JP2007178632A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、電子写真法では、感光体に形成された静電潜像を着色樹脂粒子に必要に応じて外添剤やキャリア等の他の粒子を配合してなるトナーで現像し、紙やOHPシート等の記録材に転写した後、トナーを定着させて印刷物を得る。
カラー複写(カラーコピー)の場合の画像形成方法の一例としては、先ず、カラー原稿を多数の画素に分解して読み取り、色別のデジタル画像信号として、帯電させた感光体上に光を当てて静電潜像を形成する。次に、色別の静電潜像に対応するカラートナーにより、静電潜像を現像してトナー像をつくり、これを紙やOHPシート等の記録材に転写する。転写されたトナー像は、加熱加圧等の方法により記録材に定着される。
粉砕法は、結着樹脂と着色剤を溶融混練する方法、又はモノマーと着色剤を含有する混合物を重合させる方法により得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級する方法により着色樹脂粒子を製造する。
一方、重合法は、例えば重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を形成し、該液滴を重合させて着色樹脂粒子を製造する懸濁重合法や、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する乳化重合凝集法などが挙げられる。粉砕法で得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、重合法で得られる着色樹脂粒子は形状が球形に近く、小粒径でシャープな粒径分布をもつ。
特に、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
適度に帯電したトナーは、静電潜像の電荷密度に応じた量が感光体上に付着し、高画質な画像を形成することができる。これに対してトナーの帯電量、又は帯電の均一性等の帯電特性が不適切な場合には、高画質な画像を形成することができない。
静電荷像現像用トナーは、通常、充分な帯電性を付与するために、帯電制御剤や帯電制御樹脂をトナー粒子に溶解又は均一に分散して調製される。
しかしながら、特許文献1の実施例で開示しているトナーは、結着樹脂80〜98部、帯電制御剤1〜10部、及び着色剤1〜10部等を溶融混練し、得られた混練物を粉砕する粉砕法により調製されたトナーである。このトナーでは、帯電制御剤が点在しやすいため、トナーの帯電量が不均一となるおそれがある。また、特許文献1で使用される帯電制御樹脂の典型例としては、下記式(2)で表されるものが使用されていて、このトナーは、環境安定性が十分であるとはいえない。
特許文献2は、該帯電制御剤として、スルホン酸エステルを有する有機化合物の金属錯体、又は含金属染料であることを開示している。
しかしながら、このような帯電制御剤は結着樹脂への相溶性が悪いため、トナー表面に遊離して付着する形で存在している帯電制御剤が脱離しやすく、トナーの帯電量にばらつきを生じると共に、感光体等の現像装置内の部材にフィルミングを起しやすい。
また、特許文献2は、帯電制御剤に由来する親水性が高い極性官能基がトナー表面に存在するため、特に高温高湿環境下においてトナー粒子表面が吸湿しやすくなり、トナーの環境安定性や、帯電性の低下を引き起こすおそれがある。
特許文献3では、水相と極性官能基を有するモノマーまたは極性官能基を有するポリマーを分散して得た油相とを造粒機に供給し、重合性液滴を有する懸濁液を得る工程を有するトナーの製造方法を開示している。特許文献3は、極性官能基を有するモノマーが、スチレンスルホン酸ナトリウムであることが記載されている。
特許文献3は、帯電性を付与する極性官能基の分散性ではなく、極性官能基を有するモノマーあるいはポリマーを添加することによる着色剤の分散性の向上に着目したものである。また、スチレンスルホン酸ナトリウムは、親水性が高いため、得られるトナーは吸湿しやすく、特に高温高湿環境下での環境安定性が低下するおそれがある。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、重合性単量体を含有する液体(油相)を水系分散媒体中に分散させて、該重合性単量体を含有する液滴(最終的に、着色樹脂粒子となる液滴)を形成し、重合する重合法により、該重合性単量体の重合物である結着樹脂、及び着色剤を含有する着色樹脂粒子を形成する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法において、
該重合性単量体は、下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
該着色樹脂粒子は、該結着樹脂として、下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物に由来する繰り返し単位を含む共重合体を5重量%以上含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーが提供される。
該重合性単量体は、下記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
トナーの帯電現象は、主にトナー粒子表面で起こるが、極性官能基が着色樹脂粒子表面に偏在すると温度や湿度の影響を受けやすくなる。温度、湿度等の環境変化に伴い着色樹脂粒子表面の水分量が変化すると、その影響によりトナーの帯電特性が変動しやすい。トナーの帯電特性が変動し、トナーの帯電量減少や不均一化が生じると、感光体上の静電潜像に応じた所望の現像を行なうことができず、画像の濃度不足やムラ、カブリなどの問題が引き起こされる。また、着色樹脂粒子表面に偏在すると外添剤が偏在しやすくなり、現像部材との間での摩擦等により外添剤がトナーに埋め込まれるため、トナーが劣化しやすく、耐久印字性が低下する。
