JP2007167041A - 卵白分解物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質の分解効率がよく、呈味が改善されたタンパク分解物を製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、卵白分解物の製造方法および該製造方法により得られる卵白分解物等に関する。
従来より、各種の加工食品や調味料へ旨味やコクを付与する調味素材として、特に近年は高齢者向けの食品や医療食用のアミノ酸素材として、動物性タンパク質や植物性タンパク質を酸、酵素、麹等で分解したものが利用されている。中でも、風味、および天然志向の観点から、麹を作用させて分解したものが好ましく用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開昭60−164496号公報
特開昭63−133963号公報
しかし、動物性タンパク質は、酸性域において等電点沈殿したり、酸変性を起してしまう等の理由から、従来は、pH調整をしない条件下で、タンパク質に麹を作用させている。かかる条件下では、タンパク質が分解しにくいため、例えば、約48時間以上という長い反応時間が必要となる。また、かかる条件下では、一般雑菌が繁殖しやすいために腐敗等の問題が生じやすい。さらに、分解対象のタンパク質として、乳タンパク質や植物性タンパク質を用いると、生成したタンパク分解物が強い苦味等の好ましくない呈味を有する場合があるため、より呈味の改善されたタンパク分解物が求められている。
従って、本発明の課題は、タンパク質の分解効率がよく、呈味が改善されたタンパク分解物を製造することができる方法を提供することである。
本発明者らは、分解対象のタンパク質として卵白タンパク質を用い、pH5以下の酸性条件下で卵白タンパク質に麹を作用させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕 pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法、
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる卵白分解物、および
〔3〕 前記〔2〕記載の卵白分解物を含む組成物
に関する。
〔1〕 pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法、
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られる卵白分解物、および
〔3〕 前記〔2〕記載の卵白分解物を含む組成物
に関する。
本発明により、タンパク質の分解効率がよく、呈味が改善されたタンパク分解物を製造することができる方法が提供される。本発明により製造される卵白分解物は、苦味が少なく、風味が良いため、各種加工食品等の素材として好適に使用され得る。
本発明は、pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法に関する。かかる構成を有することにより、従来法に比べて、効率の良いタンパク質の分解を行うことができるという効果が奏される。具体的には、従来法よりも麹の使用量が少なく、かつ、卵白タンパク質の分解を、例えば6〜18時間という短時間で行うことができる。また、本発明の製造方法により得られる卵白分解物は、苦味が少なく風味が良いだけでなく、加熱凝固しにくいため、飲料を含む各種加工食品等の素材として好適に使用され得る。
本発明において使用される卵白タンパク質としては、特に制限はなく、鶏卵の卵白に含まれるタンパク質であればよい。かかる卵白タンパク質としては、例えば、オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムシン等が挙げられる。また、前記の卵白タンパク質の形態としては、精製されたものでも、未精製のものでもよく、例えば、鶏卵から分離された生卵白液、冷凍卵白液、濃縮卵白液、粉末卵白等のいずれの形態であってもよい。中でも、加工性の観点から、生卵白液または冷凍卵白液が好ましく使用される。生卵白液や冷凍卵白液は、養鶏場や割卵メーカー等の製造業者または供給業者から購入して用いることもできる。
本発明において使用される麹としては、pH5以下の酸性条件下で卵白タンパク質を分解する限り、特に制限はない。なかでも分解反応の安定性の観点から、有機酸を含有する麹が好ましく、麹が含有する有機酸は、麹菌に由来するものであることが好ましい。麹が有機酸を含有することにより、分解反応開始時の一般生菌(雑菌)数が抑えられる、卵白タンパク質の分解度および風味が安定すると推測される。麹が含有する有機酸の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等が挙げられる。本発明において、麹中の有機酸量は、酸度を指標として求めることができる。本明細書中において、酸度とは、第4改訂国税庁所定分析法注解 211-6:日本醸造協会 出版 に準じて測定した場合の値をいう。麹の酸度は、例えば、10gの麹に50mlの蒸留水を添加し、その抽出液を中和するために必要な1/10N 水酸化ナトリウム量から求めることができる。麹の酸度としては、一般生菌(雑菌)の抑制の観点から、0.1以上が好ましく、1以上がより好ましい。
