JP2007160816A - カバー開閉機構及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な開閉角度を有する小型なカバー開閉機構及びそのカバー開閉機構を備えた電子機器を提供することにある。
【解決手段】ボディ101に対して開閉自在なカバー210の開閉機構211は、カバーの閉状態から第1の所定角度の範囲でボディに回転自在に支持され、且つカバーを第2の所定角度の範囲で回転自在に支持したリンク構造212,212a,214a,212b,214bを備えている。リンク構造が第1の所定角度の範囲で回転するときはカバーと一体的に回転し、リンク構造がカバーの閉状態から第1の所定角度を回転しきった状態では、カバーのみが第2の所定角度の範囲で回転する。これにより、カバーは2箇所の支点を持つリンク構造により開閉動作することになるので、リンク構造を特に高さ方向に小型にしても、ボディと干渉すること無く、カバーを大きく開くことができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、ボディに対して開閉自在なカバーの開閉機構及びそのカバー開閉機構を備えた電子機器に関する。
通常、電子機器は、ハウジングの内部のメンテナンス作業を容易に行うことができるようにするため、ハウジングの上面に開口部が設けられている。そして、このような開口部は、メンテナンス作業時は作業が容易となるように大きく開かれ、メンテナンス作業時以外は塵や埃等が侵入しないように閉じられている必要があるため、大きな角度範囲で旋回して開口部を開閉するカバーで覆われている。
このカバーの開閉機構としては、例えばカバーの一端側の両端に軸を突設すると共に、開口部の一端側の両側に孔を穿設し、軸を孔に挿入することによりカバーを旋回自在に軸支持する機構が用いられている。また、例えばカバーの一端側に蝶番の一片をネジ等により固定し、開口部の一端側に蝶番の他片をネジ等により固定することにより、カバーを旋回自在に支持する機構が用いられている(特許文献1参照)。
特開2005−41213号公報
上述した軸と孔による開閉機構や蝶番による開閉機構では、カバーの開きが中途の状態でカバーから手を離すと、カバーが自重により勢い良く閉じて破損してしまうおそれがある。また、カバーの開角度やカバーの肉厚等により、カバーとハウジングとの干渉範囲が大きくなる場合があるため、カバーとハウジングとの隙間を大きく取る必要があるが、隙間から塵や埃等が侵入し易くなり、また、隙間からハウジングの内部等が見えないようにするためにハウジングのデザイン設計面で制約が生じる。
そこで、これらの問題を解消するものとして所謂隠し蝶番がある。この隠し蝶番は、一端がカバーの裏面にネジ等により固定され、他端がハウジングの内面に回転自在に軸支持されていると共に捻りコイルバネにより付勢されている。ところが、上述したように、カバーは大きな角度範囲で旋回して開口部を開閉する必要があるため、隠し蝶番が大型化すると共に、ハウジング内における隠し蝶番の回転スペースを大きく取らなければならず、電子機器の小型化が困難になる。
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、十分な開閉角度を有する小型なカバー開閉機構及びそのカバー開閉機構を備えた電子機器を提供することにある。
上記目的達成のため、本発明のカバー開閉機構では、ボディに対して開閉自在なカバーの開閉機構であって、前記カバーの閉状態から第1の所定角度の範囲で前記ボディに回転自在に支持され、且つ前記カバーを第2の所定角度の範囲で回転自在に支持したリンク構造を備え、前記リンク構造が前記第1の所定角度の範囲で回転するときは前記カバーと一体的に回転し、前記リンク構造が前記カバーの閉状態から前記第1の所定角度を回転しきった状態では、前記カバーのみが前記第2の所定角度の範囲で回転することを特徴としている。
即ち、一端が前記ボディ側に支持された第1のヒンジと、他端が前記カバー側に支持された第2のヒンジとを有するリンクを備え、開動作時は、前記カバーと前記リンクが前記第1のヒンジを中心に一体的に第1の所定角度回転し、続いて前記カバーのみが前記第2のヒンジを中心に第2の所定角度回転して開状態を維持し、閉動作時は、前記カバーのみが前記第2のヒンジを中心に第2の所定角度回転し、続いて前記カバーと前記リンクが前記第1のヒンジを中心に一体的に第1の所定角度回転して閉状態を維持することを特徴としている。これにより、カバーは2箇所の支点を持つリンク構造により開閉動作することになるので、リンク構造を特に高さ方向に小型にしても、ボディと干渉すること無く、カバーを大きく開くことができる。更に、リンク構造が小型となるので、ボディ内部の主要部品と干渉することは無く、主要部品のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、前記リンクは、前記第1のヒンジを中心に開方向に前記第1の所定角度回転したときの前記カバーの自重によるモーメントと略同一のモーメントで前記カバーを開方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴としている。これにより、カバーの開きが上記第1の所定角度に達したときは、その状態を維持することができると共に、カバーの開きが上記第1の所定角度内の中途の状態でカバーから手を離しても、カバーは緩やかに閉じることになる。また、前記リンク及び前記カバーは、前記第1及び第2の所定角度回転したときに当該回転を規制する回転規制手段をそれぞれ備えていることを特徴としている。これにより、カバーを常に正確な角度で開けることができる。また、前記第1及び第2のヒンジは、前記カバーが閉状態のときに前記ボディから突出しないように配設されていることを特徴としている。これにより、ボディ全体を小型にデザイン設計することができる。
上記目的達成のため、本発明の電子機器では、上記各カバー開閉機構を備えたことを特徴としている。また、この電子機器は、被記録媒体に記録する記録装置であることを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する電子機器又は記録装置を提供することができる。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの外観構成の全体を斜め前方及び後方から見た斜視図、図3は、その内部構成の概略を示す斜視図、図4は、その内部構成の概略を示す断面側面図である。このインクジェット式プリンタ100は、例えばL判/2L判、ハガキ、JIS規格のA4判、A3判ノビ、A2判等のサイズの単票紙(以下、単に用紙(被記録媒体)という)にインクにより記録することができる機能を備えている。
このインクジェット式プリンタ100は、図1及び図2に示すように、全体が略直方体状のハウジング(ボディ)101で覆われている。そして、ハウジング101の図1に示す上面右前側には操作部110が配設され、図1に示す上面左前側にはカートリッジ収納部120が配設されている。更に、図1に示す上面後側には第1リア給紙部130が配設され、図2に示す背面側には第2リア給紙部140が配設されている。そして、図1に示す前面側には排紙部150とフロント給紙部160が配設され、図1に示す前面右側には廃インク回収部170が配設されている。また、このインクジェット式プリンタ100の内部には、図2及び図4に示す制御部190と、図3及び図4に示す用紙搬送部180並びに記録部200が配設されている。
また、ハウジング101の上面における操作部110及びカートリッジ収納部120と第1リア給紙部130との間には、矩形状の開口部102が形成されている。この開口部102は、略矩形平板状のプリンタカバー(カバー)210によって覆われている。プリンタカバー210は、後端に配設されている本発明の特徴的な部分であるカバー開閉機構211(図5参照)により図示矢印a方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、プリンタカバー210を持ち上げて開口部102を開放することにより、開口部102を通して用紙搬送部180や記録部200等の内部機構のメンテナンス作業等を簡易に行うことができる。尚、このカバー開閉機構211の詳細については後述する。
操作部110は、図1及び図2に示すように、略矩形状の操作パネル111を備え、この操作パネル111の略中央部に操作状態等を表示する液晶パネル112が配設され、この液晶パネル112の両側にパワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等のボタン113が配設されている。ユーザは、液晶パネル112を見て確認しながらボタン113を操作することができるので、誤操作を防止することができる。
カートリッジ収納部120は、図1及び図2に示すように、印刷用の各色(本例では9色)のインクを貯留している図3及び図4に示すインクカートリッジ121が抜き差し可能に収納されている。このカートリッジ収納部120は、断面がL字状のカートリッジカバー122によって覆われている。カートリッジカバー122は、後端の回動軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、カートリッジカバー122を持ち上げてカートリッジ収納部120を開放することにより、インクカートリッジ121を簡易に交換等することができるので、作業効率を向上させることができる。
