JP2007168345A - 液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法及びデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン基材を薄板化加工する際に破損させずに加工し、しかもノズル孔先端の稜線部に樹脂残渣等が残ることがない液滴吐出ヘッドの製造方法等を提供する。
【解決手段】2段形状で連通したノズル孔11をエッチング加工によってシリコン基材100に形成する工程と、ノズル孔11内にシリコン酸化膜50を充填する工程と、シリコン基材100の大径孔11b側の面に樹脂層62を介して支持基板120を貼り合わせる工程と、シリコン基材100の小径孔11a側の面100bを薄板化して小径孔11aの先端部を開口する工程と、充填されたシリコン酸化膜50を除去する工程と、シリコン基材100の小径孔11a側の面100bに酸化膜105、撥水膜106を成膜する工程と、支持基板120をシリコン基材100より剥離する工程とを有するノズル基板1の製造方法を用いて、液滴吐出ヘッド10を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】2段形状で連通したノズル孔11をエッチング加工によってシリコン基材100に形成する工程と、ノズル孔11内にシリコン酸化膜50を充填する工程と、シリコン基材100の大径孔11b側の面に樹脂層62を介して支持基板120を貼り合わせる工程と、シリコン基材100の小径孔11a側の面100bを薄板化して小径孔11aの先端部を開口する工程と、充填されたシリコン酸化膜50を除去する工程と、シリコン基材100の小径孔11a側の面100bに酸化膜105、撥水膜106を成膜する工程と、支持基板120をシリコン基材100より剥離する工程とを有するノズル基板1の製造方法を用いて、液滴吐出ヘッド10を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法及びデバイスの製造方法に関する。
インクジェットヘッドは、記録時の騒音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、インクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど、多くの利点を有する。この中でも記録が必要なときにのみインク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマンド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としないため、現在主流となってきている。このインク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッドには、インクを吐出させる方法として、駆動手段に静電気力を利用したものや、圧電振動子や発熱素子等を用いたものがある。
インクノズルの先端部からインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、ノズル部の流路抵抗を調整し、最適なノズル長さになるように、基板の厚さを調整することが望ましい。このようなノズル基板を作製する場合、シリコン基材の一方の面からICP(Inductively Coupled Plasma)放電を用いた異方性ドライエッチングを施し、内径の異なる第1のノズル孔(噴射口部分となる小径ノズル孔)と第2のノズル孔(導入口部分となる大径ノズル孔)を2段に形成した後、吐出側の面よりその一部を異方性ウェットエッチングにより掘下げ、ノズル孔の長さを調整する方法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、あらかじめシリコン基材を所望の厚みに研磨した後、シリコン基材の両面にそれぞれドライエッチング加工を施して、第1のノズル孔及び第2のノズル孔を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1記載の技術では、ノズル孔の吐出側の面の一部がノズル基板の表面から一段下がった位置にあるため、インク滴の飛行曲がりが生じたり、あるいはノズル孔の目詰まりの原因となる紙粉、インク等が吐出面に付着したときこれらを払拭するワイピング作業が必要になる。
特許文献2記載の技術では、製造工程中にシリコン基材が割れ易く、そのため高価になってしまう。また、ドライエッチング加工の際に、加工形状が安定するように基材の裏面からHeガス等で冷却を行うが、ノズル孔の貫通時にHeガスがリークして、エッチングが不可能になる場合がある。
このため、予めシリコン基材にノズル形状を形成しておき、支持基板に貼り合わせてから薄板化加工して、ノズル孔を開口する方法もある。さらに、ノズル孔開口時のノズル孔先端部の欠けを防止するため、支持基板を貼り合わせる際に、予めノズル孔内に貼り合わせ用樹脂を充填しておく方法もあった。しかしながら、薄板化加工後、樹脂を除去する際に、ノズル孔の先端稜線部にSiO2 膜のバリ、樹脂残渣が残ってしまう。
