JP2007154003A - エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007154003A JP2007154003A JP2005349736A JP2005349736A JP2007154003A JP 2007154003 A JP2007154003 A JP 2007154003A JP 2005349736 A JP2005349736 A JP 2005349736A JP 2005349736 A JP2005349736 A JP 2005349736A JP 2007154003 A JP2007154003 A JP 2007154003A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- epoxy resin
- resin composition
- molded body
- fiber material
- composite molded
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法は、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程と、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を加熱により液体状態にし、磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、該組成物中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程と、その配向状態を維持したまま、前記Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を完全に硬化させる工程とを含む。そのような物品としては、エポキシ樹脂組成物を用いて形成されるエポキシ樹脂成形体、エポキシ樹脂複合成形体および該複合成形体を用いて形成されるプリント配線基板がある。
【選択図】図5
Description
脂成形体であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の製造方法において、前記物品が、前記エポキシ樹脂組成物と繊維材料とから形成されるエポキシ樹脂複合成形体であり、前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程の前に、前記エポキシ樹脂組成物を、第1の平面に沿って配置された繊維材料に含浸させる工程をさらに有し、前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程は、前記繊維材料に含浸されたエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にすることによって、プリプレグを形成する工程を含み、前記エポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程は、複数の前記プリプレグを金型のキャビティ内に積層する工程と、前記プリプレグに磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、前記プリプレグ中のエポキシ樹脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含むことを要旨とする。
脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含み、前記積層する工程の前、積層する工程中、積層する工程の後、および硬化させる工程の後の少なくとも何れかにおいて、前記複数のプリプレグの少なくとも1枚のプリプレグの少なくとも一面上に前記導電層を設ける工程をさらに含むことを要旨とする。
本発明の第1実施形態は、エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品として、図1に示すエポキシ樹脂成形体1を製造する方法を提供する。エポキシ樹脂成形体1は、板状の形状を有し、エポキシ樹脂の分子鎖がその厚み方向、すなわち図1のZ軸線方向に配向されている。このエポキシ樹脂成形体1は、エポキシ樹脂の分子鎖が一定方向、すなわち該成形体の厚み方向に配向されることにより、その配向方向(図1のZ軸線方向)において極めて高い熱伝導率を有する。
が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物に印加する磁場の磁束密度は、好ましくは0.2〜20テスラ(T)、さらに好ましくは0.5〜15T、最も好ましくは1〜10Tである。この磁束密度が0.2T未満であると、エポキシ樹脂の剛直な分子鎖を十分に配向させることができず、熱伝導率の向上や熱膨張係数の低下が不十分となる。一方、磁束密度が20Tを超える磁場は、実用上得られ難い。この磁束密度の範囲が0.2〜20Tであると、配向方向で熱伝導率が高く、熱膨張係数の低いエポキシ樹脂複合成形体が得られるとともに、実用的である。
・第1実施形態では、エポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物16を半硬化状態で冷却することにより、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を形成する。Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17は、低温にてその状態を維持したまま、すなわちエポキシ樹脂の硬化がそれ以上ほとんど進行することなく、保存することが可能である。従って、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を、フィルム状、シート状、およびブロック状などの用途に合った形状で、予め必要な数量だけ用意して保存することが可能となる。また、このようにエポキシ樹脂組成物の調製および該エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程と、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物においてエポキシ樹脂の分子鎖を磁場などによって配向させる工程とを時間的に分離して行うことができる。このため、後続の配向工程を急いで行う必要がなく、容易に行うことができるため、配向工程における作業性が向上する。
・エポキシ樹脂成形体1は、平板形状以外の任意の形状に成形されてもよい。
・エポキシ樹脂成形体1の熱伝導率をさらに向上させるために、エポキシ樹脂組成物16に、熱伝導性充填材を適量添加することも可能である。
脂組成物17を形成する際に、金型11に磁場を印加して、予め、エポキシ樹脂の分子鎖を配向させておいてもよい。この場合、磁場配向したBステージ状態のエポキシ樹脂組成物を加熱により完全に硬化させる際には、再び同様に磁場を印加してその配向状態を維持する必要がある。
・前記永久磁石13は、S極とN極とが互いに対向するように一対配設されているが、S極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。
・磁力線Mは、曲線状等であってもよい。
本発明の第2実施形態は、エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品として、エポキシ樹脂組成物と繊維材料とからなるエポキシ樹脂複合成形体を製造する方法を提供する。エポキシ樹脂複合成形体は、第1の平面(例えば、該成形体の表面)に沿って配置された繊維材料と該繊維材料に含浸されたエポキシ樹脂組成物とからなり、エポキシ樹脂の分子鎖は第1の平面と交差する方向に配向されている。図1および図2は、前記繊維材料として繊維クロス15を用いたエポキシ樹脂複合成形体10を示す。尚、前記繊維材料として、繊維クロス15の代わりに、あるいは繊維クロス15に加えて単繊維の集合体(単繊維群)を用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物16が常温で粉体または固体である場合には、エポキシ樹脂組成物16を含浸させる工程において、任意の加熱装置(図示せず)によって、エポキシ樹脂組成物16は溶融状態に維持される。
