JP2007162958A - 床暖房装置 - Google Patents

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之彦 村山
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Abstract

【課題】目隙や床鳴りを防止できることは勿論のこと、接着剤による架橋ポリエチレン管の汚染の問題もない耐久性に優れた床暖房装置を提供することを目的としている。
【解決手段】熱媒体が通される架橋ポリエチレン管が所望位置に配設された床暖房パネルと、床暖房パネルの上方を覆うように配設される床仕上げ材とを少なくとも床構成部材として備える床暖房装置であって、前記床構成部材の固定に使用される接着剤が、接着剤の硬化後のJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定された15%モジュラスが0.2N/mm2以上であり、かつ、接着剤の硬化後のJIS K6253タイプAデュロメータで測定したゴム硬度が40〜80となる変成シリコーン系樹脂接着剤であることを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、床暖房装置に関する。
最近、床構成部材の接着に、エポキシ樹脂や酢酸ビニル樹脂系の硬い接着剤ではなく、変成シリコーン系接着剤のように、硬化皮膜がゴム弾性を有する柔軟な接着剤が用いられている。これは、従来、問題になっていた床鳴りを防止できるからである。
また、例えば、床暖房仕様の床構成部材の接着には、冬場の床構成部材の目隙の問題から従来の硬化皮膜の硬い接着剤が用いられている。このような接着剤として、例えば、変成シリコーン−エポキシ1成分系接着剤が用いられている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記の変成シリコーン−エポキシ1成分系接着剤の場合、床暖房パネルに埋め込まれた熱媒体用配管として使用されている架橋ポリエチレン管を汚染し、架橋ポリエチレン管の劣化を招く虞がある。すなわち、床暖房パネルの耐久性の点で問題があった。
特開平5−311141号公報
本発明は、上記事情に鑑みて、目隙や床鳴りを防止できることは勿論のこと、接着剤による架橋ポリエチレン管の汚染の問題もない耐久性に優れた床暖房装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の床暖房装置(以下、「請求項1の床暖房装置」と記す)は、熱媒体が通される架橋ポリエチレン管が所望位置に配設された床暖房パネルと、床暖房パネルの上方を覆うように配設される床仕上げ材とを少なくとも床構成部材として備える床暖房装置であって、前記床構成部材の固定に使用される接着剤が、接着剤の硬化後のJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定された15%モジュラスが0.2N/mm2以上であり、かつ、接着剤の硬化後のJIS K6253タイプAデュロメータで測定したゴム硬度が40〜80となる変成シリコーン系樹脂接着剤であることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の床暖房装置(以下、「請求項2の床暖房装置」と記す)は、請求項1の床暖房装置において、床構成部材の固定に使用される接着剤が、主鎖が本質的にポリアルキレンオキサイドであり、かつ加水分解性シリル基を有する重合体(A)と、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体と、シラノール縮合触媒と、平均粒子径4〜20μmである板状フィラーとを含むことを特徴としている。
本発明において、床構成部材としては、床暖房パネル、床仕上げ材だけでなく、床下地材、金属板などの熱拡散材、クッション材等も含まれる。
床仕上げ材としては、フローリング材、カーペット、畳仕上げ材、コルク板、樹脂タイル等の公知のものが挙げられる。
本発明において、変成シリコーン系樹脂接着剤とは、加水分解性シリル基を有し、主鎖がポリアルキレンオキサイドである重合体および/またはアクリル酸エステル重合体で形成されている樹脂を含有するものを意味する。
また、本発明で用いられる変成シリコーン系樹脂接着剤は、接着剤の硬化後のJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定された15%モジュラスが0.2N/mm2以上であり、かつ、接着剤の硬化後のJIS K6253タイプAデュロメータで測定したゴム硬度が40〜80となる必要があるが、その理由は、以下のとおりである。
すなわち、上記15%モジュラスが0.2N/mm2よりも低いと、床暖房時に床仕上げ材に目隙が生じ、上記ゴム硬度が40未満では床暖房時に床仕上げ材に目隙が生じ、ゴム硬度が80より大きいと床鳴りが生じる。
さらに、本発明で用いられる変成シリコーン系樹脂接着剤は、上記条件を満たすものであれば、特に限定されないが、請求項2の床暖房装置に使用される接着剤のように、主鎖が本質的にポリアルキレンオキサイドであり、かつ加水分解性シリル基を有する重合体(A)と、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下、「重合体(B)」と記す)と、シラノール縮合触媒と、平均粒子径4〜20μmである板状フィラーとを含むものを用いることが好ましい。
上記重合体(A)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等を主鎖に含むものが挙げられ、硬化後の伸びがよく、粘性的に取り扱いしやすいという点で、ポリプロピレンオキサイドを主鎖として含むものが好適である。
また、重合体(A)を構成するシリル基は、加水分解性基が珪素原子に結合した基である。
珪素原子に結合した加水分解性基としては、例えば、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが挙げられ、反応後に有害な副生成物を生成しないので、アルコキシ基が好適である。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。これらの内、メトキシ基、エトキシ基等が好適である。
アルコキシ基が珪素原子に結合した上記アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基等のジアルコキシシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基等のモノアルコキシシリル基を挙げることができる。シリル基含有ポリアルキレンオキサイドは、これらのアルコキシシリル基を単独または2種以上有していてもよい。
