JP2007173225A - 膜触媒層接合体、膜電極接合体、燃料電池および燃料電池スタック - Google Patents

膜触媒層接合体、膜電極接合体、燃料電池および燃料電池スタック Download PDF

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Abstract

【課題】高分子電解質形燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する高分子電解質形燃料電池を容易かつ確実に実現し得る膜触媒層接合体および膜電極接合体を提供する。
【解決手段】アノード触媒層と、カソード触媒層と、アノード触媒層とカソード触媒層との間に配置される水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜とを有する膜触媒層接合体の、アノード触媒層および前記カソード触媒層のうちの少なくとも一方の周辺部において、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、内側から外側に向けて減少している減少部分を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜触媒層接合体、膜電極接合体、燃料電池および燃料電池スタックに関する。
燃料電池(FC)は発電効率が高く、環境への負荷も小さいことから、分散型エネルギーシステムとして、今後の普及が見込まれている。なかでも、陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質を用いた高分子電解質形燃料電池は、出力密度が高く、その作動温度が低く、小型化が可能であることから、自動車などの移動体、分散発電システムおよび家庭用のコージェネレーションシステムなどに利用されることが期待されている。
高分子電解質形燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する空気などの酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させる。ここで、図17は、従来の高分子電解質形燃料電池に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。また、図18は、図17に示す単電池100に搭載される膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)の基本構成の一例を示す概略断面図であり、図19は、図18に示す膜電極接合体101を構成する膜触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)の一例を示す概略断面図である。
図19に示すように、膜触媒層接合体102においては、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜111の両面に、電極触媒(例えば白金系の金属触媒)をカーボン粉末に担持させて得られる触媒担持カーボンと、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とを含む触媒層112が形成される。高分子電解質膜111としては、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国Du Pont社製のNafion(商品名)など)が一般的に使用されている。
図18に示すように、膜電極接合体101は、触媒層112の外面に、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーを用いて、通気性および電子伝導性を併せ持つガス拡散層113を形成することによって構成される。この触媒層112とガス拡散層113との組合せにより電極(アノードまたはカソード)114が構成される。さらに、図17に示すように、単電池100は、膜電極接合体101と、ガスケット115と、一対のセパレータ116とで構成される。ガスケット115は、供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、電極の周囲に高分子電解質膜を挟んで配置される。ガスケット115は、電極および高分子電解質膜とあらかじめ一体化されている。なお、高分子電解質膜111、一対の電極114(触媒層112およびガス拡散層113)およびガスケット115を組み合わせたものを膜電極接合体と呼ぶこともある。
膜電極接合体101の外側には、膜電極接合体101を機械的に固定するための一対のセパレータ116が配置される。セパレータ116の膜電極接合体101と接触する部分には、電極に反応ガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)を供給し、電極反応生成物、未反応の反応ガスを含むガスを反応場から電極外部に運び去るためのガス流路117が形成される。ガス流路117はセパレータ116と別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路を形成する方式が一般的である。また、セパレータ116の膜電極接合体101とは反対の側には、溝を設けて、冷却水流路118が形成されている。
このように、一対のセパレータ116で膜電極接合体101を固定し、一方のセパレータのガス流路に燃料ガスを供給し、他方のセパレータのガス流路に酸化剤ガスを供給することで、数十から数百mA/cm2の実用電流密度通電時において、一つの単電池で0.7〜0.8V程度の起電力を発生させることができる。しかし、通常、高分子電解質形燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、単電池を必要とする個数だけ直列に連結してスタックとして使用する。
ガス流路117に反応ガスを供給するためには、反応ガスを供給する配管を、使用するセパレータの枚数に対応する数に分岐し、それらの分岐先を直接セパレータ上のガス流路につなぎ込む部材であるマニホールドが必要となる。特に反応ガスを供給する外部の配管から直接セパレータにつなぎ込むタイプのマニホールドを、外部マニホールドと呼ぶ。一方、より簡単な構造を有する内部マニホールドと呼ばれるものもある。内部マニホールドは、ガス流路を形成したセパレータに設けられた貫通孔で構成され、ガス流路の出入り口をこの孔に連通させて、この貫通孔から直接反応ガスをガス流路に供給することができる。
ガス拡散層113は、主につぎの3つの機能を持つ。第1の機能は、ガス拡散層113の外側に位置するセパレータ116のガス流路から、触媒層112中の電極触媒へ均一に反応ガスを供給するために、該反応ガスを拡散させる機能であり、第2の機能は、触媒層112で反応により生成した水を速やかにガス流路に排出する機能である。また、第3の機能は、反応に必要な電子または生成された電子を伝導する機能である。すなわち、ガス拡散層113には、高い反応ガス透過性、水分排出性および電子伝導性が必要とされる。
一般的に、ガス拡散層113には、ガス透過性を持たせるために、カーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、多孔質構造を有する導電性基材が用いられている。また、排水性を持たせるために、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などをガス拡散層113の中に分散させることが行われ、さらに、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料でガス拡散層113を構成することも行われている。ガス拡散層113の触媒層112と接する面には、撥水性高分子とカーボン粉末とで構成される撥水カーボン層が設けられることもある。
つぎに、触媒層112は、主に4つの機能を持つ。第1の機能は、ガス拡散層113から供給された反応ガスを、触媒層112の反応サイトに供給する機能であり、第2の機能は、電極触媒上での反応に必要な水素イオンまたは生成された水素イオンを伝導する機能である。また、第3の機能は、反応に必要な電子または生成された電子を伝導する機能であり、第4の機能は、高い触媒性能とその広い反応面積によって電極反応を速める機能である。すなわち、触媒層112には、高い反応ガス透過性、水素イオン伝導性、電子伝導性および触媒性能が必要となる。
一般的に、触媒層112としては、ガス透過能を持たせるために、カーボン微粉末または造孔材を用いて、多孔質構造およびガスチャンネルを有する触媒層が形成されている。また、水素イオン透過能を持たせるために、高分子電解質を触媒層112中の電極触媒近傍に分散させて水素イオンネットワークを形成することが行われている。さらに、電子伝導性を持たせるために、電極触媒の担体としてカーボン微粉末やカーボン繊維などの電子伝導性材料を用い、電子チャンネルを形成することが行われている。また、触媒性能を向上させるために、粒径が数nmの非常に微細な粒子状の電極触媒をカーボン微粉末上に担持させた触媒体を、触媒層112中に高分散させることが行われている。
ここで、高分子電解質形燃料電池の実用化に向けて、触媒層112について、様々な性能の向上のための検討が行われている。例えば特許文献1においては、触媒層中の触媒利用率を高めるために、カソード、アノードへの触媒分配比をガス濃度比において調整することが提案されている。具体的には、ガス濃度が、カソード側がアノード側よりも高い領域においては、カソード触媒層中の触媒分配率を大きくし、逆に低い領域では、アノード触媒層中の触媒分配率を大きくすること、つまり、触媒層面方向において触媒分配率の異なる電極が提案されている。
また、特許文献2においても、触媒層面方向において構成材料組成を変化させた燃料電池セルが提案されている。具体的には、カソード電極内に過度の生成水滞留を抑制することを意図して、カソード触媒層において、酸化剤ガスの出口の近傍に在る触媒層において、酸化剤ガスの入口の近傍に在る触媒層よりも、触媒担持量を増大させる方法が提案されている。
特開平7-169471号公報 特開平8-167416号公報
しかしながら、上述の従来技術は、燃料電池の初期の電池特性の向上、触媒利用の有効利用の観点からの原価の低減を意図して提案されているものであり、FCを長期にわたり運転することを想定した場合の膜電極接合体および膜触媒層接合体、さらには燃料電池の耐久性や寿命特性を向上させることについては十分には検討されていなかった。
具体的には、上記特許文献1および2に、膜電極接合体および膜触媒層接合体の耐久性を向上させるという観点から触媒層を設計する技術についての報告はなく、高寿命で高効率な膜電極接合体、膜触媒層接合体、燃料電池および燃料電池スタックの実現を目指す観点からは未だ改善の余地があった。