このため、予めシリコン基材にノズル形状を形成しておき、支持基板に貼り合わせてから薄板化加工して、ノズル孔を開口する方法もある。さらに、ノズル孔開口時のノズル孔先端部の欠けを防止するため、支持基板を貼り合わせる際に、予めノズル孔内に貼り合わせ用樹脂を充填しておく方法もあった。しかしながら、薄板化加工後、樹脂を除去する際に、ノズル孔の先端稜線部にSiO2 膜のバリ、樹脂残渣が残ってしまう。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、シリコン基材を薄板化加工する際に支持基板によって支持して破損させずに加工し、しかも支持基板を除去する際にノズル孔先端の稜線部にSiO2 膜のバリ、樹脂残渣が残ることがない液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法及びデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、小径孔先端が基材により閉じられ大径孔基端が基材表面に開口して2段形状で連通したノズル孔をエッチング加工によってシリコン基材に形成する工程と、ノズル孔内にシリコン酸化膜を充填する工程と、シリコン基材の大径孔側の面に樹脂層を介して支持基板を貼り合わせる工程と、シリコン基材の小径孔側の面を薄板化して小径孔の先端部を開口する工程と、ノズル孔内に充填されたシリコン酸化膜をシリコン基材の小径孔側の面から除去する工程と、シリコン基材の小径孔側の面に酸化膜、撥水膜を成膜する工程と、支持基板をシリコン基材より剥離する工程とを有するノズル基板の製造方法を用いて、液滴吐出ヘッドを製造するものである。
シリコン基材のノズル孔内にシリコン酸化膜を充填してから支持基板を貼り合わせるので、貼り合わせの際に樹脂がノズル孔内に入り込むことがなく、このためシリコン基材を剥離し樹脂を引き抜く際にノズル孔内に樹脂が残ることはない。
シリコン基材のノズル孔内にシリコン酸化膜を充填してから支持基板を貼り合わせるので、貼り合わせの際に樹脂がノズル孔内に入り込むことがなく、このためシリコン基材を剥離し樹脂を引き抜く際にノズル孔内に樹脂が残ることはない。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ノズル孔内に充填されたシリコン酸化膜はSOG法によって形成されたものである。
ノズル内に充填するシリコン酸化膜をSOG法により形成するので、熱酸化で成膜したSiO2 膜とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜を残してエッチングすることが可能となる。
ノズル内に充填するシリコン酸化膜をSOG法により形成するので、熱酸化で成膜したSiO2 膜とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜を残してエッチングすることが可能となる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、SOGを回転塗布し、焼成してシリコン酸化膜を形成し、さらにエッチバックを行ってノズル孔内にのみシリコン酸化膜を形成するようにしたものである。
ノズル内に充填するシリコン酸化膜をSOG法により形成するので、熱酸化で成膜したSiO2 膜とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜を残してエッチングすることが可能となり、ノズル内壁の親水性を維持することができる。
ノズル内に充填するシリコン酸化膜をSOG法により形成するので、熱酸化で成膜したSiO2 膜とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜を残してエッチングすることが可能となり、ノズル内壁の親水性を維持することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ノズル孔内に充填されたシリコン酸化膜をフッ酸によるウエットエッチングよって除去するようにしたものである。
シリコン酸化膜をフッ酸によるウエットエッチングよって容易に除去することができ、このため樹脂を引き抜く際にノズル孔内の先端稜線部にSiO2 膜のバリや樹脂残渣が残ることはない。
シリコン酸化膜をフッ酸によるウエットエッチングよって容易に除去することができ、このため樹脂を引き抜く際にノズル孔内の先端稜線部にSiO2 膜のバリや樹脂残渣が残ることはない。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、支持基板に剥離層をスピンコートしその上に樹脂層をスピンコートしてシリコン基材の大径側の面と支持基板とを貼り合わせるようにしたものである。
樹脂層によって良好に接続でき、剥離層によって良好に剥離することができる。
樹脂層によって良好に接続でき、剥離層によって良好に剥離することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、樹脂層として熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤を用いたものである。
熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤を用いることによって、シリコン基材と支持基板を容易かつ確実に接合することができる。
熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤を用いることによって、シリコン基材と支持基板を容易かつ確実に接合することができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造するようにしたものである。
歩留まり向上と生産性向上を達成する高精度な液滴吐出装置を製造することができる。