第1リア給紙部130は、自動給紙(ASF)用であり、図1及び図2に示すように、上方に向かって矩形状に開口した第1給紙口131を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートする機能を併せ持った4段構造の第1ペーパーサポート132を備えている。この第1ペーパーサポート132は、後端の回動軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。この第1リア給紙部130で給紙される用紙は、比較的薄手の用紙(例えば、厚さ0.08mm〜0.27mm程度の普通紙や写真用紙等)が使用される。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1ペーパーサポート132の図示手前中央に設けられた穴132aに指を掛けて第1ペーパーサポート132を持ち上げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第1ペーパーサポート132であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1ペーパーサポート132を多段部分を押し込んで閉じることにより第1給紙口131を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第1ペーパーサポート132をコンパクトに格納しておくことができる。
第2リア給紙部140は、手差し給紙用であり、図2に示すように、後方に向かって矩形状に開口した第2給紙口141を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚サポートする機能を併せ持った2段構造の第2ペーパーサポート142を備えている。この第2ペーパーサポート142は、下端の回動軸を中心に図示矢印d方向に回動可能に取り付けられている。この第2リア給紙部140で給紙される用紙は、第1リア給紙部130における搬送角度で給紙できない厚さの用紙(例えば、厚さ0.29mm〜0.48mm程度の画材用紙や専用紙等)が使用される。更に、第1リア給紙部130は自動給紙(ASF)用であることから給紙ローラ82で用紙をピックアップするので、この給紙ローラ82に紙粉が付着して蓄積されると、給紙ローラ82に滑りが生じて給紙不良を引き起こすおそれがある。そのため、紙粉が発生し易い用紙(例えば、厚さ0.48mm程度のVelvet Fine Art Paperや厚さ0.46mm程度のUltra Smooth Fine Art Paper)についても、第2リア給紙部140で手差し給紙させる必要がある。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第2ペーパーサポート142の図示上部に指を掛けて第2ペーパーサポート142を押し下げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第2ペーパーサポート142であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第2ペーパーサポート142を多段部分を押し込んで閉じることにより第2給紙口141を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第2ペーパーサポート142をコンパクトに格納しておくことができる。
排紙部150は、図1に示すように、前方に向かって矩形状に開口した排紙口151を開閉する機能と、排紙される用紙を1枚もしくは複数枚スタックする機能を併せ持った図3に示す第1スタッカ51と第2スタッカ52の2段構造のスタッカ152を備えている。第1スタッカ51は、第2スタッカ52の先端側で回動軸を中心に図示矢印e方向に回動可能に取り付けられている。第2スタッカ52は、排紙口151に対して斜め上下に平行移動して突出・格納可能なように取り付けられている。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1スタッカ51の上部に指を掛け第1スタッカ51を手前に回動させて排紙口151を開け、第1スタッカ51の先端を指で摘んで引き出し第2スタッカ52を斜め上方へ平行移動させて突出させることによりセッティングが完了するので、着脱式のスタッカの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造のスタッカ152であるので、種々のサイズの排紙される用紙を確実に積層載置することができ、また、記録後の用紙は常に前面側から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1スタッカ51の先端を手で押し込むことにより第2スタッカ52を斜め下方へ平行移動させて格納すると共に、第1スタッカ51に手を添えて第1スタッカ51を後方へ回動させて排紙口151を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、スタッカ152をコンパクトに格納しておくことができる。
