JP2010115962A - 可変剛性スタビライザ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動モータ7によってピニオン19およびラック20を介して、スリーブ16をスライド方向Y1に沿って変位させる。第1の状態では、スリーブ16が、トーションバー8の低剛性部15をバイパスして第1および第2の高剛性部13,14間をトルク伝達可能に連結する。トーションバー8を含むスタビライザバー6が高剛性に設定される。第2の状態では、スリーブ16と第2の高剛性部14のボール40との嵌合が外れ、第1および第2の高剛性部13,14間を、低剛性部15のみを介して連結する。スタビライザバー6が低剛性に設定される。
【選択図】図3
Description
近年、トーションバーに設けられた電動モータによって、車体が受けるロールモーメントに対向するロール抑制モーメントをスタビライザバーに発揮させるようにスタビライザバーの捩じり剛性を動的に制御する可変剛性スタビライザ装置が検討されている。
1)上記の位置制御は、検出された実ロール角に基づくパッシブな制御となるので、応答遅れがあり、運転者が、車体の挙動に違和感を感じる。
2)電動モータの体格が相当大きくなるので、車両へのレイアウトが困難である。
3)電動モータの電流消費が大きく、省エネ上、好ましくない。
4)製造コストが高くなる。
本発明の目的は、小型、安価で、省エネに優れ且つ違和感のない乗り心地を達成することができる可変剛性スタビライザ装置を提供することである。
また、上記スライダは、第1および第2の端部(161,162)を有するスリーブ(16)を含み、上記第1および第2の端部は、それぞれ対応する高剛性部に相対回転不能に連結可能であり、上記アクチュエータの動力を上記スリーブに伝達するための伝動機構(17)を備え、上記スリーブの外周に、上記伝動機構の従動部材(20)が設けられている場合がある(請求項3)。この場合、スリーブの外周に伝動機構の従動部材を設けることにより、構造を簡素化することができる。したがって、可変剛性スタビライザ装置の小型化に寄与でき、可変剛性スタビライザ装置を車体に、よりレイアウトし易くなる。
また、上記アクチュエータの動作を制御するための制御部(22)と、車両の停止状態を検出する停止状態検出手段(23)と、上記スタビライザバーの捩じり剛性を変更するための操作スイッチ(24)と、を備え、上記スライダおよび上記高剛性部に、両者の相対回転を規制可能にスライド嵌合する相対回転規制部(33,40)が設けられ、上記制御部は、停止状態検出手段によって車両の停止状態が検出されることを条件として、上記操作スイッチからの信号に基づいてスライダを変位させるように上記アクチュエータを駆動する場合がある(請求項5)。
図1は本発明の一実施の形態の可変剛性スタビライザ装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、可変剛性スタビライザ装置1は、左右の車輪2,3をそれぞれ支持する車輪支持部材4,5間を連結したスタビライザバー6と、スタビライザバー6のねじり剛性を変更するためのアクチュエータとしての電動モータ7とを備えている。車輪支持部材4,5は例えばサスペンションアームである。
トーションバー8の端部8a,8bの近い位置で、トーションバー8は、ブッシュ11を介して車体12によって支持されている。トーションバー8は、ブッシュ11によってトーションバー8の軸線の回りに回転可能に支持されている。
伝動機構17は、電動モータ7の回転軸18に同行回転可能に連結されたピニオン19と、スリーブ16の外周に形成されピニオン19に噛み合うラック20とを備えたラックアンドピニオン機構により構成されている。また、トーションバー8の一部を取り囲み、スリーブ16を挿通させたハウジング21によって、電動モータ7が支持されている。
電動モータ7の動作を制御する制御部としてのECU(Electronic Control Unit)22が設けられている。そのECU22には、車両の停止状態を検出するための停止状態検出手段としてのサイドブレーキセンサ23と、車両の停止中にスタビライザバー6の捩じり剛性を変更するために切り換え操作するための操作スイッチ24とが接続されている。
ECU22では、サイドブレーキセンサ23からの信号および操作スイッチ24からの信号を入力し、これに基づいて、スタビライザバー6の捩じり剛性を変更するように、電動モータ7を駆動制御する。
