JP2005310641A - 燃料電池および燃料電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より好適に電解質膜がダメージを受けることを防止する燃料電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とが密着することで層間空隙の体積をゼロとさせている。しかしながら、拡散層30表面に対しても垂直な垂直端部側面として形成されている層間空隙よりも層間空隙の体積を少しでも小さくすることができることでも本発明の効果は達成できる。完全に、拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とを密着させなくても、拡散層30の端部31の屈曲形状に沿うように塗布して層間空隙の体積を減少させればよい。
【選択図】図3A
【解決手段】拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とが密着することで層間空隙の体積をゼロとさせている。しかしながら、拡散層30表面に対しても垂直な垂直端部側面として形成されている層間空隙よりも層間空隙の体積を少しでも小さくすることができることでも本発明の効果は達成できる。完全に、拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とを密着させなくても、拡散層30の端部31の屈曲形状に沿うように塗布して層間空隙の体積を減少させればよい。
【選択図】図3A
Description
本発明は燃料電池および燃料電池の製造方法に関する。
燃料電池の1つである固体高分子膜型燃料電池は、固体高分子膜からなる電解質膜とこれを挟持するカーボンクロスやカーボンペーパ等の拡散層からなる膜−電極接合体(MEA)、膜−電極接合体を挟持するセパレータとからなる燃料電池セルを複数個組み合わせた燃料電池スタックから構成されているのが通常である。この燃料電池スタックにアノードガスとしての水素ガスを供給すると共に、カソードガスとしての空気もしくは酸素ガスを供給し、各燃料電池セルにおける電解質膜を介して水素ガスと酸素ガスとを反応させ、生成水を生じさせることで発電させる。下記特許文献1には固体高分子膜型燃料電池が示される。
この燃料電池セルの課題として、燃料電池発電中に電解質膜がダメージを受けることで、ガスシール性が損なわれてしまうことが挙げられる。各燃料電池において、ガスシール性が損なわれるとアノードガスおよび/またはカソードガスのリーク(特にクロスリーク)が増大する。このガスリークにより、各燃料電池ではガスの有効利用ができず、発電電圧が低下してしまう。したがって、使用中に電解質膜がダメージを受けることを防止する対策が必要となる。
電解質膜のダメージとしては物理的ダメージと化学的ダメージが挙げられる。物理的なダメージを低減する背景技術としては、触媒層の面の平滑性の向上、電解質膜自体の物理的強度の向上、拡散層の剛性度の向上による電解質膜への面圧均一性の向上等がある。化学的ダメージを低減する背景技術としては、電解質膜の化学的安定性の向上、電解質膜を劣化させる化学的劣化物質を電解質膜から分離する分離性の向上等がある。
ところで、電解質膜表面に対して端部側面が垂直に形成される触媒層の面内方向の面積が、触媒層の表面に形成される拡散層の面内方向の面積よりも大きい場合には、触媒層がはみ出した部分で反応が起こり、電解質膜にダメージを与える場合がある。よって、このダメージを防止するためには、触媒層の面内方向の面積が、触媒層の表面に形成される拡散層の面内方向の面積を同一にし、触媒層の端面と拡散層の端面を面一に合わせる必要がある。
しかしながら、実際には、寸法公差を考慮した精度上の関係から触媒層の面内方向の面積が、拡散層の面内方向の面積よりも小さくなり、触媒層の端面と拡散層の端面とを面一に合わせることができない場合がある。このような場合には、拡散層がはみ出した部分は、拡散層が押圧されることにより触媒層が表面形成されていない電解質膜表面と接触する。その接触点で拡散層と電解質膜とは接合される。
このような構造では、接合された拡散層と触媒層が形成されていない電解質膜表面と、この電解質膜表面に対して垂直な触媒層側面との層間に空隙が生じることがある。このような層間空隙は燃料電池に様々な不具合を与える。その1つとして、層間空隙には燃料電池の発電中に生成水や加湿水の凝縮水が溜まる場合が挙げられる。このように電解質膜表面に水溜まりが生じると、この水溜まりの作用により電解質膜がダメージを受け、電解質膜の一部が消失してしまう場合がある。
本発明は、上記課題のうち少なくとも1つを解決することに鑑みてなされてなされたものであり、より好適に電解質膜がダメージを受けることを防止する燃料電池およびその製造方法を提供することをその目的とする。