更に、本発明者らが検討したところ、本発明により提供されるトナーは、スチレンスルホン酸エステルに由来する帯電性を付与する部位が着色樹脂粒子全体に均一に分散することで、現像部材との間での摩擦等によるトナーの劣化が低減されることが判明している。
懸濁重合法による静電荷像現像用トナーの製造方法では、まず、重合性単量体及び着色剤を必須成分として含有する重合性単量体組成物を調製し、得られた重合性単量体組成物を水系分散媒体中に分散させて、重合性単量体組成物の液滴を形成した状態で重合することにより着色樹脂粒子を得る。次に得られた着色樹脂粒子を洗浄、脱水、並びに乾燥する。この様にして得られた着色樹脂粒子はそのまま静電荷像現像用トナーとして用いてもよいが、必要に応じて他の添加成分と混合して静電荷像現像用トナーとする。
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法について、順を追って説明する。
結着樹脂の原料となる重合性単量体を含有する液体としては、モノビニル単量体と以下に述べるスチレンスルホン酸エステル化合物のほか、必要に応じて架橋性単量体、架橋性重合体、マクロモノマー及びその他の単量体を用いる。これらの重合性単量体が重合され、着色樹脂粒子中の結着樹脂成分となる。上記重合性単量体の仕込み量は、着色樹脂粒子原料の全量に対し、5重量%以上が好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。
重合性単量体の仕込み量が上記範囲を満たすことで、高温高湿環境においてもトナー帯電量や帯電の均一性が適度に保たれ、帯電安定性や環境安定性に優れたトナーを効率良く得ることができる。
上記モノビニル単量体の割合は、結着樹脂成分を形成するために用いられる重合性単量体中、少なくとも80重量%以上であることが好ましい。
これらのスチレンスルホン酸エステル化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。上記式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物の割合は、結着樹脂成分を形成するために用いられる重合性単量体のうちモノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であることが好ましく、0.5〜3.5重量部であることがより好ましい。
スチレンスルホン酸エステル化合物の割合が、上記範囲未満であると帯電性を付与する極性置換基の含有量が少なすぎるため、トナーに十分な帯電量を与えることができない。
一方、スチレンスルホン酸エステル化合物の割合が、上記範囲よりも大きくなると着色樹脂粒子の形状が悪化したり、帯電量が過剰になるため、耐久印字性が低下する。
本発明では、架橋性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーの量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。
モノクロトナーを得る場合、ブラック着色剤として、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等が用いられる。
フルカラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)を得る場合は、各々、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を使用する。
イエロー着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、75、83、90、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド31、48、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。重合の安定性がよく、着色力があることから、C.I.Pigmentレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、112、114、146、150、163、170、185、187、206、及び207等のモノアゾ顔料が同様に好ましい。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物等のフタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物等が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、および60等が挙げられる。
着色剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部である。
上記アルミニウムカップリング剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であることが好ましく、0.05〜0.5重量部であることがより好ましい。
離型剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。
上記分散安定剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定剤残存量が少ないので、得られるトナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないので好ましい。
分散安定剤は水系分散媒体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部用いることが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1.0〜10重量部である。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
なお、液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、重合工程において液滴を形成又は安定化するための分散処理を継続しながら重合反応を進行させても良い。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