ハウジング21には、スリーブ16が挿通されたスライダ挿通孔としてのスリーブ挿通孔26が形成されている。スリーブ挿通孔26の内周とスリーブ16の外周との間には、隙間が設けられており、スリーブ16がスムーズにスライド方向Y1(図2において示されていないが、紙面と直交する方向に相当)に移動できるようになっている。
また、ハウジング21には、スリーブ挿通孔26とは交差する方向に延び、上記ピニオン19を収容した駆動部材収容孔としてのピニオン収容孔27が形成されている。電動モータ7の回転軸18に同行回転可能に連結されたピニオン19の両端の軸部が、ピニオン収容孔27に保持された一対の軸受28,29によって、回転可能に支持されている。
図3(a)および(b)を参照して、低剛性部15は、第1および第2の高剛性部13,14よりも断面の径が小さくされており、これにより、低剛性部15の捩じり剛性が相対的に低くされている。
一方、スライダとしてのスリーブ16の内周には、上記軌道溝31,32に対向可能でスライド方向Y1に沿って延びる相対回転規制部としての軌道溝33が形成されている。図3(a)に示す第1の状態では、各軌道溝31,32に保持された相対回転規制部としてのボール40に、相対回転規制部としての軌道溝33が嵌合している。ボール40は、軌道溝31,32,33を転動可能である。また、図2に示すように、ボール40は、環状の保持器41によって軌道溝31,32(図2では軌道溝31のみを示してある)に保持されている。
図3(a)に示す第1の状態では、スリーブ16の第1の端部161および第2の端部162において、相対回転規制部としての軌道溝33が、第1および第2の高剛性部13,14の軌道溝31,32に保持された相対回転規制部としてのボール40に嵌合しており、これにより、スリーブ16の第1および第2の端部161,162が、それぞれ対応する第1および第2の高剛性部13,14に相対回転不能に連結されている。
一方、図3(b)に示す第2の状態では、図3(a)示す第1の状態からスリーブ16が左方にスライド変位され、その結果、スリーブ16と第2の高剛性部14との嵌合が外され、第1および第2の高剛性部13,14間が、低剛性部15のみを介して連結されている。このため、トーションバー8が低剛性に設定される。
そして、特許文献1のように一対のアクチュエータを設ける必要がなく、単一の電動モータ7を用いればよいので、小型化を達成でき、製造コストを安くすることができるとともに、省エネ上も好ましい。
また、電動モータ7の動力をスリーブ16に伝達するための伝動機構17の従動部材としのてラック20を、スリーブ16の外周に設けたので、構造を簡素化することができる。したがって、可変剛性スタビライザ装置1の小型化に寄与でき、可変剛性スタビライザ装置1を車体に、よりレイアウトし易くなる。
また、剛性モードを変更する操作スイッチ24が操作されたときに、車両が停止中であることを条件として、操作スイッチ24の操作に基いてスリーブ16を変位させて、剛性モードを切り換えるようにしている。車両が停止しているときは、トーションバー8にほとんど捩れが生じていないので、第2の高剛性部14の相対回転規制部としての軌道溝32の位相と、スリーブ16の相対回転規制部としての軌道溝33の位相とがほぼ一致しているので、軌道溝32に保持されたボール40に、スリーブ16の軌道溝33を確実にスライド嵌合させることができる。
具体的には、車両の停止中に操作スイッチ24を操作して、スタビライザバー6の捩じり剛性を予め所望に変更しておけばよい。これにより、例えば乗り心地を向上させたり、安定した旋回を確保したりすることができる。例えば、高速の直進走行が長く続く条件で走行しようとするときには、その走行前に、操作スイッチ24の操作によって、スタビライザバー6の捩じり剛性を低剛性に設定しておく。これにより、長時間の高速直進走行において、左右輪にアンバランスに働く路面入力を、サスペンションを適度にストロークさせることで吸収し、乗り心地を向上させることができる。
なお、停止状態検出手段として、サイドブレーキセンサ23に代えて、車速を検出する車速センサを用いるようにしてもよい。
具体的には、第1の高剛性部13と第2の高剛性部14との中間位置に、第3の高剛性部34を設けてある。第3の高剛性部34の外周には相対回転規制部としての軌道溝35が形成されている。第1の高剛性部13と第3の高剛性部34との間が第1の低剛性部15Aによって連結され、第3の高剛性部34と第2の高剛性部14との間が第2の低剛性部15Bによって連結されている。
図5(a)に示す第1の状態では、第1の剛性部13、第3の剛性部34および第2の剛性部14がスリーブ16によってトルク伝達可能に連結される。スリーブ16が2つの低剛性部(第1および第2の低剛性部15A,15B)をバイパスして高剛性部13,14間を連結することになり、トーションバー8Aとして、ひいてはスタビライザバー6Aとして、最も高い捩じり剛性を実現することができる。
