JP2010161039A - 膜電極接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 裁断時に発生するガス拡散層の毛羽状の端部による対極間の短絡を回避し、さらには、燃料電池の発電時に、ガス利用効率の低下を抑制できる膜電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】電解質膜11の両面に、触媒層12a,12bと、ガス拡散層13a,13bと、を順に積層した拡散層付きのガス拡散層付きの膜電極接合体10を、積層方向Tに裁断面が形成されるように裁断する膜電極接合体の製造方法であって、該製造方法は、積層方向Tに対して垂直方向に裁断刃30を移動させながら、膜電極接合体10を裁断する。
【選択図】図1
【解決手段】電解質膜11の両面に、触媒層12a,12bと、ガス拡散層13a,13bと、を順に積層した拡散層付きのガス拡散層付きの膜電極接合体10を、積層方向Tに裁断面が形成されるように裁断する膜電極接合体の製造方法であって、該製造方法は、積層方向Tに対して垂直方向に裁断刃30を移動させながら、膜電極接合体10を裁断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電解質膜の両面に、触媒層と、導電性繊維を含むガス拡散層とを順次積層した膜電極接合体の製造方法に係り、特に、定型に裁断するに好適な膜電極接合体の製造方法に関する。
電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、低温における作動が可能であり、かつ、小型軽量化が可能であるため、自動車などの移動体への適用が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池を搭載した燃料電池自動車はエコロジーカーとして社会的な関心が高まっている。
固体高分子型燃料電池(燃料電池)は、図2に示すように、イオン交換膜からなる電解質膜11に、アノード側の触媒層12aと、カソード側の触媒層12bとを積層し、積層した積層体の両面に、ガス拡散層13a、13bをさらに積層している。このようにして積層されたガス拡散層付きの膜電極接合体(以下、膜電極接合体という)10を2枚のセパレータ(図示せず)で挟持した構造を単セルとして燃料電池は構成される。
アノード側では、セパレータを通じてガス拡散層に供給された水素ガスが、アノード側の触媒層12aに向けて拡散される。アノード側の触媒層12aでは、アノードの触媒作用により、水素ガスが、水素イオンと電子に解離される。
アノードの触媒作用により生成した水素イオンは、プロトン電導性を有する電解質膜を透過して、カソード側へ送られる。また、アノードの触媒作用により生成した電子は、外部回路を通じてカソード側へ送られる。
一方、カソード側では、セパレータを通じてガス拡散層に供給された酸素ガスが、カソード側の触媒層12bに向けて拡散される。カソード側の触媒層12bでは、電解質膜11を透過した水素イオンと、外部回路を通じて供給された電子とが、カソードの触媒作用により酸素と反応し、水を生成する。
この一連の電気化学反応により、セルは外部へ電力供給が可能となる。なお、通常使用される燃料電池システムは、セルを積層方向に多数積層させたセルスタックとして、所望の起電力が得られる。
ところで、このような膜電極接合体10は、電解質膜11に、触媒層及びガス拡散層を積層後、定型に裁断すべく、図3(a)に示すように、裁断刃40によって裁断される。裁断時には、積層方向に沿って裁断面が形成されるべく、この裁断刃40を、膜電極接合体10を積層方向に沿って移動させることにより、膜電極接合体10を裁断する。
しかしながら、このようにして得られた膜電極接合体10の裁断面は、図3(b)に示すような断面となる。具体的には、裁断刃40を積層方向に沿って移動させているので、図3(b)に示すアノード側のガス拡散層を構成する導電性繊維(例えばカーボン繊維)や、ガス拡散層そのものの切断時のダレにより、ガス拡散層の端部が、毛羽状の端部14aとなって、カソード側の電極に接触する場合がある。この結果、毛羽状の端部14aにより、アノードとカソードの触媒層(電極)が電気的に接続され、これにより発電時に短絡を生じる場合があった。
このような点を鑑みて、膜電極接合体を湾曲させた状態で、この膜電極接合体の湾曲面を横切る方向に裁断する裁断し、端面となる裁断面が、積層方向において傾斜させた膜電極接合体を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような方法によれば、膜電極接合体の裁断面が、積層方向に対して傾斜しており、図3(b)に示すものに比べて、アノード側とカソード側との触媒層間の距離も広がるため、切断時に毛羽状の端部の発生による短絡を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法で、膜電極接合体を裁断した場合には、確かに、対極間(触媒層間)の距離を、従来の方法に比べて広げることができるが、ガス拡散層において発生する毛羽状の端部の長さが、対極間の距離よりも長くなる場合もあり、対極間の短絡を確実に回避することができない。
また、切断面を積層方向に対して傾斜させているので、アノード側の触媒層と、カソード側の触媒層は、電極としての大きさが異なってしまうため、大きい側の触媒層におけるガスの利用効率が、下がってしまうおそれがある。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、裁断時に発生するガス拡散層の毛羽状の端部による対極間の短絡を回避し、さらには、燃料電池の発電時に、ガス利用効率の低下を抑制できる膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決すべく、本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、電解質膜の両面に、触媒層と、導電性繊維を含むガス拡散層と、を順に積層したガス拡散層付きの膜電極接合体を、積層方向に裁断面が形成されるように裁断する膜電極接合体の製造方法であって、該製造方法は、積層方向に対して垂直方向に裁断刃を移動させながら、膜電極接合体を裁断することを特徴とする。