・第2実施形態の製造方法では、エポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物16からエポキシ樹脂複合成形体を形成するために、繊維クロス15に含浸したエポキシ樹脂組成物がBステージ状態となったプリプレグ18を形成する。Bステージ状態のプリプレグ18は、低温にてその状態を維持したまま、すなわちエポキシ樹脂の硬化がそれ以
上ほとんど進行することなく、保存することが可能である。そのため、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を、フィルム状、シート状、およびブロック状などの用途に合った形状で、予め必要な数量だけ用意して保存することが可能となる。また、このようにプリプレグ18を形成する工程と、プリプレグ中のエポキシ樹脂の分子鎖を磁場などによって配向させる工程とを時間的に分離して行うことができる。このため、後続の配向工程を急いで行う必要がなく、かつ容易に行うことができるため、配向工程における作業性が向上する。
・エポキシ樹脂複合成形体10において、繊維はその繊維軸(長軸)が第1の平面に沿
うように配向されていればよく、必ずしも第1の平面と平行である必要はない。また、エポキシ樹脂の分子鎖は第1の平面に交わる方向に配向されていればよく、第1の平面に直交している必要はない。
・繊維クロス15に加えて、あるいはその代わりに単繊維群を用いることも可能である。その場合には、例えば、単繊維はその繊維軸がエポキシ樹脂複合成形体10の表面と平行な面内に配置され、かつ、好ましくは、単繊維の繊維軸が向かう方向はランダムとなるように配向され、エポキシ樹脂の分子鎖は成形体1の厚み方向(図1のZ方向)に沿って配向される。この場合、上記製造方法において、プリプレグ18を形成する際、単繊維群の繊維軸がキャビティ12の底面12aに沿って、好ましくは平行に、かつ、各繊維の繊維軸が向かう方向はランダムとなるように、繊維群をキャビティ12内に配置する。
・前記永久磁石13は、S極とN極とが互いに対向するように一対配設されているが、S極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。
本発明の第3実施形態は、エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品として、図13に示すプリント配線基板20の製造方法を提供する。プリント配線基板20は、第2実施形態の製造方法によって形成され得るエポキシ樹脂複合成形体10と、エポキシ樹脂複合成形体10を挟むように、該複合成形体10の上下両面上に形成された導電層14a,14bとを備える。プリント配線基板20において、エポキシ樹脂複合成形体10中の繊維クロス15は、該プリント配線基板20の表面と平行になるように配置されている。また、エポキシ樹脂複合成形体10中のエポキシ樹脂の分子鎖は、繊維クロス15と直交する方向、すなわち、同基板20の厚み方向に配向されている。これにより、プリント配線基板20は、熱膨張係数が等方的に小さくなるように制御されている。
・金属箔などからなる導電層は、1層でもよいし複数の層であってもよい。また、そのような導電層は、キャビティ12の底面、上面、および積層したプリプレグ18の間の少なくともいずれかに配置され得る。
第1〜第3実施形態の製造方法によって得られるエポキシ樹脂成形体1、エポキシ樹脂複合成形体10およびプリント配線基板20において、X線回折測定から下記式(1)によって求められる前記エポキシ樹脂の分子鎖の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲にある。より詳細には、前記配向度αは、平均値で0.5以上1.0未満の範囲にあり、かつその標準偏差は0.010以下である(サンプル数:20)。
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
配向度αを求めるには広角X線回折測定(透過)を行う。X線回折装置において、試料にX線を照射すると、該試料中に含まれる粒子(分子鎖)に配向がある場合には同心弧状の回折パターン(デバイ環)が得られる。まず、成形体試料について、このデバイ環の中心から半径方向におけるX線回折強度分布を示す回折パターンを得る(図15参照)。この回折パターンにおいて、横軸はX線の回折角度θの2倍の角度2θを示し、2θ=20度の位置に確認されるピークは、硬化したエポキシ樹脂の分子鎖間の距離を表すものと考えられている。
以下、本発明の製造方法によって製造されるエポキシ樹脂成形体およびエポキシ樹脂複合成形体の各構成要素について詳述する。
エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等が挙げられる。これらの種類のエポキシ樹脂は、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもかまわない。さらに、このようなエポキシ樹脂のなかでも、特に分子内にメソゲン基を有する液晶性エポキシ樹脂(主鎖型液晶性エポキシ樹脂)を用いることが好ましい。分子内にメソゲン基を有する液晶性エポキシ樹脂の液晶状態を利用することにより、エポキシ樹脂の分子鎖を容易に配向させることができる。また、その配向度も容易に制御することも可能である。エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂のうち、分子内にメソゲン基を有する液晶性エポキシ樹脂の含有量は、50重量%以上であることが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂複合成形体に用いられる繊維材料は、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維、有機繊維から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
また、繊維クロスおよび単繊維群のうち、少なくとも1種類の繊維クロスおよび単繊維群がエポキシ樹脂の分子鎖の配向方向と交わる方向に配置されていれば、他の繊維クロスおよび単繊維群は無配向であっても、エポキシ樹脂の分子鎖の配向方向と同一方向に配置されていても構わない。
エポキシ樹脂成形体およびエポキシ樹脂複合成形体を形成するエポキシ樹脂組成物16には、上述のエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂を反応硬化させるための硬化剤とが配合されている。配合される硬化剤の種類及び量、熱硬化条件については特に限定されるものではない。例えば、通常のアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、潜在性硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート類、ブロックイソシアネート等を用いることができる。それらの硬化剤は単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。また、これらの硬化剤の配合量は、通常これらの硬化剤が使用される際の使用量と同様である。
成物16に単繊維群が添加されていてもよい。
さらに、エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂に加えて、他の反応硬化性樹脂を少量含有していてもよい。