歩留まり向上と生産性向上を達成する高精度な液滴吐出装置を製造することができる。
本発明に係るデバイスの製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用してデバイスを製造するようにしたものである。
歩留まり向上と生産性向上を達成する高精度なデバイスを製造することができる。
歩留まり向上と生産性向上を達成する高精度なデバイスを製造することができる。
図1は本発明の一実施の形態に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図、図2は図1の要部の縦断面図である。図において、インクジェットヘッド10は、複数のノズル孔11が所定の間隔で設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が設けられた電極基板3とを貼り合わせて構成したものである。
ノズル基板1はシリコン基材から作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、径の異なる2段の円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわちインク吐出面1b側に位置して先端がこのインク吐出面1bに開口する径の小さい第1のノズル孔(噴射口部分の小径孔)11aと、キャビティ基板2と接合する接合面1a側に位置して導入口部分が接合面1aに開口する径の大きい第2のノズル孔(導入口部分の大径孔)11bとから構成され、基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられている。こうして、インク滴の吐出方向をノズル孔11の中心軸方向に揃え、安定したインク吐出特性を発揮させることによって、インク滴の飛翔方向のばらつきをなくし、インク滴の飛び散りをなくし、インク滴の吐出量のばらつきを抑制する。
キャビティ基板2は、シリコン基材から作製され、吐出凹部210、オリフィス凹部230およびリザーバ凹部240が形成されている。そして、オリフィス凹部230(オリフィス23)を介して吐出凹部210(吐出室21)とリザーバ凹部240(リザーバ24)とが連通している。リザーバ24は各吐出室21に共通の共通インク室を構成し、それぞれオリフィス23を介してそれぞれの吐出室21に連通している。リザーバ24の底部には後述する電極基板3を貫通するインク供給孔25が形成され、このインク供給孔25を通じて、図示しないインクカートリッジからインクが供給される。吐出室21の底壁は振動板22となっている。なお、キャビティ基板2の全面もしくは少なくとも電極基板3との対向面には、熱酸化やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によりなる絶縁性のSiO2膜26が施されている。この絶縁膜26は、インクジェットヘッド10を駆動させたときに、絶縁破壊やショートを防止する。
電極基板3は、ガラス基材から作製される。電極基板3には、キャビティ基板2の各振動板22に対向する位置にそれぞれ凹部310が設けられている。そして、各凹部310内には、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31がスパッタにより形成されている。したがって、振動板22と個別電極31との間に形成されるギャップは、この凹部310の深さ、個別電極31および振動板22を覆う絶縁膜26の厚さにより決定されることになる。
個別電極31は、リード部31aと、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部31bとを備えている。端子部31bは、配線のためにキャビティ基板2の末端部が開口された電極取り出し部311内に露出している。そして、ICドライバ等の駆動制御回路40を介して、各個別電極31の端子部31bとキャビティ基板2上の共通電極27とが接続されている。
次に、上記のように構成したインクジェットヘッド10の動作を説明する。駆動制御回路40が駆動し、個別電極31に電荷を供給して正に帯電させると、振動板22は負に帯電し、個別電極31と振動板22の間に静電気力が発生する。この静電気力によって、振動板22は個別電極31に引き寄せられて撓む。これによって、吐出室21の容積が増大する。個別電極31への電荷の供給を止めると、振動板22はその弾性力により元に戻り、その際、吐出室21の容積が急激に減少して、そのときの圧力により吐出室21内のインクの一部がインク滴としてノズル孔11より吐出する。振動板22が次に同様に変位すると、インクがリザーバ24からオリフィス23を通って吐出室21内に補給される。
上記のように構成されたインクジェットヘッド10の製造方法について、図3〜図9を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態に係るノズル基板1を示す上面図、図4〜図9はノズル基板1の製造工程を示す断面図(図3をA−A線で切断した断面図)である。
ノズル基板1の製造工程を、図4〜図9を用いて以下に説明する。
(a) まず、図4(a)に示すように、厚み525μmのシリコン基材100を用意し、熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、シリコン基材100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する。
