以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<写真処理システムの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置Aを備えた写真処理システムの構成を示す部分断面図である。図1に示す写真処理システムは、画像データを取得し、この画像データに基づいて記録紙の乳剤面に画像を焼付露光し、写真プリントを作成する機能を備えている。
さらに、この写真処理システムは、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像をスキャニングして画像データを取得するためのフィルムスキャナー(図示省略)や、デジタルカメラ用の記憶メディアや、その他の記録媒体に格納されている画像データを読み取るためのメディア読取部(図示省略)を備えている。
図1に示すように、上側のマガジン90及び下側のマガジン100は、長尺のペーパーPをロール状に巻いたペーパーロールRとしてそれぞれ収容するものである。上側のマガジン90はスライドレール91(図6参照)を介して画像形成装置A本体に着脱自在に取り付けられ、下側のマガジン100はキャスター111を介して画像形成装置A本体に着脱自在に格納されている。なお、下側のマガジン100には、上側のマガジン90よりも幅広のペーパーPが収容されているものとし、各々のロール先端部はマガジン90,100内部に配設された送り出しローラ96,121の間にそれぞれ挟まれて送り出し可能にセットされた状態となっているものとする。
そして、前記画像形成装置A本体に取り付けられた上側又は下側のマガジン90,100のうち、プリントすべきサイズに応じて一方のマガジンが選択され、該選択された方のマガジンから引き出されたペーパーPが、所定の搬送経路に沿って搬送されるようになっている。
具体的に、下側のマガジン100が選択されたとすると、マガジン100内に形成された送り出しローラ121の回転によりペーパーPが送り出され、ペーパーPの送り出し先端部が搬送下流側にあるアドバンスローラ40(搬送ローラ)と一対の圧着ローラ41,41との間に挟み込まれるようになっている。
前記アドバンスローラ40の回転により搬送されたペーパーPは、ペーパーカッター5によって所定のプリントサイズに切断される。そして、切断されたペーパーPは、搬送ユニット6によって、下流側に位置する露光エンジン7へと搬送される。
前記露光エンジン7には、上流側露光搬送ローラ9a及び下流側露光搬送ローラ9b(これらは、搬送機構に相当)が設けられている。これらの露光搬送ローラ9a,9bの間には、ペーパーPをレーザー光によって露光処理するための露光位置が設定されている。露光搬送ローラ9の上流側には、ペーパー検出センサー10が設けられており、ペーパーPが送り込まれてくると、その先端(前端)部分を検出して信号を出力するようになっている。このペーパー検出センサー10は、赤外光を出力する発光素子と、これを受光する受光素子とにより構成される。このペーパー検出センサー10によってペーパーPの位置を検出することで、前記露光位置における露光開始タイミングを決めることができる。
前記露光エンジン7は、公知の構造からなるもので、レーザー光源(レーザーダイオード等)から出力されるレーザー光を画像データに基づいて光変調し、この光変調されたレーザー光をペーパーPに照射することで、画像露光を行う。画像露光を行う際には、ペーパーPは、露光搬送ローラ9a,9bにより挟持された状態で、所定速度(一定速度)で搬送される。前記レーザー光は、ペーパーPの搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に走査されるため、ペーパーP上には1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
そして、上述のような画像露光が行われながら、ペーパーPは、下流側の露光搬送ローラ9bによって露光位置よりも下流側へ送り出されていく。前記露光エンジン7の下流側には、第1搬送ユニット11が設けられている。
前記第1搬送ユニット11は、所定の回転軸芯まわりに回転可能に設けられていて、下流側の露光搬送ローラ9bにより受け渡されたペーパーPを、さらに第2搬送ユニット12に受け渡す機能を備えている。
前記第2搬送ユニット12は、搬送経路に沿うように配置された複数の挟持搬送ローラ対12aと、搬送経路を形成するためのガイド板12bとを備えており、搬送ローラ対12aは図示しない駆動機構によって駆動されるように構成されている。