また、本発明において使用される麹としては、酸性プロテアーゼ活性が高い麹が好ましい。酸性プロテアーゼ活性が高い麹を使用することにより、少ない麹量、かつ短時間で卵白タンパク質の分解を行うことができるという効果が奏される。麹が有する酸性プロテアーゼ活性としては、特に制限されるものではないが、pH3.0における前記活性が5000U/g以上であることが好ましく、7000U/g以上がより好ましい。なお、前記の活性値は、第4改訂国税庁所定分析法注解211-8:日本醸造協会 出版に準じて測定した場合の値である。
本発明において使用される麹とは、麹菌を米、麦、大豆等の穀物、その他食品素材に接種して発育させたものをいう。麹菌は本発明に有効な酵素を生成するものであって、食して害のない菌であれば特に制限はなく、例えば、Aspergillus属、Mucor属、Rhizopus属、Penicillium属、Monascus属、Absidia属に属する微生物が挙げられる。好ましい麹菌の具体例としては、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus saitoi ver kagoshimaensis、Aspergillus usami、Aspergillus sojae、Aspergillus oryzae、Aspergillus awamori ver kawachii 等が挙げられる。なかでも、卵白タンパク質の分解速度向上および風味の観点から、Aspergillus awamoriおよびAspergillus awamori ver kawachiiがより好ましい。
麹は、公知の方法により、上記の麹菌を穀物等の任意の食品素材に接種し、生育させて得ることができるが、入手方法に特に制限はなく、例えば、(株)菱六から入手することができる。
麹菌が生成する酵素は、麹菌の種類によって多種多様であり、また、同じ麹菌であっても製麹条件の違いによって、生成する酵素のバランスが異なる。本発明においては、本発明に有効な酵素を生成するものであって、食して害のない麹菌であれば、特に制限はなく使用することができる。
本発明に有効な酵素とは、プロテアーゼをいい、例えば、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、酸性カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ等が挙げられ、一般生菌の抑制の観点から、酸性領域で、活性の高いプロテアーゼ等が好ましい。
本発明において、用語「卵白タンパク質に麹を作用させる工程」とは、「麹に卵白タンパク質を分解させる工程」をいう。かかる工程としては、例えば、麹を卵白液に対して添加し、麹が含有する酵素に卵白タンパク質を分解させる態様等が挙げられる。
本発明の作用させる工程は、pHが5以下の酸性条件下で行われる。分解反応の安定性の観点から、前記pHは、3〜5が好ましく、3.5〜4.5がより好ましい。pHの調整方法としては、特に制限はないが、例えば、塩酸やクエン酸等を用いて、適宜調整することができる。
作用させる工程における反応温度としては、加熱臭や反応物の褐変を抑える観点から、70℃以下が好ましく、卵白タンパク質の分解速度向上および防腐の観点から、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。すなわち、反応温度としては、40〜70℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃である。
作用させる工程における反応時間は、特に制限はないが、卵白タンパク質の分解度および風味の観点から、6〜18時間が好ましく、より好ましくは13〜18時間である。
作用させる工程における麹の使用量は、麹の種類により適宜選択され、特に制限はないが、反応物の褐変を抑える観点および経済的に卵白分解物を生産する観点から、卵白液100重量%に対して1〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
卵白タンパク質として、卵白液を使用する場合は、pHを調整して、該卵白液に麹を作用させればよいが、粉末卵白等の乾燥状態の卵白を使用する場合は、特に制限はないが、粉末卵白の含有量が、例えば5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%になるように水等に溶解し、pHを調整して得た卵白液に麹を作用させればよい。
また、作用させる工程においては、卵白タンパク質の分解速度向上の観点から、撹拌しながら作用させてもよい。
前記の作用させる工程は、麹が含有する酵素を失活させることにより終了させることが出来る。失活方法に、特に制限はないが、例えば、80℃、30分加熱することにより終了させることができる。
上記のような本発明の製造方法により得られる卵白分解物の形態としては、特に制限はなく、例えば、液体のままでも良く、液体の卵白分解物を凍結乾燥や噴霧乾燥処理によって乾燥させた粉末であっても良い。