本発明は以上の観点に鑑みてなされたものであり、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池を容易かつ確実に実現し得る膜触媒層接合体および膜電極接合体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記本発明の燃料電池を複数個搭載しており、作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、高分子電解質膜に密着して設けられているアノード触媒層およびカソード触媒層が、高分子電解質膜の耐久性に大きく影響を与えている可能性について検討し、触媒層の構成を下記の構成に工夫することにより、膜触媒層接合体の耐久性および膜電極接合体の耐久性を向上させ得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
アノード触媒層と、
カソード触媒層と、
前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、
前記アノード触媒層、前記高分子電解質膜、および、前記カソード触媒層を含む積層体(以下、膜触媒層接合体)の前記アノード触媒層の外側に配置されたアノードガス拡散層と、
前記膜触媒層接合体の前記カソード触媒層の外側に配置されたカソードガス拡散層と、
前記アノードガス拡散層、前記膜触媒層接合体、および、前記カソードガス拡散層を含む積層体(以下、膜電極接合体)の前記アノードガス拡散層の外側に配置されており、前記アノードガス拡散層および前記アノード触媒層に燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されたアノード側セパレータと、
前記膜電極接合体の前記カソードガス拡散層の外側に配置されており、前記カソードガス拡散層および前記カソード触媒層に燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されたカソード側セパレータと、
を少なくとも有しており、
前記アノード触媒層および前記カソード触媒層には、カーボン粉末および前記カーボン粉末に担持された電極触媒を含む触媒担持カーボンと、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とが含まれており、
前記アノード触媒層および前記カソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層の主面の周辺部において、前記電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、内側から外側に向けて減少している減少部分が存在する、
燃料電池(単電池)を提供する。
本発明の燃料電池においては、アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層の主面の周辺部において、触媒層単位面積あたりの触媒の質量が内側から外側に向けて減少している減少部分が存在する。
このようにアノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層を上述の構成とすることにより、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池を容易かつ確実に実現することができる。
より具体的には、本発明の燃料電池は、先に述べた減少部分が存在する触媒層を具備しているため、膜電極接合体における高分子電解質膜の分解劣化が抑制され、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって初期特性の低下を充分に防止でき、優れた耐久性を得ることができる。
ここで、本発明において、アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方を上述の構成とすることにより、上述の本発明の効果が得られることについての明確なメカニズムは解明されていないが、本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、膜電極接合体および膜触媒層接合体の劣化については、主として、高分子電解質膜で進行することが報告されている。具体的には、高分子電解質膜の劣化は、高分子電解質膜のうちの電極の周辺部に接触している部分において特異的に進行することが報告されている(例えば、S. Grot, Abstract p860, Fuel Cell Seminar Nov. 2003)。
なお、高分子電解質膜の劣化の際には、高分子電解質膜の成分元素であるフッ素が、フッ化物イオンとして燃料電池外に排出されるため、排出されるフッ化物イオン量を測定することにより、膜電極接合体および膜触媒層接合体の分解劣化の進行の度合いを定量化し、耐久性能を評価することが可能である(例えば、Wen Liu et. al., J. New Mater. Electrochem. Syst., 4 (2001) 227)。
上記電極周辺部における高分子電解質膜の劣化に対し、触媒層(アノード触媒層およびカソード触媒層の少なくとも一方)で進行する電極反応の反応熱が大きな影響を及ぼしていると推察される。触媒層周辺部において、触媒層が存在する部分では反応熱が発生し、存在しない部分では反応熱が発生しない。そのため、触媒層の周辺部およびこれに接触する高分子電解質膜の周辺部では、局所間で反応熱の発生する部分と発生しない部分とが存在すること、または、反応熱の大きさの違いが発生することにより、局所間での温度差(特に、主面に平行な面内の方向における局所間での温度差)が生じている。高分子電解質は温度により含水量等の状態変化が生じるため、高分子電解質膜のうちの触媒層周辺部に接触している部分には機械的ストレスがかかり易くなっていると推察される。
さらに、触媒層の周辺部においては、ガス拡散層を透過して当該触媒層に入ってくる反応ガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)に加えて、ガス拡散層を通過せず、セパレータのガス流路から電極周辺を廻りこんで当該触媒層に入ってくる反応ガスがある。そのため、触媒層周辺部は、触媒層中心部よりも電極反応が進行しやすく電流集中が起こりやすい。これに伴い、触媒層周辺部は上述の反応熱による劣化がさらに加速される状況であることも推察される。
本発明者らは、触媒層を構成する電極触媒の単位面積あたりの質量を触媒層中心部に対して、周辺部において減少している減少部分が存在するようにすることにより、高分子電解質膜劣化の主要因と考えられる、先に述べた反応熱による局所間での温度差の発生を十分に低減することが可能となると考えている。より具体的には、本発明者らは、触媒層周辺部での触媒量(電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量)の減少により、高分子電解質膜の劣化に寄与する余分な反応熱の発生が十分に低減されるため、触媒層周辺部における局所間での温度差(特に、主面に平行な面内の方向における局所間での温度差)を十分に低減すること(温度変化を十分に緩やかに低減できること)ができ、高分子電解質の周辺部にかかる先に述べた機械的ストレスを十分に低減することができると考えている。
以上より、触媒層中心部に対して、触媒層周辺部における電極触媒量(電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量)を上述のように減少させた触媒層構造を構築することにより、高効率の維持とともに、優れた寿命特性、すなわち高耐久性を同時に実現し得る燃料電池を得ることができる。
ここで、本発明において、「アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層の主面の周辺部において、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、内側から外側に向けて減少している減少部分が存在する」状態とは、該当する触媒層を当該触媒層の主面の法線方向に略平行な面で切断した断面でみた場合に、触媒層の周辺部において内側(すなわち、触媒層の主面の中心部側)から外側にかけて、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が概略的に減少している状態を示す。
上記概略的に減少している状態としては、例えば、上記断面でみた場合に、内側から外側に向けて、上記電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が単調に減少している状態であってもよい。また、本発明の効果が得られる範囲であれば、上記状態は、内側から外側に向けて、部分的に、内側より外側の触媒層における触媒質量が増加している状態を含んでいてもよい。さらに、本発明の効果が得られる範囲であれば、上記状態は、内側から外側に向けて、部分的に、内側より外側の触媒層における触媒質量が変化せず一定となっている状態を含んでいてもよい。ただし、作製プロセス簡略化の観点からは、単調に減少している状態が望ましい。また、上記断面でみた場合に、不連続に減少している状態であってもよい。例えば、触媒層を上記断面に沿ってみた場合、内側から外側にみて触媒層が局所的にない状態(島状)となっていてもよい(後述の図6に示す状態を参照)。
また、本発明において、「アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層の主面の周辺部」とは、該当する触媒層のうちの、「セパレータのガス流路から、ガス拡散層を通過せずに電極周辺を廻りこんでくる反応ガスの進入をうける周辺部分」をいう。
さらに、本発明において、減少部分を有する触媒層の主面の「周辺部」と当該周辺部以外の部分(以下、「中央部」という)は、当該触媒層の側に配置されるセパレータのガス流路に対して以下の位置に位置決めされる部分であることがより好ましい。すなわち、図1を用いて後に説明するように、本発明において、減少部分を有する触媒層は、当該触媒層の側に配置されるセパレータに形成されているガス流路のうちの最も外側にあるガス流路(すなわち、セパレータの主面の中心部からみて最も外側にあるガス流路)の外端を基準にして、当該外端からみて内側(すなわち、触媒層の主面の中心の側)に位置する「中央部」と、当該外端からみて外側(すなわち、触媒層の主面の中心からみて外側)に位置する「周辺部」とに区分されていることが好ましい。
周辺部を上記のように位置決めすることにより、減少部分を有する触媒層のうちのセパレータのガス流路に接触する部分(電極反応が主として進行する部分)に、触媒層の主面の中心部(電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が一定の部分)を配置することができる。
