本発明に係る画像形成装置の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、画像形成装置の主要部分を示す内部構成図(模式図)である。
<画像形成装置の構成>
この画像形成装置は、デジタルの露光エンジンを備えており、画像データに基づきペーパー(写真感光材料であり画像形成媒体に相当)の表面に画像を焼付露光し、写真プリントを作成する機能を有する。特に、広告プリントのようにプリントサイズが極めて大きな写真プリントを作成する機能を有している。主要な機能として、ペーパー供給部A(媒体供給部に相当)、ペーパー搬送部B(媒体搬送部に相当)、画像形成部C、スイッチバック部Dが設けられている。
ペーパー供給部Aは、ペーパーマガジンMを2台着脱自在に装着可能であり、いずれか選択された側のペーパーマガジンMからペーパーが供給される。例えば、幅寸法の異なるペーパーを2種類用意しておくことができる。ペーパーマガジンMには、長尺状ペーパーがロールの形態で収容されている。ペーパーマガジンMから引き出されたペーパーは、アドバンスローラ1によりカッター前ローラ2へと搬送される。カッター前ローラ2の下流側近傍にはペーパーセンサ3が配置されており、ペーパーの先端が通過したことを検出する。カッター(切断部に相当)4は、設定されたプリントサイズとなるようにペーパーの後端側をカットする。ペーパーのカットは、ペーパーを一端停止させてから行なう。
カッター4の下流側には、カッター後ローラ5とペーパーガイド6が設けられている。搬送されてきたペーパーは、受け取り位置P1において、ペーパーをチャッカーユニット10へと受け渡す。チャッカーユニット10は、チャッカーローラ11(媒体挟持機構に相当)を備えており、上流側の受け取り位置P1においてペーパーを受け取り、下流側の受け渡し位置P2において下流側へとペーパーを受け渡す(順方向)。チャッカーローラ11は一対のローラ(駆動ローラ及び圧着ローラ)を備えており、ペーパーの先端側を幅方向の全域もしくはほぼ全域にわたって挟持する。すなわち、チャッカーローラ11によりペーパーの先端側を挟持した状態で、ペーパーを受け渡し位置P2まで搬送するものである。
チャッカーローラ11と共にペーパーガイド12が設けられており、ペーパー供給部Aからのペーパーの受け入れをスムーズに行なう。ペーパーガイド12は、上下2枚のプレートにより構成され、ペーパー受け入れ側において挿入口12aを拡げることで、ペーパーが引っかかることなくチャッカーローラ11の位置へと案内される。
画像形成部Cには、搬送上流側に配置される第1露光搬送ローラ20と第2露光搬送ローラ21が設けられている。また、これら露光搬送ローラ20,21の周辺にもペーパーガイド22が配置される。本画像形成装置においては、さらに、ペーパーの先端側が有する癖や反りを修正する機能を高めるために、露光搬送ローラ20,21は、ペーパーの搬送幅方向の全域もしくはほぼ全域にわたって挟持することができることが好ましい。チャッカーユニット10からペーパーが受け渡されると、露光搬送ローラ20,21によりペーパーが所定速度で搬送されペーパーの乳剤面に画像が焼付露光される。
画像形成部Cは、レーザーエンジンを備えており、ペーパーを副走査方向に露光搬送ローラ20,21により搬送させながら、画像データに基づき光変調されたレーザー光を主走査方向(搬送幅方向)に繰り返し走査することで、順次画像(潜像)を形成していくものである。図1において、レーザー光が照射される方向を矢印Lで示している。レーザー光による露光開始タイミングを制御するために、受け渡し位置P2のすぐ下流側近傍に露光開始センサ23が配置されている。このセンサは、ペーパーの先端を検出する光センサであり、先ほど説明したペーパーセンサ3と同じものを使用することができる。
スイッチバック部Dには、ペーパーの乳剤面の位置を変換するための機構が設けられている。図1においてペーパーの乳剤面は上面側にあるが、これを変換ローラ30の配置を変えることにより、矢印N側に来るように変換する。変換ローラ30は駆動ローラ30aと圧着ローラ30bを備えており、画像が焼付露光されたペーパーを挟持して方向変換させる。なお、詳細は後述する。また、巻き取りローラ31が同じ目的のために設けられており、この巻き取りローラ31は、搬送方向の長さが長いペーパーの場合に機能するものであり、図の矢印方向(斜め下方)に移動可能に構成されている。巻き取りローラ31の動作に関しても詳細は後述する。
スイッチバック部Dにより画像形成されたペーパーは、順に、現像処理部40、乾燥処理部41、ペーパー排出部42へと送られて、写真プリントが完成する。ペーパーセンサ32は、ペーパーが現像処理部40に送り込まれてくることを検出するものである。
図2は、図1に模式的に示す画像形成装置の具体的な構成図である。図3は、チャッカーユニット10の具体的構成を示す斜視図である。チャッカーユニット10の搬送幅方向の両側には、チャッカーユニット10を搬送するためのベルトコンベア13が設けられている。チャッカーユニット10は、ベルトコンベア13に対して支持体14により支持されている。一対のベルトコンベア13を駆動するために夫々第1モータ15Aと第2モータ15Bが設けられており、ベルト16a及びプーリ16bによりベルトコンベア13に連結される。従って、第1モータ15A,第2モータ15Bを駆動することでチャッカーユニット10を搬送させることができる。これら第1・第2モータ15A,15B、ベルト16a、プーリ16b、ベルトコンベア13等は、チャッカーローラ11(媒体挟持機構)を受け取り位置P1から受け渡し位置P2へと搬送するための搬送機構として機能するとともに、チャッカーユニット10を受け渡し位置P2から受け取り位置P1へ逆送する機能を有している。