本発明において、Bステージ状態とは、エポキシ樹脂組成物中において、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応が一部進行した状態で停止された半硬化状態を示す。従って、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にするとは、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を一部進行させた状態で、その硬化反応を停止させて、該組成物を半硬化状態にすることを意味する。この硬化反応の反応進行率は、示差走査熱量分析によって、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を完全に硬化させた場合の反応熱量Q1と、未硬化状態のエポキシ樹脂組成物を完全に硬化させた場合の反応熱量Q2とを測定することによって、下記式(2)から求められる。
本発明においてBステージ状態のエポキシ樹脂組成物における硬化反応進行率は70%以下である。この硬化反応進行率が70%以下であれば、その組成物に含まれるエポキシ樹脂の分子鎖の配向が可能となる。前記反応進行率は、好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜56%である。反応進行率が70%より高くなると、硬化反応が進行し過ぎているために、後の配向工程において十分な分子鎖の配向が得られず、所望の特性が得られない。また、反応進行率が低過ぎる場合には、後の配向工程における配向は可能であるが、そのようなBステージ状態のエポキシ樹脂組成物は、粘着性を有する状態となることがあり、使用する用途によっては作業性が悪化する。Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物の反応進行率は、エポキシ樹脂と硬化剤との反応温度や反応時間、反応後の冷却速度等により調整することができる。
上記実施形態において、プリプレグ18は、繊維クロスにエポキシ樹脂組成物を含浸させ、そのエポキシ樹脂組成物の硬化反応を一部進行させた後、硬化反応を停止し、前記エポキシ樹脂組成物を半硬化状態、すなわちBステージ状態にした中間生成物である。
(実施例1)
エポキシ樹脂として液晶性エポキシ樹脂であるテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテル(以下、液晶性エポキシ樹脂Aとする)と、硬化剤として4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンとを、1:0.5のモル比で混合することによってエポキシ樹脂組成物16を調製した。このエポキシ樹脂組成物16を温度170℃に加熱した金型11のキャビティ12に入れて溶融した後、20℃に制御されたアルミ製の冷却板の上に金型11を移動して冷却し、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を得た。次に、磁束密度5テスラの磁場中にて、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を170℃で、10分間にわたって加熱することにより、前記組成物17中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物17を完全に硬化させた。これにより、厚さ2mmのシート状のエポキシ樹脂成形体1が得られた。なお、印加した磁場の磁力線の方向は、得られるシート状のエポキシ樹脂成形体1の厚み方向とした。
実施例1と同一のエポキシ樹脂組成物16を使用し、表1に記載の磁束密度に変更した以外は実施例1と同様にシートを作製した。
エポキシ樹脂として液晶性エポキシ樹脂である1,5−ビス−[4−[2−アザ−2−(メチル−4−ヒドロキシフェニル)−ビニル]フェノキシ]ペンタンジグリシジルエーテル(以下、液晶性エポキシ樹脂Bとする)と、硬化剤として4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンを、1:0.5のモル比で混合することによってエポキシ樹脂組成物16を調製した。このエポキシ樹脂組成物16を温度150℃に加熱した金型11のキャビティ12に入れて溶融した後、20℃に制御されたアルミ製の冷却板の上に金型11を移動して冷却し、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を得た。次に、磁束密度10テスラの磁場中にて、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を105℃で、時間にわたって加熱することにより、前記組成物17中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物17を完全に硬化させた。これにより、厚さ2mmのシート状のエポキシ樹脂成形体1が得られた。
なお、印加した磁場の磁力線の方向は、得られるシート状のエポキシ樹脂成形体1の厚み方向とした。
エポキシ樹脂として液晶性エポキシ樹脂であるジヒドロキシ−α−メチルスチルベンジグリシジルエーテル(以下、液晶性エポキシ樹脂Cとする)と硬化剤として4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンを、1:0.5のモル比で混合することによってエポキシ樹脂組成物16を調製した。このエポキシ樹脂組成物16を温度150℃に加熱した金型11のキャビティ12に入れて溶融した後、20℃に制御されたアルミ製の冷却板の上に金型11を移動して冷却し、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を調製した。次に、磁束密度10テスラの磁場中にて、Bステージ化した組成物16を150℃で、1
時間にわたって加熱することにより、前記組成物17中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物17を完全に硬化させた。これにより、厚さ2mmのシート状のエポキシ樹脂成形体1が得られた。なお印加した磁場の磁力線の方向は、得られるシート状のエポキシ樹脂成形体1の厚み方向とした。
エポキシ樹脂として液晶性エポキシ樹脂である1,4−ビス−[4−(4−ヒドロキシベンゾエート)フェノキシ]ブタンジグリシジルエーテル(以下、液晶性エポキシ樹脂Dとする)と、硬化剤として4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンを、1モル:0.5モルで混合することによってエポキシ樹脂組成物16を調製した。このエポキシ樹脂組成物16を温度150℃に加熱した金型11のキャビティ12に入れて溶融した後、20℃に制御されたアルミ製の冷却板の上に金型11を移動して冷却し、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を調製した。次に、磁束密度10テスラの磁場中にて、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物17を150℃で、3時間にわたって加熱することにより、前記組成物17中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物17を完全に硬化させた。これにより、厚さ2mmのシート状のエポキシ樹脂成形体1が得られた。なお印加した磁場の磁力線の方向は、得られるシート状のエポキシ樹脂成形体1の厚み方向とした。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を175℃とした以外は、実施例2と同様の材料、組成および方法でシート状のエポキシ樹脂成形体1を作製した。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を180℃とした以外は、実施例2と同様の材料、組成および方法でシート状のエポキシ樹脂成形体1を作製した。