また、前記露光エンジン7の下流側(図1において露光エンジン7の左側)には、搬送方向の長さが所定長さ(例えば430.1mm)以上のペーパーPを一時的に収容するための収容空間部Sが設けられている。
すなわち、露光位置から現像処理部までの距離よりもペーパーPの長さが長いと露光中に現像処理部に該ペーパーPが入ることになり、該現像処理部での処理によって発生する振動がペーパーPの露光部分に伝達されて露光ムラの原因となるため、ペーパーPの搬送方向の長さが前記所定長さ以上の場合には前記収容空間部S内にペーパーPを収容することで露光ムラの発生を防止するようにしている。
一方、搬送方向の長さが所定長さよりも短いペーパーPは、上述のような露光ムラの問題が生じないため、前記収容空間部S内に収容されることなく、現像処理部へと搬送されることになる。上述の問題が生じないような搬送方向長さのペーパーPについても前記収容空間部S内に収容すると、装置全体としての処理速度が無駄に低下してしまうからである。
前記収容空間部Sには、ペーパーPを巻き取るための巻き取りドラム20と、この巻き取りドラム20の外周面にペーパーPを圧着して保持するための圧着ローラ21とが配置されている。これらの巻き取りドラム20及び圧着ローラ21は、ペーパーPの搬送方向前端側を挟持するとともに、巻き取り機構8としても機能する。
前記収容空間部S内の巻き取りドラム20の下方には、前記収容空間部S内に収容されるペーパーPのたるみを検出するためのたるみ検出センサー22が設けられている。このたるみ検出センサー22は、発光素子22aと受光素子22bとによって構成され、発光素子22aから照射される光がペーパーPによって遮断されると、たるみ量が所定量よりも大きい状態であると判断される。ここで、前記発光素子22aと受光素子22bとを結ぶラインは、水平線に対して傾斜するように設定されている。
<上側のマガジンの構成>
図2は、上側のマガジン90の構成を示す正面図である。図2に示すように、マガジン90内には、円柱状のロール軸95周りにロール状に巻き付けられたペーパーPが収容されている。図2では、マガジン90内のペーパー収容空間がマガジン90外側の外部空間に対して遮光されている状態を示している。
また、前記マガジン90は、マガジン本体92と開閉部93とを組み合わせて略直方体形状に構成したものであり、開閉部93はマガジン底面側の角部に設けられ、マガジン収納方向に回転軸を有するヒンジ94周りに回動自在に取付支持されている。図2において、マガジン90は、開閉部93をヒンジ94周りに反時計方向に回動させることで、マガジン90内を遮光状態から開放状態に切り替えることができるようになっている。
また、マガジン本体92には図示しない軸受部が設けられており、該軸受部でロール状のペーパーPのロール軸95を回動可能に支持している。そして、ロール状のペーパーPは、ロール軸95がマガジン両側面及びマガジン底面に対して平行になるように該軸受部に支持されている。また、マガジン90の奥行長さは、収容されるロール状のペーパーPの幅に対応した長さになるように設定されている。
前記開閉部93のペーパー排出口付近には、一対の送り出しローラ96,96が取り付けられており、ペーパーロールRから引き出したペーパーPを送り出しローラ96,96間に挟み込んでおき、必要に応じて装置本体側にペーパーPを送り出すように構成されている。
具体的に、プリントすべきサイズに応じて上側のマガジン90が選択されると、送り出しローラ96が図示しない駆動モータにより回転して、挟み込んでいたペーパーPが送り出され、ペーパーPの先端部が装置本体内部にあるアドバンスローラ30と圧着ローラ31との間に挟まれる。
このように、上側のマガジン90が選択されたときにのみ、マガジン90内のペーパーPがアドバンスローラ30と圧着ローラ31との間に挟まれるように制御される。なお、マガジン90が選択されなかった場合には、アドバンスローラ30と圧着ローラ31との間にペーパーPが挟まれていない状態となる。
<下側のマガジンの構成>
図3は下側のマガジン100の構成を示す側面図であり、図4は下側のマガジン100の構成を示す正面図である。図3,図4に示すように、101はマガジン本体部であり、長尺のペーパーPをロール状に巻いたペーパーロールRを収容するものである。このマガジン本体部101には、作業者がペーパーロールRの脱着作業を行うための開口部が形成されており、この開口部を塞ぐようにマガジン蓋部102が取り付けられている。