この場合、触媒層のうちの中心部(セパレータのガス流路に接触する部分)を形成するときに、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が一定の触媒層を形成すれば、より容易に触媒層を形成することができる。さらに、製造工程をシンプルにする観点から、触媒層を当該触媒層の構成材料を含む1種類の触媒層形成用インクのみで作製することが好ましいが、この場合には、1種類の触媒層形成用インクを用いて触媒層を形成しても、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が一定でありかつ上記中心部の厚さが一定な触媒層を容易に形成することができる。触媒層の中心部の厚さを一定にすることができると、セパレータとの接触抵抗を低減し易くなる。また、触媒層の中心部の厚さを一定にすることができると、触媒層の中心部の面内において当該面内にかかる締結圧のバラツキを低減し易くなる。そのため高分子電解質膜の特定の部分に大きな締結圧がかかることを防止できるので、良好な耐久性を得易くなる。
高分子電解質膜の劣化要因である反応熱は、アノードおよびカソード両触媒層で発生している。したがって、上記電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量を触媒層面方向に変化させた触媒層構造を、少なくともアノードまたはカソード触媒層の一方に適用することによって、高分子電解質膜の耐久性は向上する。さらには、上記電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量を触媒層面方向に変化させた触媒層構造を、アノードおよびカソード両触媒層に適用すれば、より効果的に耐久性を向上させることができると考えられる。
また、本発明は、上記本発明の燃料電池に搭載される膜電極接合体、および、上記本発明の燃料電池に搭載される膜触媒層接合体をも提供する。
本発明の膜電極接合体によれば、アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層を上述の構成とすることにより、膜電極接合体における高分子電解質膜の分解劣化が抑制され、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって初期特性の低下を充分に防止でき、優れた耐久性を有する燃料電池を容易かつ確実に得ることができる。
さらに、本発明の膜触媒層接合体によれば、アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層を上述の構成とすることにより、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止でき、優れた耐久性を有する燃料電池を容易かつ確実に得ることができる。
さらに、本発明は、上述の本発明の燃料電池を複数個含む燃料電池スタックをも提供する。
本発明の燃料電池スタックは、先に述べた本発明の膜電極接合体を具備しているため、膜電極接合体における高分子電解質膜の分解劣化が抑制され、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって初期特性の低下を充分に防止でき、優れた耐久性を得ることができる。
本発明によれば、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止でき、長期にわたって充分に安定な電池性能を発揮する、優れた耐久性を有する燃料電池を得ることができる。
また、本発明によれば、燃料電池の作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池を確実に実現し得る膜触媒層接合体および膜電極接合体を得ることができる。
さらに、本発明によれば、上記本発明の燃料電池を複数個搭載しており、作動および停止を繰り返しても長期にわたって高分子電解質膜の分解劣化を抑制することができ、かつ初期特性の低下を充分に防止できる、優れた耐久性を有する燃料電池スタックを得ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
図1は、本発明の燃料電池(単電池)の好適な一実施形態の基本構成の一例を示す概略断面図である。また、図2は、図1に示す燃料電池1に搭載される本実施形態の膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)の基本構成の一例を示す概略断面図であり、図3は、図2に示す膜電極接合体10を構成する本実施形態の膜触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)の一例を示す概略断面図である。
図3に示すように、本実施形態の膜触媒層接合体20は、主として、略矩形のカソード触媒層12aと、略矩形のアノード触媒層12bと、これらカソード触媒層12aとアノード触媒層12bとの間に配置される略矩形の高分子電解質膜11と、から構成されている。
高分子電解質膜11としては、特に限定されるものではなく、通常の固体高分子形燃料電池に搭載される高分子電解質膜を使用することができる。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国Du Pont社製のNafion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)、ジャパンゴアテックス(株)製のGSII(商品名)など)を使用することができる。
高分子電解質膜11は、固体電解質であり、水素イオンを選択的に輸送する水素イオン伝導性を有する。発電中の膜電極接合体20では、アノード触媒層12bで生成する水素イオンは、この高分子電解質膜11中をカソード触媒層12aに向けて移動する。
また、高分子電解質膜11を構成する高分子電解質としては、陽イオン交換基として、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、およびスルホンイミド基を有するものなどが好ましく挙げられる。水素イオン伝導性の観点から、スルホン酸基を有するものが特に好ましい。スルホン酸基を有する高分子電解質としては、イオン交換容量が0.5〜1.5meq/g乾燥樹脂であるものことが好ましい。高分子電解質のイオン交換容量が0.5meq/g乾燥樹脂以上であると、発電時に触媒層の抵抗値を低く維持し易いため好ましく、イオン交換容量が1.5meq/g乾燥樹脂以下であると、高分子電解質膜11の含水率を適当に保ちつつ、触媒層(カソード触媒層12a、アノード触媒層12b)中の良好なガス拡散特性を十分に確保しやすいため好ましい。以上と同様の観点から、イオン交換容量は0.8〜1.2meq/g乾燥樹脂が特に好ましい。
また、高分子電解質としては、CF2=CF−(OCF2CFX)m−Op−(CF2)n−SO3Hで表されるパーフルオロビニル化合物(mは0〜3の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、pは0または1を示し、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。)に基づく重合単位と、CF2=CF2で表されるテトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、を含むパーフルオロカーボン共重合体であることが好ましい。なお、上記フルオロカーボン重合体は、例えばエーテル結合性の酸素原子などを含んでいてもよい。
上記パーフルオロビニル化合物の好ましい例としては、下記式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。ただし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。
CF2=CFO(CF2q−SO3H ・・・(1)
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2r−SO3H ・・・(2)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))tO(CF22−SO3 ・・・(3)
また、高分子電解質膜11は、一種または複数種の高分子電解質で構成されていてもよいが、内部に補強体(充填材)を含んでいてもよい。ただし、高分子電解質膜11における上記補強体の配置状態(例えば疎密の程度や規則性)は特に限定されない。
このような補強体を構成する材料としては、特に制限されないが、例えばポリテトラフルオルエチレン、ポリフルオロアルコキシエチレンまたはポリフェニルスルフィドなどが挙げられる。上記補強体の形状も特に制限されないが、例えば、多孔体状の補強体、フィブリル状の補強体、ならびにフィブリル状、繊維状および球状の補強体粒子などが挙げられる。なお、フィブリル状の繊維とは、表面に存在するフィブリル(小繊維)が毛羽立ちささくれた状態(フィブリル化した状態)となっている繊維をいい、各フィブリルの間に微細な空気溝(孔)が形成されている繊維をいう。例えば、セルロース系繊維はすべて、フィブリルが多数集まった束であり、各フィブリルの間には微細な空気溝(孔)がある。
カソード触媒層12aとアノード触媒層12bとは、主として、電極触媒(例えば白金系の金属触媒)をカーボン粉末に担持させて得られる触媒担持カーボンと、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とから構成されている。
カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bに含有されて、触媒担持カーボンに付着させる水素イオン伝導性を有する高分子電解質としては、上記高分子電解質膜11を構成する高分子電解質を用いればよい。なお、カソード触媒層12a、アノード触媒層12bおよび高分子電解質膜11を構成する高分子電解質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもかまわない。例えば、米国Du Pont社製のNafion(商品名)、旭硝子(株)製のFlemion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)等の市販品であってもかまわない。
ここで、本実施形態の膜触媒層接合体20においては、上述のように、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bが、カーボン粉末およびカーボン粉末に担持された電極触媒を含む触媒担持カーボンと、触媒担持カーボンに付着した水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含んで構成されている。そして、先に説明したように、カソード触媒層12aの周辺部およびアノード触媒層12bの周辺部には、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、高分子電解質膜11の主面に略平行な方向において内側から外側に向けて概略的に減少している状態の部分(減少部分)が存在している(すなわち、図3において12a1、12a2、12b1および12b2で示される部分が存在している)。