(b) 次に、図4(b)に示すように、シリコン基材100の接合面(キャビティ基板2と接合されることとなる面であって、大径孔側の面ともいう)100aにレジスト102をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110aをパターニングする。
(a) まず、図4(a)に示すように、厚み525μmのシリコン基材100を用意し、熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、シリコン基材100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する。
(b) 次に、図4(b)に示すように、シリコン基材100の接合面(キャビティ基板2と接合されることとなる面であって、大径孔側の面ともいう)100aにレジスト102をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110aをパターニングする。
(c) 次に、図4(c)に示すように、シリコン基材100を、例えば緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜101を薄くする。このとき、インク吐出側の面(小径孔側の面ともいう)100bのSiO2 膜101もエッチングされ、SiO2 膜101の厚みが減少する。
(d) 次に、図4(d)に示すように、シリコン基材100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する。
(e) 次に、図4(e)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側にレジスト103をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110bをパターニングする。
(d) 次に、図4(d)に示すように、シリコン基材100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する。
(e) 次に、図4(e)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側にレジスト103をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110bをパターニングする。
(f) 次に、図5(f)に示すように、シリコン基材100を緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、ノズル孔となる部分110bのシリコン基材100のSiO2 膜101を開口する。このとき、インク吐出側の面100bのSiO2 膜101はエッチングされ、完全に除去される。
(g) 次に、図5(g)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する。
(g) 次に、図5(g)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する。
(h) 次に、図5(h)に示すように、ICPドライエッチング装置(図示せず)により、SiO2 膜101の開口部を、例えば深さ25μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第1のノズル孔11aを形成する。この場合のエッチングガスとしては、C4F8、SF6 を使用し、これらのエッチングガスを交互に使用すればよい。ここで、C4F8は形成される溝の側面にエッチングが進行しないように溝側面を保護するために使用し、SF6 はシリコン基材100の垂直方向のエッチングを促進させるために使用する。
(i) 次に、図5(i)に示すように、第2のノズル孔となる部分のSiO2 膜101のみがなくなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする。
(j) 次に、図5(j)に示すように、ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜101の開口部を、深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第2のノズル孔11bを形成する。
(k) 次に、シリコン基材100の表面に残るSiO2 膜101をフッ酸水溶液で除去した後、シリコン基材100を熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1000℃、酸化時間2時間、酸素雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、図6(k)に示すように、シリコン基材100の接合面100a及びインク吐出側の面100bに、さらに第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bの側面及び底面に、膜厚0.1μmのSiO2 膜104を均一に成膜する。
(j) 次に、図5(j)に示すように、ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜101の開口部を、深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第2のノズル孔11bを形成する。