フロント給紙部160は、手差し給紙用であり、図3に示すように、排紙口151におけるスタッカ152の上方に配設された給紙トレイ161を備えている。この給紙トレイ161は、排紙口151に対して水平に移動可能に設けられている。このフロント給紙部160で給紙される用紙は、搬送時に折り曲げることが不可能な比較的厚手の用紙(例えば、厚さ1.2mm程度のマットボード紙等)が使用される。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが外れて給紙トレイ161が排紙口151から突出する。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが掛かって給紙トレイ161が排紙口151内に格納される。従って、給紙トレイ161の配設スペース効率を高めることができる。
廃インク回収部170は、図1〜図3に示すように、廃インク等を貯留する廃インクタンク171が抜き差し可能に収納されている。この廃インクタンク171は、記録ヘッド202のクリーニング処理時やインクカートリッジの交換時に廃棄される廃インク等を貯留する。ユーザは、廃インクタンク171に廃インク等が一杯に溜まったときは、その廃インクタンク171を引き出して新しい廃インクタンク171を差し込むのみで良いので、廃インクタンク171の交換作業を簡易に行うことができる。
用紙搬送部180は、図3及び図4に示すように、第1リア給紙部130及び第2リア給紙部140から排紙部150に掛けて配設されており、自動給紙機構181、搬送機構182、排紙機構183を備えている。自動給紙機構181は、図4に示すように、第1ペーパーサポート132にサポートされている用紙を給送するために持ち上げるホッパ81、このホッパ81により持ち上げられた用紙を取り出す給紙ローラ82、この給紙ローラ82により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラ83、このリタードローラ83により分離された残りの用紙をホッパ81へ戻す紙戻しレバー84等を備えている。
ホッパ81は、用紙が載置可能な平板状に形成されて後壁と略平行に配設されており、下端が給紙ローラ82の近傍に位置し、上端が後壁頂部に近接して位置するように配設されている。そして、ホッパ81は、後壁に一端が取り付けられた図示しない圧縮バネの他端が下端側の裏面に取り付けられており、この圧縮バネの伸縮により上端側を中心に下端側が旋回するように配設されている。
給紙ローラ82は、断面の一部が切り欠かれたD字状に形成されてホッパ81の下端近傍に配設されており、間欠的に回転してホッパ81により持ち上げられた用紙を摩擦給送するようになっている。リタードローラ83は、給紙ローラ82と当接可能に配設されており、給紙ローラ82により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。紙戻しレバー84は、爪状に形成されて給紙ローラ82の近傍に配設されており、リタードローラ83により分離された下層の用紙を爪に掛けてホッパ81へ戻すようになっている。
搬送機構182は、図4に示すように、記録動作に同期して副走査方向に用紙を送る紙送りローラ85とその従動ローラ86等が配設されている。紙送りローラ85は、プラテン203の搬送上流側に配設されており、給紙ローラ82により給送される用紙を従動ローラ86と共に挟持してプラテン203へ送り出すようになっている。
排紙機構183は、図4に示すように、排紙ローラ87と第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88b等を備えている。第1ギザローラ88aは、プラテン203の搬送下流側に配設され、第2ギザローラ88bと排紙ローラ87は、第1ギザローラ88aの搬送下流側に対向配設されており、プラテン203を通過してくる用紙を先ず第1ギザローラ88aで排送し、続いて第2ギザローラ88bと排紙ローラ87で挟持してスタッカ152上へ排紙するようになっている。尚、第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88bは、図示しない同一の保持部材により保持されている。
制御部190は、図4に示すように、プリンタコントローラを構成するメイン基板191を備えている。このメイン基板191は、図示しないCPU、ROM、RAM、ASIC等の制御素子や記憶素子、及びその他の各種回路素子が装着されている。そして、プリントエンジンを構成する用紙搬送部180や記録部200等を制御するようになっている。
記録部200には、図4に示すように、記録動作に同期して主走査方向に移動するキャリッジ201、記録動作に同期してインクを吐出する記録ヘッド202と、記録時の用紙を平坦に保持するプラテン203等が配設されている。キャリッジ201は、図3に示すように、プラテン203の上方でキャリッジガイド軸204に貫装されてキャリッジベルト205に連結されており、図示しないキャリッジモータによってキャリッジベルト205が作動すると、キャリッジベルト205の動きに連行され、キャリッジガイド軸204に案内されて往復移動するようになっている。