実施例1〜5と同一の各エポキシ樹脂組成物を溶融した後、冷却せずに、エポキシ樹脂組成物が充填された金型を高温に維持したまま磁場中に移動させて、エポキシ樹脂の分子鎖の配向およびエポキシ樹脂組成物の完全硬化を行った。それ以外は、それぞれ実施例1〜5の条件および方法に従って、シート状の各エポキシ樹脂成形体を作製した。
比較例2と同一のエポキシ樹脂組成物に硬化遅延剤としてp−トルエンスルホン酸エチルエステルを5重量部添加した。この組成物を用いて、加熱時間(硬化時間)を20分間とした以外は、比較例2と同様の条件および方法でシート状のエポキシ樹脂成形体を作製した。
実施例2と同一のエポキシ樹脂組成物を溶融する温度を190℃に変更した以外は、実施例2と同様にシート状のエポキシ樹脂成形体を作製した。
(実施例8)
第3実施形態の製造方法に従って、エポキシ樹脂複合成形体を絶縁層として用い、導電層として銅箔を使用したプリント配線基板を作製した。エポキシ樹脂として、分子の主鎖にメソゲン基を有するテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテルと、硬化剤として、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンとを、1モル:0.5モルで混合したエポキシ樹脂組成物16を使用した。繊維クロス15としては、ガラスクロスである旭ファイバーグラス製「MS130」(重量106g/m2、密度19本/25mm)を使用した。導電層14a,14bとしては、日鉱マテリアルズ製電解銅箔(厚さ18μm)を使用した。使用するガラスクロスの枚数は、成形体におけるガラスクロス含有量が8vol%となるように設定した。まず、1枚のガラスクロスに温度170℃に加熱して溶融させたエポキシ樹脂組成物16を含浸させた後、直ちに冷却固化させることにより、ガラスクロスに含浸したエポキシ樹脂組成物がBステージ状態となったプリプレグ18を作製した。
表2に示すように、キャビティ12内に配置するプリプレグ18の枚数(ガラスクロスの含有量)を変更した以外は、実施例8と同様の材料、組成、および方法で各プリント配線基板20を作製した。
表2に示すように、キャビティ12内に配置するプリプレグ18の枚数(ガラスクロスの含有量)および磁束密度を変更した以外は、実施例8と同様の材料、組成、および方法でプリント配線基板20を作製した。
実施例8と同一のエポキシ樹脂および硬化剤を、1モル:0.5モルで混合した。その混合物に、実施例6〜9のガラスクロスの代わりに、単繊維群として、ガラス繊維である旭ファイバーグラス製「CS03BC273」(繊維長3mm)を添加して、エポキシ樹脂組成物16を調製した。ガラス繊維の添加量は、成形体におけるガラス繊維含有量が21vol%となるように設定した。前記導電層14a,14bとして実施例1と同一の銅箔を使用した。まず、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃に加熱した金型11のキャビティ12の中に充填し加熱溶融した後、すぐに冷却固化させて、ガラス繊維を含有したBステージ状態のエポキシ樹脂組成物からなるシート状の中間体を得た。次に、金型11のキャビティ12の底面上に銅箔(導電層14a)を配置し、その上に前記中間体を重ね
て配置し、さらにその上に別の銅箔を積層した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記中間体を170℃、10分間にわたって加熱することにより、該中間体中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、該中間体を完全に硬化させた。それにより、厚み2mmの積層板が得られた。印加した磁場の磁力線の方向は積層板の厚み方向と一致させた。次に、この積層板を用いて、実施例6との同様の方法で、プリント配線基板20を作製した。
実施例8と同一のエポキシ樹脂および硬化剤を、1モル:0.5モルで混合してエポキシ樹脂組成物16を調製した。実施例8〜11で使用したガラスクロスの代わりに、単繊維群として、ガラス繊維である旭ファイバーグラス製「CS03BC273」(長さ30mm)を使用した。導電層14a,14bとしては、日鉱マテリアルズ製電解銅箔(厚さ18μm)を使用した。使用するガラス繊維の量は、成形体におけるガラス繊維含有量が17vol%となるように設定した。まず、金型11のキャビティ12内にガラス繊維の繊維軸が、キャビティ12の底面に沿ってランダムな方向を向くように配置した。そのキャビティの中に170℃で加熱溶融したエポキシ樹脂組成物16を注入し、エポキシ樹脂組成物16をガラス繊維に含浸させた後、直ちに冷却固化させて、ガラス繊維に含浸したエポキシ樹脂がBステージ状態となったプリプレグ18を作製した。次に、このプリプレグ18を用いて、実施例10と同様の方法で、プリント配線基板20を作製した。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を175℃とした以外は、実施例10と同様の材料、組成および方法でプリント配線基板20を作製した。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を180℃とした以外は、実施例10と同様の材料、組成および方法でプリント配線基板20を作製した。
実施例8と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラスクロスを用いて、プリプレグを作製しない方法で、プリント配線基板を作製した。金型11のキャビティ12の底面上に銅箔(導電層14a)を配置し、その上に3枚のガラスクロスをキャビティ12の底面と平行になるように重ねて配置した。その後、金型11を温度170℃に加熱し、キャビティ12内に前記エポキシ樹脂組成物16を充填し、エポキシ樹脂組成物16をガラスクロスに含浸させた後、そのエポキシ樹脂組成物16上に別の銅箔(導電層14b)を配置した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、170℃で、10分間にわたってエポキシ樹脂組成物16を加熱することにより、該組成物16中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物16を硬化させた。それにより、厚み2mmの積層板を得た。印加した磁場の磁力線の方向は積層板の厚み方向と一致させた。次に、実施例6と同様の方法で、プリント配線基板を作製した。
表2に示すように、キャビティ12内に配置するガラスクロスの枚数(ガラスクロス含有量)を変更した以外は、比較例8と同様の方法で各プリント配線基板を作製した。
表2に示すように、キャビティ12内に配置するガラスクロスの枚数(ガラスクロス含有量)および磁束密度を変更した以外は、比較例8と同様の方法でプリント配線基板を作製した。
実施例10と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラス繊維を用いて、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を作製しない方法で、プリント配線基板を作製した。まず、金型11のキャビティ12の底面上に銅箔(導電層14a)を配置した。その後、金型11を温度170℃に加熱し、キャビティ12内に前記エポキシ樹脂組成物16を充填した後、前記エポキシ樹脂組成物16上に別の銅箔(導電層14b)を配置した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃で、10分間にわたって加熱することにより、前記組成物中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物を完全に硬化させた。これにより、厚み2mmの積層板が得られた。印加した磁場の磁力線の方向は積層板の厚み方向と一致させた。次に、この積層板を用いて、実施例6と同様の方法で、プリント配線基板を作製した。