前記マガジン蓋部102は、後述する下部フレーム108に取り付けられたヒンジ116を介して前記マガジン本体部101に開閉自在に取り付けられている。このように、マガジン本体部101とマガジン蓋部102とを組み合わせることで、略直方体状のマガジン100のペーパー収容部分が構成される。
前記マガジン蓋部102の側面上部には、長手方向の両端部にそれぞれゴム脚115,115が取り付けられている。このゴム脚115は、マガジン蓋部102を開いたときにマガジン蓋部102の側面上端部がマガジン設置面に直接接触することを防止するようになっており、マガジン蓋部102にキズがついたり破損したりすることを防止する上で有利となる。
また、前記マガジン蓋部102の内部には、ペーパーロールRから引き出したペーパーPを巻き掛けてペーパーPの先端部の向きを搬送下流側に方向変換する巻き掛け軸120が長手方向に延びて配設されている。このようにペーパーPを巻き掛け軸120に巻き掛けることで、ペーパーPは、巻き掛けない場合に比べていわゆる腰が強くなった状態となり、折れ曲がり等を防止する上で有利となる。
前記巻き掛け軸120の軸方向の両端部には、フランジ122,122が設けられている(図17参照)。このフランジ122,122間の間隔は、ペーパーPの紙幅と略同じとなるように設定されており、ペーパーPの紙幅方向の移動を規制している。
前記巻き掛け軸120で方向変換したペーパーPの先端部は、搬送下流側に上下に対向して配設された一対の送り出しローラ121,121の間に挟み込まれており、プリントすべきサイズに応じて下側のマガジン100が選択された場合に、送り出しローラ121が回転することで、ペーパーPをアドバンスローラ40と圧着ローラ41との間に挟み込むことができるようになっている。
なお、上下に対向して配設された一対の送り出しローラ121,121のうち下側の送り出しローラ121は、後述する調整ローラ106と同軸の回転軸上に形成されており、調整ローラ106の回転に連動して手動でペーパーPを送り出すことができるようになっている。
前記マガジン本体部101の上面には、前記マガジン蓋部102を係合自在に保持する係合具103が長手方向の両端部にそれぞれ設けられており、係合具103の係合を解除することで、マガジン蓋部102を開閉することができるようになっている。
前記マガジン本体部101の側面上部には、ペーパーロールRから引き出されたペーパーPをマガジン本体部101から外部に排出するためのペーパー排出口104が形成されている。このペーパー排出口104には、該ペーパー排出口104を閉塞するシャッター105が設けられており、マガジン100が画像形成装置A内に格納されていないときにはシャッター105が閉状態となっている。
前記マガジン本体部101の正面(長手方向手前側)には、ペーパーロールRから引き出したペーパーPをペーパー排出口104に手動で送り出すための調整ローラ106と、前記シャッター105の開閉動作を制御するシャッター開閉スイッチ107とが設けられている。
前記シャッター開閉スイッチ107は、作業者が押すことでシャッター105の開閉を行うことが可能である。また、マガジン100を画像形成装置A内に格納した後は、図示しない装置前面カバーの閉動作に連動して、装置前面カバーの内側に設けられた突起部により押されるようになっている。これにより、装置前面カバーを閉めるだけでシャッター105が開かれ、マガジン100から画像形成装置A内にペーパーPを送り出すことができる状態となる。
前記マガジン本体部101の底面には、長手方向に延びる下部フレーム108が幅方向両端に配設されている。この下部フレーム108は、マガジン本体部101よりも長手方向手前側に突出しており、この突出部分の下面には、両方の下部フレーム108,108を連結する連結フレーム109が取り付けられている。
また、前記下部フレーム108,108の突出部分には、3つの角パイプを接続して逆U字状に構成した取手110が取り付けられている。この取手110は、作業者がマガジン100を移動させる際に把持するためのものである。
前記下部フレーム108の下面には、マガジン100を移動可能とするキャスター111が長手方向の両端部に設けられ、さらに、回転軸が鉛直方向に延びるガイドベアリング112が長手方向に間隔をあけて複数配置されている。
前記ガイドベアリング112は、後述するタラップ350の側面ガイド板352及び装置本体内部のマガジン収納部200のマガジンガイド202に摺接させ、マガジン100の幅方向の移動を規制するためのものである。そのため、ガイドベアリング112の外周面の一部が、マガジン本体部101及びマガジン蓋部102よりも幅方向にはみ出すように配置されている。