記録ヘッド202は、図4に示すように、プラテン203と所定の間隔が空くようにしてキャリッジ201に搭載されており、2種類のブラック、例えばフォトブラックとマットブラックのインクと、イエロー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、レッドの7色のインクをそれぞれ吐出することができる。即ち、記録ヘッド202は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口がノズルプレートに設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口から用紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。プラテン203は、紙送りローラ85と排紙ローラ87の間であって記録ヘッド202と対向するように配設されており、搬送されてくる用紙を面支持するようになっている。次に、本発明の特徴的な部分であるカバー開閉機構211の詳細について、更に図を参照して説明する。
図5は、プリンタカバー210を開けたときの状態をプリンタ前面側から見た斜視図、図6〜図8は、プリンタカバー210が閉じた状態から開いた状態までを示す断面側面図である。カバー開閉機構211は、図5に示すように、第1リア給紙部130の両側にそれぞれ配設されており、図6に示すように、一端がハウジング101の上面内側に回転自在に取り付けられ、他端がプリンタカバー210の後端裏面に回転自在に取り付けられている。
このカバー開閉機構211は、略L字状のリンク(リンク構造)212と、捻りコイルバネ(付勢手段)213を備えている。リンク212は、両端に穴(リンク構造、第1、第2のヒンジ)212a、212bが形成されている。一端側の穴(リンク構造、第1のヒンジ)212aは、ハウジング101の上面内側に設けられた軸(リンク構造、第1のヒンジ)214aに挿入されて回転自在に支持されている。一方、他端側の穴(リンク構造、第2のヒンジ)212bは、プリンタカバー210の後端裏面に設けられた軸(リンク構造、第2のヒンジ)214bに挿入されて回転自在に支持されている。
更に、リンク212は、L字角部外側に略三角形状の突出部(回転規制手段)212cが形成されている。そして、捻りコイルバネ213は、ハウジング101の上面内側に設けられた上記軸214aに挿入されている。そして、一端がハウジング101の上面内側に設けられた突起213aに係止され、他端がリンク212に形成された突出部212cに係止されている。
このような構成により、プリンタカバー210は、2つの軸214a、214bを中心に回転自在であるWヒンジ機構となっている。即ち、リンク212は、図6に示すプリンタカバー210が閉状態と図7に示すプリンタカバー210が半開状態との間の第1の所定角度(約90度)θ1の範囲で回転自在に支持されている。また、プリンタカバー210は、図7に示す半開状態と図8に示す全開状態との間の第2の所定角度(約45度)θ2の範囲で回転自在に支持されている。
そして、第1の所定角度θ1の範囲内では、プリンタカバー210の後端裏面に設けられたリブ(回転規制手段)210aがリンク212の他端部(回転規制手段)212dに当接してプリンタカバー210の回転が規制されるようになっている。更に、プリンタカバー210が閉状態から第1の所定角度θ1まで回転しきって半開状態となったとき、リンク212は突出部(回転規制手段)212cがハウジング101に設けられた壁部(回転規制手段)215aに当接してリンク212の回転が規制されるようになっている。また、プリンタカバー210が半開状態から第2の所定角度θ2まで回転しきって全開状態になったとき、プリンタカバー210の下端に設けられた縁部(回転規制手段)210bがリンク212の中央部(回転規制手段)212eに当接してプリンタカバー210の回転が規制されるようになっている。以上により、プリンタカバー210は、図6に示す閉状態と図7に示す半開状態との間は、リンク212と一体的に回転する。そして、プリンタカバー210は、図7に示す半開状態と図8に示す全開状態との間は、単独で回転する。
ここで、プリンタカバー210は、図7に示す半開き状態と図8に示す全開状態との間でのみリンク212に対して回転自在に支持されているわけではなく、リンク212に対して第2の所定角度θ2の範囲で回転自在に支持されている。従って、図6に示すプリンタカバー210が閉じた状態からプリンタカバー210を持ち上げると、プリンタカバー210はリンク212と共に回転せず、プリンタカバー210のみが第2の所定角度θ2まで回転することになる。そこで、このような現象を防止するために、捻りコイルバネ213が配設されている。
図9は、上記捻りコイルバネ213の作用を示す図である。この捻りコイルバネ213は、プリンタカバー210の開方向に付勢するように取り付けられており、その付勢力Fは、リンク212を含むプリンタカバー210の自重Wとの関係で設定されている。即ち、捻りコイルバネ213の付勢力Fによりプリンタカバー210を含むリンク212に作用するモーメントMfは、捻りコイルバネ213の付勢力Fと、リンク212の一端側の穴212aが挿入されている軸214aの中心点Cからリンク212の突出部212cと捻りコイルバネ213の他端との係止点Eまでの距離Dfとの積(Mf=F×Df)で表される。