また、これらの操作を行うことで後述する本発明の静電荷像現像用トナーの温度32℃且つ相対湿度80%における吸着水分量を好ましい範囲内に調整することができる
上記の温度32℃、相対湿度80%における吸着水分量が上記範囲より大きくなると、高温高湿の条件下での帯電量が低下する。
なお、本発明おいて、フェライトや鉄粉等の磁性粉を混合した磁性トナーは、これら磁性粉の比重が大きいため、この比重がカーボンブラック等の顔料の比重と同等の値として換算した時の吸着水分量が上記範囲に入ることが好ましい。
なお、トナー表面に吸着した水分は、相対湿度が限りなく0%に近い条件下においても、トナー表面上の水分が残留する可能性はあるが、この条件下でトナー表面に残留する水分は、極微量であるため、本発明においては無視できるものとする。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、温度10℃且つ相対湿度20%における現像ロール表面上でのトナー帯電量のQ/Mが−20〜−60μC/gであることが好ましく、−30〜−50μC/gであることがさらに好ましい。
ここで、現像ロール表面上でのトナー帯電量Q/Mは、使用状態で、露光工程後、現像工程前における現像ロール上に付着したトナーの単位重量あたり帯電量である。現像ロール表面上でのトナー帯電量は、プリンターを用いて1枚目のベタ印字を行い、次いで、2枚目のベタ印字を途中で停止させた後、現像ロール上に現像されたトナーの帯電量(μC/g)を、例えば、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名「210HS−2A」)を用いて測定することができる。
該トナー帯電量の比が、上記範囲を超えると、高温高湿の環境下でカブリの発生や、低温低湿の環境下で印字汚れが発生する。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度(Ca)は、まず1μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下式よりそれぞれ求め、次いで、下記式により求める。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
上記平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」又は「FPIA−3000」を用いて測定することができる。
外添剤としては、従来からトナーに用いられている外添剤を何ら制限なく用いることができ、例えば、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、及び酸化錫等が挙げられ、有機樹脂粒子としては、アクリル酸エステル重合体粒子、メタアクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、及びスチレン−メタアクリル酸共重合体粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカや酸化チタンが好適であり、粒子表面が疎水化処理されたものが好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。
外添剤の量は、特に限定されないが、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
二成分トナーの場合は、トナー中の着色樹脂粒子濃度は、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量%が望ましい。
感光体ドラム1の周囲には、その周方向に沿って、帯電部材としての帯電ロール2、露光装置としての光照射装置3、現像装置4、転写ロール5及びクリーニングブレード6が配置されている。
また、感光体ドラム1の搬送方向下流側には、定着装置7が設けられる。定着装置7は、熱ロール7aと支持ロール7bとからなる。
記録材14の搬送路は、感光体ドラム1と転写ロール5の間、及び、熱ロール7aと支持ロール7bの間を通過するように設けられる。
現像装置4は、一成分接触現像方式に用いられる現像装置であり、トナー13が収容されるケーシング8内に、現像ロール9と、現像ロール上の過剰トナーをかき取る現像ロール用ブレード10と、供給ロール11と、トナーの攪拌を行う攪拌翼12とを有する。
帯電工程は、帯電部材により、感光体ドラム1の表面を、プラス又はマイナスに一様に帯電する工程である。帯電部材での帯電方式としては、図1で示した帯電ロール2の他に、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等で帯電させる接触帯電方式と、コロナ放電による非接触帯電方式とがあり、このような接触帯電方式又は非接触帯電方式に置き換えることも可能である。
現像ロール9は、感光体ドラム1に一部接触するように配置され、感光体ドラム1と反対方向Bに回転するようになっている。供給ロール11は、現像ロール9と接触して現像ロール9と同じ方向Cに回転し、トナー槽8aから攪拌翼12によりトナー13の供給を受けて、該供給ロール11の外周にトナーを付着させ、現像ロール9の外周にトナーを供給するようになっている。この他の現像方式としては、一成分非接触現像方式、二成分接触現像方式、二成分非接触現像方式がある。
クリーニング工程は、転写工程後の感光体ドラム1の表面に残留したトナーをクリーニングする工程であり、本発明ではクリーニングブレード6を感光体上に圧接して、感光体ドラム1の表面に残留したトナーをかき取る。かき取ったトナーは通常、図示されていない回収装置によって回収される。
定着方法としては、加熱、圧力、加熱圧力、溶剤蒸気等が知られているが、そのなかでも、上記したような熱ローラーによる加熱圧力方式が最も広く利用されている。