(k) 次に、シリコン基材100の表面に残るSiO2 膜101をフッ酸水溶液で除去した後、シリコン基材100を熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1000℃、酸化時間2時間、酸素雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、図6(k)に示すように、シリコン基材100の接合面100a及びインク吐出側の面100bに、さらに第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bの側面及び底面に、膜厚0.1μmのSiO2 膜104を均一に成膜する。
(l) 次に、SOG法でシリコン酸化膜50を成膜する。すなわち、図6(l)に示すように、SOG(Spin on Glass)を回転塗布し、400℃、30分の条件で焼成して、シリコン酸化膜50を形成する。
(m) さらにエッチバックを行うことで、図6(m)に示すように、第1のノズル孔11aと第2のノズル孔11bの中だけにシリコン酸化膜50が充填された状態にする。
(m) さらにエッチバックを行うことで、図6(m)に示すように、第1のノズル孔11aと第2のノズル孔11bの中だけにシリコン酸化膜50が充填された状態にする。
(n) 次に、図6(n)(以後、図6(m)に示したシリコン基材100の上下を逆転した状態で示す)に示すように、ガラス等よりなる透明材料の支持基板120に剥離層61をスピンコートし、さらにその上に樹脂層62をスピンコートする。支持基板120の剥離層61及び樹脂層62をコートした面と、シリコン基材100の接合面100aを向かい合わせ、真空中で支持基板120とシリコン基材100を貼り合せた後に、樹脂層62を硬化させる。このとき、第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bにはシリコン酸化膜50が充填されているので、第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11b内に樹脂層62が入り込むことはない。なお、剥離層121と樹脂層122については、のちに詳述する。
(o) 次に、図7(o)に示すように、シリコン基材100のインク吐出側の面100bをバックグラインダー(図示せず)によって研削加工し、第1のノズル孔11aの先端が開口するまでシリコン基材100を薄くする。更には、ポリッシャー、CMP装置によってノズル面を研磨するなどして、第1のノズル孔11aの先端部の開口を行っても良い。あるいは、第1のノズル孔11aの先端部の開口を、ドライエッチングで行っても良い。例えば、SF6 をエッチングガスとするドライエッチングで、第1のノズル孔11aの先端部までシリコン基材100を薄くし、表面に露出した第1のノズル孔11aの先端部のSiO2 膜104を、CF4 又はCHF3 等のエッチングガスとするドライエッチングによって除去してもよい。CMP加工後のノズル内研磨材の水洗除去工程が必要であることを考えると、ドライエッチングで開口を行うことが望ましい。
(P) 次に、図7(p)に示すように、緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)によってエッチングし、シリコン酸化膜50を除去する。このとき、ノズル孔11内壁のSiO2 膜104もエッチングされるが、エッチング時間を短くすることによって完全に除去されずに残すことができる。
(q) 次に、図7(q)に示すように、シリコン基材100のインク吐出側の面100bに、スパッタ装置でSiO2 膜105を0.1μmの厚みで成膜する。ここで、SiO2 膜105の成膜は、樹脂層62が劣化しない温度(200℃程度)以下で実施できれば良く、スパッタリング法に限るものではない。ただし、耐インク性等を考慮すると緻密な膜を形成する必要があり、ECRスパッタ装置等の常温で緻密な膜を成膜できる装置を使用することが望ましい。このとき、第1のノズル孔11aの内壁及び樹脂層62の表面にもSiO2 膜101が成膜されるが、第1のノズル孔11aが庇のようになり、第2のノズル孔11b内壁と樹脂層62表面の接線部近傍に酸化膜が成膜されることはない。
(q) 次に、図7(q)に示すように、シリコン基材100のインク吐出側の面100bに、スパッタ装置でSiO2 膜105を0.1μmの厚みで成膜する。ここで、SiO2 膜105の成膜は、樹脂層62が劣化しない温度(200℃程度)以下で実施できれば良く、スパッタリング法に限るものではない。ただし、耐インク性等を考慮すると緻密な膜を形成する必要があり、ECRスパッタ装置等の常温で緻密な膜を成膜できる装置を使用することが望ましい。このとき、第1のノズル孔11aの内壁及び樹脂層62の表面にもSiO2 膜101が成膜されるが、第1のノズル孔11aが庇のようになり、第2のノズル孔11b内壁と樹脂層62表面の接線部近傍に酸化膜が成膜されることはない。
(r) 続いて、図8(r)に示すように、シリコン基材100のインク吐出側の面100bに撥水処理を施す。この場合、F原子を含む撥水性を持った材料を蒸着やディッピングで成膜し、撥水膜106を形成する。このとき、第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bの内壁、並びに樹脂層62の表面にも撥水膜106が形成される。
(s) 次に、図8(s)に示すように、撥水処理されたインク吐出側の面100bに、ダイシングテープ等のテープ70を貼り付ける。
