、タイロッド33およびナックルアーム34を介して、転舵輪としての左右前輪31が転舵可能に連結されている。
左右前輪31は、転舵軸32の軸線方向の変位により左右に転舵される。転舵軸32の外周上には、図示しないハウジングに組み付けられた電動モータ等のアクチュエータ51が配設されている。電動モータ51の回転は、夫々ねじ送り機構により減速されるとともに転舵軸32の軸線方向の変位に変換される。したがって、電動モータ51の駆動により転舵軸32はその軸線方向へ変位し、左右前輪31が転舵する。
電動モータ51には、後述する各種のセンサからの信号に基づいて、電動モータ51の制御を行うEPS−ECU(Electronic Control Unit、電子式パワーステアリング電子制御装置)52が接続されている。
なお、EPS−ECU52は、マイクロコンピュータから構成されており、制御、演算プログラムに従って各種処理を実行するとともに、当該装置の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)、CPUの実行プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、演算結果等を格納する読書き可能なRAM(Random Access Memory)、タイマ、カウンタ、入出力インターフェイス(I/O)等を有している。
EPS−ECU52には、上述の操舵角センサ50と、左右前輪31の転舵角度を検出する転舵角センサ53とが接続されている。EPS−ECU52は、例えば、操舵角センサ50により検出された操舵角度と、転舵角センサ53により検出された転舵角度と、基づいて、電動モータ51を制御し、左右前輪31を転舵させる。
以上、第1の実施の形態に係る車両用操舵装置1において、操舵軸22は、複数組の剛性部材23及び摩擦部材24を有している。これにより、操舵トルクと操舵角度との関係、操舵トルクとヨー角速度との関係等の操舵特性において、適度なヒステリシスをもたせることができる。また、操舵角と操舵トルクとが略比例するような関数となるように、操舵トルクに対する操舵角の特性を作ることができる。さらに、複数の剛性部材23及び摩擦部材24間に、操舵軸22の操舵角度を検出する操舵角センサ50が取り付けられている。これにより、操舵角センサ50は、ステアリングホイール21から入力される操舵トルクに対して、適度に遅れた回転角を検出する為、実際の舵角を操舵トルクに対して、適度に遅らせることができる。したがって、操舵初期の立ち上がり特性において、実際の操舵時のように、操舵トルクを操舵角に対して、先行させる特性を作ることができる。すなわち、実際の操舵時のような、操舵感を与えることができ、車両の操作性を向上させることができる。なお、従来のように、反力モータを用いて操舵反力を付加しないことから、反力モータによる電力消費量を削減することができ、車両の電力消費量を抑制することができる。
次に、第1の実施の形態の変形例について説明する。
例えば、上記実施の形態において、複数の剛性部材23及び摩擦部材24を有する操舵軸22に、操舵軸22に操舵反力を付加する反力モータ54が連結されていてもよい(図5)。反力モータ54は、EPS−ECU52に接続されており、EPS−ECU52からの制御信号により制御されている。
剛性部材23及び摩擦部材24により設定される操舵軸22の操舵反力に対して、反力モータ54による反力を付加することで、より最適な操舵特性を実現することができる。例えば、初期設計時の剛性部材23のバネ係数k、摩擦部材24の摩擦係数fが夫々変化した場合に、反力モータ54の操舵反力により補正を行うようにしてもよい。なお、この場合は、反力モータ54により電力消費がなされるが、従来の反力モータのみにより操舵反力を付加した構成と比較して、電力消費量を抑制することができる。
上記実施の形態において、操舵軸42の剛性部材(シャフト)43は、円筒状に形成された外筒部43aと、外筒部43aの内側で、略中央に配置される内筒部43bと、内筒部43bと外筒部43aとを接続する複数(例えば、4つ)のバネ43cと、からなる金属製等のバネ部材43dを更に有していてもよい(図6(a))。
また、シャフト43は、一端に開口部43eが形成され、他端に突状部43fが形成されている(図6(b))。シャフト43の開口部43eには、バネ部材43dの外筒部43aが嵌合し、突状部43fには内筒部43bが嵌合している。また、シャフト43の外周には、摩擦部材であるベアリング44が嵌合している。以上のようにして複数の剛性部材43及び摩擦部材44は相互に連結されている。これにより、操舵軸42を当該軸方向に短くすることができる為、車両用操舵装置1の小型化を図ることができる。
上記実施の形態において、操舵軸62は、シャフト(剛性部材)63の外周を回転可能に支持する第1軸受部材64と、円筒状に形成され、一端が開口し、その内側において、第1軸受部材64の外周を回転可能に支持する第2軸受部材65と、を有していてもよい(図7)。
操舵軸62は、一端にステアリングホイール21が連結され、他端に操舵軸方向に凹状をなす凹部63aが形成された、操舵軸方向へ延びるシャフト63を有している。第1軸受部材64は、シャフト63の外周を回転可能に支持する一対のベアリング64aと、ベアリング64aの外周に嵌合する筒状の第1筒状部64bと、を有している。