上記のような本発明の製造方法により得られる卵白分解物は、苦味が少なく風味が良いだけでなく、加熱凝固しにくいため、飲料を含む各種加工食品等の素材として好適に使用され得る。本発明の卵白分解物の分解程度は、限定されるものではないが、加熱凝固を抑える観点から、タンパク濃度が10重量%であるタンパク溶液を後述の実施例に記載するTCA処理に供した際に得られるTCA可溶画分の光路長10mm、波長280nmにおける吸光度が、0.5以上であることが望ましく、より好ましくは0.6以上が望ましく、さらに好ましくは0.7以上が望ましい。かかる分解の程度は、TCA可溶画分の280nmにおける吸光度測定により、確認することができる。
卵はアミノ酸スコアに優れた栄養価の高い蛋白素材であるため、その分解物である本発明の卵白分解物は、高齢者向けの食品や医療食用のアミノ酸素材を始め、各種加工食品等の素材として好適に使用され得る。
本発明はまた、前記の卵白分解物を含む組成物に関する。本発明の組成物は、前記の卵白分解物を含むため、苦味が少なく風味が良いだけでなく、加熱凝固しにくい等の利点を有する。従って、本発明の組成物は、例えば、高齢者向けの食品や医療食用のアミノ酸素材を始め、各種加工食品等として好適に利用され得る。
本発明の組成物中における前記の卵白分解物の含有量は、特に制限されるものではないが、栄養価の観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、卵白分解物そのものであってもよい。
本発明の組成物が食品である場合、その態様としては特に制限はなく、かかる食品として、例えば、飲料、流動食、経腸食、栄養補助食品、アスリート用食品、ダイエット食品等が挙げられる。
本発明の組成物は、用途に応じて、前記の卵白分解物と所望の任意成分とを、当業者に公知の方法により適宜配合して得られる。
実施例1
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物1を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物1を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
実施例2
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%クエン酸水溶液にてpH5.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物2を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%クエン酸水溶液にてpH5.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物2を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
実施例3
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus oryzaeにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物3を得た。
用いた米麹は、酸度2の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は3000U/gであった。
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus oryzaeにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物3を得た。
用いた米麹は、酸度2の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は3000U/gであった。
比較例1
殺菌液卵白(三州(株)製)(pH8.91)300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物4を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
殺菌液卵白(三州(株)製)(pH8.91)300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物4を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
比較例2
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH6.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物5を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH6.0に調整した卵白液300gに対し、Aspergillus awamori ver kawachiiにて製麹を行った米麹((株)菱六製)45gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物5を得た。
用いた米麹は、酸度6の麹であり、pH3における酸性プロテアーゼ活性は19000U/gであった。
比較例3
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、起源がAspergillus nigerのプロテアーゼ(エイチビィアイ(株)製 オリエンターゼ20A)4.5gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物6を得た。
用いたプロテアーゼの酸性プロテアーゼ活性は、200000U/gであった。実施例1および2で用いた米麹の酸性プロテアーゼ活性と同等になる量を添加して分解反応を行った。
殺菌液卵白(三州(株)製)を、30重量%濃度クエン酸水溶液にてpH4.0に調整した卵白液300gに対し、起源がAspergillus nigerのプロテアーゼ(エイチビィアイ(株)製 オリエンターゼ20A)4.5gを添加し、恒温振とう培養機(回転数 100rpm)にて、55℃にて18時間反応を行った。その後濾布ろ過を行い、得られた分解液を80℃にて30分加熱して酵素失活を行い、卵白分解物6を得た。
用いたプロテアーゼの酸性プロテアーゼ活性は、200000U/gであった。実施例1および2で用いた米麹の酸性プロテアーゼ活性と同等になる量を添加して分解反応を行った。
〈熱凝固性の比較〉
得られた卵白分解物1〜6 2mlを直径15mmの試験管に入れ、80℃にて10分間加熱を行った。加熱後の卵白分解物の加熱凝固性を目視検査にて確認し、まったく凝固しないものを○、部分的に凝固物のあるものは△、完全に凝固したものを×とした。結果を表1に示す。
得られた卵白分解物1〜6 2mlを直径15mmの試験管に入れ、80℃にて10分間加熱を行った。加熱後の卵白分解物の加熱凝固性を目視検査にて確認し、まったく凝固しないものを○、部分的に凝固物のあるものは△、完全に凝固したものを×とした。結果を表1に示す。
〈TCA処理〉
得られた卵白分解物1〜6の原液1mlに対して、5重量%トリクロロ酢酸(TCA)を4ml入れ、攪拌を行い、30分放置した。得られた液を攪拌した後、12000rpmにて10分間遠心分離を行った。さらに、上清をフィルター(ADVANTEC社製、型番:DISMIC−25cs、孔径:0.45μm)にてろ過をし、TCA可溶画分を得た。得られたTCA可溶画分を5重量%トリクロロ酢酸で10倍に希釈した溶液の光路長10mmのセル中における、波長280nmの吸光度を分光光度計にて測定した。卵白分解物1〜6の原液に含まれるタンパク質濃度が10重量%となるように換算した際の、TCA可溶画分の280nmにおける吸光度を表1に示す。
得られた卵白分解物1〜6の原液1mlに対して、5重量%トリクロロ酢酸(TCA)を4ml入れ、攪拌を行い、30分放置した。得られた液を攪拌した後、12000rpmにて10分間遠心分離を行った。さらに、上清をフィルター(ADVANTEC社製、型番:DISMIC−25cs、孔径:0.45μm)にてろ過をし、TCA可溶画分を得た。得られたTCA可溶画分を5重量%トリクロロ酢酸で10倍に希釈した溶液の光路長10mmのセル中における、波長280nmの吸光度を分光光度計にて測定した。卵白分解物1〜6の原液に含まれるタンパク質濃度が10重量%となるように換算した際の、TCA可溶画分の280nmにおける吸光度を表1に示す。
〈官能検査〉
得られた各卵白分解物の味、匂いおよび外観を調べた。結果を表1に示す。
得られた各卵白分解物の味、匂いおよび外観を調べた。結果を表1に示す。
表1より、卵白分解物1〜3および6は、加熱しても凝固しにくく、特に卵白分解物1および2は加熱しても凝固しないことが分かる。また、TCA可溶画分の吸光度から、卵白分解物1〜3および6は卵白タンパク質が短時間で分解され、特に卵白分解物1および2は短時間で効率よく分解されたことが分かる。
但し、実施例1で用いた米麹と同等の酸性プロテアーゼ活性を有するプロテアーゼにて分解を行った卵白分解物6は、タンパク分解はされているが、苦味や腐敗等の特有の臭いを有するため、好ましくない呈味であった。それに対し、卵白分解物1〜3は、苦味が感じられない点で卵白分解物6よりも優れた呈味であり、中でも卵白分解物1および2は、甘味を有する点でさらに優れた呈味であることが分かる。
本発明により、タンパク質の分解効率がよく、呈味が改善されたタンパク分解物を製造することができる方法が提供される。本発明により製造される卵白分解物は、苦味が少なく、風味が良いため、各種加工品等の素材として好適に使用され得る。
Claims (5)
- pH5以下の酸性条件下で、卵白タンパク質に麹を作用させる工程を有する卵白分解物の製造方法。
- 麹が、麹菌由来の有機酸を含有するものである請求項1記載の卵白分解物の製造方法。
- 麹が、5000U/g以上の酸性プロテアーゼ活性を有するものである請求項1または2記載の卵白分解物の製造方法。
- 請求項1〜3いずれか記載の製造方法により得られる卵白分解物。
- 請求項4記載の卵白分解物を含む組成物。
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