スチレン83部、アクリル酸ブチル17部、PR31とPR150を混合したマゼンタ着色剤(冨士色素社製、商品名「FUJI FAST CARMIN」)5.0部、及びアルミニウムカップリング剤(アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート;味の素ファインテクノ社製、商品名「プレーンアウトAL−M」)0.25部を入れ、攪拌して、重合性単量体混合物を調製し、メディア型分散機(ターボ工業製、商品名「OBビーズミル」にて分散処理を行い、マゼンタ着色剤を微細に分散した。
上記実施例1において、上記式(5)で表されるp−スチレンスルホン酸エチル1部を用いた以外は実施例1と同様に調製し、実施例2のトナーを得た。なお、乾燥後の実施例2の着色樹脂粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.7μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.19、平均円形度0.980であった。
上記実施例1において、p−スチレンスルホン酸エチルの代わりに、負帯電制御樹脂(藤倉化成製、商品名「FCA626N」、スルホン酸、官能基7%品)5部を用いた以外は実施例1と同様に調製し、比較例1のトナーを得た。なお、乾燥後の比較例1の着色樹脂粒子は、体積平均粒径(Dv)が7.2μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.24、平均円形度0.968であった。
上記実施例1において、上記式(5)で表されるp−スチレンスルホン酸エチルの代わりに、下記式(6)で表されるp−スチレンスルホン酸を3部用いた以外は実施例1と同様に調製し、比較例4のトナーを得た。なお、乾燥後の比較例2の着色樹脂粒子は、体積平均粒径(Dv)が6.8μm、粒径分布(Dv/Dp)が1.26、平均円形度0.976であった。
なお、LL環境は、温度10℃、湿度20%環境を表し、NN環境は、温度23℃、湿度50%環境を表し、HH環境は、温度32℃、湿度80%環境を表す。
トナーの吸着水分量の測定には、IGAsorp Moisture Sorption Analyser(商品名、HIDEN ANALYTICAL社製)を使用した。具体的な測定方法は以下の通りである。
吸着水分量測定前に、温度32℃に設定し、チャンバー内を3時間以上400〜500ml/minの流量で窒素フローによる乾燥を行い、測定セル内をある程度乾燥した。専用のサンプル治具をセットし、内部天秤にてトナーを30〜40mg精秤した。その後チャンバーを閉じ、再度400〜500ml/minの流量で窒素フローにより、湿度を0.7RH%以下になるまでチャンバー内を乾燥させた。
その乾燥後、窒素フローの流量を250ml/minにし、ある時点直前10分間のトナー重量平均値を基準重量とする。この基準重量に対して、トナーの重量変動率が、10分間定常的に±0.3%以内で安定したことを確認し、この時点のトナー重量をW1とした。この後、温度は変えずに、湿度80%まで加湿し、測定開始後最低10分以上置き、実測値の多項式近似による測定予想値と実測値が98%以内の精度で安定したときのトナー重量をW2とした。また予め確認しておいた、サンプル治具自身の測定条件環境における吸着水分量の値をW3とした。これらの値から以下の式により、トナー吸着水分量を求めた。
吸着水分量(重量%)=100×(W2−W1−W3)/W1
<計算式>
重量変動率(%)=100×(基準重量−変動後のトナー重量)/基準重量
体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dp)は、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、機種名「マルチサイザー」)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:アイソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、トナー0.1gをビーカーに取り、更に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名「ドライウエル」)0.1mL加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、超音波分散機で1〜3分間分散させてから上記粒径測定機による測定を行った。
ガラスビーカー容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸(富士フィルム社製、商品名「ドライウエル」)0.1gを加え、更にトナー0.1gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時のトナー濃度を3,000〜10,000個/μLとなるようにイオン交換水を適量加えて調整し、1μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてシスメックス社製フロー式粒子像分析装置(商品名「FPIA−2100」)を用いて測定した。測定値から、平均円形度を求めた。
なお、円形度は下記式に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
市販の一成分現像方式のプリンター(印字速度18枚/分(A4))に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、LL又はNN環境下で一昼夜放置した後、それぞれLL又はNN環境下で印字を行って評価した。
先ず白ベタ印字を行い、次いで、2枚目の白ベタ印字を途中で停止させた後、現像ロール上に付着したトナーの帯電量Q/M(μC/g)を、吸引式帯電量測定装置(トレックジャパン社製、商品名「210HS−2A」)を用いて測定した。
上記(4)で使用したプリンターに印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、HH環境下で一昼夜放置した後、カブリを以下のように測定した。