第2軸受部65は、第1筒状部64bを回転可能に支持する1つのベアリング65aと、ステアリングホイール21側に開口する略円筒状に形成され、内側かつ底部に凸状部65bが形成された第2内筒部65cと、を有している。
第2内筒部65cの凸状部65bには、シャフト63の凹部63aが嵌合している。また、第2内筒部65cの外側に配置され、外側かつ底部に操舵軸方向に延びる軸部65dが形成された略円筒状の第2外筒部65eが、第2内筒部65cの開口縁に接続されている。
第2外筒部65cの軸部65dは、車両本体に支持されたベアリング66により、回転可能に支持されている。なお、第2内筒部65cと第2外筒部65eとは、一体で形成されていてもよい。以上のように構成されることで、操舵軸62を当該軸方向に短くすることができる為、車両用操舵装置1の小型化を図ることができる。
(第2の実施の形態)
図8(a)は、第2の実施の形態に係る車両用操舵装置2の操舵軸25を模式的に示す図である。
図8(a)に示す如く、操舵軸25において、複数の剛性部材23のうち少なくとも1つの剛性部材26のバネ係数kを可変させるようにしてもよい。
例えば、操舵軸25は、一端がステアリングホイール21に連結されたバネ係数がkとなる剛性部材23を有している。この剛性部材23の他端には、摩擦係数がfとなる摩擦部材24の一端が連結され、この摩擦部材24の他端には、バネ係数がkとなる剛性部材23の一端が連結されている。剛性部材23の他端には、摩擦係数fとなる摩擦部材24の一端が連結され、この摩擦部材24の他端には、バネ係数kが可変する可変式剛性部材26の一端が連結されている。
可変式剛性部材26の他端は、車両本体100に固定されている。可変式剛性部材26のバネ係数kを調整し、操舵トルクと操舵角をの関係を最適な状態に設定することで、上述の如く、操舵初期における最適な立ち上がり特性を作ることができる(図8(b))。
図9は、本実施の形態に係る操舵軸25の可変式剛性部材26の一例を示す図である。図9に示す如く、可変式剛性部材26は、一端が車両本体100に固定され、車両上下方向に延びる軸部材26aを有している。
軸部材26aの外周には、当該軸部材26aに沿って、延びるセレーション(凹凸状部)26bが複数形成されている。軸部材26aには、円環状に形成され、その内周がセレーション26bに嵌合する円環状部材26cが車両上下方向に摺動可能に連結されている。円環状部材26cは電動モータ等のアクチュエータ26dを内蔵しており、このアクチュエータ26dにより円環状部材26cは軸部材26aのセレーション26bに沿って、車両上下方向へ移動する。
円環状部材26cの外周には、当該部材26cを車両上下方向へガイドし、回転方向への動作を規制するガイド部材26eが連結されている。ガイド部材26eの下端部は、車両本体100に固定されている。
ガイド部材26e及び円環状部材26cにより、軸部材26aの捩れが規制される。例えば、円環状部材26cが車両下方へ移動し、捩れが生じるトーション部の長さL1が増加した場合に、可変式剛性部材26のバネ係数kは、減少する。
一方、円環状部材26cが車両上方へ移動し、トーション部の長さL1が減少した場合に、可変式剛性部材26のバネ係数kは、増加する。円環状部材26cのアクチュエータ26dは、EPS−ECU52に接続されている。EPS−ECU52は、アクチュエータ26dに制御信号を送信することで、円環状部材26cを車両上方又は下方に移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。
第2の実施の形態に係る車両用操舵装置2において、操舵軸25において、複数の剛性部材23のうち少なくとも1つの可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。これにより、車両の走行状態に応じて、例えば、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させることで、ステアリングホイール21に対して、走行状態に応じた最適な手応えを与えることができる。
次に、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させることで、走行状態に応じた最適な手応えを与える方法について説明する。図10は、第2の実施の形態に係る車両用操舵装置2のシステム構成の一例を示すブロック図である。
EPS−ECU52には、車速を検出する車速センサ53が接続されていてもよい。EPS−ECU52は、例えば、車速センサ53により検出された車速に応じて、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。具体的には、EPS−ECU52は、車速センサ53により検出された車速が増加すると、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを車両上方へ移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを増加させる。これにより、車速の増加に伴い、操舵時の手応えが増し、運転者に安心感を与えることができる。