本発明の燃料電池は、燃料電池に供給されるガスに対して触媒反応を起こさせる触媒層と、前記触媒層が少なくとも片面表面の一部分に形成される電解質膜と、前記触媒層表面と接触して設けられ、前記ガスを拡散させる拡散層と、前記電解質膜の表面と対向する前記拡散層の端部付近表面が屈曲し、この屈曲した拡散層の端部付近表面の一部が前記電解質膜表面と接触する接触点を有する接触構造と、を含み、前記屈曲した拡散層端部付近表面と、前記電解質層表面と、前記触媒層端部の表面とで囲まれる層間空隙の空間体積について、前記触媒層端部の表面に代えて、前記電解質層表面と垂直な前記触媒層端部表面とした場合に形成される層間空隙の空間体積よりも小さくするように前記触媒層の端部形状が形成されることを特徴とする。
上記燃料電池であって、前記触媒層の端部形状は、前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状であると好適である。
上記燃料電池であって、前記触媒層の端部形状は、前記接触点に向かってその厚さが減少するように傾斜されると好適である。
上記燃料電池であって、前記触媒層端部の形状は、前記触媒層端部表面と前記拡散層端部表面とが密着し、前記層間空隙を有さないと好適である。
本発明は、燃料電池に供給されるガスに対して触媒反応を起こさせる触媒層と、前記触媒層が少なくとも片面表面の一部分に形成される電解質膜と、前記触媒層表面と接触して設けられ、前記ガスを拡散させる拡散層と、前記電解質膜の表面と対向する前記拡散層の端部付近表面が屈曲し、この屈曲した拡散層の端部付近表面の一部が前記電解質膜表面と接触する接触点を有する接触構造と、を含む燃料電池の製造方法であって、前記屈曲した拡散層端部付近表面と、前記電解質層表面と、前記触媒層端部の表面とで囲まれる層間空隙の空間体積について、前記触媒層端部の表面に代えて、前記電解質層表面と垂直な前記触媒層端部表面とした場合に形成される層間空隙の空間体積よりも小さくするように前記触媒層の端部形状が形成されることを特徴とする。
上記燃料電池の製造方法であって、前記触媒層の端部形状は、前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状であると好適である。
上記燃料電池の製造方法であって、前記触媒層の端部形状は、前記接触点に向かってその厚さが減少するように傾斜されると好適である。
上記燃料電池の製造方法であって、前記触媒層端部の形状は、前記触媒層端部表面と前記拡散層端部表面とが密着し、前記層間空隙を有さないと好適である。
上記燃料電池の製造方法であって、前記触媒層端部形状は、前記拡散層端部の剛性度および前記拡散層端部を押圧する押圧力に基づいて、前記拡散層端部付近表面の屈曲度を判定し、この屈曲度に応じて前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状とされると好適である。
本発明は、より好適に電解質膜がダメージを受けることを防止する燃料電池およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1には、本実施形態に係る燃料電池セル100の部分断面図が示される。図2には本実施形態に係る燃料電池セル100の上面透過図が示される(図1の燃料電池セル100の部分断面図は、図2の燃料電池100の一部分であるA−A’面を線切断した切断断面図である)。
「燃料電池セルの構造」
燃料電池セル100は、固体高分子膜である電解質膜10の積層方向の両側表面に白金触媒層20が形成されている。この両側の白金触媒層20が表面形成された電解質膜10を両側からアノード側とカソード側の拡散層30が挟持している。このアノード側からカソード側へ向かって拡散層30/白金触媒層20/電解質膜10/白金触媒層20/拡散層30の積層構造からMEA(膜−電極接合体)50が形成される。MEA50は、アノード側とカソード側のセパレータ40によって挟持され、この両側のセパレータによって押圧されている。燃料電池セル100において、拡散層端部31の表面が電解質膜10表面と接触点33で接触している。その接触点で拡散層30と電解質膜10表面とは接触・接合される。拡散層30と触媒層20は両端部(端部21、端部31)付近を含めて密着され、その間に層間空隙を有していない。