本実施の形態によれば、スリーブ16がバイパスする低剛性部15A,15Bの数を変更することにより、スタビライザバー6Aの捩じり剛性を多段階に調整することができる。なお、4つ以上の高剛性部および3つ以上の低剛性部を設けるようにしてもよい。
車両が直進走行しているときは、トーションバー8にほとんど捩れが生じていないので、第2の高剛性部14の軌道溝32の位相と、スリーブ16の相対回転規制部としての軌道溝33の位相とがほぼ一致しているので、相対回転規制部としての軌道溝33を、軌道溝32に保持された相対回転規制部としてのボール40に、確実にスライド嵌合させることができる。
一方、上記のように高速の直進走行が長く続く条件が満たされないときには、スタビライザバー6の捩じり剛性は高剛性となる。例えばワインディングロードの中速走行では、スタビライザバー6の捩じり剛性は高剛性となるので、車体のロール角を制限して、安定した旋回を確保することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではく、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
Claims (6)
- 捩じり剛性が相対的に高い少なくとも2つの高剛性部および互いに隣接する高剛性部間を連結し捩じり剛性が相対的に低い低剛性部を有するトーションバーを含むスタビライザバーと、
上記トーションバーに嵌合され、上記トーションバーの長手方向に沿うスライド方向に沿ってスライド可能なスライダと、
上記スライダを上記スライド方向に駆動可能なアクチュエータと、を備え、
上記スライダは、上記低剛性部をバイパスして少なくとも2つの高剛性部間をトルク伝達可能に連結する状態と、少なくとも2つの高剛性部間の連結を解除する状態とを上記スライド方向の位置に応じて切り換え可能であることを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。 - 請求項1において、上記低剛性部が少なくとも2つ設けられ、それぞれ対応する高剛性部間を連結していることを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。
- 請求項1または2において、上記スライダは、第1および第2の端部を有するスリーブを含み、上記第1および第2の端部は、それぞれ対応する高剛性部に相対回転不能に連結可能であり、
上記アクチュエータの動力を上記スリーブに伝達するための伝動機構を備え、
上記スリーブの外周に、上記伝動機構の従動部材が設けられていることを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。 - 請求項3において、上記伝動機構は、上記アクチュエータにより駆動されるピニオンと、上記従動部材としてのラックとを含むことを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。
- 請求項1から4の何れか1項において、上記アクチュエータの駆動を制御するための制御部と、
車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、
上記スタビライザバーの捩じり剛性を変更するための操作スイッチと、を備え、
上記スライダおよび上記高剛性部に、両者の相対回転を規制可能にスライド嵌合する相対回転規制部が設けられ、
上記制御部は、停止状態検出手段によって車両の停止状態が検出されることを条件として、上記操作スイッチからの信号に基づいてスライダを変位させるように上記アクチュエータを駆動することを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。 - 請求項1から4の何れか1項において、上記アクチュエータの駆動を制御するための制御部と、
車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、を備え、 上記スライダおよび上記高剛性部に、両者の相対回転を規制可能にスライド嵌合する相対回転規制部が設けられ、
上記制御部は、直進走行状態検出手段および車速検出手段の検出結果に基づいて、車両が所定の車速以上で直進走行する状態が所定時間以上継続したと判断したときに、スライダを低剛性側へ変位させるように上記アクチュエータを駆動することを特徴とする可変剛性スタビライザ装置。
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