次に、支持基板120側からレーザーを照射した後、インク吐出側の面100bを吸着ステージ等により真空吸着固定し、剥離層61の部分から支持基板120を剥離する。
(t) 次に、図8(t)に示すように、樹脂層62を外周部からゆっくり剥がし取る。このとき、ノズル孔11内には樹脂層62がほとんどないため、樹脂層62を完全に引き抜くことができる。
(s) 次に、図8(s)に示すように、撥水処理されたインク吐出側の面100bに、ダイシングテープ等のテープ70を貼り付ける。
次に、支持基板120側からレーザーを照射した後、インク吐出側の面100bを吸着ステージ等により真空吸着固定し、剥離層61の部分から支持基板120を剥離する。
(t) 次に、図8(t)に示すように、樹脂層62を外周部からゆっくり剥がし取る。このとき、ノズル孔11内には樹脂層62がほとんどないため、樹脂層62を完全に引き抜くことができる。
(u) 次に、図9(u)に示すように、シリコン基材100をドライエッチング装置にセットし、O2 プラズマ処理、あるいはArプラズマ処理により、ノズル孔11の内壁に付着している撥水膜106を除去する。このとき、インク吐出側の面100bの撥水膜106にはテープ70が貼り付けられているので、このテープ70によって撥水膜106は保護される。
(v) 次に、シリコン基材100の接合面100a側を真空吸着固定して、テープ70を剥離し、図9(v)に示すように、ノズル基板1を回収する。
以上の工程を経ることにより、シリコン基材100よりノズル基板1を形成する。
(v) 次に、シリコン基材100の接合面100a側を真空吸着固定して、テープ70を剥離し、図9(v)に示すように、ノズル基板1を回収する。
以上の工程を経ることにより、シリコン基材100よりノズル基板1を形成する。
次に、上記のようにして構成したノズル基板1の接合面100aに、キャビティ基板2の接合面を貼り合せる(接合工程は図示せず)。
以上の工程を経ることにより、ノズル基板1とキャビティ基板2の接合体を形成する。
以上の工程を経ることにより、ノズル基板1とキャビティ基板2の接合体を形成する。
その後、ノズル基板1とキャビティ基板2からなる接合体において、キャビティ基板2の他の接合面に電極基板3の接合面を貼り付ける(接合工程は図示せず)。
以上の工程を経ることにより、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合体を形成し、インクジェットヘッド10を完成する。
以上の工程を経ることにより、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合体を形成し、インクジェットヘッド10を完成する。
上記の実施の形態では、シリコン基材100と支持基板120を貼り合せる際に、樹脂層62及び剥離層61を用いた。ここで、樹脂層62は、シリコン基材100表面の凹凸を吸収し、かつシリコン基材100と支持基板120とを接合するためのものであり、剥離層61は、上述した所定の処理工程の後、シリコン基材100から支持基板120を剥離させるためのものである。この場合、支持基板120は光透過性を有するものであるのが好ましく、例えば、ガラスを用いることができる。これにより、シリコン基材100から支持基板120を剥離する際に、支持基板120の裏面に照射される剥離エネルギーを有する光を、剥離層61に確実に到達させることができる。
樹脂層62としては、シリコン基材100と支持基板120を接合する機能を有しているものであれば特に限定されず、各種樹脂を用いることができる。より具体的には、例えば、熱硬化性接着剤や光硬化性接着剤等の硬化性接着剤等の樹脂を用いることができる。また、樹脂層62は、耐ドライエッチング性の高い材料を主材料としているのが好ましい。これにより、シリコン基材100をエッチングして第1、第2のノズル孔11a,11bを形成する際に、樹脂層62をエッチングの停止層とし、シリコン基材100を完全に貫通させて第1、第2のノズル孔11a,11bを形成することができる。また、樹脂層62は、加工時において、シリコン基材100と支持基板120との材料の違いによる線膨張係数の相違によって、これらに生じる応力を緩和する作用も有する。
剥離層61は、レーザ光等の光を受けて、剥離層61の内部や界面において、剥離(「層内剥離」または「界面剥離」ともいう)が生じる機能を有する。すなわち、剥離層61は、一定の強度の光を受けることにより、構成材料の原子または分子における原子間または分子間の結合力が消失または減少し、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離が生じやすくなるものである。また、剥離層61は、一定の強度の光を受けることにより、剥離層61の構成材料中の成分が気体となって放出され分離に至る場合と、剥離層61が光を吸収して気体になりその蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。これにより、薄型化されたシリコン基材100を、支持基板120から取り外すことができる。