前記マガジン本体部101の底面であって且つ下部フレーム108,108の間には、後述するマガジン収納部200の床面に配設された位置決めユニット250に係合してマガジン100を位置決めするための位置決めピン113が位置決めピンブラケット114を介して取り付けられている。
前記位置決めピン113及び位置決めピンブラケット114は、マガジン本体部101の長手方向の両端部にそれぞれ設けられており、手前側のブラケットの高さ(マガジン本体部101の底面からの高さ)が奥側のブラケットよりも高くなっている(図11,図12参照)。この点について詳しくは後述する。
前記2つの下部フレーム108,108のうち、幅方向左側に配設された下部フレーム108の長手方向の奥側部には、後述するマガジンダンパーユニット300と係合するダンパー係合ピン117が設けられている。なお、本実施形態では、下部フレーム108の奥側の一部を切り欠いて露出させたガイドベアリング112の回転軸をダンパー係合ピン117として用いている。もちろん、この形態に限定するものではなく、別途専用のダンパー係合ピンを配設するようにしても構わない。
<アドバンスローラの構成>
図1に示すように、上側及び下側のマガジン90,100の搬送下流側には、それぞれアドバンスローラ30,40が設けられている。このアドバンスローラ30,40は、回転動作によりマガジン90,100から送り出されたペーパーPをさらに搬送下流側に搬送するものである。
前記上側のアドバンスローラ30のローラ外周面は、一対の圧着ローラ31,31により押圧された状態となっており、アドバンスローラ30と圧着ローラ31との間に上側のマガジン90から送り出されたペーパーPを挟み込むことができるようになっている。
また、前記下側のアドバンスローラ40も同様に、そのローラ外周面は一対の圧着ローラ41,41により押圧された状態となっており、アドバンスローラ40と圧着ローラ41との間に下側のマガジン100から送り出されたペーパーPを挟み込むことができるようになっている。
前記アドバンスローラ30,40は、駆動モータ35の回転駆動により回転するようになっている。具体的には、アドバンスローラ30,40の回転軸及び駆動モータ35のモータ軸に1本の伝動ベルト36が巻き掛けられており、駆動モータ35を回転駆動させると、その回転力が伝動ベルト36を介してアドバンスローラ30,40に伝達され、アドバンスローラ30,40が同期して回転動作するようになっている。
このような構成にすれば、例えば、プリントすべきサイズに応じて上側のマガジン90が選択された場合、ペーパーP搬送時において、実際にペーパーPを搬送しているアドバンスローラ30が回転動作するのはもちろん、ペーパーPを搬送していないアドバンスローラ40が空回転動作する。
これにより、アドバンスローラ40のローラ外周面の同じ部分に圧着ローラ41が長時間押圧され続けたことによる圧着痕の発生を防止する上で有利となり、ペーパーP側に圧着痕が転写されて凹凸が生じ品質が低下するおそれもなくなる。
ここで、下側のマガジン100に収容されるペーパーPの紙幅は、上側のマガジン90に収容されるペーパーPの紙幅よりも幅広であるため、紙幅全体を均一な搬送力で引っ張ろうとすることは困難である。
具体的には、ペーパーPの紙幅全体にわたって均一な搬送力を加えるべく、紙幅と同じロール幅のアドバンスローラ40を用いた場合、アドバンスローラ40の摩耗等によりローラ外周面とペーパーPとの当接状態にバラツキが生じて、ペーパーPの紙幅方向において搬送力が一定ではなくなり、ペーパーPが蛇行しながら搬送されてしまうおそれがある。このような問題を解消すべく、本発明では、アドバンスローラ40を図17に示すような形状及び配置とすることにした。
図17に示すように、下側のアドバンスローラ40のローラ幅はペーパーPの紙幅よりも小さく形成されており、アドバンスローラ40はペーパーPの紙幅の略中央位置に配設されている。
この状態でアドバンスローラ40を回転させてペーパーPを搬送すると、アドバンスローラ40はペーパーPの紙幅の略中央位置を圧着した状態でペーパーPを搬送するため、ペーパーPの紙幅の略中央位置に加わる搬送力が最も強くなり、ペーパーPの紙幅両端に行くに従ってペーパーPに加わる搬送力が弱くなるようになっている。
具体的には、図17において仮想線で示すように、ペーパーPに加わる搬送力は、アドバンスローラ40のローラ幅の略中央位置を頂点とし、巻き掛け軸120の軸中心線を底辺とする2等辺3角形状に分布することとなる。