白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、途中で上記プリンターを10枚程度の印字で停止させ、現像後の感光体上に非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム(株)製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)に付着させた。この粘着テープを新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色工業(株)製、商品名「SE−2000」)で色調を測定した。リファレンス(基準サンプル)として、未使用の粘着テープを印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定した。それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値とした。この値が小さいほどカブリが少なく、カブリ値ΔEが1.0以下であれば、画質が良好であることを示す。
上記(4)で使用したプリンターに印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、NN環境下で一昼夜放置した後、1%印字濃度で連続印字を行い、1,000枚ごとにカブリを測定した。
また、カブリは以下のように測定した。白ベタ印字(0%印字濃度)を行い、途中で上記プリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム(株)製、商品名「スコッチメンディングテープ810−3−18」)に付着させた。この粘着テープを新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色工業(株)製、商品名「SE−2000」)で色調を測定した。リファレンス(基準サンプル)として、未使用の粘着テープを印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定した。それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値とした。この値が小さいほどカブリが少なく、画質が良好であることを示す。
白ベタ印字を行った際のカブリ値が1.0以下である画質を維持できる連続印字枚数を10,000枚まで試験した。試験結果に「10,000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても上記基準を満たしていることを示す。
試験結果を表1に示す。
なお、表1中の注記は以下の通りである。
*1:結着樹脂、及び着色剤に関する略記
ST(スチレン)、BA(アクリル酸ブチル)DVB(ジビニルベンゼン)、CARMIN(マゼンタ着色剤、冨士色素社製、商品名「FUJI FAST CARMIN」)
*2:帯電制御樹脂に関する略記
626N(負帯電制御樹脂、藤倉化成製、商品名「FCA626N」、スルホン酸)
本発明の実施例1及び2のトナーは、高温高湿環境下で初期印字カブリが起こらず環境安定性に優れたトナーであることが示された。また、本発明の実施例1及び2は、印字枚数10,000枚に達した時点においても、カブリが発生しなかったことからも、耐久印字性に優れたトナーであった。
その一方で、従来の帯電制御樹脂を用いた比較例1のトナーは、トナー製造後の高温高湿下での吸着水分量は高いことからもわかるように、環境安定性が低く、耐久印字性の著しい低下がみられた。また、スチレンスルホン酸を結着樹脂のモノマーとして含む比較例2のトナーは、スチレンスルホン酸に起因する親水性により、高温高湿環境下での環境安定性が悪く、さらに印字枚数が2,000枚に達した時点でカブリが発生した。
2 帯電ロール
3 光照射装置
4 現像装置
5 転写ロール
6 クリーニングブレード
7 定着装置
7a 熱ロール
7b 支持ロール
8 ケーシング
8a トナー槽
9 現像ロール
10 現像ロール用ブレード
11 供給ロール
12 攪拌翼
13 トナー
14 記録材
Claims (9)
- 該式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物は、該重合性単量体のうちモノビニル単量体100重量部に対して0.1〜5.0重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 該液滴は、該式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物を含む重合性単量体及び着色剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 該式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物は、該結着樹脂を構成する該重合性単量体のうちモノビニル単量体100重量部に対して0.1〜5.0重量部含まれることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
- 該結着樹脂は、該式(1)で表されるスチレンスルホン酸エステル化合物に由来する繰り返し単位を、該重合性単量体のうちモノビニル単量体100重量部に対する仕込み量換算で0.1〜5.0重量部含むことを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 該静電荷像現像用トナーの温度32℃、相対湿度80%における吸着水分量が、0.05〜0.3重量%であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該着色樹脂粒子が、帯電制御剤を含まないことを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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