本実施形態の膜触媒層接合体20におけるカソード触媒層12a側に代表させて説明する。図1に示すように、燃料電池1のうちのカソード触媒層12aの主面の法線方向に略平行な面で切断した断面でみた場合に、板状のカソード側セパレータ16aに形成されたガス流路17aのうちの最も外側にあるガス流路17a1(すなわち、セパレータ16の主面の中心からみて最も外側にあるガス流路17a1)の外端(図1における点線で示した部分P)を基準にして、当該部分Pからみて内側(すなわち、カソード触媒層12aの主面の中心の側)に位置する「中央部Z」と、当該部分Pからみて外側(すなわち、カソード触媒層12aの主面の中心からみて外側)に位置する「周辺部Y」と、を有する。
なお、アノード触媒層12b側も、カソード触媒層12a側と同様の構成を有している。また、図1における点線で示した部分Qは、カソードガス拡散層13aおよびアノードガス拡散層13bの外端の位置を示している。
すなわち、本実施形態においては、カソードガス拡散層13aおよびアノードガス拡散層13bの外端Qが、セパレータ16に形成されたガス流路17のうちの最も外側に位置するガス流路17a1の外端(部分P)よりも外側に位置し、部分Qと部分Pとの間に周辺部Yが位置している。
そして、膜触媒層接合体20においては、図3に示すように、カソード触媒層12aの「周辺部の厚さ」およびアノード触媒層12bの「周辺部の厚さ」をそれぞれ内側から外側に向けて減少させている。これにより、カソード触媒層12aの周辺部およびアノード触媒層12bの周辺部に、「電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が内側から外側に向けて概略的に減少している減少部分」が形成されている。
このように、各触媒層の周辺部(カソード触媒層12aの周辺部およびアノード触媒層12bの周辺部)の厚さを内側から外側に向けて減少させる場合の減少のさせ方としては、図3にその一例を示すように、触媒層の厚さが内側から外側に向けて単調に減少(電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が単調に減少)していてもよい(図3のように略直線的に減少してもよく、また、略曲線状に減少してもよい)。
図3においては、カソードガス拡散層12aの中央部Zの外端(部分P)を起点とした、上記減少部分の外端までの距離(上記略矩形の一辺に対して略垂直な方向における距離)Sは、部分Pから部分Qまでの距離と一致しているが、部分Pを起点とした上記減少部分の距離Sは、必ずしも部分Pから部分Qまでの距離と一致しておらず短くてもよい。すなわち、カソードガス拡散層12aの主面の周辺部に沿って、部分Pを起点として距離Sは当該部分Pから部分Qまでの間で変動していてもよい。
周辺部Yのうちの減少部分の主面上における配置状態については、以下の条件を満たす状態であることが好ましい。すなわち、図4に示すように、略矩形のカソード触媒層12aの主面の周辺部Yの4辺をそれぞれ4等分することにより、当該周辺部Yを16等分して得られる16個の単位周辺部Y1〜Y16のそれぞれにおいて、カソードガス拡散層12aの中央部Zの外端(部分P)を起点とした、上記減少部分の外端までの距離Sのうちの最長距離が200〜1250μmであり、かつ上記減少部分の外端部までの距離Sのうちの最短距離が0〜200μmであることが好ましい。
なお、図4は、図3における矢印Rの方向からみた膜触媒層接合体20の概略正面図である。図4は、触媒層の周辺部において内側から外側に向けて触媒担持量が減少する減少部分の有無を検証する好適な方法の一例を説明するための図でもある。
また、各触媒層の周辺部の厚さを内側から外側に向けて減少させる場合の減少のさせ方としては、図3で示した方法以外にも、例えば図5〜7に示すように、各触媒層の周辺部の内側から外側に向けて触媒層の厚さが全体として(電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が全体として減少)していれば、カソード触媒層12aの厚さおよびアノード触媒層12bの厚さが増加している部分が一部存在する状態を含むようにして減少させるようにしてもよい。
以下、図5〜7を用いて具体的に説明する。図5は、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の要部を拡大した要部拡大断面図である。図5に示すように、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)においては、カソード触媒層12aの内側から外側に向けて、矢印Xで示すようにカソード触媒層12aの厚さが概略的に減少していればよい。しかし、本発明の効果を得られる範囲においてならば、カソード触媒層12aの厚さが、部分的に、内側(矢印αで示される部分)より外側(矢印βで示される部分)のカソード触媒層12aの厚さが増加している状態を含んでいてもよい。また、本発明の効果を得られる範囲においてならば、カソード触媒層12aの厚さが概略的に減少していれば、部分的に、内側(矢印αで示される部分)より外側(矢印βで示される部分)のカソード触媒層12aの厚さが変化せず一定の状態を含んでいてもよい。カソード触媒層12aの周辺部12a2、アノード触媒層12bの周辺部12b1および12b2についても同様である。ただし、作製プロセス簡略化の観点からは、単調に減少している状態が望ましい。
また、図6は、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の変形例の態様の要部を拡大した要部拡大断面図である。図6に示すように、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)を当該カソード触媒層12aの主面の法線方向に略平行な面で切断した断面でみた場合に、触媒層を島状に設けて矢印Xで示すように内側から外側にみて触媒層が局所的にない状態を形成してもよい。これにより、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の厚さが全体として概略的に減少する状態を形成してもよい。カソード触媒層12aの周辺部12a2、アノード触媒層12bの周辺部12b1および12b2についても同様である。
図7は、カソード触媒層12aの周辺部12a1の別の変形例の態様の要部を拡大した要部拡大断面図である。図7に示すように、カソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)を当該カソード触媒層12aの主面の法線方向に略平行な面で切断した断面でみた場合に、周辺部12a1(Y)の厚さと中央部Zの厚さを略一致させつつ、周辺部12a1(Y)における触媒密度を矢印Xで示すように内側から外側にみて概略的に減少する状態を形成してもよい。カソード触媒層12aの周辺部12a2、アノード触媒層12bの周辺部12b1および12b2についても同様である。
なお、本実施形態においては、電極触媒の担持体であるカーボン粉末の単位面積あたりの質量は、触媒層の周辺部において内側から外側に向けて、電極触媒質量と比例して減少しても、減少しなくてもかまわない。また、触媒層中に存在する高分子電解質の単位面積あたりの質量は、触媒層の周辺部において内側から外側に向けて、電極触媒質量に比例して減少していても、減少していなくてもかまわない。水素イオン伝導およびフラッディングの観点からは、触媒担持カーボンの質量に比例した増減が好ましい。
カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bにおける担体であるカーボン粉末(導電性カーボン粒子)としては、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料であるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバーおよびカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理および賦活処理することによって得ることができる。
カーボン粉末の比表面積が50〜1500m2/gであることが好ましい。比表面積50m2/g以上であると、電極触媒の担持率を上げることが容易であり、得られたカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの出力特性をより十分に確保できることから好ましく、比表面積が1500m2/g以下であると、十分な大きさの細孔をより容易に確保できるようになりかつ高分子電解質による被覆がより容易となり、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの出力特性をより十分に確保できることから好ましい。上記と同様の観点から、比表面積は200〜900m2/gが特に好ましい。
カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bに用いる電極触媒としては、白金または白金合金を用いるのが好ましい。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズからなる群より選択される1種以上の金属と、白金と、の合金であるのが好ましい。また、上記白金合金には、白金と上記金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
さらに、白金からなる電極触媒と白金合金からなる電極触媒を混合して得られる電極触媒混合物を用いてもよく、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bに同じ電極触媒を用いても異なる電極触媒を用いてもよい。
また、電極触媒の一次粒子径は、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを高活性とするために、1〜20nmであることが好ましく、特に、反応活性を増大させるために表面積を大きく確保することが可能であるという観点から、2〜10nmであることが好ましい。
触媒担持カーボンの触媒担持率(触媒担持カーボンの全質量に対する、担持されている電極触媒の質量の割合)は、20〜80質量%であればよく、特に40〜60質量%であるのが望ましい。この範囲であれば、高い電池出力を得ることができる。上述のように触媒担持率が20質量%以上であると、充分な電池出力をより確実に得ることができ、80質量%以下であると、電極触媒の粒子を分散性よくカーボン粉末に担持させることができ、触媒有効面積をより増大させることができる。
カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bに含有されて、上記触媒担持カーボンに付着させる水素イオン伝導性を有する高分子電解質としては、高分子電解質膜11を構成する高分子電解質を用いればよい。なお、カソード触媒層12a、アノード触媒層12bおよび高分子電解質膜11を構成する高分子電解質は、同じ種類であっても、異なる種類であってもかまわない。例えば、米国Du Pont社製のNafion(商品名)、旭硝子(株)製のFlemion(商品名)、旭化成(株)製のAciplex(商品名)等の市販品であってもかまわない。
上記高分子電解質は、触媒担持カーボン粒子を被覆し、3次元に水素イオン伝導経路を確保するために、触媒層を構成する触媒担持カーボンの質量に比例して添加することが望ましい。
具体的には、触媒層を構成する高分子電解質質量は、触媒担持カーボン質量に対して0.2倍以上2.0倍以下であることが望ましい。この範囲であれば、高い電池出力を得ることができる。上述のように高分子電解質の質量が0.2倍以上であると、十分な水素イオン伝導性を確保しやすく、2.0倍以下であると、フラッディングの回避がより容易に可能となり、より高い電池出力を実現することができる。
なお、本実施形態のカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bにおいては、上記高分子電解質が、触媒担持カーボン粒子表面に部分的に付着していればよく、すなわち触媒担持カーボン粒子の少なくとも一部を被覆していればよく、必ずしも触媒担持カーボン粒子全体を被覆していなくともよい。もちろん、上記高分子電解質が、触媒担持カーボン粒子表面の全体を被覆していてもよい。
つぎに、図2に示すように、本実施形態における膜電極接合体10は、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bそれぞれの外側に、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーを用いて、通気性および電子伝導性を併せ持つガス拡散層13を形成されて構成される。カソード触媒層12aとガス拡散層13との組合せによりカソード14aが構成され、アノード触媒層12bとガス拡散層13との組合せによりアノード14bが構成されている。
ガス拡散層13としては、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、多孔質構造を有する導電性基材を用いることができる。また、排水性を持たせるために、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などをガス拡散層13の中に分散させてもよい。電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料でガス拡散層13を構成してもよい。さらに、ガス拡散層13のカソード触媒層12aまたはアノード触媒層12bと接する面には、撥水性高分子とカーボン粉末とで構成される撥水カーボン層を設けてもよい。なお、カソード側およびアノード側において同じガス拡散層を用いても異なるガス拡散層を用いてもよい。
図1に示すように、本実施形態における燃料電池1は、膜電極接合体10と、ガスケット15と、一対のセパレータ16(アノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16a)とで構成される。ガスケット15は、供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、カソード14aおよびアノード14bの周囲に高分子電解質膜11を挟んで配置される。ガスケット15は、カソード14aまたはアノード14bおよび高分子電解質膜11とあらかじめ一体化され、これらすべてを組み合わせたものを膜電極接合体10と呼ぶこともある。
膜電極接合体10の外側には、膜電極接合体10を機械的に固定するための一対のセパレータ16(アノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16a)が配置されている。セパレータ16の膜電極接合体10と接触する部分には、カソード14aに酸化剤ガスを供給し、アノード14bに燃料ガスを供給し、電極反応生成物、未反応の反応ガスを含むガスを反応場からカソード14aおよびアノード14b外部に運び去るためのガス流路17(アノード側セパレータ16bに形成されるガス流路17bおよびカソード側セパレータ16aに形成されるガス流路17b)が形成されている。ガス流路17はセパレータ16と別に設けることもできるが、図1においてはセパレータ16の表面に溝を設けてガス流路17が形成されている。また、セパレータ16の膜電極接合体10と反対の側には、切削により溝を設けて冷却水流路18が形成された構成を有する。
このように、一対のセパレータ16で膜電極接合体10を固定し、一方のアノード側セパレータ16bのガス流路17bに燃料ガスを供給し、他方のカソード側セパレータ16aのガス流路17aに酸化剤ガスを供給することで、数十から数百mA/cm2の実用電流密度通電時において、一つの燃料電池1で0.7〜0.8V程度の起電力を発生させることができる。ただし、通常、高分子電解質形燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、燃料電池1を必要とする個数だけ直列に連結して燃料電池スタック(後述する図12)として使用する。
ガス流路17に反応ガスを供給するためには、反応ガスを供給する配管を、使用するセパレータ16の枚数に対応する数に分岐し、それらの分岐先を直接セパレータ16上のガス流路17につなぎ込む部材であるマニホールドが必要となるが、本発明においては、外部マニホールドと内部マニホールドのいずれを採用することも可能である。
ここで、図8は、図1に示した燃料電池1のアノード側セパレータ16bの主面を冷却水流路18側から見た場合の正面図であり、図9は、図1に示した燃料電池1のアノード側セパレータ16aの主面をガス流路17b側から見た場合の正面図である。また、図10は、図1に示した燃料電池1のカソード側セパレータ16aの主面をガス流路17a側から見た場合の正面図であり、図11は、図1に示した燃料電池1のカソード側セパレータ16aの主面を冷却水流路18側から見た場合の正面図である。
図1に示す1つの燃料電池1が出力できる電圧値は限られるため(理論上、還元剤に水素ガス、酸化剤に酸素を用いた場合には約1.23V)、使用環境に応じて所望の出力電圧を得る観点から、燃料電池1は、図12に示す燃料電池スタック30を構成する単電池として用いられる。特に図12に示す燃料電池スタック30の場合、これを構成する全ての燃料電池1が図1に示す燃料電池1となっている。図12は、図1に示す本実施形態の燃料電池1を複数個積層して構成されている燃料電池スタックの一実施形態の構成を示す概略断面図である。
図12に示すように、燃料電池スタック30は、複数の膜電極接合体10間にアノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16aを介在させ、複数の膜電極接合体10を電気的に直列に積層して得られる。この場合、燃料電池スタック30を構成するには、外部のガスライン(図示せず)を通じて燃料電池スタック30に供給される反応ガスをさらに分岐して各膜電極接合体10に供給するためのマニホールド、各膜電極接合体10から排出さられるガスをまとめて燃料電池スタック30の外部に排出するためのマニホールド、外部の冷却水ライン(図示せず)を通じて燃料電池スタック30に供給される冷却水を必要な数に分岐させてアノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16aのうちの少なくとも1つに供給するためのマニホールドが必要となる。
そこで、図8〜図11に示すように、アノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16aには、燃料ガス供給用マニホールド孔24、燃料ガス排出用マニホールド孔25、冷却水供給用マニホールド孔26、冷却水排出用マニホールド孔27、酸化剤ガス供給用マニホールド孔28、および酸化剤ガス排出用マニホールド孔29が設けられている。
燃料電池1のアノード側セパレータ16bにおいて、冷却水流路18の一端は冷却水供給用マニホールド孔26に接続され他端が冷却水排出用マニホールド孔27に接続されている。さらに、燃料電池1のアノード側セパレータ16bにおいて、ガス流路17bの一端は燃料ガス供給用マニホールド孔24に接続され他端が燃料ガス排出用マニホールド孔25に接続されている。また、燃料電池1のカソード側セパレータ16aにおいて、冷却水流路18の一端は冷却水供給用マニホールド孔26に接続され他端が冷却水排出用マニホールド孔27に接続されている。さらに、燃料電池1のカソード側セパレータ16aにおいて、ガス流路17aの一端は酸化剤ガス供給用マニホールド孔28に接続され他端が酸化剤ガス排出用マニホールド孔29に接続されている。すなわち、本実施形態の燃料電池10はセパレータ中にマニホールドを有するいわゆる「内部マニホールド型」の構成を有している。
図8に示すアノード側セパレータ16bにおいて、限られた大きさのアノード側セパレータ16bの主面(略矩形状の主面)を有効に利用するため、冷却水流路18はサーペンタイン構造を有している。より詳しく説明すると、冷却水流路18は水平方向(図8のアノード側セパレータ16bにおいて、燃料ガス供給用マニホールド孔24および酸化剤ガス供給用マニホールド孔28が設けられている部分側の辺に略平行な方向)に延びる13本の直線部77a(長い流路)と、隣接する直線部の端を上流側から下流側へ連結する12本のターン部77b(短い流路)とを有する。
また、図9に示すアノード側セパレータ16bにおいて、限られた大きさのアノード側セパレータ16bの主面を有効に利用するため、ガス流路17bもサーペンタイン構造を有している。より詳しく説明すると、ガス流路17bは、水平方向(図9のアノード側セパレータ16bにおいて酸化剤ガス供給用マニホールド孔28および燃料ガス供給用マニホールド孔24が設けられている部分側の辺に略平行な方向)に延びる11本の直線部L1(長い流路)と、隣接する直線部の端を上流側から下流側へ連結する10本のターン部S1(短い流路)とを有している。
さらに、図10に示すように、カソード側セパレータ16aにおけるガス流路17aもサーペンタイン構造を有している。すなわち、ガス流路17aは、水平方向(図10のカソード側セパレータ16aにおいて酸化剤ガス供給用マニホールド孔28および燃料ガス供給用マニホールド孔24が設けられている部分側の辺に略平行な方向)に延びる11本の直線部L2(長い流路)と、隣接する直線部の端を上流側から下流側へ連結する10本のターン部S2(短い流路)とを有する。