このようにすれば、アドバンスローラ40によりペーパーPの紙幅全体にわたって搬送力を均等に加えるのではなく、紙幅の略中央位置の搬送力が最も強く紙幅の両端に行くに従って搬送力を弱めるようにすれば、ペーパーPが蛇行することを抑制することができ、安定したペーパーPの搬送を行う上で有利となり好ましい。
なお、本実施形態では、下側のマガジン100が幅広であるために下側のアドバンスローラ40のみをローラ幅を紙幅よりも小さくするようにしたが、上側のアドバンスローラ30に対しても同様の変更を行うようにしても構わない。
また、本実施形態では、2つのアドバンスローラ30,40を1つの駆動モータ35で回転駆動させる形態について説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、2つのアドバンスローラ30,40毎に駆動モータを設け、それぞれ別々に回転動作させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、一例として、紙幅が622mmのペーパーPに対してローラ幅が50mm程度のアドバンスローラ40を用いるようにしたが、この形態に限定するものではなく、必要な搬送力が確保できる最小のローラ幅であればよい。
<マガジン収納部の構成>
図5は画像形成装置におけるマガジン収納部の構成を示す平面図であり、図6はマガジン収納部の構成を示す側面図である。図5,図6に示すように、マガジン収納部200は、装置本体内部においてペーパー搬送方向上流側に立設した4つの装置本体フレーム201で区画される領域で構成されている。
202はマガジンガイドであり、マガジン収納方向に延び、マガジン100のガイドベアリング112と摺接してマガジン100の幅方向の移動を規制するものである。
前記2つのマガジンガイド202,202間には、マガジン収納部200内に収納したマガジン100の位置決めを行う位置決めユニット250,250が、それぞれマガジン収納方向の手前側と奥側とに配設されている。なお、奥側の位置決めユニット250の高さは、手前側の位置決めユニット250よりも高くなっている。その他の構造は両方とも同じであり、詳しくは後述する。
具体的には、位置決めユニット250上を通過するマガジン100を、リフトローラ255により微少量だけ持ち上げ、U字状の位置決めガイド257の開口側からマガジン100の底面に設けられた位置決めピン113を嵌合することで、マガジン100の位置決めを行っている。
前記マガジン収納部200のマガジン収納方向の奥側であって、ペーパー搬送方向下流側(図5では左側)のマガジンガイド202よりも下流側には、マガジンダンパーユニット300が設けられている。
前記マガジンダンパーユニット300は、マガジン100の位置決めピン113が位置決めユニット250の位置決めガイド257に嵌合される直前で、マガジン100の走行速度を減速させて衝撃力を緩和するためのものである。
詳しくは後述するが、マガジンダンパーユニット300の先端の係合部材301のみが、マガジンガイド202上方からマガジン収納部200内に突出して延び、この係合部材301をマガジン100のダンパー係合ピン117に係合させ、係合時の衝撃力をショックアブソーバ302で緩和しながら、マガジン100を所定位置に導くようになっている。
前記マガジン収納部200の装置手前側に開口するマガジン収納口には、タラップ350がタラップヒンジ361を介して画像形成装置A本体に接続されている。このタラップ350は、先端部を画像形成装置Aの設置面に当接させることで、マガジン収納部200の床面と装置設置面との間に架設され、マガジン100をスムーズに収納又は取り外しできるようになっている。さらに、タラップヒンジ361により回動自在に保持されていることから、マガジン100収納時にタラップ350を装置内部に格納することができ、作業者の作業を妨げることがない。
また、タラップ350の側面ガイド板352(図5では右側)には、一端が装置本体フレーム201に接続されたタラップ用ダンパー362が接続されている。このタラップ用ダンパー362は、タラップ350の開閉速度を制御するものであり、例えば、タラップ350開閉時に作業者がタラップ350を誤って手放してしまった場合でも、勢いよくタラップ350が装置設置面上に落下してしまうことを防止し、安全性を確保する上で有利である。
なお、本実施形態では、タラップ350にタラップ用ダンパー362を取り付けた構造について説明したが、タラップ用ダンパー362の有無は本発明の効果に影響を与えるものではないため、特に取り付けていなくても構わない。
また、図示しないが、タラップ350の開閉作業をやりやすくするために、タラップ350に取手を設けるようにしても構わない。
<タラップの構成>
次に、マガジン収納部200の床面と装置設置面との間に架設するタラップ350の構成について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、タラップ350は、踏み板351と、踏み板351の両端部から立設した側面ガイド板352,352と、踏み板351の略中央位置に配設された補強リブ353とを備えている。
前記踏み板351は、マガジン100のキャスター111の走行面を構成している。また、この踏み板351には、タラップ350を装置本体に格納したときに、収納されているマガジン100のシャッター開閉スイッチ107に対応する位置に抜き孔354があけられている。これにより、図示しない装置前面カバー側に設けられた突起部が、装置前面カバーを閉めたときに抜き孔354を通してシャッター開閉スイッチ107を押すことができるようになっている。
前記側面ガイド板352は、マガジン100のガイドベアリング112と摺接してマガジン100の幅方向の移動を規制するものであり、マガジン収納方向の手前側が奥側よりも外向きに開口している。これにより、マガジン100をマガジン収納部200に収納する際に、タラップ350への入り勝手が良くなり、作業性が向上する。
なお、本実施形態では、両方の側面ガイド板352,352がそれぞれ外向きに開口した構造について説明したが、この形態に限定するものではなく、どちらか一方の側面ガイド板352のみが外向きに開口していても構わない。
なお、側面ガイド板352の高さは、マガジン100収納時に少なくともガイドベアリング112が摺接する高さであって、マガジン100をスムーズに収納可能なできるだけ低い高さであることが好ましい。これは、マガジン収納部200内のマガジンガイド202を、タラップ350を装置内部に格納したときに側面ガイド板352が干渉しない位置に配置するようにしているが、側面ガイド板352の高さが高いと、タラップ350架設時の側面ガイド板352奥側とマガジンガイド202の手前側との間隔が大きくなってしまい、マガジン100収納時に引っかかるおそれがあり、マガジン100収納の安定性を損なうからである。
前記補強リブ353は、前記踏み板351におけるキャスター111の走行面側に配設されており、キャスター111の走行領域とオーバーラップしない幅方向の略中央位置にマガジン収納方向に延びるように形成されている。
具体的には、板材を断面凹状に折り曲げ、さらにその両端を外向きに折り曲げてフラップを設けた形状となっており、このフラップが踏み板351に接合されている。これにより、踏み板351の強度を確保できるとともに、踏み板351の裏面に補強リブ353を設けた場合に比べて、側面ガイド板352を含むタラップ350全体の厚みが小さくて済み、作業者の作業を妨げることがなく有利である。
なお、本実施形態では、タラップ350をタラップヒンジ361を介して回動自在に装置本体に取り付ける形態について説明しているが、タラップ350を装置から取り外し可能な別部材として装置内部に格納しておき、必要に応じてマガジン収納部200の床面と装置設置面とを架設するように設置して使用するような形態であっても構わない。
<位置決めユニットの構成>
図8は位置決めユニット250の構成を示す平面図であり、図9は位置決めユニットの構成を示す側面図であり、図10は位置決めユニット250の構成を示す正面図である。図8〜図10に示すように、251はマガジン収納部200の床面に設置される設置ブラケットであり、マガジン収納方向に延びる2つのL字状部材を互いに対向するように配設して構成している。
前記設置ブラケット251,251間には、本体部252が取り付けられている。本体部252は、幅方向に貫通して延びるローラ支軸253を有し、ローラ支軸253の両端部にはリフトローラ255が回転自在に取り付けられている。そして、リフトローラ255が取り付けられたローラ支軸253の両端は、本体部252に接続された保持ブラケット254により保持されている。
前記リフトローラ255は、マガジン100の底部に取り付けられた位置決めピンブラケット114に当接して、マガジン収納方向に走行するマガジン100全体を持ち上げるものであり、リフトローラ255の上端の高さがマガジン収納部200におけるマガジン100の高さ基準となるように設定されている。
具体的に、前記本体部252には、設置ブラケット251と本体部252との相対的な高さを調整する高さ調整ボルト256が設けられており、この高さ調整ボルト256を調整することで、リフトローラ255のマガジン収納部200の床面からの高さ位置を調整することができるようになっている。
前記本体部252の上面には、マガジン100の底部の位置決めピン113に嵌合可能な位置決めガイド257が取り付けられている。この位置決めガイド257は、U字形状の部材で構成され開口側がマガジン収納方向の手前側を向くように配設されている。また、位置決めガイド257の開口側の上面は、マガジン100の入り勝手を良くするために、テーパー形状に加工されている。
なお、前記位置決めユニット250は、マガジン収納部200におけるマガジン収納方向の手前側と奥側とに2箇所配設されているが、両者の違いは床面からの高さのみであり、奥側よりも手前側の位置決めユニット250の方が床面からの高さが低くなっている。この点について、以下、説明する。
図11は、マガジン100をマガジン収納部200に収納し始めた状態を示す図である。図11に示すように、手前側の位置決めユニット250における位置決めガイド257上面の床面からの高さは、マガジン100底部の奥側に設けられた位置決めピン113の床面からの高さよりも低くなるように設定されている。これにより、マガジン100は手前側の位置決めユニット250の上方を通過可能となっている。
図12は、マガジン100をマガジン収納部200に収納完了させる直前の状態を示す図である。図12に示すように、マガジン100底部の手前側に設けられた位置決めピン113は、手前側の位置決めユニット250の位置決めガイド257に嵌合可能な高さに設定されている。
そこで、このままマガジン100を収納方向に移動させると、まず、リフトローラ255とマガジン100の位置決めピンブラケット114とが摺接し、そのままリフトローラ255上に位置決めピンブラケット114が乗り上げた状態となる。その結果、マガジン100のキャスター111が床面から離れた状態となる。
図13は、マガジン100のマガジン収納部200内における位置決めが完了した状態を示す図である。図13に示すように、マガジン100がリフトローラ255に乗り上げた状態で、さらにマガジン100を移動させていくと、U字形状の位置決めガイド257の開口側からマガジン100の位置決めピン113が嵌合されていき、マガジン100のマガジン収納方向における位置が決定される。
このように、マガジン100がリフトローラ255上に乗り上げることで、キャスター111によってマガジン収納方向のみならず幅方向にも移動可能であったマガジン100が、マガジン収納方向のみに移動方向が規制されることとなり、マガジン収納がスムーズに行える。
また、キャスター111の部品精度に起因するマガジン100の高さ方向の位置決め誤差が、リフトローラ255の高さを基準として行うことで解消でき、マガジン100の高さ方向の位置決めをより精度良く行うことができる。
<マガジンダンパーユニットの構成>
図14は、マガジンダンパーユニットの構成を示す平面図であり、マガジンダンパーユニットが作動する前の状態を示している。
図14に示すように、マガジンダンパーユニット300は、マガジン100の走行速度を減速させてマガジン100と装置本体との衝撃力を緩和するものであり、マガジン100のダンパー係合ピン117に係合する係合部材301を備えている。
前記係合部材301は、マガジン収納部200の床面に設置される設置ブラケット303と該設置ブラケット303に取り付けられたカバーブラケット304との間に挟まれた状態で且つ回転中心となる回転軸305を介して回転自在に取り付けられている。
前記係合部材301の係合側先端は、マガジン100のダンパー係合ピン117に当接する当接突起部301aと、ダンパー係合ピン117を保持する保持突起部301bとが形成されている。
具体的に、マガジン100をマガジン収納部200に収納していくと、マガジン100のダンパー係合ピン117は係合部材301の当接突起部301aに最初に当接し、そのまま回転軸305を中心に係合部材301が回転していき、係合部材301が所定角度まで回転した後は、保持突起部301bがダンパー係合ピン117に係合してマガジン100を保持するようになっている。
前記係合部材301の後端部には、連結軸306を介してショックアブソーバ302の一端が回動自在に連結されている。
前記ショックアブソーバ302は係合部材301の後端部を押圧して該係合部材301を回転軸305周りに回転させて付勢するものであり、ショックアブソーバ302の他端は支点軸307を介して設置ブラケット303に回動自在に取り付けられている。また、連結軸306の下端部は、回転軸305を中心として設置ブラケット303にあけられた円弧状のガイド孔308に嵌合されている。
前記ショックアブソーバ302は、マガジン100のダンパー係合ピン117と係合部材301との係合状態に応じて、係合部材301の回転方向を変化させるように機能している。この点について、図14〜図16を用いて説明する。
図14は、マガジン100のダンパー係合ピン117が係合部材301の当接突起部301aに当接した状態を示している。この状態では、係合部材301の係合側先端がマガジン収納方向の手前側を向いているため、ショックアブソーバ302は係合部材301を時計回りに回転させるように押圧している。これにより、係合部材301の反時計回りの回転を許容しつつマガジン100の走行速度を減速させることで、マガジン100収納時の衝撃力を緩和することができるようになっている。
図15は、マガジンダンパーユニット300におけるマガジン100の走行速度を減速させる機能と、マガジン100をマガジン収納方向の奥側に押し付ける機能とが切り替わる係合部材301の角度を示している。
具体的には、ショックアブソーバ302の支点軸307の軸中心と連結軸306の軸中心とを結ぶ中心線L2と、連結軸306の軸中心と係合部材301の回転軸305の軸中心とを結ぶ中心線L3とが一直線となって、支点軸307の軸中心と回転軸305の軸中心とを結ぶ中心線L1上に重なった状態となっている。
この状態では、係合部材301は係合側先端の当接突起部301aと保持突起部301bとでマガジン100のダンパー係合ピン117を挟み込んでおり、また、ショックアブソーバ302の押圧力は係合部材301の回転に寄与せず、両者が均衡した状態となっている。
図16は、マガジン100を位置決めした状態を示す図である。この状態では、係合部材301の係合側先端がマガジン収納方向の奥側を向いているため、ショックアブソーバ302は係合部材301を反時計回りに回転させるように押圧している。これにより、ショックアブソーバ302は、位置決めが完了したマガジン100を奥側に押し付けて保持するようになっている。
<タラップを用いたマガジン収納動作>
以上のように構成された画像形成装置Aにおいて、マガジン収納部200内にマガジン100を収納する動作について、以下、図6を用いて説明する。
まず、マガジン収納部200から取り外したマガジン100にペーパーロールRをセットしておき、タラップ350を回動させてマガジン収納部200の床面と装置設置面との間に架設する。
次に、作業者がマガジン100をキャスター111で移動させ、タラップ350の踏み板351上を走行させていく。このとき、タラップ350の側面ガイド板352とマガジン100のガイドベアリング112とが摺接して幅方向の位置が規制され、マガジン収納部200内のマガジンガイド202にマガジン100がスムーズに収納されるようになっている。
そして、作業者がマガジン100をマガジン収納部200内にさらに移動していくと、マガジン100のダンパー係合ピン117がマガジンダンパーユニット300の係合部材301に係合する。これにより、マガジン100の走行速度が減速する。さらにマガジン100を収納していくと、位置決めユニット250のリフトローラ255上にマガジン100全体が乗り上げ、キャスター111が床面から離れた状態となる。
この状態でさらにマガジン100を収納していくと、最終的に、マガジン100底部の手前側及び奥側に設けられた位置決めピン113が、それぞれ奥側及び手前側の位置決めユニット250の位置決めガイド257に嵌合され、マガジン100のマガジン収納部200における位置決めが完了する。
このとき、マガジンダンパーユニット300の係合部材301は、図16に示すような係合状態となっており、係合部材301の係合側先端がマガジン収納方向の奥側を向いているため、ショックアブソーバ302は係合部材301を反時計回りに回転させるように押圧している。これにより、ショックアブソーバ302は、マガジンセット位置にあるマガジン100を奥側に押し付けて保持するようになっており、装置自身の振動等によるマガジン100の位置ずれを防止する上で有利な効果が得られる。
<その他の実施形態>
本発明の構成は、前記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、画像記録部としてレーザー光を用いる露光エンジンについて説明したが、この限りではなく、例えば、液晶シャッターを用いた画像露光や、インクジェットプリンタであってもよい。したがって、画像形成媒体についても、写真感光材料だけでなく、それ以外の材料からなるペーパーであってもよい。