また、EPS−ECU52には、車両横方向の横加速度を検出する横加速度センサ54が接続されていてもよい。EPS−ECU52は、例えば、横加速度センサ54により検出された横加速度に応じて、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。具体的には、EPS−ECU52は、横加速度センサ54により検出された横加速度が増加すると、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを車両上方へ移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを増加させる。これにより、例えば、車両旋回時に車両の横加速度が増加した際、運転者はステアリングホイール21の手応えを感じることで、タイヤのグリップ状態を適切に感じることができ、安心して車両の旋回操作を行うことができる。
さらに、EPS−ECU52は、タイヤスリップ角度に応じて、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させてもよい。ここで、タイヤスリップ角度とは、タイヤの中心線(タイヤを上方から見たときの中心線)と車両の進行方向との成す角度を指す。また、EPS−ECU52は、例えば、ヨーレートセンサにより検出された車両のヨーレートと、転舵角センサ53により検出された転舵角度と、に基づいて、タイヤスリップ角度を算出する。また、EPS−ECU52は、車両の横滑り等を制御するVSC(Vehicle Stability Control)−ECUにおいて算出されたタイヤスリップ角度を取得してもよい。なお、VSCについては、周知の技術であることから、詳細な説明は省略する。
例えば、EPS−ECU52は、タイヤスリップ角度が所定値以上(6deg以上)となると、タイヤスリップ角度の増加量に比例して、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを車両下方へ移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを減少させる。なお、所定値は、例えば、タイヤ特性、車両重量等に基づいて、適切な値が設定される。
車両操舵時において、タイヤスリップ角度に応じて、コーナリングフォースが発生し、それに伴い、セルフアライニングトルクが発生する。ここで、セルフアライニングトルクとは、タイヤスリップ角度を戻す方向(0となる方向)へ作用するモーメント力をいう。
運転者は、このセルフアライニングトルクの変化により、ステアリングホイール21の手応えを感じている。とりわけ、車両の旋回限界に近付き、又は路面の摩擦係数μが低下するに従って、タイヤスリップ角度が増加し、セルフアライニングトルクが飽和し、減少していく。運転者は、このセルフアライニングトルクの減少を感じ取って、旋回時のタイヤのグリップ限界を感じ取っている。
従来のステアバイワイヤ式の操舵装置において、このセルフアライニングトルクの変化を運転者が感じ取れないという問題がある。一方、本実施の形態において、上述の如く、タイヤスリップ角度に応じて、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させることで、ステアリングホイール21に対して操舵反力を付加することに加えて、セルフアライニングトルクの変化等のドライバーインフォメーションを与えている。これにより、運転者は、車両を安全かつ最適に、車両の旋回操作を行うことができる。
EPS−ECU52には、車両上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ55が接続されていてもよい。なお、上記横加速度センサ54と上下加速度センサ55とは、一体で構成されていてもよい。EPS−ECU52は、上下加速度センサ55により検出された加速度に応じて、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。
例えば、EPS−ECU52は、上下加速度センサ55により検出された車両下方の加速度が増加すると、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを車両上方へ移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを増加させる。一方、EPS−ECU52は、上下加速度センサ55により検出された車両上方の加速度が増加すると、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを車両下方へ移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを減少させる。
これにより、車両下方の加速度が増加し、タイヤの接地荷重が増加すると、上述のセルフアライニングトルクが増加し、操舵時におけるステアリングホイール21の手応えが増加する。一方、車両上方の加速度が増加し、タイヤの接地荷重が減少すると、上述のセルフアライニングトルクが減少し、操舵時におけるステアリングホイール21の手応えが減少する。
このようにして、運転者は、セルフアライニングトルクの変化等のドライバーインフォメーションに基づいて、車両の旋回操作等を安心して行うことができる。また、路面のアップダウンが大きく、また車両が大きく旋回する道路では、車両の旋回限界に近付く為、上記インフォメーションを与えることが、特に車両の安全性上、効果的となる。
EPS−ECU52には、車両の運転席近傍に配設され、ユーザにより操作可能なダイヤル式又は切替式スイッチ等のモードスイッチ56が接続されていてもよい。モードスイッチ56は、切り替え位置に応じた信号をEPS−ECU52に対して、出力する。EPS−ECU52は、モードスイッチ56から出力される出力信号に基づいて、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。