実施例11と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラス繊維を用いて、Bステージ化した組成物を作製しない方法で、プリント配線基板を作製した。まず、金型11のキャビティ12の底面上に銅箔(導電層14a)を配置した。その上にガラス繊維の繊維軸が銅箔の表面に沿ってランダムな方向を向くように配置した。そのキャビティ12内に170℃で加熱溶融したエポキシ樹脂組成物16を注入し、該エポキシ樹脂組成物16をガラス繊維に含浸させた後、そのエポキシ樹脂組成物16上にさらに別の銅箔(導電層14b)を配置した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃で、10分間にわたって加熱することにより、エポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、エポキシ樹脂組成物16を硬化させた。それにより、厚み2mmの積層板を得た。磁力線の方向は積層板の厚み方向と一致させた。次に、この積層板を用いて、実施例8と同様の方法で、プリント配線基板を作製した。
実施例8と同一のエポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を190℃に変更した以外は、実施例8と同様の条件および方法でプリント配線基板を作製した。
、Bステージ状態のプリプレグまたは中間体を使用したため、作業に習熟せずとも、比較的容易にエポキシ樹脂複合成形体を製造することができ、作業性は良好であった。また、実施例8〜11によるプリント配線基板の断面を顕微鏡で観察したところ、ガラスクロスが均等に積層されていた。
比較例14においては、Bステージ状態のプリプレグにおいてエポキシ樹脂の硬化反応が進行しすぎていたため、後の磁場印加工程においてエポキシ樹脂の分子鎖を配向させることができなかった。そのため、厚さ方向の熱膨張係数を十分に低下させることができず、スルーホール信頼性試験においても十分なサイクル数を得ることができなかった。
(実施例16)
第2実施形態の製造方法に従って、エポキシ樹脂複合成形体10を作製した。エポキシ樹脂として、分子の主鎖にメソゲン基を有するテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテルと、硬化剤として、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタンとを、1モル:0.5モルで混合したエポキシ樹脂組成物16を使用した。繊維クロス15としては、ガラスクロスである旭ファイバーグラス製「MS130」(重量106g/m2、密度19本/25mm)を使用した。使用するガラスクロスの枚数は、成形体におけるガラスクロス含有量が8vol%となるように設定した。まず、1枚のガラスクロスに温度170℃に加熱して溶融させたエポキシ樹脂組成物16を含浸させた後、直ちに冷却固化させることにより、ガラスクロスに含浸したエポキシ樹脂組成物がBステージ状態となったプリプレグ18を作製した。
キャビティ12内に配置するプリプレグ18の枚数(ガラスクロスの含有量)を3枚から5枚または10枚に変更した以外は、実施例16と同様の材料、組成、および方法で各エポキシ樹脂複合成形体10を作製した。
キャビティ12内に配置するプリプレグ18の枚数(ガラスクロスの含有量)を10枚に変更し、磁束密度を5テスラに変更した以外は、実施例16と同様の材料、組成、および方法でエポキシ樹脂複合成形体10を作製した。
実施例16と同一のエポキシ樹脂および硬化剤を、1モル:0.5モルで混合した。その混合物に、実施例16〜19のガラスクロスの代わりに、単繊維群として、ガラス繊維である旭ファイバーグラス製「CS03BC273」(繊維長3mm)を添加して、エポキシ樹脂組成物16を調製した。ガラス繊維の添加量は、成形体におけるガラス繊維含有量が21vol%となるように設定した。まず、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃に加熱した金型11のキャビティ12の中に充填し加熱溶融した後、すぐに冷却固化させて、ガラス繊維を含有したBステージ状態のエポキシ樹脂組成物からなるシート状の中間体を得た。次に、金型11のキャビティ12内に前記中間体を配置した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記中間体を170℃、10分間にわたって加熱することにより、該中間体中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、該中間体を完全に硬化させた。それにより、厚み2mmのエポキシ樹脂複合成形体10が得られた。尚、印加した磁場の磁力線の方向はエポキシ樹脂複合成形体10の厚み方向と一致するように設定した。
実施例16と同一のエポキシ樹脂および硬化剤を、1モル:0.5モルで混合してエポキシ樹脂組成物16を調製した。実施例16〜19で使用したガラスクロスの代わりに、単繊維群として、ガラス繊維である旭ファイバーグラス製「CS03BC273」(長さ30mm)を使用した。使用するガラス繊維の量は、成形体におけるガラス繊維含有量が17vol%となるように設定した。まず、金型11のキャビティ12内にガラス繊維の繊維軸が、キャビティ12の底面に沿ってランダムな方向を向くように配置した。そのキャビティの中に170℃で加熱溶融したエポキシ樹脂組成物16を注入し、エポキシ樹脂組成物16をガラス繊維に含浸させた後、直ちに冷却固化させて、ガラス繊維に含浸したエポキシ樹脂組成物がBステージ状態となったプリプレグ18を作製した。次に、このプリプレグ18を用いて、実施例8と同様の方法で、エポキシ樹脂複合成形体10を作製した。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を175℃とした以外は、実施例18と同様の材料、組成および方法でエポキシ樹脂複合成形体10を作製した。
エポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を180℃とした以外は、実施例18と同様の材料、組成および方法でエポキシ樹脂複合成形体10を作製した。
実施例16と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラスクロスを用いて、プリプレグを作製しない方法で、エポキシ樹脂複合成形体を作製した。金型11のキャビティ12内に3枚のガラスクロスをキャビティ12の底面と平行になるように重ねて配置した。その後、金型11を温度170℃に加熱し、キャビティ12内に前記エポキシ樹脂組成物16を充填し、エポキシ樹脂組成物16をガラスクロスに含浸させた。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、170℃で、10分間にわたってエポキシ樹脂組成物16を加熱することにより、該組成物16中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物16を硬化させた。それにより、厚み2mmのエポキシ樹脂複合成形体を得た。印加した磁場の磁力線の方向は得られるエポキシ樹脂複合成形体の厚み方向と一致するように設定した。
キャビティ12内に配置するガラスクロスの枚数(ガラスクロス含有量)を3枚から5
枚(比較例16)または10枚(比較例17)に変更した以外は、比較例15と同様の方法で各エポキシ樹脂複合成形体を作製した。
キャビティ12内に配置するガラスクロスの枚数(ガラスクロス含有量)を10枚に変更し、磁束密度を5テスラに変更した以外は、比較例15と同様の方法でエポキシ樹脂複合成形体を作製した。