本発明によれば、切断刃を用いて膜電極接合体を裁断するには、触媒層及びガス拡散層の積層方向に対して、積層された膜電極接合体の側面から、垂直方向に、切断刃(平板状の刃)を移動させながら、膜電極接合体を前記積層方向に沿って裁断面が形成されるように裁断するので、ガス拡散層のうち切断面から伸びる毛羽状の端部は、切断刃の移動方向に向かって発生する。
この結果、裁断された裁断面の対極する触媒層の端面同士が、毛羽状の端部により接触することがないので、発電時に電極間(触媒層間)における短絡を回避することができる。このようにして、膜電極接合体の裁断時のよる不良品の発生確率を低減することが可能となり、膜電極接合体の歩留まりを向上させることができる。
また、このような平板状の切断刃は、刃の中央から端部に向かって凸状に湾曲した三日月状の刃形状であり、切断刃の中央を電解質膜に接触させながら膜電極接合体10の裁断を行うことがより好ましい。
このような刃を用いて、切断刃の中央が電解質膜に接触するように裁断すれば、切断時に電解質膜からガス拡散層に向かって材料が流動しやすくなるので、裁断性が向上するばかりでなく、さらに、ガス拡散層の端部も、材料の流動方向に流れ易くなり、前記毛羽状の端部による電極間の短絡をさらに抑制することができる。
なお、本発明にいう「膜電極接合体」とは、電解質膜の両面に触媒層を積層させ、さらにその両側からガス拡散層を積層させたガス拡散層付きの膜電極接合体をいう。
本発明によれば、裁断時におけるガス拡散層を構成する導電性繊維による短絡を回避し、さらには、燃料電池の発電時に、ガス利用効率の低下を抑制できる。
以下に、図面を参照して、本発明に係る膜電極接合体の製造方法の一実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る膜電極接合体を製造する方法のうち、裁断刃で膜電極接合体の裁断する方法を説明するための図であり、図1(a)は、膜電極接合体の裁断方法を説明するための図であり、図1(b)は、(a)に示す方法により裁断された膜電極接合体の裁断面を説明するための図である。
以下に本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法について簡単に示す。まず、裁断前の膜電極接合体は以下のようにして製造される。
まず、図1(a)に示す電解質膜として、所定の大きさの高分子の電解質樹脂(パーフルオロ系プロトン交換樹脂)を含む電解質膜11を準備する。この電解質膜11に含まれる高分子電解質は、イオン交換機能を有するものであり、例えば、フルオロアルキルエーテル側鎖とパーフルオロアルキル主鎖を有するフルオロアルキル共重合体のパーフルオロ系プロトン交換樹脂が好ましく用いられる。例えば、デュポン社製ナフィオン(商標名)、旭化成製アシプレックス(商標名)、旭硝子製フレミオン(商標名)、ジャパンゴアテックス社製ゴア−セレクト(商標名)等が例示される。
次に、図1(a)に示すように、電解質膜11の両面に触媒層12を積層した膜電極接合体10を成形する。具体的には、電解質(前駆体ポリマ)と触媒担持導電体として白金担持カーボンを含むエタノールなどの揮発性を有した溶液を準備する。電解質の種類は、上述した電解質膜を構成する高分子電解質が挙げられ、電解質膜11と同種の電解質を選定することが好ましい。これにより、後述するアノード側及びカソード側の触媒層12a,12bと電解質膜11との密着性等を確保することができる。
触媒担持導電体として白金担持カーボンを例に挙げたが、触媒は、触媒反応が生じるものであるならば、特に限定されるものではなく、触媒反応における活性化過電圧が小さいことから、金、パラジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金、混合物など、2種以上の元素が含まれていても構わない。さらに、導電体は、電気的に導電可能な物質であれば特に限定されるものではなく、たとえば、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましい。
準備した溶液を、スプレー等を用いて、電解質膜11の両面に吹き付け、電解質膜11の表面にアノード側及びカソード側の触媒層12a,12bを積層し、これらの触媒層を乾燥させることにより、電解質膜11にこれら触媒層12a,12bを接合することができる。ここでは、直接、触媒層となる溶液を電解質膜11に吹き付けたが、予め触媒層を離型性のある有シートに形成し、このシートと共に電解質膜11に熱圧をかけて触媒層を形成してもよい。
次に、ガス拡散層13a,13bを触媒層12a,12bの上に積層させ、熱圧をかけてガス拡散層13a,13bを形成する。ガス拡散層13a,13bは、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維、無機導電性粒子)、より好ましくは炭素繊維、炭素粒子が用いられ、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能であり、疎水性樹脂をさらに含んでいる。疎水性樹脂としては、PTFE樹脂、フッ素樹脂等の疎水性を有する樹脂が挙げられ、ガス拡散層に撥水性をもたせ、触媒層やガス拡散層内での水分の滞留によるフラッティングを防止することができるものであれば、特に限定されるものではない。尚、本実施形態では、触媒層、ガス拡散層を順次熱圧により積層させたが、これらの層を積層後一度に熱圧により定着させてもよい。
そして、このように、電解質膜11の両面に、触媒層12a,12bと、ガス拡散層13a,13bと、を順に積層した拡散層付きのガス拡散層付き膜電極接合体10を、積層方向Tに裁断面が形成されるように裁断する。