チャッカーローラ11は、駆動ローラ11aと圧着ローラ11bを備えており(図2参照)、圧着ローラ11bは駆動ローラ11aに対して圧着した状態と離間(圧着解除)した状態とを切り換えることができる。圧着解除モータ17を駆動すると、作動軸18を回転させてレバー19を移動させる。このレバー19の移動に連動して圧着ローラ11bを解除する方向に移動させる。駆動モータ50は、これを駆動することで駆動ローラ11aを駆動し、チャッカーローラ11により挟持したペーパーの搬送を行なうことができる。
また、本画像形成装置においては、チャッカーローラ11によって、ペーパーを画像形成部C方向(順方向)へ所定速度で搬送する機能を有するとともに、ペーパーを逆送(逆方向)する機能をも有している。具体的には、圧着ローラ11bと駆動ローラ11aによって圧着した状態で、駆動モータ50を駆動制御することによって、(1)順方向のペーパー搬送状態、(2)ペーパー搬送の停止状態、(3)逆方向のペーパー搬送状態、を形成する機能を有している。
なお、チャッカーユニット10を受け渡し位置P2から受け取り位置P1へ逆送する場合には、圧着を解除した状態にし、ペーパーを損なうことなく再度のペーパーの搬送に備える。ガイド機構51は、チャッカーユニット10を搬送するときのガイドを行なうことができる。
また、ループ形成機構として図2に示すように、搬送方向の上流側と下端側に第1ループ規制体52と第2ループ規制体53が設けられている。これらは支持フレーム54に対して、夫々軸芯52a,53aにおいて回転可能に支持されている。これらループ規制体52,53は、ペーパーのループ(たるみ)が、必ず下方向に形成されるように規制を行うものであり、常時、その先端部52b,53bが下方向に位置するように付勢されている。
また、これらループ規制体52,53は、チャッカーユニット10の移動に伴い上方に跳ね上げられるように構成されており、図2に示すように、チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に位置するときは、下流側の第2ループ規制体53がチャッカーユニット10自身により跳ね上げられ、約90゜回転する。逆に、チャッカーユニット10が上流側の受け取り位置P1に位置するときには、第1ループ規制体52が約90゜跳ね上げられる。ペーパーのループ形成に関しては、後述する。
<機能ブロック構成>
次に、図1〜3に示す画像形成装置に関する主要な機能を図4のブロック図により説明する。
制御部60は、画像形成装置の全体の制御を司る機能を提供する。具体的には、以下のチャッカー制御部61、補正値格納部62、マガジン検出部63、プリントサイズ設定部64、搬送量検出部65、画像形成制御部66、カッター制御部67、マガジン制御部68、およびスイッチバック制御部69を制御し、さらに、蛇行補正手段60a、搬送モード設定手段60b、ループ形成手段60cおよびペーパー送り長さ設定手段60dとしての機能を有する。
チャッカー制御部61は、第1モータ15A、第2モータ15B、圧着解除モータ17、駆動モータ50に対する駆動制御を行なう。先ほど説明したように、チャッカーユニット10の幅方向両側は、第1モータ15Aと第2モータ15Bにより駆動される。第1モータ15Aと第2モータ15Bを制御することによって、チャッカーユニット10によって挟持されたペーパーを、受け取り位置P1から受け渡し位置P2まで移動させることができる。また、第1モータ15Aと第2モータ15Bは独立して駆動制御することができるため、これらモータ15A,15Bの駆動量を異ならせることで、ペーパーの蛇行を補正することができる。さらに、チャッカーユニット10を逆送させて受け取り位置P1に移動する場合などには、圧着解除モータ17を駆動させることによって、圧着ローラ11bと駆動ローラ11aを離間させてペーパーの圧着を解除した状態を形成することができる。
本画像形成装置においては、ペーパーの搬送は、チャッカーユニット10の移動のみならず駆動モータ50を制御することによっても可能である。チャッカーローラ11の順方向の回転、停止、逆方向の回転を制御することによって、所定速度での順方向の搬送、搬送の停止、逆方向の搬送を制御することができる。具体的には、圧着ローラ11bと駆動ローラ11aによって圧着した状態で、駆動モータ50の回転数、回転方向、回転時間を制御することによって、(1)駆動ローラ11aを順方向に回転させて所定速度での順方向のペーパー搬送を行う、(2)駆動ローラ11aを停止させてペーパー搬送を停止する、(3)駆動ローラ11aを逆方向に回転させて逆方向のペーパー搬送に切り換える、(4)逆方向から順方向へのペーパー搬送の切り換えを行うなど、ペーパーの搬送や切り換えのタイミングを制御する機能をも有している。各機能を用いた画像形成部の搬送モードの詳細は後述する。
補正値格納部62には、上記のモータ15A,15Bの駆動量を異ならせるための補正値が格納されている。補正値は、ペーパーの幅寸法、面質、メーカーなどにより異なるものであるから、予めテストプリントを作成して各ペーパーに関して補正値を求めておき、補正値格納部62に保存しておく。
マガジン検出部63は、装着されているペーパーマガジンMに収容されているペーパーの情報を検出する。例えば、ペーパーマガジンMにバーコードを形成し、これを読み取ることでペーパーの情報(ペーパー幅、面質、メーカー名など)の情報を得ることができる。
プリントサイズ設定部64は、作成される写真プリントのプリントサイズのデータが設定される。このプリントサイズのデータに基づいて、ペーパーのカットなどの制御を行う。具体的には、マガジン検出部63やプリントサイズ設定部64からのデータに基づいて、チャッカー制御部61を機能させ、チャッカーユニット10の移送およびチャッカーローラ11によるペーパーの搬送を制御部60において行う。また、マガジン検出部63やプリントサイズ設定部64からのデータに基づいて、制御部60は補正値格納部62に格納されている補正値を選択する。この選択された補正値に基づいて、第1モータ15Aと第2モータ15Bを駆動するように、制御部60がチャッカー制御部61に指令を与えて、ペーパーの蛇行補正を行なう。従って、制御部60は、蛇行補正手段60aの機能を備えている。
搬送量検出部65は、ペーパーの搬送量を検出する機能を有する。搬送量は、例えば、モータやローラに連動するエンコーダから出力されるパルス数をカウントすることで検出することができる。あるいは、モーター(ステッピングモータ)に供給される駆動パルス数をカウントすることで検出することができる。従って、補正値格納部62に格納される補正値も、このパルス数により定義することができる。光センサによりペーパーの先端を検出したとき、そのタイミングから上記パルス数をカウントすることで、ペーパーの先端が現在どの位置にあるかを演算することができる。
画像形成制御部66は、画像形成部Cにおける種々の動作を制御する。すなわち、レーザーエンジン24、露光搬送ローラ20,21に対する制御を行う。露光開始センサ23によりペーパーの先端を検出すると、レーザーエンジン24による画像形成タイミングを制御する。ペーパーの先端を検出してから、露光される位置までのペーパーの搬送量は、搬送量検出部65により検出することができる。また、第1・第2露光搬送ローラ20,21の駆動開始や、圧着解除のタイミングなども制御することができる。
カッター制御部67は、カッター4やカッター前ローラ2、カッター後ローラ5の駆動制御を行なう。ペーパーセンサ3によるペーパーの先端検出と、搬送量検出部65からのペーパー搬送量、プリントサイズ設定部64に設定されているプリントサイズデータを検出することで、各ローラ2,5の駆動や停止タイミング、カッター4の作動タイミングなどを制御する。
マガジン制御部68は、ペーパーマガジンMからのペーパーの引き出しや、2つのペーパーマガジンMの選択切り替え制御などを行なう。
スイッチバック制御部69は、スイッチバック部Dに設けられた変換ローラ30や巻き取りローラ31の駆動制御を行なう。ペーパーの搬送方向の長さが所定値未満の場合は、変換ローラ30によりペーパーが現像処理部40へと送り込まれ、ペーパーの長さが所定値以上の場合は、巻き取りローラ31によりペーパーが現像処理部へ送り込まれる。ペーパーの搬送方向の長さデータは、プリントサイズ設定部64に設定されているデータから取得することができる。
図4に示す各機能は、ハードウェア(CPU、メモリ、制御回路等)とソフトウェア(制御プログラム等)により構築することができる。
ペーパー送り長さ設定手段60dとしての機能は、プリントサイズに対応して、画像形成に必要なペーパーを搬送する長さおよびペーパーをカットする位置を設定するもので、これによって後述する搬送モードが設定される。ペーパー送り長さは、プリントサイズ設定部64に設定されているデータから取得することができる。通常のプリントサイズでは、プリントサイズが大きくてもペーパー搬送部Bがペーパー収容部の機能を有することによって、ペーパーをカットした後に画像形成を行うことができる。しかし、広告プリントのようにプリントサイズがかなり大きなプリントを作成する場合には、ペーパー収容部としての機能が十分でなくなることがある。このとき、画像形成中であってもペーパーの後端部をカットし、カットされた後端部を衝撃なく搬送する必要がある。このとき、ペーパー送り長さ設定手段60dによって、プリントサイズ設定部64のデータに基づき、搬送モード設定手段60bを介してプリントサイズに応じた適切な動作を行なわせることができる。
つまり、ペーパー収容部としての機能を基準に、上記の「ペーパー送り長さ」について、2つの「設定量」を設定する。例えば、ペーパー収容部にループなしで収容可能なペーパーの搬送方向長さを第1設定量(この設定量までは、ループなし。)とし、ループを設けることでペーパー収容部に収容可能なペーパーの搬送方向長さを第2設定量(この設定量を超えると、ループを形成する。)とする場合を挙げることができる。
このとき、(1)ペーパー送り長さが第1の設定量の範囲内(第2の設定量の範囲内でもある)の場合には、ペーパーの先端側を受け渡した後、ペーパーの後端部をカットし、ペーパーを搬送して画像形成部Cに受け渡し画像を形成する。(2)ペーパー送り長さが第1の設定量を超え、かつ第2の設定量の範囲内の場合には、ペーパーの先端側を受け渡し位置に移動した後にペーパーの後端部をカットし、その後一旦所定時間順方向に搬送させた後に逆送させ、ペーパーの先端側を元の受け渡し位置に戻した後、再度順方向にペーパーを搬送して画像形成部Cに受け渡し画像を形成する。最初に所定時間順方向に搬送させることによって、ペーパーの後端部をカット後ローラ5から確実に離脱させ、ペーパー後端の垂れ下がり状態を形成することができる。また、このとき移動したペーパーの最先端側の位置は、画像形成部Cの露光部あるいはそれを超えた位置とすることも可能である。(3)ペーパー送り長さが第2の設定量を超える(第1の設定量をも超える)場合には、ペーパーの後端部をカットしない状態でペーパーを画像形成部Cに搬送し、画像形成部Cにおいて画像を形成中に、プリントサイズに対応したペーパー送り長さになるようにペーパーの後端部をカットし、画像形成を完成させる。