実施例18と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラス繊維を用いて、Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を作製しない方法で、エポキシ樹脂複合成形体を作製した。まず、金型11を温度170℃に加熱し、キャビティ12内に前記エポキシ樹脂組成物16を充填した。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃で、10分間にわたって加熱することにより、前記組成物中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、同組成物を完全に硬化させた。これにより、厚み2mmのエポキシ樹脂複合成形体が得た。印加した磁場の磁力線の方向は得られるエポキシ樹脂複合成形体の厚み方向と一致するように設定した。
実施例19と同様の材料および分量のエポキシ樹脂組成物およびガラス繊維を用いて、Bステージ化した組成物を作製しない方法で、エポキシ樹脂複合成形体を作製した。まず、金型11のキャビティ12内に、ガラス繊維の繊維軸がキャビティ12の底面に沿ってランダムな方向を向くように配置した。そのキャビティ12内に170℃で加熱溶融したエポキシ樹脂組成物16を注入し、該エポキシ樹脂組成物16をガラス繊維に含浸させた。その後、磁束密度10テスラの磁場中にて、前記エポキシ樹脂組成物16を170℃で、10分間にわたって加熱することにより、エポキシ樹脂の分子鎖を配向させるとともに、エポキシ樹脂組成物16を硬化させた。それにより、厚み2mmのエポキシ樹脂複合成形体を得た。印加した磁場の磁力線の方向は得られるエポキシ樹脂複合成形体の厚み方向と一致するように設定した。
実施例10と同一のエポキシ樹脂組成物16を溶融する温度を190℃に変更した以外は、実施例10と同様の条件および方法でエポキシ樹脂複合成形体を作製した。
比較例15〜21で得られたエポキシ樹脂複合成形体についても、第2実施形態において記載した方法により、エポキシ樹脂の配向度α、並びにエポキシ樹脂複合成形体の表面
に沿う方向および厚み方向の熱膨張係数を測定した。その結果、比較例15〜21のエポキシ樹脂複合成形体の配向度αおよび熱膨張係数について、対応する第2実施形態の比較例8〜14のプリント配線基板のエポキシ樹脂複合成形体部分における測定値とほぼ同様の値が得られた。つまり、比較例15〜20においては、対応する第2実施形態の比較例8〜13の場合と同様に、配向度αおよび熱膨張係数の平均値は所望の範囲であったが、それらの標準偏差が大きかった。従って、比較例15〜20においては、熱膨張係数が小さく等方的に制御されたエポキシ樹脂複合成形体を安定して生産することはできなかった。また、実施例16〜23のプリプレグまたはBステージ状態のエポキシ樹脂組成物を使用した場合と比べ、磁場を印加するために、高温の金型を磁場装置内に移動させるなどの熟練を要する工程があるために作業性に劣った。さらに、比較例15〜18によるエポキシ樹脂複合成形体の断面を観察したところ、該複合成形体の内部でガラスクロスが偏って積層されていた。また、比較例21のエポキシ樹脂複合成形体では、第2実施形態の比較例14のプリント配線基板のエポキシ樹脂複合成形体部分の場合と同様に、Bステージ状態のプリプレグにおけるエポキシ樹脂の硬化反応が進行しすぎていたため、後の磁場印加工程においてエポキシ樹脂の分子鎖を配向させることができなかった。その結果、比較例21のエポキシ樹脂複合成形体では、厚さ方向の熱膨張係数を十分に低下させることができなかった。
Claims (8)
- エポキシ樹脂および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法であって、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程と、
Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を加熱により液体状態とし、磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、該組成物中のエポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程と、
その配向状態を維持したまま、前記Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物を完全に硬化させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。 - 前記物品がエポキシ樹脂成形体であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記物品が、前記エポキシ樹脂組成物と繊維材料とから形成されるエポキシ樹脂複合成形体であり、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程の前に、前記エポキシ樹脂組成物を、第1の平面に沿って配置された繊維材料に含浸させる工程をさらに有し、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程は、前記繊維材料に含浸されたエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にすることによって、プリプレグを形成する工程を含み、
前記エポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程は、
複数の前記プリプレグを金型のキャビティ内に積層する工程と、
前記プリプレグに磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、前記プリプレグ中のエポキシ樹脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記物品が、前記エポキシ樹脂組成物と繊維材料とから形成されるエポキシ樹脂複合成形体であり、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程の前に、
前記エポキシ樹脂組成物に繊維材料を添加する工程と、
その繊維材料が添加されたエポキシ樹脂組成物を、繊維材料が第1の平面に沿って配置されるように、金型のキャビティ内に注入する工程とをさらに有し、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程は、繊維材料が第1の平面に沿って配置されたエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にすることによって、前記繊維材料を含むBステージ状態のエポキシ樹脂組成物からなる中間体を形成する工程からなり、
前記エポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程は、
前記中間体を金型のキャビティ内に配置する工程と、
前記中間体に磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、前記中間体中のエポキシ樹脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記物品が、エポキシ樹脂組成物および繊維材料からなるエポキシ樹脂複合成形体と、該エポキシ樹脂複合成形体の表面および内部の少なくともいずれかに設けられた導電層とを備えるプリント配線基板であり、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程の前に、前記エポキシ樹脂組成物を、第1の平面に沿って配置された繊維材料に含浸させる工程をさらに有し、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程は、前記繊維材料に含浸されたエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にすることによって、プリプレグを形成する工程を含み、
前記エポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程は、