一方、リンク212を含むプリンタカバー210の自重Wによりプリンタカバー210を含むリンク212に作用するモーメントMwは、リンク212を含むプリンタカバー210の自重Wと、リンク212の一端側の穴212aが挿入されている軸214aの中心点Cからリンク212を含むプリンタカバー210の重心Gまでの距離Dwとの積(Mw=F×Dw)で表される。
ところが、上記距離Dfは常に一定であることから上記モーメントMfも常に一定であるが、プリンタカバー210の閉状態と半開状態との間で上記距離Dwは直線的に変化することから上記モーメントMwも直線的に変化することになる。そこで、モーメントMwが最低値のとき、即ち、プリンタカバー210が半開状態になったときのモーメントMwがモーメントMfと逆方向に略同一となるように、捻りコイルバネ213の付勢力Fを設定する。
これにより、ユーザがプリンタカバー210を開けるときは、開方向に働くモーメントMfが加わるのでプリンタカバー210をリンク212と共に容易に持ち上げて、リンク212の突出部212cがハウジング101の壁部215aに当接して回転が規制されるまで回転させることができる。そして、プリンタカバー210が半開状態になったときにユーザがプリンタカバー210から手を離しても、モーメントMfとモーメントMwは開方向と閉方向に略同一に働くため、プリンタカバー210の半開状態を維持することができる。
次に、ユーザがプリンタカバー210を後方に押すことにより、リンク212は突出部212cがハウジング101に設けられた壁部215aに当接して回転が規制されるので、プリンタカバー210のみを縁部210bがリンク212の中央部212eに当接して回転が規制されるまで後方に回転させることができる。そして、プリンタカバー210が全開状態になったときにユーザがプリンタカバー210から手を離しても、モーメントMfとモーメントMwは共に開方向に働くため、プリンタカバー210の全開状態を維持することができる。
一方、ユーザがプリンタカバー210を閉じるときは、プリンタカバー210のリブ210aがリンク212の他端部212dに当接してプリンタカバー210の回転が規制されるまでプリンタカバー210を前方に引いて半開状態とする。更に、プリンタカバー210を押し下げるが、このときは閉方向に働くモーメントMwが加わるので、プリンタカバー210を容易に閉じることができる。そして、プリンタカバー210が閉状態になったときにユーザがプリンタカバー210から手を離しても、開方向に働くモーメントMfよりも大きいモーメントMwが閉方向に働いているため、プリンタカバー210の閉状態を維持することができる。
以上のように、本実施形態のカバー開閉機構211によれば、一端がハウジング101側に支持された穴212a及び軸214aと、他端がプリンタカバー210側に支持された穴212b及び軸214bとを有するリンク212を備えている。そして、プリンタカバー210の開動作時は、プリンタカバー210とリンク212が穴212a及び軸214aを中心に一体的に第1の所定角度θ1を回転し、続いてプリンタカバー210のみが穴212b及び軸214bを中心に第2の所定角度θ2を回転して開状態を維持する。一方、プリンタカバー210の閉動作時は、プリンタカバー210のみが穴212b及び軸214bを中心に第2の所定角度θ2を回転し、続いてプリンタカバー210とリンク212が穴212a及び軸214aを中心に一体的に第1の所定角度θ1を回転して閉状態を維持する。従って、プリンタカバー210は2箇所の支点を持つリンク構造212、212a、214a、212b、214bにより開閉動作することになるので、リンク構造212、212a、214a、212b、214bを特に高さ方向に小型にしても、ハウジング101と干渉すること無く、プリンタカバー210を大きく開くことができる。更に、リンク構造212、212a、214a、212b、214bが小型となるので、インクジェット式プリンタ100内部の主要部品と干渉することは無く、主要部品のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、リンク212は、穴212a及び軸214aを中心に開方向に第1の所定角度θ1を回転したときのリンク212を含むプリンタカバー210の自重WによるモーメントMwと略同一のモーメントMfでプリンタカバー210を含むリンク212を開方向に付勢する捻りコイルバネ213を備えているので、プリンタカバー210の開きが第1の所定角度θ1に達したときは、その状態を維持することができると共に、プリンタカバー210の開きが第1の所定角度θ1内の中途の状態でプリンタカバー210から手を離しても、プリンタカバー210は緩やかに閉じることになる。