さらに、図11に示すように、カソード側セパレータ16aにおける冷却水流路18もサーペンタイン構造を有している。すなわち、冷却水流路18は、水平方向(図11のカソード側セパレータ16aにおいて燃料ガス供給用マニホールド孔24および酸化剤ガス供給用マニホールド孔28が設けられている部分側の辺に略平行な方向)に延びる13本の直線部77a(長い流路)と、隣接する直線部の端を上流側から下流側へ連結する12本のターン部77b(短い流路)とを有する。
図12に示すように、本実施形態の燃料電池スタック30においては、これを構成する燃料電池1のアノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16aの複数の燃料ガス供給用マニホールド孔24が連続的に積層された状態で組み合わされて燃料ガス供給用マニホールド(図示せず)が形成されている。また、燃料電池スタック30においては、これを構成する燃料電池1のアノード側セパレータ16bおよびカソード側セパレータ16aの複数の燃料ガス排出用マニホールド孔25が連続的に積層された状態で組み合わされて燃料ガス排出用マニホールド(図示せず)が形成されている。さらに、燃料電池スタック30においては、冷却水供給用マニホールド孔26、冷却水排出用マニホールド孔27、酸化剤ガス供給用マニホールド孔28、および酸化剤ガス排出用マニホールド孔29についても、上述の燃料ガス供給用マニホールドと同様に、複数のマニホールド孔が連続的に積層された状態で組み合わされてマニホールド(図示せず)が形成されている。
つぎに、本実施形態の燃料電池1の製造方法について説明する。
本実施形態におけるカソード触媒層12aならびにアノード触媒層12bは、複数の触媒層形成用インクを用いて形成することができる。触媒層形成用インクを調製するために用いる分散媒としては、高分子電解質を溶解可能または分散可能(高分子電解質の一部が溶解し、他の一部が溶解せずに分散している状態を含む)であるアルコールを含む液体を用いることが好ましい。分散媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert―ブチルアルコールのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。これらの水およびアルコールは単独でも使用してもよく、2種以上混合してもよい。アルコールは、分子内にOH基を1つ有する直鎖のものが特に好ましく、エタノールが特に好ましい。このアルコールには、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル結合を有するものも含まれる。
また、触媒層形成用インクの組成は、カソード触媒層12aまたはアノード触媒層12bの構成に応じて、適宜調整すればよいが、固形分濃度0.1〜20質量%であることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%以上であると、触媒層形成用インクの噴霧または塗布により触媒層を作製するにあたり、より少ない回数の噴霧または塗布で所定の厚さの触媒層を得ることができ生産効率が良くなる。また、固形分濃度が20質量%以下であると、混合液の粘度が適度になり、均一な触媒層が得られ好ましい。固形分濃度で1〜10質量%であることが特に好ましい。
触媒層形成用インク(カソード触媒層12a形成用インクおよびアノード触媒層12b形成用インク)は、従来公知の方法に基づいて調製することができる。具体的には、ホモジナイザ、ホモミキサ等の撹拌機を使用する方法、高速回転ジェット流方式を使用するなどの高速回転を使用する方法、高圧乳化装置などの高圧をかけて狭い部分から分散液を押出すことで分散液にせん断力を付与する方法などが挙げられる。
上記触媒層形成用インクを用いてカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを形成する際には、高分子電解質膜11に対して、直接形成する直接塗布法であっても間接的に形成する間接塗布方法のいずれを採用することも可能である。塗布法としては、スクリーン印刷法、ダイコート法、スプレー法およびインクジェット法などが挙げられる。間接塗布法としては、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタラート製の支持体上に、上記の方法でカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを形成した後、熱転写により、高分子電解質膜11上に形成する方法が挙げられる。また、図6に示す本実施形態の膜電極接合体10を得る場合には、ガス拡散層13上へカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを形成した後、高分子電解質膜11と接合してもかまわない。
本実施形態の一例として、触媒層インクの塗布量をカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて減少させることで、各触媒層の周辺部の厚さを減少させてもよい(各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量を減少させてもよい)。例えば、スプレー法により塗布する場合であれば、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの面方向で塗布回数を変えること、または、触媒層インク塗布量を変化させることにより、上記各触媒層の周辺部の厚さ(各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量)がカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて減少する触媒層構造を実現してもよい。
カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの塗布エリアを規定するためには、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを塗布する高分子電解質膜または基材上に所望するカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの形状に合わせてマスクを配置する。カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12b形状は、上記マスクに予めカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12b形状を打ち抜くことにより規定しても、マスクの配置により規定してもかまわない。なお、マスクは、被塗布物との密着性を考慮し、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、カプトン、または金属等のフィルム状のものを用いることが一般的である。
本実施形態のカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bは、一例として、図13に示す構造を有するマスクを用いて形成することができる。図13は、本実施形態において用いることのできるマスクと、高分子電解質膜11(または支持体)と、これらの位置関係とを示す概略断面図である。図13に示すような断面を有するマスク19aを使用し、高分子電解質膜11とマスク19bとを密着させて固定し、上記触媒層形成用インクを噴霧により塗布すれば、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において上記各触媒層の周辺部の厚さを内側から外側に向けて減少させることが可能である(各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量を内側から外側に向けて減少させることが可能である)。
さらに、本実施形態のカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bは、他の例として、図14に示す構造を有するマスクを用いても形成することができる。図14は、本実施形態において用いることのできるマスクと、高分子電解質膜11(または支持体)と、これらの位置関係とを示す概略断面図である。図14に示すような断面を有するマスク19bを使用し、高分子電解質膜11とマスク19bとを密着させずに隙間を介して固定し、上記触媒層形成用インクを噴霧により塗布すれば、各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量をカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて減少させることが可能である。すなわち、マスク19bと高分子電解質膜11との間の隙間に触媒層形成用インクが入り込み、各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量をカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて減少させることが可能である。
さらに、本実施形態の一例として、触媒層インク組成を変化させることで、上記単位面積あたりの触媒質量が減少する触媒層構造を実現してもよい。具体的には、塗布する触媒層インクを構成する触媒担持カーボンにおける触媒担持率を、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて低下させることで、上記触媒質量の減少が実現可能である。この場合、先に説明したように、各触媒層の周辺部の厚さを内側から外側に向けて減少させず、各触媒層の周辺部の厚さを略一定の厚さとした状態で各触媒層の周辺部の単位面積あたりの触媒質量を内側から外側に向けて減少させることが可能である。
また、本実施形態においては、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの厚さ方向において、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを構成する材料組成の異なる層構造が形成されていてもよく、この場合、各層は直接塗布法、間接塗布法いずれの方法で形成されてもよい。
熱転写および接合の方法としては従来公知の方法を用いればよく、先に述べたように、アノード触媒層およびカソード触媒層のうちの少なくとも一方において、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、カソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部において内側から外側に向けて減少している減少部分が存在すること、を実現できる限りは、製造方法を適宜設計変更することも可能である。
また、上記以外の方法として、全体において略均一の厚さを有するカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bを形成した後、触媒層形成用インクをカソード触媒層12aおよびアノード触媒層12bの周辺部に、例えば島状に分散・塗布させることによって、内側から外側に向けて減少している減少部分を形成してもよい。
ここで、実施形態の一例として下記実施例1で作製された膜触媒層接合体20を高分子電解質膜11の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層12aの周辺部12a1を含む部分を図15に示す。また、下記比較例1で作製された従来の膜触媒層接合体を高分子電解質膜111の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層112aの周辺部を含む部分を図16に示す。
なお、下記実施例1の膜触媒層接合体20は、高分子電解質膜11と図14に示すマスク19bを密着していない状態(すなわち隙間を設けて)で、スプレーにより高分子電解質膜11に触媒層形成用インクを塗布して作成したものであり、下記比較例1の膜触媒層接合体は、高分子電解質膜111と図14に示すマスク19bを予め熱圧着により密着した状態で、スプレーにより高分子電解質膜111に触媒層形成用インクを塗布して作成したものである。触媒層塗布に関わる条件は、上記マスク密着性を除いて、スプレーに使用した触媒層インクおよびスプレー回数等同等である。
図15に示すように、本実施形態の一例においては、カソード触媒層12aの周辺部12a1において内側、すなわち図14におけるマスク19bのPで示される部分によって規定されたカソード触媒層12aの中心部の外周部を示す部分Pから、外側に向けて、約300μmの間で単位面積あたりの触媒質量が減少していることがわかる。さらに、300μm以上外側の領域においても触媒が飛散している。この触媒層飛散領域(減少部分)は部分Pより約700μmの領域である。すなわち、部分Pを起点とした上記減少部分の距離Sは約700μmである。
ここで、触媒層の単位面積あたりの触媒質量が減少している周辺部12a1の幅(面方向)と上記飛散領域の幅(面方向)との合計は、カソード側触媒層12aの中心部の厚さ以上であることが好ましい。このように周辺部12a1の幅(面方向)と上記飛散領域の幅(面方向)との合計が、カソード側触媒層12aの中心部の厚さ以上であると、作製プロセスにより生じる触媒層周辺部の欠け等の破損の影響が少なく、良好な電池特性の発揮が可能である
また、上述のように、部分Pで示されるカソード側触媒層12aの中央部Zの外端部は、図2および図3に示すように、部分Qで示される位置にあるガス拡散層13aの外端部よりも内側(すなわち高分子電解質膜11の中心部側)に存在することが好ましい。このように、カソード側触媒層12aの中央部Zの外端部がガス拡散層13aの外端部よりも内側に存在すると、触媒反応による反応熱がガス拡散層13aを通して放熱可能であり、より長寿命な電池特性を確実に得ることができる。
なお、ここでは、図15を用いてカソード側触媒層12aの周辺部12a1についてのみ説明したが、カソード側触媒層12aの他の周辺部12a2、およびアノード側触媒層12bの周辺部12b1および12b2についても同様である。
以上のような本発明の最大の特徴である触媒層が、膜触媒層接合体20、膜電極接合体10および燃料電池1に使用されているか否か、以下の方法によって確認することが可能である。
電子線マイクロアナライザー(EPMA)による断面観察によれば、触媒層中の電極触媒である白金などの原子の定量が可能である。さらには、二次イオン質量分析装置(SIMS)、X線回折装置(XRD)、発光分析装置(OES)、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)、波長分散型蛍光X線分析装置(XRF)などによっても、触媒の原子(元素)の定量分析が可能であり、触媒層面方向の単位面積あたりの触媒金属の分布を測定することが可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の膜触媒層接合体20、膜電極接合体10および燃料電池1においては、カソード側触媒層およびアノード側触媒層のうちの少なくとも一方において、電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、カソード側触媒層およびアノード側触媒層のうちの少なくとも一方の周辺部において内側から外側に向けて減少していればよい。より効果的には、カソード側触媒層およびアノード側触媒層の両方において、上記電極触媒が減少している触媒層構造であることが望ましい。
先に述べた、本発明の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態においては、1個の燃料電池1のみからなる高分子電解質形燃料電池について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。燃料電池1を複数積層したスタックの構成を有する高分子電解質形燃料電池も本発明の範囲に含まれる。
また、上記実施形態においては、アノード側のセパレータ16とカソード側のセパレータ16の両方に冷却水流路18を設ける態様を説明したが、少なくとも一方のセパレータ16に冷却水流路18を設ける構成であってもよい。特に、複数の燃料電池1を積層して得られるスタックを本発明の高分子電解質形燃料電池として用いる場合は、2〜3個の燃料電池1毎に、1つの冷却水流路18を設けてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
《実施例1》
本実施例では、まず、図3に示す構造を有する本発明の膜触媒層接合体を作製した。
電極触媒である白金粒子をカーボン粉末上に担持させてなる触媒担持カーボン(田中貴金属工業(株)製のTEC10E50E、50質量%がPt)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質溶液(旭硝子(株)製のFlemion)とを、エタノールと水との混合分散媒(質量比1:1)に分散させてカソード触媒層形成用インクを調製した。
なお、高分子電解質は、塗布形成後の触媒層中の高分子電解質の質量が、触媒担持カーボンの質量の0.4倍となるように添加した。
得られたカソード触媒層形成用インクを用い、総白金担持量が0.6mg/cm2となるように単層構造を有するカソード触媒層を形成した。まず、上記高分子電解質質量が1.0倍となるように調整したカソード触媒層インクを、高分子電解質膜(ジャパンゴアテックス(株)製のGSII、150mm×150mm)の一方の面に、スプレー法によって塗布し、白金担持量が0.12mg/cm2でカソード触媒層を形成した。
上記触媒層塗布時には、140mm×140mmに打ち抜かれた基材(PET)をマスクとして利用した。上記マスクは、高分子電解質膜に対して、事前に熱圧着等により密着性を向上させる工程を経ることなく、スプレー塗布時のみに、被塗布物である高分子電解質膜上に乗せ、上記打ち抜かれた内周部(図14におけるpで示される部分)より外側に10mm程度離して錘を配置した。
上記マスクの使用法により、スプレー塗布時においては、スプレーに使用されるエアの圧力により、図14に示されるような高分子電解質膜11とマスク19bの位置関係が実現していると推察された。
つぎに、電極触媒である白金ルテニウム合金(白金:ルテニウム=1:1.5モル比(物質量比))粒子をカーボン粉末上に担持させてなる触媒担持カーボン(田中貴金属工業(株)製のTEC61E54、50質量%がPt−Ru合金)と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質溶液(旭硝子(株)製のFlemion)とを、エタノールと水との混合分散媒(質量比1:1)に分散させてアノード触媒層形成用インクを調製した。
得られたアノード触媒層形成用インクを、高分子電解質膜のカソード触媒層が形成された面とは反対側の他方の面に、スプレー法によって塗布し、単層構造を有しかつ白金担持量が0.35mg/cm2でアノード触媒層を形成した。
マスクの形状および使用方法は、上記カソード触媒層作製時と同様とした。
つぎに、上記のようにして得た本発明の膜触媒層接合体を用い、図2に示す構造を有する本発明の膜電極接合体を作製した。
ガス拡散層を形成するために、寸法が16cm×20cmで厚みが270μmのカーボンクロス(三菱化学(株)製のSK−1)を、フッ素樹脂含有の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のND−1)に含浸した後、乾燥することで上記カーボンクロスに撥水性を付与した(撥水処理)。
続いて、撥水処理後のカーボンクロスの一方の面(全面)に撥水カーボン層を形成した。導電性カーボン粉末(電気化学工業(株)製のデンカブラック(商品名))と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末を分散させた水溶液(ダイキン工業(株)製のD−1)とを混合し、撥水カーボン層形成用インクを調製した。この撥水カーボン層形成用インクを、ドクターブレード法によって、上記撥水処理後のカーボンクロスの一方の面に塗布し、撥水カーボン層を形成した。このとき、撥水カーボン層の一部は、上記カーボンクロスの中に埋めこまれていた。
その後、撥水処理および撥水カーボン層形成後のカーボンクロスを、PTFEの融点以上の温度である350℃で30分間焼成した。最後に上記カーボンクロスの中央部分を抜き型にて切断し、寸法が142.5mm×142.5mmのガス拡散層を得た。
つぎに、上記のようにして得たガス拡散層の撥水カーボン層の中央部分がカソード触媒層およびアノード触媒層に接するように、2枚のガス拡散層で上記膜触媒層接合体を挟み、全体をホットプレス機で熱圧着(120℃、30分、10kgf/cm2)することにより、本発明の膜電極接合体を得た。
最後に、上記のようにして得た本発明の膜電極接合体を用い、図1に示す構造を有する本発明の燃料電池(単電池)1を作製した。上記膜電極接合体を、燃料ガス供給用のガス流路および冷却水流路を有するセパレータと、酸化剤ガス供給用のガス流路および冷却水流路を有するセパレータとで挟持し、両セパレータ間でカソードおよびアノードの周囲にフッ素ゴム製のガスケットを配置し、有効電極(アノードまたはカソード)面積が36cm2である単電池(本発明の燃料電池)を得た。
《実施例2》
触媒質量減少領域(触媒層周辺部の減少部分の距離)が表1に示す範囲となるように触媒層を形成した以外は、実施例1と同様にして本発明の単電池(燃料電池)を得た。
《比較例1》
触媒層形状を規定するスプレー塗布時のマスクの使用方法以外は、実施例1と同様にして膜触媒層接合体、膜電極接合体および単電池を作製した。
マスクは熱圧着(90℃、3分、10kgf/cm2)により、スプレー塗布前に、高分子電解質膜の両面に密着させた。スプレー塗布時においては、高分子電解質膜に密着したマスクを通して、カソード触媒層およびアノード触媒層を形成した。