モードスイッチ56として、例えば、ハードモード、ソフトモード等を設定してもよい。モードスイッチ56がハードモードに設定された場合は、EPS−ECU52は、モードスイッチ56から出力信号に基づいて、円環状部材26cを車両上方に移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを増加させる。この場合、操舵時におけるステアリングホイール21の手応えが増加し、運転者はステアリングホイール21からリニアな操舵感を得ることができ、操作フィーリングを向上させることができる。
一方、モードスイッチ56がソフトモードに設定された場合は、EPS−ECU52は、モードスイッチ56からの出力信号に基づいて、円環状部材26cを車両下方に移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを減少させる。この場合、操舵時におけるステアリングホイール21の手応えが減少し、運転者はステアリングホイール21からソフトな操舵感を得ることができ、例えば、リラックスして操舵操作を行うことができる。このように、モードスイッチ56の設定により、運転者は好みの操舵感を得ることが可能となり、操作性を向上させることができる。
また、EPS−ECU52は、車速センサ53により検出された車速に基づいて、車両の加速度を算出してもよい。EPS−ECU52は、算出された車両の加速度に基づいて、車両が急激に減速された急ブレーキ状態であると判断したとき、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させてもよい。これにより、運転者は急ブレーキ状態においても、適切に操舵操作を行うことができる。
また、EPS−ECU52には、車両の現在位置を検出し、設定された目的地まで車両を案内するナビゲーション装置57が接続されていてもよい。ESP−ECU52は、ナビゲーション装置57により検出された車両の現在位置(走行中の道路等)に応じて、円環状部材26cのアクチュエータ26dを制御して、円環状部材26cを移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させてもよい。これにより、走行位置に応じた、最適な操舵感を設定することができる。
例えば、EPS−ECU52は、ナビゲーション装置57により検出された車両の現在位置に基づいて、高速道路(例えば、米国のフリーウエイ)等の比較的長い直線道路を走行中であると判断したとき、円環状部材26cを車両下方に移動させ、可変式剛性部材26のバネ係数kを減少させる。これにより、操舵時におけるステアリングホイール21の手応えが減少し、操舵操作が楽に行える為、直線道路をリラックスして走行することができる。
他の構成は図1乃至図7に示す第1の実施の形態と略同一である。図8乃至図11において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
以上、第2の実施の形態に係る車両用操舵装置2において、操舵軸25において、複数の剛性部材23のうち少なくとも1つの可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させる。これにより、車両の走行状態に応じて、例えば、可変式剛性部材26のバネ係数kを可変させることで、ステアリングホイール21に対して、走行状態に応じて、又はユーザの好み応じて最適な手応えを与えることができる。すなわち、車両の操作性を向上させることができる。
次に、第2の実施の形態に係る車両用操舵装置2の変形例について、説明する。
上記実施の形態において、一つの可変剛性部材26のバネ係数kを可変させているが、複数の剛性部材23のバネ係数kを可変させる構成であってもよい。
上記実施の形態において、可変剛性部材26のバネ係数kを可変させているが、摩擦部材60の摩擦係数fを可変させてもよく、剛性部材23、26のバネ係数k及び摩擦部材60の摩擦係数fを任意に組み合わせて、夫々を可変させる構成であってもよい。
なお、例えば、アクチュエータ61により、アンギュラベアリング等のベアリング62に対する与圧を可変させることで、摩擦部材60の摩擦係数fを可変させる(図11)。EPS−ECU52は、アクチュエータ61を制御して、ベアリング62への与圧を増加させることで、摩擦部材60の摩擦係数fを増加させる。この場合、操舵時の手応えが増し、運転者に安心感を与えることができる。
一方、EPS−ECU52は、アクチュエータ61を制御して、ベアリング62への与圧を減少させることで、摩擦部材60の摩擦係数fを減少させる。この場合、操舵時の手応えが減少し、運転者はリラックスして、車両操作を行うことができる。なお、ベアリング62をアクチュエータ61により、車両上下方向から挟み込むようにして与圧を付加しているが、与圧の付加方法には任意の方法が適用可能である。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明は、ステアバイワイヤシステムを用いた車両用操舵装置に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