さらに、上記重合体(A)は、上記シリル基を1分子あたり少なくとも平均1個有することが好ましい。
上記重合体(A)は、重量平均分子量が、4000〜50000のものが好ましく、10000〜40000のものがより好ましい。すなわち、重量平均分子量が、4000未満の場合、硬化後の硬化体の伸び率が充分でなくなり、弾性機能が低下し、50000を超えると、粘度が高すぎて、配合工程での作業性が低下する虞がある。また、重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)としては、1.6以下のものが作業性と伸びとのバランスに優れているため好ましい。
上記のような重合体(A)としては、例えばカネカ社製の商品名MSポリマーS−203、S−303、サイリルポリマーSAT−200、SAT−350、SAT−400、旭硝子社製の商品名エクセスターESS−3620、ESS−2420、ESS2410、ESS3430等の市販のものを使用することができる。
上記重合体(B)は、床暖房パネルに用いられる架橋ポリエチレン管への汚染低減に効果があり、主鎖が本質的に(メタ)アクリル酸エステル重合体で形成されていれば、特に限定されないが、1分子あたり0.7〜4個のシリル基を含み、重量平均分子量が2000〜50000であるものが好ましい。すなわち、重量平均分子量が2000より少ないと、硬化体が脆くなり、50000より大きいと、接着付与効果が少なくなる虞があり、シリル基の数が、0.7個より少ないと接着付与効果が少なくなり、4個より多いと硬化物が脆くなる虞がある。
上記重合体(B)の主鎖部分を形成するアクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸等や、以下に示す化合物1〜20の(メタ)アクリル酸エステルモノマー等を挙げることができる。
[化合物1]
CH2=CH−C(O)O−CH2CH2O−[C(O)CH2CH2CH2CH2CH2O]n−H
(n=1〜10)
[化合物2]
CH2=C(CH3)−C(O)O−CH2CH2O−[C(O)CH2CH2CH2CH2CH2O]n−H
(n=1〜10)
[化合物3]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−H
(n=1〜12)
[化合物4]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−H
(n=1〜12)
[化合物5]
CH2=CH−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−H
(n=1〜12)
[化合物6]
CH2=C(CH3)−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−H
(n=1〜12)
[化合物7]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−[CH2CH(CH3)O]m−H
(m,n=1〜12)
[化合物8]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−[CH2CH(CH3)O]m−H
(m,n=1〜12)
[化合物9]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−(CH2CH2CH2CH2O)m
(m,n=1〜12)
[化合物10]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−(CH2CH2CH2CH2O)m
(m,n=1〜12)
[化合物11]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−CH3
(n=1〜10)
[化合物12]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−CH3
(n=1〜30)
[化合物13]
CH2=CH−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−CH3
(n=1〜10)
[化合物14]
CH2=C(CH3)−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−CH3
(n=1〜10)
[化合物15]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−[CH2CH(CH3)O]m−H
(m,n=1〜10)
[化合物16]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−[CH2CH(CH3)O]m−H
(m,n=1〜10)
[化合物17]
CH2=CH−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−C(O)−CH=CH2
(n=1〜20)
[化合物18]
CH2=C(CH3)−C(O)O−[CH2CH(CH3)O]n−C(O)−C(CH3)=CH2
(n=1〜20)
[化合物19]
CH2=CH−C(O)O−(CH2CH2O)n−C(O)−CH=CH2
(n=1〜20)
[化合物20]
CH2=C(CH3)−C(O)O−(CH2CH2O)n−C(O)−C(CH3)=CH2
(n=1〜20)
また、重合体(B)は、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーを単独重合、あるいは2種以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその他の重合性モノマーと共重合させることによって得られるが、共重合体とする場合、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの内、メチルメタアクリレートを含むこと好ましく、メチルメタアクリレートとブチルアクリレートとを含むことがより好ましい。
すなわち、共重合体成分として、メチルメタアクリレートを含むと、例えば、ポリエステル被覆鋼板のようなプラスチック材料に対しても密着性が良好になる。
また、上記重合体(B)を形成する他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等のビニルエステル基を持つ化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等のビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