[評価試験]
(1)膜触媒層周辺部直接観察
上記実施例1および上記比較例1で得られた膜電極接合体を光学顕微鏡により観察を行った。具体的には、単位面積あたりの触媒質量の減少領域、具体的には、マスクにより規定された触媒層外周から実触媒層外周までの距離を計測した。結果を表1に示した。
また、上記実施例1および比較例1で得られた膜触媒層接合体を高分子電解質膜の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層の周辺部を含む部分を撮影した(図15および図16を参照)。
(2)触媒質量減少領域(触媒層周辺部の減少部分の距離)
図4に示すように、略矩形のカソード触媒層の主面の周辺部の4辺および略矩形のアノード触媒層の主面の周辺部の4辺をそれぞれ4等分することにより、それぞれの周辺部を16等分して得られる、カソード触媒層およびアノード触媒層についてそれぞれ16個の単位周辺部Y1〜Y16において、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いて白金粒子の分布状態を観察するとともに光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、カソードガス拡散層およびアノード触媒層の中央部Zの外端部17a(部分P)を起点とした、上記減少部分の外端部までの距離Sを測定し、距離Sの最大値と最小値との範囲を求めた。
(3)耐久性評価試験
上記実施例および比較例で得られた単電池を、70℃に制御し、アノード側のガス流路に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード側のガス流路に空気をそれぞれ供給した。この際、水素ガス利用率を70%に設定し、空気利用率を40%に設定し、水素ガスおよび空気の露点がそれぞれ約70℃となるように加湿してから単電池に供給した。そして、電流密度0.3mA・cm-2 で12時間、単電池を運転してエージング(活性化処理)を行った。
エージング(活性化処理)後、各単電池について、膜電極接合体の劣化を加速して、より短時間で寿命の判断が可能な加速耐久試験を行った。上記加速耐久試験においては、高分子電解質膜が相対的に低加湿となるよう各単電池を運転した。具体的には、単電池温度を90℃に上昇させ、一方で、アノード側のガス流路に水素および二酸化炭素の混合ガス(体積比8:2)を供給し、カソード側のガス流路に空気を供給し、両ガスの露点をそれぞれ約70℃とした。また電流密度は0.16mA・cm-2 で運転した。
上記加速試験は、電池電圧低下により、運転不可能となるまで行った。単電池の耐久性については、運転可能時間より判断した。結果を表1に示した。
図15は、上記実施例1で作製した膜触媒層接合体を高分子電解質膜の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層の周辺部を含む部分を示し、図16は、上記比較例1の膜触媒層接合体を高分子電解質膜の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層の周辺部を含む部分を示す。
上記実施例1の膜触媒層接合体20は、高分子電解質膜11と図14に示すマスク19bを密着していない状態(すなわち隙間を設けて)で、スプレーにより高分子電解質膜11に触媒層形成用インクを塗布して作製したものであり、上記比較例1の膜触媒層接合体は、高分子電解質膜111と図14に示すマスク19bを予め熱圧着により密着した状態で、スプレーにより高分子電解質膜111に触媒層形成用インクを塗布して作製したものである。触媒層塗布に関わる条件は、上記マスク密着性を除いて、スプレーに使用した触媒層インクおよびスプレー回数等同等である。
図15に示すように、上記実施例1においては、カソード触媒層の周辺部12a1において内側、すなわち図14におけるマスク19bのpで示される部分によって規定されたカソード触媒層12aの中心部の外周部を示す線Pの部分から、外側に向けて、約300μmの間で単位面積あたりの触媒質量が減少していることが確認された。さらに、300μm以上外側の領域においても触媒が飛散していた。この触媒層飛散領域は線Pより約700μmの領域である。アノード側触媒層12bの周辺部12b1および12b2についても同様であった。一方、上記比較例1においては、上記のような触媒層飛散領域は形成されていないことが確認された。
また、表1の結果から明らかなように、上記実施例1の膜電極接合体は上記比較例1の膜電極接合体に対して優れた耐久性と高寿命な電池特性を実現できることが確認された。
本発明の高分子電解質形燃料電池は、自動車などの移動体、分散発電システムおよび家庭用のコージェネレーションシステムなどに好適に利用されることが期待される。
本発明の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図1に示す燃料電池1に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図2に示す膜電極接合体10を構成する膜触媒層接合体の一例を示す概略断面図である。 図3において矢印Rの方向からみた膜触媒層接合体20の概略正面図である。 図3に示す膜触媒層接合体20のカソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の要部を拡大した要部拡大断面図である。 図3に示す膜触媒層接合体20のカソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の変形例の態様の要部を拡大した要部拡大断面図である。 図3に示す膜触媒層接合体20のカソード触媒層12aの周辺部12a1(Y)の別の変形例の態様の要部を拡大した要部拡大断面図である。 図1に示した燃料電池1のアノード側セパレータ16bの主面を冷却水流路18側から見た場合の正面図である。 図1に示した燃料電池1のアノード側セパレータ16bの主面をガス流路17b側から見た場合の正面図である。 図1に示した燃料電池1のカソード側セパレータ16aの主面をガス流路17a側から見た場合の正面図である。 図1に示した燃料電池1のカソード側セパレータ16aの主面を冷却水流路18側から見た場合の正面図である。 図1に示す本実施形態の燃料電池1を複数個積層して構成されている燃料電池スタックの一実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態において用いることのできるマスクと、高分子電解質膜11(または支持体)と、これらの位置関係とを示す概略断面図である。 本発明の一実施形態において用いることのできる他のマスクと、高分子電解質膜11(または支持体)と、これらの位置関係とを示す概略断面図である。 本発明の一実施形態(実施例1)として作製された膜触媒層接合体20を高分子電解質膜11の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層12aの周辺部12a1を含む部分である。 従来(比較例1)の膜触媒層接合体を高分子電解質膜111の主面に対する略法線方向からみた光学顕微鏡像のうちの、カソード触媒層112aの周辺部を含む部分である。 従来の高分子電解質形燃料電池に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図9に示す燃料電池100に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図10に示す膜電極接合体101を構成する膜触媒層接合体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、100・・・燃料電池、10、101・・・膜電極接合体、20、102・・・膜触媒層接合体、11、111・・・高分子電解質膜、12、112・・・触媒層、12a・・・カソード触媒層、12b・・・アノード触媒層、13、113ガス拡散層、14a・・・アノード、14b・・・カソード、114・・・電極、15、115・・・ガスケット、16、116・・・セパレータ、17、117・・・ガス流路、18、118・・・冷却水流路、19a、19b・・・マスク、24・・・燃料ガス供給用マニホールド孔、25・・・燃料ガス排出用マニホールド孔、26・・・冷却水供給用マニホールド孔、27・・・冷却水排出用マニホールド孔、28・・・酸化剤ガス供給用マニホールド孔、29・・・酸化剤ガス排出用マニホールド孔、77a・・・直線部(長い流路)、77b・・・ターン部(短い流路)、30・・・燃料電池スタック。

Claims (4)

  1. アノード触媒層と、
    カソード触媒層と、
    前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、
    前記アノード触媒層、前記高分子電解質膜、および、前記カソード触媒層を含む積層体(以下、膜触媒層接合体)の前記アノード触媒層の外側に配置されたアノードガス拡散層と、
    前記膜触媒層接合体の前記カソード触媒層の外側に配置されたカソードガス拡散層と、
    前記アノードガス拡散層、前記膜触媒層接合体、および、前記カソードガス拡散層を含む積層体(以下、膜電極接合体)の前記アノードガス拡散層の外側に配置されており、前記アノードガス拡散層および前記アノード触媒層に燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されたアノード側セパレータと、
    前記膜電極接合体の前記カソードガス拡散層の外側に配置されており、前記カソードガス拡散層および前記カソード触媒層に燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されたカソード側セパレータと、
    を少なくとも有しており、
    前記アノード触媒層および前記カソード触媒層には、カーボン粉末および前記カーボン粉末に担持された電極触媒を含む触媒担持カーボンと、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とが含まれており、
    前記アノード触媒層および前記カソード触媒層のうちの少なくとも一方の触媒層の主面の周辺部において、前記電極触媒の触媒層単位面積あたりの質量が、内側から外側に向けて減少している減少部分が存在する、
    燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池に搭載されている膜電極接合体。
  3. 請求項1に記載の燃料電池に搭載されている膜触媒層接合体。
  4. 請求項1に記載の燃料電池を複数個含む燃料電池スタック。
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