具体的には、剥離層61を構成する材料は、前述した機能を有するものであれば特に限定はされないが、例えば、非晶質シリコン(a−Si)、酸化ケイ素もしくはケイ酸化合物、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化セラミックス、有機高分子材料(光の照射によりこれらの原子間結合が切断されるもの)、金属、例えば、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、GdもしくはSm、またはこれらのうち少なくとも一種を含む合金が挙げられる。これらの中でも、非晶質シリコン(a−Si)を用いるのが特に好ましく、この非晶質シリコン中には、水素(H)が含有されているのが好ましい。これにより、光を受けることにより、水素が放出されて剥離層61に内圧が発生し、これにより剥離を促進することができる。
この場合、剥離層61中における水素の含有量は2at%程度以上であることが好ましく、2〜20at%であることがより好ましい。また、水素の含有量は、剥離層61の成膜条件、例えば、CVD法を用いる場合には、そのガス組成、ガス圧力、ガス雰囲気、ガス流量、ガス温度、基板温度、投入するパワー等の条件を適宜設定することによって調整することができる。
なお、上記の説明では、樹脂層62と剥離層61とを別々の層として構成したが、これらを1つの層にまとめてもよい。すなわち、シリコン基材100と支持基板120とを接合剥離する層として、接着力(接合力)を有しかつ光や熱エネルギー等によって剥離を引き起こす作用(接合力を低下させる作用)を有するものを用いてもよい。
本発明に係るインクジェットヘッド10の製造工程において、ノズル孔11内にシリコン酸化膜50を充填してから樹脂62による貼り合わせを行うことにより、樹脂62が第1のノズル孔11aまで到達しないため、樹脂を引き抜く際に樹脂残渣をなくすことができる。
また、ノズル孔11内に充填するシリコン酸化膜50をSOG法により形成することにより、熱酸化で成膜したSiO2 膜104とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜104を残してエッチングすることが可能となり、ノズル内壁の親水性を維持することができる。
また、ノズル孔11内に充填するシリコン酸化膜50をSOG法により形成することにより、熱酸化で成膜したSiO2 膜104とのエッチンググレートの違いからSiO2 膜104を残してエッチングすることが可能となり、ノズル内壁の親水性を維持することができる。
上記の実施の形態では、インクジェットヘッド10の製造方法について述べたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、ノズル孔11より吐出される液状材料を変更することにより、図10に示すインクジェットプリンタ200のほか、他の液滴吐出装置や、デバイスに適用することができる。
1 ノズル基板、2 キャビティ基板、3 電極基板、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、11a 第1のノズル孔(小径孔)、11b 第2のノズル孔(大径孔)、50 シリコン酸化膜、61 剥離層、62 樹脂層、100 シリコン基材、100a シリコン基材の接合面(大径孔側の面)、100b インク吐出側の面(小径孔側の面)、101,104,105 SiO2 膜(酸化膜)、106 撥水層、120 支持基板、200 インクジェットプリンタ。
Claims (8)
- 小径孔先端が基材により閉じられ大径孔基端が基材表面に開口して2段形状で連通したノズル孔をエッチング加工によってシリコン基材に形成する工程と、前記ノズル孔内にシリコン酸化膜を充填する工程と、前記シリコン基材の大径孔側の面に樹脂層を介して支持基板を貼り合わせる工程と、前記シリコン基材の小径孔側の面を薄板化して該小径孔の先端部を開口する工程と、前記ノズル孔内に充填された前記シリコン酸化膜を前記シリコン基材の小径孔側の面から除去する工程と、前記シリコン基材の小径孔側の面に酸化膜、撥水膜を成膜する工程と、前記支持基板を前記シリコン基材より剥離する工程とを有するノズル基板の製造方法を含むことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記ノズル孔内に充填されたシリコン酸化膜はSOG法によって形成されたことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- SOGを回転塗布し、焼成して前記シリコン酸化膜を形成し、さらにエッチバックを行って前記ノズル孔内にのみ前記シリコン酸化膜を形成することを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記ノズル孔内に充填された前記シリコン酸化膜をフッ酸によるウエットエッチングによって除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記支持基板に剥離層をスピンコートしその上に前記樹脂層をスピンコートして前記シリコン基材の大径側の面と前記支持基板とを貼り合わせるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 前記樹脂層として熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤を用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用してデバイスを製造することを特徴とするデバイスの製造方法。
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2005
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