上記重合体(B)の製法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等の各種重合法を用いることができる。モノマーの重合性に応じて適宜の上記重合法を選択すればよい。
上記重合体(B)のシリル基としては、上記シリル基含有ポリアルキレンオキサイドと同様のシリル基が挙げられる。
また、シリル基の導入法としては、特に限定されないが、例えば、シリル基を持つ開始剤による重合を開始する方法、シリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、シリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法等の重合と同時にシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−123192号公報、特開昭57−179210号公報、特開昭59−78220号公報、特開昭60−23405号公報)や、アルケニル基を持った(メタ)アクリル酸エステル重合体を合成し、その後、ヒドロシリル化によってアルコキシシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−40893号公報、特開平11−80571号公報)等の公知の方法が挙げられる。
上記重合体(B)の配合割合は、特に限定されないが、重合体(A)100重量部に対し、5〜100重量部とすることが好ましい。すなわち、重合体(B)の配合割合が重合体(A)100重量部に対し5重量部より少ないと効果が少なく、重合体(B)の配合割合が重合体(A)100重量部に対し100重量部より多いと作業性が悪化する虞がある。
上記シラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレートビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル酸オキサイド等の錫化合物、アルコキシシリル基を有する錫化合物(例えば、日東化成社製U−303、U−700)、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物、ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン類や、他の酸性触媒及び塩基性触媒が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を併用することができる。
上記板状フィラーとしては、平均粒子径4〜20μmである板状フィラーであれば特に限定されず、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク、合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。上記板状フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
上記変成シリコーン系樹脂接着剤には、さらに必要に応じて、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物、脱水剤、各種の充填材、タレ防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、溶剤、香料等を配合することができる。
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用して使用できる。
上記脱水剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシラン化合物類、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等の加水分解性エステル化合物類が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
上記充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を併用することができる。
上記タレ防止剤としては、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等のヒンダートアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
本発明にかかる床暖房装置は、以上のように、床構成部材の固定に使用される接着剤が、接着剤の硬化後のJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定された15%モジュラスが0.2N/mm2以上であり、かつ、接着剤の硬化後のJIS K6253タイプAデュロメータで測定したゴム硬度が40〜80となる変成シリコーン系樹脂接着剤であるので、目隙や床鳴りを防止できることは勿論のこと、接着剤による架橋ポリエチレン管の汚染の問題もない耐久性に優れたものとすることができる。
以下に、本発明の具体的な実施例をその比較例と対比させて詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
重合体(B)として、主鎖部分がブチルアクリレートと、メチルメタクリレートとの共重合体からなり、シリル基としてトリメトキシシリル基が1分子あたり1.7個で、重量平均分子量が4000である重合体Xを用意した。
この重合体X30重量部と、重合体(A)としてのシリル基含有ポリアルキレンオキサイド(カネカ社製サイリルポリマーSAT400)100重量部と、板状フィラーとしてのタルク(平均粒径8μm)100重量部と、充填材としてのコロイダル炭酸カルシウム(平均粒径0.05μm)50重量部と、充填材としての重質炭酸カルシウム(平均粒径1.85μm)50重量部と、ポリマー安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製ヒンダードフェノール、商品名イルガノックス1010)2重量部と、紫外線吸収剤としてのベンゾトリアゾール(チバスペシャリティケミカルズ社製商品名チヌビン327)2重量部と、3−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)4重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部と、ビニルトリメトキシシラン (信越化学工業社製)4重量部と、シラノール縮合触媒(日東化成社製ジブチル錫系シラノール縮合触媒、商品名ネオスタンU−700)2重量部とを外部から湿気が入らないように密封された混合攪拌機を用いて減圧下で均一に混合して変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤I」と記す)を得た。
(実施例2)
重合体Xの配合割合を50重量部とした以外は、実施例1と同様にして変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤II」と記す)を得た。
(実施例3)
タルクの配合割合を10重量部とし、重質炭酸カルシウムの配合割合を140重量部とするとともに、シラノール縮合触媒としてネオスタンU−700に代えてジブチル錫ジラウレートを用いた以外は、実施例1と同様にして変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤III」と記す)を得た。
(実施例4)
重合体X30重量部と、重合体(A)としてのシリル基含有ポリアルキレンオキサイド(カネカ社製サイリルポリマーSAT400)100重量部と、板状フィラーとしてのタルク(平均粒径8μm)50重量部と、充填材としてのコロイダル炭酸カルシウム(平均粒径0.05μm)70重量部と、充填材としての重質炭酸カルシウム(平均粒径1.85μm)120重量部と、ジイソノニルフタレート20重量部と、ポリマー安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製ヒンダードフェノール、商品名イルガノックス1010)2重量部と、紫外線吸収剤としてのベンゾトリアゾール(チバスペシャリティケミカルズ社製商品名チヌビン327)2重量部と、3−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)4重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部と、ビニルトリメトキシシラン (信越化学工業社製)4重量部と、シラノール縮合触媒としてのジブチル錫ジラウレート2重量部とを外部から湿気が入らないように密封された混合攪拌機を用いて減圧下で均一に混合して変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤IV」と記す)を得た。
(比較例1)
重合体Xおよびタルクを添加せず、コロイダル炭酸カルシウムの配合割合を100重量部とした以外は、実施例1と同様にして変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤V」と記す)を得た。
(比較例2)
ジイソノニルフタレートを20重量部さらに添加するとともに、シラノール縮合触媒としてネオスタンU−700に代えてジブチル錫ジラウレートを用いた以外は、比較例1と同様にして変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤VI」と記す)を得た。
(比較例3)
重合体Xおよび重質炭酸カルシウムを添加せず、タルクの配合割合を200重量部とした以外は、実施例1と同様にして変成シリコーン樹脂系接着剤(以下、「接着剤VII」と記す)を得た。
上記実施例1〜4および比較例1〜3で得られた接着剤I〜VIIのそれぞれについて、硬化後の15%モジュラス、硬化後のゴム硬度を測定するとともに、目隙評価、床鳴り評価、架橋ポリエチレン管の劣化確認試験を行い、その結果を接着剤組成とともに表1に示した。
なお、15%モジュラスおよびゴム硬度の測定方法、目隙評価方法、床鳴り評価方法、架橋ポリエチレン管の劣化確認試験方法は、以下のようにした。
〔15%モジュラス〕
各接着剤が硬化後の硬化体のダンベル物性値をJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定することによって求めた。
〔ゴム硬度〕
接着剤を厚さ3mmになるように塗布し、23℃湿度50%で1ヶ月養生後、タイプAデュロメータを用いて23℃湿度50%下で測定した。
〔目隙評価〕
80℃で1週間乾燥した針葉樹合板(300mm×1800mm×20mm厚)の短手方向に接着剤を間隔300mmで幅6mmのビード状に6本塗布した後、接着剤が塗布された針葉樹合板の塗布面に対して水平となるように、2枚の針葉樹合板(900mm×12mm厚)からなる床材を並べて積層し、コーナー端部4ヶ所を釘で固定して床構造体を得た。この構造体を23℃、湿度50%の雰囲気下で2週間養生し、80℃で1週間乾燥した後、2枚の床材間に生じた目隙の寸法を測定した。また、目隙の有無を目視で確認し、目隙が0.4mm以下を○、 目隙が0.4mmを越える場合を×とした。
〔床鳴り評価〕
針葉樹合板(300mm×450mm×200mm厚)の短手方向に接着剤を間隔300mm(中心線振り分け)で幅6mmのビード状に2本塗布した。しかる後、接着剤が塗布された針葉樹合板の塗布面に対して、針葉樹合板の上に床材(300mm×450mm×12mm厚)を水平に積層し、いったん圧力を加えて接着剤を押し広げた後、床材の中央部に10kgの重りを乗せて圧縮し、床構造体を得た。この床構造体を23℃、湿度50%の雰囲気下で2週間養生した後、針葉樹合板の短手方向の両端部を支持台で支持し、床材上の中心部に500mm/分の速度で3mm変位の曲げ応力を加えて、剥離もしくは割れによる床鳴りの発生の有無を観測し、床鳴り無しを○、床鳴り有りを×とした。
〔架橋ポリエチレン管の劣化確認試験〕
JIS K6787に従って、温水パイプをダンベル状試験片とした。このダンベル状試験片に接着剤を塗布して23℃、湿度50%で3日間硬化させた後に140℃のオーブンに1200時間曝露した。そして、曝露前後のダンベルの引っ張り試験を行い、初期に対する伸度保持率60%以上を○、初期に対する伸度保持率60%未満を×とした。
Figure 2007162958

Claims (2)

  1. 熱媒体が通される架橋ポリエチレン管が所望位置に配設された床暖房パネルと、床暖房パネルの上方を覆うように配設される床仕上げ材とを少なくとも床構成部材として備える床暖房装置であって、
    前記床構成部材の固定に使用される接着剤が、接着剤の硬化後のJIS K7113に規定されている引っ張り試験方法により測定された15%モジュラスが0.2N/mm2以上であり、かつ、接着剤の硬化後のJIS K6253タイプAデュロメータで測定したゴム硬度が40〜80となる変成シリコーン系樹脂接着剤であることを特徴とする床暖房装置。
  2. 床構成部材の固定に使用される接着剤が、主鎖が本質的にポリアルキレンオキサイドであり、かつ加水分解性シリル基を有する重合体(A)と、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体と、シラノール縮合触媒と、平均粒子径4〜20μmである板状フィラーとを含む請求項1に記載の床暖房装置。
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