複数の前記プリプレグを金型のキャビティ内に積層する工程と、
前記プリプレグに磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、プリプレグ中のエポキシ樹脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含み、
前記積層する工程の前、積層する工程中、積層する工程の後、および硬化させる工程の後の少なくとも何れかにおいて、前記複数のプリプレグの少なくとも1枚のプリプレグの少なくとも一面上に前記導電層を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記物品が、エポキシ樹脂組成物および繊維材料からなるエポキシ樹脂複合成形体と、該エポキシ樹脂複合成形体の表面および内部の少なくともいずれかに設けられた導電層とを備えるプリント配線基板であり、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程の前に、
前記エポキシ樹脂組成物に繊維材料を添加する工程と、
その繊維材料が添加されたエポキシ樹脂組成物を、繊維材料が第1の平面に沿って配置されるように、金型のキャビティ内に注入する工程とをさらに有し、
前記エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にする工程は、繊維材料が第1の平面に沿って配置されたエポキシ樹脂組成物をBステージ状態にすることによって、前記繊維材料を含むBステージ状態のエポキシ樹脂組成物からなる中間体を形成する工程からなり、
前記エポキシ樹脂の分子鎖を配向させる工程は、
前記中間体を金型のキャビティ内に配置する工程と、
前記中間体に磁場、電場、およびせん断場のいずれかを印加することにより、前記中間体中のエポキシ樹脂の分子鎖を第1の平面と交わる方向に配向させる工程とを含み、
前記積層する工程の前、積層する工程中、積層する工程の後、および硬化させる工程の後の少なくとも何れかにおいて、前記複数のプリプレグの少なくとも1枚のプリプレグの少なくとも一面上に前記導電層を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 - 前記Bステージ状態にする工程は、前記エポキシ樹脂組成物を冷却することによって行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記Bステージ状態のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応の進行度は、70%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005349736A JP4880986B2 (ja) | 2005-12-02 | 2005-12-02 | エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005349736A JP4880986B2 (ja) | 2005-12-02 | 2005-12-02 | エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007154003A true JP2007154003A (ja) | 2007-06-21 |
JP4880986B2 JP4880986B2 (ja) | 2012-02-22 |
Family
ID=38238778
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005349736A Expired - Fee Related JP4880986B2 (ja) | 2005-12-02 | 2005-12-02 | エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4880986B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012041507A (ja) * | 2010-08-23 | 2012-03-01 | Mitsubishi Electric Corp | エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の製造方法 |
JP2015530701A (ja) * | 2012-08-03 | 2015-10-15 | エルジー・ケム・リミテッド | 接着フィルム及びこれを利用した有機電子装置の封止製品 |
KR101599674B1 (ko) * | 2015-06-04 | 2016-03-03 | (주)브이디테크 | 홀 플러깅 장치 및 홀 플러깅 방법 |
WO2020017193A1 (ja) * | 2018-07-17 | 2020-01-23 | 株式会社デンソー | 接合構造体およびその製造方法、熱交換器 |
JP7459901B2 (ja) | 2017-03-30 | 2024-04-02 | 株式会社レゾナック | プリプレグ及びその製造方法、積層板、プリント配線板並びに半導体パッケージ |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63111038A (ja) * | 1986-10-29 | 1988-05-16 | Agency Of Ind Science & Technol | 三次元強化積層体及びその製造方法 |
JP2000281995A (ja) * | 1999-03-30 | 2000-10-10 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性接着フィルムおよび半導体装置 |
JP2004175926A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性エポキシ樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004225034A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-08-12 | Polymatech Co Ltd | 異方性エポキシ樹脂成形体 |
JP2004259949A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性反応硬化型樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004256687A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性反応硬化型樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004331811A (ja) * | 2003-05-07 | 2004-11-25 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性エポキシ樹脂成形体及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-12-02 JP JP2005349736A patent/JP4880986B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63111038A (ja) * | 1986-10-29 | 1988-05-16 | Agency Of Ind Science & Technol | 三次元強化積層体及びその製造方法 |
JP2000281995A (ja) * | 1999-03-30 | 2000-10-10 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性接着フィルムおよび半導体装置 |