<蛇行補正に関する説明>
ペーパーはペーパーマガジンMから引き出されて搬送されるときに、幅方向両側をガイドされているものの、圧着ローラの圧着力の幅方向のばらつき等の種々の要因で蛇行した状態で搬送される。この蛇行によりペーパーが傾斜したまま画像形成を行なうと、画質の低い写真プリントとなってしまうため、これを解消する必要がある。そこで、蛇行補正を行うことでペーパーを正しい姿勢にした状態で画像形成を行なうことができる。
(1)ペーパーが傾斜していない状態の場合は、左右のモータ15A,15Bの駆動量を同じにしておけば、そのままの姿勢で画像形成部Cにペーパーを引き渡すことができる。
(2)ペーパーの蛇行搬送により、傾斜した状態でペーパーを受け取った場合は、左右のモータ15A,15Bの駆動量を変えることで蛇行補正を行い、傾斜した状態を解消することができる。この場合、左側のモータ15Aの駆動量を右側のモータ15Bの駆動量よりも大きく設定することで、進行方向に対し左方向の傾斜を補正することができる。蛇行補正は、チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に移動するまでの間に蛇行補正が行なわれればよい。
なお、蛇行補正を行なうための手段はこれに限定されるものではない。送り長さの長いペーパーを扱うため、ペーパー全体の傾斜を補正する方法が好ましく、かかる方法であれば任意の方法を採用することができる。
<ループ形成に関する説明>
画像形成部Cに搬送されたペーパーは、精度のよい定速移動状態で露光処理等がなされた場合には、鮮明な画像を形成することができる。しかしながら、プリントサイズが搬送方向に長い場合には、画像形成部Cに位置するペーパー以外の部分からの振動や微動によって影響され、バンディングが生じるため、精度のよい定速移動状態を確保するには、これを排除する必要がある。また、ペーパーの2ヶ所以上での挟持は、ペーパーの搬送時に生じるひずみがペーパー全体に影響する。そこで、ペーパーを挟持して搬送する際に、アドバンスローラ1やカッター前ローラ2あるいはカッター後ローラ5の搬送速度、または露光搬送ローラ20,21や変換ローラ30の搬送速度に対して与える影響がないように、ペーパー搬送部Bにおいてループを形成することによって、こうしたバンディングを防止し、ひずみの影響をなくすることが可能となる。図5A(a)〜図5B(f)を基に、ループ形成の機能を説明する。
(1)ペーパーPの先端側を受け取り位置P1から受け渡し位置P2へ移動する場合は、図5A(a)のようにチャッカーユニット10によって跳ね上げられていた第1ループ規制体52が、チャッカーユニット10が上流側の受け取り位置P1から離れることによって、図5A(b)のようにペーパーPの上面を軽く押し付ける。このとき、チャッカーユニット10の移動速度がアドバンスローラ1やカッター前ローラ2あるいはカッター後ローラ5の搬送速度以下の場合には、ペーパーPはループを形成することになるとともに、ペーパーPが所定の剛性を有することから第1ループ規制体52によって下方向にループに規制される。この状態で、チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に近づいたとき、図5A(c)のようにチャッカーユニット10によって第2ループ規制体53が跳ね上げられる。
(2)次に、チャッカーユニット10が受け渡し位置P2から受け取り位置P1へ移動する場合は、図5A(c)のようにチャッカーユニット10によって跳ね上げられていた第2ループ規制体53が、チャッカーユニット10が上流側の受け渡し位置P2から離れることによって、図5A(d)のようにペーパーPの上面を軽く押し付ける。このとき、チャッカーユニット10はペーパーの挟持を解除することから、ペーパーPは第2ループ規制体53によって規制されて、下方向にループを形成した状態を維持することになる。この状態で、チャッカーユニット10が受け取り位置P1に近づいたとき、図5B(e)のようにチャッカーユニット10によって第1ループ規制体52が跳ね上げられる。
(3)ペーパーPの後端部を受け取り位置P1から受け渡し位置P2へ移動する場合は、図5B(e)のようにペーパーが下方向にループを形成した状態を維持したまま、ペーパーPの後端部を挟持するチャッカーユニット10が受け渡し位置P2へ移動する。このときチャッカーユニット10によって跳ね上げられていた第1ループ規制体52が、チャッカーユニット10が上流側の受け取り位置P1から離れることによって、付勢された下方向に位置するようになる。チャッカーユニット10が受け渡し位置P2へ近づくに従い、図5B(f)のように第2ループ規制体53がチャッカーユニット10によって跳ね上げられ、ループが徐々に小さくなりチャッカーユニット10が受け渡し位置P2に移動したときループは解消する。
<各搬送モードに関する説明>