燃料電池セル100は、固体高分子膜である電解質膜10の積層方向の両側表面に白金触媒層20が形成されている。この両側の白金触媒層20が表面形成された電解質膜10を両側からアノード側とカソード側の拡散層30が挟持している。このアノード側からカソード側へ向かって拡散層30/白金触媒層20/電解質膜10/白金触媒層20/拡散層30の積層構造からMEA(膜−電極接合体)50が形成される。MEA50は、アノード側とカソード側のセパレータ40によって挟持され、この両側のセパレータによって押圧されている。燃料電池セル100において、拡散層端部31の表面が電解質膜10表面と接触点33で接触している。その接触点で拡散層30と電解質膜10表面とは接触・接合される。拡散層30と触媒層20は両端部(端部21、端部31)付近を含めて密着され、その間に層間空隙を有していない。
電解質膜10には、パーフルオロスルホン酸酸系樹脂膜等を用いることができる。この電解質膜10の片側表面に白金担持カーボン触媒とフッ素系高分子溶液と水とを混合して得たスラリーを塗布し乾燥させて白金触媒層20を形成する。触媒は、純白金、白金合金等を用いることができる。
白金触媒層20は、塗布・塗工による方法、スプレー法、インクジェット印刷法、静電印刷法等を用いて形成することができる。
拡散層30は、カーボンペーパを基材として用いている。拡散層の基材は、織布(クロス)、不織布、抄紙(ペーパ)などを用いることができる。
セパレータ40は、水素源からアノードガスとして水素を燃料電池セル100に供給する水素マニホールド60と、外気からカソードガスとして空気を燃料電池セル100に供給する空気マニホールド70が形成されている(図2)。セパレータ40は、拡散層30と接する面に複数の溝としてガス流路42が水素マニホールド60間、酸素マニホールド70間に連通するように設けられている。図2ではアノードガスである水素ガスの流路を矢印で示している。
ガス流路42は、水素マニホールド60、空気マニホールド70から燃料電池セル100に送られるガスをそれぞれの拡散層30へと導く。例えば、ガス流路42は、入口から出口まで1以上折り返して延びるサーペンタイン流路であってもよいし、あるいは、入口から出口までストレートに延びるストレート流路であってもよい。セパレータ40は、カーボン、金属、樹脂、導電性樹脂などを採用できる。図1および図2では、セパレータ40としてカーボンセパレータを用いている。
セパレータ間、MEA50とセパレータ間は接着剤80が塗布されることにより、接合されている。接着剤80は膜電極複合体の周囲を取り囲んで水素ガスおよび酸素ガスの漏洩を防止するとともにアノード側とカソード側の拡散層の間の絶縁を確保している。
上記のように単一の燃料電池セル100は、接着剤80によって2対のセパレータ部材40の間にMEA50が接合されて構成される。この燃料電池セル100を複数設け、燃料電池セル100同士をさらに接着剤80で接合し、セルモジュール化する。このセルモジュールをさらに積層してセル積層体とし、セル積層体のセル積層方向両端に、ターミナル、インシュレータ、エンドプレートを配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、セル積層体の外側でセル積層方向に延びるテンションプレート、ボルト・ナットにて固定して燃料電池スタックを構成し、燃料電池としても用いるのが通常である。
「MEA端部構造」
図3Aには、図1のMEA50の一端の端部付近の部分拡大断面図が示される。拡散層30の端部31は、セパレータ40からの押圧力によって、押圧されて屈曲している。拡散層30の端部31は、セパレータ40からの押圧力、拡散層の剛性(あるいは弾性率)に応じて、屈曲する形状が異なる。剛性が大きいほど変形しにくく、屈曲する屈曲度は小さくなり、また、剛性が小さいほど変形しやすく、屈曲する屈曲度は大きくなる。屈曲した拡散層30の端部31は、電解質膜10表面と接触点33で接触する接触構造をとっている。
図3Aには、図1のMEA50の一端の端部付近の部分拡大断面図が示される。拡散層30の端部31は、セパレータ40からの押圧力によって、押圧されて屈曲している。拡散層30の端部31は、セパレータ40からの押圧力、拡散層の剛性(あるいは弾性率)に応じて、屈曲する形状が異なる。剛性が大きいほど変形しにくく、屈曲する屈曲度は小さくなり、また、剛性が小さいほど変形しやすく、屈曲する屈曲度は大きくなる。屈曲した拡散層30の端部31は、電解質膜10表面と接触点33で接触する接触構造をとっている。
白金触媒層20の端部21は、拡散層30の端部31の屈曲度等に応じて、これに沿うように端部形状を形成されている。白金触媒層20の端部21は、接触点33に向かって傾斜が形成された形状とされている。白金触媒層20の端部21は、アノード側およびカソード側の両方において接触点33に向かって傾斜をつけた傾斜形状とされ、拡散層30の端部31、触媒層20の端部21、電解質膜10表面との層間には空隙を有さない密着構造となっている。
白金触媒層20の端部21の傾斜形状は、触媒層20の塗布量を接触点33から徐々に塗布厚を変える(増大させる)ことで形成される。この塗布厚を変化させるバランスは、拡散層30の端部31の屈曲度に応じて、塗布厚を変えて白金触媒層20の端部21の表面と、拡散層30の端部31の表面が密着するようにし、層間空隙を有さないようにする。このようにすることで拡散層30の端部31、触媒層20の端部21、電解質膜10表面との層間には空隙を有さない密着構造を形成することができる。
「層間空隙防止態様」
次に本実施形態に係る燃料電池セル100の水溜まり防止態様について説明する。本実施形態に係る燃料電池セル100は、層間空隙を有さない密着構造であるので、空隙に水溜まりが生じてしまうことを防止できる。よって空隙を有した作用による電解質膜のダメージを防止できる。
次に本実施形態に係る燃料電池セル100の水溜まり防止態様について説明する。本実施形態に係る燃料電池セル100は、層間空隙を有さない密着構造であるので、空隙に水溜まりが生じてしまうことを防止できる。よって空隙を有した作用による電解質膜のダメージを防止できる。
背景技術のMEA端部構造と比較して説明する。図4にはMEA50の一端の端部付近の断面図が示される。図4においては、同一の符号は同様の部材等を示し、説明を省略する。
図4では、触媒層20の端部側面25が、電解質膜10表面、拡散層30表面に対しても垂直な垂直端部側面として形成されている。一方で、拡散層30の端部34は、図1と同様に屈曲度を生じさせる上述の要因に応じて、屈曲した形状を有し、接触点33で電解質膜10表面と接合されている。
図4においては、この屈曲した形状を有する拡散層30の端部34は、触媒層20と当接しない部分のはみ出し面部である。このように拡散層30表面にはみ出し面部が生じてしまうのは、拡散層30の端部側面と触媒層20の端部側面を寸法精度上の都合等で面一にできず、拡散層30の表面積以内に触媒層20の表面積を抑えると、拡散層30の表面の一部分がはみ出してしまうことによる。このはみ出し部(端部34)がセパレータ40に押圧されて屈曲し、接触点33で電解質膜10表面と接合する。
図4では、垂直端部側面25と、電解質膜10表面と拡散層30表面とで囲まれる部分に層間空隙26が生じてしまう。この層間空隙26が生じることで燃料電池100に様々な不具合が生じる。その不具合の1つとして、層間空隙26には、燃料電池の発電中に生成水や加湿水の凝縮水が溜まる場合が挙げられる。このように電解質膜表面に水溜まりが生じると、この水溜まりの作用により電解質膜10がダメージを受け、電解質膜の一部が消失してしまう場合がある。また、層間空隙26を有することによる、他の問題点としてはセパレータ40からの押圧力を電解質膜10表面に均一に与えることができない等がある。
なお、本実施形態において、水溜まりの作用により電解質膜が劣化するのは以下の理由が一要因として考えられる。水が溜まっている場所には、燃料電池の触媒反応によって生じた副生成物として過酸化水素(H2O2)が安定性から存在しやすくなり、過酸化水素濃度が高まる。過酸化水素は、加湿水供給用配管から溶出して加湿水等に溶解したMn+(例:Fe2+、Al3+)と下記化学式(1)、(2)の化学反応を生じ、電解質膜攻撃性の水酸化ラジカル(・OH)、過酸化水素ラジカル(・OOH)を生じる。
H2O2+Mn+ →・OH+OH-+Mn+1 (1)
H2O2+Mn+1 →・OOH+H++Mn+ (2)
H2O2+Mn+ →・OH+OH-+Mn+1 (1)
H2O2+Mn+1 →・OOH+H++Mn+ (2)
これらラジカルは、電解質膜中に逆拡散水とともに入り込み、電解質膜を攻撃し、電解質膜成分を溶出させることで電解質膜を劣化させることが一理由として考えられる。
以上から、層間空隙の体積を触媒層20の端部側面25が、電解質膜10表面、拡散層30表面に対しても垂直な垂直端部側面として形成されている層間空隙26よりも小さくする、より好適には層間空隙の体積をゼロにすることが必要となる。
本実施形態では、拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とが密着することで層間空隙の体積をゼロとさせている。しかしながら、拡散層30表面に対しても垂直な垂直端部側面として形成されている層間空隙26よりも層間空隙の体積を少しでも小さくすることができることでも本発明の効果は達成できる。すなわち完全に、拡散層30の端部31表面と触媒層20の端部21表面とを密着させなくても、拡散層30の端部31の屈曲形状に沿うように塗布して層間空隙の体積を減少させればよい。触媒層端部31の形状を変化させて層間空隙の体積を減少させる方法は、当業者であれば設計変更可能である。