具体的には、本実施形態では、積層方向Tに対して垂直方向に裁断刃30を移動させながら、膜電極接合体10を裁断する。ここで、平板状の切断刃30は、刃の中央31から端部32に向かって凸状に湾曲した三日月状の刃形状であり、切断刃30の中央を電解質膜11に接触させながら膜電極接合体10の裁断を行う。
このように、切断刃30を用いて膜電極接合体10を裁断するには、触媒層12a,12b及びガス拡散層13a,13bの積層方向Tに対して、垂直方向Dに、切断刃(平板状の刃)30を移動させながら、膜電極接合体10を積層方向Tに沿って裁断面が形成されるように裁断するので、ガス拡散層13a,13bのうち切断面から伸びる毛羽状の端部14bは、切断刃の移動方向である垂直方向Dに向かって発生する。
この結果、裁断された裁断面の対極する触媒層12a,12bの端面同士が、毛羽状の端部により接触することがないので、発電時に電極間(触媒層間)における短絡を回避することができる。このようにして、膜電極接合体10の裁断時における不良品の発生確率を低減することが可能となり、膜電極接合体10の歩留まりを向上させることができる。
このような裁断刃30を用いて、切断刃30の中央31が電解質膜11に接触するように裁断すれば、切断時に電解質膜11からガス拡散層13a,13bに向かって材料が流動しやすくなるので、裁断性が向上するばかりでなく、さらに、ガス拡散層13a,13bも、材料の流動方向に流れ易くなり、毛羽状の端部による電極間の短絡をさらに抑制することができる。
固体高分子電解質膜を準備した。次に、表1に示す割合で、電解質、白金担持カーボンと、電解質膜の電解質とを含む水及びエタノールを、混合して超音波又はミルにより分散して触媒層用複合粉体スラリーを得た。このスラリーをテフロンシート上に、ドクターブレードを用いて、アノード及びカソードの両極が0.5(mgPt/cm2)となるように、塗布・乾燥させて、触媒層を製作した。
次に、カーボンペーパー(例えば三菱レーヨン製TKK−01など)に撥水化のためのPTFEとその分散剤を含んだインクを塗布・乾燥して、ガス拡散層を製作した。
そして、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層を重ねて、面プレス機によって、140℃、4MPa、4分の条件で、これらの触媒層を定着後、カソード側及びアノード側のガス拡散層をさらに挟み込み、100℃、1.2MPa、4分の条件でさらにガス拡散層を定着させて、ガス拡散層付き膜電極接合体を製造した。
そして、拡散層付きのガス拡散層付きの膜電極接合体10を、積層方向Tに裁断面が形成されるように、積層方向Tに対して垂直方向Dに裁断刃40を移動させながら裁断した。
(結果)
裁断時におけるガス拡散層の毛羽状の端部により、アノード側及びカソード側の両極のショートは起こらなかった。これにより、裁断工程における製品の歩留まりが大幅に向上するといえる。
裁断時におけるガス拡散層の毛羽状の端部により、アノード側及びカソード側の両極のショートは起こらなかった。これにより、裁断工程における製品の歩留まりが大幅に向上するといえる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
11:電解質膜、12a:アノード側の触媒層、12b:カソード側の触媒層、13a:アノード側のガス拡散層、13b:カソード側のガス拡散層、10:(ガス拡散層付きの)膜電極接合体、14a,14b:毛羽状の端部
Claims (1)
- 電解質膜の両面に、触媒層と、導電性繊維を含むガス拡散層と、を順に積層したガス拡散層付きの膜電極接合体を、積層方向に裁断面が形成されるように裁断する膜電極接合体の製造方法であって、
該製造方法は、積層方向に対して垂直方向に裁断刃を移動させながら、膜電極接合体を裁断することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
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JP2009004028A JP2010161039A (ja) | 2009-01-09 | 2009-01-09 | 膜電極接合体の製造方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2012089308A (ja) * | 2010-10-18 | 2012-05-10 | Honda Motor Co Ltd | 燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法 |
US9570758B2 (en) | 2010-07-05 | 2017-02-14 | Nippon Soken, Inc. | Manufacturing method and manufacturing apparatus for gas diffusion layer of fuel cell, and fuel cell |
-
2009
- 2009-01-09 JP JP2009004028A patent/JP2010161039A/ja active Pending
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US9570758B2 (en) | 2010-07-05 | 2017-02-14 | Nippon Soken, Inc. | Manufacturing method and manufacturing apparatus for gas diffusion layer of fuel cell, and fuel cell |
JP2012089308A (ja) * | 2010-10-18 | 2012-05-10 | Honda Motor Co Ltd | 燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法 |
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