本発明の第1の実施の形態に係る車両用操舵装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。 直列に連結された複数組の剛性部材及び摩擦部材を有する操舵軸を示す模式図である。 直列に連結された複数組の剛性部材及び摩擦部材を有する操舵軸の一例を示す断面図である。 (a)操舵トルクと操舵角との関係を示す図であり、操舵トルクと操舵角度との操舵特性において、適度なヒステリシスをもたせた状態の一例を示す図である。(b)操舵トルクと操舵角との関係を示す図であり、操舵初期における立ち上がり特性の一例を示す図である。 直列に連結された複数組の剛性部材及び摩擦部材を有する操舵軸に、反力モータにより反力を付加する構成の一例を示す模式図である。 (a)第1の実施の形態に係る操舵軸の一変形例に係るバネ部材の斜視図である。(b)第1の実施の形態に係る操舵軸の一変形例を示す断面図である。 第1の実施の形態に係る操舵軸の一変形例を示す断面図である。 (a)第2の実施の形態に係る車両用操舵装置の操舵軸を模式的に示す図である。(b)可変剛性部材のバネ係数を調整する状態を示す図であり、操舵トルクと操舵角との関係を示す図である。 第2の実施の形態に係る操舵軸の可変式剛性部材の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る車両用操舵装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。 ベアリングに対する与圧を可変させて、摩擦部材の摩擦係数を可変させる一態様を示す図である。
符号の説明
1 車両用操舵装置
20 操舵操作装置
21 ステアリングホイール
22 操舵軸
23 剛性部材
24 摩擦部材
30 転舵装置
50 操舵角センサ
52 EPS−ECU
53 車速センサ
56 モードスイッチ

Claims (11)

  1. 一端がステアリングホイールに連結され、他端が車両本体に連結される操舵軸と、
    該操舵軸に配設され、該操舵軸の操舵角を検出する操舵検出手段と、を備える、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置であって、
    前記操舵軸は、直列に連結された複数の剛性部材及び摩擦部材を有することを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1記載の車両用操舵装置であって、
    前記操舵検出手段は、前記複数の剛性部材及び摩擦部材間に配設されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項1又は2記載の車両用操舵装置であって、
    前記剛性部材は、前記操舵軸方向に延びるシャフト部材であり、前記摩擦部材は、前記シャフト部材を回転可能に支持する軸受部材であることを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項3記載の車両用操舵装置であって、
    前記剛性部材は、外筒部と、該外筒部の内側に配置される内筒部と、該内筒部と前記外筒部とを連結するバネと、からなるバネ部材を更に有し、
    前記シャフト部材の一端には開口部が形成され、他端には突状部が形成され、
    前記開口部に前記外筒部が嵌合し、前記突状部に前記内筒部が嵌合することを特徴とする車両用操舵装置。
  5. 請求項3記載の車両用操舵装置であって、
    前記軸受部材は、前記シャフト部材の外周を回転可能に支持する第1軸受部材と、円筒状に形成され、一端が開口し、その内側において、前記第1軸受部材の外周を回転可能に支持する第2軸受部材と、を有することを特徴とする車両用操舵装置。
  6. 請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の車両用操舵装置であって、
    前記剛性部材のバネ係数を可変させるバネ定数可変手段を更に備えることを特徴とする車両用操舵装置。
  7. 請求項5記載の車両用操舵装置であって、
    車両のタイヤから発生する反力を検出する反力検出手段を更に備え、
    前記バネ係数可変手段は、前記反力検出手段により検出された前記反力に応じて、前記バネ係数を可変させることを特徴とする車両用操舵装置。
  8. 請求項5記載の車両用操舵装置であって、
    車速を検出する車速検出手段を更に備え、
    前記バネ係数可変手段は、前記車速検出手段により検出された前記車速に応じて、前記バネ係数を可変させることを特徴とする車両用操舵装置。
  9. 請求項5記載の車両用操舵装置であって、
    ユーザ操作可能なモードスイッチを更に備え、
    前記バネ係数可変手段は、モードスイッチの操作位置に応じて、前記バネ係数を可変させることを特徴とする車両用操舵装置。
  10. 請求項5記載の車両用操舵装置であって、
    車両の現在位置を検出する位置検出手段を更に備え、
    前記バネ係数可変手段は、前記位置検出手段により検出された前記車両の現在位置に応じて、前記バネ係数を可変させることを特徴とする車両用操舵装置。
  11. 請求項1乃至10のうちいずれか1項記載の車両用操舵装置であって、
    前記摩擦部材の摩擦係数を可変させる摩擦係数可変手段を更に備えることを特徴とする車両用操舵装置。
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