また、リンク212は、第1の所定角度θ1を回転するときにプリンタカバー210の回転を規制する他端部212d及び第1の所定角度θ1を回転したときに当該回転を規制する突出部212cを備え、プリンタカバー210は、第1の所定角度θ1を回転するときに単独回転を規制するリブ210a及び第2の所定角度θ2を回転したときに当該回転を規制する縁部210bを備えているので、プリンタカバー210を常に正確な角度で開けることができる。また、リンク212はハウジング101内に配設されており、穴212a、212b及び軸214a、214bはプリンタカバー210を閉じた状態では外部から見えず、ハウジング101から突出しないように配設されているので、インクジェット式プリンタ100全体を小型にデザイン設計することができる。
カバー開閉機構を備えた記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、カバー開閉機構を備えた記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。また、記録装置に限らず、カバー開閉機構を備えた全ての電子機器にも適用可能である。
本発明の一実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの外観構成の全体を斜め前方から見た斜視図である。 図1のプリンタの外観構成の全体を斜め後方から見た斜視図である。 図1のプリンタの内部構成の概略を示す斜視図である。 図1のプリンタの内部構成の概略を示す断面側面図である。 図1のプリンタのプリンタカバーを開けたときの状態をプリンタ前面側から見た斜視図である。 図5のプリンタカバーが閉じた状態から開いた状態までを示す第1の断面側面図である。 図5のプリンタカバーが閉じた状態から開いた状態までを示す第2の断面側面図である。 図5のプリンタカバーが閉じた状態から開いた状態までを示す第3の断面側面図である。 図5のプリンタカバーの捻りコイルバネの作用を示す図である。
符号の説明
100 インクジェット式プリンタ、101 ハウジング、102 開口部、110 操作部、120 カートリッジ収納部、130 第1リア給紙部、140 第2リア給紙部、150 排紙部、160 フロント給紙部、170 廃インク回収部、180 用紙搬送部、190 制御部、200 記録部、210 プリンタカバー、210a リブ、210b 縁部、211 カバー開閉機構、212 リンク、212a、212b 穴、212c 突出部、212d 他端部、212e 中央部、213 捻りコイルバネ、213a 突起、214a、214b 軸、215a 壁部

Claims (7)

  1. ボディに対して開閉自在なカバーの開閉機構であって、
    前記カバーの閉状態から第1の所定角度の範囲で前記ボディに回転自在に支持され、且つ前記カバーを第2の所定角度の範囲で回転自在に支持したリンク構造を備え、
    前記リンク構造が前記第1の所定角度の範囲で回転するときは前記カバーと一体的に回転し、
    前記リンク構造が前記カバーの閉状態から前記第1の所定角度を回転しきった状態では、前記カバーのみが前記第2の所定角度の範囲で回転することを特徴とするカバー開閉機構。
  2. ボディに対して開閉自在なカバーの開閉機構であって、
    一端が前記ボディ側に支持された第1のヒンジと、
    他端が前記カバー側に支持された第2のヒンジとを有するリンクを備え、
    開動作時は、前記カバーと前記リンクが前記第1のヒンジを中心に一体的に第1の所定角度回転し、続いて前記カバーのみが前記第2のヒンジを中心に第2の所定角度回転して開状態を維持し、
    閉動作時は、前記カバーのみが前記第2のヒンジを中心に第2の所定角度回転し、続いて前記カバーと前記リンクが前記第1のヒンジを中心に一体的に第1の所定角度回転して閉状態を維持することを特徴とするカバー開閉機構。
  3. 前記リンクは、前記第1のヒンジを中心に開方向に前記第1の所定角度回転したときの前記カバーの自重によるモーメントと略同一のモーメントで前記カバーを開方向に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載のカバー開閉機構。
  4. 前記リンク及び前記カバーは、前記第1及び第2の所定角度回転したときに当該回転を規制する回転規制手段をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載のカバー開閉機構。
  5. 前記第1及び第2のヒンジは、前記カバーが閉状態のときに前記ボディから突出しないように配設されていることを特徴とする請求項2〜4に記載のカバー開閉機構。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のカバー開閉機構を備えたことを特徴とする電子機器。
  7. 被記録媒体に記録する記録装置であることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
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