次に、図1〜5で説明した画像形成装置において、ペーパーPをペーパー供給部Aで受け取り、画像形成部Cへ受け渡すまでの動作を説明する。ここで、搬送動作はペーパーPの搬送方向の長さに応じて4つの搬送モードに分けることができるので、順に説明する。すなわち、制御部60は、搬送モード設定手段60bの機能を備えており、プリントサイズ設定部64において設定されているデータに基づいて、プリントサイズに応じた適切な動作を行なわせる。
また、制御部60はペーパー送り長さ設定手段60dとして機能し、(1)「ペーパー送り長さが第1設定量」の範囲内の場合には、ペーパーPの後端部をカットした後、ペーパーPを搬送して画像形成部Cに受け渡し画像を形成する。具体的には、下記の第1モードおよび第2モードの場合が該当する。(2)「ペーパー送り長さが第1の設定量」を超え、かつ「第2の設定量の範囲内」の場合には、ペーパーPの先端側を受け渡し位置に移動した後にペーパーPの後端部をカットする。その後、一旦所定時間順方向に搬送させた後に逆送させ、再度順方向にペーパーPを搬送して画像形成部Cに受け渡し画像を形成する。具体的には、下記の第3モードが該当する。(3)「ペーパー送り長さが第2の設定量」を超える場合には、ペーパーPの後端部をカットしない状態でペーパーPを画像形成部Cに搬送し、画像形成部Cにおいて画像を形成中に、ペーパーPの後端部をカットし、画像形成を完成させる。具体的には、下記の第4モードが該当する。この動作において、ペーパーPにループを形成するような制御を行うことがあり、制御部60はループ制御手段60cとしても機能する。
<1.ペーパー送り長さ150mm〜183mmの場合(第1モード)>
この場合の動作を図6の動作図と、図7の作動フローチャートにより説明する。図6(a)において、ペーパーPをペーパー供給部Aから受け取るために、チャッカーユニット10は受け取り位置P1にて待機する。このとき、チャッカーローラ10の圧着状態は解除されている。ペーパーマガジンMからペーパーPが引き出されて搬送される(S1)。図6(a)には、カッター4の位置CPを基準にペーパーPの長さを示しているが、長さ150mmの場合、カッター位置CPを基準とすると、ペーパーPの先端はペーパーガイド12の内部に位置するが、長さ183mmは、ペーパーガイド12の先端とほぼ同じ状態となる。カッター位置CPを基準として、ペーパーPを送り長さ(プリントサイズに対応)分だけ搬送させて、ペーパーPを停止させる(S2)。
次に、ペーパーPの後端をカッター4によりカットし(S3)、引き続き、カット後ローラ5によりペーパーPを所定位置まで搬送させる(S4)。所定位置とは、ペーパーPの送り長さにより異なってくるが、ペーパーPの先端側がチャッカーローラ11により確実に挟持できる位置である。なお、上記所定位置については、適宜決めることが可能であり、また、ペーパーPの送り長さにかかわらず、常に同じとすることもできる。
所定位置までペーパーPが搬送されると、チャッカーローラ11を圧着状態に切り換える(S5)。これにより、チャッカーユニット10を移動する準備が整ったため、ベルトコンベア13を駆動してチャッカーユニット10を受け渡し位置P2へ向けて移動する(S6)。このとき、ペーパーPはその先端側を挟持された状態で搬送されることになる。なお、ペーパーPの送り長さが150mmのときは、ペーパーPをカットした後、チャッカーローラ11により圧着を行ない、直ちにチャッカーユニット10の移動を開始することができる。
図6(c)は、チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に到着した状態を示している。また、ペーパーPをチャッカーユニット10により搬送する間に蛇行補正が行われる(S7)。具体的には、第1モータ15Aと第2モータ15Bの駆動量を異ならせる。例えば、第1モータ15Aと第2モータ15Bの駆動開始は同時に行い、受け渡し位置P2において第2モータ15Bを先に停止させた後、補正値の分だけ第1モータ15Aを余分に駆動することで、ペーパーPの傾斜を補正することができる。この方法であれば、チャッカーユニット10による搬送工程の最終段階で蛇行補正が行われることになる。
蛇行補正が行われるとチャッカーユニット10は停止し(S8)、チャッカーローラ11を駆動して、挟持していたペーパーPを送り出す(S9)。これと同時に、露光搬送ローラ20,21の回転も開始する(S10)。ただし、この段階では露光搬送ローラ20,21の圧着ローラは解除された状態である。ペーパーPを送り出すと、露光開始センサ23によりペーパーPの先端を検出する。これにより、ペーパーPが搬送されてきたことを検出することができ、第1露光搬送ローラ20の位置にペーパーPが搬送されてきたことが検出されると、第1露光搬送ローラ20によりペーパーPを圧着する(S11)。これに連動して、チャッカーローラ11の圧着状態を解除する(S12)。
露光搬送ローラ20が圧着状態となることで、露光搬送が開始され、画像形成が行なわれる(S13,14)。画像形成が行われたペーパーPは、スイッチバック部Dを介して現像処理部40へと送られて現像処理が施され、写真プリントが完成する。
この構成によると、蛇行補正を行う場合には、ペーパーPをチャッカーローラ11により挟持した状態で、ペーパーP全体を傾斜させるように行なわれる。また、ペーパーPを挟持しているのは、ペーパーPの先端側のみである。従って、蛇行補正を行なう際には、ペーパーPに対してはチャッカーローラ11による挟持力以外は作用しないため、ペーパーPに対して無理な力が作用することなく蛇行補正を行うことができる。また、蛇行補正が終わった状態で、ペーパーPは画像形成部Cに受け渡されるため、ペーパーPは正しい姿勢で画像形成が行なわれる。また、画像形成中においても、ペーパーPに対して無理な力が作用していないため、バンディングの問題も生じない。
<2.ペーパー送り長さ183mm〜409mmの場合(第2モード)>
次に、ペーパー送り長さが183mm〜409mmの場合について、図8の動作図と、図9の作動フローチャートにより説明する。第1モードと異なる点を中心に説明する。
ペーパーマガジンMからペーパーPが引き出されて搬送され(S31)、ペーパーPはカッター4の位置を通過してそのままチャッカーユニット10内の所定位置まで搬送される。そして、ペーパーPの搬送を停止させてチャッカーローラ11でペーパーPの先端側を挟持する(S32)。この時点において、ペーパーPのカットすべき後端位置はカッター4の位置に到達していない(図8(a))。従って、チャッカーユニット10の移動を開始し、ペーパーPを引き続き搬送する。チャッカーユニット10が移動している間も、ペーパー供給部Aのカット後ローラ5等は回転し続ける。
カットすべきペーパーPの後端位置がカッター4の位置に到達すると、チャッカーユニット10を停止させ、同時にカット後ローラ5も停止する(S34)(図8(b))。このとき、ペーパーPの送り長さが409mmの場合でも、チャッカーユニット10は受け渡し位置P2には到達していない。チャッカーユニット10が停止した状態でペーパーPの後端をカットする(S35)。チャッカーユニット10が途中で停止する位置については、ペーパーPの送り長さ毎に異なる位置となる。
ペーパーPをカットした後、再びチャッカーユニット10の移動を開始する(S36)。カットされたペーパーPの後端がカット後ローラ5から離脱する(S37)。これにより、図8(c)に示すように、ペーパー後端が重力により垂れ下がる状態となる。そして、この後にペーパーPの蛇行補正が行われる(S38)。S39以下の工程は、第1モードで説明したのと同じである。ペーパーPが垂れ下がるのは、画像形成部CへペーパーPが送り込まれる前であるから、垂れ下がり時の衝撃は画像形成前にはおさまっており、画像形成に対してはバンディングなどの悪影響を及ぼすことはない(図8(d))。
図8(c)には、ペーパーPの送り長さが183mmと409mmの2つの場合について図示しているが、ペーパー搬送部Bは、ペーパーPの送り長さが409mmの場合でも、垂れ下がった後端を収容する空間を備えている。
<3.ペーパー送り長さ409mm〜594mmの場合(第3モード)>
次に、ペーパー送り長さが409mm〜594mmの場合について、図10A,Bの動作図と、図11の作動フローチャートにより説明する。第1モードや第2モードと異なる点を中心に説明する。
S51〜S53までの工程は、第2モードにおける工程と同じである(図10A(a))。そして、ペーパーPを挟持したチャッカーユニット10は、受け渡し位置P2で停止する(S54)(図10A(b))。ペーパー送り長さが409mmを越える場合には、チャッカーユニット10が停止した後もアドバンスローラ1やカッター前ローラ2あるいはカッター後ローラ5などは継続して回転する(S55)。また、チャッカーユニット10が停止した後、チャッカーローラ11を順方向に駆動し、チャッカーローラ11によるペーパーPの搬送を開始する(S56)(図10A(c))。チャッカーローラ11によるペーパーPの搬送速度は、アドバンスローラ1やカッター前ローラ2あるいはカッター後ローラ5などによるペーパーPの搬送速度と同等あるいはそれ以下とする。これによって、ペーパーPは画像形成部Cに送り出され、露光開始センサ23によりペーパーPの先頭を検出する。ただし、この段階では露光搬送ローラ20,21の圧着ローラは解除された状態である。
ペーパー送り長さが設定されたプリントサイズとなり、ペーパーPの後端部がカッター4の位置に到達すると、アドバンスローラ1やカッター前ローラ2あるいはカッター後ローラ5などおよびチャッカーローラ11を停止させ(S57)、ペーパーPの後端部をカットする(S58)。カット後、再び、所定時間チャッカーローラ11によるペーパーPの順方向の搬送を開始する(S59)(図10A(d))。カットされたペーパーPの後端部が、カッター後ローラ5を超えるとペーパーPの後端部がカット後ローラ5から離脱し(S60a)、図10B(e)に示すように、ペーパーPの後端部が重力により垂れ下がる。ペーパー搬送部Bは、ペーパーPの送り長さが594mmの場合でも、垂れ下がったペーパーPの後端部を収容する空間を備えている。
その後、チャッカーローラ11を逆回転に駆動させ、挟持していたペーパーPの先端を逆送する。これによって、ペーパーPの逆方向に搬送される(S60b)(図10B(f))。ペーパーPの先端側が所定時間逆送された状態において、露光開始センサ23によりペーパーPの先端を検出した時点で、チャッカーローラ11の駆動を停止する(S60c)。次に、再度チャッカーローラ11を順方向に回転駆動させ、反転してペーパーPの順方向の搬送を開始する(S60d)(図10B(g))。このとき、ペーパーPの先端側が有する癖や反りを修正して、フラットな状態で搬送して画像形成を行うことができる。
次に、チャッカーユニット10の移動を開始し、蛇行補正が行うことが可能である(S61,62)。S63以下の工程は、第1モードで説明したのと同じである(図10B(h))。ペーパーPが垂れ下がるのは、画像形成部CへペーパーPが送り込まれる前であるから、画像形成に対してはバンディングなどの悪影響を及ぼすことはない。また、ペーパーPをカット後垂れ下がらせるのではなく、ペーパーPのカットされた後端部をチャッカーユニット10によって挟持した状態で搬送する方法も可能である。
なお、上記においてはペーパーPの後端をカットする前にペーパーPの先端を画像形成部Cに送り出したが、チャッカーユニット10を停止し、ペーパーPの後端をカットした後、画像形成部Cに送り出す形態のものであってもよい。そうすることによって、カット後ローラ5の下流まで延設されたガイドの間に存在するペーパーPの後端を好適に収容空間まで導くことができる。また、チャッカーユニット10を受け渡し位置P2に停止した状態でペーパーPの搬送を行ったが、予め上流側に停止し、ペーパーPの逆送後にチャッカーユニット10を受け渡し位置P2に移動することを可能である。さらに、ペーパーPの後端部をカットした後、再び、カット後ローラ5を駆動して、ペーパーPの後端部をカット後ローラ5から離脱させることによって、ペーパーPの後端部の垂れ下がり状態を形成することも可能である。また、以上のいずれかを組み合わせることも可能である。
<4.ペーパー送り長さ594mm〜の場合(第4モード)>
次に、ペーパー送り長さが594mm以上の場合について、図12A,Bの動作図と、図13のフローチャートにより説明する。第4モードは、ペーパー送り長さが設定量を越える場合に該当し、ペーパー送り長さ設定手段60dによって、画像形成中であってもペーパーの後端部をカットし、カットされた後端部の搬送を行なわせることができる。既述の図5A,Bの動作を基に、第1モード〜第3モードと異なる点を中心に説明する。
S71〜S73までの工程は、第2モードにおける工程と同じである(図12A(a))。そして、ペーパーPを挟持したチャッカーユニット10は、第2モードや第3モードの場合と同じように、受け渡し位置P2よりも上流側で停止する(S74)(図12A(b))。この停止位置は、第3モードの場合と同じように、固定された位置とすることができる。そして、第3モードと同じようにカット後ローラ5等を引き続いて回転させ、ループRを形成する(S75,76)(図12A(c))。第1ループ規制体52の作用により、ループRは強制的に下方向に形成される。このとき、チャッカーユニット10が停止してからループを形成する場合だけでなく、チャッカーユニット10の移動中にループを形成することが可能であることは第3モードの場合と同じである。
所定量のループRが形成されると、カット後ローラ5等のペーパー供給部Aの駆動系を停止させる(S77)。次に、チャッカーユニット10を移動させて、蛇行補正を行なう(S78,79)。すなわち、蛇行補正がループRが形成された後に行われるようにしており、蛇行補正によりペーパーPを傾斜させたとしても、ループRの部分で変形を吸収することができる。蛇行補正を行なうときに後端側はまだカットされておらず、カット後ローラ5等により拘束された状態であるが、ループRを形成しているためペーパー全体に無理な力が作用することを防止することができる。
チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に到達すると、チャッカーユニット10を停止させる(S80)(図12A(d))。次に、チャッカーローラ11を回転駆動して、ペーパーPの先端を画像形成部Cに向けて送り出す(S81)。この動作と同時に、あるいはほぼ同時に、露光搬送ローラ20も回転させる(S82)。ペーパー先端が第1露光搬送ローラ20の位置に到達すると、第1露光搬送ローラ20により、ペーパーの先端を圧着する(S83)。また、このとき、ペーパー後端側のカット後ローラ5等は停止しているため、ループRが小さくなっていく(図12A(e))。第1露光搬送ローラ20によりペーパーPを圧着した後は、第1露光搬送ローラ20を一端停止させる。
次に、チャッカーローラ11の圧着状態を解除し(S84)、チャッカーユニット10を受け渡し位置P2から受け取り位置P1へと復帰させる(S85)(図12B(f))。このときチャッカーローラ11の間をペーパーPを通しながら戻ることになるが、圧着を解除していることと、この時点ではループRが小さくなっているため、ペーパーPに対して大きな負荷が作用することはない。
チャッカーユニット10が受け取り位置P1に復帰すると、ペーパー供給部Aのカット後ローラ5等の駆動を再び開始する(S86)。このとき、第1露光搬送ローラ20は停止した状態であるため、チャッカーユニット10の下流側にループが形成されていく(S87)(図12B(g))。このとき、チャッカーローラ11の圧着は解除されたままである。さらに、第2ループ規制体53の作用により、ループRが確実に下方向に形成されるようにされる。
所定量のループが形成されると、露光搬送ローラ20,21の回転を開始する(S88)。これにより、ペーパーPに対する画像形成が開始される(図12B(h))。カット後ローラ5等の回転も引き続き行なわれ、ペーパー後端がカッター4の位置に来ると、カット後ローラ5等の回転を停止させ、チャッカーローラ11によりペーパーPの後端側の圧着を行ない、ペーパー後端をカットする(S89,90)。ペーパーPをカットする間も、露光搬送ローラ20,21の回転は行なわれており、画像形成はカット中も継続するが、形成されているループRの大きさは徐々に小さくなる。また、ループRが形成されているため、ペーパーカット時の衝撃は画像形成部Cに伝達されない。従って、搬送方向の長さが長いペーパーPであっても、バンディング等の影響による画質低下の問題は発生しない。
ペーパーカットの後、チャッカーユニット10を再び画像形成部Cの方向に向けて移動させる(S91)。従って、画像形成部Cにおける画像形成が行なわれながら、チャッカーユニット10によりペーパー後端側が支持された状態で搬送される。このとき、チャッカーユニット10の下流側には、小さなループRが形成された状態である(図12B(i))。画像形成部Cにおける露光搬送ローラ20,21による搬送速度と、チャッカーユニット10の移動速度については、バンディングの影響がでないように適切な速度に設定することができる。
チャッカーユニット10が移動開始し、ペーパー後端がカット後ローラ5から離脱すると、カット後ローラ5の回転が停止する。また、チャッカーローラ11の圧着を解除する(S92)。このとき、ペーパーPの後端側については、ペーパーへの負荷をより小さくできることから、圧着を解除した状態で移動する場合について説明するが、圧着状態で挟持し移動することも可能である。チャッカーユニット10が受け渡し位置P2に到達すると(S93)、チャッカーユニット10は停止し、露光搬送ローラ20,21により、継続してペーパーPは搬送され、画像形成が行なわれる(図12B(j))。チャッカーローラ11は圧着解除された状態で、チャッカーユニット10が移動するため、チャッカーユニット10はペーパー後端が垂れ下がらないように支持する機能を有する。従って、露光搬送ローラ20,21を搬送して画像形成を行う間、ペーパーPに対して無理な力が作用しない。
<スイッチバック部の動作>
画像形成がされたペーパーPは、スイッチバック部Dを介して現像処理部40へと送り込まれるが、このスイッチバック部Dにおける動作を説明する。図14は、ペーパーPの送り長さが短い場合の動作を示し、この場合、変換ローラ30によりペーパーPが送り出される。すなわち、図14(a)に示すように、駆動ローラ30aと圧着ローラ30bの圧着状態が解除されており、露光済みのペーパーPが進入してくる。所定位置まで進入すると、図14(b)に示すように、ペーパーPを圧着し、図14(c)に示すように90゜回転する。これにより、ペーパーPの乳剤面Nは図示のように変換される。以後は、変換ローラ30により、ペーパーPが現像処理部40に向けて搬送される。
ペーパーPの送り長さが所定値よりも長い場合には、図15(a)に示すように、巻き取りローラ31の周囲に巻き取らせる。ペーパーPは巻き取りローラ31の周囲に不図示の圧着機構により巻きつかせる。また、巻き取りローラ31はペーパーPを巻き付けながら、図15(b)に示すように、斜め下方に下がっていく。図15(c)の状態では、巻き取りローラ31に巻き付けられたペーパーPの外周接線が、ちょうど現像処理部40へ向けての搬送経路と一致するようになっている。この状態まで巻き取ると、変換ローラ30によりペーパーPを現像処理部40へ向けて搬送させる。これにより、ペーパーPの乳剤面Nは図示のように変換される。乳剤面Nを図示のように変換することで現像処理部40における現像処理を正しい姿勢で行なうことができる。
<チャッカーローラの変形例>
次にペーパーPを挟持するチャッカーローラ11の変形例を図16により説明する。チャッカーローラ11の幅は処理可能な最大幅を有するペーパーPの幅よりも少し大きな幅となるように形成され、その径寸法は幅方向にわたって一定である。本発明としては、これに限定されるものではなく、図16(a)に示すように、ペーパー幅よりも少し短くなるように設定されていてもよい。図16(b)に示すように、幅方向にわたって複数のローラ部分に分割されていてもよい。この場合、分割数は任意に設定することができる。チャッカーローラ11は、駆動ローラ11aと圧着ローラ11bにより構成されるが、いずれか一方のローラあるいは両方のローラについて、上記のように構成することができる。
ペーパーPの幅寸法については種々のものがあるが、いずれの場合についても、ペーパーの幅方向全域もしくはほぼ全域にわたって挟持するようにしており、この状態でペーパーP全体を回転させて蛇行補正を行なうため、ペーパーPに無理な力が作用せず、皺を形成させなくてもすむ。
図16(c)は、別実施形態を示す図であり、チャッカーローラ11を含めたペーパーPが所定の軸芯X周りに回転可能な機構を設けている。例えば、回転させるための専用のモータを設けておき、このモータによりペーパーPを回転可能にする。これにより、蛇行補正を行なうことができる。この場合は、左右のモータ15A,15Bの駆動量は同一となるように設定される。蛇行補正を行う場合、どの程度補正するかについては、専用のモータにより回転量により定義することができる。これにより、蛇行補正における動きがスムーズとなる。
また、左右のモータ15A,15Bの駆動量を異ならせる場合も、軸芯X周りに回転可能な機構を設けることで、スムーズに回転させることができる。
<別実施形態>
本実施形態において、画像形成部Cとしてレーザーエンジンを備えるものを説明し、画像形成媒体として写真感光材料であるペーパーPを例にあげたが、本発明はこれに限定されるものではない。レーザーエンジン以外にも、CRTエンジン、PLZTエンジン等の適宜のデジタル式の露光エンジンを用いることができる。また、インクジェットプリンタによりペーパー表面にインクを吐出して画像形成を行なう画像形成装置の場合にも、本発明は応用できるものである。