また、上記の本実施形態では、剛性が高いカーボンペーパを拡散層30として用いているが、剛性が低いカーボンクロスを拡散層として用いた場合には拡散層の屈曲率はさらに大きくなり、その断面端部形状が円の一部の形状となる場合がある。
図3Bには、剛性が低いカーボンクロスを拡散層として用いた場合の拡散層32を用いたMEA膜端部構造が示される。図3において、図1の同一の符号は同様の部材等を示し、説明を省略する。拡散層32の端部36は、セパレータ40の押圧力に応じて図3Aの拡散層30の端部付近31と比較して大きく屈曲し、その屈曲の程度は断面端部形状が円の一部の形状の程度までになっている。このような端部36が大きな屈曲形状を有する場合には、触媒層20の端部28を、この大きな屈曲度に応じて、接触点33から急激に塗布量を増大させるように塗布して、密着構造を形成して、層間空隙を防止してやればよい。
拡散層32はセパレータからの押圧力、拡散層の剛性(あるいは弾性率)に応じて、屈曲度が異なる。当業者であればこの屈曲度に応じて触媒層端部の形状を決定し、この決定に基づいて触媒層端部28の塗布量を決めることができる。
10 電解質膜、20 触媒層、21,25,28 触媒層端部、26 層間空隙、30,32 拡散層、31,34,36, 拡散層端部、33 接触点、40 セパレータ、42 ガス流路、50 MEA、60,70 マニホールド、80 接着剤、100 燃料電池セル。
Claims (9)
- 燃料電池に供給されるガスに対して触媒反応を起こさせる触媒層と、
前記触媒層が少なくとも片面表面の一部分に形成される電解質膜と、
前記触媒層表面と接触して設けられ、前記ガスを拡散させる拡散層と、
前記電解質膜の表面と対向する前記拡散層の端部付近表面が屈曲し、この屈曲した拡散層の端部付近表面の一部が前記電解質膜表面と接触する接触点を有する接触構造と、を含み、
前記屈曲した拡散層端部付近表面と、前記電解質層表面と、前記触媒層端部の表面とで囲まれる層間空隙の空間体積について、
前記触媒層端部の表面に代えて、前記電解質層表面と垂直な前記触媒層端部表面とした場合に形成される層間空隙の空間体積よりも小さくするように前記触媒層の端部形状が形成される燃料電池。 - 請求項1に記載の燃料電池であって、
前記触媒層の端部形状は、前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状である燃料電池。 - 請求項1または2に記載の燃料電池であって、
前記触媒層の端部形状は、前記接触点に向かってその厚さが減少するように傾斜される燃料電池。 - 請求項1または2に記載の燃料電池であって、
前記触媒層端部の形状は、前記触媒層端部表面と前記拡散層端部付近表面とが密着し、前記層間空隙を有さない燃料電池。 - 燃料電池に供給されるガスに対して触媒反応を起こさせる触媒層と、
前記触媒層が少なくとも片面表面の一部分に形成される電解質膜と、
前記触媒層表面と接触して設けられ、前記ガスを拡散させる拡散層と、
前記電解質膜の表面と対向する前記拡散層の端部付近表面が屈曲し、この屈曲した拡散層の端部付近表面の一部が前記電解質膜表面と接触する接触点を有する接触構造と、を含む燃料電池の製造方法であって、
前記屈曲した拡散層端部付近表面と、前記電解質層表面と、前記触媒層端部の表面とで囲まれる層間空隙の空間体積について、
前記触媒層端部の表面に代えて、前記電解質層表面と垂直な前記触媒層端部表面とした場合に形成される層間空隙の空間体積よりも小さくするように前記触媒層の端部形状が形成される燃料電池の製造方法。 - 請求項5に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記触媒層の端部形状は、前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状である燃料電池の製造方法。 - 請求項5または6に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記触媒層の端部形状は、前記接触点に向かってその厚さが減少するように傾斜される燃料電池の製造方法。 - 請求項5から7のいずれか1つに記載の燃料電池の製造方法であって、
前記触媒層端部の形状は、前記触媒層端部表面と前記拡散層端部付近表面とが密着し、前記層間空隙を有さない燃料電池の製造方法。 - 請求項6に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記触媒層端部形状は、前記拡散層端部の剛性度および前記拡散層端部を押圧する押圧力に基づいて、前記拡散層端部の屈曲度を判定し、この屈曲度に応じて前記屈曲した拡散層端部付近表面に沿う形状とされる燃料電池の製造方法。
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