JP2004175926A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性エポキシ樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004225034A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-08-12 | Polymatech Co Ltd | 異方性エポキシ樹脂成形体 |
JP2004259949A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性反応硬化型樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004256687A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性反応硬化型樹脂成形体及びその製造方法 |
JP2004331811A (ja) * | 2003-05-07 | 2004-11-25 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性エポキシ樹脂成形体及びその製造方法 |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012041507A (ja) * | 2010-08-23 | 2012-03-01 | Mitsubishi Electric Corp | エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の製造方法 |
JP2015530701A (ja) * | 2012-08-03 | 2015-10-15 | エルジー・ケム・リミテッド | 接着フィルム及びこれを利用した有機電子装置の封止製品 |
US10093785B2 (en) | 2012-08-03 | 2018-10-09 | Lg Chem, Ltd. | Adhesive film and sealing product for organic electronic device using same |
US10626245B2 (en) | 2012-08-03 | 2020-04-21 | Lg Chem, Ltd. | Adhesive film and sealing product for organic electronic device using same |
KR101599674B1 (ko) * | 2015-06-04 | 2016-03-03 | (주)브이디테크 | 홀 플러깅 장치 및 홀 플러깅 방법 |
JP7459901B2 (ja) | 2017-03-30 | 2024-04-02 | 株式会社レゾナック | プリプレグ及びその製造方法、積層板、プリント配線板並びに半導体パッケージ |
WO2020017193A1 (ja) * | 2018-07-17 | 2020-01-23 | 株式会社デンソー | 接合構造体およびその製造方法、熱交換器 |
JP2020011410A (ja) * | 2018-07-17 | 2020-01-23 | 株式会社デンソー | 接合構造体およびその製造方法、熱交換器 |
CN112423981A (zh) * | 2018-07-17 | 2021-02-26 | 株式会社电装 | 接合结构体及其制造方法、热交换器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4880986B2 (ja) | 2012-02-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4771939B2 (ja) | 高分子複合成形体、該成形体を用いたプリント配線基板及びそれらの製造方法 | |
JP6295013B2 (ja) | 液晶ポリマー粒子を含有する樹脂組成物、それを用いた成形体、及びそれらの製造方法 | |
KR101052853B1 (ko) | 열전도성 에폭시 수지 성형체 및 이의 제조방법 | |
JP4118691B2 (ja) | 熱硬化性樹脂硬化物 | |
US20150118498A1 (en) | Resin composition, resin sheet, cured resin product and substrate | |
CN103129042B (zh) | 一种碳纤维布基复合材料及其制备和应用 | |
JP4880986B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物を用いて形成される物品の製造方法 | |
CN107614563B (zh) | 环氧树脂组合物、导热材料前体、b阶片、预浸渍体、散热材料、层叠板、金属基板和印刷配线板 | |
US20100080997A1 (en) | Epoxy prepolymer, and epoxy resin composition, cured material, semi-cured material, prepreg and composite substrate using the epoxy prepolymer | |
CN103057240A (zh) | 制造层压板的方法以及层压板 | |
US11746445B2 (en) | Carbon fiber bundle, prepreg, and fiber-reinforced composite material | |
JP5020125B2 (ja) | 積層板の製造法 | |
KR20120074220A (ko) | 수지-함침된 시이트의 제조 방법 | |
CN105061764A (zh) | 一种热固性聚酰亚胺树脂及其复合层压板和它们的制备方法及应用 | |
JP6422230B2 (ja) | プリント回路基板用絶縁樹脂組成物およびこれを用いた製品 | |
KR102059824B1 (ko) | 광경화성 절연 수지 조성물 및 이를 이용한 인쇄회로기판 | |
JP2008297499A (ja) | エポキシ樹脂成形体 | |
JP2005139298A (ja) | 異方性エポキシ樹脂硬化物及びその製造方法 | |
US20120132362A1 (en) | Resin-impregnated sheet and method for producing resin-impregnated sheet laminate with metal foil | |
JP6536158B2 (ja) | 樹脂組成物、樹脂シート、樹脂硬化物および樹脂基板 | |
JP2004225034A (ja) | 異方性エポキシ樹脂成形体 | |
JPH09272155A (ja) | 積層板およびその製造方法 | |
JP2008120922A (ja) | プリプレグ及びプリプレグの製造方法及びそれを用いたプリント基板とその製造方法 | |
JP2010180343A (ja) | プリプレグ、プリプレグの製造方法および積層板 | |
JP7102793B2 (ja) | 樹脂基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110311 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110315 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110513 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111115 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111202 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |